説明

吸収促進剤

【課題】機能成分の吸収を効果的に促進することができる吸収促進剤のスクリーニング方法、かかる方法により得られる吸収促進剤、及びこれらを添加してなる飲食品・医薬品を提供すること。
【解決手段】ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養して、形態的・機能的に小腸様の単層の細胞層を形成し、粘膜側にpH6.0の緩衝液、基底膜側にpH7.4の緩衝液を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH勾配を形成させて平衡化した腸管吸収モデルを用いて、被検物質の存在下に粘膜側から基底膜側に透過する蛍光マーカーの量を測定する。吸収促進活性が見い出されたほうれん草、カランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、黒胡椒、カルダモン、黒茶、へちまの抽出物を添加して、吸収が促進された飲食品や医薬品を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収促進物質のスクリーニング方法、より詳しくは、吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーとして、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、ソディウムフルオレセイン(Sodium Fluorescein)及びローダミン(Rhodamine)等の蛍光マーカーを用いる吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法や、かかるスクリーニングにより得られるほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、黒胡椒、カルダモン、黒茶、へちま又はこれらの処理物から選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する吸収促進剤、これら吸収促進剤をミネラル類、モノカルボン酸類、フラボノイド類、ビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類等の好ましい機能成分を含有する飲食品や医薬品に添加・配合してなる経口摂取した機能成分の吸収が促進された飲食品や医薬品等に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン類やフラボノイド類などの抗酸化物質は、様々な疾病発症に関与する活性酸素を消去する作用などを介して、癌細胞の増殖抑制や血小板の凝集抑制、肥満細胞のヒスタミン遊離抑制など多くの生理効果を発揮することが報告されている。このように、日常摂取している食品成分が及ぼす生理効果についての研究が最近盛んに行われている一方で、摂取した食品成分が消化吸収されて、どのようにその生理機能を生体内で発揮するかについては不明な点が多かった。例えばフラボノイド類については、比較的速やかに吸収されるカテキンでもその吸収量は摂取量の約5〜8%程度、更に血中移行するものは2%程度で、ケルセチンやイソフラボンなどの吸収量も摂取量の5〜20%、テアフラビンなどの吸収量は遥かに低いと報告(宮澤陽夫,化学と生物,38,104,2000)されており、これらの機能成分の吸収効率や体内利用効率の改善が強く望まれていた。
【0003】
また、摂取の必要性が強く認識されているカルシウムなどのミネラルについても、吸収効率の改善を目的としてカゼインホスホペプチド(特開平5−262655号公報)やゼラチン及びコラーゲン分解物(特開平11−318390号公報)、フラクトオリゴ糖(日本栄養・食糧学会、52、387、1999)やβ−グルコオリゴ糖(特開平11−299453号公報)など様々なカルシウム吸収促進剤が開発並びに提案されている。例えば、カゼインホスホペプチドは、カルシウムをキレート結合したペプチド自体が体内に吸収されることにより、カルシウムの吸収促進効果を発揮するため、カルシウム以外のミネラルについては、吸収促進効果はあまり期待できず、また、フラクトオリゴ糖などの糖類や食物繊維は、腸内細菌の醗酵促進により腸管でのpHを低下させ、沈殿し易いカルシウムの溶解性が向上する結果、吸収が促進されるといわれていることから、これらによっては充分な効果が発揮され難いという問題があり、これらとは異なった機作で、より効果的なカルシウム吸収促進剤などを求めて、より一層の改善が図られている。
【0004】
緑黄色野菜や果物中に含まれて癌の予防や免疫賦活効果、老化防止などの効果が知られているカロチノイドについても、25〜75%は吸収されずに糞中に排泄されると言われており(谷村顕雄他,植物資源の生理活性物質ハンドブック,73,1998)、体内への吸収効率を上げてより効果を発揮するような改善が求められていた。
【0005】
医薬品分野でも、経口投与される薬剤の体内吸収効率を高めてその効能を改善することが強く求められており、主として消化吸収に関与する腸管に着目した研究が精力的に実施されてきた。その結果、EDTAやカプリン酸(Tomita M.etal ,J. Phar. Sci. 85, 608,1996)、ポリエチレングリコール(特開2000−247911号公報)など、腸管での吸収促進剤の利用が報告されつつあるが、吸収促進活性や安全性並びに経済性の点から更なる改善を目指した試みが、現在も模索されている。また、医薬品と同様に、最近食品成分中から腸管での吸収促進物質を検索する試みが始められている。
【0006】
食品として摂取したものが初めて体内に取込まれ、認識される過程は、主として腸管での消化・吸収過程であり、主要な栄養素を除けば、その吸収機構について、従来は明らかにされていない部分が多かったが、最近腸管での各種成分の吸収機構に関する研究・知見が蓄積されてきている。腸管(小腸)の内壁は絨毛におおわれており、絨毛の表面には上皮細胞の単層があり、この細胞層を介して栄養素などの輸送が行われるが、その経路はおもに、トランスポーターを介した細胞内輸送(グルコース、アミノ酸、ジペプチドなどの主要な栄養素のそれぞれに特異的なトランスポーターによる輸送)、細胞内受動拡散(脂溶性ビタミンなど疎水性物質が細胞内を移動する、特異的な結合蛋白質を介しての基底膜側への輸送)、細胞内小胞を介した細胞内輸送(細胞内の小胞に取り込まれた蛋白質などの親水性高分子のトランスサイトーシスとよばれるシステムでの輸送)、細胞間隙を介した受動拡散(水溶性の低分子の透過経路として重要と考えられる、上皮細胞間隙の受動拡散による輸送)の4つに分けられるとされている(清水誠,栄養と健康のライフサイエンス,3,74,1998)。
【0007】
上記トランスポーターを介した細胞内輸送の経路は、透過する物質に特異的なトランスポーターやアンティポータ−が存在し、アミノ酸や水溶性ビタミン類のトランスポーター群、モノカルボン酸トランスポーター、リン酸トランスポーター、ペプチドトランスポーター等、多くのトランスポーターの実体がその遺伝子とともに急速に解明されつつあり、各種栄養物あるいは薬物の吸収性の決定要因あるいは変動要因として、最近、関心が高まっている(湯浅博昭他, 医学のあゆみ, 197, 3, 2001、 遠藤仁, 蛋白質 核酸 酵素,46,583,2001, Tsuji A.et al. Pharm.Res.13,963,1996)。
【0008】
上記細胞間隙を介した受動拡散の経路は、透過する物質の特異性も低く、栄養生理学的にも注目されることが少なかったが、最近になって、カルシウムなどのミネラルや食品由来の生理活性オリゴペプチドなどに代表される水溶性低分子物質の透過経路としてきわめて重要であることが明らかになってきており、この経路における物質透過を制御しているのがタイトジャンクションであるとされている。かかるタイトジャンクションの主たる機能のひとつは、細胞間を強固に接着して細胞層にバリア機能を付与することであるが、反面、生体にとって有用な物質は透過させるという機能もあわせもっている。清水らは、タイトジャンクション調節活性をもつ成分の検索を行い、ししとうのジテルペン配糖体であるカプシアノシド、えのき茸のタンパク質などを報告(清水誠,蛋白質核酸 酵素,44,46,1999)しているが、これらは熱や酸に不安定なこと、タンパク質はプロテアーゼにより分解されること、吸収促進活性が不充分なことなどから、吸収を促進する素材としての利用には至っていない。
【0009】
また、上記細胞内受動拡散における低極性の脂溶性物質等の疎水性物質は、比較的容易に細胞膜を透過して細胞内に取込まれるものの、P−糖タンパク質が担っているといわれている生体の有する排出ポンプ機能により、異物として積極的に体外に排出される。例えば、脂溶性のビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類など比較的極性の低い疎水性食品成分をはじめ、糖尿病治療薬などに広く利用されているチアゾリジンジオン系化合物やアセブトロール,セリプロロールなどのβ−レセプター遮断薬などの脂溶性・難溶性の医薬品は、細胞膜を通して取込まれ易いものの、P−糖タンパク質によって積極的に体内に排出されてしまうので(Terao T et al,J. Pharm. Pharmacol.48, 1083, 1996)、結果的に体内への吸収効率が低くなってしまう。そこで、これらの疎水性物質の効能をより発揮させるため、体内への吸収効率を高めることが常に求められているが、P−糖タンパク質によって排出され易い疎水性物質の吸収を改善するような素材に関しては、今まで報告がなかった。
【0010】
ところで、ほうれん草、茗荷、にらは野菜として常用されているものであり、ほうれん草は野菜ジュースの原料としても用いられている。ガランガル(和名:リョウキョウ)は、ショウガ科の植物で、古くは薬用・お香として珍重され、現在では根茎が食用の調味料として、東南アジアなどではカレー料理などによく使用されている。家庭でも最近よく栽培されているハーブ類であるマリーゴールド(和名:キンセンカ)は、キク科(Compositae)の植物で、花は食用として用いられる。キク科ジャスミン(Jasminum officinaleL.)は、モクセイ科の植物で、その花で着香したジャスミン茶はよく知られている。
【0011】
