説明

吸収性基材を含むヘアトリートメント適用システム

本発明は、3Pa.s(3,000cPs)〜150Pa.s(150,000cPs)の粘度を有する少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)と、ヘアトリートメント適用デバイス(1)であって、前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態にあるときに、重ねられた関係に位置決め可能な第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含む、ヘアトリートメント適用システムについて記載する。ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、少なくとも第1のプレート(10)の内表面(101)上に、少なくとも1つの吸収性基材(40)を含む第1の領域と、吸収性基材(40)を含まない内表面(101)上の第2の領域(50)とを有することを特徴とする。少なくとも1つの吸収性基材(40)は、300ミクロン〜3,000ミクロンのメジアン細孔半径を有する。本発明は、また、ヘアトリートメント適用システム(10)によって毛髪を処理する方法と、ヘアトリートメント適用システムを含むキットとについても説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品組成物と、毛髪、皮膚、及び指の爪など、様々な基材への化粧品組成物の、容易で、正確で、穏やかで、扱いにくくない(non-messy)、目標をしぼった適用を可能にする適用デバイスと、を含む、ヘアトリートメント適用システムに関する。本発明による適用デバイスは、特に、ヘアトリートメント組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
他と異なる毛髪ストランドにヘアトリートメント組成物を適用すると、頭部全体への適用とは異なる見た目を達成することができる。そのような毛髪ストランド効果を提供するヘアトリートメント組成物としては、ハイライト処理組成物、染色組成物、及びスタイリング組成物が挙げられる。染色及びスタイリング組成物は、特に、ファッション及びスタイルの変化に対応するために、また初めての白髪(first grey hair)を隠すために使用される。
【0003】
ハイライト処理という用語の下では、それは、毛髪の残りの部分よりも少なくとも1シェード明るい、明るくされる毛髪ストランドの選択と理解されるが、消費者によって期待される結果は、微妙な多色調の効果及び自然な色の多様性から、より目立つ大胆な効果まで、かなり多様である。最終的な見た目の個人的カスタム化を達成するためには、消費者は、家庭用のハイライト処理キットを用いてハイライト処理を実施することを選択することもでき、又は専門のスタイリストを訪ねてもよい。
【0004】
専門家は、彼らの自由に使えるいくつものデバイス及び技術を有し、それらのデバイス及び技術と訓練及び何年もの経験とが相まって、消費者によって期待される様々な結果をもたらすことができる。しかし、プロセスの精度及び長さゆえに、消費者は、定期的に、プロセスを完了するためにサロンで多くの時間を過ごす必要がある。また、期待される最終結果を達成するために専門家により用いられる長い時間及び労力の理由から、専門のスタイリストにより、彼らのサービスのための高い割増料金が要求される。
【0005】
家庭用ハイライト処理製品市場は、巨大で、消費者が経済的に利用しやすく、実用的にあらゆる所望のヘアリフト(hair lift)をもたらすための様々な製品を提供する。
【0006】
しかし、専門家の助けなしに家庭用毛髪ハイライト処理を使用することには、いくつもの欠点が随伴しており、これらの問題に対処しようとするいくつかの試みが、当該技術分野で知られている。
【0007】
異なる材料の多数の層と、化粧品組成物を供給することのできるスポンジと、から構成される適用物品が、一般に知られている。また、そのような適用物品とデバイス若しくはツールとの組合せも知られている。一例は、ヘアトリートメント組成物を収める円筒形リザーバを含むアプリケータであり、リザーバは、弾性変形可能な材料がそこに格納される横の開口部を有する。その開口部を通じて、毛髪ストランドは、リザーバ内に収容された組成物と連通する。他の例は、アプリケータ部分と留め具手段とを含むアプリケータである。アプリケータ部分は、ヘアトリートメント組成物がそこに詰められる(lodged)弾性圧縮可能な容器を含む。ユーザは、毛髪ストランドを1本の指と容器との間に位置決めする。圧縮可能な容器に圧力を加えると、容器に収められた組成物が毛髪ストランド上に放出される。他の例としては、ヘアトリートメント組成物を含む袋又はヘアトリートメント組成物を含浸させた不織布によって覆われたシートブラシのいずれかをそれぞれが備える、2枚のヒンジプレートを有する、毛髪化粧品アプリケータが挙げられる。また、吸収性材料で覆われた連動するヒンジ連結された2枚のプレートを含むアプリケータも、公知であり、専門のサロンでスタイリストによって使用されるホイルの代わりとして機能する。
【0008】
一般に、ハイライト処理組成物の自己適用自体が困難であり、不適切な適用デバイスによって実施される場合、自己適用が容易にはなり得ないことが認識されている。ヘアトリートメント組成物の自己適用を容易にすることのできるアプリケータデバイスは、清潔及び整然とした方式/方法で期待される最終結果を達成するために、いくつかの技術的課題を考慮し、対処する必要がある。
【0009】
まず第1に、後頭部でのヘアトリートメント組成物の適用は、ユーザが鏡像で判断することによって毛髪ストランドを選択する必要があるので、複雑である。ストランドの選択及び適用が複雑であるほど、ユーザが自身の腕を自身の頭の上で維持せざるを得ない時間が長くなり、不快感を引き起こし、全体的な結果に影響を与える。更に、ユーザは、通常、後頭部でハイライトを達成するためにデバイスを180°回転させる。ゆえに、前頭部又は側頭部に適用するためのヘアトリートメント組成物をうまく収容するアプリケータでさえ、効率的に機能しないことがあり、また、後頭部での自己適用の障害を引き起こすおそれがある。
【0010】
アプリケータから組成物が漏れて滲み出るのを防ぐための技術的課題は、適用時のアプリケータの配向の点だけから考慮されるべきではない。ハイライト処理組成物など、一部の組成物の好ましくない性質が、消費者の家の表面、皮膚、及び衣服の上に滴り落ちた場合に漂白を引き起こすおそれがあるので、ヘアトリートメント組成物の自己適用のためのアプリケータは、全適用期間中、アプリケータからのヘアトリートメント組成物の漏出及び滲出を防ぐように設計されるべきである。
【0011】
漏出及び滲出は、清潔さの目的だけで望ましくないわけではない。期待される最終結果を達成するためには、ハイライト処理組成物が望まれる場所に正確に適用される必要がある。アプリケータの縁部のところの少量の毛髪ハイライト処理組成物でさえ、選択された毛髪ストランドから選択されていない毛髪ストランドへと、特に根元ライン(root-line)のところで、容易に移動するおそれがあるので、やはり予想外の結果をもたらすことがある。その結果、予期せぬ望まれない全体的な最終的外観が生じることがある。
【0012】
また、毒性及び安全性の理由から、思いがけず毛髪ハイライト処理組成物が根元ライン(root-line)のところに供給される場合、それがまた頭皮に移動して不必要な刺激を引き起こすおそれがあることを考慮すべきである。
【0013】
最後に、毛髪ハイライト処理組成物などのヘアトリートメント組成物は、メラニン色素を白くするための活性酸素を発生する必要のある構成成分を含む。それらの反応性のある化学的性質を考えると、毛髪ハイライト処理組成物の適用のほとんどは、毛髪の健康にわずかな一時的障害を及ぼす。キャップ・アンド・フック(cap and hook)などのアプリケータは、毛幹にストレスを与えるおそれがあり、不適切に使用された場合、毛髪ストランドを引っこ抜く(uproot)おそれさえある。ゆえに、一般的にヘアトリートメントアプリケータは、特に、ハイライト処理を実施するように設計されたアプリケータは、ユーザがヘアトリートメント組成物を適用する間、毛髪に損傷を与えてはならず、毛髪に優しいものでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ゆえに、依然として未解決のままであるのは、アプリケータからのハイライト組成物の漏れの回避、並びに、片手で使用して、持ち上げ、掴み、保持し、後方に下ろす(lay back down)容易さの点から家庭用ハイライト処理の消費者ニーズを満たすための、ヘアトリートメントアプリケータの提供である。更に、アプリケータは、特に根元ライン(root line)のところで毛髪の間を導き、毛髪の長さにかかわらずいくつかの適用を果たすのが容易であるべきである。アプリケータは、多種多様なハイライト及び新しいファッションを生み出す柔軟性、時間を短縮し、コストを削減する柔軟性、並びにハイライト実施を単純化する柔軟性を提供すべきである。アプリケータは、また、ヘアトリートメント組成物が適用される間、毛髪に損傷を与えるべきではない。最後に、アプリケータは、確かに、軽量で、安価で、使い捨て若しくは再利用可能で、生産が容易であるべきである。
【0015】
ヘアトリートメント適用システム(以下で定義する)が家庭でも専門のサロンでもハイライト処理結果を飛躍的に改善できることが、今や判明している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、ヘアトリートメント適用システムであって、3Pa.s(3,000cPs)〜150Pa.s(150,000cPs)の粘度を有する少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)と、ヘアトリートメント適用デバイス(1)であって、ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態にあるときに、重ねられた関係に位置決め可能な第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含み、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、連結部(30)によって繋ぎ合わされ、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、内表面(101;201)及び外表面(102;202)をそれぞれ有し、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、周縁部(103;203)をそれぞれ有する、ヘアトリートメント適用デバイス(1)とを含み、少なくとも第1のプレート(10)は、内表面(101)上に、少なくとも第1の領域と少なくとも第2の領域(50)とを有し、少なくとも第1の領域は、少なくとも1つの吸収性基材(40)を含み、少なくとも1つの吸収性基材(40)は、約300ミクロン〜約3,000ミクロンのメジアン細孔半径を有し、第2の領域(50)は、吸収性基材(40)を含まないことを特徴とする、ヘアトリートメント適用システムが提供される。
【0017】
本発明は、更に、ヘアトリートメント適用システムによって毛髪を処理する方法と、ヘアトリートメント適用システムを含むキットとに関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)の一実施形態の斜視図。ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、連結部(30)によって繋ぎ合わされた第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含む。各プレート(10;20)は、内表面(101;201)及び外表面(102;202)と、周縁部(103;203)とを含む。吸収性基材(40)が、第1のプレート(10)の内表面(101)の第1の領域に取り付けられる。吸収性基材を含まない第2の領域は、ヘアトリートメント組成物(15)によって占められる。この実施形態では、第1のプレート(10)は、第1のプレート(10)上に凹状のくぼみを含む。第2の領域は、見えない。
【図2】本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)の一実施形態の斜視図。ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、ヒンジ(30)によって繋ぎ合わされた第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含む。各プレート(10;20)は、内表面(101;201)及び外表面(102;202)と、周縁部(103;203)とを含む。吸収性基材(40)の相異なる2つの同心ストリップが、第1のプレート(10)の内表面(101)の第1の領域に取り付けられる。最も内側を延びる吸収性基材は、周縁部(103)のところを延びる吸収性基材よりも高い。吸収性基材を含まない第2の領域は、ヘアトリートメント組成物(15)によって占められる。第2の領域は、見えない。
【図3】本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)の他の実施形態の斜視図。ヘアトリートメント適用デバイス(1)の第1のプレート(10)は、ヒンジ(30)によって第2のプレート(20)に連結されている。第1のプレート上の第1の領域は、第1のプレートの周縁部(103)に沿って延びる、吸収性基材(40)のストリップを含む。吸収性基材を含まない第2の領域は、ヘアトリートメント組成物(15)によって占められる。吸収性基材(40)の外側部は、不透過性膜(105)によって部分的に覆われる。第2の領域は、見えない。
【図4】第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)がヒンジ(30)によって連結されている、本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)の斜視図。各プレート(10;20)は、内表面(101;201)と外表面(102;202)とを有する。吸収性基材(40)を含む第1の領域は、第1のプレート(10)の内表面(101)上のほぼ中央に配置される。ヘアトリートメント組成物(15)は、吸収性基材(40)上に充填される。第2の領域(50)は、吸収性基材(40)を囲む。
【図5】ヒンジ(30)によって連結されている第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含むヘアトリートメント適用デバイス(1)を示す、本発明の一実施形態の斜視図。各プレート(10;20)は、内表面(101;201)と外表面(102;202)とを有する。第1のプレート(10)は、吸収性基材(40)の方形ストリップが取り付けられた、第1の領域を含む。ヘアトリートメント組成物(15)は、吸収性基材(40)の上に充填される。第2のプレート(20)は、やはり、本発明の仕様内で吸収性基材(40)を含む。第2の領域(50)は、吸収性基材(40)の方形ストリップを囲む。
【図6】本発明の他の実施形態の第1のプレート(10)の斜視図。第1のプレート(10)の第1の領域は、多数の波形吸収性基材(40)を取り付けている。ヘアトリートメント組成物(15)は、吸収性基材(40)内に充填される。第2の領域(50)は、多数の波形吸収性基材(40)を囲む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、本明細書に記載の特徴全てを組合せたときに、それらが有する相乗効果によって特徴付けられる。以下で、各特徴が互いにどのように相関するか、それらが相まって、上述の技術的問題の解決にどのように貢献するかが明らかとなる。
【0020】
約3Pa.s(3,000cPs)〜約150Pa.s(150,000cPs)のヘアトリートメント組成物の粘度の特定の選択、約300ミクロン〜約3,000ミクロンのメジアン細孔半径を有する特定の吸収性基材、及び適用デバイスの要素は、全て、所望の技術的効果をもたらすために非常に重要である。
【0021】
ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、後頭部、若しくは頭皮に近い毛髪の根元など、接近困難な区域を含めて、ユーザが片手を用いて正確及び容易にヘアトリートメント適用デバイス(1)を誘導できるようにするために、連結部(30)によって繋ぎ合わされた第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含む。吸収性基材(40)は、適用デバイス(1)からのヘアトリートメント組成物の流出を防ぐための優れた手段を適用デバイス(1)に提供し、毛髪上への適用時のヘアトリートメント組成物の過剰な付着を低減するのに役立つ。吸収性基材(40)の多孔質の性質は、特に、ヘアトリートメント組成物(15)の穏やかかつ滑らかな適用を達成するように選択される。吸収性基材(40)を含まない区域の存在は、ヘアトリートメント組成物(15)を毛髪に適用するために第1及び第2のプレート(10;20)が重ねられた関係におかれるときに、ヘアトリートメント組成物(15)が吸収性基材(40)から移動された後の、ヘアトリートメント組成物(15)のより良好な管理を可能にする。
【0022】
これらの全ての特徴の組合せは、均質で、穏やかで、扱いにくくなく、清潔な方式での、選択された毛髪ストランドへのヘアトリートメント組成物(15)の供給を可能にする。
【0023】
また、ヘアトリートメント組成物の粘度は、高い重要性をもつ。粘度が高すぎる場合、吸収性基材に容易には吸収されず、吸収性基材を含まない領域内に接着する可能性が最も高い。更に、必要に応じて、ハイライト処理を含めた酸化染色及び漂白などの反応性ヘアトリートメント適用に望ましい2つ以上の異なるヘアトリートメント組成物の混合を禁止することができる。
【0024】
他方、ヘアトリートメント組成物の粘度が低すぎる場合、ヘアトリートメント組成物が吸収性基材及び吸収性基材を含まない領域内で十分に保持されず、望ましくない滴り落ち及び扱いにくさ(messiness)を引き起こすので、ハイライト処理作業が扱いにくいものとなるおそれがある。
【0025】
以下で技術的実験データによって実証されるように、後述する試験方法に従って測定されるヘアトリートメント組成物の最低粘度は、少なくとも約3Pa.s(3,000cPs)である。幅広い粘度範囲をもたらすために様々な濃度で調製されたカーボポール(Carbopol)(登録商標)956(ノベオン(Noveon)から入手可能)の溶液を、広範なメジアン細孔半径を有する様々なタイプの吸収性基材によって試験した。全てのカーボポール(Carbopol)(登録商標)956が溶解するまでオーバーヘッド撹拌機を使用して溶液を混合しながら、カーボポール(Carbopol)(登録商標)956を脱イオン水に添加することにより、カーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を調製した。必要な粘度が達成されるまで、追加のカーボポール(Carbopol)(登録商標)956を溶液中に添加した。各カーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を、選択された吸収性基材中に充填した。その後、吸収性基材を、以下の試験方法に記載されるように圧縮した。各実験を3回繰り返し、スチューデントt−検定(∝=0.05)を使用して結果を評価し、各吸収性基材について、統計的に異なる平均を、角括弧内の様々な文字により示す。圧縮下で吸収性基材から滴り落ちた充填溶液の平均パーセンテージ及び対応する粘度を、表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
これらの結果は、粘度が増加するにつれて、吸収性基材から滴り落ちるカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のパーセンテージが著しく低下することを明確に示している。驚くべきことに、選択された吸収性基材とは関係なく、吸収性基材が少なくとも約3Pa.s(3,000cPs)の粘度を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液で充填されたときに、滴り落ちが実質的になかったことが判明した。
【0028】
本発明によるヘアトリートメント組成物に関する上述で議論された実験データを更に裏付けるために、12人のパネリストによる消費者試験も行った。各パネリストは、吸収性基材(リベルテックス(Libeltex)01−766DI−8、メジアン細孔半径550ミクロン)を与えられて、その扱いにくさと滴り落ちを試験し、評価した。以下の試験方法の項で後述するように、吸収性基材をプレートの片側に据え付けた。そのような準備された2枚のプレートを、吸収性基材が互いに向き合うクリップを形成するように、ヒンジで連結した。クリップ当たりの1つの吸収性基材に、粘度1Pa.s(1,000cPs)を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956の溶液を充填した。他のクリップを、粘度2.5Pa.s(2,500cPs)及び5Pa.s(5,000cPs)を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を用いて準備した。
【0029】
結果をフィッシャーのLSD統計的検定(∝=0.05)によって評価したところ、粘度1Pa.s(1,000cPs)及び2.5Pa.s(2,500cPs)粘性流体ののカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液の両方についての平均等級は、尋ねられた質問について統計的に同一であり、また、5Pa.s(5,000cPs)のものは、有意に異なり、扱いにくくないとランク付けされたことが明らかになった。表2に示されるこれらの結果は、扱いにくさを避けるために必要な粘度が2.5Pa.s(2,500cPs)〜5Pa.s(5,000cPs)の間の範囲であるという技術的実験データを裏付ける。統計的に異なる平均は、角括弧内の異なる文字によって示される。
【0030】
【表2】

