説明

含窒素へテロ環化合物および有害生物防除剤

【課題】工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる含窒素へテロ環化合物等、及びこの化合物を有効成分とする有害生物防除剤を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物又はその塩、及びこれらの化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤。


(式中、Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、XはCH、CH、NH等を表し、A〜Aは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表し、Yはメチル基等を表し、nは0〜4の整数を表し、R、Rは各々独立して水素原子、ピリジルメチル基等を表し、Zは置換基を有していてもよいフェニル基等を表し、Dはハロアルキル基等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含窒素へテロ環化合物、この化合物の塩、及びこれらの化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の殺虫剤、殺ダニ剤等の有害生物防除剤が使用されているが、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類等に対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の開発が要望されている。
【0003】
本発明に関連して、特許文献1には、本発明化合物と類似した骨格を有する、下記イソキサゾリン置換化合物が記載されている。しかしながら、この文献には、本発明化合物は記載されていない。
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、W’は酸素原子又は硫黄原子を表し、A、A及びAは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表し、Y’はハロゲン原子等を表し、n’は0又は1を表し、R、Rは各々独立して、水素原子、C1〜12アルキル基等を表し、Rはハロゲン原子等を表し、G’はフェニル基等を表す。)
【0006】
また、特許文献2には、下記化合物が記載されている。しかしながら、この文献にも、本発明化合物は記載されておらず、有害生物防除剤としての用途も記載されていない。
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、Rはカルボキシル基等を表し、aは0〜5の整数を表し、R、Rは、C1〜10アルキル基等を表す。)
【特許文献1】WO2005/085216号パンフレット
【特許文献2】WO2005/105810号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる新規含窒素へテロ環化合物等、及びこの化合物を有効成分とする有害生物防除剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明は第1に、式(I)
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、点線は単結合または二重結合を表す。ただし、点線で表される二つの結合のうち、一方は単結合であり、他方は二重結合を表す。
Xは、CH、CH、またはN(Q)で示される基を表す。
Qは、水素原子、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C8シクロアルキル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
、A、A及びAは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表す。
【0013】
Yは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、−N=C(R)(OR)、−CO、−C(=O)N(R)(R)、−C(=S)N(R)(R)、−Si(R)(R)(R)、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0014】
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0015】
、R及びRは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0016】
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。
【0017】
及びRは各々独立して、水素原子、シアノ基、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、−SN(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−OR、−N(R)(R)、−N=C(R)(R)、−C(=O)R、−C(=O)N(R)(R)、−C(=S)R、−C(=S)N(R)(R)、−C(=NR)R、−C(=NR)N(R)(R10)、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0018】
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R)(R)で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
【0019】
、R及びR10は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0020】
Gは、ハロゲン原子、シアノ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アミノ基、−OR11、−N(R11)(R12)、−N=C(R11)(R12)、−C(=O)R11、−C(=O)N(R11)(R12)、−C(=S)R11、−C(=S)N(R11)(R12)、−C(=NR11)R12、−C(=NR11)N(R12)(R13)、−Si(R14)(R15)(R16)、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0021】
11、R12及びR13は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0022】
14、R15及びR16は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0023】
Dは、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Zは、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。〕で表される含窒素へテロ環化合物又はその塩を提供する。
本発明は第2に、式(I−a)
【0024】
【化4】

【0025】
(式中、D、Z、R、R及びWは前記と同じ意味を表し、YはC1〜C6ハロアルキル基を表す。)
で表される含窒素へテロ環化合物またはその塩を提供する。
本発明は第3に、本発明の含窒素へテロ環化合物又はその塩の少なくとも一種を有効成分として含有する有害生物防除剤を提供する。
本発明の有害生物防除剤は、殺虫剤であるか、殺ダニ剤であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる新規含窒素へテロ環化合物又はその塩、及びこれらの化合物の少なくとも一種を有効成分とする有害生物防除剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)式(I)で表される含窒素へテロ環化合物又はその塩
本発明の第1は、前記式(I)で表される含窒素へテロ環化合物又はその塩である。
前記式(I)において、Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
前記式(I)において、A、A、A及びAは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表す。
前記式(I)中、下記式(A)
【0028】
【化5】

