説明

吸音フィルターおよびそれを用いた機器

【課題】浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ吸音効果を生み、除塵作用を有する吸音フィルターを提供することを目的とする。
【解決手段】吸音フィルター1は、少なくとも連続したメソ孔を有する多孔質構造体2と有機繊維3とを備え、多孔質構造体2は有機繊維3に溶着により担持され、かつ有機繊維3は織布または不織布を形成し浮遊物質を捕集する機能を有するものである。これによって、有機繊維3を織布や不織布とすることで浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音効果を生み、除塵(集塵)作用を有する吸音フィルターが実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を捕集する機能と、吸音機能を有する吸音フィルターおよびそれを取り付けた機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な吸音材としては、ガラスウールやロックウール、繊維の集合体であるフェルト、発泡ポリウレタンのようなものが用いられている。
【0003】
また、繊維状の細片と多孔質体の細片を成形した吸音性成形体も知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、例えばセルロースアセテート繊維と発泡ポリウレタンとを所望形状の容器に入れ、圧縮成形にて成形体を作製するものである。この吸音性成形体は、繊維と多孔質体(例えば発泡ポリウレタン)の形状が均一ではなくランダムに分散されており、音波エネルギーの吸収能力が高められるため、吸音性能の高いものとなっている。
【0004】
さらには、空気調和機のフィルターの一部に吸音部を設けたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。これは、プリーツ状のフィルターのいずれか一方の傾斜面に、例えば吸音塗料を塗布した吸音機能が付加されたフィルターである。
【特許文献1】特開2004−163510号公報
【特許文献2】特開平8−159509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記一般的な吸音材であるガラスウール、フェルト、発泡ポリウレタンなどでは、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質などを捕集するフィルターへ加工することは困難であった。また、特許文献1参照の吸音性成形体でも、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集する機能を付加することが難しいという課題があった。さらには、特許文献2参照の吸音機能が付加されたフィルターは、その半分は吸音効果がない部分であるため、高い吸音効果は期待できないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ吸音効果を生み、除塵作用を有する吸音フィルターおよびそれを用いた機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の吸音フィルターは、少なくとも連続したメソ孔を有する多孔質構造体と有機繊維とを備え、前記多孔質構造体は前記有機繊維に溶着により担持され、かつ前記有機繊維は織布または不織布を形成し浮遊物質を捕集する機能を有するものである。
【0008】
これによって、有機繊維を織布や不織布とすることで浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音効果を生み、除塵(集塵)作用を有する吸音フィルターが実現できる。
【0009】
また、本発明の吸音フィルターを用いた機器は、吸音フィルターを配置することで、捕集したホコリなどが排気とともに外部へ流出されるのを防ぎ、かつ静かな掃除機や空気調和機などの機器が実現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸音フィルターおよびそれを用いた機器は、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ吸音効果を生み、除塵作用を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、少なくとも連続したメソ孔を有する多孔質構造体と有機繊維とを備え、前記多孔質構造体は前記有機繊維に溶着により担持され、かつ前記有機繊維は織布または不織布を形成し浮遊物質を捕集する機能を有する吸音フィルターとすることにより、有機繊維を織布や不織布とすることで浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