説明

吸音断熱材

【課題】難燃性を有し結露防止性に優れると共に環境負荷も小さく、しかも自動車天井材、生活資材、住宅建材などに好ましく用いうる、新規な吸音断熱材を提供する。
【解決手段】竹繊維が熱接着性繊維を介して熱接着されてなり、かつ難燃剤を1〜50質量%含んでなる不織布から構成され、70%圧縮後の回復率が90%以上、熱伝導性が0.07W/m・K以下である吸音断熱材。熱接着性繊維としてポリエステル、ポリオレフィン及びポリ乳酸からなる群より選ばれた1種以上の重合体から構成される繊維を用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹繊維を使用した吸音断熱材に関し、特に、自動車天井材、生活資材、住宅建材などに好適な吸音断熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響効果の向上や騒音の抑制を図ると同時に、熱の移動を抑制することで室内温度を一定に保つ働きのある資材として、吸音断熱材が広く知られている。
【0003】
吸音断熱材は、主に自動車天井材、生活資材、住宅建材などに使用され、用途に応じて様々な構成のものが用いられている。
【0004】
例えば、住宅建材として使用する場合は、無機繊維、発泡性樹脂、有機繊維などを用いて塊状、マット状又は板状となしたものが好適に採用されている。このとき、無機繊維としてはガラスウール、ロックウールなど、発泡性樹脂としてはポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォームなど、有機繊維としてはセルロース、羊毛などがあげられる。
【0005】
また、自動車天井材や生活資材として使用する場合は、発泡性樹脂の中に無機繊維を含有させマット状又は板状としたもの、ポリプロピレン繊維と無機繊維とをフェルト状に積層したものなどが好適に採用されている。
【0006】
これらの吸音断熱材は、耐熱性や耐久性に優れるだけでなく、原料を容易に入手できることから製造コストを低く抑えることもできる一方、解決すべき課題もある。
【0007】
例えば、無機繊維を用いる場合、繊維を切断した際に発生する繊維くずが人体に悪影響を及ぼしたり、吸音断熱材の軽量化を図る際、無機繊維の比重を考慮し繊維使用量を減らす結果、材内部に空隙が形成され断熱性が低減するといった問題がある。
【0008】
また、発泡性樹脂の場合は、構造上、吸音断熱材の断熱性や耐水性を向上させる点では有利であるものの、吸音性、難燃性をかえって低減させるという問題がある。
【0009】
さらに、両者共通の課題として、結露防止性に乏しいことや廃棄時の環境負荷が大きいという問題もあり、住宅建材として使用する場合、特に大きな問題となることがある。
【0010】
他方、有機繊維は、結露防止性に優れ、環境負荷も特段大きくないが、成型性に劣るため、吸音断熱材の形状を所望のものとなすことが困難であるという問題がある。特に、吹き込み用セルロース繊維は、経時変形しやすく、結果、吸音断熱材の断熱性を低下させてしまうという問題がある。
【0011】
このような問題に対し種々検討されている。例えば、特許文献1では、ロックウールなどの断熱材層の片面に、ケナフ繊維と熱硬化樹脂とで成型されたボードを配設することによって高い透湿性を実現し、もって結露防止性を具現化した断熱パネルが提案されている。
【0012】
特許文献2には、珪酸含有レーヨン繊維を基材とし、ニードルパンチでマット化した、皮膚刺激がなく難燃性あるセルロース繊維断熱材が提案されている。
【0013】
特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面にセルロース系繊維不織布を積層した結露防止用断熱材が提案されている。
【0014】
さらに、特許文献4には、熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂基材に天然繊維を主体にした不織布を積層したシートが提案されている。
【特許文献1】特開2006−328828号公報
【特許文献2】特開平8−74160号公報
【特許文献3】特開平8−72183号公報
