説明

含フッ素ポリウレタン及び水中フッ素系オイル型乳化組成物

【課題】フッ素オイルを水中に安定に乳化することができる乳化剤およびこれを用いた安定性の高い水中フッ素系オイル型乳化組成物を提供する。
【解決手段】分子内にひとつのエポキシ基を持つ含フッ素エポキシ化合物(a)と、分子鎖の両末端に水酸基を有する水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを反応させて付加物となし、次いでこの付加物を有機ジイソシアナート(c)と反応させることにより得られるポリウレタンを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロアルキル基を含有する新規のポリウレタンに関し、また、そのポリウレタンを乳化剤として用いてフッ素系オイルと水を乳化して得られる水中フッ素系オイル型乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フッ素系オイルは優れた撥水撥油性を有すことから繊維処理剤等に多く用いられている。これらは多くの場合、フロン系溶剤に溶解して用いられており、近年、環境問題等の観点からその水系化が求められている。例えば、特許文献1ではフッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤、親水性溶媒を用いてパーフルオロポリエーテルを水に分散させることが提案されている。また、特許文献2では、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルを用いることが提案されている。さらに、特許文献3ではフッ素系セグメントとポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとの共重合体を用いることが提案されている。しかしながら、いずれの提案もエマルションの安定性という点では満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−34730号公報
【特許文献2】特開2005−132956
【特許文献3】WO95/18194
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、フッ素オイルを水中に安定に乳化することができる乳化剤およびこれを用いた安定性の高い水中フッ素系オイル型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のポリウレタンは、上記の課題を解決するために、分子内にひとつのエポキシ基を持つ含フッ素エポキシ化合物(a)と、分子鎖の両末端に水酸基を有する水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを反応させて付加物となし、次いでこの付加物を有機ジイソシアナート(c)と反応させることにより得られるものとする。
【0006】
上記ポリウレタンにおいては、含フッ素エポキシ化合物(a)が次の一般式(1)で表わされる化合物(a’)であり、かつ水溶性ポリアルキレングリコール(b)の水酸基価換算値の分子量が2000〜20000であることが好ましい。
【化1】

【0007】
(式(1)において、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、mはその平均値が0〜30の数、nは1〜12の数を示す。)
【0008】
また、上記付加物の13C−NMR測定により求められる積分値に基づいて次式より求められる水溶性ポリアルキレングリコール(b)の水酸基消費率が60〜100%であることが好ましい。
【数1】