音効果を生み、除塵(集塵)作用を有する吸音フィルターが実現できる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明において、有機繊維に少なくとも熱可塑性樹脂を含むことにより、多孔質構造体を強固に有機繊維に結合することができるので、大流量で通気させても多孔質構造体が有機繊維から脱落することがなく、また結合剤を使用しないため多孔質構造体本来の吸音効果が発揮でき、吸音効率が高く長期間継続する吸音フィルターを実現できる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、多孔質構造体の代表径は有機繊維の代表径より小さいことにより、有機繊維に数多くの多孔質構造体を隙間なく付けることができるので、吸音効率の高い吸音フィルターを実現できる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、多孔質構造体は、少なくとも水を含む溶媒とゲル原料とを混合することで湿潤ゲルを形成するゲル化工程と、前記湿潤ゲル内の水を除く除水工程と、前記除水工程で除水された湿潤ゲル内に残存した溶媒を除いて多孔質構造体を得る乾燥工程とから作製されることにより、吸音効率の高い多孔質構造体を容易に作製することができるため、吸音効率の高い吸音フィルターを実現できる。
【0015】
第5の発明は、特に、第4の発明において、ゲル化工程において、ゲル原料がアルコキシシランのモノマーまたはオリゴマーであり、少なくとも溶媒には水とアルコールとゲル化を促進させるアルカリ触媒とを含むことにより、さらに容易に多孔質構造体を作製することができるため、吸音効率の高い吸音フィルターを実現できる。
【0016】
第6の発明は、特に、第4の発明において、除水工程の前に疎水化工程を有し、前記疎水化工程においては、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用いて湿潤ゲル表面の少なくとも一部を疎水化し、かつ乾燥工程が前記少なくとも表面の一部が疎水化された湿潤ゲル内に含まれる主成分となる溶媒の臨界点未満の温度かつ圧力条件で乾燥する乾燥工程であることにより、疎水化工程を行うことおよび乾燥工程時に適当な溶媒を選択することで超臨界乾燥を用いずに、吸音効率の高い多孔質構造体を低コストで作製でき、吸音効率の高い吸音フィルターを低コストで実現できる。
【0017】
第7の発明は、特に、第6の発明において、RとR’はいずれもメチル基で、かつx=2であることにより、この原料はジメチルジメトキシシランと称され、安価で疎水化速度が速く、確実に疎水化することができため、超臨界乾燥を用いずに、吸音効率の高い多孔質構造体を低コストで作製できる。このため、吸音効率の高い吸音フィルターを低コストで実現できる。
【0018】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、触媒または吸着剤を含み脱臭機能を有することにより、多孔質構造体内部に触媒または吸着剤を担持しておく、あるいは有機繊維に触媒または吸着剤を担持しておくことで、脱臭機能を有する吸音フィルターを実現できる。
【0019】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、プリーツ状に成形されたことにより、プリーツ状で面積が大きくなり、除塵効率および吸音効率の高い吸音フィルターを実現できる。
【0020】
第10の発明は、特に、第1〜第9のいずれか1つの発明における吸音フィルターを備えた機器とすることにより、吸音フィルターを配置することで、捕集したホコリなどが排気とともに外部へ流出されるのを防ぎ、かつ静かな掃除機や空気調和機などの機器が実現できる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1における吸音フィルターを示すものである。
【0023】
図1に示すように、吸音フィルター1は、少なくとも連続したメソ孔を有する多孔質構造体2を溶着により少なくとも熱可塑性樹脂を含む有機繊維3に担持したものの集合体が織布または不織布を成形し、それがプリーツ状に加工されたものからなる。有機繊維3の材質や形状や長さ、織布や不織布の目付けや形や厚みなどを限定するものではなく、「さえぎり」、「慣性」、「拡散」、「重力沈降」、「静電気」などの捕集メカニズムを利用して空気中の浮遊物質を捕集する機能を付与することができれば良い。なお、有機繊維3には剛性の高いものを用いることで吸音効率を向上させることができる。
【0024】