メグスリの木は、別名チョウジャノキ、ミツバナとも呼ばれる日本特産のカエデ科の樹木で、主に樹皮、葉、小枝にエピ・ロードデンドリンという成分を含み、これが眼病に良いとされていると共に、肝臓にも効果があるといわれている。このメグスリノキの樹皮付きの乾燥した原材料が添加された水溶液を高圧釜にて100℃以上の温度でメグスリノキエキスを抽出した後、原材料を除去し、さらに121℃以上の温度で殺菌し、次いで不溶物を濾過により除去したメグスリの木エキスを用いた飲料、うどん、蕎麦類、飴類、御飯または粥が知られている(特開平8−242815号公報)。おかひじきは、ビタミン・ミネラルを豊富に含んだアカザ科の草本で、日本では古くから食用野菜として用いられている。よく家庭の食卓に並んでいるしらすは、一般的にはカタクチイワシ科の幼稚魚で、乾燥したしらす干しの状態で流通されていることが多い。ホップ(和名:カラハナソウ)はアサ科の雌雄異株の植物で、雌株だけが栽培されている。雌株のルプリンはビールの苦味・香りを与える欠くことのできない素材の1つになっている。ルプリンには利尿・健胃・鎮静などの作用もあると言われている。
【0012】
冬虫夏草は、もともと子嚢菌類麦角菌科フユムシナツクサタケが鱗シ目などの昆虫の幼虫、特にコウモリガに寄生してその体内に菌核・子実体を生じたものをいい、古来より漢方の秘薬として珍重されている。また、日本では昆虫やクモなどに寄生した茸の仲間を冬虫夏草と呼ぶのが一般的であり、セミタケ、ハナサナギタケ、カメムシタケなど、250種が生息するといわれている。近年の研究によれば、冬虫夏草には、中枢神経への作用(鎮静作用)、免疫系への作用、血管への作用(動脈硬化予防)、滋養強壮作用、血糖降下作用などがあると報告されており、特に制ガン剤としての利用が期待されている。黒胡椒は、コショウ科に属する熱帯性植物で、色づき始める直前の未熟果を摘み取り果皮ごと乾燥したものである。世界中の料理に広く用いられている最もポピュラーなスパイスである。カルダモン(和名:ジョウズク)はショウガ科の植物で、さく果(実)の中にある種子を取り出し、主にスパイスとして様々な料理に用いている。また、へちまは、ウリ科に属するつる性の1年草で、一部地方で若い果実が煮物として食されている。黒茶は、微生物が関与する発酵茶として知られており、具体的には「阿波晩茶」「碁石茶(高知県大豊町)」、さらに中国雲南地方やタイ北部山岳地帯などの「ミアン茶」「レペット茶」等として知られている(特開平11−276072号公報)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上記従来技術が抱える問題点を踏まえ、日常摂取している安全で比較的安価な食品素材を用いて、人体にとって好ましい機能成分の吸収を効果的に促進し、利用効率を改善する吸収促進剤のスクリーニング方法、特に吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法や、かかるスクリーニング方法により得られる吸収促進剤、及びこれら吸収促進剤を添加してなる経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品・医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、従来より摂取されてきた多くの食品から、安全性及び安定性を具備し、且つ腸管での吸収を顕著に促進する食品素材を選抜すればよいと考え、腸管での吸収により合致するよう改変した腸管吸収モデル、すなわち、ヒト腸管細胞培養株Caco−2を使用し、吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーをそれぞれ選択して個別に使用する腸管吸収モデルを用いた、吸収機作の異なる吸収促進物質を個別にスクリーニングするという新しいスクリーニング法を開発した。上記吸収機作の異なる蛍光マーカーとしては、前記細胞間隙を介して受動拡散的に粘膜側から基底膜側へと吸収される親水性物質に対する吸収促進物質のスクリーニングを想定してルシファーイエローを、前記トランスポーターなど細胞内を経て、エネルギー依存的に粘膜側から基底膜側へと吸収される親水性物質に対する吸収促進物質のスクリーニングを想定してソディウムフルオレセインを、前記細胞内受動拡散経路における疎水性物質に対する吸収促進物質のスクリーニングを想定してローダミンを、それぞれ使用した。なお、ローダミンは極性が低く、P−糖タンパク質によって排出されることが知られている(Hsings S. et al,Gastroenterology,102,879,1992,Sakai M. et al,J. Pharmaceutical Sci.,86,779,1997)。
【0015】
そして、かかる吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング法を利用して、各蛍光マーカー毎に300以上の食品素材の吸収促進活性を精力的に評価した結果、蛍光マーカーとしてルシファーイエロー(LY:励起430nm、検出535nm)を用いたスクリーニングによりほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草の各抽出物(LY吸収促進物質群)に、ソディウムフルオレセイン(FC:励起492nm、検出515nm)を用いたスクリーニングにより黒胡椒、カルダモン、黒茶の各抽出物に、ローダミン(RH:励起505nm,検出540nm)を用いたスクリーニングによりへちまの抽出物に、それぞれ吸収を顕著に促進する活性があることを見い出した。更に上記のLY吸収促進物質群がカルシウムや、抗アレルギー効果を示すオリゴペプチド(Gln−Gln−Gln−Pro−Pro)や、ケルシトリン、ナリンジン(フラボノイド類)の吸収を顕著に促進することを確認して、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、〔1〕ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養して、形態的及び機能的に小腸様の単層の細胞層を形成し、粘膜側にpH6.0の緩衝液、基底膜側にpH7.4の緩衝液を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させて平衡化した後、Caco−2単層細胞の経上皮電気抵抗値(TER)を測定し、TER≧200Ω・cm2の条件を満足することによって、充分なタイトジャンクションが形成されていると判断される細胞を選抜し、(1)選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製したソディウムフルオレセイン(FC)からなる蛍光マーカーと、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を蛍光光度計により測定する吸収促進物質のスクリーニング方法、又は(2)選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製したソディウムフルオレセイン(FC)を含む吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーを個別に用いて、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を、蛍光光度計を用いて各蛍光マーカーに適した波長で個別に測定する吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法により得られる、吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せを有効成分として含有することを特徴とする総合吸収促進剤や、〔2〕吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せが、蛍光マーカーとしてルシファーイエローを用いたスクリーニング方法により得られるLY吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いたスクリーニング方法により得られるFC吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてローダミンを用いたスクリーニング方法により得られるRH吸収促進物質群からそれぞれ選ばれる2種又は3種以上の吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せであることを特徴とする上記〔1〕記載の総合吸収促進剤や、〔3〕LY吸収促進物質群がほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物から選ばれ、FC吸収促進物質群が黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物から選ばれ、RH吸収促進物質群がへちま又はその処理物から選ばれることを特徴とする上記〔2〕記載の総合吸収促進剤や、〔4〕処理物が抽出物であることを特徴とする上記〔3〕記載の総合吸収促進剤や、〔5〕上記〔1〕記載の蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いるスクリーニング方法により得られることを特徴とする吸収促進剤に関する。
【0017】
また本発明は〔6〕ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物から選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤や、〔7〕黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物から選ばれる1種又は2種を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤や、〔8〕へちま又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤や、〔9〕処理物が抽出物であることを特徴とする上記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の吸収促進剤や、〔10〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の総合吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔11〕総合吸収促進剤が、抽出物中の固形分として0.2〜30重量%添加・配合されていることを特徴とする上記〔10〕記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品に関する。
