説明

周波数変換モジュールの周波数制限増幅器

周波数変換モジュール(20)と統合型受信復号器(60)との間の信号通信を処理するシステムが開示される。実施例によると、復号器(60)及び周波数変換モジュールは信号処理装置を有する。信号処理装置は、周波数シフト・キーイングで変調された信号を受信する入力、前記入力と結合された負帰還を有する増幅器、を有する。前記入力は第1の基準電源電位及び第2の基準電源電位に更に結合される。前記信号処理装置は、前記差動増幅器と出力との間に結合されたタンク回路を更に有する。特に、前記増幅器は、第1のコレクタ、第1のエミッタ、及び信号源と結合され前記第1のコレクタと更に結合された第1のベースを有する第1のトランジスター;並びに第2のベース、前記第1のエミッタと結合された第2のエミッタ、及び出力と結合された帯域通過フィルターと結合された第2のコレクタを有する第2のトランジスター、を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に信号通信に関し、より詳細には本願明細書で周波数変換モジュール(FTM)として参照される周波数変換装置と統合型受信復号器(IRD)との間の信号通信を処理するためのアーキテクチャ及びプロトコルに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送システムでは、1又は複数の衛星が、1又は複数の送信機からのオーディオ及び/又はビデオ信号を含む信号を受信する。衛星は、これらの信号を増幅し、顧客の住居にある信号受信機器へ、特定の周波数で動作し所定の帯域を有する中継器を介して中継放送する。このようなシステムは、上り回線送信部分(つまり、地表から衛星へ)、地球周回軌道衛星の送受信部分、及び下り回線部分(つまり、衛星から地表へ)を有する。
【0003】
衛星放送システムから信号を受信する住居では、信号受信機器が用いられ、衛星の放送スペクトル全体を周波数シフトし、そして結果として生じた出力を単一の同軸ケーブルに周波数スタックしてよい。つまり、ある信号セットに関連付けられた周波数スペクトルは、別の信号セットの周波数スペクトルに隣接するか又は異なる周波数にシフトされる。これにより、信号セットはある周波数領域に位置付けられるか又はスタックされる。衛星放送システム内の衛星数が増大し、高解像度の衛星チャンネルが増設されると、全ての衛星を収容するために必要な帯域の合計が同軸ケーブルの伝送容量を超過してしまう。衛星デコーダー産業では、より多くの衛星スロットを彼らの分配システムに導入する必要がある。衛星スロット数の増加に対し、衛星設定選択のためのより複雑な手段を提供することは、周波数変換モジュール(FTM)方法と称されるものが開発されている。
【0004】
衛星信号を統合型受信復号器(IRD)へ分配するFTMは、低雑音ブロック増幅器(LNB)と結合された1又は複数の入出力(I/O)、及びIRDと結合された1又は複数の入出力を有する。FTMモジュールは、所望の衛星番組チャンネルを示すIRDからの要求を受信する。IRDからの要求に応じて、要求されたチャンネル又はチャンネルのブロックがFTM IOに分配されるよう、FTMモジュールは適切なLNBを制御する。FTMモジュールは次に、要求されたチャンネルを、IRDへの送信回線で占有されていない周波数に対応する第2の周波数へ周波数シフトしてよい。FTMモジュールは次に、要求側であるIRDと、要求されたチャンネルが供給される周波数を通信する。FTMが複数の衛星番組チャンネルを複数のIRDと結合する場合、FTMは、所望のチャンネル又はチャンネルの束を供給するよう個々に各LNBに命令し、所望のチャンネル又はチャンネルの束のそれぞれを同一の送信回線でIRDへ出力する。ここで、所望のチャンネル又はチャンネルの束は固有周波数で変調される。
【0005】
