説明

告知放送受信機

【課題】 CATV共聴ラインLが切断された場合、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる告知放送受信機を実現する。
【解決手段】 告知放送信号の搬送波の有無を検出し、搬送波無しを検出した時には、CATV共聴ラインLに断線等の線路障害が発生したと見做して、内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信するために局部発振周波数を可変にする構成を備える。これにより、CATV共聴ラインLが切断しても、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CATVシステムに用いて好適な告知放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CATVシステムの加入者宅に設置され、CATVセンタからの生活情報等を知らせる一般告知放送や、災害時の緊急放送を受信する告知放送受信機が実用化されている。
図4は、このような告知放送受信機の一構成例を示すブロック図である。この図において、INは、加入者宅内に設置され、CATV共聴ラインLに接続される直列ユニットに接続される端子である。10は端子INを介して入力されるCATV信号にバンドパスフィルタリングを施して告知放送周波数帯域(例えば74MHz帯)を抽出し、これを高周波増幅して出力するRF増幅部である。
【0003】
11は水晶発振回路等から構成される局部発振部であり、受信周波数に対応した局部発振信号LOを発生する。12は混合部であり、RF増幅部10の出力と局部発振信号とをミキシングしてIF(中間周波数)信号を発生する。13はIF増幅検波部である。このIF増幅検波部13は、混合部12の出力にバンドパスフィルタリングを施してIF信号(10.7MHz)を抽出して増幅した後、これにFM検波を施して音声信号SSを復調出力する。14は音量コントロール回路であり、IF増幅検波部13が発生するFM復調出力にローパスフィルタリングを施して音声信号SSの低域側に多重されている制御用トーン信号TCを抽出して出力する。
【0004】
15は、音量調節ボリウム等の操作子から供給される操作子信号に基づいて音声信号SSをレベル調整するボリウム回路である。このボリウム回路15は、上記制御用トーン信号TCが供給された場合、操作子信号に依らず強制的に最大音量レベルの音声信号SSを出力する。16は出力増幅部であり、上記ボリウム回路15から供給される音声信号SSのレベルを増幅して後段のスピーカSPより放音させる。17は交流100V入力に基づき直流駆動電圧DCを発生する電源であり、停電に際してはリレーRLの切片がバッテリBAT側へ接続されてバッテリバックアップされる。
上記構成によれば、告知放送を受信する時には音量調整ボリウムの操作に応じた音量レベルで聴取できる一方、制御用トーン信号が多重される緊急放送を受信した時には、音量コントロール回路14がこの制御用トーン信号TCを抽出してボリウム回路15を強制的に最大音量レベルに設定するようになっている。
従来の告知放送受信機としては、以下の特許文献に記載のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平1−220590号公報
【特許文献2】特開昭62−144429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の告知放送受信機においては、地震や火災等の災害により信号伝送路(CATV共聴ラインL)が切断されると、端子INにCATV信号が供給されなくなる為、受信機自体がバッテリバックアップされて受信機能を維持しているにもかかわらず、放送を受信できなくなるという問題がある。
また、告知放送受信機は、加入者宅内にて固定的に設置される場合が多く、上述のように線路障害が発生して受信動作し得なくなる場合、容易に取り外して携帯型の受信機として取り扱うことができないという弊害も生じている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、CATV共聴ラインLが切断された場合、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる告知放送受信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、信号伝送路を介して入力される告知放送の搬送波の有無を検出する検出手段と、この検出手段が搬送波無しを検出した場合、前記信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して一般放送を受信すべく選局操作に応じて局部発振周波数を可変制御する同調手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