【0018】
また本発明は、〔12〕上記〔6)又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔13〕上記〔5〕、〔7〕又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔14〕上記〔8〕又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔15〕吸収促進剤が、抽出物中の固形分として0.2〜30重量%添加・配合されていることを特徴とする上記〔12〕〜〔14〕のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔16〕好ましい機能成分が、ミネラル類、モノカルボン酸類、フラボノイド類、ビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類から選ばれる1種又は2種以上の成分であることを特徴とする上記〔10〕〜〔15〕のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品や、〔17〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の総合吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品に関する。
【0019】
更に、本発明は、〔18〕上記〔6)又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品や、〔19〕上記〔5〕、〔7〕又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品や、〔20〕上記〔8〕又は〔9〕記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品や、〔21〕好ましい機能成分が、ミネラル類、モノカルボン酸類、フラボノイド類、ビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類から選ばれる1種又は2種以上の成分であることを特徴とする上記〔17〕〜〔20〕のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品に関する。
【発明の効果】
【0020】
ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養すると形態的にも機能的にも小腸様の単層の細胞層を形成し、人体での結果を良好に反映する実験系として広く認知され、現在では生体の腸管吸収モデルとして多くの研究者に利用されている(化学と生物、37、326、1999)。本発明のスクリーニング方法は、上記Caco−2細胞を用いた腸管吸収モデルを改良したもので、2つの方法に大別することができる。1つは、人体にとって好ましい各種機能成分の代わりに吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーを個別に用いて、吸収機作の異なる吸収促進物質を個別にスクリーニングする方法であり、このスクリーニング結果に基づいて吸収機作の異なる吸収促進物質を組み合せた総合吸収促進剤を得ることができる。もう一つは、上記吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法を構成する一のスクリーニング方法である、蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いるモノカルボン酸トランスポーター吸収促進物質のスクリーニング方法である。
【0021】
上記本発明の吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法としては、ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養して、形態的及び機能的に小腸様の単層の細胞層を形成し、粘膜側にpH6.0の緩衝液、基底膜側にpH7.4の緩衝液を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させて平衡化した後、Caco−2単層細胞の経上皮電気抵抗値(TER)を測定し、充分なタイトジャンクションが形成されていると判断される細胞(TER≧200Ω・cm2)を選抜し、選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製した吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーを個別に用いて、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を、蛍光光度計を用いて各蛍光マーカーに適した波長で個別に測定するスクリーニング方法であれば特に制限されるものではなく、かかる生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させた腸管吸収モデルを用いると、その粘膜側に被検物質と各蛍光マーカーを個別に存在させ、粘膜側から基底膜側に透過する蛍光マーカーの量を測定し、その測定値を被検物質の非存在下の対照の場合の値と比較することにより、吸収機作の異なる吸収促進物質を個別にスクリーニングすることが可能となる。
【0022】
上記吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーとしては、ルシファーイエロー、ソディウムフルオレセイン及びローダミンから選ばれる2種又は3種の蛍光マーカーを好適に例示することができ、これらを用いた上記スクリーニング方法としては、被検食品素材群について、蛍光マーカーとしてルシファーイエローを用いる細胞間隙を介した受動拡散経路による親水性物質等の吸収を促進する物質のスクリーニング、同じく蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いるトランスポーターなど細胞内を経て、エネルギー依存的に粘膜側から基底膜側へ吸収される親水性物質の吸収を促進する物質のスクリーニング、同じく蛍光マーカーとしてローダミンを用いる細胞内受動拡散経路による疎水性物質等の吸収を促進する物質のスクリーニングのうち、少なくとも2つのスクリーニングを実施する方法を挙げることができる。蛍光マーカーとしては、これらルシファーイエロー、ソディウムフルオレセイン、ローダミンの他、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TRITC(テトラメチルローダミンイソチオシアネート)、Cy3(シアニン−3)等の蛍光物質や、GFP(グリーン蛍光タンパク質)等の蛍光発光タンパク質などを融合させた融合タンパク質を用いることもできる。また、蛍光マーカーに代えてHRP等の酵素マーカーや放射性物質でラベルしたマーカーも使用することができる。
【0023】
また、かかるスクリーニングにおける被検物質や蛍光マーカーの濃度は、細胞に悪影響を及ぼさない限り感度・精度を考慮して所望の濃度を選択すればよく、特に制限されないが、それぞれ0.5〜5mg/mlや20〜500μg/mlの濃度を一般的に示すことができるが、ルシファーイエローに関しては、300〜500μg/ml、好ましくは350〜450μg/ml、特に400μg/ml前後の濃度で用いると、ソディウムフルオレセインに関しては、30〜50μg/ml、好ましくは35〜45μg/ml、特に40μg/ml前後の濃度で用いると、ローダミン関しては、40〜200μg/ml、好ましくは50〜100μg/ml、特に100μg/ml前後の濃度で用いると、感度・精度よくスクリーニングすることができる。
【0024】
前記蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いる本発明の吸収促進物質をスクリーニングする方法としては、ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養して、形態的及び機能的に小腸様の単層の細胞層を形成し、粘膜側にpH6.0の緩衝液、基底膜側にpH7.4の緩衝液を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させて平衡化した後、Caco−2単層細胞の経上皮電気抵抗値(TER)を測定し、充分なタイトジャンクションが形成されていると判断される細胞(TER≧200Ω・cm2)を選抜し、選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製したソディウムフルオレセインからなる蛍光マーカーと、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を蛍光光度計により測定する吸収促進物質のスクリーニング方法であれば特に制限されるものではなく、かかる生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させた腸管吸収モデルを用いると、その粘膜側に被検物質とソディウムフルオレセインを存在させ、粘膜側から基底膜側に透過するソディウムフルオレセインの量を測定し、その測定値を被検物質の非存在下の対照の場合の値と比較することにより、吸収促進物質をスクリーニングすることが可能となる。
【0025】
上記本発明のスクリーニング方法において使用される緩衝液としては特に制限されるものではないが、pH6.0〜pH7.4の範囲で緩衝能を有し、浸透圧バランスを保って細胞代謝に必要なエネルギーを供給できるものが好ましく、かかる緩衝液としては、例えばHBSS緩衝液(Glucose0.1%,NaCl 0.8%,CaCl2 0.014%,NaHCO3 0.035%,KCl0.04%,KH2PO4 0.006%,MgSO4 0.0098%,Na2HPO4 0.0048%)を挙げることができ、またこのHBSS緩衝液におけるpHの調整はHEPES,MESなどの合成緩衝液とNaOHやHClを適宜用いることにより行うことができる。本発明のスクリーニング方法においては、このように粘膜側にHBSS緩衝液(pH6.0)、基底膜側にHBSS緩衝液(pH7.4)を添加することにより、生体の腸管吸収時と同様のH+勾配が形成され、H+勾配を駆動力として輸送される物質の吸収性をも併せて評価することができるので、優れた腸管吸収モデルとすることができる。