【特許文献4】特開2008−80885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが特許文献1記載の発明では、断熱材の原料として、ロックウール、グラスウール、発泡性樹脂などを使用しているので、廃棄処理における環境負荷が大きいという問題がある。特許文献2記載の発明は、実質的に金属折板裏張り用断熱材に関するものであるから、断熱性につき満足できる範囲にない。
【0016】
また、特許文献3記載の発明は、空調機器や配管などの機器類の保温、保冷で使用する結露防止用断熱材に関するものであり、難燃性に対する記載がなく建材用断熱材としては使用できないという問題がある。
【0017】
さらに、特許文献4記載の発明は、ドアトリム、ルーフトリムなどの自動車部品を軽量化することを目的とするものであり、目付が200g/m以下となる点で有益であるが、吸音性、断熱性ついては満足できるものではなかった。
【0018】
本発明は、上記のような現状を鑑み、難燃性を有し結露防止性に優れると共に環境負荷も小さく、しかも自動車天井材、生活資材、住宅建材などに好ましく用いうる、新規な吸音断熱材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、鋭意研究の結果、竹繊維を使用することで諸問題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0020】
すなわち、本発明は、竹繊維が熱接着性繊維を介して熱接着されてなり、かつ難燃剤を1〜50質量%含んでなる不織布から構成され、70%圧縮後の回復率が90%以上、熱伝導性が0.07W/m・K以下であることを特徴とする吸音断熱材を要旨とするものであり、かかる熱接着性繊維の組成を特定の重合体に限定した態様を含むものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の吸音断熱材は、竹繊維を含有していることから、吸湿性に富み、結果、結露防止性にも優れている。また、吸音断熱材全体として環境に対する負荷が小さい。そして、本発明の吸音断熱材は、難燃性にも優れ、不織布の製造過程で原料たる繊維を切断したとあっても、人体へ及ぼす影響が少なくて済むという効果を奏す。
【0022】
本発明の吸音断熱材は、吸湿性が高く弾性の高い竹繊維と、同じく弾性の高い熱接着性繊維とからなるものであり、構造として空隙率の高い多孔質体を形成しているため、優れた吸音性、断熱性を発揮する他、上記結露防止性の向上にも資するところが大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明の吸音断熱材は、竹繊維が熱接着性繊維を介して熱接着されている不織布から構成されるものである。
【0025】
本発明における竹繊維としては、例えば、イネ科タケ亜科に属する多年生常緑草本植物の竹から採取できる繊維が使用できる。竹の具体例としては、真竹、孟宗竹、淡竹、女竹、慈竹、水竹などがあげられる。
【0026】
竹から繊維を採取する手段としては、例えば、竹をプレスして長さ方向に破砕した後、円筒状ドラムにピンを植え込んだ解繊機にこれを投入して繊維を採取する方法、竹を高温湿熱処理する、水に数日間浸漬する又はアルカリ溶液で煮沸処理するなどして竹を柔軟化した後、これをカード機に投入して解繊し、繊維を採取する方法などがあげられる。
【0027】
そして、本発明に用いる竹繊維の繊維長としては、30〜120mmの範囲にあることが好ましい。繊維長が30mm未満になると、吸音断熱材の圧縮回復性が低減する傾向にあり、加えて不織布作製時に竹繊維が脱落しやすくなる傾向にあり、好ましくない。一方、120mmを超えると、竹繊維と熱接着性繊維とを均一に混合するのが困難となる結果、不織布の形態安定性が低下し、ひいては吸音断熱材としての耐久性が低下することがあり、好ましくない。
【0028】
また、竹繊維の繊維長分布としては、一般の天然繊維と同様であればよい。つまり、本発明は、竹繊維の繊維長分布をある特定範囲に厳密に規定することを排除するものではないが、使用する竹繊維の中に極端に繊維長の長いものもしくは短いものが含まれていても、繊維長の分布状態として、一般の天然繊維と同様のステープルダイヤグムが描けるのであれば特に問題はない。