上記請求項1に従属する請求項2に記載の発明では、前記同調手段は、前記検出手段が搬送波無しを検出した場合、前記信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して予め定められた周波数の非常放送信号に同調することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、告知放送受信機の筺体において、告知放送サービス加入者宅に備えられる直列ユニットの電源コンセントとテレビ端子とにそれぞれ対向する位置関係に電源プラグとコネクタ端子とを設け、前記直列ユニットに対して筺体を着脱自在としたことを特徴とする。
【0011】
本発明では、信号伝送路を介して入力される告知放送の搬送波の有無を検出する検出手段が搬送波無しを検出した場合、すなわち、信号伝送路に断線等の線路障害が生じた時には、同調手段が信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して一般放送を受信すべく選局操作に応じて局部発振周波数を可変制御する。
これにより、CATV共聴ラインLが切断された場合には、CATVシステムと切り離して個別に受信動作し得る告知放送受信機が具現する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信号伝送路を介して入力される告知放送の搬送波の有無を検出する検出手段が搬送波無しを検出した場合、同調手段が信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して一般放送を受信すべく選局操作に応じて局部発振周波数を可変制御するので、CATV共聴ラインが切断された場合には、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる。
また、告知放送受信機の筺体において、告知放送サービス加入者宅に備えられる直列ユニットの電源コンセントとテレビ端子とにそれぞれ対向する位置関係に電源プラグとコネクタ端子とを設けたので、前記直列ユニットに対して筺体を容易に着脱することができる。
【実施例】
【0013】
本発明による告知放送受信機は、CATVシステムや、CATVを用いたセキュリティ・システムあるいは有線放送に適用され得る。以下では、本発明の実施の形態である告知放送受信機を実施例として図面を参照して説明する。
(1)実施例の構造
図1は、本発明の一実施例による告知放送受信機の構造を示す外観図である。この図において、1は筺体であり、そのパネル面には表示用LED1a〜1d、音量調整操作子1e、選局操作子1fおよびバンド切替えスイッチ1gが設けられている。なお、LED1aはCATVシステムを介して一般告知放送を受信する際に点灯駆動される発光ダイオード、LED1bはCATVシステムを介して緊急放送を受信する際に点灯駆動される発光ダイオードである。LED1cおよびLED1dは、それぞれCATV共聴ラインLの断線の有無に応じて点灯・消灯制御される発光ダイオードであり、その意図するところについては後述する。
【0014】
こうしたパネル構造を備える筺体1の背面側には、図2に示すように、コネクタT1とプラグPGとが配設されている。このコネクタT1とプラグPGとは、CATVシステム加入者宅に設けられる直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対向する位置関係にて筺体1の背面側に配置されている。このようにすることで、直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対してコネクタT1とプラグPGとが一挙動で着脱することができ、緊急の際に容易に取り外して携行することが可能になる。
【0015】
(2)実施例の構成
次に、図3を参照して実施例の構成について説明する。ところで、本実施例による告知放送受信機は、AM放送およびFM放送の2バンド受信系統を備え、上述したバンド切替えスイッチ1gにて受信系統を切替え可能としているが、以下では、特に、CATV共聴ラインLが切断された場合に、CATVシステムと切り離して個別にFM放送を受信可能とした構成について言及する。なお、図3に示す実施例おいて、図4に示した従来例と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
図3において、2はキャリア検出回路であり、端子INを介して入力されるCATV信号にバンドパスフィルタリングを施して告知放送周波数帯域(例えば74MHz帯)の搬送波の有無を検出すると共に、そのバンドパス出力を次段へ供給する。この検出回路2は、搬送波の有無を検出した結果に応じて表示制御信号Sdとセレクタ制御信号Scとを発生する。
3はキャリア検出回路2から出力されるセレクタ制御信号Scに応じて後述するセレクタSEL1,SEL2を切替え指示するセレクタドライバである。すなわち、セレクタドライバ3は、キャリア検出回路2が搬送波無しを表わすセレクタ制御信号Scを出力した場合、セレクタSEL1を内部アンテナ5側に、セレクタSEL2を可変周波数発振回路7側へ切替え指示する。
【0017】
4は表示制御信号Sdに応じてLED1c,1dを点灯駆動する表示ドライバである。ここで、LED1cは、キャリア検出回路2が搬送波を検出した状態で点灯駆動され、CATV共聴ラインLを介して放送される通常の告知放送を受信する動作モードを表わす。一方、LED1dは、CATV共聴ラインLの断線によりキャリア検出回路2が搬送波無しを検出した時に点灯駆動され、この場合、上記セレクタSEL1を介して内部アンテナ5を用いて一般放送を受信する動作モードを表わす。内部アンテナ5は、例えばFM放送受信用のホイップアンテナである。