【0031】
本発明者らは、また、驚くべきことに、非常に特殊なタイプの吸収性基材が必要とされることも見出した。具体的には、本発明の吸収性基材は、少なくとも約3Pa.s(3,000cPs)の最低粘度を有する1つ以上のヘアトリートメント組成物に対応できるメジアン細孔半径を有するように、選択される。吸収性基材の多孔質の性質は、メジアン細孔半径によって正確に記載される。これは、以降で定義されるように、1000ミクロン以下のメジアン細孔半径を持つ試料についてはTRIオートポロシメータ(TRI Autoporosimeter)(登録商標)方法によって1000ミクロンを超過する半径を持つサンプルについては光学的イメージングによって従来どおり確かめられる。本発明の範囲内で有用な吸収性基材のメジアン細孔半径の効果を、以降の試験方法の項で記載するように、重力測定的流体充填を使用して決定した。この方法は、消費者がどのように吸収性基材にヘアトリートメント組成物を充填できるかを、最もよく表す。選択された吸収性基材は、BBAファイバーウェブ・テノテックス(Fiberweb Tenotex)P101(メジアン細孔半径75ミクロン)、フロイデンベルク(Freudenberg)AL 1060(300ミクロン)、リベルテックス(Libeltex)01−766 DI−8(550ミクロン)、PGI FB−215(700ミクロン)、及びレクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280(1,400ミクロン)であった。各吸収性基材には、それぞれ、約3Pa.s(3,000cPs)、約5Pa.s(5,000cPs)、及び約10Pa.s(10,000cPs)の粘度を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を充填した。各実験を3回繰り返し、スチューデントt−検定(∝=0.05)を使用して結果を評価し、各カーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液について、統計的に異なる平均を、角括弧内の様々な文字により示す。対応する粘度において吸収性基材の各グラムに充填されたカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液の平均量(グラム)を、表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
結果は、吸収性基材のメジアン細孔半径を増大させることにより各吸収性基材に充填できるカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液の量もまた増加することを示している。更に、結果は、75ミクロンのメジアン細孔半径を有するBBAファイバーウェブ・テノテックス(Fiberweb Tenotex)P101の場合のように、吸収性基材が300ミクロン未満(less that 300 microns)のメジアン細孔半径を有するときには、最低粘度3Pa.s(3,000cPs)を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を有意に充填できないことを示している。
【0034】
ゆえに、本発明の目的では、吸収性基材のメジアン細孔半径は、少なくとも約300ミクロンである。この最小メジアン細孔半径を下回ると、粘度が少なくとも約3Pa.s(3,000cPs)のヘアトリートメント組成物は、本発明の意図された消費者用途における使用には適応させることができない。
【0035】
本明細書で選択される吸収性基材の最大メジアン細孔半径は、製造に適し、市販され、本発明の所期の消費者用途に使用される間も依然として形状を保持可能な、連続気泡発泡体の最大半径であると確定された。最大メジアン細孔半径の連続気泡発泡体は、レクティセル(Recticel)によって提供され、3,000ミクロンのメジアン細孔半径を有する。3,000ミクロンよりも大きいメジアン細孔半径を有する吸収性基材は、それらの機械的強度を失う傾向にあり、ゆえに、本発明の範囲内では使用されない。したがって、本発明による吸収性基材は、約300ミクロン〜約3,000ミクロン、好ましくは約400ミクロン〜約2,500ミクロン、より好ましくは約450ミクロン〜約2,000ミクロン、更に好ましくは約500ミクロン〜約1,800ミクロンのメジアン細孔半径を有する。
【0036】
ヘアトリートメント組成物は、非常に多様な粘度を有し、現在市販されている製品は、600Pa.s(600,000cPs)までの粘度を有する。本発明の範囲内では、上述で選択された吸収性基材上になお充填でき、毛髪に供給されるヘアトリートメント組成物の最大粘度は、150Pa.s(150,000cPs)である。上述で確定されたメジアン細孔半径範囲を代表する2つの吸収性基材、レクティセル・ポットスコアラー(Recticel Pottscorer)410(2,200ミクロン)及びレクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280(1,400ミクロン)を選択した。次いで、これら2つの吸収性基材に100Pa.s(100,000cPs)の粘度を有するヘアトリートメント組成物を充填し、続いて3つの毛束を吸収性基材と接触させて、毛髪上にヘアトリートメント組成物をコーティングした。両方の場合において、吸収性基材は、ハイライトを達成するのに十分なヘアトリートメント組成物を毛髪に提供することができた。これらの結果を以下の表4に示す。
【0037】
【表4】