【0026】
また本発明のスクリーニング方法の対象となる吸収促進物質としては、実質上細胞毒性を有さない吸収促進物質が好ましく、かかる細胞毒性を有さない吸収促進物質のスクリーニングは、吸収促進物質としてスクリーニングされた物質の中から実質的に細胞毒性のない物質を選択するか、あるいは、吸収促進物質のスクリーニングにおける被検対象物質としてあらかじめ実質的に細胞毒性のない物質を選択するかによって行うことができる。また、細胞毒性の有無は、後述の実施例に記載されているように、LDH(乳酸脱水素酵素)−細胞毒性テストワコー(和光純薬社製)等を用いてLDH遊離率%を測定することや、Alamar Blue試験液(イワキガラス社製)等を用いて呼吸阻害率を測定することにより評価することができる。
【0027】
本発明の総合吸収促進剤としては、前記吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーを個別に用いるスクリーニング方法により得られる、吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せを有効成分として含有するものであればどのようなものでもよく、例えば、蛍光マーカーとしてルシファーイエローを用いたスクリーニング方法により得られるLY吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いたスクリーニング方法により得られるFC吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてローダミンを用いたスクリーニング方法により得られるRH吸収促進物質群からそれぞれ選ばれる2種又は3種以上の吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せ(例えばLY吸収促進物質群から2種、FC吸収促進物質群から1種、RH吸収促進物質群から1種の組合せ等)を有効成分として含有する総合吸収促進剤を挙げることができ、上記LY吸収促進物質群にはほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物が含まれ、FC吸収促進物質群には黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物が含まれ、RH吸収促進物質群にはへちま又はその処理物が含まれる。また、本発明の総合吸収促進剤としては、上記LY吸収促進物質群、FC吸収促進物質群、RH吸収促進物質群の他、前記グルコース、アミノ酸、ジペプチドなどの主要な栄養素のそれぞれに特異的なトランスポーターを介した細胞内輸送経路における吸収促進物質を配合することもできる。
【0028】
本発明の吸収促進剤としては、ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物から選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する吸収促進剤や、黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物等の前記蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いるスクリーニング方法により得られる吸収促進剤や、へちま又はその処理物を有効成分として含有する主として疎水性機能成分の吸収促進剤を挙げることができる。
【0029】
また、ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、黒胡椒、カルダモン、黒茶、へちま等の処理物における処理方法としては特に制限されるものではなく、抽出処理、磨砕処理、粉砕処理、圧搾処理等を例示することができ、これらの処理は併用してもよい。これら処理の中でも抽出処理が好ましく、抽出処理に用いられる抽出溶媒としては特に制限されないが、食品工業的に使用可能なものが好ましく、常温あるいは加温された水、エタノール等のアルコール類など比較的極性の高い溶媒を好適に例示することができる。また、これら抽出物等の処理物に、必要に応じて、脱臭、脱色等の処理、クロマトグラフィー等による分離・分画処理などの精製処理、濃縮化処理、ペースト化処理、乾燥化処理、希釈化処理等の後処理を施すこともできる。
【0030】
そしてまた、ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、黒胡椒、カルダモン、黒茶、へちま等の物質は、その全体を用いることができるが、通常飲食用として用いる部分を使用することが好ましい。例えば、ほうれん草では根以外の茎・葉部分を使用することができ、メグスリの木では主に樹皮を使用し、おかひじきでは根以外の茎・葉部分など、しらすでは通常食しているようにそのまま全部を、ホップでは根以外の毬花・葉部分などを使用することができ、ジャスミン、黒茶ではその茶葉を使用することができる。また、へちまでは根や葉以外の果実・花・茎部分を使用することができる。
【0031】
本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤は、人体にとって好ましい機能成分とほぼ同時に摂取されることが望ましく、好ましい機能成分を含有する飲食品や医薬品等の摂取時や摂取前に本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を服用することが好ましい。このように、本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を人体にとって好ましい機能成分を含む飲食品や医薬品等と別途摂取することもできるが、本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を、人体にとって好ましい機能成分を含有する飲食品や医薬品等に添加・配合し、経口摂取した機能成分の吸収が促進された飲食品や医薬品等としても使用することもでき、かかる態様も本発明に包含される。このような本発明の経口摂取した機能成分の吸収が促進された飲食品や医薬品としては、上記本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を、人体にとって好ましい機能成分を含有する飲食品や医薬品に添加することにより得られる飲食品や医薬品であれば特に制限されるものではないが、上記飲食品や医薬品に添加・配合する総合吸収促進剤や吸収促進剤としては、その吸収促進活性をより高めた形態、例えば濃縮物、ペースト化物、乾燥物、希釈化物等の各吸収促進剤に適した形態のものが好ましい。
【0032】
本発明における人体にとって好ましい機能成分としては、例えばカルシウム等のミネラル類、腸管のエネルギー源である酪酸等のモノカルボン酸、ケルシトリン等のフラボノイド類、水溶性ビタミン類、抗アレルギー、血圧降下、抗糖尿効果等の様々な生理効果を示すオリゴペプチド類等の親水性機能成分や、例えば脂溶性のビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類等の疎水性機能成分類などを挙げることができる。これら好ましい機能成分を元来含んでいる飲食品や、これら好ましい機能成分を添加・配合した飲食品や医薬品に、本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を添加・配合し、必要に応じて更に所望の加工処理を施した本発明の飲食品や医薬品は、例えば通常の一般食品や健康食品、患者用食品あるいは機能改善薬剤などとして利用することができる。また、かかる本発明の飲食品は、固体状(固形状、粉末状、顆粒状、その他)、ペースト状、液状、あるいは懸濁状のいずれの形態でもよく、適宜所望の形態にて用いることが可能である。また医薬品では錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの形態による投与が考えられる。
【0033】
人体にとって好ましい機能成分を含む飲食品や医薬品等への本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤の添加量は、各種飲食品や医薬品等における機能成分の含有量、総合吸収促進剤や吸収促進剤の種類等により一概に決定することはできないが、総合吸収促進剤や吸収促進剤を添加・配合する飲食品や医薬品などの味質や品質を損なわない範囲内が好ましく、一般的には、抽出物中の固形分として0.2〜30重量%に相当する量を添加・配合することが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、当該実施例の内容により本発明の技術的範囲は限定されない。
実施例1(腸管吸収モデルの作製)
DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて、トランズウェル(コースター社製)でCaco−2細胞(ATCC HTB−37、大日本製薬社製)を37℃で3週間程培養し、培養したCaco−2細胞のプレートから培地を除去し、HBSS緩衝液(pH6.0)で粘膜側ウェルを、HBSS緩衝液(pH7.4)で基底膜側ウェルをそれぞれ数回洗浄した。次いで、粘膜側にHBSS緩衝液(pH6.0)、基底膜側にHBSS緩衝液(pH7.4)を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH勾配を形成させて平衡化した後、Millicell-ERS(ミリポア社製)によりCaco−2単層細胞のTERを測定し、充分なタイトジャンクションが形成されていると判断される細胞(TER≧200Ω・cm)を選抜して、次のスクリーニングに用いた。
【0035】
実施例2(被検サンプルの調製)