【0018】
6は固定周波数発振回路であり、CATV共聴ラインLを介して放送される通常の告知放送を受信するための固定局発信号を出力する。可変周波数発振回路7は、前述した選局操作子1fの操作により生成される周波数選局コントロール信号Sfに対応した可変局発信号を出力する。これら回路6,7から出力される局発信号のいずれかが、セレクタSEL2を介して混合部12へ入力される。
つまり、上述したように、キャリア検出回路2が搬送波を検出している状態では、セレクタSEL2は固定周波数発振回路6から出力される固定局発信号を選択して混合部12側へ供給する。これに対し、CATV共聴ラインLの断線等によりキャリア検出回路2が搬送波無しを検出した時には、セレクタSEL2が可変周波数発振回路7から出力される可変局発信号を選択して混合部12側へ供給する。
【0019】
(3)実施例の動作
次に、上記構成による実施例の動作について述べる。ここでは、CATV共聴ラインLの断線がなく、通常の告知放送を受信する動作と、CATV共聴ラインLの断線に応じて一般放送を受信する動作とに分けて説明して行く。
(a)通常の受信動作
この場合、CATV共聴ラインLを介してCATV信号が端子INに入力される。そうすると、キャリア検出回路2は搬送波を検出し、これを表わす表示制御信号Sdとセレクタ制御信号Scとを発生する一方、バンドパス出力となる告知放送信号を次段へ供給する。
したがって、この時、セレクタSEL1はキャリア検出回路2から出力される告知放送信号をRF増幅部10側へ供給し、一方、セレクタSEL2は固定周波数発振回路6から出力される固定局発信号を選択して混合部12側へ供給する。
【0020】
この結果、混合部12では、RF増幅部10の出力と固定周波数信号とをミキシングしてIF(中間周波数)信号を発生し、続く、IF増幅検波部13にてバンドパスフィルタリングが施されたIF信号(10.7MHz)を増幅した後にFM検波して音声信号SSを発生し、これをボリウム回路15および出力増幅部16を介して所定音量でスピーカSPより放音する。なお、音声信号SSに制御用トーン信号TCが多重されている時には、従来と同様、音量コントロール回路14の指示により最大音量レベルで音声信号SSを放音する。
【0021】
(b)CATV共聴ラインLが断線した時の動作
一方、例えば、大規模な地震や火災などの災害によりCATV共聴ラインLが断線すると、端子INにはCATV信号が供給されてこないので、キャリア検出回路2は搬送波を検出できず、これに対応した表示制御信号Sdおよびセレクタ制御信号Scとを発生する。
そうなると、先ず表示ドライバ4では、表示制御信号Sdに基づきLED1dを点灯駆動し、内部アンテナ5により一般放送を受信する動作モードに遷移したことを表わす一方、LED1cを消灯する。また、セレクタドライバ3では、セレクタSEL1が内部アンテナ5側を選択するよう指示し、かつ、セレクタSEL2が可変周波数発振回路7側を選択するよう指示する。
【0022】
この結果、RF増幅部10は内部アンテナ5(ホイップアンテナ)を経て入力される一般のFM放送信号を高周波増幅して次段の混合部12へ供給し、当該混合部12では、周波数選局コントロール信号Sfに対応した可変周波数信号に基づいてミキシングした所望のIF信号を発生する為、所望の周波数の放送を受信することが可能になる。
【0023】
このように、本実施例では、告知放送信号の搬送波の有無を検出し、搬送波無しを検出した時には、CATV共聴ラインLに断線等の線路障害が発生したと見做して、内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信するために局部発振周波数を可変にする構成を有するので、CATV共聴ラインLが切断しても、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することが可能になる訳である。
また、告知放送受信機の背面側には、直列ユニットUTに対向する位置関係でコネクタT1とプラグPGとを設けた為、直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対してコネクタT1とプラグPGとをワンタッチで挿抜することができ、緊急の際に容易に取り外して携行し得る。
さらに、こうして直列ユニットから告知放送受信機を取り外した場合においても、CATV共聴ラインLが断線した時と同様な状態になるため、内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信すべく局部発振周波数を可変にするので、通常の携帯ラジオと同等に扱うことができる。
【0024】
なお、上述した実施例においては、搬送波の有無に応じて固定周波数発振回路6あるいは可変周波数発振回路7のいずれかを選択的に切替える構成としたが、これに限らず、復調系をPLL(位相同期ループ)回路で構成し、搬送波の有無に応じてVCO(電圧制御発振器)を制御する方式としても良い。