【0029】
で表される部分構造の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0030】
【化6】

【0031】
Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のC1〜C6アルキル基;ビニル基、n−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基等のC2〜C6アルケニル基;プロパルギル基、3−ブチニル基等のC2〜C6アルキニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C6ハロアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;2−クロロシクロプロピル基、2,2−ジクロロシクロプロピル基、3−クロロシクロペンチル基、4−ブロモシクロヘキシル基等のC3〜C8ハロシクロアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のC1〜C6ハロアルコキシ基;メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n−プロピルスルホニルオキシ基等のC1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;フェニルスルホニルオキシ基、4−メチルフェニルスルホニルオキシ基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基;メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のC1〜C6アルキルチオ基;メチルスルフェニル基、エチルスルフェニル基、n−プロピルスルフェニル基等のC1〜C6アルキルスルフェニル基;メチルスルホニル基、エチルスホニル基、n−プロピルスルホニル基等のC1〜C6アルキルスルホニル基;クロロメチルチオ基、トリクロロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等のC1〜C6ハロアルキルチオ基;クロロメチルスルフェニル基、トリクロロメチルスルフェニル基、トリフルオロメチルスルフェニル基等のC1〜C6ハロアルキルスルフェニル基;クロロメチルスルホニル基、トリクロロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等のC1〜C6ハロアルキルスルホニル基;フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2,4−ジクロロフェニルチオ基等の置換基を有していてもよいフェニルチオ基;フェニルスルフェニル基、4−メチルフェニルスルフェニル基、2,4−ジクロロフェニルスルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基;フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、2,4−ジクロロフェニルスルホニル基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基等のモノC1〜C6アルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジC1〜C6アルキルアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよいフェニルアミノ基;
【0032】
−N=CH(OCH)、−N=CH(OCF)、−N=C(CH)(OCH)、−N=C(Ph)(OCH)、−N=CH(OcPr)、−N=CH(OCHCH=CH)、−N=CH(OCHCH=CCl)、−N=CH(OPh)等の−N=C(R)(OR)で表される基;
−COH、−COCH、−COcPr、−COCF、−COCHCH=CH、−COPh等の−COで表される基;
−C(=O)NH、−C(=O)NH(CH)、−C(=O)NH(Ph)、−C(=O)NH(CHCH=CH)、−C(=O)N(CH、−C(=O)N(CH)(OCH)等の−C(=O)N(R)(R)で表される基;
−C(=S)NH、−C(=S)NH(CH)、−C(=S)NH(Ph)、−C(=S)NH(CHCH=CH)、−C(=S)N(CH、−C(=S)N(CH)(OCH)等の−C(=S)N(R)(R)で表される基;
−Si(CH、−Si(C、−Si(CH(Ph)、−Si(t−C)(CH、−Si(CH)(Ph)等の−Si(R)(R)(R)で表される基;
フェニル基、4−メチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0033】
Yの複素環基としては、環内に少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環の基であれば、特に制限されない。ここでヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。また、前記複素環基の環を構成する原子は3〜8個が好ましく、5又は6個がより好ましい。さらに、複素環基としては、飽和の複素環基であっても、不飽和の複素環基であってもよいが、優れた有害生物防除活性を有する上では、不飽和の複素環基が好ましく、不飽和の含窒素複素環基がより好ましい。
【0034】
このような不飽和の含窒素複素環基としては、環内に窒素原子を1〜3個有し、さらに酸素原子又は硫黄原子を1若しくは2個有していてもよい複素環の基が挙げられる。
【0035】
不飽和の含窒素複素環基の具体例としては、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−2−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、トリアゾール−3−イル基、トリアゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基等の5員環の不飽和含窒素複素環基;
【0036】
ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリミジン−5−イル基、ピラジン−2−イル基、トリアジン−2−イル基等の6員環の不飽和含窒素複素環基;等が挙げられる。
【0037】
前記複素環基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のC1〜C6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のC3〜C8シクロアルキルオキシ基;シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等のC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル基;シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基等のC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルコキシ基;ペンテニルオキシ基、ブテニルオキシ基等のC2〜C6アルケニルオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C6ハロアルキル基;トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等のC1〜C6ハロアルコキシ基;クロロプロペニルオキシ基、クロロブテニルオキシ基等のC2〜C6ハロアルケニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のC1〜C6アルコキシカルボニル基(アルコキシ部分の炭素数が1〜6個であるアルコキシカルボニル基の意味である。以下にて同じ。);フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
【0038】
、Rは各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基等のC1〜C12アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C12ハロアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C12シクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のC2〜C12アルケニル基;3−クロロアリル基等のC2〜C12ハロアルケニル基;プロパルギル基、3−ブチニル基等のC2〜C12アルキニル基;2−クロロエチニル基、2−ブロモエチニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル基等のC2〜C12ハロアルキニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のC1〜C12アルキルチオ基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜C12アルコキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノC1〜C6アルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジC1〜C6アルキルアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよいフェニルアミノ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;又は、Yの置換基を有していてもよい複素環基として例示したものと同様の、置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0039】
、R及びRは各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のC1〜C12アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C12ハロアルキル基;又は、フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0040】
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0041】
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、−CHCHCH−、−CHCHO−、−CHOCH−、−OCHO−、−CHCHS−、−CHSCH、−SCHS−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHO−、−CHCHOCH−、−CHOCHO−、−OCHCHO−、−OCHCHS−、−SCHCHS−、−OCH=N−、−SCH=N−等を形成することにより、2つのYのそれぞれが結合する炭素原子と共に5員環又は6員環を形成してもよい。
【0042】
またこのとき、環を形成する各々の炭素原子に結合した水素原子は置換基Tによって置換されていてもよく、さらに、同時に2個以上のTで置換されている場合、各々のTは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0043】
ここで、Tは、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8シクロアルキルオキシ基、C3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C2〜C6ハロアルケニルオキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。これらの具体例としては、前記Yの複素環基の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0044】
点線は単結合または二重結合を表す。ただし、点線で表される二つの結合のうち、一方は単結合であり、他方は二重結合を表す。
Xは、CH、CH、またはN(Q)で示される基を表す。
Qは、水素原子、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C8シクロアルキル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0045】
Qの、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C8シクロアルキル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基としては、R、R、及び、後述するrの例示の一部と同様のものが挙げられる。
【0046】
Zは、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。これらの具体例としては、前記Yの、置換基を有していてもよいフェニル基、及び置換基を有していてもよい複素環基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられ、下記(Z−1)〜(Z−32)に示すものが好ましい。
【0047】
【化7】

