説明

周波数の初期走査の方法、周波数走査制御装置、及び装置

マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う方法が開示される。前記方法は、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかどうかを判断する工程(100)を含む。もし、その判断(100)が干渉信号がないとの結果を与えるなら(102)、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数での単純な走査を含む第1の走査手順(104)が適用される。或いは、その判断が干渉信号があるとの結果を与えるなら(102)、前記判断された干渉信号を考慮した第2の走査手順(106)が適用される。初期走査を行うための周波数走査装置(206)、そのような初期走査を行う無線アクセス回路も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおける複数の周波数の初期走査を行う方法、周波数走査制御装置、及び、その制御装置を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話、広域無線ネットワークのモデム装置、或いは、セルラネットワークを用いた装置間通信の通信装置のような通信装置は今日、広帯域の周波数幅で通信を行うことができるように構成されている。スタートアップにおいて、その装置は基地局を見出して接続を確立するために利用可能な周波数帯域を走査する。利用可能な異なる周波数帯域の数が増えているために、その周波数帯域の内の少なくともいくつかが特定のロケーションでは用いられる一方、他の周波数帯域は周波数割当のローカルな規則に依存して別のロケーションで用いられ、走査手順は相対的に長い時間がかかる。複数の周波数帯域で何らかの干渉が存在するなら、走査はさらに複雑なものとなる。特許文献1は、他のシステムが用いられている周波数帯域内で干渉するかもしれない無線システムのための周波数選択方法を開示している。所定のレベルの干渉がある周波数は回避され、従って、チャネル検索は乱されるチャネルを避けるので、これによりその探索はより高速にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願公開第2005/099174号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに加えて、例えば、Bluetooth(登録商標)無線技術、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)技術、或いは、何らかの短距離無線技術のようなセルラではないシステムのような他の通信技術が隣接する周波数帯域に存在すると、セルラ通信を確立するための走査を乱すかもしれない干渉、特に、そのような隣接する周波数帯域の近傍にある走査される複数の周波数帯域の周波数に関する干渉を引き起こすことになるかもしれない。即ち、そのような他の通信技術が用いられる周波数の近傍の周波数における雑音レベルがかなりの程度大きくなるかもしれない。これはさらに、セルラ通信を確立するための時間を長くすることになるかもしれず、また、走査手順が干渉を処理することができるためにより複雑になるので、走査のための電力消費を増やすことになるかもしれない。
【0005】
それ故に、セルラ通信装置のスタートアップにおいてセルラ通信を確立するための効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走査手順の適合が、セルラ通信ネットワークからの所望の信号を何らかの干渉とは区別することがいかに難しいことであるかという理解に基づいてなされている。発明者らは、干渉が存在しない場合には単純な、即ち、さほど複雑ではない走査を適用することによりかなりの時間を電力を節約することができる一方、隣接する周波数帯域に干渉源が存在する場合には適合された、即ち、より複雑な走査を適用することにより信頼性を維持することができることを見出した。
【0007】
本発明を第1の側面から見ると、マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う方法が備えられる。その方法は、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかどうかを判断する工程を有する。前記判断が干渉信号がないとの結果を与えるなら、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数での単純な走査を含む第1の走査手順が適用される。或いは、前記判断が干渉信号があるとの結果を与えるなら、前記判断された干渉信号を考慮した第2の走査手順が適用される。
【0008】
前記干渉信号があるかどうかを判断する工程は、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍における少なくとも1つの周波数で信号エネルギーを検出する工程を含むと良い。前記干渉信号があるかどうかを判断する工程は、付加的に、或いは、代替的に、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う前記セルラ通信装置内の回路からの干渉信号の存在についての情報を受信する工程を含んでも良い。
【0009】