また、本実施例では、CATV共聴ラインLが断線した時に内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信すべく局部発振周波数を可変にしたが、これに替えて、予め定められた周波数の非常放送や、防災無線あるいは行政無線のチャンネルを受信する形態としても良い。このようにすることで、CATV共聴ラインLが断線する規模の災害が発生した時に、迅速に防災情報を聴取することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による一実施例の外観を示す外観図である。
【図2】同実施例の筺体背面に設けられるプラグPGおよびコネクタT1の配置位置を説明するための図である。
【図3】同実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】従来例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 筺体
2 キャリア検出回路(検出手段)
3 セレクタドライバ(同調手段)
4 表示ドライバ
5 内部アンテナ(空中線)
6 固定周波数発振回路
7 可変周波数発振回路(同調手段)
SEL1,SEL2 セレクタ(同調手段)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CATVシステムに用いて好適な告知放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CATVシステムの加入者宅に設置され、CATVセンタからの生活情報等を知らせる一般告知放送や、災害時の緊急放送を受信する告知放送受信機が実用化されている。
図4は、このような告知放送受信機の一構成例を示すブロック図である。この図において、INは、加入者宅内に設置され、CATV共聴ラインLに接続される直列ユニットに接続される端子である。10は端子INを介して入力されるCATV信号にバンドパスフィルタリングを施して告知放送周波数帯域(例えば74MHz帯)を抽出し、これを高周波増幅して出力するRF増幅部である。
【0003】
11は水晶発振回路等から構成される局部発振部であり、受信周波数に対応した局部発振信号LOを発生する。12は混合部であり、RF増幅部10の出力と局部発振信号とをミキシングしてIF(中間周波数)信号を発生する。13はIF増幅検波部である。このIF増幅検波部13は、混合部12の出力にバンドパスフィルタリングを施してIF信号(10.7MHz)を抽出して増幅した後、これにFM検波を施して音声信号SSを復調出力する。14は音量コントロール回路であり、IF増幅検波部13が発生するFM復調出力にローパスフィルタリングを施して音声信号SSの低域側に多重されている制御用トーン信号TCを抽出して出力する。
【0004】
15は、音量調節ボリウム等の操作子から供給される操作子信号に基づいて音声信号SSをレベル調整するボリウム回路である。このボリウム回路15は、上記制御用トーン信号TCが供給された場合、操作子信号に依らず強制的に最大音量レベルの音声信号SSを出力する。16は出力増幅部であり、上記ボリウム回路15から供給される音声信号SSのレベルを増幅して後段のスピーカSPより放音させる。17は交流100V入力に基づき直流駆動電圧DCを発生する電源であり、停電に際してはリレーRLの切片がバッテリBAT側へ接続されてバッテリバックアップされる。
上記構成によれば、告知放送を受信する時には音量調整ボリウムの操作に応じた音量レベルで聴取できる一方、制御用トーン信号が多重される緊急放送を受信した時には、音量コントロール回路14がこの制御用トーン信号TCを抽出してボリウム回路15を強制的に最大音量レベルに設定するようになっている。
従来の告知放送受信機としては、以下の特許文献に記載のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平1−220590号公報
【特許文献2】特開昭62−144429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の告知放送受信機においては、地震や火災等の災害により信号伝送路(CATV共聴ラインL)が切断されると、端子INにCATV信号が供給されなくなる為、受信機自体がバッテリバックアップされて受信機能を維持しているにもかかわらず、放送を受信できなくなるという問題がある。
また、告知放送受信機は、加入者宅内にて固定的に設置される場合が多く、上述のように線路障害が発生して受信動作し得なくなる場合、容易に取り外して携帯型の受信機として取り扱うことができないという弊害も生じている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、CATV共聴ラインLが切断された場合、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる告知放送受信機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の告知放送受信機は、信号伝送路に接続され信号伝送路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段と、
空中線により無線放送を受信するアンテナと、