FTMはUARTで制御された2.3MHz周波数偏移キーイング(FSK)変調方式を用い、選択コマンドをIRDとFTMとへ伝達する。今日の衛星復号システムは、複雑なPLL及びスーパーヘテロダイン受信器を用い、変換も検出もせずにFSK受信に必要な狭帯域を増幅する。これは、高価な実装がIRD及びFTMのそれぞれに実施されなければならず、従来のDiSEqC通信システムの価格を一層高価にしてしまうという望ましくない結果を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、周波数フィルター、振幅制限、及び広いダイナミック・レンジを有し、高価なAGCシステムを必要としない低価格のFSK信号処理手段が必要である。本発明は、これら及び/又は他の課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によると、FSK信号を処理する装置が開示される。実施例によると、当該装置は、周波数シフト・キーイングで変調された信号を受信する入力、前記入力と結合された負帰還を有する増幅器、を有する。前記入力は第1の基準電源電位及び第2の基準電源電位に更に結合される。前記信号処理装置は、前記差動増幅器と出力との間に結合されたタンク回路を更に有する。
【0008】
本発明の別の態様によると、FSK信号処理装置が開示される。ある実施例によると、FSK信号処理装置は、第1のコレクタ、第1のエミッタ、及び信号源と結合され前記第1のコレクタと更に結合された第1のベースを有する第1のトランジスター;並びに第2のベース、前記第1のエミッタと結合された第2のエミッタ、及び出力と結合された帯域通過フィルターと結合された第2のコレクタを有する第2のトランジスター、を有する。
【0009】
添付の図面と併せて本発明の実施例の以下の記載を参照することにより、本発明の上述の及び他の特徴及び利点、及びそれらの実現方法はより明らかになり、及び本発明はより理解される。
【0010】
本願明細書に説明される適例は、本発明の好適な実施例を示す。またこのような適例は、如何様にも本発明の範囲を制限すると見なされるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
FTMモードのときに、FTMモードでLNB電源出力インピーダンスを効率的に引き上げる場合、低インピーダンスLNB電源の出力インピーダンスをFTM回路から切断することが望ましい。電圧源として、従来のLNB電源は接地に対し低インピーダンスを示す。この低インピーダンスは、連続している場合、変調された2.3MHzのFTM信号をオーバーロードし波形歪みを生じる。本発明の態様は、LNB電源の低インピーダンス出力を通信ネットワーク、例えば2.3MHz通信ネットワークから切断する段階を含む。
【0012】
図、より詳細には図1を参照すると、本発明を実施する例である実施例100が示される。図1の実施例100は、本発明の実施例ではパラボラ・アンテナである信号受信素子又は装置10のような複数の信号受信手段、FTM20のような周波数変換手段、信号スプリッター40のような複数の信号分離手段、及びIRD60のような複数の信号受信復号手段、を有する。本願明細書に記載された実施例によると、実施例100の前述の要素は、互いに同軸ケーブルのような伝送媒体を介して結合される。しかしながら、本発明に従い他の種類の伝送媒体も用いられてよい。実施例100は、例えば所与の家庭及び/又はビジネスにおける信号通信ネットワークを表す。
【0013】
信号受信素子10はそれぞれ、オーディオ、ビデオ、及び/又はデータ信号(例えば、テレビジョン信号など)を含む信号を、衛星放送システム及び/又は他の種類の信号放送システムのような1又は複数の信号源から受信する。ある実施例によると、信号受信素子10は、衛星受信アンテナのようなアンテナとして実施されるが、如何なる種類の信号受信素子として実施されてもよい。
【0014】
FTM20は、オーディオ、ビデオ、及び/又はデータ信号(例えば、テレビジョン信号など)を含む信号を、信号受信素子10から受信し、信号調整を含む機能及び周波数変換機能を用い受信した信号を処理し、IRD60へ同軸ケーブル及び信号スプリッター40を介して供給される対応する出力信号を生成する。実施例によると、FTM20はシステム内の複数のIRD60と通信してよい。例及び説明を目的として、図1は、簡易な双方向信号スプリッター40を介し8個のIRD60と接続されたFTM20を示す。更なる例は、FTM20に関し詳細に説明する。また、FTM20のIRD60と通信する機能は本願明細書で後述される。