ニンジン、ほうれん草、クレソン、セロリ、おかひじき、パセリ、レタス、アロエ、キャベツ、ブロッコリー、パプリカ、カボチャ、ピーマン、へちま、カリフラワー、春菊、シシトウ、にら、茗荷、エシャロット、ビーツなどの野菜類、緑茶、紅茶、黒茶、杜仲茶、ドクダミ茶、桑葉茶、ヨモギ茶、ギムネマ茶、ウコン茶、ジャスミン茶などの茶葉類、クルミ、プルーン、メグスリの木、いちじく、柿、ザクロ、金柑、柚子、クコの実などの果実・木の実類、シナモン、カルダモン、コリアンダー、ガランガル、黒胡椒、山椒、ナツメグ、クローブ、ローズマリー、ホップ、カモミール、リンデン、マリーゴールドなどのハーブ・香辛料類、えのき、しめじ、舞茸、エリンギ、ナメコ、冬虫夏草、松茸、チャーガ、アガリクス、などのキノコ類やしらす、ホタテなど、総計300以上の食品素材を選抜して候補素材とした。これら候補素材を85℃以上の熱水で20分間抽出した後、この抽出液を凍結乾燥した。この乾燥固形物をHBSS緩衝液pH6.0に溶解して、被検サンプルを調製した。
【0036】
実施例3(FC又はLYの吸収機作の検証 −粘膜側pHの影響−)
Caco−2細胞層の基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0、6.5、7.4の各々のpHで調製した蛍光マーカーを添加した。蛍光マーカーとしては、400μg/mlのルシファーイエロー(LY:励起430nm、検出535nm)、400μg/mlのソディウムフルオレセイン(FC:励起492nm、検出515nm)を用いて、37℃における粘膜側から基底膜側に経時的に透過する蛍光マーカの量を蛍光光度計(Molecular Devices社製「spectra MAX GEMINI」)により測定した。蛍光マーカーFCの経時的透過量を図1に、蛍光マーカーLYの経時的透過量を図2に示す。図1及び図2からわかるように、FCは粘膜側pHの低下に伴って大幅に透過量が増加するのに対して、LYは粘膜側pHに殆ど影響を受けずに同様の透過量を示した。即ち、粘膜側と基底膜側との間にH+勾配が生じるとFCとLYの透過吸収機作に大きな差異があることが示された。
【0037】
実施例4(FC又はLYの吸収機作の検証 −透過方向性−)
基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0で調製した蛍光マーカーを添加した実験区(順方向)と、粘膜側ウェルにHBSS緩衝液pH6.0を添加し、基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4で調製した蛍光マーカーを添加した実験区(逆方向)を同時に設け、蛍光マーカーの透過吸収に関する方向性を検証した。蛍光マーカーとしては、400μg/mlのルシファーイエロー(LY:励起430nm、検出535nm)及び400μg/mlのソディウムフルオレセイン(FC:励起492nm、検出515nm)を用いて、37℃における粘膜側から基底膜側(順方向)、及び基底膜側から粘膜側(逆方向)に経時的に透過する蛍光マーカの量を蛍光光度計(Molecular Devices社製「spectra MAX GEMINI」)により測定した。蛍光マーカーFCの経時的透過量を図3に、蛍光マーカーLYの経時的透過量を図4に示す。図3及び図4から、FCは粘膜側から基底膜側へと透過吸収される(順方向≫逆方向)のに対して、LYでは粘膜側から基底膜側への透過量と基底膜側から粘膜側への透過量がほぼ同様であった(順方向≒逆方向)。従来の知見では、LY及びFCは細胞間隙で透過吸収される(順方向≒逆方向)と認識されていた(Hashimoto K. et al,B.B.B.,58,1345,1994、Sakai M. et al,J. Pharm. Sci.,86,779,1997 他)が、FCは粘膜側と基底膜側間のH+勾配に依存して、積極的に粘膜側から基底膜側へと極性をもって透過されることが初めて明らかとなった。
【0038】
実施例5(FCの吸収機作の検証 −エネルギー依存性−)
基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0で調製したFC40μg/ml−5mM NaN3(呼吸阻害剤)を添加し、粘膜側から基底膜側へと経時的に透過されるFCの透過量を上述の実施例と同様にして測定した。また、37℃ではなく4℃における、粘膜側から基底膜側へと経時的に透過されるFCの透過量についても上述の実施例と同様にして測定した。結果を図5に示す。図5から、呼吸阻害剤の共存下及び温度の低下によりFC透過量が顕著に減少することから、FCはエネルギーに依存して透過されると推察された。
【0039】
実施例6(FCの吸収機作の検証 −従来知見との整合性−)
基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4で調製したFC40μg/mlを添加した実験区(順方向 7.4/7.4)と、粘膜側ウェルにHBSS緩衝液pH7.4を添加し、基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4で調製したFC40μg/mlを添加した実験区(逆方向 7.4/7.4)とを同時に設け、粘膜側と基底膜側間にH+勾配が存在しない場合のFC透過吸収に関する方向性を検証した。また比較のために、基底膜側ウェルにHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにHBSS緩衝液pH6.0で調製したFC40μg/mlを添加した実験区(順方向 6/7.4)も併せて設定し、H+勾配が存在する場合のFC透過吸収性とを比較した。結果を図6に示す。図6から明らかなように、H+勾配が存在しない場合は、FCについてもLYと同様に、粘膜側から基底膜側への透過量と基底膜側から粘膜側への透過量がほぼ同様であった(順方向≒逆方向)が、実際の腸管での吸収と同様に、粘膜側と基底膜側との間にH+勾配が存在すると、FCは初めて粘膜側から基底膜側へとエネルギー依存的に極性輸送される。これに対して、細胞へのダメージを考慮して粘膜側pH7.4/基底膜側pH7.4(H+勾配が存在しない)で検討していた多くの従前事例では前記極性輸送が認められなかったものと推定される。
【0040】
実施例7(FC又はLYの吸収機作の検証 −局在性−)
実施例3〜6によりFCとLYの吸収機作が異なることが推察されたので、基底膜側ウェルにHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0で調製したFC40μg/ml及びLY400μg/mlを添加して上記実施例と同様に透過実験を行った後に、粘膜側液及び基底膜側液並びにCaco−2細胞破砕懸濁液をそれぞれ回収して、各画分に残存する蛍光マーカーの量を上記実施例と同様にして測定し、残存しているFC及びLYの局在性を検証した。結果を図7に示す。図7から明らかなように、FCでは粘膜側、基底膜側及び細胞内にそれぞれ存在している一方で、LYでは殆ど全てが粘膜側に残存し、Caco−2細胞層を透過したごく一部のLYが基底膜側に存在していることが示された。
【0041】
実施例8(FCの吸収機作の検証 −TERと透過量−)
実施例3〜7によりFCとLYの吸収機作が異なることが推察されたので、FCの吸収機作をより詳細に解析した。実施例1に従って調製したCaco−2単層細胞をサイトカラシンDで処理することによって各種TERのCaco−2単層細胞を調製した(Kim M. et al, Biosci. Biotechnol. Biochem., 63, 2183,1999)。次いで基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0、並びにHBSS緩衝液pH7.4で調製したFC40μg/mlを添加し、37℃における粘膜側から基底膜側に単位時間、単位面積当たりに透過する蛍光マーカーの量(透過量;Flux/ng/min/cm2)を上述の実施例と同様に測定した。H+勾配が存在する図8の[1]ではTERに影響されずにFC透過量がほぼ一定であるのに対して、H+勾配が存在しない図8の[2]ではTERとFC透過量に逆相関が認められた。すなわち、H+勾配が存在しない状況下ではFCは細胞間隙吸収されるのに対して(Hashimoto K.et al, Biosci. Biotechnol. Biochem., 58, 1345, 1994)、H+勾配が存在する状況下では主として細胞内に吸収されることが示された。
【0042】
実施例9(FCの吸収機作の検証 −基質濃度と透過初速度−)
FCの吸収機作に特異的受容体が関与しているか否かを検討するために、基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0或いはHBSS緩衝液pH7.4で調製した各種濃度のFCを添加し(10μg/ml〜4mg/ml)、粘膜側から基底膜側へと経時的に透過されるFC透過量を上述の実施例と同様に測定し、直線回帰が可能な初期透過時間からFC透過初速度を算出し(Tsuji A. et al, Pharm. Res., 11, 30, 1994)、図9の[1],図9の[2]にその結果を示した。H+勾配が存在する図9の[1]ではFC濃度の上昇に伴って、徐々にFC透過初速度の増加が減少していき飽和型様の曲線(ミカエリスメンテン型飽和曲線+単純拡散)が観察された。即ち単純拡散輸送以外に、受容体を介してFCが特殊輸送されることを示唆している。一方、H+勾配が存在しない図9の[2]では、FC濃度の上昇に伴ってFC透過初速度が直線的に増加しており、単純拡散輸送されることを示唆している。
【0043】
実施例10(FCの吸収機作の検証 −阻害剤・基質の影響−)
基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0で調製したFC40μg/mlを添加し、更にHBSS緩衝液pH6.0で調製した各種濃度の輸送基質並びに阻害剤を粘膜側ウェルに添加して(70μM〜12.5mM)FCと共存させた後に、上述の実施例と同様にFC透過初速度を算出した。また、阻害剤並びに基質に代えてHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とし、対照のFC透過初速度を100%とした時の各被検サンプルの相対透過初速度の結果を 図10に示した。図10から明らかなように、ペプチドトランスポーターの代表的な基質であるGly−Sar,エンドサイトーシス阻害剤であるAmantadine,BrefeidineA,陰イオンアンティポーター阻害剤であるDIDSでも(Sai Y. et al, Pharm. Res.,15, 1305, 1998、Ogihara T. et al, J. Pharm. Sci., 88, 1217, 1999)全く阻害されずに、エネルギー阻害剤であるNaN3でのみ特異的に阻害されていることから、FCは腸管上皮に発現しているペプチドトランスポーターや陰イオンアンティポーター、或いはエンドサイトーシスではない他のエネルギー依存的な受容体を介して吸収されることが推察された(Tsuji A. et al, Pharm. Res., 13,963, 1996)。