【0038】
これらの結果は、100Pa.s(100,000cPs)の粘度値に言及するが、ヘアトリートメント組成物の当業者は、最高約150Pa.s(150,000cPs)までの粘度を有するヘアトリートメント適用組成物を本発明による吸収性基材上になお充填でき、毛髪に適用できることを理解するのが容易であることに気付くであろう。ゆえに、本発明によるヘアトリートメント組成物は、約3Pa.s(3,000cPs)〜約150Pa.s(150,000cPs)、より好ましくは約5Pa.s(5,000cPs)〜約125Pa.s(125,000cPs)、より好ましくは約7Pa.s(7,000cPs)〜約100Pa.s(100,000cPs)、更により好ましくは約9Pa.s(9,000cPs)〜約85Pa.s(85,000cPs)の粘度を有するものと定義され、粘度は、後述する試験方法に従って、適用デバイスへの適用前に測定される。
【0039】
メジアン細孔半径に加えて、規定された吸収能力を選択すると、毛髪上へのヘアトリートメント組成物の適用が同様に改善される可能性があることも確定された。本発明の吸収性基材の吸収能力は、基材1グラム当たりの水の理論的最大取り込み量のグラム数(グラム/グラム)によって記載することができる。本発明の吸収性基材の吸収能力は、以下の試験方法の項に記載の計算に従って確定したときに、好ましくは吸収性基材1グラム当たりヘアトリートメント組成物約10〜約80グラム、好ましくは約15〜約75グラム、より好ましくは約20〜約70グラム、更に好ましくは約25〜約65グラムの範囲である。
【0040】
また、本発明者らは、吸収性基材の選択されたキャリパー範囲が、必要な量のヘアトリートメント組成物を毛髪に供給する際にも役立つ可能性があることを確定した。キャリパーは、後述する試験方法に従って、通常メータによって吸収性基材の表面上の最も高い点で測定される。本発明の吸収性基材のキャリパーは、好ましくは約2〜約20mm、好ましくは約3〜約17mm、より好ましくは約4〜約12mm、更に好ましくは約5〜約10mmの範囲である。
【0041】
同様に、特定の坪量を有する吸収性基材材料の選択も、吸収能力を高める可能性がある。好ましくは、本発明の吸収性基材は、また、後述する試験方法に従って、約20〜約300g/m2、好ましくは約60〜約250g/m2、より好ましくは約100〜約200g/m2の坪量を有する。
【0042】
理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、選択されたメジアン細孔半径及びキャリパーの組合せが、吸収性基材の液体透過性に影響を与えると考えている。液体透過性は、材料が流体を運ぶ能力の指標である。
【0043】
本発明の目的では、毛髪という用語は、生きている毛髪、すなわち、生物上の毛髪と、生きていない毛髪、すなわち、かつら、ヘアピース、又は生きていないケラチン繊維の他の集合体との両方を指す。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が意図される。ただし、羊毛、毛皮、及び他のケラチン繊維が、本発明によるヘアトリートメント適用システム(10)とともに使用されるのに適しているかもしれない。
【0044】
毛髪ストランドという用語は、本発明の目的では、少なくとも2本のケラチン繊維、特に毛髪、特にヒトの毛髪を指しており、毛束と解釈すべきである。
【0045】
本明細書で使用するとき、ヘアトリートメント組成物に言及するときの用語「適用される」は、コーティングされる、充填される、吸収される、吸着される、及び接着されることを含むものである。
【0046】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の説明から更によく理解されるものと考えられる。
【0047】
1.プレート
本発明のヘアトリートメント適用デバイス(1)は、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含み、両方のプレート(10;20)が人間工学的サイズであり、ゆえに、いずれの手にも容易に適合することができる。プレートの形状は、様々であってよい。長方形、正方形、円形、楕円形、又は長円形は、製造が容易であるので有用であってよいが、他の形状、特に、消費者によって容易に認識される形状が使用されてもよい。図1に示されるように、各プレート(10;20)は、内表面(101;201)及び外表面(102;202)を含む。プレート(10;20)のうちの少なくとも1つの内表面(101;201)は、後述するように、吸収性基材(40)を含む第1の領域と、吸収性基材(40)を含まない第2の領域とを有する。
【0048】
各プレート(10;20)の内表面(101;201)及び/又は外表面(102;202)は、独立して、平らであっても又は湾曲していてもよく、好ましくは、外表面(102;202)は、湾曲している。各プレート又はその少なくとも一部分は、1つ以上のV字形溝、1つ以上のU字形溝、又はそれらの組合せを含んでもよい。溝は、独立して、いずれか又は両方のプレート(10;20)の内表面及び外表面(101;201;102;202)のいずれか又は両方の上に配置してもよい。
【0049】
各プレートは、同一又は異なるサイズ及び形状のものとしてもよい。好ましくは、第1のプレートの形状は、製造が容易なように、第2のプレート(10;20)の形状の鏡像である。
【0050】
プレート(10;20)の各内表面(101;201)は、約2cm2〜約70cm2、好ましくは約3cm2〜約50cm2、より好ましくは約4cm2〜約30cm2の面積を有してもよい。
【0051】
特定の実施形態では、第1のプレート(10)及び/又は第2のプレート(20)の少なくとも一部分は、第1のプレート(10)内に形成されたくぼみ、好ましくは凹状のくぼみを含んでもよい。他の特定の実施形態では、第1のプレート(10)及び/又は第2のプレート(20)の少なくとも一部分は、キャビティ、好ましくは凹状のキャビティを形成してもよい。また、キャビティ、溝、及びくぼみの組合せが、同一のヘアトリートメント適用デバイス(1)内に存在してもよい。
【0052】
第1及び/又は第2のプレート(10;20)の内表面(101)は、内表面(101;201)との視認可能又は触知可能な相違を有する1つ以上の区域を更に含んでもよい。1つ以上の区域は、必ずしもいずれかの領域に対応するわけではなく、内表面(101;201)に直接接触している。視認可能又は触知可能な相違は、色若しくは色合いの相違、パターン、マーキング、又はエンボスの相違を含む。
【0053】
各プレート(10;20)は、独立して、ヘアトリートメント組成物を支持可能な、いずれか既知の材料又は材料の組合せから製造されてもよい。好適な材料は、ポリオレフィンのようなポリマー樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレート(teraphthalate)である。使用できる他の材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーン若しくは熱可塑性エラストマー、適切な場合熱可塑性バルカネート(vulcanate)若しくはコポリマー、可撓性のある柔軟な基材、例えば板紙、金属系の基材及びアルミニウム箔、フィルム状基材、若しくは多数の積層、又は材料の多数の層の組合せが挙げられる。
【0054】
プレート(10;20)の製造方法としては、射出成形、同時射出成形、オーバーモールディング、インモールドアセンブリ、圧縮成形、吹込成形、ブリスター型シェルの熱成形若しくは真空成形、及び水平面又は垂直面におけるキャリアプラスチック、若しくはボード材料上の積層が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
2.連結部
第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を繋ぎ合わせるための連結部(30)の選択は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)の制御についてのユーザの認識を改善し、ユーザが片手を用いて正確及び容易にヘアトリートメント適用デバイス(1)を誘導できるようにし、また、後頭部又は頭皮に近い毛髪の根元など、面倒な部分への接近を可能にする。更に、連結部(30)によって、ユーザは、それぞれの適用後に第2のプレート(20)上の第1のプレート(10)の位置を調節する必要なしに、ある毛髪ストランドから別の毛髪ストランドへとヘアトリートメント適用デバイス(1)を動かすことができるようになる。
【0056】
本発明によるプレート(10;20)間の連結部(30)は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)を閉じられた状態又は開いた状態にできるようにする。ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態にあるときには、第1のプレート(10)は、第2のプレート(20)に対して重ねられた関係にあり、ヘアトリートメント適用デバイス(1)が開いた状態にあるときには、第1のプレート(10)は、第2のプレート(20)から離れている。ヘアトリートメント適用デバイス(1)が開いた状態にあるときには、第1及び第2のプレート(10;20)の内表面(101;201)間の角度は、5°〜360°、好ましくは30°〜185°、より好ましくは少なくとも50°の範囲としてもよい。第1のプレート(10)と第2のプレート(20)との間の連結部(30)は、好ましくは弾力的な性質である。特定の実施形態では、ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、開いた状態にあることができ、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、それらの外表面(102;202)上に圧力を加えることによって重ねられた関係にあってもよい。特定の実施形態では、適用デバイス(1)は、閉じられた状態にあってもよく、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の内表面(101;201)を遠ざけるには、連結部(30)に圧力を加えなければならない。他の特定の実施形態では、適用デバイス(1)は、閉じられた状態にあり、各プレートは、第1及び第2のプレート(10、20)の分離を助けるために親指及び人差し指をそこに位置決めするよう、留め具手段を備える。それらの最初の向きとは無関係に、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の両方が、連結部(30)の周りで旋回することにより跳ね戻りによってそれらの最初の向きを再構築してもよい。連結部(30)の特徴は、連結部を製造するために使用される材料の固有の特性とすることもでき、又は連結部自体の設計によってもたらすこともできる。連結部(30)は、いくつかの用途内での有用性に影響を与えるように破損する又は損傷を受けるべきではない。連結部(30)は、ユーザによって加えられる圧力に対してあまり抵抗力があるべきではなく、さもなければ繰り返し使用する間にユーザの手及び指が痛むおそれがある。他方、連結部(30)は、あまり緩すぎるべきではなく、さもないと、適用デバイス(1)の誘導の認識がなくなる。跳ね戻り特性は、有効であるべきであり、さもなければ、第1及び第2のプレート(10;20)が常に重ねられた関係のまま又は離れたままとなるおそれがある。ただし、跳ね戻りは、制御不可能にまた予期せずに起こるべきではなく、それは、さもなければ、第1の領域内に含まれる吸収性基材(40)材料又は他のあらゆる追加領域(50)内に含まれる他のあらゆる材料の引裂きを引き起こしかねないからである。制御されない跳ね戻りは、また、ユーザの手及び指を傷つけるおそれがあり、ヘアトリートメント組成物(15)をヘアトリートメント適用デバイス(1)からうっかり移動させて、扱いにくさを引き起こすおそれがある。本発明者らは、驚くべきことに、連結部(30)が、0.1kPa(0.01N/cm2)〜300kPa(30.0N/cm2)、より好ましくは0.1kPa(0.01N/cm2)〜150kPa(15.0N/cm2)、更に好ましくは0.1kPa(0.01N/cm2)〜100kPa(10.0N/cm2)の範囲の適用可能な圧力で機能すべきであること、また、連結部が、0.1kPa(0.01N/cm2)〜300kPa(30.0N/cm2)、より好ましくは0.1kPa(0.01N/cm2)〜150kPa(15.0N/cm2)、更に好ましくは0.1kPa(0.01N/cm2)〜100kPa(10.0N/cm2)の範囲の、開くための跳ね戻り圧力を有するべきであることを見出した。
【0057】
第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、連結部(30)についての上述の要件を満たすいずれか適切な手段によって繋ぎ合わせられる。一実施形態では、各プレート(10;20)は、外表面(102;202)上に、ユーザの指に対応するためのフィッティング手段を含み、ユーザの手を連結部にする。
【0058】
好ましい実施形態では、連結部(30)は、ヒンジである。ヒンジは、「ライブ(live)」射出成形ヒンジ、同時射出ヒンジ、オーバーモールドヒンジ、インモールドアセンブリ、板バネ若しくは他のいずれか適切なバネアセンブリ、ストラップヒンジ、キスカットによって形成された折り目、スコア(score)又はクリース(crease)を含めた、多くの方法で形成することができる。
【0059】
特定の実施形態では、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の両方が、それらの設計に組み込まれたヒンジの雌部分を有する。ヒンジの雌部分は、第1及び第2のプレート(10;20)についての製造プロセスの間、例えば、射出成形プロセスの間に作り出される。ピンは、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)上に作り出されたヒンジの両方の雌部分に嵌合するように設計される。ピンは、好ましくは方形の形状のものであり、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンなどのポリマー樹脂から製造される。ピンは、プレート(10;20)の雌部分へと組み立てられて、ヒンジを作り出す。
【0060】
特定の実施形態では、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の両方を、例えばポリプロピレンから、同一の射出成形金型内で製造してもよい。やはりポリプロピレン製の一体成形ヒンジを、第1のプレート(10)と第2のプレート(20)との間に作り出してもよい。ポリプロピレンは、破損せずに何度も曲げることのできる一体成形ヒンジを提供するために使用してもよい。一体成形ヒンジは、通常、離型プロセスの間、閉じられる。
【0061】
特定の実施形態では、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の両方を、例えばポリプロピレンから、同一の射出成形金型内で製造してもよく、ヒンジは、熱可塑性エラストマー若しくは熱可塑性バルカネート(vulcanate)又はヒンジに上述の特性を与えるために使用できる他のいずれかの材料の、同時射出、インモールドアセンブリ、又はオーバーモールディングによって作り出すことができる。
【0062】
3.領域
第1の領域は、少なくとも1つの吸収性基材(40)の存在によって特徴付けられる、少なくとも第1のプレート(10)の内表面(101)の区域である。少なくとも1つの吸収性基材(40)は、第1のプレート(10)の内表面(101)に直接接触する内側表面と、外側表面と、外側部と、を含む。吸収性基材(40)は、ヘアトリートメント組成物(15)の適用時の扱いにくさを避けるための優れた手段をヘアトリートメント適用デバイス(1)に提供して、ヘアトリートメント組成物(15)の漏出若しくは滲出を防ぎ、したがって、特に根元に近い、毛髪上へのヘアトリートメント組成物(15)の過剰な量の付着をまねくブロッビング(blobbing)の形成を防ぐ。ヘアトリートメント組成物(15)のそのようなブロッブ(blobs)は、また、他の毛髪ストランドをまたいで流出して、隣のストランドでの許容できない醜い処理を引き起こす、又は適用デバイス(1)の外に滲出するおそれがある。更に、ヘアトリートメント組成物(15)は、頭皮に到達して、皮膚の炎症を引き起こすおそれがある。
【0063】
第2の領域(50)は、吸収性基材(40)を含まない区域である。第2の領域(50)は、好ましくは第1の領域に隣接する、少なくとも第1のプレート(10)の内表面(101)上の区域であり、空きスペース、多孔質の圧縮性材料、多孔質の非圧縮性材料、非多孔質の圧縮性材料、非多孔質の非圧縮性材料、少なくとも1つの歯、少なくとも1つの刷毛、又はこれらの組合せを含む。
【0064】
吸収性基材(40)を含まない区域の存在は、ヘアトリートメント組成物(15)を毛髪に適用するために第1及び第2のプレート(10;20)が重ねられた関係におかれたときの、ヘアトリートメント組成物(15)の管理を可能にする。
【0065】
多孔質の圧縮性及び/又は非圧縮性材料は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態におかれたときに、ヘアトリートメント組成物がヘアトリートメント適用デバイス(1)から滲出又は漏出するのを防ぐ際に役立つことができる。更に、それらの材料は、より多くの量のヘアトリートメント組成物(15)を収容してもよく、したがって、ヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填できるヘアトリートメント組成物の体積を増大させる。
【0066】
非多孔質の圧縮性及び非圧縮性材料は、同様に、ヘアトリートメント組成物(15)がヘアトリートメント適用デバイス(1)から滲出又は漏出するのを防ぐ際に役立つことができるが、特に、それらの材料は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)内のヘアトリートメント組成物(15)の動きを止める又は大きく低減するのに役立つことができる。
【0067】
歯を含めた非圧縮性材料は、ユーザがプレート(10;20)を過度に圧縮するのを避けるのに役立つことができ、ゆえに、有効な停止機構の役割を果たすことができる。
【0068】
刷毛は、処理されるべき毛束が本発明によるヘアトリートメント適用システムと接触されるときに、毛髪ストランドのもつれをほどくのに役立つことができる。
【0069】
本発明の範囲内には、また、第2の領域(50)内でのこれらの材料の組合せが含まれる。
【0070】
特定の実施形態では、第1の領域の少なくとも1つの吸収性基材(40)は、図1、図2、及び図3に示されるように、第1のプレート(10)の周縁部(103)に沿った連続ストリップとして延びてもよい。これらの特定の実施形態では、吸収性基材(40)は、約1.00cm〜約80.00cm、好ましくは約3.00cm〜約50.00cm、より好ましくは約6.00cm〜約30.00cmの長さを有してもよい。吸収性基材(40)は、一定又は可変幅のものとしてもよい。吸収性基材(40)は、連続的であっても不連続であってもよく、連続的とは、吸収性基材(40)が場所(loci)も島(islets)も形成しないこと、又はそれが遮断されないことを意味する。好ましくは、吸収性基材(40)は、連続的である。吸収性基材(40)が連続的であるときには、吸収性基材(40)は、約0.05cm〜約4.00cm、好ましくは約0.10cm〜約3.00cm、より好ましくは約0.50cm〜約2.50cmの幅を有する。吸収性基材(40)が不連続であるときには、それは、約0.00cm〜約4.00cm、好ましくは約0.00cm〜約3.00cm、より好ましくは約0.00cm〜約2.50cmの幅を有し、吸収性基材(40)は、吸収性基材(40)が存在しない場合、約0.00cmの幅を有する。吸収性基材(40)が不連続であるときには、少なくともいくつかの部分は、少なくとも0.05cm、好ましくは少なくとも0.10cm、より好ましくは少なくとも0.50cmの幅を有する。
【0071】
いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つの吸収性基材(40)は、内表面(101)上を連続ストリップとして、内表面(101)から上方に延び、連続ストリップは、ヘアトリートメント組成物(15)が充填される区域を、第1のプレート(10)の内表面(101)上に画定する。これらの実施形態のいくつかの例が、図1、図2、及び図3に示されている。吸収性基材(40)の幾何学形状は、ヘアトリートメント組成物(15)をどこに充填すべきか、及び/又はヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填されるべきヘアトリートメント組成物(15)の正確な量をユーザに示すのに役立つことができる。
【0072】
特定の実施形態では、吸収性基材(40)の外側の少なくとも一部分は、図3に示されるように不透過性膜(105)を含むことができる。好ましくは、吸収性基材(40)の外側部は、不透過性膜(105)を含む。不透過性膜に適した材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)又はコポリマーが挙げられる。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はコポリマー、あるいは静電フロッキング若しくはシールされた不織布若しくはシールされた発泡体構造を含め、他の材料を使用することができる。
【0073】
そのうちの1つが図4に示される、特定の実施形態では、第1の領域は、第1のプレート(10)の内表面(101)上のほぼ中央に配置される。第2の領域(50)は、いずれの材料も含まず、第1の領域の吸収性基材(40)全体を囲むことができる。
【0074】
他の特定の実施形態では、第1の領域は、図5及び図6に示されるように第1のプレート(10)の内表面(101)に取り付けられた多数の吸収性基材(40)を含むことができる。図5では、方形の吸収性基材(40)が、第1のプレート(10)の内表面(101)の上に位置決めされる。吸収性基材(40)の形状及びサイズ並びに種類は、様々であってよい。他の特定の実施形態では、吸収性基材(40)は、星形、ハート形、花形、十字架形、又は消費者が容易に認識可能な他の形状など、様々な形状を有してもよい。多数の吸収性基材(40)の形状又は配置は、エスニックパターン、表意文字などの東洋の文字、及び類似のパターンなどのパターンを形成してもよい。具体的には、図6は、多数の波形吸収性基材(40)が第1のプレート(10)の内表面(101)の第1の領域上に取り付けられた、本発明の一実施形態を示す。図5及び図6では、第2の領域(50)は、いずれの材料も含まず、第1の領域の多数の方形又は波形吸収性基材(40)を囲む。
【0075】
図1、図2、図3、及び図4に示される実施形態では、第2のプレート(20)は、いかなる追加特徴にも占められていないが、本発明の範囲内では、また、第2のプレートの内表面(201)上に、多孔質及び/又は非多孔質の圧縮性及び/又は非圧縮性材料、歯又は刷毛、櫛状構造、並びに後述する他の任意特徴が取り付けられた諸実施形態が考えられる。第2のプレート(20)は、第1のプレート(10)の鏡像であってよい。具体的には、図5は、本発明の範囲内で吸収性基材(40)がそこに取り付けられた第1の領域を両方の内表面(101;201)が有する、一実施形態を示す。
【0076】
4.吸収性基材及び他の材料
本発明で使用するのに適した吸収性基材は、不織布、織布、多孔質発泡体及び発泡材料、多孔質プラスチック、可撓性フリット(flexible frits)、メッシュ、並びに、構造が上述の機能的要件を満たすことを条件として、物理的に重ね合わされた、不連続パターンで連続的に接合された(積層された)、又は別個の場所(loci)で外縁部を結合することによって接合された、同一又は異なる材料の1つ以上の層を有する再生された材料及び複合材料を含有する、これらの組合せから選択してもよい。
【0077】
本発明の吸収性基材は、好ましくは、不織布及び/又は多孔質発泡体から選択される。
【0078】
不織布材料は、ステープル若しくは連続フィラメントであってよい繊維から、又はその場(in situ)で形成できる繊維から製造され、それらには、製造されたシート、ウェブ若しくはバット、又は摩擦、及び/若しくは凝集及び/若しくは接着によって結合された、方向的に配向された又はランダム配向された繊維が含まれる。不織布ウェブ及びそれらを作製するプロセスは、3つの工程、すなわち、繊維の重ね合わせ(fiber laying)、前駆体ウェブの形成、及び繊維の結合を含んでもよい。繊維の重ね合わせ工程は、形成表面上のウェブを構成する繊維から、スパンレイイング、メルトブロー、カーディング、エアレイイング、ウェットレイイング、及びこれらの組合せから構成されてもよい。前駆体ウェブの形成工程は、結合工程中に、ウェブを構成する繊維がバラバラになるのを防止する可能性がある。前駆体ウェブの形成は、本来は化学的又は機械的であるような、事前結合工程によって実施してもよい。結合工程は、その後、完成したウェブに強度を与えてもよい。結合工程は、ウェブを構成する繊維を水流交絡(HET)、コールドカレンダー加工、ホットカレンダー加工、エアースルー結合、化学結合、ニードルパンチング、及びこれらの組合せにさらすことから構成されてもよい。好適な不織布材料は、アセテート繊維、アクリル繊維、セルロースエステル繊維、モダクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維、ケラチン繊維、セルロース繊維、絹繊維、及びこれらの組合せから選択される、天然又は合成繊維から構成してもよい。不織布は、ポリオレフィン若しくはポリエステル等のモノコンポーネント構成成分繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン若しくはポリエチレン/ポリエステルのシース/コア繊維又は並列繊維などのバイコンポーネント繊維、あるいは2つ以上の熱可塑性ポリマーのブレンドによって構成される2組成繊維(bi-constituent fibers)から構成してもよい。
【0079】
好ましい不織布基材は、カーデッド、エアレイド、及びメルトブロウン不織布材料又は複合材から選択される。より好ましくは、本発明の不織布基材は、1つ以上の異なる種類の繊維を用いてカーディング機械によって製造されたカーデッドウェブから選択される。更に好ましくは、本発明の不織布基材は、しばしば詰綿(batting battings)と呼ばれる、スルーエア結合又はニードルパンチングによってまとめられた、多層又は嵩高なウェブから選択される。本明細書で使用するのに適したカード不織材の例としては、リベルテックス・サーモコンタクト(Libeltex Thermo-contact)01−766 DI−8;リベルテックス・ロフトフィル(Libeltex Loftfill)HC2、PGI FB−215、PGI FB−204B、PGI FB−185、及びPGI FB−217が挙げられる。
【0080】
多孔質発泡体及び発泡材料は、低密度エラストマー、プラスチック、及び様々な多孔度を持つ他の材料から作製され、モールディング、キャスティング、押出成形、引抜成形、機械加工、熱成形、プラスチック溶接、吹込み成形、ラピッドプロトタイピング技術、研削(grinding)、及び/又は他の特殊プロセスを使用して完成形状へと加工できる、連続気泡発泡体、可撓性発泡体、剛性発泡体、並びに網状発泡体(reticular foams)、及びシンタクチックフォームから選択してもよい。多孔質発泡体及び発泡材料は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリル、エポキシ樹脂、フルオロポリマー、イソプレン−スチレン(SIS)及びスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、シリコーン、ポリウレタン、及びネオプレンなどの様々な系を主体とする合成ゴム又はエラストマー、ニトリルゴム、天然ゴム(ポリイソプレン)若しくは硬化型繊維(vulcanized fibre)等、天然若しくは植物系原料から形成されるプラスチック又はエラストマー、水性及び水系の樹脂並びにラテックス材料を包含する、様々な化学系から構成してもよい。多孔質発泡体及び発泡材料のための化学系としては、エチレンコポリマー、発泡ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリウレタン、フェノール、ポリ尿素、及びビニルが挙げられる。
【0081】
多孔質プラスチックは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリビニルジフルオリド(PVDF)を包含する多種多様な材料から作製することができる。それらは、モールドをごく小さなプラスチックペレットで満たし、それらのペレットが触れている場所で結合するように、モールドを熱及び圧力にさらすことによって作製される。この部分は、次いで、モールドの外で加熱され、この工程の間に大きく縮んで、それを強化する。
【0082】
多孔質発泡体は、好ましくはポリウレタン発泡体である。多孔質発泡体の好適な例は、レクティセル・インターナショナル(Recticel International)(ベルギー)から入手可能であり、スイーペクス(Sweepex)S 31 CS/R、ブルプレン(Bulpren)S28280、ブルプレン(Bulpren)D32133、フィルトレン(Filtren)T23220、及びフィルトレン(Filtren)TM 23133が挙げられる。
【0083】
吸収性基材(40)は、その方法が吸収性基材(40)の性能を損なわない又は変化させないことを条件として、いずれか適切な方法でプレート(10;20)の内表面(101;201)に取り付けることができる。有用な方法は、これらに限定するものではないが、圧力、超音波力、ラジオ波若しくは高周波を包含する熱溶接、同時押出された熱活性化接着剤、繊維によるフロッキングなどの静電付着である。吸収性基材(40)は、両面テープ、熱硬化性樹脂、ホットメルト及びコールドシール、接着、若しくは押出積層を包含する、接着剤によって適用デバイス(1)に取り付けられてもよい。ベルクロ(Velcro)(登録商標)、クランプ固定、スナップロック、シール・ビーズ、止めピン及び磁性などの機械的インターロック又はエンタングルメントを使用して、材料を適用デバイス(1)に接着してもよい。
【0084】
最終的に、本発明による吸収性基材(40)は、ヘアトリートメント組成物(15)に対して実質的に不活性であることが好ましい。
【0085】
他の追加の領域に適した多孔質の圧縮性又は非圧縮性材料は、不織布;織布;多孔質発泡体及び発泡材料;多孔質プラスチック;可撓性フリット(flexible frits);メッシュ;スポンジ、並びに、構造が上述の機能的要件を満たすことを条件として、物理的に重ね合わされた、不連続パターンで連続的に接合された(積層された)、又は別個の場所(loci)で外縁部を結合することによって接合された、同一又は異なる材料の1つ以上の層を有する再生された材料及び複合材料を含めた、これらの組合せから選択してもよい。
【0086】
有用な非多孔質の圧縮性材料は、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)、又はコポリマーなどの材料を含む。適切な熱可塑性材料としては、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、及びポリスチレンが挙げられる。適切な例としては、ミズーリ州セントルイス(St. Louis)のモンサント社(Monsanto, Inc.)によって販売されるサントプレーン(Santoprene)(登録商標)などのエチレン−プロピレンジエンモノマーゴム;デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン・ポリマー・プロダクツ(DuPont Polymer Products)によって販売されるアルクリン(Alcryn)などのハロゲン化ポリオレフィン;テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company)によって販売されるクラトン(Craton)などの無水マレイン酸によるスチレン−ブタジエンブロックコポリマーの水素添加付加物;SEBS(シーケンスド(sequenced)スチレン−エチレン−ブタジエン)ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、又はエチレンビニルアルコールを含めた他の材料を使用することができる。
【0087】
刷毛(bristle)に適した材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)又はコポリマーなどの合成材料である。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はコポリマー、あるいは静電フロッキング又は不織布若しくは発泡体構造、又は馬の毛などの天然源を含め、他の材料を使用することができる。ワイヤ形態の刷毛又はブラシは、必要とされる性能を達成するために、まっすぐな、湾曲した、又は縮れたものとしてもよい。
【0088】
歯に適した材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)又はコポリマーが挙げられる。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はコポリマー、あるいは静電フロッキング又は不織布若しくは発泡体構造を含め、他の材料を使用することができる。
【0089】
上述の材料は、同時射出されることも、オーバーモールドされることも、インモールドアセンブルされることも、又は接着積層や熱結合によって取り付けることもでき、それらは、取り外し可能であっても、又は永久的に取り付けられてもよい。これらの材料を適用デバイス(1)に取り付けるのに適したいずれの方法も、その方法が材料の性能を損なわない又は変化させないことを条件として、本明細書で使用してもよい。有用な方法は、これらに限定するものではないが、圧力、超音波力、ラジオ若しくは高周波を含めた熱溶接、同時押出された熱活性化接着剤、繊維によるフロッキングなどの静電付着である。第2の領域内に含まれるこれらの材料は、また、両面テープ、熱硬化性樹脂、ホットメルト及びコールドシール、接着若しくは押出積層を含め、接着剤によって適用デバイス(1)に取り付けられてもよい。また、ベルクロ(Velcro)(登録商標)、クランプ固定、スナップロック、シール・ビーズ、係止ピン、及び磁気などの機械的インターロック又は絡み合い(entanglement)を使用して、材料を適用デバイス(1)に接着してもよい。
【0090】
5.ヘアトリートメント組成物
上述で論じたように、本発明者らは、驚くべきことに、期待される技術的効果をもたらすためには、ヘアトリートメント組成物(15)の粘度は、本発明の他の必須特徴と組合せて選択されなければならないと確定した。したがって、驚くべきことに、ヘアトリートメント組成物(15)の有効な適用には、少なくとも1つのヘアトリートメント組成物(15)が約3Pa.s(3,000cPs)〜約150Pa.s(150,000cPs)、好ましくは約5Pa.s(5,000cPs)〜約125Pa.s(125,000cPs)、より好ましくは7Pa.s(7,000cPs)〜約100Pa.s(100,000cPs)、更に好ましくは約9Pa.s(9,000cPs)〜約85Pa.s(85,000cPs)の粘度を有することが判明した。
【0091】
ヘアトリートメント組成物(15)の粘度は、ヘアトリートメント組成物(15)がヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填される前に測定される。粘度は、液体ヘアトリートメント組成物(15)のみについて測定される。そこで使用される液体ヘアトリートメント組成物という用語は、それらが頭部に供給されるときには液体形態であること、及び本明細書で請求される範囲内の粘度を有することを条件として、ペースト、ゲル、溶液、油中水型エマルション、又は他の適切な形態など、液体形態のヘアトリートメント組成物(15)を意味する。好ましくは、組成物は、良好な接着特性を提供するゲルの形態で適用される。ヒドロゲルは、適用デバイス(1)の吸収性基材(40)内でのヘアトリートメント組成物(15)の拡散及び吸収を促進する水の供給源を提供するので、特に好ましい。
【0092】
本発明によれば、所望のヘアトリートメント組成物(15)混合物を提供するための多くの方法が存在する。
【0093】
同一の2つのヘアトリートメント組成物(15)が独立して充填され、次いでヘアトリートメント適用デバイス(1)内で混合されるときには、ヘアトリートメント組成物(15)の粘度は、ヘアトリートメント組成物(15)の1つが、ヘアトリートメント適用デバイス(1)上に充填する前に測定される。
【0094】
異なる2つのヘアトリートメント組成物(15)が、ヘアトリートメント適用デバイス(1)内への充填前に予め混合されるときには、粘度は、予め混合されたヘアトリートメント組成物がヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填される前に、得られた混合されたヘアトリートメント組成物(15)で測定される。
【0095】
異なる2つ(又はそれ以上)のヘアトリートメント組成物(15)が、アプリケータデバイス(1)内に独立して充填され、次いでヘアトリートメント適用デバイス(1)内で混合されるときには、単一のヘアトリートメント組成物(15)の粘度はそれぞれ、ヘアトリートメント適用デバイス(1)内への充填前に測定される。後でヘアトリートメント適用デバイス(1)内で混合される異なる2つの組成物をヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填することを伴う諸実施形態では、得られる混合ヘアトリートメント組成物(15)が、約3Pa.s(3,000cPs)〜約150Pa.s(150,000cPs)の粘度を有することが好ましい。そのような諸実施形態では、得られる混合されたヘアトリートメント組成物(15)の粘度は、試験方法の項で後述するように、ヘアトリートメント適用デバイス(1)内への充填前に2つ(又はそれ以上)のヘアトリートメント組成物(15)を混合することによって確定される。
【0096】
ヘアトリートメント組成物(15)のうちの1つが粉末である場合には、粉末と別の液体ヘアトリートメント組成物(15)とを混合して得られるヘアトリートメント組成物(15)の粘度が測定される。
【0097】
また、一部のヘアトリートメント組成物(15)では、扱いにくさのない状態、良好な性能、及び選択された毛髪ストランド内だけへのヘアトリートメント組成物(15)の正確な適用を促進して、毛髪の残りの部分への接触汚染を避けるために、高度なずり減粘レオロジーを有することが望ましい。
【0098】
6.ヘアトリートメント組成物の種類
本明細書で選択された範囲内の粘度を有することを特徴とするいずれのヘアトリートメント組成物(15)も、基礎を成す発明において使用することができ、上述の技術的効果を達成するために選択された吸収性基材(30)内に充填することができる。吸収性基材(30)(単数又は複数)に適用してよいヘアトリートメント組成物(15)の例を、以下で論じる。好適なヘアトリートメント組成物(15)としては、シャンプー、コンディショナー、スタイリング組成物、毛髪着色剤、漂白剤、及びハイライト処理組成物が挙げられる。
【0099】
したがって、組成物は、ヘアトリートメント組成物(15)での使用が知られている構成成分、ヘアトリートメント組成物(15)で従来使用される構成成分、又はヘアトリートメント組成物(15)での使用が他の何らかの形で有効な構成成分、特に、酸化漂白及び染料組成物を含むことができ、それらには、顕色染料(developer dye)化合物;カップラー染料化合物;直接染料;酸化剤;増粘剤;キレート剤(chelants);pH調整剤及び緩衝剤;カーボネートイオン源及びラジカルスカベンジャーシステム;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、若しくは双極性界面活性剤、又はそれらの混合物;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、若しくは双極性ポリマー、又はそれらの混合物;芳香剤;分散剤;過酸化安定化剤;タンパク質及びそれらの誘導体、植物材料(例えば、アロエ、カミツレ、及びヘンナ抽出物);シリコーン(揮発性若しくは不揮発性、変性若しくは無変性)、膜形成剤、セラミド、防腐剤、変色指示薬、並びに不透明化剤が挙げられるが、これらに限定されない。上述で言及した適切ないくつかの補助剤は、特に後述はしないが、「国際化粧品成分辞典及びハンドブック(International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook)」(第8版、トイレ化粧品・香料協会(The Cosmetics,Toiletry,and Fragrance Association))に列記されている。特に、第2巻、3項(化学分類)及び4項(機能)は、特定の目的又は複数の目的を達成するための具体的な補助剤を識別するのに有用である。
【0100】
A.溶媒
染色に適した媒質は、水、又は水と典型的には水に十分には溶解しない化合物を溶解させるための少なくとも1つの有機溶媒との混合物から選択されてよい。本明細書で使用するのに適した有機溶媒としては、これらに限定されないが、C1〜C4低級アルカノール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)、芳香族アルコール(例えば、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノール);ポリオール及びポリオールエーテル(例えば、カルビトール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、モノメチルエーテル、ヘキシレングリコール、グリセロール、エトキシグリコール)、並びにプロピレンカーボネートが挙げられる。有機溶媒は、典型的に組成物の約1重量%〜約30重量%の範囲の量で存在する。好ましい溶媒は、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、1,2−プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、及びこれらの混合物である。
【0101】
B.酸化染料化合物
本発明の組成物は、一次中間体又はカップラーの形態の酸化染料化合物を包含してよい。本発明の組成物で使用するのに適した化合物(任意で添加されるものを包含する)は、それらが塩基である限り、遊離塩基として、又は塩化水素など、有機酸若しくは無機酸とのそれらの生理学的に適合性のある塩の形態で、使用してもよい。
【0102】
典型的に、任意のカップラーは、凝集体中では組成物中のカップラー及び本発明の離散粒子凝集体及び/又は粒塊の濃度が、毛髪染色組成物の約0.002重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の範囲になるような量で存在する。任意の一次中間体は、有効染色濃度で、典型的には毛髪染色組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の量で存在する。本発明の毛髪染色組成物中の染料化合物の総量は、典型的に、毛髪染色組成物の約0.002重量%〜約20重量%、好ましくは約0.04重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約7重量%にわたるであろう。
【0103】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール、及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見ることができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本発明における組成物及びプロセスを限定する目的でないことを理解すべきである。トルエン−2,5−ジアミン、p−フェニレンジアミン、n−フェニル−p−フェニレンジアミン、レゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、1−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、p−メチルアミノフェノール、ヒドロキシベンゾモルホリン、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、フェニルメチルピラゾロン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、3−アミノ−2,4−ジクロルフェノール(dichlorphenol)、2−メチルレゾルシノール、n,n−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テトラミノピリミジン、4−アミノ−m−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾール、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)−プロパン、ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール、ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン、ジヒドロキシインドール、5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール、ヒドロキシプロピル−ビス−(n−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン)、6−ヒドロキシインドール、イサチン、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシエチルアミノトルエン、2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノール、ジヒドロキシインドリン、1−アセトキシ−2−メチルナフタレン、1−ヒドロキシエチル(hydroxyyethyl)−4,5−ジアミノピラゾール、2,2’−メチレンビス−4−アミノフェノール、2−メチル−1−ナフトール、4−ホルミル−1−メチルキノリニウム−p−トルエンスルホネート。これらは、分子形態又は過酸化物適合性塩の形態で使用することができる。
【0104】
本発明の毛髪染色組成物はまた、非酸化的毛髪染料を含んでもよい。すなわち、直接染料は単独で又は上述した酸化染料と組合せて使用されてもよい。適した直接染料としては、アゾ若しくはアントラキノン染料及びベンゼン系のニトロ誘導体及び又はメラニン前駆体、並びにこれらの混合物が挙げられる。このような直接染料は、色合いの改質又はハイライトをもたらすのに特に有用である。特に好ましいものは、塩基性赤色51、塩基性橙色31、塩基性黄色87、及びこれらの混合物である。
【0105】
C.アルカリ化剤
本発明によれば、組成物は、また、アルカリ化剤源を少なくとも1つ含んでよい。アルカノールアミド、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、並びにグアニジウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、並びにこれらの混合物など、当該技術分野において既知のいずれの剤を使用してもよい。
【0106】
本発明の組成物は、約0.1重量%〜約40重量%、好ましくは約1.0重量%〜約35重量%、最も好ましくは約2重量%〜約30重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0107】
D.酸化剤
組成物は、毛髪中のメラニン色素を漂白するために、及び/又は酸化染料前駆体(存在する場合、顕色剤及び/又はカップラーを含む)から染料発色団の形成を引き起こすために十分な量で存在する酸化剤を含んでもよい。通常、そのような量は、顕色剤組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは約3重量%〜約15重量%、より好ましくは約6重量%〜約12重量%にわたる。水性媒質中で過酸化水素を生成可能な無機過酸素材料が好ましく、それには、過酸化水素;無機アルカリ金属過酸化物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム);有機過酸化物(例えば、過酸化尿素、過酸化メラミン);無機過水和物塩漂白化合物(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及びこれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのは、過酸化水素及び過硫酸塩である。過硫酸塩粉末は、後述する別の液体ヘアトリートメント組成物と混合してよく、又は代替的に、それらが物理的に収容され、重力下で基材から容易には出て行かないような手段で、吸収性基材の内表面及び/又は外表面に粉末粒子を適用することによって物理的に動かなくすることもできる。これは、過流酸塩ブレンドを収容する吸収性基材内の中空ポケット又はリザーバによって達成することができる。
【0108】
E.pH調整剤及び緩衝剤
組成物は、組成物のpHを約3〜約13、好ましくは約8〜約12、より好ましくは約8〜約11の範囲内になるように調節するのに十分に有効な量のpH調整剤及び/又は緩衝剤を更に含んでもよい。本明細書で使用するのに適したpH調整剤及び/又は緩衝剤としては、アンモニア、アルカノールアミド、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルカリ金属、及び水酸化アンモニウム及び炭酸アンモニウム、好ましくは水酸化ナトリウム及び炭酸アンモニウム、並びにケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩、並びに塩化アンモニウムが挙げられる。
【0109】
F.カーボネートイオン源
本発明の組成物は、好ましい実施形態では、過酸化水素供給源とカーボネートイオン供給源とから、好ましくはその場(in situ)で、形成されたペルオキシモノカーボネートイオン源を、少なくとも1つ更に含んでもよい。ゆえに、本発明によれば、組成物は、また、少なくとも、カーボネート源、若しくはカルバミン酸イオン源、若しくは炭酸水素イオン源、又はこれらのいずれかの混合物を含んでもよい。これらイオンの任意の供給源を利用してもよい。本明細書に用いるのに適した供給源としては、カーボネートイオン、カルバミン酸イオン及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの混合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びこれらの混合物が挙げられる。カーボネートイオンの供給源と酸化剤の双方をもたらすために、過炭酸塩もまた使用されてよい。カーボネートイオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%のカーボネートイオンを含んでよい。
【0110】
G.ラジカルスカベンジャー系
組成物は、着色プロセスの間の毛髪の損傷を低減するのに十分な量のラジカルスカベンジャーを含んでもよい。典型的に、そのような量は、組成物の0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%にわたる。ラジカルスカベンジャーは、アルカリ化剤と同一種ではないように選択するのが好ましい。ラジカルスカベンジャーは、炭酸ラジカルと反応してその炭酸ラジカルを一連の速い反応によってより反応性の低い種へと変換させることのできる種である。好ましいラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸及びそれらの混合物の部類から選択されてよく、これらに限定するものではないが、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、及び上述のもののカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。他の好ましいラジカルスカベンジャー化合物としては、ベンジルアミン、グルタミン酸、イミダゾール、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、カテコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0111】
H.キレート剤
組成物は、配合成分、特に酸化剤、特に過酸化物との相互作用に利用可能な金属の量を削減するのに十分な量のキレート剤を含んでもよい。典型的に、そのような量は、組成物の少なくとも約0.25重量%から、好ましくは少なくとも約0.5重量%からの範囲である。本明細書で使用するのに適したキレート剤としては、ジアミン−N,N’−ジポリ酸、モノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸、及びN,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸キレート剤(好ましくはEDDS(エチレンジアミン二コハク酸))、カルボン酸(好ましくは、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(好ましくは、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖のポリリン酸)、これらの塩及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
I.保湿剤
組成物は、保湿剤を含んでもよい。典型的に、ヘアトリートメント組成物中の保湿剤の量は、組成物の少なくとも約1〜約50重量%、好ましくは約5〜約40重量%、より好ましくは約10〜約30重量%にわたる。本明細書で使用するのに適した保湿剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールなどの多価アルコール、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
J.増粘剤
ヘアトリートメント組成物は、増粘剤を更に含んでもよい。増粘剤は、組成物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約5重量%、更に好ましくは約0.5重量%〜約3重量%のレベルで存在する。
【0114】
ゲル網状組織増粘系を、本発明の目的で増粘剤として使用してもよい。ゲル網状組織増粘系は、高い融点を有する少なくとも1つの低HLB界面活性剤又は両染性物質と、少なくとも1つの追加の第2の界面活性剤とを含む。
【0115】
低HLB界面活性剤又は両染性物質は、6以下のHLBと、少なくとも30℃の融点とを有する。代表的な例としては、以下の化合物(以下の例では、「固形」は30℃未満の温度での物質状態を指す):固形脂肪族アルコール、固形オキシエチレン化(oxyethylenated)脂肪族アルコール、固形グリコールエステル、固形オキシエチレン化アルキルフェノール、固形ソルビタンエステル、固形糖エステル、固形メチルグルコシドエステル、固形ポリグリセリンエステル、固形アルキルグリセリルエーテル、固形プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、及びセラミド、が挙げられる。好ましくは、低HLB界面活性剤は、約14〜30個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコール、約16〜30個の炭素原子及び約2単位以下のエチレンオキシドを含むオキシエチレン脂肪族アルコール、及び約16〜30個の炭素原子を含む脂肪酸のグリセロールモノエステルから選択される。最も好ましくは、低HLB界面活性剤としては、セチル、ステアリル、セトステアリル、又はベヘニルアルコール、ステアレス−2及びグリセロールモノステアレートが挙げられる。
【0116】
ゲル網状組織増粘系の第2界面活性剤は、アニオン性、非イオン性又はカチオン性であってよい。アニオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、式RnXmYMのもの及びそれらの混合物が挙げられ、式中、Rは、8〜30個の炭素原子を有する、アルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基であり、Xは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素又は窒素原子とを含む極性基であり、Yは、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、又はホスフェートから選択されるアニオン基であり、n及びmは、独立して1又は2であり、Mは、水素、又はカチオンを形成する塩である。非イオン性界面活性剤の例としては、7以上のHLBを有し、1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含むものが挙げられ、各ポリエチレンオキシド鎖は、平均して少なくとも約50個のエチレンオキシド単位を含有する。非イオン性界面活性剤として使用するには、7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を含まないものも好適である。カチオン性界面活性剤の例としては、8〜30個の炭素原子を含む脂肪鎖を少なくとも1つ有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。第四級アンモニウム塩は、一般式N+(R1R2R3R4)X−を有し、式中、R1は、約12〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖ラジカルから選択され、R2は、約12〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖ラジカル、又はラジカルR3〜R4と同一の基から選択され、ラジカルR3〜R4は、同一のものであっても異なるものであってもよいが、約1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールなどの芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンなどのヘテロ原子を少なくとも1つ含むことができ、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、式中、X−は、クロリド、ブロミド、及びヨージドなどのハロゲン化物、メチルサルフェート、ホスフェート、アルキル、及びアルキルアリールスルホネートなどの(C2〜C6)アルキルサルフェート、並びにアセテート及びラクテートなどの有機酸から誘導されるアニオンから選択されるアニオンである。カチオン性界面活性剤は、例えば、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ステアラミドプロピルトリモニウムクロリド、アラキドトリモニウムクロリド、及びそれらの混合物から選択される。アミドアミンは、一般式R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3を有し、式中、R’1は、約12〜30個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖ラジカルから選択され、ラジカルR’2及びR’3は、同一のものであっても異なるものであってもよいが、水素、約1〜4個の炭素原子を含む直鎖及び分枝鎖脂肪族ラジカル、アリール及びアルキルアリールなどの芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンなどのヘテロ原子を少なくとも1つ含むことができ、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、式中、nは、1〜4の整数である。アミドアミンは、例えば、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物から選択される。
【0117】
上述で指定したタイプの1つ以上の界面活性剤、又は界面活性剤のいずれかの組合せを使用することができ、指定された第2の界面活性剤に対する低HLB界面活性剤の重量比は、約100:1〜約1:10、好ましくは20:1〜1:2、より好ましくは10:1〜1:1である。
【0118】
アミド界面活性剤は、また、好ましくはカーボネートイオン源と混合されるときには、好適な増粘剤である。アミド界面活性剤は、ポリオキシエチレンアミド又はポリヒドロキシアミドから選択されてよい。ポリオキシエチレンアミドは、式R−(OCH2CH2)x−(OCH2)y−C(O)NH(CH2CH2O)z−Hに従う化合物から選択され、式中、xは0〜100から独立して選択され、yは0又は1であり、zは1〜100から独立して選択され、Rは8〜30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、若しくはアルキルアリール基から独立して選択されるか、又は式に従うポリヒドロキシアミドである。
【0119】
紐状ミセル相増粘系もまた、本発明の目的に適した増粘剤である可能性がある。本発明の紐状ミセル増粘系は、少なくとも1つのイオン性界面活性剤と、イオン性界面活性剤のための対イオンの電解質源とを含む、増粘系として定義される。本明細書において使用するのに適したイオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又はこれらの混合物から選択されてもよい。
【0120】
また、本明細書で使用するのに適した増粘剤としては、合成ポリマー、例えば、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロースなど)、カルボマーポリマー(例えば、架橋されたポリアクリル酸コポリマー若しくはホモポリマー、及びポリアルケニルポリエーテルで架橋されたアクリル酸のコポリマー)、疎水変性ポリアクリル酸ポリマー、天然及び合成ガム、カラヤガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマー、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアミン、ポリクオタナリー(polyquarternary)化合物、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
他の会合型(associative)増粘剤としては、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)(疎水変性アルカリ可溶性アクリルポリマーエマルションである、アクリゾル(Acrysol)(登録商標)ICS−1及びアキュリン(Aculyn)(登録商標)22及び28増粘剤、並びに、疎水変性非イオン性ポリオールである、アキュリン(Aculyn)(登録商標)44及び46増粘剤)が挙げられる。
【0122】
好ましい増粘剤は、ポリマー(ゲル化剤を含める)、クリーム若しくはエマルションと呼ばれるゲル相、及びこれらの組合せから選択される。
【0123】
代表的であるが網羅的ではないポリマー及び増粘剤のリストは、「化粧品用のポリマー及び増粘剤百科事典(The Encyclopaedia of Polymers and Thickeners for Cosmetics)」、ロバート・Y・ロックヘッド(Robert Y. Lochhead)PhD及びウィリアム・R・フロン(William R. Fron)編集・監修、南ミシシッピ大学(University of Southern Mississippi)、ポリマー科学学部(Department of Polymer Science)に見ることができる。
【0124】
クリーム若しくはエマルションと呼ばれる好適なゲル相は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0125】
7.追加特徴
本発明による必須特徴と組合せるのに有用ないくつかの追加特徴の詳細な説明を、以下に提供する。これらの追加特徴は、所望により、第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)の内表面(101;201)又は外表面(102;202)上に配置してもよい。好ましくは、これらの特徴のいくつかをプレート(10;20)の内表面(101;201)上に配置してもよい。また、本発明の範囲内で、同一のヘアトリートメント適用デバイス(1)内での後述する追加特徴の組合せも考えられる。
【0126】
7.1 スクレーパ
ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、スクレーパを更に含んでもよい。スクレーパは、プレートの少なくとも1つ(10)の周縁部(103;203)のところに設けられる非多孔質材料の連続又は不連続ストリップである。好ましくは、スクレーパは、図3に示されるように連続的である。スクレーパは、第1のプレート(10)が第2のプレート(20)に対して重ねられた関係におかれ、ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態にあるときに、ヘアトリートメント組成物(15)の過度の付着を拭き取る。スクレーパが不連続であるときには、スクレーパは、城郭状(castellation)構成を形成するように周縁部(103)に沿って一定間隔又は不規則な間隔で繰り返す。一実施形態では、スクレーパは、両方のプレート(10;20)の周縁部(103;203)のところに存在しており、プレート(10;20)が重ねられた関係におかれるときに、両方のプレートのスクレーパが連続した縁部を提供するように、第1のプレート(10)上のスクレーパは、第2のプレート(20)上のスクレーパと交互に配置される。スクレーパは、非多孔質の圧縮性材料を含む。有用な非多孔質の圧縮性材料は、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)、又はコポリマーなどの材料を含む。適切な熱可塑性材料としては、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、及びポリスチレンが挙げられる。適切な例としては、ミズーリ州セントルイス(St. Louis)のモンサント社(Monsanto, Inc.)によって販売されるサントプレーン(Santoprene)(登録商標)などのエチレン−プロピレンジエンモノマーゴム;デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン・ポリマー・プロダクツ(DuPont Polymer Products)によって販売されるアルクリン(Alcryn)などのハロゲン化ポリオレフィン;テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company)によって販売されるクラトン(Craton)などの無水マレイン酸によるスチレン−ブタジエンブロックコポリマーの水素添加付加物;シーケンスド(sequenced)スチレン−エチレン−ブタジエンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、及びエチレンビニルアルコールを含めた他のポリマーを使用することができる。
【0127】
7.2 リザーバ
ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、ヘアトリートメント組成物(15)のためのリザーバを更に含んでもよい。リザーバは、一方若しくは両方のプレートの外表面(102;202)又は内表面(101、201)上に存在してよい。好ましくは、リザーバは、プレート(10)を貫いて配置された開口部を通じて内表面(101)内の吸収性基材(40)と連通する。リザーバ上に弁を配置してもよい。いくつかの実施形態では、ボトル、若しくはヘアトリートメント組成物を分配するのに適したいずれかの容器の係合により、ヘアトリートメント組成物(15)の充填を可能にするために、第1のプレート(10)及び/若しくは第2のプレート(20)の内表面(101;201)内に、並びに/又はリザーバに、一方向弁又は二方向弁を組み込んでもよい。リザーバは、固定式とすることも、プレート(10;20)に取り付け可能、又はプレート(10;20)から取り外し可能としてもよく、ヘアトリートメント組成物(15)が放出された後で処分してもよい。
【0128】
リザーバは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、シリコーン若しくは天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)、又はコポリマーなどの材料を含んでもよい。リザーバは、同時射出、オーバーモールディング、インモールドアセンブリ、真空成形、キャスティング、接着積層、又は積層材料の熱結合を含め、いくつもの方法で形成することができる。
【0129】
開口部は、剥離、破裂、穿刺、破断、引裂き、穿孔、摺動、折り畳み、及び圧縮によって取り外し可能な、計測層(metering layers)、バリア材料、又はライナーにより覆ってもよい。
【0130】
7.3 停止機構
1つ以上の停止機構を、第1及び第2のプレート(10;20)の内表面(101;201)のうちの少なくとも1つの上に組み込んでもよい。停止機構は、第1及び第2のプレート(10;20)が重ねられた関係におかれるときに、ヘアトリートメント組成物(15)が第1及び第2のプレート(10;20)の周縁部(103;203)を超えて押出されることがないことを保証する。特定の実施形態では、ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、プレート(10;20)の外表面(102;202)上に圧力を加えることによって閉じられた状態におかれる。第1及び第2のプレート(10;20)を重ねられた関係におくために、第1及び第2のプレート(10;20)の外表面(102;202)にあまりにも高い圧力が加えられるときには、ヘアトリートメント組成物(15)は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)から流出するおそれがあり、又はブロッブ(blobs)を形成して、許容できない扱いにくさをまねくおそれがある。あまりにも高い圧力は、第1の領域内に含まれる吸収性基材(40)及び/又は1つ以上の追加領域内に含まれる材料の損傷を引き起こして、毛髪へのヘアトリートメント組成物(15)の適用に影響を与えるおそれさえある。
【0131】
特定の実施形態では、停止機構は、プレートと同一の製造工程の間に、また同一又は異なる材料によって、製造されてもよい。
【0132】
停止機構の存在、サイズ、及び高さは、吸収性基材(40)及び第2の領域内で使用される他の材料の圧縮性と関係がある。特定の実施形態では、停止機構は、1つ以上の歯としてもよく、又は材料のうちのいずれかの櫛状構造の歯を含んでもよい。特定の実施形態では、停止機構は、吸収性基材(40)内又は吸収性基材(40)の下に位置決めしてもよい。他の特定の実施形態では、停止機構は、第1のプレート(10)及び/若しくは第2のプレート(20)の周縁部(103;203)のところに、又は連結部(30)の近くで内表面(101;201)上に組み込んでもよい。他の特定の実施形態では、停止機構は、連結部(30)自体の中に一体化してもよい。
【0133】
7.4 毛髪ストランド選択手段
消費者は、ヘアトリートメント組成物をその上に適用することを望む毛髪ストランドを選択するために、彼らの指を使用してもよい。ただし、本発明のヘアトリートメント適用デバイス(1)は、毛髪ストランド選択手段を更に備えてもよい。毛髪ストランド選択手段の例は、クロシェットフックなどのフック、及びヘアクリップ若しくはヘアビーズであるが、これらに限定されない。毛髪ストランド選択手段は、一方又は両方のプレート(10;20)に組み込んでもよい。手段は、また、ペンナイフの刃の場合に起こるように、毛髪ストランド選択手段がプレートに最も近い位置から遠い位置へと揺動してもよく、スナップ機構を通じてプレート(10;20)に取り付けられてもよい。毛髪ストランド選択手段は、また、後述するようにキットの構成要素として本発明のヘアトリートメント適用デバイス(1)に別個に設けてもよい。
【0134】
7.5 掴持区域
通常、消費者は、ヘアトリートメント組成物(15)の適用の間、手袋を着用する。手袋は、通常、ポリ塩化ビニル若しくはポリエチレンなどの材料、又はイソプレン、ニオプレン(nyoprene)、若しくはラテックスなどのゴム材料から作製され、消費者がヘアトリートメント適用デバイス(1)を掴持する難しさを高めることがある。ゆえに、本明細書に開示のヘアトリートメント適用デバイス(1)は、一方又は両方のプレート(10;20)の外表面(102;202)上に、掴持をもたらすように設計された掴持区域を更に含んでもよい。これらの掴持区域は、プレートが製造されるときに、射出又はオーバーモールディング技術を使用して製造してもよい。有用な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはシリコーン、天然及び合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性バルカネート(vulcanate)、又ポリマーなどの材料が挙げられるが、これらに限定されない。ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アセチル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリロニトリルスチレンアクリレート、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、及びポリスチレン、又は静電フロッキング又は不織布若しくは発泡体構造を含め、他の材料を使用することができる。加えて、掴持区域は、一方若しくは両方のプレート(10;20)の外表面(102;202)のエンボス加工、デボス加工、又はコーティングによって形成してもよい。掴持手段は、外表面(102;202)の一部分だけに配置することもでき、又は外表面(102;202)全体を覆ってもよい。最後に、掴持区域は、プレート(10;20)の外表面(102;202)上に存在するキャビティであってよい。
【0135】
7.6 剥離ライナー又はバリア
剥離ライナー又はバリアが、吸収性基材(40)及び/又は第2の領域内に存在する材料を汚染から保護するために存在してよい。剥離ライナー又はバリアは、剥離可能又は解放可能なものとしてもよく、プラスチック、アルミニウム積層構造から構築してもよい。これらの材料のいくつかの例としては、低密度ポリエチレン若しくはポリエチレンとポリイソブチレンとのブレンドと、アルミニウム箔及びポリエチレンテレフタレート若しくは二軸配向ポリプロピレン可剥性ホイルとの積層体が挙げられ、特に過酸化水素を含むヘアトリートメント組成物の場合、アルミニウム積層箔、プラスチックキャリア上への金属化アルミニウム、アクラー(Aclar)(登録商標)ポリクロロ−トリフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、シリカ、及び酸化アルミニウムを含め、耐ガス性材料で作製してもよい。
【0136】
7.7 適用デバイス内へのヘアトリートメント組成物の充填を実施するための手段
本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)内へのヘアトリートメント組成物(15)の充填を果たすための分配若しくは充填デバイスを取り付ける、適合させる、又は設置するのに適した、1つ以上の手段が存在してよい。手段の例は、少なくとも1つのプレート(10)上又は連結部(30)を貫いて存在する、ノズルとオリフィス、パウチポケット、又は一方向弁若しくは二方向弁であるが、これらに限定されない。手段は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)に永久的に連結されていても、又は取り外し可能であってもよく、また、使い捨てであっても、再利用可能であってもよく、また、後述するようにキットの別個の構成要素として提供されてもよい。
【0137】
8.ヘアトリートメント組成物の充填及び混合
本発明によれば、1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)を適用デバイス(1)内に充填してもよい。1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)は、第1の領域内に含まれる吸収性基材上に、又は図1に示されるようにプレート(10;20)のくぼみ若しくはキャビティ内に適用してもよい。吸収性基材(40)が、少なくとも第1のプレート(10)の周縁部(103)に沿った連続ストリップとして、内表面(101)から上方に延び、その際連続ストリップが、第1のプレート(10)の内表面(101)上に区域を画定するときには、ヘアトリートメント組成物(15)を、図2及び図3に示されるように、画定された区域内に充填してもよい。任意のリザーバが存在するときには、ヘアトリートメント組成物(15)は、一方向弁又は二方向弁を通じてリザーバ内に充填してもよい。
【0138】
ヘアトリートメント組成物(15)は、いずれの手段によってもヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填することができる。一実施形態では、ヘアトリートメント組成物(15)は、例えばボトルから、ヘアトリートメント組成物(15)を適用することにより、吸収性基材(40)上又は吸収性基材(40)内に直接充填される。
【0139】
ヘアトリートメント組成物(15)が毛髪への適用前に混合及び活性化を必要とするときには、ヘアトリートメント組成物(15)の単一の構成成分は、充填前に振盪若しくは撹拌によって混合することもでき、又は静的ミキサーと繋がれた専用の2チャンバ若しくはマルチチャンバ型容器を用いることによって充填手順の間に混合されてもよい。混合は、また、2以上のヘアトリートメント組成物(15)を混合可能な、又はヘアトリートメント組成物(15)を製造するために粉末と水若しくは他の溶媒とを混合可能な追加手段を介在させることにより、実施してもよい。介在される手段は、また、混合されたヘアトリートメント組成物(15)を適用デバイス(1)上に注入又は充填するための特徴を備えることができる。
【0140】
1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)がヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填された後には、プレート(10;20)は、ヘアトリートメント組成物(15)を適用デバイス(1)内に均等に分布させ、最終的には第1の領域の多孔質吸収性基材に浸透させるために、1回、好ましくは2回、より好ましくは2回よりも多く、重ねられた関係におかれる。
【0141】
適用デバイス(1)上に適用されるヘアトリートメント組成物(15)の量は、そのサイズ及び容量並びに所望の最終結果によって決まる。適用デバイス(1)には、好ましくは、約0.5グラム〜約120グラム、より好ましくは約1グラム〜約50グラム、更に好ましくは約1.5グラム〜約25グラムの量のヘアトリートメント組成物(15)を充填してもよい。
【0142】
9.使用方法
本発明は、毛髪と、本発明によるヘアトリートメント適用システムとを接触させることによるヘアトリートメント方法に関する。ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)を予め充填してもよいが、好ましくは、ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、毛髪とヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)を充填される。多孔質吸収性基材(40)内でのヘアトリートメント組成物(15)の均一な分布を可能にするために、ヘアトリートメント適用デバイス(1)の第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、毛髪とヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、1回、好ましくは2回、より好ましくは2回よりも多く、重ねられた関係におかれる。いったんヘアトリートメント適用システムが使用する準備のできた状態になると、ユーザは、片手で、好ましくは親指と人差し指との間で、第1及び第2のプレート(10;20)の外表面(102;202)を通じてヘアトリートメント適用デバイス(1)を保持する。いったんユーザが処理されるべき毛髪ストランドを選択すると、適用デバイス(1)は、ヘアトリートメント適用デバイス(1)が開いた状態で、好ましくは根元ライン(root line)のところで、毛髪ストランド上に位置決めされる。次いで、適用デバイス(1)の内表面(101;201)は、プレート(10;20)を重ねられた関係におくことにより、毛髪ストランドの周りでクランプ固定される。ヘアトリートメント適用デバイス(1)をこの閉じられた状態に保つことにより、ユーザは、選択された毛髪ストランドの長さ全体に沿って適用デバイス(1)を通すことにより、ヘアトリートメント組成物(15)を適用する。ヘアトリートメント組成物(15)は、また、毛髪の限られた区域だけに適用することができる、すなわち、ユーザは、根元ライン(root-line)だけをヘアトリートメント組成物(15)でコーティングすることができる。これらの諸工程は、適用デバイス(1)に充填する工程を含めて、1回以上繰り返すことができる。
【0143】
毛髪とヘアトリートメント適用システムとを接触させることにより、ヘアトリートメント組成物(15)は、毛髪に供給される。
【0144】
特定の実施形態では、2つ以上のヘアトリートメント組成物(15)は、毛髪に適用される前に混合される必要がある。好ましくは、ヘアトリートメント組成物(15)は、異なるものであり、反応して、混合されたヘアトリートメント組成物を形成することができる。
【0145】
混合は、ヘアトリートメント組成物(15)をヘアトリートメント適用デバイス(1)内に充填する前に、及び/又はヘアトリートメント組成物(15)を毛髪上に適用する前に、実施することができる。好ましい実施形態では、1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)は、第1及び第2のヘアトリートメント組成物を含み、第1及び第2のヘアトリートメント組成物は、混合されて第3のヘアトリートメント組成物を形成する。第3のヘアトリートメント組成物は、毛髪とヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、ヘアトリートメント適用デバイス(1)上に充填される。この好ましい実施形態では、第1のヘアトリートメント組成物は、酸化剤を含み、第2のヘアトリートメント組成物は、アルカリ化剤を含む。好ましい実施形態では、酸化剤は、過酸化水素を含み、アルカリ化剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、塩化アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される構成成分を含む。第1及び第2のヘアトリートメント組成物が混合されるときには、それらは、ハイライト処理組成物を形成する。
【0146】
本発明によるヘアトリートメント組成物(15)は、固定された方式で毛髪に適用されることは意図されておらず、むしろ、剪断力を用いて毛髪表面に当てて動かされる、すなわち、個々の毛髪ストランドに通す、根元ライン(root-line)に沿って擦る、毛髪に塗り込む、毛髪の表面を拭く、毛髪から引き抜くなどであり、それにより、必要に応じて毛髪の長さ全体に沿って均一にヘアトリートメント組成物(15)を付着させる。
【0147】
剥離ライナーが存在する実施形態では、ユーザは、剥離ライナーを剥ぎ取り、ヘアトリートメント組成物(15)を適用デバイス(1)内に充填し、それを毛髪に適用する。適用中には、適用デバイス(1)及びヘアトリートメント組成物(15)を保護するために、又はユーザの家の家具をヘアトリートメント組成物(15)で汚染するのを避けるために、1つ以上の剥離ライナーを再びシールすることができる。
【0148】
他の実施形態では、第1のヘアトリートメント組成物(15)は、本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)によって適用できるいずれか他の第2のヘアトリートメント組成物(15)の前処理又は後処理として、公知の従来の方法のいずれかによって毛髪に適用される。
【0149】
リザーバが存在する実施形態では、ユーザは、分配手段のいずれかを通じてヘアトリートメント組成物(15)を充填することができ、次いで、ユーザは、ヘアトリートメント組成物を毛髪に適用する前にライナー又はバリアを除去することができる。ユーザは、リザーバを押圧し、その中に収められたヘアトリートメント組成物(15)を、第1のプレート(10)を貫いて配置された開口部を通り抜けて、吸収性基材(40)へと押し流すことにより、適用を始める前にヘアトリートメント組成物(15)を混合することができる。
【0150】
最後に、ヘアトリートメント組成物(15)の適用は、濡れた毛髪でも乾いた毛髪でも行うことができ、所望により、すすぎ又はシャンプー工程を毛髪への第1及び第2の組成物の適用の間に含めることができる。
【0151】
10.キット
本発明によるヘアトリートメント適用システムは、キットの一構成要素としての少なくとも1つのヘアトリートメント適用システムとして提供されてもよい。更に、キットは、シャンプー組成物、コンディショニング組成物、スタイリング組成物、毛髪着色剤組成物、毛髪漂白、ハイライト組成物、又はこれらの組合せを含む、個々に包装された少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)を含んでよい。更に、1つ以上のヘアトリートメント適用デバイス(1)を、本発明によるキットの構成要素として提供してもよい。
【0152】
本発明の一実施形態では、第1の容器は、酸化染料前駆体とアルカリ化剤とを含んでよく、第2の容器は、酸化剤を含んでよい。キットの他の特定の実施形態では、第1の容器は、アンモニウムイオン源を含んでよく、第2の容器は、酸化剤を含んでよい。酸化剤、コンディショナー、キレート剤、ラジカルスカベンジャー、溶媒、直接染料、シャンプー、緩衝剤、着色剤、増粘剤、酵素、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性界面活性剤、キャリア、酸化防止剤、安定剤、香料、マスキング芳香剤、ハーブ及び植物抽出物、真珠光沢剤(pearlescent)、不透明化剤、毛髪膨張剤及び/若しくはポリマー、保湿剤、湿潤剤、粘度増大剤、ゲル化剤、キレート化剤、UVフィルタ、抗菌剤、防腐剤、タンパク質、又はこれらの混合物など、追加の構成成分を含む個々に包装された組成物のような、追加の容器がキット内に存在してよい。
【0153】
本発明によるキットは、毛髪ストランドを選択するための手段、本発明による適用デバイス(1)に充填するための手段、個々に包装されたヘアトリートメント組成物(15)を混合及び/若しくは充填するための手段、櫛若しくはブラシ、手袋、穴付きキャップ、ピンセット、トング、フック、又はこれらの組合せのような、追加の構成要素を更に含んでよい。
【0154】
他の実施形態では、キットは、酸化剤を含む個々に包装された組成物と、アルカリ化剤を含む個々に包装された組成物とを更に含む。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素である。より好ましくは、個々に包装されたヘアトリートメント組成物の少なくとも1つは、過流酸塩を含む。
【0155】
本発明によるヘアトリートメント適用デバイス(1)は、組み立てられていない状態でキット内に設けられてもよく、本発明の適用デバイス(1)を構築する方法についての説明書を、更に上述のキット内に提供されてよい。本発明による適用デバイス(1)を含む部品キットは、適用デバイス(1)を充填する及び/又は使用する方法を示している、消費者のための説明書を更に含んでよく、説明書は、キット自体のパッケージ、紙材料、コンパクトディスク、又はヘアトリートメント適用デバイス(1)自体など、任意の種類の媒体に記録される。
【0156】
11.試験方法
メジアン細孔半径
本発明の目的で選択された吸収性基材の範囲にわたってメジアン細孔半径を測定する、単一の方法は存在しない。吸収性基材のメジアン細孔半径を、初めに、TRIオートポロシメータ(TRI Autoporosimeter)(商標)によって測定した。1000ミクロンを上回って得られた値については、測定を光学イメージングによって繰り返し、光学イメージングによって得られた値を最終値として取得した。
【0157】
TRIオートポロシメータ(TRI Autoporosimeter)(商標)は、細孔半径及びそれらの対応する累積細孔容積とを測定するための自動化されたコンピュータ制御機器である(B・ミラー(Miller)及びI・チョムキン(Tyomkin)、「コロイド及び界面科学雑誌(Journal of Colloid and Interface Science)」、162、1994、163〜170)。サンプルのメジアン細孔半径は、吸収/脱離される流体の累積体積が試験サンプルの飽和容量の50%に等しい、等価円筒半径である。等価円筒半径は、静水圧(50%飽和時の圧力)を細孔半径と関連付けるラプラスの方程式(I)から得ることができる。
【0158】
【数1】