有機繊維3の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(PET、PBTなど)などの樹脂の他、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂は問題なく使用できる。一方、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂の有機繊維は溶着がやや難しいため、多孔質構造体2の担持量は減少するが、使用することは可能である。
【0025】
圧力損失は小さく通気性に優れる方がよいため、織布または不織布の目付けにもよるが厚みは0.5mm〜5mm程度が良く、1mm程度が望ましい。除塵性能については、望ましくはHEPAフィルターの性能を満足するものがよく、例えば目付け120g/m2の不織布を用いて、厚さ0.7mmのもので、圧力損失が85Pa、集塵効率99.97%のHEPAフィルターが実現できる。
【0026】
次に、多孔質構造体2を有機繊維3へ担持する方法について説明する。多孔質構造体2を有機繊維3に担持した後、織布または不織布に加工しても良いし、有機繊維3からなる織布または不織布に多孔質構造体2を担持しても良い。有機繊維3の材質を熱可塑性樹脂とすると、超音波溶着や熱溶着により結合剤を用いずに容易かつ強固に多孔質構造体2を有機繊維3に結合できるので、大流量で通気させても多孔質構造体2が有機繊維3から脱落することがなく、また結合剤を使用しないため多孔質構造体本来の吸音効果が発揮でき、吸音効率が高く長期間継続する吸音フィルターを実現できる。多孔質構造体2の担持量については特に限定するものではないが、最大でも織布または不織布の目付けの半分程度までが望ましい。担持量が多すぎると、圧力損失が向上したり、有機繊維3の表面状態が変わるため除塵効率が低下したりするためである。
【0027】
なお、吸音フィルター1の吸音メカニズムは以下のとおりである。吸音フィルターへ音があたると、その音は有機繊維3に担持された多孔質構造体2にあたり、その空気振動が直接多孔質構造体2の細孔内の空気に伝わる。細孔内の空気の粘性摩擦を生じ、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、吸音作用を生じることになる。したがって、細孔は独立気泡ではなく、連続している方が望ましい。また、音が多孔質構造体2の固体部分と気体部分を交互に通過していくときにも音の減衰が起こる。さらには、吸音フィルターを形成する織布または不織布も多孔質構造体とみなせるので、一部の音は織布または不織布中でも吸音されていると考えられる。
【0028】
図2に基づき多孔質構造体2について説明する。
【0029】
多孔質構造体2は1〜50nm程度の一次粒子11が数珠状につながった骨格からなり、粒子間距離12の大きさの径をもつ多数の孔が形成した空間が存在するため、細孔が連続した多孔質構造になっている。したがって粒子間距離12の径、すなわち細孔径は一次粒子径に依存し、2〜50nmのメソ孔と呼ばれる細孔径を多く有することが望ましい。細孔径は一般にその大きさによってミクロ孔(2nm未満)、メソ孔(2〜50nm)、マクロ孔(50nm以上)に大別されるが、メソ孔を多く有することが望ましい。これは、ミクロ孔の場合、細孔径が小さく空気が動きにくいため、空気の粘性摩擦が起こりにくく、熱エネルギーへの変換があまり進まないため不適である。一方、マクロ孔の場合、細孔径が大きいため細孔の数が少なくなってしまい、音が通過する固体部分と気体部分との数が少なくなり音の減衰が小さくなるので、ミクロ孔より吸音効果は大きいがメソ孔より吸音効果は小さくなってしまう。
【0030】
また、一定の大きさの細孔数は、多孔質構造体2の空間の量すなわち空隙率が大きい方が多くなるため、空隙率が高い方がよく、70%〜95%程度のものが望ましい。しかしながら、あまり高すぎると多孔質構造体2が非常に脆いものとなり非実用的なものとなる。多孔質構造体2の代表径は特に限定するものではないが、有機繊維3に担持することから、有機繊維3の代表径より小さいことが望まれる。特に有機繊維3の代表径の半分以下が望ましく、フィルター機能を有する織布または不織布を形成する繊維に担持することから考えると、有機繊維3の代表径は10〜100μm程度で、多孔質構造体2の代表径は5〜50μm程度となる。
【0031】
多孔質構造体2の材質は特に限定するものではないが、シリカ、アルミナ、チタニアなどが望ましい。多孔質構造体2の具体的な作製方法については後述するが、シリカ原料は安価で入手しやすく、取り扱い性がよいため、材質をシリカにすることが望ましい。
【0032】
脱臭用として触媒または吸着剤を多孔質構造体2の内部に担持しておく、あるいは有機繊維3に溶着させておくと、除塵機能に加えて脱臭機能を有する吸音フィルターを実現できる。触媒はマンガンやコバルトなどの遷移金属の酸化物触媒や、白金やパラジウムなどの貴金属触媒や、酸化チタンなどの光触媒などが挙げられる。但し、光触媒を搭載する場合は、別途光源を設ける必要があり、貴金属触媒はアルミナなどの担体に担持した状態で使用するのが望ましい。また、吸着剤は疎水性ゼオライト、親水性ゼオライト、セピオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭などを用いることができる。
【0033】
このような吸音フィルターは、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されることで吸音効果を生み、掃除機や空気清浄機、エアコンなどの空気調和機などに用いることができる。
【0034】
なお、本実施の形態における吸音フィルター1は、断熱材としての性能にも優れ、断熱材として利用することもできる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における吸音フィルターについて説明する。
【0036】
本実施の形態では、乾燥工程に超臨界乾燥を利用して多孔質構造体を作製したものである。作製工程は主に以下の3つの工程からなる。
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
(2)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
(3)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
以下、工程毎に説明する。
【0037】
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
本実施の形態では、ゾル−ゲル法により湿潤ゲルを作製する。具体的には、金属アルコキシドをゲル原料とし、水やアルコールなどの溶媒と、必要に応じてゲル化促進用の触媒とを混合することで、溶媒中でゲル原料の加水分解と縮重合(脱水反応)をすすめて湿潤ゲルを形成する。また、ゲル原料として水ガラスを用い、必要に応じて塩酸などのゲル化促進用の触媒とを混合することによっても、湿潤ゲルを作製することもできる。本実施の形態の作製で用いられるゲル原料としては、ゾル−ゲル法で一般的に用いられる、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどのアルコキシド類がある。この中でも金属としてケイ素を含有する化合物、すなわちアルコキシシランが、入手の容易性、安価なコストなどから好ましい。
【0038】
湿潤ゲルの形成には、アルコキシシランと、溶媒としてのアルコールと、ゲル化促進用の触媒としての酸あるいは塩基(アルカリ触媒)および水を加えることで、アルコキシシランの加水分解、縮重合を経て、湿潤ゲルを形成する。水はアルコキシシランを加水分解するために必要で、アルコキシシランと水とは混合しにくいため、アルコールを添加することでアルコキシシランと水とを均一に混合することができる。湿潤ゲルは、珪素原子と酸素原子が交互に結合した3次元網目構造のシリカ粒子を作り、それらシリカ粒子が重合して図2に示す一次粒子11を形成し、それが数珠状となって骨格を形成し、一次粒子11の粒子間距離12が隙間すなわち細孔となり、水などの溶媒が入り込む構造となっている。
【0039】
次に原料のアルコキシシランについて説明する。アルコキシシランは、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン、ジアルコキシシランなどのアルコキシシランやそのオリゴマーなどおよびこれらの混合物が用いられる。特に、テトラメトキシシランはシリカ含有分が多く、また安価で容易に入手できるため、本実施の形態で用いるのに適する。また、テトラメトキシシランは反応速度、すなわち加水分解速度と縮重合速度が速いため、本実施の形態には適している。さらには、アルコキシシランを予め反応させた4量体や10量体のオリゴマーを用いてもよい。
【0040】
ゲル化触媒としては、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基が用いられる。有機酸として、酢酸、クエン酸、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸、有機塩基として、ピペリジン、無機塩基として、アンモニア、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどがある。この中でもアンモニアをアンモニア水としてゲル化工程での触媒として用いることで、容易な取り扱い、触媒が湿潤ゲルの中に残りにくいなどの利点があり、また細孔径を10〜20nmに制御しやすいという利点もある。
【0041】
ゲル化後、形成された湿潤ゲルを必要に応じて、加温雰囲気に置き、ゲル中の未反応のシラノール基を縮合させてゲルを熟成させることが強度を増して、乾燥時の収縮を抑制することができる。40〜60℃程度の温度下で1日以上保持することが望ましい。