【0044】
実施例11(FCの吸収機作の検証 −MCT基質の影響−)
基底膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH7.4を添加し、粘膜側ウェルにはHBSS緩衝液pH6.0で調製したFC40μg/mlを添加し、更にHBSS緩衝液pH6.0で調製した各種MCT(モノカルボン酸トランスポーター)基質を粘膜側ウェルに添加して(10mM)FCと共存させた後に、上述の実施例と同様にFC透過初速度を算出し相対透過初速度の結果を図11に示した。図11から明らかなように、酢酸,プロピオン酸,酪酸,サリシル酸,ベンゼン酸,バルプロ酸等のMCT基質(湯浅博昭 他, 医学のあゆみ, 197, 3, 2001)によりFC透過初速度が顕著に阻害されることから、FCがMCTにより吸収されることが初めて明らかにされた。以下のFCの構造(化式[I])並びにLYの構造(化式[II])を示したが、FCの遊離カルボキシル基を認識してMCT吸収されるものと推察される。
【0045】
【化1】

【0046】
実施例12(LY又はFCを用いた吸収促進物質のスクリーニング)
HBSS緩衝液pH6.0で調製した蛍光マーカーと各被検サンプルとをCaco−2細胞層の粘膜側ウェルに添加した。蛍光マーカーとしては、それぞれ濃度400μg/mlのルシファーイエロー(LY:励起430nm、検出535nm)又は40μg/mlのソディウムフルオレセイン(FC:励起492nm、検出515nm)を用いた。また、各被検サンプルは終濃度5mg/mlになるように添加した。37℃における粘膜側から基底膜側に単位時間、単位面積当たりに透過する蛍光マーカーの量(透過量;Flux/ng/min/cm2)を蛍光光度計(Molecular Devices社製「spectra MAX GEMINI」)により測定した。また、被検サンプルに代えてHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とした。なお測定に際し、粘膜側の浸透圧及びpHは、サンプル間で殆ど差がないことも確認した。蛍光マーカーLYの透過量の結果を図12([1]及び[2]参照)に、蛍光マーカーFCの透過量の結果を図13にそれぞれ示す。図12からわかるように、ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草からの抽出物が顕著にLYの吸収を促進したが、ししとうの抽出物はLYの吸収促進活性があまり見られなかった。図13からわかるように、黒胡椒、カルダモン、黒茶からの抽出物が顕著にFCの吸収を促進することが判明した。
【0047】
実施例13(吸収促進活性の濃度依存性)
実施例12でLY吸収促進活性が認められたほうれん草、ガランガル、茗荷、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草からの抽出物、及びFC吸収促進活性が認められた黒胡椒、カルダモン、黒茶に関して、濃度依存効果を検証した。ほうれん草、ガランガル、茗荷、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、黒胡椒、カルダモンの各抽出物を終濃度0.5〜5mg/mlとなるように粘膜側に添加して、実施例12と同様にしてLY蛍光マーカーの透過量又はFC蛍光マーカーの透過量を測定した。結果をそれぞれ図14〜図26に示す。図14〜図26から、上記各抽出物の吸収促進活性は、添加濃度に依存して高まっていくことがわかる。
【0048】
実施例14(カルシウムの吸収促進効果)
蛍光マーカではなく、人体に好ましい機能成分としてカルシウムを選定して用いた。実施例12でLY吸収促進効果が認められたガランガル、マリーゴールド、メグスリの木、しらす、ホップ、及び陰性対照としてのししとうの各抽出物を添加(5mg/ml)して、蛍光マーカーに代えて、HBSS緩衝液pH6.0に溶解した終濃度10mMの塩化カルシウムを用いる以外は実施例12と同様にして、粘膜側から基底膜側に透過するカルシウム量(Fluxng/min/cm2)をカルシウムEテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。結果を図27に示す。図27に示されているように、ガランガル、マリーゴールド、メグスリの木、しらす、ホップからの抽出物は顕著にカルシウムの吸収を促進する一方で、ししとう抽出物はカルシウムの吸収を顕著には促進しなかった。
【0049】
実施例15(オリゴペプチドの吸収促進効果)
蛍光マーカではなく、人体に好ましい機能成分としてオリゴペプチド(Gln−Gln−Gln−Pro−Pro)を選定した。このオリゴペプチドは、小麦アレルゲンの主要エピトープ構造であり(Tanabe S.,B. B. R. C.,219,290,1996)、それ自身はヒスタミン遊離などのアレルギー反応を起こさずに、アレルゲンとIgEとの結合を拮抗的に阻害するので、抗アレルギー効果を示すと期待されている(田辺創一、医学のあゆみ、183、866、1997)。そこで、実施例12でLY吸収促進効果が認められたほうれん草、ガランガル、茗荷、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、及び陰性対照としてのししとうの各抽出物を添加(5mg/ml)して、蛍光マーカーに代えて、HBSS緩衝液pH6.0に溶解したFITCラベル化したオリゴペプチドGln−Gln−Gln−Pro−Pro(ペプチド研究所製)を終濃度が100〜500μg/mlになるように添加する以外は実施例12と同様にして、粘膜側から基底膜側に透過するペプチド量(Flux ng/min/cm2)を蛍光光度計(励起492nm、検出515nm)で測定した。結果を図28に示す。図28に示されているように、ほうれん草、ガランガル、茗荷、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ からの抽出物が顕著にペプチドの吸収を促進する一方で、ししとう抽出物はペプチドの吸収を顕著には促進しなかった。
【0050】
実施例16(フラボノイド類の吸収促進効果)
蛍光マーカではなく、人体に好ましい機能成分としてケルシトリン(フラボノイド類)を選定した。実施例12でLY吸収促進効果が認められたマリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらすの各抽出物を添加(5mg/ml)して、蛍光マーカーに代えて、HBSS緩衝液pH6.0に溶解した終濃度200μMのケルシトリンを用いて粘膜側から基底膜側に透過するケルシトリン量を測定した。ケルシトリン量の測定は、透過した基底膜側溶液全量を凍結乾燥により濃縮した後、HPLC分析[カラム:LiChrospher 100 RP-18(関東化学社製)、流速:1.0ml/min、移動相:A液;5%N、N−ジメチルホルムアルデヒド−0.1%アセトニトリル−0.1%リン酸溶液、B液;アセトニトリルの2液グラジェント溶出、カラム温度:40℃、検出:380nm、注入量:50μl]により行った。対照区(HBSS緩衝液pH6.0添加区)に対する各サンプル添加区のケルシトリン透過量の増減割合の結果を図29に示す。図29に示されるように、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらすの抽出物、特にメグスリの木の抽出物が顕著にケルシトリンの吸収を促進していた。
【0051】
実施例17(フラボノイド類の吸収促進効果)
蛍光マーカではなく、経口摂取する機能成分としてナリンジン(フラボノイド類)を選定し、2mMナリンジン/HBSS緩衝液pH6.0を加えたCaco−2細胞に、実施例12でLY吸収促進効果が認められたほうれん草、ガランガル、茗荷、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、ホップからの抽出物を添加(5mg/ml)して、一定時間、一定面積当たりに基底膜側に透過するナリンジン量を測定した。測定は、透過した基底膜側溶液をHPLC分析[カラム:LiChrospher 100 RP-18(関東化学社製)、流速:1.0ml/min、移動相:水:アセトニトリル:THF:酢酸=80:16:3:1、カラム温度:40℃、検出:280nm、注入量:50μl]によって実施し、対照(HBSS緩衝液pH6.0添加区)に対する各サンプル添加区のナリンジン透過量の増減割合の結果を図30に示す。図30に示されるように、上記抽出物が顕著にナリンジンの吸収を促進していた。
【0052】
実施例18(LDH遊離率による細胞毒性)
定法に従ってDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて24穴プレート(ファルコン社製)に培養したCaco−2細胞のプレートから培地を除去し、0.8mlのHBSS緩衝液pH6.0で数回洗浄した後に、被検サンプルとしてのほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、黒胡椒、カルダモン、黒茶、冬虫夏草の各抽出物(5mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)をそれぞれ0.4mlずつ添加した。反応後の上清中のLDH(乳酸脱水素酵素)を遊離LDHとし、細胞を超音波破砕した抽出液中のLDHを細胞内LDHとして、これら遊離LDHと細胞内LDHをLDH(乳酸脱水素酵素)−細胞毒性テストワコー(和光純薬社製)を用いて測定し、LDH遊離率%(=遊離LDH/(遊離LDH+細胞内LDH)×100)から被検サンプルの細胞毒性を検証した。なお、被検サンプルの代わりにHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とし、細胞膜障害を生じさせるサポニン(0.1〜1mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を添加したものを陽性対照とした(Narai A et al,Toxicology in Vitro,11,347,1997)。結果を図31に示す。図31から、サポニンの添加濃度が増加すると遊離LDHが増加し、サポニンの細胞毒性を確認することができた。その一方で、被検サンプルのLDH遊離率は、対照と同等かそれ以下であり、被検サンプルの細胞毒性が殆どないことが示された。