前記干渉信号があるかどうかを判断する工程は、そのような干渉信号の先験的な知識を保持する回路から、干渉信号が存在することの可能性についての情報を受信する工程を含んでも良い。
【0010】
前記第2の走査手順は、前記周波数の走査により前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部を、前記干渉信号に基づいて、除外する工程を含んでも良い。
【0011】
前記第2の走査手順は、前記周波数の走査により前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部についての付加的な信号処理を、前記判断された干渉信号が考慮されるように実行する工程を含んでも良い。前記第2の走査手順は、前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部に対する増加された信号収集を提供しても良い。
【0012】
本発明を第2の側面から見ると、プロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサに前記第1の側面に従う方法を実行するプログラム命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラムを備える。
【0013】
本発明を第3の側面から見ると、マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う周波数走査装置を備える。ここで、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかもしれない場合がある。その場合に、その周波数走査装置は、そのような干渉信号があるかどうかを判断し、その判断の結果が干渉信号がないことを示すなら、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数での単純な走査を含む第1の走査手順を適用し、その判断の結果が干渉信号があることを示すなら、前記判断された干渉信号を考慮した第2の走査手順を適用するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
前記第2の走査手順は、前記周波数走査により前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部を、前記干渉信号に基づいて、除外することを含むと良い。
【0015】
前記第2の走査手順は、前記周波数走査により前記判断された干渉源の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部についての付加的な信号処理を、前記判断された干渉信号が考慮されるように実行することを含むと良い。
【0016】
前記第2の走査手順は、前記判断された干渉源の近傍に存在する前記周波数帯の少なくとも一部に対する増加された信号収集を提供すると良い。
【0017】
前記周波数走査装置はさらに、前記干渉信号のいずれかについての情報を収集するように構成されると良い。前記干渉信号があるかどうかについて収集された情報は、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う前記マルチバンドセルラ通信装置内の回路からの干渉信号の存在についての情報を含むと良い。前記干渉信号があるかどうかについて収集された情報は、そのような干渉信号の先験的な知識を保持する回路から、干渉信号が存在することの可能性についての情報を含むと良い。
【0018】
本発明を第4の側面から見ると、マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う無線アクセス回路を備える。その回路は、前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数のいずれかに同調するよう構成された受信器と、前記いずれかの周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかどうかを判断するために前記いずれかの周波数での信号エネルギーを決定するように構成された信号エネルギー決定回路と、前記第3の側面に従う周波数走査装置とを有し、前記受信器はさらに、前記適用された周波数走査手順に従う周波数に同調されるように構成されることを特徴とする。
【0019】
前記信号エネルギー決定回路は、前記いずれかの干渉信号の信号エネルギーを測定するよう構成された信号エネルギー測定回路を有すると良い。
【0020】
前記信号エネルギー決定回路は、前記いずれかの干渉信号の源からの情報を受信するよう構成された信号エネルギー情報受信器を有すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例に従う方法を模式的に例示するフローチャートである。
【図2】実施例に従う装置を模式的に例示するブロック図である。
【図3】実施例に従う干渉信号についての情報を取得する手順を模式的に例示するフローチャートである。
【図4】実施例に従う第1の走査手順を模式的に例示するフローチャートである。
【図5】実施例に従う第2の走査手順を模式的に例示するフローチャートである。