【0042】
(2)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
除水工程は、湿潤ゲル内にある水を除去し、より臨界温度および臨界圧力の小さな溶媒に置換する工程である。湿潤ゲルを普通に熱風乾燥させたものは、溶媒が乾燥するときの表面張力により、収縮し、孔を潰してしまい、1nm以上の細孔径を有する細孔が少なくなってしまう。なお、溶媒蒸発時に細孔に掛かる力ΔPは一般に(数1)により表される。
【0043】
【数1】

【0044】
ここでΔPは毛管力、γは溶媒の表面張力、θは溶媒と骨格との接触角、dは孔の径(細孔径)を表す。
【0045】
したがって、毛管力を小さくするためには、接触角θを大きくする、あるいは表面張力γを小さくする必要がある。湿潤ゲル内の溶媒が超臨界状態では、表面張力γがゼロとなり毛管力は発生しない。したがって、細孔が収縮することがないので多孔質構造体2を得ることができる。しかしながら、湿潤ゲル作製時に使用する水の臨界温度および臨界圧力は大きいため、安全性に問題があったり、非常にコストがかかったりする。ゆえに、乾燥時には臨界温度および臨界圧力が極力小さい溶媒、特に臨界圧力が小さな溶媒を使用することが望まれる。
【0046】
除水方法として、溶媒置換または加熱留去のいずれかの方法が望ましい。まず、溶媒置換について説明する。一般的な溶媒置換は、形成された湿潤ゲルを、水溶性溶媒の中に浸漬させて、前記溶媒をゲル内の溶媒と入れ替えることで行う。この時に用いる溶媒としては、水溶性の溶媒で臨界温度および臨界圧力が水(臨界温度:374.2℃、臨界圧力:218.3atm)よりも小さければ特に制限されない。例えば、水溶性のアルコール類としてメタノール(臨界温度:240℃、臨界圧力:78.5atm)、エタノール(臨界温度:243.1℃、臨界圧力:63atm)、プロパノールおよびターシャリ−ブタノール、エチレングリコール、グリセロールなどの低級アルコール、その他に、アセトン(臨界温度:235.5℃、臨界圧力:46.6atm)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどのケトン類やエーテル類(臨界温度:193.8℃、臨界圧力:36.2atm)、ジメチルホルムアミドなどのホルムアミド類、さらに蟻酸、酢酸(臨界温度:321.6℃、臨界圧力:57.1atm)およびプロピオン酸などの低級カルボン酸や、これらの混合物を用いることができる。この中でも、低価格で、入手が容易なメタノールやエタノールなどのアルコール類の使用が望ましい。
【0047】
また、溶媒置換は上記水溶性溶媒だけではなく、上記水溶性溶媒と他の非水溶性溶媒との混合溶媒によっても可能である。具体的には、n−ヘキサン、デカン、ノナン、オクタン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどと水溶性溶媒の混合溶媒である。安全面や入手の容易性など工業用として特に好ましいものは、オクタン、トルエン、キシレンなどである。
【0048】
次に、加熱留去に関して説明する。加熱留去により水を除く場合、一般的に水の沸点付近より高い沸点を有する非水溶性の溶媒を加えて加熱することで、水を優先的に留去することが可能である。非水溶性の溶媒を用いることで、加熱留去後に有機溶媒と水が自然に分離するため、溶媒の再利用が容易になる効果がある。また、非水溶性溶媒の沸点は、水の沸点より低くても、過剰に加えれば、水を除去することが可能であるが、さらに溶媒の沸点を高くすることで、水留去の選択性を高めることができる。このため、溶媒置換により水を除去する場合に比較して、使用する溶媒量も大幅に低減できる効果が得られる。但し、沸点が高すぎると使用エネルギーが多くなってしまうという欠点もある。
【0049】
また、水と加えた溶媒とが、共沸混合物を形成する場合は、水と溶媒とが一定の割合で留去されていくため、水の除去の制御が容易になる効果がある。さらに、通常の有機溶媒の乾燥で行われるように、減圧条件下で加熱留去を行うことで、効率的な水除去が可能になる。特に、ゲル化触媒などが存在する場合、水を含む状態で温度を上げて加熱乾燥すると、ゲル骨格中の結合の切断などが生じる可能性がある。このような場合は、減圧で水を加熱留去することで、温度上昇を防ぐことが効果的である。
【0050】
(3)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
乾燥方法に関して説明する。乾燥は、除水工程において除去した水に代わり湿潤ゲル内に入り込む溶媒を除去する工程である。溶媒がエタノールの場合を例に説明する。内部の水を除去し、エタノールに置換した湿潤ゲルを耐圧容器に入れ、圧力を臨界圧力以上に上げ、その後温度を臨界温度以上に上げて、エタノールを超臨界状態とする。その後、例えば二酸化炭素のような超臨界状態でエタノールと相溶性のある物質を流通させることにより、エタノールを抽出し二酸化炭素に置換し、圧力を大気圧まで下げた後、温度を下げる。これにより多孔質構造体2を得ることができる。