【0048】
【化8】

【0049】
上記式中、rは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル基、エチル基等のC1〜C6アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基等のC2〜C6アルケニル基;エチニル基、プロパルギル基等のC2〜C6アルキニル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等の置換基を有していてもよいフェノキシ基;メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のC1〜C6アルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のC1〜C6アルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のC1〜C6アルキルスルホニル基;フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基等の置換基を有していてもよいフェニルチオ基;フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基;メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基等のC1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;フェニルスルホニルオキシ基、2−クロロフェニルスルホニルオキシ基等の置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のC1〜C6アルコキシカルボニル基(C1〜C6は、アルコキシカルボニル基のアルコキシ基の炭素数を表す。以下にて同じ。);等を表す。
【0050】
mは0〜5の整数を表し、m1は0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表し、m3は0〜2の整数を表し、m4は0又は1を表す。m、m1〜m3がそれぞれ2以上のとき、複数のrは互いに同一であっても相異なっていてもよい。
r’は、水素原子;メチル基、エチル基等のC1〜C6アルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等を表す。
【0051】
及びRは各々独立して、水素原子、シアノ基、Gによって置換されていてもよい(C1〜C12アルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C3〜C12シクロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基)、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、−SN(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−OR、−N(R)(R)、−N=C(R)(R)、−C(=O)R、−C(=O)N(R)(R)、−C(=S)R、−C(=S)N(R)(R)、−C(=NR)R、−C(=NR)N(R)(R10)、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0052】
、R及びR10は各々独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0053】
前記R及びRの、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基のC1〜C12アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0054】
Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基のC3〜C12シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる、
【0055】
Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基のC2〜C12アルケニル基としては、ビニル基、n−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0056】
Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基のC3〜C12シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
【0057】
Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基のC2〜C12アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基、2−ペンチニル基等が挙げられる。
【0058】
Gは、ハロゲン原子、シアノ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アミノ基、−OR11、−N(R11)(R12)、−N=C(R11)(R12)、−C(=O)R11、−C(=O)N(R11)(R12)、−C(=S)R11、−C(=S)N(R11)(R12)、−C(=NR11)R12、−C(=NR11)N(R12)(R13)、−Si(R14)(R15)(R16)、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0059】
ここで、R11、R12及びR13は各々独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0060】
また、R14、R15及びR16はそれぞれ独立して、前記R〜Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0061】
前記Gの置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、前記Yの置換基を有していてもよい複素環基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0062】
前記R及びRの、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、及び置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、前記Yで列記したものの一部と同様のものが挙げられる。
【0063】
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R)(R)で表される基(R、Rは前記と同じ意味を表す。)を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
【0064】
前記=C(R)(R)で表される基の具体例としては、=CH、=CH(CH)、=C(CH、=CH(C)、=C(C)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、RとRとが一緒になって結合して形成する3〜8員環の具体例としては、RとRとが−緒になってC2〜C7アルキレン鎖を形成して、結合する窒素原子と共に構成される3〜8員環が挙げられる。
【0066】
このとき、このアルキレン鎖は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を1個含んでもよく、且つハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ(C1〜C6)アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ホルミル基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6ハロアルキルカルボニル基、又はC1〜C6アルコキシカルボニル基によって置換されていてもよい。
【0067】
これらの中でも、R、Rとしては、Rが水素原子で、Rが置換基を有していてもよい芳香族複素環基、又はGによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基であるのが好ましい。
【0068】
本発明の含窒素へテロ環化合物としては、下記式(I−1)
【0069】
【化9】

【0070】
(式中、A〜A、Y、n、R、R、D、W及びZは前記と同じ意味を表す。)で表される含窒素へテロ環化合物であるのが好ましく、式(I―a)
【0071】
【化10】

【0072】
(式中、D、W、Z、R及びRは前記と同じ意味を表し、YはC1〜C6ハロアルキル基を表す。)で表される含窒素へテロ環化合物であることがより好ましく、式(I−b)
【0073】
【化11】

【0074】
(式中、R、R、Y、r、m及びDは、前記と同じ意味を表す。)で表される含窒素へテロ環化合物であるのがさらに好ましい。
本発明の含窒素へテロ環化合物としては、式(I−c)
【0075】
【化12】

【0076】
で表される化合物であるのが特に好ましい。
前記式(I)で表される化合物は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
(製造法1)
【0077】
【化13】