【図6】実施例に従うコンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体を模式的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、セルラ電話がセルラネットワークとの確立した通信を見出すための、実施例に従う方法を模式的に例示するフローチャートである。信号の判断を行うステップ100において、1つ以上の干渉信号があるか、或いは、干渉信号がないか、そのような場合があるかどうかが判断される。その判断は、以下に図3を参照して例示された複数のアプローチのいずれかに基づいて判断がなされる。
【0023】
もし、1つ以上の干渉信号が存在するなら、その干渉信号がどの周波数に或いはどの周波数帯域にあるのかについての情報が取得される。走査手順の決定ステップ102では、第1の走査手順を適用するのか、或いは、第2の走査手順を適用するのかについての決定がなされる。
【0024】
走査手順の目的は、セルラネットワーク、即ち、そのセルラネットワークの基地局を見出して、この分野では“キャンプオン”と呼ばれる通信を確立することである。その走査は基本的には、端末がセルラ通信を実行するように構成された複数の周波数帯域内の複数の周波数を、その端末が聴取するという手順である。その聴取は基地局からの信号を見出すことを目的としている。ここで、その信号は、セルラ通信の確立を可能にする情報を提供する、即ち、この分野では、“セルサーチ”と呼ばれるキャンプオンするための基地局を見出すための情報を提供する。
【0025】
もし干渉源が存在しないなら、端末は、各搬送周波数が基地局がその搬送周波数での通信を提供するかどうかを判断することができるために、非常に短い時間、例えば、10ミリ秒から200ミリ秒、聴取し、それから、通信がまだ確立されていないなら次の搬送周波数に移る必要があるだけである。この環境では、この種の走査は単純な走査と呼ばれ、この実施例では第1の走査手順と名付けられている。
【0026】
しかしながら、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線ローカルエリアネットワーク通信のような非セルラ通信からの干渉信号が存在するなら、端末は基地局からの信号を復号することができないか、或いは、それが信号であるにもかかわらず基地局からの搬送波である周波数において現在の信号を誤って解釈したり、非セルラ通信から放射する信号が原因となる干渉を誤って解釈することがある。これは、もっと複雑な走査手順を用いて処理される。しかしながら、特に、複数の周波数帯域内でセルラ通信を実行することが可能な端末を考慮するときには、そのような複雑な走査手順を用いることは通常、より多くの時間やエネルギーを消費する。
【0027】
従って、決定ステップ102は、何らかの干渉源について得られた情報を考慮し、考慮すべき干渉源が存在しないと判断された場合には、第1の走査手順、即ち、単純な走査手順が第1の走査手順適用ステップ104において適用されることなる。或いは、1つ以上の干渉源が存在する場合には、第2の走査手順、即ち、より複雑な走査手順が第2の走査手順適用ステップ106において適用されることなる。第2の走査手順は、例えば、以下に図4と図5とを参照して例示する複数の実施例のいずれかとして、判断された干渉の状況に対して適合されたアプローチに従うことができる。
【0028】
図2は実施例に従う装置200を模式的に例示するブロック図である。装置200はセルラ通信のために構成され、またオプション的には非セルラ通信のためにも構成された端末である。従って、装置200がセルラ通信と非セルラ通信の両方のために構成されたものである場合、干渉は装置200それ自身が関与している通信がその原因ともなりえる。そのような場合、干渉の知識は装置内での、例えば、非セルラ通信用のトランシーバ201のような、装置200において非セルラ通信を提供するメカニズムから得られる。
【0029】
装置200は、1つ以上の周波数帯域において1つ以上の基地局との通信を行うように構成されたセルラ通信用のトランシーバ202を有している。トランシーバ202は好ましくは更なる回路204に接続される。例えば、その回路は中央処理ユニット、信号プロセッサ、コントローラ、メモリ、ポート、ユーザインタフェースなどを有し、セルラ電話のようなセルラ通信装置として動作するような装置、広域無線ネットワーク用のモデム装置、或いは、セルラネットワークを用いた装置間通信用の通信装置のタスクを実行するように構成されている。更なる回路204の機能や特徴は原理的にはこの技術分野の範囲にある通常の特徴や機能であり、本発明の中核の部分ではない。更なる回路204は説明を簡単にするために“更なる回路”という用語で集約される1つ以上のエンティティであると良く、その目的は改善された走査手順の特定要素に直接的には関与しない構成要素を示すことである。しかしながら、更なる回路204の一部は、以下で説明するように、ある情報を他の構成要素に提供することを可能としたり、また、適合された信号処理を備えることにより、本発明の特徴に対して適合されても良い。
【0030】