【0051】
また、湿潤ゲル中のエタノールの一部を二酸化炭素に置換した後、圧力を二酸化炭素の臨界圧力以上に上げ、温度を臨界温度以上に上げた後、二酸化炭素を超臨界状態で流通を行う。その後、流通を止め、圧力を大気圧まで下げた後、温度を下げる。これにより、エタノールの超臨界乾燥より安全かつ低コストで多孔質構造体2を得ることができる。
【0052】
このように作製した多孔質構造体2を吸音フィルター1に用いることで、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されることで吸音効果を生み、掃除機や空気清浄機、エアコンなどの空気調和機などの機器に用いることができる。
【0053】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における吸音フィルターについて説明する。
【0054】
本実施の形態では、乾燥工程に超臨界乾燥を利用しない多孔質構造体2の具体的な作製方法について説明する。作製工程は主に以下の4つの工程からなる。
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
(2)疎水化工程(湿潤ゲル表面の疎水化)
(3)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
(4)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
以下、工程毎に説明する。
【0055】
(1)ゲル化工程(湿潤ゲルの形成)
実施の形態2と同様の方法で湿潤ゲルを作製する。
【0056】
(2)疎水化工程(湿潤ゲル表面の疎水化)
この工程は、湿潤ゲル表面のシラノール基を例えばトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシランなどで疎水性のメチル基に代える工程である。これは、乾燥工程前の予備工程という意味合いがある。乾燥時に細孔にかかる力ΔPは(数1)で示されることを前述したが、この工程では疎水基を導入することで接触角θを大きくし、乾燥時に発生する毛管力ΔPを小さくすることを目的とする。なお、表面張力γを小さくすることについては次の除水工程で説明する。また、疎水化はメチル基に限定されるものではなく、エチル基、プロピル基やフッ素系官能基やフェニル基などでもほぼ同様の効果が得られるが、反応性やコストを考慮するとメチル基の導入が望ましい。
【0057】
さらには、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンなどを用いると、塩化水素やアンモニアなどのガスを発生させ、これらが触媒となり湿潤ゲルを形成する骨格同士の結合の切断などが生じる可能性がある。また、これらの疎水化剤を用いる場合、予め水を取り除いておく必要があり、工程が一つ増えてしまう。
【0058】
そこで、本実施の形態では、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用いて湿潤ゲル表面の少なくとも一部の疎水化を行った。
【0059】
用いるアルキルアルコキシシランとして、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシランなどの単官能アルキルアルコキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシランなどの2官能アルキルアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの3官能アルキルアルコキシシラン化合物がある。これらのうち一つ、または混合物を疎水化処理液となる溶媒に溶解させておき、湿潤ゲルとその溶媒に接触させることで反応させる。疎水化剤とシラノール基との反応は、疎水化剤が加水分解される必要があるため、必ず水が必要となる。そこで、疎水化処理液となる溶媒は水溶性溶媒が望ましく、水溶性溶媒としては、水溶性のアルコール類としてメタノール、エタノール、プロパノールおよびターシャリ−ブタノール、エチレングリコール、グリセロールなどの低級アルコール類、その他、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどのケトンやエーテルや、これらの混合物も用いることができる。
【0060】
アルキルアルコキシシランを疎水化剤として用いるためには、加水分解のために水を必要とするが、ゲル化工程で作製した湿潤ゲルは水を含んでいるため、新たに水を添加する必要がなく、また脱水しておく必要もないので、非常に望ましい。また、ゲル化時の触媒にアンモニア水を用い、溶媒に水とメタノールを用いることにより、湿潤ゲルに直接アルキルアルコキシシランを添加し、疎水化することができる。
