説明

吸収性樹脂粒子の製造方法

【課題】
植物由来原料を含み、しかも吸収性能に優れた吸収性樹脂粒子の製造方法を提供することである。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合して架橋重合体(A)を得た後、架橋重合体(A)とセルロース(B)とを混合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(1);又は
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体と、セルロース(B)とを混合した後、これらを共重合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(2)と、
架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を後処理して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)と
を含むことを特徴とする吸収性樹脂粒子の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子の製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性樹脂粒子は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であり、例えばポリアクリル酸系吸収性樹脂等が知られている。これらの吸収性樹脂は、その高い吸水性から広く使い捨て衛生用品に使用されている。しかし、これまでの吸収性樹脂粒子は、それを含む衛生用品の処理方法に環境負荷の観点から問題があり、焼却炉で処理する方法では、地球温暖化の原因となることが指摘されている。このような状況下で、カーボンニュトラル等の観点から、植物由来原料を用いた吸収性樹脂粒子が強く求められている
【0003】
植物由来原料を用いた吸収性樹脂としては、例えばカルボキシメチルセルロース架橋体(非特許文献1、特許文献1)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体(特許文献2)、ポリアミノ酸架橋体(特許文献3〜7)、ガラクトマンナン−金属イオン架橋体(特許文献8〜10)等が知られている。
【非特許文献1】米国特許第4650716号明細書
【特許文献1】特開2004−010634号公報
【特許文献2】特開昭55−15634号公報
【特許文献3】特開平7−224163号公報
【特許文献4】特開平7−309943号公報
【特許文献5】特開平8−59820号公報
【特許文献6】特開平8−504219号公報
【特許文献7】特開平9−169840号公報
【特許文献8】特開平8−59891号公報
【特許文献9】特公平3−66321号公報
【特許文献10】特開昭56−97450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、これらの植物由来原料を用いた吸収性樹脂をポリアクリル酸系吸収性樹脂と比較した場合、植物由来原料を用いた吸収性樹脂の方が、生産性が悪い上、吸収性能が低い等の問題があり実用化には至っていない。
【0005】
本発明の目的は、植物由来原料を含み、しかも吸収性能に優れた吸収性樹脂粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法の特徴は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合して架橋重合体(A)を得た後、架橋重合体(A)とセルロース(B)とを混合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(1);又は
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体と、セルロース(B)とを混合した後、これらを共重合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(2)と、
架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を後処理して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)と
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法によると、植物由来原料(セルロース)を用いているにもかかわらず、高い吸収性能を発揮する吸収性樹脂粒子を容易に製造できる。
また、本発明の吸収体は、上記の吸収性樹脂粒子を用いているため、高い吸収性能を発揮する。
また、本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を用いているため、高い吸収性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<工程(1)>
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}のビニルモノマー等が使用できる。
【0009】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}のビニルモノマー等が使用できる。なお、加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の吸収性能等の観点から重合後が好ましい。
【0010】
これらのうち、吸収性能等の観点からから、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0011】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0013】
架橋剤(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0014】
架橋剤(a3)の使用量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体には、これらの他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a4)を含むことができる。
【0016】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a4)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
【0017】
その他のビニルモノマー(a4)を含む場合、その他のビニルモノマー(a4)の使用量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a4)を使用しないことが最も好ましい。
【0018】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合する方法としては、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にしてできる。
【0019】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断する場合、細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。
【0020】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0021】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
セルロース(B)としては特に限定はなく、水酸基が未置換のセルロースでも置換された水酸基を含むセルロースでも構わないが、吸収性能の観点から、未置換セルロースが好ましい。
【0023】
未置換セルロースとしては、天然多糖類(たとえば、木綿、木材由来のパルプ、バクテリアセルロース、リグノセルロース、微生物産生多糖類、キチン及びキトサン等)、再生セルロース(たとえば、セロハン及び再生繊維等)及び微結晶セルロース等が挙げられる。これらの未置換セルロースのうち、天然多糖類及び微結晶セルロースが好ましく、さらに好ましくは天然多糖類、特に好ましくは木材由来のパルプである。
【0024】
置換セルロースとしては、セルロースエーテル(たとえば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等)、セルロースエステル(たとえば、セルロースアセテート、セルロースラクテート、セルロースブチレート、セルロースアセトブチレート及びセルロースカプロネート等)及びセルロースエーテルエステル(たとえば、ヒドロキシプロピルセルロースラクテート及びヒドロキシエチルセルロースブチレート等)等が挙げられる。
【0025】
置換セルロースの置換基の種類は1種でもよいし、2種以上であってもよい。これらの置換セルロースのうち、置換基部分の加水分解性の観点から、セルロースエーテルが好ましく、さらに好ましくはカルボキシメチルセルロースである。
【0026】
置換セルロースの置換度は、吸収性能等の観点から、0.01〜2が好ましく、さらに好ましくは0.02〜1、特に好ましくは0.03〜0.5である。
【0027】
なお、置換セルロースの置換度はグルコース環の3個の水酸基{グルコース環の1位、4位の水酸基を含まない}のうち、置換基を形成する反応剤(エーテル化剤及び/又はエステル化剤)との反応により変性された水酸基の個数{平均値}を意味する。
置換度は、JIS K0070:1992「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」の7.3ピリジン−塩化アセチル化法に準拠して反応前後の水酸基価を測定して、次式から求められる。
【0028】