前記信号伝送路から告知放送もしくは前記受信用アンテナから受信した無線放送のいずれかに切り換えて放送する切り換え手段と、を備え、
前記切り替え手段は、前記検出手段が告知放送を検出した場合に前記信号伝送路からの告知放送側に切り換えることを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に従属する請求項2記載の告知放送受信機は、さらに、前記切り換え手段の状態を表示する表示手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の告知放送受信機は、信号伝線路に接続された信号電線路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段と、
空中線により無線放送を受信する筐体に設けたアンテナと、
前記検出手段の検出状態を表示する表示手段と、
前記信号伝送路からの告知放送もしくは前記受信用アンテナから受信した無線放送のいずれかを切り換えて放送する切り換え手段と、
を具備することを特徴とする。
また、請求項3記載の告知放送受信機は、前記切り換え手段は、前記検出手段が告知放送を検出した場合に前記信号伝送路からの告知放送側に切り換えることを特徴とする。
また、請求項1乃至3のいずれかに記載の告知放送受信機は、さらに、前記受信用アンテナにより受信して放送する無線放送の受信周波数を可変制御する選局手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明では、信号伝送路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段が告知放送を検出した場合には、切り替え手段が信号伝送路からの信号を受信するCATV共聴ラインL(つまり告知放送側)に切り換える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信号伝送路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段が告知放送の無しを検出した場合、切り換え手段が受信用アンテナから受信した無線放送に切り換えて放送し、また、切り替え手段が検出手段が告知放送を検出した場合には信号伝送路からの告知放送側に切り換えて放送するので、CATV共聴ラインが切断された場合には、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することができる。
【実施例】
【0013】
本発明による告知放送受信機は、CATVシステムや、CATVを用いたセキュリティ・システムあるいは有線放送に適用され得る。以下では、本発明の実施の形態である告知放送受信機を実施例として図面を参照して説明する。
(1)実施例の構造
図1は、本発明の一実施例による告知放送受信機の構造を示す外観図である。この図において、1は筺体であり、そのパネル面には表示用LED1a〜1d、音量調整操作子1e、選局操作子1fおよびバンド切替えスイッチ1gが設けられている。なお、LED1aはCATVシステムを介して一般告知放送を受信する際に点灯駆動される発光ダイオード、LED1bはCATVシステムを介して緊急放送を受信する際に点灯駆動される発光ダイオードである。LED1cおよびLED1dは、それぞれCATV共聴ラインLの断線の有無に応じて点灯・消灯制御される発光ダイオードであり、その意図するところについては後述する。
【0014】
こうしたパネル構造を備える筺体1の背面側には、図2に示すように、コネクタT1とプラグPGとが配設されている。このコネクタT1とプラグPGとは、CATVシステム加入者宅に設けられる直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対向する位置関係にて筺体1の背面側に配置されている。このようにすることで、直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対してコネクタT1とプラグPGとが一挙動で着脱することができ、緊急の際に容易に取り外して携行することが可能になる。
【0015】
(2)実施例の構成
次に、図3を参照して実施例の構成について説明する。ところで、本実施例による告知放送受信機は、AM放送およびFM放送の2バンド受信系統を備え、上述したバンド切替えスイッチ1gにて受信系統を切替え可能としているが、以下では、特に、CATV共聴ラインLが切断された場合に、CATVシステムと切り離して個別にFM放送を受信可能とした構成について言及する。なお、図3に示す実施例おいて、図4に示した従来例と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
図3において、2はキャリア検出回路であり、端子INを介して入力されるCATV信号にバンドパスフィルタリングを施して告知放送周波数帯域(例えば74MHz帯)の搬送波の有無を検出すると共に、そのバンドパス出力を次段へ供給する。この検出回路2は、搬送波の有無を検出した結果に応じて表示制御信号Sdとセレクタ制御信号Scとを発生する。