【0061】
さらに、アルキルアルコキシシランの中でも、2官能のアルキルアルコキシシランが疎水化効率に優れることも見出した。これは、単官能では3つのアルキル基の立体障害により反応性が低下し、3官能では加水分解の結果生じる3つのシラノール基が全て、ゲル表面のシラノール基と反応することが難しく、シラノール基がゲル表面に残存するためではないかと考えられる。したがって、疎水化効率に優れる2官能アルキルアルコキシシラン、特にジメチルジメトキシシラン(RとR’はいずれもメチル基で、かつx=2である)は反応性が高く、非常に望ましい。
【0062】
また、疎水化工程はゲル化工程の後に記載されているが、ゲル化と同時に行うこともできる。しかし、ゲル化と同時であれば、疎水化剤が重合前のゲル原料と反応して重合を抑制したり、重合前のゲル原料との反応により必要な疎水化剤の量が多くなったりする場合がある。したがって、ゲル化が終了してから、疎水化剤を作用させることが好ましい。
【0063】
(3)除水工程(湿潤ゲル中の水の除去)
この工程では、湿潤ゲル内にある水および未反応の疎水化剤を除去し、その分を表面張力γの小さな溶媒に置換する工程である。この工程も乾燥工程の予備工程の意味合いがある。(数1)によると表面張力γを小さくすることも毛管力の低減には効果がある。水の表面張力は、0.072N/m(25℃)であり、他の液体、例えば汎用的な有機溶媒であるトルエン0.027N/m(30℃)、エタノール0.021N/m(25℃)などに比較して格段に大きい。したがって、乾燥前に湿潤ゲル中の水の割合を低減させ、代わりに表面張力が小さい溶媒に置換することが非常に重要である。
【0064】
除水方法は、実施の形態2と同様、溶媒置換または加熱留去であるが、置換する溶媒は臨界温度および臨界圧力に拘らず、表面張力が小さな溶媒が望ましい。
【0065】
溶媒置換は、実施の形態2と同様の方法で同様の溶媒を用いることができるが、やはり、低価格で、入手が容易なメタノールやエタノールなどのアルコール類の使用が望ましい。また、水溶性溶媒だけではなく、水溶性溶媒と他の非水溶性溶媒との混合溶媒によっても可能である。加熱留去に関しても、実施の形態2と同様の方法である。
【0066】
(4)乾燥工程(湿潤ゲル中の溶媒除去)
乾燥方法に関して説明する。乾燥は、除水工程において除去した水に代わり湿潤ゲル内に導入した溶媒を除去する工程である。疎水化工程と除水工程により、毛管力は著しく低下しているため、この状態で熱風乾燥を行ってもある程度の収縮は抑えられ、多孔質構造体2を得ることができるが、さらに乾燥時の圧力を大気圧以上の加圧下、少なくとも2気圧以上で行うことでより空隙率の大きな多孔質構造体2を得られやすい。これは加圧下で乾燥を行えば、孔の中に保持される溶媒の沸点が上昇するからである。このとき、昇温により表面張力γが下がるため、毛管力が低減されて収縮が効果的に抑制され、望ましい。例えば、アセトンを加圧下で乾燥させる場合、沸点を45℃程度上昇させて100℃程度まで上げれば、表面張力が0.005N/m程度下がり、0.015N/m程度まで減少することから、加圧下での乾燥は十分収縮抑制に効果的であるといえる。なお、実施の形態2で記述した超臨界乾燥で乾燥を行ってもよいが、上述した方法の方が圧倒的に安いコストで多孔質構造体2を作製することができる。
【0067】
このように作製した多孔質構造体2を吸音フィルターに用いることで、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ有機繊維表面に担持された連続したメソ孔を有する多孔質体を音が通過するときに音エネルギーが熱エネルギーに変換されることで吸音効果を生み、掃除機や空気清浄機、エアコンなどの空気調和機などの機器に用いることができる。
【0068】
(実施の形態4)
図3は、本発明の実施の形態4における一例として掃除機を示したものである。
【0069】
図に示すように、掃除機はその筐体21内部に集塵ボックス23と電動送風機24を配置し、吸引口22を設け、電動送風機24の吹き出し口の下流側に実施の形態1〜3において示した吸音フィルター1を吸音フィルター25として設置している。
【0070】
吸音フィルター25は、ポリエステル(PET)繊維製の120g/m2の目付けで、50cm×9cm×厚さ2mmの不織布に、実施の形態3で作製した多孔質構造体2を30g/m2、疎水性ゼオライトを10g/m2熱溶着により担持させ、7mm毎に60回折り返すプリーツ加工を行った後、樹脂の枠に固定しフィルターとしたものである。樹脂の枠は内寸15cm×9cm×厚さ7mmであり、集塵効率は99.97%のHEPAフィルターの条件を満たしていた。