(置換度)=3−(メチル化後の水酸基価/メチル化前の水酸基価)×3
【0029】
これらのセルロース(未置換セルロース及び置換セルロース)は架橋されていてもよい。セルロース (B)の架橋は公知の任意の方法で行うことができ、架橋剤を用いて架橋させてもよいし、放射線(たとえば、ガンマ線、X線又は電子ビームの放射線)及び/又は熱で架橋させてもよい。架橋剤を用いる場合、架橋剤をしては、分子内に環状部分を有するN−メチロール化合物(ジメチロールエチレン尿素及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、ポリカルボン酸(クエン酸トリカルバリル酸及びブタンテトラカルボン酸等)、エポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセロールジグリシジルエーテル等)、多価金属イオン(アルミニウムイオン及びクロムイオン等)、多官能性アミン(アミノ酸、ポリアミン、トリアミン及びジアミン等)等が挙げられる。これらの架橋剤は、各々単独で使用してもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
架橋重合体(A)とセルロース(B)とを混合する方法としては、(1)架橋重合体(A)と水からなる含水ゲルと、セルロース(B)とを混合する方法;(2)架橋重合体(A)(乾燥粒子)と、セルロース(B)とを混合する方法が含まれる。これらのうち、吸収性能等の観点から、(1)の方法が好ましい。
【0031】
セルロース(B)の使用量(重量%)は、必須構成単量体(a)及びセルロース(B)の重量に基づいて、5〜60が好ましく、さらに好ましくは15〜50、特に好ましくは30〜40である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0032】
必須構成単量体(a)の使用量(重量%)は、必須構成単量体(a)及びセルロース(B)の重量に基づいて、40〜95が好ましく、さらに好ましくは50〜85、特に好ましくは60〜70である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0033】
架橋重合体(A)とセルロース(B)との混合温度(℃)は、30〜150が好ましく、さらに好ましくは40〜120、特に好ましくは50〜100である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収性能がさらに良好となる。
【0034】
架橋重合体(A)とセルロース(B)との混合装置としては、公知の装置{双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機、タービュライザー、円筒型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型混合機、粉砕型ニーダー、溝型混合機、鋤型混合機等}が使用できる。これらは複数個を組み合わせて使用できる。
【0035】
<工程(2)>
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体と、セルロース(B)との混合は、均一混合できれば方法に制限はなく、公知の方法で行うことができる。
【0036】
単量体とセルロース(B)との混合装置としては、公知の装置{双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機、タービュライザー、円筒型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型混合機、粉砕型ニーダー、溝型混合機及び鋤型混合機等}等が使用できる。これらは複数個を組み合わせてもよい。
【0037】
セルロース(B)の使用量(重量%)は、必須構成単量体(a)及びセルロース(B)の重量に基づいて、5〜60が好ましく、さらに好ましくは15〜50、特に好ましくは30〜40である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0038】
必須構成単量体(a)の使用量(重量%)は、必須構成単量体(a)及びセルロース(B)の重量に基づいて、40〜95が好ましく、さらに好ましくは50〜85、特に好ましくは60〜70である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0039】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合する方法としては、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にしてできる。
【0040】
<工程(3)>
工程(1)又は(2)で得た架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)は、後処理により吸収性樹脂粒子に導くことができる。
後処理としては、細断、溶媒留去(乾燥)、粉砕、粒度調節、表面架橋及び添加剤の混合等が含まれる。これらの後処理は組み合わせて行ってもよいし、いずれか一つだけ行ってもよい。また、後処理の順番に制限はなく、適宜決定されるが、上記の順序が好ましい。なお、これらの後処理のうち、乾燥を含むことが好ましい。また、水溶液重合を採用する場合、さらに、粉砕を含むことが好ましい。
【0041】
<細断>
細断は、公知の方法で行うことができ、公知の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0042】
細断する場合、細断後の複合体ゲル(A/B)の大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、さらに取り扱いしやすくなることの他に、この後に溶媒を留去する場合、溶媒をさらに留去しやすくなり、また、その後に粉砕する場合、さらに粉砕しやすくなる。
【0043】
<溶媒留去(乾燥)>