【0053】
実施例19(呼吸阻害率による細胞毒性)
定法に従ってDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて24穴プレート(ファルコン社製)に培養したCaco−2細胞のプレートから培地を除去し、0.8mlのHBSS緩衝液pH6.0で数回洗浄した後に、被検サンプルとしてのほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、黒胡椒、カルダモン、黒茶、冬虫夏草の各抽出物(5mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)をそれぞれ0.4mlずつ添加し、反応後、0.4mlのAlamar Blue試験液(イワキガラス社製)を加えて蛍光強度(励起560nm、検出590nm)を測定し、呼吸阻害率を検証した。なお、被検サンプルの代わりにHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とし、細胞膜障害を生じさせるサポニン(0.1〜1mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を添加したものを陽性対照とした。結果を図32に示す。図32から、サポニンの添加濃度が増加すると呼吸阻害率が増加し、サポニンの細胞毒性を確認することができた。その一方で、被検サンプルの呼吸阻害率は非常に低く、細胞毒性が殆どないことが示された。
【0054】
実施例20(RHを用いた吸収促進物質のスクリーニング)
HBSS緩衝液pH6.0で調製した蛍光マーカーと各被検サンプルとをCaco−2細胞層の粘膜側ウェルに添加した。蛍光マーカーとしては、濃度100μg/mlのローダミン(RH:励起505nm,検出540nm)を用いた。また、各被検サンプルは終濃度5mg/mlになるように添加した。37℃、90分間における粘膜側から基底膜側に単位時間、単位面積当たりに透過する蛍光マーカーの量(透過量;Flux/ng/min/cm2)を蛍光光度計(Molecular Devices社製「spectra MAX GEMINI」)により測定した。また、被検サンプルに代えてHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とした。なお測定に際し、粘膜側の浸透圧及びpHは、サンプル間で殆ど差がないことも確認した。結果を図33に示す。図33からわかるように、へちまの抽出物が顕著にRHの吸収を促進したが、白菜等その他の抽出物はRHの吸収促進活性が見られなかった。
【0055】
実施例21(吸収促進活性の濃度依存性)
実施例20でRH吸収促進活性が認められたへちまの抽出物に関して濃度依存効果を検証した。へちまの抽出物を終濃度0.5〜5mg/mlとなるように粘膜側に添加して、実施例20と同様にしてRH蛍光マーカーの透過量を測定した。結果をそれぞれ図34に示す。図34から、へちま抽出物の吸収促進活性は、添加濃度に依存して高まっていくことがわかる。
【0056】
実施例22(LDH遊離率による細胞毒性)
定法に従ってDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて24穴プレート(ファルコン社製)に培養したCaco−2細胞のプレートから培地を除去し、0.8mlのHBSS緩衝液pH6.0で数回洗浄した後に、被検サンプルとしてのへちま抽出物(5mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を0.4ml添加した。反応後の上清中のLDH(乳酸脱水素酵素)を遊離LDHとし、細胞を超音波破砕した抽出液中のLDHを細胞内LDHとして、これら遊離LDHと細胞内LDHをLDH(乳酸脱水素酵素)−細胞毒性テストワコー(和光純薬社製)を用いて測定し、LDH遊離率%(=遊離LDH/(遊離LDH+細胞内LDH)×100)から被検サンプルの細胞毒性を検証した。なお、被検サンプルの代わりにHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とし、細胞膜障害を生じさせるサポニン(0.1〜1mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を添加したものを陽性対照とした(Narai A et al,Toxicology in Vitro,11,347,1997)。結果を図35に示す。図35から、サポニンの添加濃度が増加すると遊離LDHが増加し、サポニンの細胞毒性を確認することができた。その一方で、被検サンプルのLDH遊離率は、対照と同等かそれ以下であり、被検サンプルの細胞毒性が殆どないことが示された。
【0057】
実施例23(呼吸阻害率による細胞毒性)
定法に従ってDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いて24穴プレート(ファルコン社製)に培養したCaco−2細胞のプレートから培地を除去し、0.8mlのHBSS緩衝液pH6.0で数回洗浄した後に、被検サンプルとしてのへちま抽出物(5mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を0.4ml添加し反応させた。反応後に0.4mlのAlamar Blue試験液(イワキガラス社製)を加えて蛍光強度(励起560nm、検出590nm)を測定し、呼吸阻害率を検証した。なお、被検サンプルの代わりにHBSS緩衝液pH6.0を添加したものを対照とし、細胞膜障害を生じさせるサポニン(0.1〜1mg/mlHBSS緩衝液pH6.0)を添加したものを陽性対照とした。結果を図36に示す。図36から、サポニンの添加濃度が増加すると呼吸阻害率が増加し、サポニンの細胞毒性を確認することができた。その一方で、被検サンプルの呼吸阻害率は非常に低く、細胞毒性が殆どないことが示された。
【0058】
実施例24(吸収促進剤を添加・配合した食品)
以下の表1に示す配合でカルシウムとビタミンD3の吸収を高めたタブレットを、表2に示す配合でカルシウム吸収促進効果を高めたヨーグルトゼリーを、表3に示す配合でポリフェノール吸収促進効果を高めたクッキーを、表4に示す配合でカルシウムやポリフェノールなどの吸収促進効果を高めた栄養飲料を、表5に示す配合でポリフェノールなどの吸収促進効果を高めたタブレットを、表6に示す配合でβ−カロチンの吸収を高めたジュースを、表7に示す配合で小麦胚芽油中の有効成分の吸収を高めたカプセルをそれぞれ常法により製造した。定法に従って以下の表8に示す配合で、腸管のエネルギー源として有用な酪酸の吸収を高めたカプセルを、表9に示す配合で、茶中に含まれているフェルラ酸やクマル酸,没食子酸,カテキン類等のポリフェノール系化合物の吸収を高めた混合茶を製造した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
【表6】

【0065】
【表7】

【0066】
【表8】

【0067】
【表9】

【0068】
本発明の総合吸収促進剤や吸収促進剤を用いると、飲食品中の有用な機能成分、或いは経口投与される薬剤の効能成分の吸収を有効に促進して、体内利用率を大幅に改善することができ、生理効果を意識した健康飲食品や機能性飲食品と併用して摂取することなどにより、飲食品中の効能をより効果的に発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作における粘膜側pHの影響について調べた結果(蛍光マーカー;ソディウムフルオレセイン)を示す図である。
【図2】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作における粘膜側pHの影響を調べた結果(蛍光マーカー;ルシファーイエロー)を示す図である。
【図3】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作における透過方向性について調べた結果(蛍光マーカー;ソディウムフルオレセイン)を示す図である。図中、μはμg/mlを示す(以下同じ)。
【図4】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作における透過方向性について調べた結果(蛍光マーカー;ルシファーイエロー)を示す図である。
【図5】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作におけるエネルギー依存性について調べた結果(蛍光マーカー;ソディウムフルオレセイン)を示す図である。
【図6】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作におけるH+勾配の影響について調べた結果(蛍光マーカー;ソディウムフルオレセイン)を示す図である。
【図7】本発明に用いられる腸管吸収モデルの吸収機作における蛍光マーカー(ソディウムフルオレセイン及びルシファーイエロー)の局在性について調べた結果を示す図である。
【図8】本発明における、FC吸収機作を解析するための蛍光マーカーの量(透過量)とTERの関係を測定した結果を示す図である。
【図9】本発明における、FC吸収機作を解析するためのFC濃度とFC透過初速度の関係を測定した結果を示す図である。
【図10】本発明における、FC吸収機作を解析するための各被検サンプル(阻害剤、各輸送系の基質)の相対透過初速度を測定した結果を示す図である。
【図11】本発明における、FC吸収機作を解析するための各被検サンプル(MCT基質)の相対透過初速度を測定した結果を示す図である。
【図12】本発明の吸収促進剤のスクリーニング(蛍光マーカー;ルシファーイエロー)の結果を示す図である。