【0009】
本発明の水中フッ素系オイル型乳化組成物は、上記本発明のポリウレタンを乳化剤として用いて、フッ素系オイルを水に乳化することにより得られるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリウレタンによれば、これを乳化剤として用いてフッ素系オイルを従来より安定に乳化することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる分子内にひとつのエポキシ基を持つ含フッ素エポキシ化合物(a)としては、一部又は全部の水素原子がフッ素原子に置き換えたフルオロアルキル類のエポキシドや、フッ素アルコール類やフッ素アルコール類のエチレンオキサイド付加物をエピクロルヒドリン等を用いて公知の方法でグリシジルエーテル化したフルオロアルキルグリシジルエーテル類(a’)が好適に使用できる。なかでも、市販のフルオロアルキル類のエポキシドは種類が限られていることから、種類の豊富なフッ素アルコールより誘導した化合物(a’)が好ましい。
【0012】
化合物(a’)の原料となるフッ素アルコールの例としては、具体的には、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、トリフルオロメチルプロパノール、ヘキサフルオロブタノール、ヘプタフルオロブタノール、ペンタフルオロペンタノール、オクタフルオロペンタノール、ノナフルオロペンタノール、トリデカフルオロヘプタノール、ノナフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール、ヘプタデカフルオロデカノール、テトラフルオロベンジルアルコール、トリフルオロメチルベンジルアルコール、トリフルオロメトキシベンジルアルコールが挙げられる。
【0013】
また、これらフッ素アルコールのエチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類も用いることが出来る。
【0014】
本発明に用いられる上記水溶性ポリアルキレングリコール(b)は、少なくとも分子鎖の両末端に水酸基を有するアルキレンオキサイドの重合体である。単量体のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどがあるが、水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドの含有率が60重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、エチレンオキサイドの重合物(すなわち、ポリエチレングリコール)を用いる。
【0015】
該水溶性ポリアルキレングリコール(b)の分子量は、水酸基価(OHV)換算値の分子量で1,000〜30,000が好ましい。より好ましくは2,000〜20,000であり、更に好ましくは5,000〜10,000である。該分子量が1000未満では、水溶性が低くて十分な乳化性が得難く、また該分子量が30,000を超えると反応性が低下してエポキシ基の開環が困難になる。ここで、OHV換算値の分子量は、トルエン共沸により乾燥させたポリアルキレングリコールを、JIS K0070(1992)に記載の方法で測定した値より算出した。
【0016】
上記水溶性ポリアルキレングリコール(b)としては、OHV換算値の分子量が2000〜20,000のポリエチレングリコール(b’)が好ましく用いられ、より好ましくは、OHV換算値の分子量が5,000〜10,000のポリエチレングリコールを用いる。
【0017】
本発明に用いられる上記有機ジイソシアナート(c)としては、鎖状脂肪族ジイソシアナート類、環状脂肪族ジイソシアナート類、芳香族ジイソシアナート類などよりなる一群のジイソシアナート化合物から選ばれた炭素数が3〜18のジイソシアナート化合物が挙げられる。例えば、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、シクロヘキサンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどを挙げることができる。これらのなかでも、反応性、取り扱い易さ、価格面から、好ましくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)を用いることである。
【0018】
また、この合成に際しては公知のウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、錫系触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等)、アミン触媒(例えば、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチルジアミン等)、チタン系触媒(例えば、テトラブチルチタネート等)などが挙げられる。
【0019】
本発明のポリウレタンは、フッ素系オイルへの溶解性が高いフルオロアルキル基Rfが、高分子の末端のみならず、高分子の主鎖にグラフトしている点に特徴の一つがある。高分子の主鎖に疎水基をグラフトすることで分子中のフッ素系オイルへ親和基の数が多くなり、水和層への脱着が困難になるため界面膜が強固になる。それゆえ安定な水中フッ素系オイル型乳化組成物の調製が可能になる。
【0020】
本発明のポリウレタンを得るための合成方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、アルカリ触媒の存在下で含フッ素エポキシ化合物(a)に水溶性ポリアルキレングリコール(b)を付加させ、アルカリ触媒を中和し、ウレタン化触媒と有機ジイソシアナート(c)を加えてウレタン化させる方法が用いられる。
【0021】
水溶性ポリアルキレングリコールの付加は、水溶性ポリアルキレングリコールの水酸基が含フッ素エポキシ化合物に付加する開環反応である。この際、開環により生じたエポキシ化合物由来の水酸基が含フッ素エポキシ化合物へ付加する望まれない付加が同時に起こる。通常、エポキシ化合物が炭化水素系の場合、水溶性ポリアルキレングリコールの水酸基が1級水酸基であるのに対しエポキシ基由来の水酸基は主として2級水酸基であるため、この望まれない付加反応は起こりにくい。しかしながら、含フッ素エポキシ化合物の場合は、フッ素基の相溶性の問題からフッ素基部分が集合し易く、この望まれない付加反応が起こりやすくなる。それゆえ、得られたポリウレタンも水溶性ポリアルキレングリコール部分と含フッ素基部分とが分子中で局在化した、いわゆるブロックポリマー様の構造をとり易くなる。
【0022】
上記(a)成分と(b)成分との付加状態は、付加生成物の13C−NMR測定を行い、消費された水溶性ポリアルキレングリコール(b)の末端炭素原子を定量することで分かり、次式(I)により求められる(b)の水酸基消費率を疎水基Rの非局在化率の指標とすることができる。
【数1】