工程(1)又は(2)の共重合において、溶媒(有機溶媒及び水等)を使用した場合、この溶媒を留去することが好ましい。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0044】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜7、最も好ましくは0〜3である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0045】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{株式会社ケット科学研究所製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0046】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法及び赤外線による乾燥法等が適用できる。
なお、溶媒留去に先立ち、デカンテーション及び濾過等により、溶媒を除くことができる。
【0047】
<粉砕>
粉砕は溶媒を留去した後に行うことが好ましい。
粉砕方法は特に限定がなく、公知の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等により粉砕できる。
【0048】
<粒度調節>
粉砕された粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調節される。
粉砕された粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。したがって、この範囲になるように粒度調節することが好ましい。
【0049】
なお、重量平均粒子径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0050】
微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、ふるい分け等により微粒子を除去することが好ましい。
全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は、3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。
微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0051】
<表面架橋>
裁断された細断ゲル又は粉砕された粒子は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。
表面架橋剤としては、公知{たとえば、特開昭59−189103号、特開昭58−180233号、特開昭61−16903号、特開昭61−211305号、特開昭61−252212号、特開昭51−136588号及び特開昭61−257235号等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収性能の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0052】
表面架橋をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋の条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収性能の観点等から、必須構成単量体(a)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0053】
表面架橋をする場合、表面架橋方法は、公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の方法が適用できる。
【0054】
<添加剤の混合>
細断ゲル、乾燥粒子、粉砕粒子又は表面架橋粒子等には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等}を混合することができる。
他の添加剤を混合する場合、均一混合できれば混合方法に制限はなく、公知の混合方法が適用できる。
【0055】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)としてなる架橋重合体(A)と、セルロース(B)とを含有するが、セルロース(B)の存在下に必須構成単量体(a)を含む単量体を共重合して得た場合、セルロース(B)と必須構成単量体(a)とのグラフト率が低いことが好ましい。このグラフト率(重量%)としては、70以下が好ましく、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは30以下、次に好ましくは15以下、次に好ましくは5以下、最も好ましくは0である。なお、グラフト率は、重合開始剤の種類等によって調整することができ、アゾ開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロリド及び2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等)を用いると、グラフト率が低くなる傾向がある。
【0056】
なお、グラフト率は、次のようにして測定される。
公称目開き1mmのふるい(JIS Z8801:2006)でふるい分けして、1mm以下の大きさに調整した後、100℃、1時間乾燥し、目開き150、300μmのふるいでふるい分けして、150〜300μmの測定試料を調製する。測定試料1.00g(G1)を、50℃、500rpmで攪拌している溶媒200gに分散させ、24時間維持した後、濾過して、溶媒100gで3回洗浄し、さらにメタノール100gで3回洗浄し、100℃、1時間乾燥してから、乾燥重量(G2)を測定して、次式からグラフト率を求める。ただし、(Z)は架橋重合体(A)及びセルロース(B)の重量に基づく、セルロース(B)の含有量(%)である。
【0057】
ただし、溶媒としては、セルロース(B)を溶解できる溶媒を用いる。たとえば、未置換セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースエステル及びセルロースエーテルエステルの場合、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを用いる。エチルセルロースの場合、エタノールを用いる。カルボキシメチルセルロースの場合、水/メタノール混合溶媒(重量比50/50)を用いる。
【0058】
【数1】