【0078】
(式中、A〜A、R、R、D、X、Y、Z、n、及びWは前記と同じ意味を表す。Lはハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、フェノキシ基、C1〜C6アルキルカルボニルオキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニルオキシ基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を表す。)
【0079】
すなわち、式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」という。)と式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」という。)とを、縮合剤及び所望により塩基の存在下に反応させることによって、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」という。)を得ることができる。
【0080】
この反応に用いる縮合剤としては、2−クロロ−N−メチルピリジニウムアイオダイド(向山試薬)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、カルボニルジイミダゾール、ジメチルプロピニルスルホニウムブロマイド、プロパルギルトリフェニルホスホニウムブロマイド、シアノリン酸ジエチル等が挙げられる。
【0081】
用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の有機金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;等が挙げられる。
【0082】
用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの溶媒を二種以上混合した混合溶媒;等が挙げられる。
反応温度は、通常、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。
【0083】
また、化合物(4)から、式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」という。)を得、このものと化合物(3)とを、所望により塩基の存在下に反応させることによって、化合物(I)を得ることができる。
【0084】
化合物(4)から化合物(2)を得る方法としては、例えば、化合物(4)に、塩化チオニル、オキオザリルクロライド等のクロロ化剤を反応させる方法;化合物(4)と、塩化ピバロイル、クロロギ酸エチル等の有機ハロゲン化合物とを、所望により塩基の存在下に反応させる方法;化合物(4)にカルボニルイミダゾールを反応させる方法;等が挙げられる。
【0085】
化合物(2)から化合物(I)を得る反応において用いることができる、塩基、溶媒としては、化合物(4)から化合物(I)を得る反応において用いることができる、塩基、溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
反応温度は、通常、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。
【0086】
化合物(4)は、例えば、次に示す製造法2〜5によって製造することができる。
(製造法2)
【0087】
【化14】

【0088】
(式中、A〜A、D、Y、Z、n、及びWは前記と同じ意味を表し、R’はC1〜C6アルキル基を表す。)
すなわち、式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」という。)と式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」という。)とを、文献記載の公知の方法、例えば、J.Org.Chem.,36,3316(1971)等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(7)で表される化合物(以下、「化合物(7)」という。)を得る。次いで、このものを、文献記載の一般的なエステルの加水分解反応、例えば、J.Am.Chem.Soc.,51,1865(1929);Angew.Chem.,63,329(1950)等に記載の反応条件に準じて加水分解することで、化合物(4)のうち、Xがメチレン基である化合物(4a)を得ることができる。このとき、同時にピロリン環の異性化反応も進行する。
(製造法3)
【0089】
【化15】

【0090】
(式中、A〜A、D、Y、L、Z、n、R’及びWは前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(9)で表される化合物(以下、「化合物(9)」という。)と化合物(6)とを、文献記載の公知の方法、例えば、J.Org.Chem.,36,3316(1971)等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(10)で表される化合物を得る。次いで、このものを、文献記載の公知の方法、例えば、J.Org.Chem.,39,3318(1974)等に記載のパラジウム等の遷移金属触媒を用いるCO挿入反応等に準じた反応条件で反応させることにより、化合物(7)を得ることができる。
【0091】
化合物(9)は、公知の方法で得ることができる。具体的には、次のようにして得ることができる。
【0092】
【化16】

【0093】
(式中、A〜A、Y、n及びLは前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(a)で表される化合物を、有機溶媒中、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤を作用させ、式(b)で表される化合物を得、次に、ギ酸エステルを反応させて式(c)で表される化合物を得る。次いで、この化合物に、トリエチルアミン等の塩基存在下、トリホスゲンを作用させることにより、化合物(9)を得ることができる。
(製造法4)
【0094】
【化17】

【0095】
(式中、A〜A、Q、D、Y、Z、n、R’及びWは前記と同じ意味を表し、Lはハロゲン原子を表す。)
【0096】
すなわち、式(11)で表される化合物と化合物(6)とを、文献記載の公知の方法、例えば、Chem.Ber.,117,1194(1984)等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(12)で表される化合物を得る。次いで、このものを、文献記載の一般的なエステルの加水分解反応、例えば、J.Am.Chem.Soc.,51,1865(1929);Angew.Chem.,63,329(1950)等に記載の反応条件に準じて加水分解することで、化合物(4)のうち、Xが、N(Q)で示される基である化合物(4b)を得ることができる。
(製造法5)
【0097】
【化18】