装置200はさらに走査スケジューラ206を含む。走査スケジューラ206は、図1を参照して示されたアプローチに従う走査手順の動作を制御する走査制御装置と考えられる。走査スケジューラ206は、複数の周波数帯域を走査するときにトランシーバ202の同調を制御するトランシーバ202に接続される。走査スケジューラ206は、第1の、単純な走査手順を適用するのか、或いは、第2の、適合された走査手順を適用するのかを決定する。この決定は、セルラネットワークから受信する情報に基づいている、即ち、トランシーバ202と更なる回路204を介してエネルギー決定回路208に提供される。この決定は、上述のように、代替的に或いは付加的に、装置それ自身が原因となる干渉についての情報に基づいていても良い。ここで、干渉源のバンド幅も考慮される。例えば、Bluetooth(登録商標)の信号は1MHzのオーダのバンド幅をもつ一方、WLAN信号は20MHzのオーダのバンド幅をもつ。ここで、干渉源の“近傍の周波数”の意味は、干渉源のバンド幅の知識に依存して異なって考慮される。つまり、干渉源の帯域幅が広くなれば、“近傍”も広くなる。この決定は代替的に或いは付加的に1つ以上の干渉源を判断するために信号を測定することに基づいていても良い。その測定は好ましくは、走査に先だって、トランシーバ202を、干渉源が存在するかもしれない周波数に、例えば、非セルラ通信システムがその周波数帯域の近くに存在するかもしれず、その周波数帯域の境界で搬送周波数に干渉を生じさせるかもしれない走査がなされることになる周波数帯域の端部に同調させることにより実行されると良い。干渉源から受信されるどんな信号も、信号を受信するトランシーバ202と干渉源の大きさを提供する走査スケジューラ206とに接続されるエネルギー決定回路208により判断される。従って、信号エネルギー決定回路208は、どんな干渉信号の信号エネルギーも測定するように構成された信号エネルギー測定回路と、どんな干渉信号の源からの情報も受信するように構成された信号エネルギー情報受信器との内の少なくともいずれかを有すると良い。
【0031】
1つ以上の上述したアプローチによって取得された1つ以上の干渉源の知識に基づいて、走査スケジューラは、もし顕著な干渉源がないと判断するなら第1の走査手順を適用し、もし1つ以上の顕著な干渉源が存在すると判断するなら第2の走査手順を適用する。第1の走査手順、即ち、単純な走査手順は単に基地局を見出しキャンプオンするために複数の周波数帯域にわたって走査を行うように構成されている。以下に説明する第2の走査手順、即ち、いずれかの適合された走査手順は、判断された1つ以上の干渉源を考慮したより複雑な走査を提供する。
【0032】
第2の走査手順は、判断された干渉源の近傍にある搬送波周波数に対して少なくとも付加的な或いは適合された信号処理を実行するステップを含むと良い。従って、走査スケジューラ206は、トランシーバ202で受信されるいずれのセルラ信号も干渉源から区別されるように、信号処理を適合させるための信号処理を実行する更なる回路204の一部を制御する。そのような信号処理は大きな塊(チャンク)の信号を必要とするかもしれない。その場合、その走査スケジューラは走査の速度を落とし、即ち、各搬送波周波数、少なくとも1つ以上の干渉源の1つ以上の周波数の近傍にある周波数に対して、夫々、少し長く聴取を行うかもしれない。例えば、各搬送波周波数に対する普通の時間は10〜200ミリ秒でよいのに対し、少し長い時間とは1〜2秒となる。より長い聴取時間はそれ自身で十分な長さであり、通常の信号処理が用いられてセルラ信号と干渉源とを区別する。
【0033】
第2の走査手順は判断された干渉源の近傍にある搬送波周波数を除外するステップを含むことができる。従って、走査スケジューラ206はトランシーバ202を制御して、その走査中は判断された干渉源の近傍にはない搬送波周波数にのみ同調する。
【0034】
走査スケジューラ206とエネルギー決定回路208との内の少なくともいずれかは、“更なる回路”という用語により共にされた複数の構成要素のいずれかのような他の回路の一部であっても良いが、走査スケジューラ206とエネルギー決定回路208の機能を理解するために別の構成要素として例示されている。走査スケジューラ206とエネルギー測定部208との内の少なくともいずれかはもちろん、別の回路であっても良い。
【0035】
図3は実施例に従う干渉源についての情報を取得する手順を模式的に例示するフローチャートである。図2を参照して例示したように、干渉源の先験的な知識を判断し(301)、干渉源についての情報を受信し(303)、干渉源の測定を行う(305)1つ以上のステップが、その情報を取得するために用いられる。従って、ステップ301、303、305の内の1つ以上は、少なくとも顕著な干渉源があるかどうかの判断を干渉源情報の判断ステップ306で行うように実行される。判断ステップ306は、干渉源の指標と閾値とを比較して、その干渉源についての情報が考慮されるべきであるかどうか、即ち、何らかの干渉源が“顕著なもの”であると考えられるかどうかを判断するステップを含むことができる。判断ステップ306はまた、第2の走査手順の適合において用いるのに適切な方法でその情報を構成するステップも含むことができる。構成された情報は、干渉源の周波数を含むことができ、また、干渉源の信号レベルとバンド幅との内の少なくともいずれかを含むことができる。
【0036】
図4は実施例に従う第2の走査手順を模式的に例示するフローチャートである。周波数排他ステップ400において、何らかの干渉源の近傍にある搬送波周波数は、例えば、走査される予定の複数の搬送波周波数のリストから排除することにより、走査から除外される。ここで、“近傍”とは、周波数でカウントされる最近接のだだ1つの搬送波周波数或いは最近接の3つの搬送波周波数のような固定値であっても良いし、或いは、干渉源の決定されたバンド幅と信号レベルとの内の少なくともいずれかに基づいた適合値であっても良い。それから、走査ステップ402で走査が実行される。ここで、依然として走査されることになる複数の搬送波周波数に同調され、セルラネットワークの装置、即ち、基地局からの信号に対してチェックがなされる。