3はキャリア検出回路2から出力されるセレクタ制御信号Scに応じて後述するセレクタSEL1,SEL2を切替え指示するセレクタドライバである。すなわち、セレクタドライバ3は、キャリア検出回路2が搬送波無しを表わすセレクタ制御信号Scを出力した場合、セレクタSEL1を内部アンテナ5側に、セレクタSEL2を可変周波数発振回路7側へ切替え指示する。
【0017】
4は表示制御信号Sdに応じてLED1c,1dを点灯駆動する表示ドライバである。ここで、LED1cは、キャリア検出回路2が搬送波を検出した状態で点灯駆動され、CATV共聴ラインLを介して放送される通常の告知放送を受信する動作モードを表わす。一方、LED1dは、CATV共聴ラインLの断線によりキャリア検出回路2が搬送波無しを検出した時に点灯駆動され、この場合、上記セレクタSEL1を介して内部アンテナ5を用いて一般放送を受信する動作モードを表わす。内部アンテナ5は、例えばFM放送受信用のホイップアンテナである。
【0018】
6は固定周波数発振回路であり、CATV共聴ラインLを介して放送される通常の告知放送を受信するための固定局発信号を出力する。可変周波数発振回路7は、前述した選局操作子1fの操作により生成される周波数選局コントロール信号Sfに対応した可変局発信号を出力する。これら回路6,7から出力される局発信号のいずれかが、セレクタSEL2を介して混合部12へ入力される。
つまり、上述したように、キャリア検出回路2が搬送波を検出している状態では、セレクタSEL2は固定周波数発振回路6から出力される固定局発信号を選択して混合部12側へ供給する。これに対し、CATV共聴ラインLの断線等によりキャリア検出回路2が搬送波無しを検出した時には、セレクタSEL2が可変周波数発振回路7から出力される可変局発信号を選択して混合部12側へ供給する。
【0019】
(3)実施例の動作
次に、上記構成による実施例の動作について述べる。ここでは、CATV共聴ラインLの断線がなく、通常の告知放送を受信する動作と、CATV共聴ラインLの断線に応じて一般放送を受信する動作とに分けて説明して行く。
(a)通常の受信動作
この場合、CATV共聴ラインLを介してCATV信号が端子INに入力される。そうすると、キャリア検出回路2は搬送波を検出し、これを表わす表示制御信号Sdとセレクタ制御信号Scとを発生する一方、バンドパス出力となる告知放送信号を次段へ供給する。
したがって、この時、セレクタSEL1はキャリア検出回路2から出力される告知放送信号をRF増幅部10側へ供給し、一方、セレクタSEL2は固定周波数発振回路6から出力される固定局発信号を選択して混合部12側へ供給する。
【0020】
この結果、混合部12では、RF増幅部10の出力と固定周波数信号とをミキシングしてIF(中間周波数)信号を発生し、続く、IF増幅検波部13にてバンドパスフィルタリングが施されたIF信号(10.7MHz)を増幅した後にFM検波して音声信号SSを発生し、これをボリウム回路15および出力増幅部16を介して所定音量でスピーカSPより放音する。なお、音声信号SSに制御用トーン信号TCが多重されている時には、従来と同様、音量コントロール回路14の指示により最大音量レベルで音声信号SSを放音する。
【0021】
(b)CATV共聴ラインLが断線した時の動作
一方、例えば、大規模な地震や火災などの災害によりCATV共聴ラインLが断線すると、端子INにはCATV信号が供給されてこないので、キャリア検出回路2は搬送波を検出できず、これに対応した表示制御信号Sdおよびセレクタ制御信号Scとを発生する。
そうなると、先ず表示ドライバ4では、表示制御信号Sdに基づきLED1dを点灯駆動し、内部アンテナ5により一般放送を受信する動作モードに遷移したことを表わす一方、LED1cを消灯する。また、セレクタドライバ3では、セレクタSEL1が内部アンテナ5側を選択するよう指示し、かつ、セレクタSEL2が可変周波数発振回路7側を選択するよう指示する。
【0022】
この結果、RF増幅部10は内部アンテナ5(ホイップアンテナ)を経て入力される一般のFM放送信号を高周波増幅して次段の混合部12へ供給し、当該混合部12では、周波数選局コントロール信号Sfに対応した可変周波数信号に基づいてミキシングした所望のIF信号を発生する為、所望の周波数の放送を受信することが可能になる。
【0023】
このように、本実施例では、告知放送信号の搬送波の有無を検出し、搬送波無しを検出した時には、CATV共聴ラインLに断線等の線路障害が発生したと見做して、内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信するために局部発振周波数を可変にする構成を有するので、CATV共聴ラインLが切断しても、CATVシステムと切り離して個別に受信動作することが可能になる訳である。
また、告知放送受信機の背面側には、直列ユニットUTに対向する位置関係でコネクタT1とプラグPGとを設けた為、直列ユニットUTのACコンセントCONおよびテレビ端子TTに対してコネクタT1とプラグPGとをワンタッチで挿抜することができ、緊急の際に容易に取り外して携行し得る。
さらに、こうして直列ユニットから告知放送受信機を取り外した場合においても、CATV共聴ラインLが断線した時と同様な状態になるため、内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信すべく局部発振周波数を可変にするので、通常の携帯ラジオと同等に扱うことができる。