【0098】
(式中、A〜A、D、Y、Z、n、R’及びWは前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(14)で表される化合物と化合物(6)とを、文献記載の公知の方法、例えば、J.Med.Chem.,27,1516(1984)等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(15)で表される化合物を得る。次いで、このものを、文献記載の一般的なエステルの加水分解反応、例えば、J.Am.Chem.Soc.,51,1865(1929);Angew.Chem.,63,329(1950)等に記載の反応条件に準じて加水分解することで、化合物(4)のうち、XがNHである化合物(4c)を得ることができる。
【0099】
化合物(I)の塩としては、農園芸学的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、化合物(I)の、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;酢酸、プロピオン酸、乳酸等の有機酸の塩;が挙げられる。
【0100】
化合物(I)の塩は、従来公知の製造方法、例えば、化合物(I)に無機酸又は有機酸を作用させる方法により製造することができる。
【0101】
いずれの反応においても、反応終了後は、通常の後処理操作の後、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶又はカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段により精製することにより、目的物を単離することができる。
【0102】
目的物の構造は、元素分析、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の公知の分析手段により同定、確認することができる。
【0103】
2)有害生物防除剤
本発明の有害生物防除剤は、化合物(I)及びその塩(以下、「本発明化合物」という)の1種又は2種以上を有効成分として含有する。
本発明化合物は、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有するため、農業上の有害生物、衛生害虫、貯殻害虫、衣類害虫、家屋害虫等の防除に使用することができる。その代表例としては、下記のものが挙げられる。
【0104】
鱗翅目害虫、例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワバ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、コドリンガ、ワタアカミムシ等、
【0105】
半翅目害虫、例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ等、
甲虫目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等、
双翅目害虫、例えば、イエバエ、オオクロバエ、センチニクバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモグリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等、
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等、
膜翅目害虫、例えば、イエヒメアリ、キイロスズメバチ、カブラハバチ等、
直翅目害虫、例えば、トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等
【0106】
シロアリ目害虫、例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等、
隠翅目害虫、例えば、ヒトノミ、ネコノミ等、シラミ目害虫、例えば、ヒトジラミ等、
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビンネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマダニ、フタトゲチマダニ等、
植物寄生性線虫類、例えば、サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等。
【0107】
適用が好ましい有害生物としては、鱗翅目害虫、半翅目害虫、ダニ類、アザミウマ目害虫、甲虫目害虫であり、特に好ましくは、ダニ類である。
【0108】
また、近年コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシ等多くの害虫において有機リン剤、カーバメート剤や殺ダニ剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫やダニにも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は感受性系統のみならず、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤抵抗性系統の害虫や、殺ダニ剤抵抗性系統のダニにも優れた殺虫・殺ダニ効果を有する薬剤である。
【0109】
また本発明化合物は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
【0110】
本発明化合物の中には、殺菌活性、除草活性、植調作用を示すものもある。また本発明化合物の中間体化合物の中には殺虫・殺ダニ活性を示すものもある。
【0111】
本発明化合物を実際に施用する際には他成分を加えずそのまま使用できるが、通常は、さらに固体担体、液体担体、ガス状担体と混合し、又は多孔セラミック板や不織布等の基剤に含浸し、必要により界面活性剤、その他の補助剤を添加して、農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤、フロアブル、エアゾール、煙霧剤、加熱蒸散剤、燻煙剤、毒餌、マイクロカプセル等の形態に製剤化して使用する。
【0112】
添加剤及び担体としては、固型剤を目的とする場合は、大豆粒、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレン及びソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。噴射剤に用いられるガス状担体としては、ブタンガス、LG、ジメチルエーテル及び炭酸ガスを使用することができる。
【0113】
毒餌の基材としては、例えば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチック酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末等の子供やペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料等の害虫誘引性香料を使用することができる。
【0114】
これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要ならば界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0115】
本発明化合物を農業用の有害生物防除剤として使用する場合、その製剤中の有効成分量は0.01〜90重量%であり、とくに好ましくは0.05〜85重量%であり、水和剤、乳剤、懸濁剤、フロアブル剤、水溶剤、顆粒水和剤は水で所定の濃度に希釈して、溶解液、懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物或いは土壌に散布する方法で使用される。
【0116】
また、本発明化合物を防疫用の有害生物防除剤として使用する場合には、乳剤、水和剤、フロアブル剤等は水で所定の濃度に希釈して施用し、油剤、エアゾール、煙霧剤、毒餌、防ダニシート等についてはそのまま施用する。
【0117】
本発明化合物をウシ、ブタ等の家畜類、イヌ、ネコ等のペット類の動物外部寄生虫防除用の有害生物防除剤として使用する場合は、通常本発明化合物の製剤を、獣医学的に公知の方法で使用する。その方法としては、例えば全身的抑制(systemic control)を目的とする場合には、錠剤、カプセル、浸漬液、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)等により投与する方法が挙げられ、非全身的抑制(non−systemic control)を目的とする場合は、油性又は水性液剤を噴霧、注ぎかけ(pour−on)、滴下(spot−on)等により投与する方法及び樹脂製剤を首輪、耳札等の適当な形状に成形した物を装着する方法が挙げられる。この場合、通常宿主動物1kgに対して、本発明化合物として0.01−1000mgの割合で使用される。
【0118】
本発明化合物は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、他の有害生物防除剤、殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、除草剤、植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等の1種又は2種以上と混用又は併用することもできる。
【0119】
本発明化合物と混用又は併用することのできる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤等の有効成分の代表例を以下に示す。
【0120】
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニン、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、フルオロイミド、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、シフルフェナミド、イミノクタジン、クレソキシムメチル、トリアジン、フェンヘキサミド、シアゾファミド、シプロジニル、プロチオコナゾール、フェンブコナゾール、トリフロキシストロビン、アゾキシストロビン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、キノメチオナート、カルプロパミド等。
【0121】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等。
【0122】
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、トラロメトリン、シラフルオフェン、アクリナトリン等。
【0123】
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、フィプロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、アセタミプリド、クロルフェナピル、ニテンピラム、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、インドキサカルブ、ピメトロジン、スピノサド、エマメクチン、ピリダリル、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、トルフェンピラド、機械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等。
【0124】
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート、カズサホス等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム、アセキノシル、ビフェナゼート、エトキサゾール、スピロディクロフェン、フェナザキン等。
【0125】
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0126】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施例によって本発明は何ら制限されない。
【0127】
(実施例1)
4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル]−2−メチル−N−ピリジン−2−イルメチルベンズアミド(化合物番号1−1)の製造
工程1:4−ブロモ−3−メチルベンジルアミンの製造
【0128】
【化19】