式中、Rは、有効半径であり、γは、濡らしている液体の表面張力であり、θは、液体の前進接触角又は後退接触角であり、ΔPは、サンプルをまたぐ静水頭圧力の圧力差である。メジアン等価細孔半径は、通常、脱離測定から決定され、θは、後退接触角である。50%値が予め選択された等価半径に対応しない場合、それは、補間によって図から決定することができる。
【0159】
試験サンプルは、典型的には直径50mmであるが、モネル(Monel)支持プレートに取り付けられたミリポア(Millipore)ガラスフィルタ膜(孔隙度1.2ミクロン)上の測定セル内に置かれる。フィルタ膜及びモネル(Monel)金属支持体は、製造業者の推奨に従って調製され、エポキシ系塗料(スウェリン・ウイリアムズ社(Swerin-Williams Corp.)から入手可能なクライロン・ハイ・グロス(Krylon High Gloss))によって取り付けられる。試験サンプルが確実に流体試験膜と接触しているようにするために、測定は、0.69kPa(0.1psi)の圧力を加えて(封圧重量)実施される。
【0160】
測定セルは、天秤の上に置かれた試験液体のリザーバに連結されている。TRIオートポロシメータ(TRI Autoporosimeter)(商標)は、吸収性基材を濡らすためにn−ヘキサデカンとともに使用される。吸収性基材によって吸収/脱離される液体の重量(体積)が、加えられる気圧の関数として天秤によって記録される。気圧が増減するにつれて、それぞれ、異なるサイズ半径群が、液体を脱離/吸収する。各群の半径体積は、移動した液体のこの体積に等しい。全てのサンプルが平衡状態に近い同一条件下で試験されることを保証するためには、以下のパラメータが推奨される。(i)平衡定数(各圧力工程での液体流量)が90mg/分未満である、(ii)所望の平衡定数値に達するまで天秤重量データが15秒ごとに収集される。結果は、天秤上の流体重量(g)の関数として、毛細管圧(cm)として与えられる。
【0161】
1000ミクロンを超えるメジアン細孔半径を持つ試験サンプルを、光学イメージングによって確定した。約50×50mmの試験サンプルを、デジタルカメラに接続されているオリンパス・ステレオ顕微鏡(Olympus Stereo-Microscope)内に置いた。暗視野照明技術を使用して、コントラストを高め、3D構造の視覚的外観を改善した。適用される倍率は、a)サンプルの構造を表す関心領域(ROI)を得るように、並びに、b)細孔径の信頼性の高い測定を可能にするように選択される。焦点を合わせられた全ての細孔の細孔面積を、ROI内で手動で測定し、続いて、オリンパス・アナリシス(Olympus analySIS)FIVEソフトウェアで解析して、等価円細孔半径の関数として累積表面細孔面積を得た。サンプルのメジアン細孔半径は、累積細孔面積が総表面細孔面積の50%に等しい、等価円半径である。測定は、焦点面に対して完全に平行ではないが、視角(3D構造による)から観察される、細孔を包含する。
【0162】
メジアン細孔半径は、四捨五入してミクロン(μm)単位で報告した。本発明による吸収性基材のうちのいくつかのメジアン細孔半径及び他の技術的特徴を、以下の表5に提示する。表5は、本明細書において請求される仕様を満たさない吸収性基材も示す。
【0163】
吸収能力
吸収能力は、多孔質基材では、乾燥固体基材の単位質量当たりに吸収される液体の質量として定義された(例えば、「吸収技術(Absorbent Technology)」、チャタジー(Chatterjee)及びグプタ(Gupta)、エルゼビア(Elsevier)、2002を参照)。
【0164】
【数2】