【0059】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子は、式(1)、(2)及び(3);式(4)、(5)及び(6);式(7)、(8)及び(9);又は式(10)、(11)及び(12)のいずれかを満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(13)、(14)及び(15);式(16)、(17)及び(18);式(19)、(20)及び(21);又は式(22)、(23)及び(24)のいずれかを満たすことである。
【0060】
29 ≦ (X) ≦ 38 (1)
17 ≦ (Y) ≦ 25 (2)
5 ≦ (Z) ≦ 15 (3)
【0061】
21 ≦ (X) ≦ 34 (4)
8 ≦ (Y) ≦ 19 (5)
15 < (Z) ≦ 30 (6)
【0062】
22 ≦ (X) ≦ 30 (7)
6 ≦ (Y) ≦ 19 (8)
30 < (Z) ≦ 50 (9)
【0063】
18 ≦ (X) ≦ 26 (10)
6 ≦ (Y) ≦ 17 (11)
50 < (Z) ≦ 60 (12)
【0064】
30 ≦ (X) ≦ 37 (13)
18 ≦ (Y) ≦ 24 (14)
5 ≦ (Z) ≦ 15 (15)
【0065】
22 ≦ (X) ≦ 33 (16)
9 ≦ (Y) ≦ 18 (17)
15 < (Z) ≦ 30 (18)
【0066】
23 ≦ (X) ≦ 29 (19)
7 ≦ (Y) ≦ 18 (20)
30 < (Z) ≦ 50 (21)
【0067】
20 ≦ (X) ≦ 24 (22)
7 ≦ (Y) ≦ 16 (23)
50 < (Z) ≦ 60 (24)
【0068】
ただし、(X)は生理食塩水に1時間浸漬後の吸収性樹脂粒子の保水量(g/g)、(Y)は6.2kPaの荷重下における生理食塩水に1時間浸漬後の吸収性樹脂粒子の吸収量(g/g)、(Z)は架橋重合体(A)及びセルロース(B)の重量に基づく、セルロース(B)の含有量(%)である。
【0069】
なお、保水量(X)は以下のようにして測定される。
<保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
【0070】