【0029】
不織布中における竹繊維の含有割合としては、不織布100質量%に対し5〜90質量%の範囲が好ましい。含有量が5質量%未満になると、竹の持つ吸湿性を吸音断熱材に反映させ難くなるばかりか、環境への負荷も大きくなる傾向にあり、好ましくない。一方、90質量%を超えると、熱接着性繊維の含有量が極端に減るのに伴い、不織布の形態保持性が低減する傾向にあり、好ましくない。
【0030】
一方、不織布を構成するもう一つの成分たる熱接着性繊維については、竹繊維の特性を損ねることがなく、加えて成型性に優れるものであれば、基本的にどのようなものでも使用できる。具体的には、溶融成分を含有する繊維が好ましく使用される。この場合、繊維中における溶融成分の含有割合としては、目的に応じて任意に設定してよい。
【0031】
例えば、竹繊維との接着強度を高めたい場合は、溶融成分のみからなる繊維を熱接着性繊維として使用すればよい。
【0032】
また、不織布の形態安定性を確保したい場合は、溶融成分と共に溶融し難い成分をも含む複合繊維を熱接着性繊維として使用すればよい。この場合、溶融し難い成分は溶融成分より融点が高く、両成分の融点差は20℃以上であることが好ましい。そして、両成分の複合形態としては、高融点側を芯に低融点側を鞘に配した芯鞘構造、高融点側を島に低融点側を海に配した海島構造の他、両者を並列に接合したサイドバイサイド構造などがあげられる。かかる複合繊維では、低融点側が主に溶融成分として、高融点側が主に不織布形成繊維として機能するので、不織布の形態安定性確保に大きく貢献することができる。
【0033】
溶融成分及び溶融し難い成分の組成としては、繊維を形成しうる重合体であれば基本的にどのようなものでも使用でき、具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ乳酸などが好適である。
【0034】
例えば、溶融成分としてポリエステルを選択する場合、主たる繰り返し単位をエチレンテレフタレートとする共重合ポリエステルが好適であり、かかる共重合成分として、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4ブタンジオールやそれらの各種誘導体などが採用できる。
【0035】
溶融成分としてポリオレフィンを選択する場合は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又はポリエチレンとポリプロピレンとの混合物などが採用できる。
【0036】
また、溶融成分としてポリ乳酸を選択する場合は、ポリD乳酸、ポリL乳酸の他、A−ヒドロキシ酸のようなグリコール酸を共重合成分として含むポリ乳酸などが採用できる。
【0037】
一方、溶融し難い成分としてポリエステルを選択する場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが採用でき、中でも、寸法安定性やコストの点でポリエチレンテレフタレートが好ましく採用できる。また、同じくポリオレフィンを選択する場合は、結晶性ポリプロピレンなどが採用できる。さらに、ポリ乳酸を採用する場合は、ポリL乳酸とポリD乳酸とを立体特異的に配したステレオコンプレックス構造を呈するポリ乳酸などが採用できる。
【0038】
本発明では、上記にあげた熱接着性繊維に関する各選択肢の内、必要なものを適宜選択し、目的とする熱接着性繊維となせばよいが、実用的には、外層に低融点ポリエステルを内層に高融点ポリエステルを配した複合繊維、外層にポリオレフィンを内層にポリエステルを配した複合繊維が最も好ましく採用される。
【0039】
以上、不織布を構成する繊維について述べたが、かかる不織布には、吸音断熱材に難燃性を発揮させる目的により特定量の難燃剤が含有されている。
【0040】