【0024】
なお、上述した実施例においては、搬送波の有無に応じて固定周波数発振回路6あるいは可変周波数発振回路7のいずれかを選択的に切替える構成としたが、これに限らず、復調系をPLL(位相同期ループ)回路で構成し、搬送波の有無に応じてVCO(電圧制御発振器)を制御する方式としても良い。
また、本実施例では、CATV共聴ラインLが断線した時に内部アンテナ5に切替えると共に、一般放送を受信すべく局部発振周波数を可変にしたが、これに替えて、予め定められた周波数の非常放送や、防災無線あるいは行政無線のチャンネルを受信する形態としても良い。このようにすることで、CATV共聴ラインLが断線する規模の災害が発生した時に、迅速に防災情報を聴取することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による一実施例の外観を示す外観図である。
【図2】同実施例の筺体背面に設けられるプラグPGおよびコネクタT1の配置位置を説明するための図である。
【図3】同実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】従来例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 筺体
2 キャリア検出回路(検出手段)
3 セレクタドライバ(切り換え手段
4 表示ドライバ(表示手段)
4 表示ドライバ(表示手段)
1c、1d LED(表示手段)
5 内部アンテナ(空中線)
6 固定周波数発振回路
7 可変周波数発振回路(切り換え手段
SEL1,SEL2 セレクタ(切り換え手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送路を介して入力される告知放送の搬送波の有無を検出する検出手段と、
この検出手段が搬送波無しを検出した場合、前記信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して一般放送を受信すべく選局操作に応じて局部発振周波数を可変制御する同調手段と
を具備することを特徴とする告知放送受信機。
【請求項2】
前記同調手段は、前記検出手段が搬送波無しを検出した場合、前記信号伝送路に替えて自己が備える空中線に切替え、当該空中線を介して予め定められた周波数の非常放送信号に同調することを特徴とする請求項1記載の告知放送受信機。
【請求項3】
告知放送受信機の筺体において、告知放送サービス加入者宅に備えられる直列ユニットの電源コンセントとテレビ端子とにそれぞれ対向する位置関係に電源プラグとコネクタ端子とを設け、前記直列ユニットに対して筺体を着脱自在としたことを特徴とする告知放送受信機。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送路に接続され信号伝送路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段と、
空中線により無線放送を受信するアンテナと、
前記信号伝送路から告知放送もしくは前記受信用アンテナから受信した無線放送のいずれかに切り換えて放送する切り換え手段と、を備え、
前記切り替え手段は、前記検出手段が告知放送を検出した場合に前記信号伝送路からの告知放送側に切り換えることを特徴とする告知放送受信機。
【請求項2】
さらに、前記切り換え手段の状態を表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の告知放送受信機。
【請求項3】
信号伝線路に接続された信号電線路を介して入力される告知放送の有無を検出する検出手段と、
空中線により無線放送を受信する筐体に設けたアンテナと、
前記検出手段の検出状態を表示する表示手段と、
前記信号伝送路からの告知放送もしくは前記受信用アンテナから受信した無線放送のいずれかを切り換えて放送する切り換え手段と、
を具備することを特徴とする告知放送受信機
【請求項4】
前記切り換え手段は、前記検出手段が告知放送を検出した場合に前記信号伝送路からの告知放送側に切り換えることを特徴とする請求項3記載の告知放送受信機。
【請求項5】
さらに、前記受信用アンテナにより受信して放送する無線放送の受信周波数を可変制御する選局手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の告知放送受信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−121729(P2006−121729A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331359(P2005−331359)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【分割の表示】特願平7−321484の分割
【原出願日】平成7年12月11日(1995.12.11)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】