【0037】
図5は実施例に従う第2の走査手順を模式的に例示するフローチャートである。聴取時間拡張ステップ501において、搬送波周波数を聴取する時間が、例えば、通常の10〜200ミリ秒から1〜2秒に拡張され、何らかの干渉源とセルラ信号との区別を行うことを容易にする。このステップは単独のステップとして用いられても良いし、或いは、ここでは図5に図示されているように、付加的信号処理ステップ502において付加的な信号処理を適用するためのオプションとして用いられても良い。付加的な信号処理は、複数のフィルタの適用、例えば、アダプティブフィルタと複素フィルタとの内の少なくともいずれかを適用し、何らかの干渉源とセルラ信号との区別を行う処理を含むことができる。収束のためにいくらかの時間を要するかもしれないアダプティブフィルタの使用時には、拡張された聴取時間との組み合わせが特に有利である。
【0038】
複数の実施例のいくつかに従う方法は、図2を参照して例示した更なる回路204のCPUと信号プロセッサとの内の少なくともいずれかのような処理手段の助けをかりて実装するのに適したものである。それ故に、図1、3、4、5のいずれかを参照して説明した複数の実施例のいずれかに従う複数の方法のいずれかのステップを装置の処理手段或いはプロセッサに実行させるよう構成された複数の命令を有するコンピュータプログラムが備えられる。そのコンピュータプログラムは好ましくは、図6に例示されているようになコンピュータ可読媒体600に格納されたプログラムコードを含み、そのプログラムコードがロードされ、装置の処理手段或いはプロセッサ602により実行され、好ましくは図1、3、4、5、のいずれかを参照して説明した複数の実施例のいずれかとして、本発明の複数の実施例に従う複数の方法のそれぞれを実行すると良い。プロセッサ602とコンピュータプログラム製品600とは、これら方法のいずれかの動作がステップ順に実行されるようにプログラムコードを順次的に実行するように構成されても良いが、それらの動作を実時間的に実行するように、即ち、これらの動作が要求に応じてか、或いは、利用可能な入力データがあったときかの内の少なくともいずれかに応じて実行されるように構成されても良い。その処理手段或いはプロセッサ602は好ましくは通常は組み込み型システムとして言及されるものである。従って、図6において描かれているコンピュータ可読媒体600とプロセッサ602は、本発明の原理の理解を提供するためだけの例示的な目的のためのものであると解釈されるべきものであって、本発明の構成要素の直接的な例示として解釈されるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチバンドセルラ通信装置のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う方法であって、前記方法は、
前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかどうかを判断する工程(100)と、
前記判断が干渉信号がないとの結果を与えるなら(102)、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数での単純な走査を含む第1の走査手順を適用する工程(104)と、
前記判断が干渉信号があるとの結果を与えるなら(102)、前記判断された干渉信号を考慮した第2の走査手順を適用する工程(106)とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記干渉信号があるかどうかを判断する工程(100)は、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍における少なくとも1つの周波数で信号エネルギーを検出する工程(305)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記干渉信号があるかどうかを判断する工程(100)は、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う前記他の通信装置内の回路からの干渉信号の存在についての情報を受信する工程(303)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記干渉信号があるかどうかを判断する工程(100)は、そのような干渉信号の先験的な知識を保持する回路から、干渉信号が存在することの可能性についての情報を受信する工程(301)を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の走査手順(106)は、前記周波数の走査(402)による前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部を、前記干渉信号に基づいて、除外する工程(400)を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の走査手順(106)は、前記周波数の走査による前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部についての付加的な信号処理を、前記判断された干渉信号が考慮されるように実行する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の走査手順(106)は、前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部に対する増加された信号収集を提供することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサにより実行されるとき、前記プロセッサに請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラム命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