式中、ρは、基材を構成する材料の密度であり、ρ1は、液体の密度であり(ここに記載の吸収能力では、純水の密度、すなわち1.00g/cm3が使用される)、φは、1からρハ゛ルクをρで割った商を引いたものである(ρハ゛ルクは、多孔質基材のバルク密度)。多成分繊維/ブレンド及び非円筒状繊維では、加重平均固体繊維密度を使用した。結果は、基材1グラム当たりの流体のグラム数で報告した(g/g)。
【0165】
キャリパー
吸収性基材のキャリパーを、EDANA推奨試験方法(ERT 30.5〜99)−厚さ−によって決定した。精度0.01mm、下降速度3mm/s、測定圧力0.1kPaのアブラムモデル(Abram Model)2000マイクロメートルを使用した(テヒニッシュ・ベラトゥング・アブラム(Technische Beratung Abram GmbH))。同じ方法を適用して、発泡体基材のキャリパーを測定した。
【0166】
坪量
吸収性基材の坪量を、EDANA推奨試験方法(ERT 40.3〜90)−単位面積質量−によって確定した。100×100mmの基材試験面積を正確に切断し、計量した。結果を1平方メートル当たりのグラム数として報告した(g/m2)。同じ方法を適用して、発泡体の坪量を測定した。
【0167】
【表5】