かかる難燃剤としては、例えば、亜燐酸エステル、燐酸アンモニウム、燐酸グアニジンなどを主たる成分とする燐系難燃剤、ホウ素を含有するホウ素系難燃剤の他、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの主たる成分とする無機難燃剤などがあげられる。これらの難燃剤は、単体又は2種類以上混合して使用される。
【0041】
難燃剤の含有割合としては、不織布100質量%に対し1〜50質量%の範囲を満足する必要がある。これは、1質量%未満であると、吸音断熱材が良好な難燃性を発揮できず、一方、50質量%を超えると、さらなる難燃性の向上が期待できないばかりか、コスト面でも不利となるからである。
【0042】
本発明の吸音断熱材は、従来にない優れた吸音断熱性能を発揮するものである。そのため、かかる特性の指標として、70%圧縮後の回復率が90%以上、熱伝導性が0.07W/m・K以下を満足する必要がある。
【0043】
70%圧縮後の回復率が90%未満になると、吸音断熱材が少しの力でも変形しやすくなり、所望の断熱性が得られない。なお、70%圧縮後の回復率とは、吸音断熱材の厚さが圧縮前に対し30%となるまで所定の力を掛けて圧縮し、開放後、元の厚さに対しどの程度まで回復するかを数値化したものである。
【0044】
また、熱伝導性が0.07W/m・Kを超えると、吸音断熱材の内部構造を空隙率の高い多孔質な構造となすことができず、その結果、所望の吸音性、断熱性が得られない。
【0045】
吸音断熱材における回復率を所望の範囲となすには、不織布中に含まれる竹繊維の含有割合を所定の範囲とすればよい。また、熱伝導性を所望の範囲となすには、これに加え不織布内部の構造を多孔にすればよい。竹繊維は、内部に微細な空気層を有しており、さらに繊維間に多くの空隙を設ければ、不織布内に多くの静止空気を溜め込むことができるから、吸音断熱材の熱伝導性を下げることができるのである。不織布の内部構造が多孔であるか否かのひとつの目安として密度があり、本発明では20〜100kg/mの範囲が好ましい。
【0046】
吸音断熱材の製法については、特に限定されるものでないが、一般には、まず、竹繊維と熱接着性繊維の均一に混綿し、カード機で解繊してウェブを形成し、これを熱処理することで目的の不織布を得る。次に、かかる不織布を単独で又は複数使用して目的の吸音断熱材となせばよい。このとき、難燃剤を予め使用する繊維に付着もしくは練り込んでおくか、ウェブを形成した後、難燃剤を含有する溶液にウェブを含浸する又は該溶液をウェブに噴きつけるなどすれば、最終的に得られる吸音断熱材中に難燃剤を所定量含ませることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、吸音断熱材の構成部材として目的の不織布とは別の不織布、織編物などを使用してもよい。
【実施例】
【0047】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各特性値の測定は下記方法に準じた。
【0048】
1.熱伝導率
JIS A1412−2記載の平板熱流計法に基づき、不織布の熱伝導率を測定した。
【0049】
2.難燃性
JIS A9511 5.13.1測定法Aに基づき、3秒間以内に炎が消え、残じんがなく、かつ燃焼限界指示線を超えて燃焼しないときを合格とした。
【0050】
3.70%圧縮後の回復率
JIS K6400−2の記載に基づき、不織布の70%圧縮後の回復率を測定、算出した。すなわち、まず、不織布の初期厚さを測定した(T)。次に、直径100mmの圧縮板を用い、テストスピード100mm/分なる速さで、初期厚さに対し厚さが30%となるまで不織布を圧縮(これを70%圧縮という)し、次いで同じテストスピードで圧縮板の位置を元に戻す。そして、直ちに圧縮後の歪を測定し(T)、下記式(1)に基づき70%圧縮後の回復率を算出した。
70%圧縮後の回復率=((T―T)/T)×100・・(1)
ただし、T:不織布の初期厚さ(mm)
:70%圧縮後の歪(mm)
【0051】
4.吸湿性
JIS A9523の記載に基づき、不織布の吸湿性を測定した。
【0052】
5.吸音性
JIS A1405−1記載の垂直入射吸音率測定方法に基づき、中心周波数250Hz、500Hz、1000Hz及び2000Hzでの吸音率を測定した後、それらの平均を算出し、その数値を下記3段階で評価し、不織布の吸音性に関する評価とした。