【0129】
水素化リチウムアルミニウム2.4gのジエチルエーテル100ml懸濁液に、氷冷下にて4−ブロモ−3−メチルベンゾニトリル10gを滴下し、滴下終了後、反応液をさらに3時間加熱還流した。反応液を氷冷し、水5mlを注加して30分間撹拌した後、有機層を分取した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して、目的化合物6.8gを得た。収率67%
【0130】
H−NMR(CDCl,δppm)2.39(s,3H),3.80(s,2H),7.00(d,1H),7.19(s,1H),7.47(d,1H)
【0131】
工程2:N−(4−ブロモ−3−メチルベンジル)ホルムアミドの製造
【0132】
【化20】

【0133】
4−ブロモ−3−メチルベンジルアミン6.8gをギ酸メチル30mlに溶解し、この溶液を一晩加熱還流した。反応混合物から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2(体積比))で精製して、目的化合物3.9gを得た。収率50%
【0134】
H−NMR(CDCl,δppm)2.39(s,3H),4.42(d,2H)5.76(m,1H),6.98(d,1H),7.16(s,1H),7.51(d,1H),8.28(s,1H)
【0135】
工程3:1−ブロモ−4−イソシアノメチル−2−メチルベンゼンの製造
【0136】
【化21】

【0137】
N−(4−ブロモ−3−メチルベンジル)ホルムアミド3.9gのジクロロメタン40ml溶液中に、トリエチルアミン4.1gを加えた。そこへ、氷冷下、トリホスゲン1.9gのジクロロメタン17ml溶液を30分かけて滴下した。反応液を室温に戻し、一晩撹拌した。反応混合物を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して、目的化合物3.6gを得た。収率100%
【0138】
H−NMR(CDCl,δppm)2.42(s,3H),4.57(s,2H),7.03(d,1H),7.16(s,1H),7.56(d,1H)
【0139】
工程4:2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロールの製造
【0140】
【化22】

【0141】
1−ブロモ−4−イソシアノメチル−2−メチルベンゼン3.6g、及び3,5−ジクロロ−1−(1−トリフルオロメチルエテニル)ベンゼン5gをトルエン50mlに溶解し、この溶液に酸化銅(I)0.12gを加えて、一晩加熱還流した。反応混合物から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9(体積比))で精製して、目的化合物4gを得た。収率53%
【0142】
H−NMR(CDCl,δppm)2.04−2.44(m,1H),2.37and2.40(s,3H),2.79and3.21(dd,1H),5.01and5.36(td,1H),6.85−7.53(m,6H),7.98−8.01(m,1H)
【0143】
工程5:4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−イル]−2−メチル安息香酸エチルの製造
【0144】
【化23】

【0145】
金属オートクレーブ中に、2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール4gのエタノール30ml溶液、酢酸ナトリウム0.89g、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン0.5g、及び酢酸パラジウム(II)0.1gを入れ、1.0MPaの一酸化炭素雰囲気下、全容を110℃にて5時間撹拌した。
【0146】
反応混合物から溶媒を減圧留去し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9(体積比))で精製して、目的化合物1.7gを得た。収率43%
【0147】
H−NMR(CDCl,δppm)1.35−1.42(m,3H),2.05−2.39(m,1H)2.57and2.61(s,3H),2.82and3.21(dd,1H),4.30−4.40(m,2H),5.09 and 5.44(td,1H),7.05−7.43(m,5H),7.89−8.04(m,2H)
【0148】
工程6:4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル]−2−メチル安息香酸の製造
【0149】
【化24】

【0150】
4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−イル]−2−メチル安息香酸エチル1.7gの、エタノール20ml及び水5mlの懸濁液に、水酸化ナトリウム0.31gを加え、1時間加熱還流した。溶媒を減圧留去した後、反応液を希塩酸に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して、目的化合物1.6gを得た。収率100%
【0151】
H−NMR(CDCl,δppm)2.70(s,3H),3.53(d,1H),3.86(d,1H),4.50(d,1H),4.95(d,1H),7.18−7.40(m,3H)7.76−7.81(m,2H),8.11(d,1H)
【0152】
工程7:4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル]−2−メチル−N−ピリジン−2−イルメチル−ベンズアミド(化合物番号1−1)の製造
【0153】
【化25】

【0154】
4−[4−(3,5−ジクロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロール−2−イル]−2−メチル安息香酸0.69gのジクロロメタン10ml懸濁液に、2−ピコリルアミン0.36g、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.42g、及び1−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.65gを加え、室温にて一晩撹拌した。
【0155】
反応液を氷水に注加し、クロロホルムで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1(体積比))で精製して、目的化合物0.5gを得た。収率58%
【0156】
H−NMR(CDCl,δppm)2.53(s,3H),3.46(d,1H),3.80(d,1H),4.45(d,1H),4.80(d,2H),4.90(d,1H),7.27−7.83(m,9H),8.55(d,1H)
【0157】
(実施例2)
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−N−ピリジン−2−イルメチル−ベンズアミド(化合物番号4−2)の製造
工程1:2−メチル−4−(メチル−ヒドラゾノメチル)安息香酸メチルの製造
【0158】
【化26】