【0168】
ヘアトリートメント組成物の混合方法
本明細書に記載の吸収性基材への充填前に2つ以上のヘアトリートメント組成物が混合されるときには、以下の手順を使用してもよい。少なくとも2つのヘアトリートメント組成物を、これらは両方が液体であっても、1つが液体で1つが粉末であってもよいが、1:10〜10:1の間の重量比で容器に入れる。この容器は、様々な形態のもの、例えば、蓋付きボトル又は開いた区画であってよい。ボトルの場合、2つの組成物は、混合物が均質になるまで2分間にわたって振盪される。開いた区画の場合、2つの組成物は、均質な混合生成物を生成するのに十分な期間にわたって混合器具を用いて混合される。この方法によって生成される混合生成物は、2つの組成物が別個の吸収材料内に充填され、吸収材が押し合わされるにつれて混合されるときに得られるものと同じである。
【0169】
粘度測定試験方法
吸収性基材内に充填されるべきヘアトリートメント組成物の粘度を、円錐平板アタッチメントを備えたブルックフィールド(Brookfield)粘度計を使用して測定した。約0Pa.s(0cPs)〜12Pa.s(12,000cPs)の範囲の粘度では、S42平板を備えたブルックフィールド(Brookfield)DV−II+粘度計を使用した。2mLのヘアトリートメント組成物又はカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のサンプルを、測定前に1分間にわたって26.7℃で1rpmにおいて平衡させ、すぐに1rpmで値を読み取る。約12Pa.s(12,000cPs)の粘度値では、後述するように別の測定を実施する。
【0170】
12Pa.s(12,000cPs)〜約100Pa.s(100,000cPs)の範囲の粘度では、S52平板を備えたブルックフィールド(Brookfield)DV−II+粘度を使用した。0.5mLのヘアトリートメント組成物又はカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のサンプルを、測定前に1分間にわたって26.7℃で1rpmにおいて平衡させ、すぐに1rpmで値を読み取る。この場合もやはり、上述で説明したように、100Pa.s(100,000cPs)の粘度値では、後述するように別の測定を実施する。
【0171】
100Pa.s(100,000cPs)〜150Pa.s(150,000cPs)の範囲の粘度では、S52平板を備えたブルックフィールド(Brookfield)DV−II+粘度計を使用する。0.5mLのヘアトリートメント組成物又はカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のサンプルを、測定前に1分間にわたって26.7℃で約0.5rpmにおいて平衡させ、すぐに0.5rpmで値を読み取る。
【0172】
最低粘度限界試験
以下の試験方法において使用される全ての吸収性基材は、約6mm〜約10mmのキャリパーを有していた。BBAファイバーウェブ・テノテックス(Fiberweb Tenotex)P101及びフロイデンベルク(Freudenberg)AL 1060吸収性基材についての所要のキャリパーは、各表面上の直径約2mm以下の円形液滴に設置されたホットメルト接着剤により、吸収性基材の多数重なったプライを積層することによって得られた。積層化は、吸収性基材の周囲で実施した。
【0173】
吸収性基材を、直径約3.57cm(表面積10.0cm2)の円形パッドに切り、計量し、約80cm3のパイレックス(Pyrex)(登録商標)ブフナー漏斗(フィッシャー(Fisher)から入手可能、コードFPJ−400−110D)の直径4cmの焼結ガラスディスク上に置いた。カーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を吸収性基材上に約1cmの深さまで慎重に添加し、その後、漏斗の開口部に嵌入する単一の穴ゴム栓が取り付けられたハンドベロー(hand bellow)を膨らませ、それを使用して流体を約1分間にわたって吸収性基材内に押し込んだ。このように充填された吸収性基材を、ピンセットによって漏斗から慎重に除去した。2層の実験室用ティッシュペーパーを台上に置き、充填された吸収性基材(ピンセットで取り扱われる)で約30cmの距離にわたってティッシュの上を慎重になで、次いで、吸収性基材をひっくり返し、他の側部についても繰り返すことにより、過剰な表面流体を除去した。充填された吸収性基材を計量し、3M両面テープを用いて直径約4.97cmの円形試験プレート(剛性白色アセタール製)の平らな側部上の中央に固定した。反対側のプレートには、2枚のプレートの表面が平行で垂直に圧縮されるときに吸収材が約3mm圧縮されるように適切に選択された、3つの真鍮ピンを取り付けた。真鍮ピンの高さは、BBAファイバーウェブ・テノテックス(Fiberweb Tenotex)P101及びリベルテックス(Libeltex)01−766 DI−8については約3mmに設定し、レクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280については約7mmとした。真鍮ピンを含有するプレートを、その表面を実験台に垂直にし、及び最も低い位置にある4番目の空のピン穴を最上部の真鍮ピンに対して鉛直にして、秤量ボートの上方にしっかり固定した。次いで、吸収性基材を含有するプレートを、約1分間にわたってピンプレートに対して垂直に圧縮した。秤量トレイの重量と、滴り落ちたヘアトリートメント組成物若しくはカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液の重量とを記録し、圧縮中に滴り落ちた充填された全流体のパーセンテージを計算した。測定は、実験ごとに3回繰り返した。
【0174】
最低粘度限界の決定:消費者パネリスト調査
リベルテックス(Libeltex)01−766 DI−8吸収性基材を、直径約3.57cm(表面積10.0cm2)の2枚の円形パッドに切り、上述のように、約1Pa.s(1,000cPs)、約2.5Pa.s(2,500cPs)、又は約5Pa.s(5,000cPs)の粘度を有するカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を充填した。充填されたリベルテックス(Libeltex)01−766 DI−8吸収性基材を、3M両面テープを用いて2枚のヒンジプレートの中央に固定した。パネリストは、このように調製された適用ツールを与えられ、重量約0.75g、長さ約30.5cmの人毛の束(コーカシアン・ライト・ブラウン(Caucasion Light Brown)−インターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Imports and Products)、ニューヨーク州バルハラ(Valhalla))を2回通すように求められた。その性能を、「あなたがたった今使用したサンプルを考えた場合、その扱いにくさをどのようにランク付けしますか?」という質問で評価した。回答を尺度0〜8にランク付けした(0=まったく扱いにくくない、8=極めて扱いにくい)。
【0175】
最小メジアン細孔半径限界試験
吸収性基材サンプル(BBAファイバーウェブ・テノテックス(Fiberweb Tenotex)P101、フロイデンベルク(Freudenber)AL 1060、リベルテックス(Libeltex)01−766 DI−8、PGI FB−215、及びレクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280)を、直径2.53cm(表面積約5.03cm2)の円形パッドに切り、計量し、30cm3デュラン・フィルタ・アセンブリ(Duran Filter Assembly)(デュラン参照(Duran reference)24.720/24)内の焼結ガラスフィルタディスク上に置いた。次いで、露出した吸収材が直径約1.8cm(約2.54cm2)を有するように、バイトン(Viton)リングを吸収性基材上に置いた。デュラン・フィルタ・アセンブリ(Duran Filter Assembly)が取り付けられ、吸収障害を避けてガラスヘッドの側部をつたわせてゆっくり添加することにより、約1cmの深さまでカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液で満たした。次いで、追加のカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を、目盛りの付けられた30cm3の印までガラスヘッド内に注いだ。約5分後、残っている流体を取り出し、吸収性基材をピンセットで除去した。吸収性基材で、それぞれの側部について、2層の実験室用ティッシュペーパーの上を約30cmの距離だけ慎重になでることにより、過剰な表面流体を除去した。充填量(吸収性基材1グラム当たりのカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のグラム数)を、以下のように、露出された吸収性基材(表面積約2.54cm2)の重量に基づいて計算し、小数第2位まで報告した。
【0176】
【数3】