【0023】
この水溶性ポリアルキレングリコール(b)の水酸基消費率は、本発明においては60〜100%であるのが好ましく、より好ましくは70〜100%である。60%未満では、ポリウレタンの主鎖への疎水基の導入率が低くなることから十分な乳化性が得られにくくなる。この指標で表される(a)及び(b)成分の付加状態は、付加反応時に例えばDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)のような相溶化剤となり得る溶剤を少量添加することにより調整可能である。局在化の傾向は上記の通り(a)成分と(b)成分の構造・分子量等に左右されるので、添加量はそれに応じて適宜調整すればよい。
【0024】
上記合成に際し、3成分の組成比は特に限定されるものではないが、含フッ素エポキシ化合物(a)と水溶性ポリアルキレングリコール(b)とがモル比で、(a)/(b)=1.0〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.5である。また、水溶性ポリアルキレングリコール(b)と有機ジイソシアナート(c)とがモル比で、(b)/(c)=1.0〜1.5であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.3である。
【0025】
本発明のポリウレタンの重量平均分子量はおよそ8千〜30万の範囲にあることが好ましい。特に乳化剤として用いるには、重量平均分子量が1万〜10万の範囲にあることがより適している。更に好ましくは重量平均分子量が、1万5千〜7万の高分子である。重量平均分子量が8千未満では十分な乳化性が得られず、また30万を超えると粘度が高く作業性が悪くなる。
【0026】
本発明のポリウレタンは、乳化剤として使用する場合、単独で使用してもよいが、他の界面活性剤と併用してもよい。また、必要により、このポリウレタンを、溶剤、水またはそれらの混合物に溶解して用いることもできる。上記ポリウレタンと併用することができる他の界面活性剤は特に限定されず、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性の公知の界面活性剤を1種類乃至2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
本発明の乳化組成物の用途としては、繊維処理剤、金型離型剤、潤滑剤、防汚剤、防曇剤、塗料添加剤、インキ添加剤、紙加工剤、サイズ剤、樹脂付着防止剤、オイルバリアー、アンチブロッキング剤、つや出し剤などに用いることができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
[製造例1]ヘキサフルオロブチルモノグリシジルエーテルの合成
50mLのナスフラスコに、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール15.0g、48%水酸化ナトリウム水溶液27.5g及びテトラメチルアンモニウムクロライド0.60gを仕込み、50℃まで昇温させ、激しく撹拌しながらエピクロロヒドリン9.90gをシリンジを用いて30分かけて滴下し、そのまま5時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、有機層を水洗した。この有機層を減圧乾燥し、ヘキサフルオロブチルモノグリシジルエーテルを得た。
【0030】
[製造例2]オクタフルオロペンチルモノグリシジルエーテルの合成
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールに代えて2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールを使用した他は、製造例1と同様の方法でオクタフルオロペンチルモノグリシジルエーテルを得た。
【0031】
[製造例3]トリフルオロメチルベンジルモノグリシジルエーテルの合成
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールに代えて4−トリフルオロメチルベンジルアルコールを使用した他は、製造例1と同様の方法でトリフルオロメチルベンジルモノグリシジルエーテルを得た。
【0032】
[製造例4]トリデカフルオロオクタノール−6EО付加物のモノグリシジルエーテルの合成
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノールに代えて石井義朗著「非イオン界面活性剤」(誠文堂新光社)第2章に記載の方法で得た3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタノール−6EО付加物を使用した他は、製造例1と同様の方法でトリデカフルオロオクタノール−6EО付加物のモノグリシジルエーテルを得た。
【0033】
[製造例5]ポリウレタン(A)の合成
500mLのガラス製セパラフラスコに、PEG6000(第一工業製薬(株)、OHV換算値で分子量8,200)を150g(1.0mol部)仕込み、窒素雰囲気下、100℃で溶解した。これに水酸化カリウム0.31gを加え、窒素を吹き込みながら20mbarに減圧し、150℃で30分間撹拌して水を除去した。次に、DMF50mLおよびヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパン3.34g(1.1mol部)を加え、150℃で6時間反応させた。その後、90℃まで冷却し、安息香酸0.81gを添加して中和を行なった。続いて、少なくとも10mbarの減圧下でトルエンとの共沸蒸留により充分に乾燥し、トルエン300gを加えて再び減圧下でトルエン約50mLを留去した後、窒素雰囲気下でジブチルスズジラウレート0.0856、イソホロンジイソシアナート3.66g(0.9mol部)を順次加え、そのまま4時間反応させた。反応終了物からトルエンを留去し、ポリウレタン(A)を得た。
【0034】
[製造例6]ポリウレタン(B)の合成
ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えてヘキサフルオロブチルモノグリシジルエーテル4.79g(1.1mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(B)を得た。
【0035】
[製造例7]ポリウレタン(C)の合成
ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えてオクタフルオロペンチルモノグリシジルエーテル6.85g(1.3mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(C)を得た。
【0036】
[製造例8]ポリウレタン(D)の合成
ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えてトリフルオロメチルベンジルモノグリシジルエーテル4.67g(1.1mol部)、イソホロンジイソシアナートに代えてヘキサメチレンジイソシアナート2.46g(0.8mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(D)を得た。
【0037】
[製造例9]ポリウレタン(E)の合成
PEG6000に代えてエパン485(第一工業製薬(株)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンオキサイド含有率=85重量%、OHV換算値で分子量7100)130g(1.0mol部)、ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えて13.4g(1.1mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(E)を得た。
【0038】
[比較製造例1]ポリウレタン(F)の合成
ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えてエポゴーセー2EH(四日市合成(株)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エポキシ当量換算値で分子量189) 3.80g(1.1mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(F)を得た。
【0039】
[比較製造例2]ポリウレタン(G)の合成
ヘキサフルオロ−1,2−エポキシプロパンに代えてエピオールSB(日油(株)製、p−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル、エポキシ当量換算値で分子量238)5.22g(1.2mol部)を使用した他は、製造例5と同様の方法でポリウレタン(G)を得た。
【0040】
<水溶性アルキレングリコール(b)の水酸基消費率>
トルエンで乾燥後の付加生成物、即ちウレタン化工程前のもの約50mgをサンプリングし、13C−NMRを測定して(b)の水酸基消費率を求めた。
【0041】
<分子量測定>
得られたポリウレタン(A)〜(G)の重量平均分子量は、テトロヒドロフランを溶媒に用いてGPCにより求めた。GPCは標準サンプルとして、分子量327、2000、8200、19700のポリエチレングリコールで校正したものを用いた。
【0042】
<乳化試験例>
上記製造例5〜9、比較例製造例1,2により得られたポリウレタン(A)〜(G)3gとフッ素オイル(デュポン株式会社製、クライトックス143AB)15gをディスパーにて混合しながら、水82gを徐々に加えて乳化組成物を調製した。室温で2週間保管した後、乳化安定性を目視にて観察し、次の基準で評価した。結果を表1に示す。
良好・・・均一な乳化状態である。
【0043】
不良・・・沈殿やクリーミングなど、不均一な状態が認められる。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の乳化組成物は、繊維処理剤、金型離型剤、潤滑剤、防汚剤、防曇剤、塗料添加剤、インキ添加剤、紙加工剤、サイズ剤、樹脂付着防止剤、オイルバリアー、アンチブロッキング剤、つや出し剤などに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にひとつのエポキシ基を持つ含フッ素エポキシ化合物(a)と、分子鎖の両末端に水酸基を有する水溶性ポリアルキレングリコール(b)とを反応させて付加物となし、次いでこの付加物を有機ジイソシアナート(c)と反応させることにより得られるポリウレタン。
【請求項2】
前記含フッ素エポキシ化合物(a)が次の一般式(1)で表わされる化合物(a’)であり、かつ前記水溶性ポリアルキレングリコール(b)の水酸基価換算値の分子量が2000〜20000であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン。
【化1】

(式(1)において、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、mはその平均値が0〜30の数、nは1〜12の数を示す。)
【請求項3】
前記付加物の13C−NMR測定により求められる積分値に基づいて次式より求められる水溶性ポリアルキレングリコール(b)の水酸基消費率が60〜100%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタン。
【数1】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタンを乳化剤として用いて、フッ素系オイルを水に乳化することにより得られる水中フッ素系オイル型乳化組成物。

【公開番号】特開2011−94061(P2011−94061A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250565(P2009−250565)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】