○:0.8以上
△:0.6以上
×:0.4以上
【0053】
6.環境負荷
丸刃の電動裁断機を用いて不織布を裁断し、粉塵の飛散状態を下記3段階の指針にて官能評価し、これを不織布の環境負荷に関する評価とした。
○:裁断時に不快感がなく、環境負荷が小さい。
△:裁断時に不快感はないが、環境負荷はやや高いと思われる。
×:裁断時に不快感があり、環境負荷が大きい。
【0054】
(比較例1、実施例1)
まず、中国産の一年生慈竹を長さ約1mに切断し、これをプレス機にて圧縮、破砕した後、これを池上機械(株)製のリサイクラーにて解繊し、平均繊維長60mm、繊維径20〜50μmの竹繊維を得た。
【0055】
一方、熱接着性繊維としては、外層に低融点ポリエステルを内層に高融点ポリエステルを配してなる、単糸繊度2.2dtex、平均繊維長52mmの複合繊維を使用した。
【0056】
次に、上記竹繊維を70質量%、熱接着性繊維を30質量%の割合で均一に混綿した後、カード機で解繊してウェブとなし、さらにクロスレイヤで積層しマットを形成し、温度160℃に調整された加熱炉で2分間熱処理した。そして、熱処理後のマットを、80℃に調整されたプレスロールに隙間40mmで熱プレスすることにより、厚さ40mm、密度40kg/mの不織布を得た(これを比較例1とする)。
【0057】
続いて、難燃剤としてホウ酸6質量%及びホウ砂14質量%を含有する50℃の水溶液を用意し、上記不織布にこの水溶液を均一に噴きつけ、80℃で乾燥することでホウ素系難燃剤を15%含有する、厚さ40mm、密度40kg/m不織布となし、これを目的の吸音断熱材とした。
【0058】
(実施例2)
難燃剤としてホウ酸6質量%、ホウ砂14質量%及び第一燐酸アンモニウム10質量%を含有する50℃の水溶液を用意し、この水溶液の中に、実施例1で用いた竹繊維及び熱接着性繊維をそれぞれ50質量%ずつ浸漬し、80℃で乾燥することにより、難燃剤をそれぞれ10%含有する竹繊維並びに熱接着性繊維を得た。
【0059】
そして、両繊維を実施例1と同様の不織布製造過程に導入し、厚さ40mm、密度40kg/mの不織布となし、これを目的の吸音断熱材とした。
【0060】
(比較例2)
実施例1で用いた熱接着性繊維のみを実施例1と同様の不織布製造過程に導入し、厚さ40mm、密度40kg/mの不織布を得た。
【0061】
以上の不織布に関する各特性値を下記表1に示す。なお比較のため、JIS A9504認定のガラスウールフェルトについて、同じく特性値を併記した。
【0062】
【表1】

【0063】
表1から明らかなように、実施例における不織布には竹繊維が所定量含まれており、圧縮後の回復性に優れ、熱伝導率が低いものであった。特に同不織布は吸湿性が優れていることから、結露防止性の向上が期待されるものであった。さらに、同不織布は、ガラスウールフェルトと比べたときの、裁断時の粉塵飛散が少ないことから、環境への負荷が小さいものであることがわかる。また、同不織布は難燃性を具備していることから、吸音断熱材として好適であることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹繊維が熱接着性繊維を介して熱接着されてなり、かつ難燃剤を1〜50質量%含んでなる不織布から構成され、70%圧縮後の回復率が90%以上、熱伝導性が0.07W/m・K以下であることを特徴とする吸音断熱材。
【請求項2】
熱接着性繊維がポリエステル、ポリオレフィン及びポリ乳酸からなる群より選ばれた1種以上の重合体から構成されていることを特徴とする請求項1記載の吸音断熱材


【公開番号】特開2010−47869(P2010−47869A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212816(P2008−212816)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(592197315)ユニチカトレーディング株式会社 (84)
【Fターム(参考)】