式中、ASは、吸収性基材を意味する。
【0177】
最高粘度限界試験
レクティセル・ポットスコアラー(Recticel Pottscorer)410及びレクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280発泡体を、直径3.57cm(表面積10.0cm2)の2枚の円形パッドに切り、最低粘度限界試験方法の決定で記載したように、100Pa.s(100,000cPs)カーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液を充填した。次いで、充填されたパッドを、3M両面テープを用いて、直径4.97cmの2枚の試験プレートの平らな側部上の中央に固定した。プレートのうちの1つは、3つの12mmピンを備えており、充填されたレクティセル・ポットスコアラー(Recticel Pottscorer)410発泡体の表面を実験台に垂直にし、及び4番目の空のピン穴を最も低い位置にして、そのプレートをクランプスタンド上にしっかり固定した。0.75gの毛束(幅3cmへと扇形に広げられた長さ30.5cm)を、ピンプレート上のレクティセル・ポットスコアラー(Recticel Pottscorer)410及びレクティセル・ブルプレン(Recticel Bulpren)S28280発泡体と第2の平行プレートとの間で垂直に圧縮した。毛束の全長が通過するのに3秒かかるように、毛髪を圧縮された発泡体の間に2回通した。これを、異なる第2及び第3の毛束で繰り返した。上述の各実験を3回繰り返した。毛束の重量を記録し、結果を、毛髪1グラム当たりに付着したカーボポール(Carbopol)(登録商標)956溶液のグラム数として計算した。
【0178】
12.[実施例]
1つ以上の代表的な吸収性基材内への組み込むためのいくつかの代表的なヘアトリートメント組成物について以下で説明する。以下の諸実施例の吸収性基材は、所望により、適用ツールに接着させることができる。好ましくは、吸収性基材は、吸収性基材を互いに向き合わせて、ヒンジで1つに連結された表面積約12.5cm2の2枚の射出成形ポリプロピレンプレート上に実装される。
【0179】
実施例A:吸収性基材によって過酸化物及びアルカリ化組成物を使用する毛髪のハイライト処理
約12.5cm2の2枚の円形ディスクを、約150グラム毎平方メートルのポリエステル嵩高詰綿不織布基材(ベルギーのリベルテックス(Libeltex)から入手可能な01−766 DI−8;ニュージャージーのPGIから入手可能なFB−215)から切断する。また、ポリウレタンスポンジ(ベルギーのレクティセル・インターナショナル(Recticel International)から入手可能なブルプレン(Bulpren)S28280)をこの実施例で採用してよい。
【0180】
【表6】