【0159】
4−ホルミル−2−メチル安息香酸メチル0.6gのエタノール10ml溶液に、メチルヒドラジン0.19を加え、2時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、目的化合物0.7gを得た。収率100%
【0160】
H−NMR(CDCl,δppm)2.61(s,3H),3.01(s,3H),3.88(s,3H),7.39−7.45(s,2H),7.91(d,1H)
【0161】
工程2:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチルの製造
【0162】
【化27】

【0163】
2−メチル−4−(メチル−ヒドラゾノメチル)安息香酸メチル0.7gの四塩化炭素10ml溶液に、臭素0.54gを氷冷下で加えた。反応液を室温に戻し、一晩撹拌した。反応液から析出結晶を濾取し、得られた結晶を乾燥して、粗製のα−ブロモ−4−メトキシカルボニル−3−メチルベンズアルデヒド−メチルヒドラゾン臭化水素酸塩を得た。
次に、このもののベンゼン10ml懸濁液中に、3,5−ジクロロ−1−(1−トリフルオロメチルエテニル)ベンゼン0.8g及びトリエチルアミン1gを加え、3時間加熱還流した。
【0164】
反応液を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5(体積比))で精製して、目的化合物0.98gを得た。収率65%
【0165】
H−NMR(CDCl,δppm)2.62(s,3H),3.11(s,3H),3.37(d,1H),3.90(s,3H)3.91(d,1H),7.38−7.45(m,5H),7.93(d,1H)
【0166】
工程3:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸の製造
【0167】
【化28】

【0168】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチル0.98gの、エタノール10ml及び水4mlからなる混合溶媒の懸濁液に、水酸化ナトリウム0.18gを加え、1時間加熱還流した。反応液から溶媒を減圧留去し、得られた残留物を希塩酸に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して、目的化合物0.94gを得た。収率100%
【0169】
H−NMR(CDCl,δppm)2.69(s,3H),3.13(s,3H),3.42(d,1H),3.92(s,3H),7.39−7.48(m,5H),7.97(d,1H)
【0170】
工程4:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−N−ピリジン−2−イルメチルベンズアミド(化合物番号4−2)の製造
【0171】
【化29】

【0172】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸0.5gの塩化メチレン10ml懸濁液中に、氷冷下にて、DMF数滴、及び塩化オキザリル0.21gを加え、室温に戻した後、同温度で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して、4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸クロリドを得、特に精製することなく次の反応に供した。
【0173】
2−ピコリルアミン0.14g及びピリジン0.19gの、塩化メチレン10ml溶液に、氷冷下にて、上記で得た4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸クロリドを加え、室温に戻した後、同温度で一晩撹拌した。反応液を水に注加し、クロロホルムで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1(体積比))で精製して、目的化合物0.41gを得た。収率71%
【0174】
H−NMR(CDCl,δppm)2.50(s,3H),3.10(s,3H),3.38(d,1H),3.91(d,1H),4.78(d,2H)7.28−7.53(m,8H),7.76(t,1H),8.55(d,1H)
【0175】
(実施例3)
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−N−ピリジン−2−イルメチル−ベンズアミド(化合物番号4−1)の製造
工程1:4−ヒドラゾノメチル−2−メチル安息香酸メチルの製造
【0176】
【化30】

【0177】
4−ホルミル−2−メチル安息香酸メチル3.1gのエタノール30ml溶液中に、ヒドラジン一水和物1.04gを加え、2時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、目的化合物3.1gを得た。収率100%
【0178】
H−NMR(CDCl,δppm)2.61(s,3H),3.88(s,3H),7.40(d,1H),7.70(s,1H),7.90(d,1H)
【0179】
工程2:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチルの製造
【0180】
【化31】

【0181】
4−ヒドラゾノメチル−2−メチル安息香酸メチル3.1gのジエチルエーテル50ml溶液中に、氷冷下、酸化水銀(黄色)4.8g及び0.11N水酸化カリウム(エタノール溶液)10mlを加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を濾過し、粗製の4−ジアゾメチル−2−メチル安息香酸メチル溶液を得た。この反応液に3,5−ジクロロ−1−(1−トリフルオロメチルエテニル)ベンゼン3.8gを加え、室温で一晩撹拌した。
【0182】
反応液を水に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4(体積比))で精製して、目的化合物1.36gを得た。収率20%
【0183】
H−NMR(CDCl,δppm)2.62(s,3H),3.42(d,1H),3.89(d,1H),3.90(s,3H),7.39−7.99(m,6H)
【0184】
工程3:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸の製造
【0185】
【化32】

【0186】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸メチル1.36gの、エタノール10ml及び水5mlからなる混合溶媒の懸濁液に、水酸化ナトリウム0.25gを加え、1時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、反応液を希塩酸に注加し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して、目的化合物1.25gを得た。収率95%
【0187】
H−NMR(CDCl,δppm)2.65(s,3H),3.42(d,1H),3.92(s,3H),7.39−7.97(m,6H)
【0188】
工程4:4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−N−(2−ピリジルメチル)ベンズアミド(化合物番号4−1)の製造
【0189】
【化33】