保水量(g/g)=(h1)−(h2)
【0071】
(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0072】
なお、6.2kPaの荷重下における生理食塩水に1時間浸漬後の吸収性樹脂粒子の吸収量(荷重下吸収量)(Y)は以下のようにして測定される。
<荷重下吸収量>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、250〜500μmの粒子径にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:310.6g、外径:24.5mm、)を乗せる。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置する。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
【0073】

荷重下吸収量(g/g)={(M2)−(M1)}/0.16
【0074】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等}を含むことができる。
【0075】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0076】
微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。
【0077】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ等に適用したとき、繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点及び吸収性能の観点から、不定形破砕状及びパール状が好ましい。
【0078】
本発明の製造方法で得られる吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号、特開2006−131767号及び特開2005−097569号等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、保水量(X)、荷重下吸収量(Y)は前述した方法により測定した。
【0080】
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}108.5部(1.51モル部)、架橋剤(a3−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.35部(0.0014モル部)及び脱イオン水389.9部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.43部及び2%アスコルビン酸水溶液0.81部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が60℃に達した後、60±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体含水ゲル(A1)を得た。
【0081】
<製造例2>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}77.45部(1.08モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.25部(0.0010モル部)及び脱イオン水421.3部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.31部及び2%アスコルビン酸水溶液0.58部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が40℃に達した後、40±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体含水ゲル(A2)を得た。
【0082】
<製造例3>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}62.00部(0.86モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.20部(0.0008モル部)及び脱イオン水437.0部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.25部及び2%アスコルビン酸水溶液0.47部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が35℃に達した後、35±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体含水ゲル(A3)を得た。
【0083】
<製造例4>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}131.5部(1.83モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.43部(0.0017モル部)及び脱イオン水366.5部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.53部及び2%アスコルビン酸水溶液0.99部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が70℃に達した後、70±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体含水ゲル(A4)を得た。
【0084】
<実施例1>
製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部及びセルロース(B1){KCフロック W−400G、日本製紙ケミカル株式会社製}45.3部を添加し、混合・中和して、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.5部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。
【0085】
<実施例2>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例2で得た架橋重合体含水ゲル(A2)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液70.9部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B2){セオラス TG−101、旭化成ケミカルズ株式会社製}75.6部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0086】
<実施例3>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例3で得た架橋重合体含水ゲル(A3)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液56.7部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B3){KCフロック W−100GK、日本製紙ケミカル株式会社製}90.7部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0087】
<実施例4>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例4で得た架橋重合体含水ゲル(A4)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液120.5部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B4){セオラス TG−F20、旭化成ケミカルズ株式会社製}22.7部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0088】
<実施例5>
「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B5){KCフロック W−200G、日本製紙ケミカル株式会社製}47.6部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0089】
<実施例6>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例3で得た架橋重合体含水ゲル(A3)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液56.7部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B6){KCフロック W−300G、日本製紙ケミカル株式会社製}63.0部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0090】
<実施例7>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例4で得た架橋重合体含水ゲル(A4)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液120.5部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B7){NPファイバーW−10MG2、日本製紙ケミカル株式会社製}6.8部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0091】
<実施例8>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例4で得た架橋重合体含水ゲル(A4)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液120.5部」に変更したこと、及び「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B4){セオラス TG−F20、旭化成ケミカルズ株式会社製}24.5部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。
【0092】
<実施例9>
「表面架橋剤5.5部」を「表面架橋剤3部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。
【0093】
<実施例10>
「製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(A1)400部」を「製造例2で得た架橋重合体含水ゲル(A2)400部」に変更したこと、「35%水酸化ナトリウム水溶液99.2部」を「35%水酸化ナトリウム水溶液70.9部」に変更したこと、「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B2){セオラス TG−101、旭化成ケミカルズ株式会社製}75.6部」に変更したこと、及び「表面架橋剤5.5部」を「表面架橋剤3部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。
【0094】
<実施例11>
「セルロース(B1)45.3部」を「セルロース(B5){KCフロック W−200G、日本製紙ケミカル株式会社製}47.6部」に変更したこと、及び「表面架橋剤5.5部」を「表面架橋剤3部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。
【0095】
<実施例12>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸}21.7部(0.30モル部)、水溶性ビニルモノマー(a1−2){アクリル酸ナトリウム}72.9部(0.78モル部)、架橋剤(a3−2){エチレングリコールジグリシジルエーテル}0.17部(0.00097モル部)、セルロース(B1)94.5部及び脱イオン水421.4部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素ガスを流入させて、混合物中の溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.31部及び2%アスコルビン酸水溶液0.58部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が40℃に達した後、40±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体含水ゲル(A5)を得た。
【0096】
得られた架橋重合体含水ゲル(A5)400部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、35%水酸化ナトリウム水溶液70.9部を添加し混合・中和して、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}3.0部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(12)を得た。
【0097】
<比較例1>
カルボキシメチルセルロース(アルドリッチ社製、置換度0.7)の5%水溶液4000部とポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製、重量平均分子量44000、ケン化度88モル%)の5%水溶液1000部とを80℃で5時間攪拌混合して、混合水溶液を得た。ついで、この混合水溶液に、40%グリオキザール水溶液50部と濃硫酸2.5部とを加え、均一攪拌した後、100℃の熱風乾燥機で7時間静置して、架橋反応させながら、乾燥して、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製、OSTERIZER BLENDER)で粉砕した後、目開き710μm及び150μmのふるいでふるい分けして、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)を得た。
【0098】
<比較例2>
比較例1で得た吸収性樹脂粒子(H1)100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.0部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。
【0099】
<比較例3>
熱風乾燥機内の静置時間を「7時間」から「10時間」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。
【0100】
実施例1〜12及び比較例1〜3で得た吸収性樹脂粒子について、保水量及び荷重下吸収量を評価し、これらの結果を表1に示した。
【0101】
【表1】




【0102】
表1から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子(実施例1〜12)は、比較例1〜3の吸収性樹脂粒子に比べ、保水量及び荷重下吸収量が著しく優れていた。
【0103】
実施例1〜12及び比較例1〜3で得た吸収性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収体及び吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表2に示した。
【0104】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製>
フラッフパルプ120部と評価試料{吸収性樹脂粒子}80部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/m2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5Kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、吸収体を得た。この吸収体を14cm×36cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつを調製した。
【0105】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equpment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央にSDME検出器を載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値を表面ドライネス値とした。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0106】
【表2】




【0107】
表2から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、比較用の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品に比べ、表面ドライネス値が著しく優れていた。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を適用した吸収性物品は環境の負荷が少なく、漏れやカブレ等の心配がないことが容易に予測される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合して架橋重合体(A)を得た後、架橋重合体(A)とセルロース(B)とを混合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(1);又は
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体と、セルロース(B)とを混合した後、これらを共重合して架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を得る工程(2)と、
架橋重合体/セルロース複合体ゲル(A/B)を後処理して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)と
を含むことを特徴とする吸収性樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
必須構成単量体(a)及びセルロース(B)の重量に基づいて、必須構成単量体(a)の使用量が40〜95重量%、セルロース(B)の使用量が5〜60重量%である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の製造方法で得た吸収性樹脂粒子を含有する吸収体。
【請求項4】
請求項3に記載された吸収体を用いた吸収性物品。

【公開番号】特開2009−242466(P2009−242466A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87953(P2008−87953)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】