【0181】
過酸化組成物(1)を調製するために使用されるカーボポール(Carbopol)(登録商標)956は、手でゆっくり添加することにより、又はエダクター若しくは粉末の急速水和用の同様のデバイスを用いて、均質になるまで急速混合している水中で水和される。この実施例は、特に、過酸化及びアルカリ化組成物(1)及び(2)のための増粘剤としてカーボポール(Carbopol)(登録商標)956を報告するが、他の増粘剤も考慮される。次いで、過酸化水素が、過剰な気泡を系内に取り入れないように、中等度に混合しながら添加される。次いで、50%水酸化ナトリウムが、pHを指示された値に調節するように必要に応じて滴状添加される。所望により、スズ酸ナトリウムなどの追加の過酸化安定剤を、過早な過酸化物分解の可能性を更に低減するために添加してもよい。過酸化組成物(1)が調製された後には、上述の試験方法に従って粘度が測定される。
【0182】
アルカリ化組成物(2)は、手でゆっくり添加することにより、又はエダクター若しくは粉末の急速水和用の同様のデバイスを用いて、カーボポール(Carbopol)(登録商標)956を急速混合している水中で水和させることによって生成される。カーボポール(Carbopol)(登録商標)956が完全に分散して均質であるときには、水酸化アンモニウム又は重炭酸アンモニウムが、過剰な気泡の取り込みを避けるために中等度に混合しながら添加される。バッチは、アルカリ化剤の添加によって濃くなり、透明になる。アルカリ化組成物(2)が調製された後には、上述の試験方法に従って粘度が測定される。
【0183】
約4グラムの過酸化組成物(1)が、2枚の吸収性基材ディスクのうちの一方に充填され、約4グラムのアルカリ化組成物(2)が他方の吸収性基材ディスク内に充填される。組成物は、吸収性基材の完全性を犠牲にすることなく組成物の大部分が基材に完全に吸収されることを確実にするために、ピペット又はシリンジで優しく機械的に押圧しながらピペット又はシリンジで吸収性基材表面全体に均一に適用することによって充填される。
【0184】
プレートは、吸収性基材を圧縮及び圧搾するように、また過酸化組成物(1)とアルカリ化組成物(2)とを十分に混合するように、2〜10回押し合わされる。
【0185】
ヘアトリートメント適用システムの準備ができたら、それを使用して、後述するヘアトリートメント試験に従って毛髪を処理する。このように処理された毛髪は、対照毛髪トレスに比べて、視覚的に明るい。
【0186】
ヘアトリートメント試験
長さ約30.5cm、重量約0.8グラムの人毛のトレス(コーカシアン・ライト・ブラウン(Caucasion Light Brown)−インターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Imports and Products)、ニューヨーク州バルハラ(Valhalla))を、毛髪ストランドの一端をプラスチックケーブルタイによって毛髪端部から約2cmで縛り、更に電気工事用テープの3cmストリップで固定することによって準備する。この毛髪トレスを、ステンレス鋼スロット付きホルダに吊るす。次いで、毛髪トレスの最上部を、トレスがプレートに取り付けられた2つの吸収性基材間にくるようにヘアトリートメント適用システムと接触させる。次いで、プレートを重ねられた状態に維持しながら、ヘアトリートメント適用システムを毛髪トレスの端部へと引く。適用は、2回繰り返してよい。その上にヘアトリートメント組成物を約0.3〜約0.8グラム付着させた、得られる毛髪トレスを、次いで、秤量ボート上に置き、約30分間にわたって約30℃でオーブン内に置く。次いで、毛髪トレスを水ですすぎ、乾燥させる。
【0187】
実施例B:吸収性基材によって過酸化物及び酸化染料組成物を使用する毛髪の着色ハイライト
吸収性基材を、上述の実施例Aに記載のように調製する。
【0188】
【表7】

【0189】
カーボポール(Carbopol)(登録商標)956とグリセリンとを組合せ、均質なスラリーが得られるまで混合することにより、過酸化組成物(3)を生成する。脱イオン水を、バッチ全体を収めるのに十分なサイズの別個の容器内に満たす。スラリーを、ゆっくり水に導入し、安定で均質な組成物が観察されるまで中等度に撹拌しながら混合する。次いで、過酸化水素が、過剰な気泡を系内に取り入れないように、中等度に混合しながら添加される。次いで、水酸化ナトリウムが、pHを約3.5まで増大させるように滴状添加される。所望により、スズ酸ナトリウムなどの追加の過酸化安定剤を、過早な過酸化物分解の可能性を更に低減するために添加してよい。
【0190】
酸化染料及びアルカリ化組成物(4)は、手でゆっくり添加することにより、又はエダクター若しくは粉末の急速水和用の類似のデバイスを用いて、カーボポール(Carbopol)(登録商標)956を急速混合している水中で水和させることによって生成される。カーボポール(Carbopol)(登録商標)956が完全に分散して均質であるときには、エタノールアミンを除いた残りの全ての成分が添加される(すなわち、グリセリン、染料前駆体、pH緩衝剤、及び酸化防止剤)。それらが溶解したら、過剰な気泡の取り込みを避けるように、中等度に混合しながらエタノールアミンが添加される。バッチは、アルカリ化剤の添加によって増粘し、透明になる。毛髪トレスが、ヘアトリートメント試験で上述したように処理される。処理されたトレスでは、対照毛髪トレスに比べて、明るい銅の色合いが視覚的に確定された。
【0191】
実施例C:吸収性基材によって過硫酸塩及び過酸化組成物を使用する毛髪ハイライト
吸収性基材を、上述の実施例Aに記載のように調製する。
【0192】
約6グラムの過酸化組成物(3)を、スパチュラによって秤量ボート内で約4グラムの過硫酸塩粉末5と混合する。得られる混合物約4グラムを、それぞれの吸収性基材内に充填し、毛髪トレスをヘアトリートメント試験で上述したように処理する。
【0193】
【表8】

【0194】
実施例Bにおいて上述したように、過酸化物組成物(3)を調製する。全ての成分を、任意の順序で、V−ブレンダーのような好適なブレンド装置内にて乾燥ブレンドすることにより、過硫酸塩粉末を製造する。組成物は、均質になるまで混ぜ合わせるべきである。次いで、このように形成された過硫酸塩粉末は、過酸化組成物(3)と予め混合される。混合は、ボトル、ボウル、又はトレイ内で実施してよく、成分は、振盪又は撹拌によって混ぜ合わされる。得られる組成物は、吸収性基材内に充填され、次いで毛髪に適用される。
【0195】
この毛髪ハイライト組成物は、わずかな時間で高いレベルの脱色効果を提供することができる。得られる毛髪トレスは、ミノルタ・スペクトグラフ(Minolta Spectograph)で確定したときに、対照毛髪トレスに比べて、顕著な漂白を受けていた。
【0196】
実施例D:吸収性基材によって直接染料組成物又は酸化染料を備えた過酸化組成物を使用する根元のタッチアップ
正方形片(約25cm2)を、約150グラム毎平方メートルのポリエステル嵩高詰綿不織布基材のロール(ベルギーのリベルテックス(Libeltex)から入手可能な01−766 DI−8)から切断する。吸収材片を、3M両面テープによって、厚さ1mmの透明ポリエチレンフィルムの約6×6cm片の中央に接着させる。約7.5グラムの直接染料組成物(6)を、ピペット又はシリンジを使用して、計量器上の吸収性基材内に充填する(吸収性基材1平方メートル当たり3,000グラムの直接染料組成物(6))。直接染料組成物(6)を、直接染料組成物(6)の大部分が基材に完全に吸収されることを確実にするために、ピペット又はシリンジで優しく機械的に押しながら吸収性基材表面全体に均等に適用する。次いで、手袋をした指でポリエチレン側に触れ、吸収性基材側を毛髪根元ライン全体にすり込みながら、ポリエチレンフィルムに接着された得られる充填された吸収性基材を、マネキン頭部(サロンズ・ダイレクト(Salons Direct)(プロ・ヘア(Pro-hair))から入手可能)の根元ラインにすり込む。得られるマネキン頭部を、30分間放置し、次いですすぎ、シャンプーする。マネキン頭部の根元ライン(root-line)は、明るい茶色に着色されていた。
【0197】
【表9】

【0198】
根元のタッチアップは、上述の正確な手順を用いることにより、ただし、実施例Bで上述したように、約4グラムの過酸化組成物(3)と、約4グラムの酸化染料及びアルカリ化組成物(4)とを予め混合して、酸化染料によって達成することができる。得られた混合物の約7.5グラムの量を、上述のように吸収性基材に充填する。得られる組成物は、根元ラインのところで上述のようにマネキン頭部に適用される。組成物除去後、明るい茶色の着色が観察された。
【0199】
本明細書で選択された粘度を有する他のヘアトリートメント組成物及び化粧品組成物の非限定的な追加の例を、以下で例示する。
【0200】
【表10】

【0201】
【表11】

【0202】
【表12】

*1 セチルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)から入手可能なコノル(Konol)シリーズ。
*2 ステアリルアルコール:新日本理化(Shin Nihon Rika)から入手可能なコノル(Konol)シリーズ。
*3 ステアルアミドプロピルジメチルアミン:イノレックス(Inolex)から入手可能なSAPDMA。
*4 ジンクピリチオン:オリン(Olin)から入手可能なジンクピリチオンU/2。
【0203】
【表13】

【0204】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙される数値そのものに厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ヘアトリートメント適用システムであって、
a)3Pa.s(3,000cPs)〜150Pa.s(150,000cPs)の粘度を有する少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)と、
b)ヘアトリートメント適用デバイス(1)であって、
前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)が閉じられた状態にあるときに、重ねられた関係に位置決め可能な第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)を含み、
前記第1のプレート(10)及び前記第2のプレート(20)は、連結部(30)によって繋ぎ合わされ、
前記第1のプレート(10)及び前記第2のプレート(20)は、内表面(101;201)及び外表面(102;202)をそれぞれ有し、
前記第1のプレート(10)及び前記第2のプレート(20)は、周縁部(103;203)をそれぞれ有する、ヘアトリートメント適用デバイス(1)と
を含み、
少なくとも前記第1のプレート(10)は、前記内表面(101)上に、少なくとも第1の領域と少なくとも第2の領域(50)とを有し、
前記少なくとも第1の領域は、少なくとも1つの吸収性基材(40)を含み、
前記少なくとも1つの吸収性基材(40)は、300ミクロン〜3,000ミクロンのメジアン細孔半径を有し、
前記少なくとも第2の領域(50)は、前記吸収性基材(40)を含まないことを特徴とする、ヘアトリートメント適用システム。
【請求項2】
前記第1のプレート(10)の前記内表面(101)の前記少なくとも第2の領域(50)は、前記第1の領域に隣接する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のプレート(10)の前記内表面(101)の前記少なくとも第2の領域(50)は、前記第1の領域に隣接し、多孔質の圧縮性材料、多孔質の非圧縮性材料、非多孔質の圧縮性材料、非多孔質の非圧縮性材料、少なくとも1つの歯、少なくとも1つの刷毛、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のプレート(10)の少なくとも一部分は、くぼみ、好ましくは前記第1のプレート(10)内に形成された凹状のくぼみを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のプレート(10)の少なくとも一部分は、キャビティ、好ましくは凹状のキャビティを形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの吸収性基材(40)は、前記少なくとも第1のプレート(10)の前記周縁部(103)に沿った連続ストリップとして、前記内表面(101)から上方に延び、
前記連続ストリップは、前記ヘアトリートメント組成物(15)が充填される区域を、前記第1のプレート(10)の前記内表面(101)上に画定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの吸収性基材(40)は、前記第1のプレート(10)の前記内表面(101)に直接接触している内側表面と、
外側表面と、
外側部と
を含み、
前記少なくとも1つの吸収性基材(40)の前記外側部の少なくとも一部分は、不透過性膜(105)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも第1のプレート(10)は、前記第1のプレート(10)が前記第2のプレート(20)に対して重ねられた関係におかれるときに、前記ヘアトリートメント組成物(15)の過剰な付着を拭き取るための連続又は不連続な非多孔質材料のストリップを前記周縁部(103)に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記連結部(30)は、ヒンジである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
毛髪と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記ヘアトリートメント適用システムとを接触させる工程を含む、ヘアトリートメント方法。
【請求項11】
前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)は、前記毛髪と前記ヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、前記少なくとも1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)で充填される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のヘアトリートメント組成物(15)は、第1及び第2のヘアトリートメント組成物を含み、
前記第1及び第2のヘアトリートメント組成物は、混合されて第3のヘアトリートメント組成物を形成し、
前記第3のヘアトリートメント組成物(15)は、前記毛髪と前記ヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)上に充填される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のヘアトリートメント組成物は、酸化剤を含み、
前記第2のヘアトリートメント組成物は、アルカリ化剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の組成物の一方は、過硫酸塩を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプレート(10)及び第2のプレート(20)は、毛髪と前記ヘアトリートメント適用システムとを接触させる前に、1回、好ましくは2回、より好ましくは2回よりも多く重ねられた関係におかれる、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のヘアトリートメント適用システム(1)を少なくとも1つ含む、キット。
【請求項17】
前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)を1つ以上含む、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
シャンプー組成物、コンディショニング組成物、スタイリング組成物、毛髪着色剤組成物、毛髪漂白組成物、ハイライト処理組成物、又はこれらの組合せを含む、個々に包装された1つ以上のヘアトリートメント組成物を更に含む、請求項15又は16に記載のキット。
【請求項19】
酸化剤を含む個々に包装されたヘアトリートメント組成物と、アルカリ化剤を含む個々に包装されたヘアトリートメント組成物とを少なくとも含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載のキット。
【請求項20】
前記個々に包装されたヘアトリートメント組成物の少なくとも1つは、過流酸塩を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記キットは、前記ヘアトリートメント適用デバイス(1)を充填する及び/又は使用する方法を示している、消費者のための説明書を更に含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の部品キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−505503(P2010−505503A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531002(P2009−531002)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054101
【国際公開番号】WO2008/044200
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】