【0071】
次に動作について説明する。電動送風機24を運転させると、吸引口22をとおってホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質などを含む空気が筐体21内に引き込まれ、集塵ボックス23でホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質が分離される。ある程度清浄になった空気が電動送風機24、吸音フィルター25をとおって、さらに清浄になった空気が筐体21外部へ排気される。このとき発生する電動送風機24の動作音や、風切り音を吸音フィルター25の吸音効果により減衰させることができる。
【0072】
このように、掃除機の排気部分に吸音フィルターを配置することで、掃除機が捕集したホコリなどが排気とともに外部へ流出されるのを防ぎ、かつ静かな掃除機が実現できる。なお、機器として掃除機を示したが、これに限られるものではなく、空気清浄機、エアコンなどの空気調和機などの機器にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる吸音フィルターおよびそれを用いた機器は、浮遊するホコリや花粉、ダニなどのアレルゲン物質を高効率で捕集することができ、かつ吸音効果を生み、除塵作用を有するものであるので、掃除機や空気清浄機、エアコンなどの空気調和機などの機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)本発明の実施の形態1〜3における吸音フィルターの斜視図(b)同吸音フィルターの一部を拡大した断面図
【図2】同吸音フィルターの多孔質構造体の一部を拡大した模式図
【図3】本発明の実施の形態4における機器としての掃除機の断面図
【符号の説明】
【0075】
1、25 吸音フィルター
2 多孔質構造体
3 有機繊維
11 一次粒子
12 粒子間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも連続したメソ孔を有する多孔質構造体と有機繊維とを備え、前記多孔質構造体は前記有機繊維に溶着により担持され、かつ前記有機繊維は織布または不織布を形成し浮遊物質を捕集する機能を有する吸音フィルター。
【請求項2】
有機繊維に少なくとも熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の吸音フィルター。
【請求項3】
多孔質構造体の代表径は有機繊維の代表径より小さい請求項1または2に記載の吸音フィルター。
【請求項4】
多孔質構造体は、少なくとも水を含む溶媒とゲル原料とを混合することで湿潤ゲルを形成するゲル化工程と、前記湿潤ゲル内の水を除く除水工程と、前記除水工程で除水された湿潤ゲル内に残存した溶媒を除いて多孔質構造体を得る乾燥工程とから作製される請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸音フィルター。
【請求項5】
ゲル化工程において、ゲル原料がアルコキシシランのモノマーまたはオリゴマーであり、少なくとも溶媒には水とアルコールとゲル化を促進させるアルカリ触媒とを含む請求項4に記載の吸音フィルター。
【請求項6】
除水工程の前に疎水化工程を有し、前記疎水化工程においては、RとR’はアルキル基を表し、xは1〜3のいずれかの整数を表し、R(R’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを用いて湿潤ゲル表面の少なくとも一部を疎水化し、かつ乾燥工程が前記少なくとも表面の一部が疎水化された湿潤ゲル内に含まれる主成分となる溶媒の臨界点未満の温度かつ圧力条件で乾燥する乾燥工程である請求項4に記載の吸音フィルター。
【請求項7】
RとR’はいずれもメチル基で、かつx=2である請求項6に記載の吸音フィルター。
【請求項8】
触媒または吸着剤を含み脱臭機能を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音フィルター。
【請求項9】
プリーツ状に成形された請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸音フィルター。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸音フィルターを備えた機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−86376(P2008−86376A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267624(P2006−267624)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】