マルチバンドセルラ通信装置(200)のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う周波数走査装置(206)であって、
前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかもしれない場合に、
前記周波数走査装置(206)は、
そのような干渉信号があるかどうかを判断し、
前記判断の結果が干渉信号がないことを示すなら、前記マルチバンドセルラ通信装置が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数での単純な走査を含む第1の走査手順を適用し、
前記判断の結果が干渉信号があることを示すなら、前記判断された干渉信号を考慮した第2の走査手順を適用するよう構成されていることを特徴とする周波数走査装置。
【請求項10】
前記第2の走査手順は、判断された干渉源の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部を、前記干渉信号に基づいて、前記周波数の走査から除外することを含むことを特徴とする請求項9に記載の周波数走査装置。
【請求項11】
前記第2の走査手順は、前記周波数の走査において前記判断された干渉源の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部についての付加的な信号処理を、前記判断された干渉信号が考慮されるように実行することを含むことを特徴とする請求項9に記載の周波数走査装置。
【請求項12】
前記第2の走査手順は、前記判断された干渉信号の近傍に存在する前記周波数帯域の少なくとも一部に対する増加された信号収集を提供することを備えることを特徴とする請求項11に記載の周波数走査装置。
【請求項13】
前記干渉信号のいずれかについての情報を収集するようにさらに構成されることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の周波数走査装置。
【請求項14】
前記干渉信号があるかどうかについて前記収集された情報は、前記マルチバンドセルラ通信装置(200)が前記複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数で送信を行う前記マルチバンドセルラ通信装置(200)内の回路(201)からの干渉信号の存在についての情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の周波数走査装置。
【請求項15】
前記干渉信号があるかどうかについて前記収集された情報は、そのような干渉信号の先験的な知識を保持する回路(204)から、干渉信号が存在することの可能性についての情報を含むことを特徴とする請求項14又は15に記載の周波数走査装置。
【請求項16】
マルチバンドセルラ通信装置(200)のスタートアップにおいて周波数の初期走査を行う無線アクセス回路であって、
前記マルチバンドセルラ通信装置が複数の周波数帯域の中にある複数の周波数の少なくとも1つで基地局との接続を確立するものと考えられる前記複数の周波数帯域の周波数の近傍の周波数のいずれかに同調するよう構成された受信器(202)と、
前記いずれかの周波数で送信を行う他の通信装置からの干渉信号があるかどうかを判断するために前記いずれかの周波数での信号エネルギーを決定するように構成された信号エネルギー決定回路(208)と、
請求項9乃至15のいずれか1項に記載の周波数走査装置とを有し、
前記受信器(202)はさらに、前記適用された周波数走査手順に従う周波数に同調されるように構成されることを特徴とする無線アクセス回路。
【請求項17】
前記信号エネルギー決定回路(208)は、前記いずれかの干渉信号の信号エネルギーを測定するよう構成された信号エネルギー測定回路を有することを特徴とする請求項16に記載の無線アクセス回路。
【請求項18】
前記信号エネルギー決定回路(208)は、前記いずれかの干渉信号の源からの情報を受信するよう構成された信号エネルギー情報受信器を有することを特徴とする請求項16又は17に記載の無線アクセス回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−503528(P2013−503528A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525887(P2012−525887)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060945
【国際公開番号】WO2011/023226
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】