【図13】本発明の吸収促進剤のスクリーニング(蛍光マーカー;ソディウムフルオレセイン)の結果を示す図である。
【図14】本発明の吸収促進剤ほうれん草抽出物の吸収促進効果を示す図である。図中、mはmg/mlを示す(以下同じ)。
【図15】本発明の吸収促進剤ガランガル抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図16】本発明の吸収促進剤茗荷抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図17】本発明の吸収促進剤マリーゴールド抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図18】本発明の吸収促進剤ジャスミン抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図19】本発明の吸収促進剤メグスリの木抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図20】本発明の吸収促進剤おかひじき抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図21】本発明の吸収促進剤しらす抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図22】本発明の吸収促進剤ホップ抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図23】本発明の吸収促進剤黒胡椒抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図24】本発明の吸収促進剤カルダモン抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図25】本発明の吸収促進剤黒茶抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図26】本発明の吸収促進剤冬虫夏草の吸収促進効果を示す図である。
【図27】本発明の吸収促進剤によるカルシウムの吸収促進効果を示す図である。
【図28】本発明の吸収促進剤によるオリゴペプチドの吸収促進効果を示す図である。
【図29】本発明の吸収促進剤によるケルシトリンの吸収促進効果を示す図である。
【図30】本発明の吸収促進剤によるナリンジンの吸収促進効果を示す図である。
【図31】本発明の吸収促進剤の細胞毒性をLDH(乳酸脱水素酵素)遊離率により検証した結果を示す図である。
【図32】本発明の吸収促進剤の細胞毒性を呼吸阻害率により検証した結果を示す図である。
【図33】本発明の吸収促進剤のスクリーニングの結果を示す図である。
【図34】本発明の吸収促進剤へちま抽出物の吸収促進効果を示す図である。
【図35】本発明の吸収促進剤の細胞毒性をLDH(乳酸脱水素酵素)遊離率により検証した結果を示す図である。
【図36】本発明の吸収促進剤の細胞毒性を呼吸阻害率により検証した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト結腸癌由来のCaco−2細胞を透過性膜上に培養して、形態的及び機能的に小腸様の単層の細胞層を形成し、粘膜側にpH6.0の緩衝液、基底膜側にpH7.4の緩衝液を添加して、生体の腸管吸収時と同様のH+勾配を形成させて平衡化した後、Caco−2単層細胞の経上皮電気抵抗値(TER)を測定し、TER≧200Ω・cm2の条件を満足することによって、充分なタイトジャンクションが形成されていると判断される細胞を選抜し、(1)選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製したソディウムフルオレセイン(FC)からなる蛍光マーカーと、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を蛍光光度計により測定する吸収促進物質のスクリーニング方法、又は(2)選抜されたCaco−2細胞にpH6.0の緩衝液で調製したソディウムフルオレセイン(FC)を含む吸収機作の異なる複数の蛍光マーカーを個別に用いて、同じくpH6.0の緩衝液で調製した被検物質を粘膜側に添加して、粘膜側から基底膜側に透過する一定時間、一定面積当りの蛍光マーカーの量を、蛍光光度計を用いて各蛍光マーカーに適した波長で個別に測定する吸収機作の異なる吸収促進物質の個別スクリーニング方法により得られる、吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せを有効成分として含有することを特徴とする総合吸収促進剤。
【請求項2】
吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せが、蛍光マーカーとしてルシファーイエローを用いたスクリーニング方法により得られるLY吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いたスクリーニング方法により得られるFC吸収促進物質群と、蛍光マーカーとしてローダミンを用いたスクリーニング方法により得られるRH吸収促進物質群からそれぞれ選ばれる2種又は3種以上の吸収機作の異なる吸収促進物質の組合せであることを特徴とする請求項1記載の総合吸収促進剤。
【請求項3】
LY吸収促進物質群がほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物から選ばれ、FC吸収促進物質群が黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物から選ばれ、RH吸収促進物質群がへちま又はその処理物から選ばれることを特徴とする請求項2記載の総合吸収促進剤。
【請求項4】
処理物が抽出物であることを特徴とする請求項3記載の総合吸収促進剤。
【請求項5】
請求項1記載の蛍光マーカーとしてソディウムフルオレセインを用いるスクリーニング方法により得られることを特徴とする吸収促進剤。
【請求項6】
ほうれん草、ガランガル、茗荷、にら、マリーゴールド、ジャスミン、メグスリの木、おかひじき、しらす、ホップ、冬虫夏草、又はこれらの処理物から選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤。
【請求項7】
黒胡椒、カルダモン、黒茶又はこれらの処理物から選ばれる1種又は2種を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤。
【請求項8】
へちま又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする吸収促進剤。
【請求項9】
処理物が抽出物であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の吸収促進剤。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか記載の総合吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項11】
総合吸収促進剤が、抽出物中の固形分として0.2〜30重量%添加・配合されていることを特徴とする請求項10記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項12】
請求項6又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項13】
請求項5、7又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項14】
請求項8又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む飲食品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項15】
吸収促進剤が、抽出物中の固形分として0.2〜30重量%添加・配合されていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項16】
好ましい機能成分が、ミネラル類、モノカルボン酸類、フラボノイド類、ビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類から選ばれる1種又は2種以上の成分であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる飲食品。
【請求項17】
請求項1〜4のいずれか記載の総合吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品。
【請求項18】
請求項6又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品。
【請求項19】
請求項5、7又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品。
【請求項20】
請求項8又は9記載の吸収促進剤を、好ましい機能成分を含む医薬品に添加・配合してなることを特徴とする経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品。
【請求項21】
好ましい機能成分が、ミネラル類、モノカルボン酸類、フラボノイド類、ビタミン類、ポリフェノール類、カロチノイド類から選ばれる1種又は2種以上の成分であることを特徴とする請求項17〜20のいずれか記載の経口摂取した機能成分の吸収を促進することができる医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2007−16034(P2007−16034A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205407(P2006−205407)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【分割の表示】特願2001−392522(P2001−392522)の分割
【原出願日】平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【Fターム(参考)】