【0190】
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル安息香酸0.28gのジクロロメタン10mlの懸濁液中に、2−ピコリルアミン0.15g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.16g及び1−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.26gを加え、室温にて一晩撹拌した。
【0191】
反応液を氷水に注加し、クロロホルムで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=4/1(体積比))で精製して、目的化合物0.1gを得た。収率29%
【0192】
H−NMR(CDCl,δppm)2.49(s,3H)、3.41(d,1H)、3.88(d,1H)、4.82(d,2H)、7.37−7.57(m,8H)、7.89(t,1H)、8.57(d、1H)
【0193】
実施例1〜3と同様にして製造された本発明化合物の構造式及び物理恒数を、実施例1〜3で得られた化合物を含め、第1表〜第4表に示す。またH−NMRデータを第5表に示す。なお、表中、*は結合位置を表し、[ ]は融点(℃)を示す。
【0194】
【表1】

【0195】
【表2】

【0196】
【表3】

【0197】
【表4】

【0198】
【表5】

【0199】
【表6】

【0200】
【表7】

【0201】
【表8】

【0202】
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
【0203】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0204】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解し、有効成分10%の乳剤を得る。
【0205】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分10%の粉剤を得る。
【0206】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0207】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0208】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
【0209】
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0210】
以上のようにして得られた本発明の有害生物防除剤の試験例を以下に示す。
(試験例1)ワタアブラムシに対する効力確認試験
3寸鉢に播種した発芽10日が経過したキュウリにワタアブラムシ成虫を接種した。1日後に成虫を除去し、産下された若虫が寄生するキュウリに、前記製剤実施例2に示された乳剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0211】
化合物番号:1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−11、1−12、1−13、1−14、1−16、1−19、1−20、1−21、1−26、1−27、1−30、1−32、1−33
(化合物番号は、第1表〜第4表の化合物番号に対応する。以下にて同じ。)
対照に用いたピリミカーブの殺虫率は9%であった。
【0212】
(試験例2)アワヨトウに対する効力確認試験
前記の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にトウモロコシ葉を30秒間浸漬し風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫5頭を接種した。ガラス蓋をして、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0213】
化合物番号:1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−9、1−10、1−11、1−12、1−13、1−14、1−15、1−16、1−17、1−18、1−19、1−20、1−21、1−22、1−23、1−24、1−25、1−26、1−27、1−32、1−33、3−1、4−1、4−2、4−3、4−4、4−6
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。
【0214】
(試験例3)ナミハダニに対する効力確認試験
3寸鉢に播種したインゲンの発芽後7〜10日を経過した第1本葉上に、有機リン剤抵抗性のナミハダニ雌成虫を17頭接種したのち、前記薬剤の実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、3日後に殺成虫率を調査した。試験は2反復である。その結果以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0215】
化合物番号:1−1、1−2、1−3、1−4、1−7、1−8、1−11、1−12、1−13、1−16、1−17、1−20、1−21、1−22、1−26、1−27、1−32、1−33
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、点線は単結合または二重結合を表す。ただし、点線で表される二つの結合のうち、一方は単結合であり、他方は二重結合を表す。
Xは、CH、CH、またはN(Q)で示される基を表す。
Qは、水素原子、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C8シクロアルキル基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Wは酸素原子または硫黄原子を表す。
、A、AおよびAは各々独立して、炭素原子または窒素原子を表す。
Yは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、−N=C(R)(OR)、−CO、−C(=O)N(R)(R)、−C(=S)N(R)(R)、−Si(R)(R)(R)、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
、RおよびRは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、5員環または6員環を形成してもよい。
およびRは各々独立して、水素原子、シアノ基、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、−SN(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−OR、−N(R)(R)、−N=C(R)(R)、−C(=O)R、−C(=O)N(R)(R)、−C(=S)R、−C(=S)N(R)(R)、−C(=NR)R、−C(=NR)N(R)(R10)、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R)(R)で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
、RおよびR10は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Gは、ハロゲン原子、シアノ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルスルフェニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アミノ基、−OR11、−N(R11)(R12)、−N=C(R11)(R12)、−C(=O)R11、−C(=O)N(R11)(R12)、−C(=S)R11、−C(=S)N(R11)(R12)、−C(=NR11)R12、−C(=NR11)N(R12)(R13)、−Si(R14)(R15)(R16)、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
11〜R13は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニルアミノ基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。
14、R15およびR16は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
Dは、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Zは、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい複素環基を表す。〕
で表される含窒素へテロ環化合物またはその塩。
【請求項2】
式(I−a)
【化2】

(式中、D、Z、R、RおよびWは前記と同じ意味を表し、はC1〜C6ハロアルキル基を表す。
で表される含窒素へテロ環化合物またはその塩。
【請求項3】
請求項1または2に記載の含窒素へテロ環化合物、またはその塩の少なくとも一種を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項4】
殺虫剤である請求項3に記載の有害生物防除剤。
【請求項5】
殺ダニ剤である請求項3に記載の有害生物防除剤。

【公開番号】特開2008−133273(P2008−133273A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283820(P2007−283820)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】