【0015】
信号スプリッター40はそれぞれ、信号分光及び/又は中継機能を実行する。ある実施例によると、信号スプリッター40はそれぞれ、2方向信号分光機能を実行し、FTM20とIRD60との間の信号通信を実現する。
【0016】
IRD60はそれぞれ、信号調整、変調及び復号機能を含む種々の信号受信及び処理機能を実行する。ある実施例によると、各IRD60は、FTM20から信号スプリッター40を介し提供される信号を調整、変調、及び復号し、受信した信号に対応する聴覚及び/又は視覚的出力を可能にする。本願明細書に後述されるように、当該信号は、IRD60からの要求コマンドに応じてFTM20からIRD60へ提供される。当該要求コマンドはそれぞれテレビジョン信号の所望のバンドに対する要求を表す。衛星放送システムでは、各要求コマンドは、例えば所望の衛星及び/又は所望の中継器を示す。要求コマンドは、ユーザー入力に応じて(例えば、遠隔制御装置などを介して)IRD60により生成されてよい。
【0017】
ある実施例によると、各IRD60は、標準精細度(SD)及び/又は高精細度(HD)ディスプレイ装置のような関連付けられたオーディオ及び/又はビデオ出力装置を含む。このようなディスプレイ装置は統合されてもされなくてもよい。従って、各IRD60は、テレビジョンセット、コンピューター若しくはモニターのような統合ディスプレイ装置を有する装置、又はセットトップボックス、ビデオカセットレコーダー(VCR)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)プレーヤー、ビデオゲームボックス、パーソナルビデオレコーダー(PVR)、コンピューター又は統合ディスプレイ装置を有さない他の装置のような装置として実施されてよい。
【0018】
図2を参照すると、本発明の実施例による図1のFTM20の更なる詳細を提供するブロック図が示される。図2のFTMは、クロスオーバー・スイッチ22のような切り替え手段、チューナー24のような複数の調整手段、周波数アップコンバーター(UC)26のような複数の周波数変換手段、可変利得増幅器28のような複数の増幅手段、信号結合器30のような信号結合手段、送受信機32のような送受信手段、及び制御部34のような制御手段、を有する。FTM20の前述の要素は集積回路(IC)を用い実施されて良く、及び1又は複数の要素は例えば所与のICに含まれて良い。更に、所与の要素は1より多いICに含まれてよい。記載の明確化のため、特定の制御信号、電力信号のようなFTM20と関連付けられた特定の従来の要素は及び/又は他の要素は図2に示されない。クロスオーバー・スイッチ22は、複数の入力信号を信号受信素子10から受信する。ある実施例によると、このような入力信号は種々のバンドの無線周波数(RF)テレビジョン信号を表す。衛星放送システムでは、このような入力信号は例えばLバンド信号を表し、クロスオーバー・スイッチ22は当該システム内で用いられる信号極性毎に入力を有してよい。ある実施例によると、クロスオーバー・スイッチ22は、制御部34からの制御信号に応じ、選択的にRF信号を入力から特定の指定されたチューナー24へ通過させる。
【0019】
チューナー24はそれぞれ、制御部34からの制御信号に応じて信号調整機能を実行する。ある実施例によると、各チューナー24は、RF信号をクロスオーバー・スイッチ22から受信し、RF信号をフィルタリング及び周波数ダウンコンバート(つまり、単一又は複数段のダウンコンバート)し、それにより中間周波数(IF)信号を生成することにより信号調整機能を実行する。RF及びIF信号は、オーディオ、ビデオ及び/又はデータ・コンテンツ(例えば、テレビジョン信号など)を含んでよく、アナログ信号規格(例えば、NTSC、PAL、SECAMなど)及び/又はデジタル信号規格(例えば、ATSC、QAM、QPSKなど)である。
【0020】
周波数アップコンバーター(UC)26はそれぞれ、周波数変換機能を実行する。ある実施例によると、各周波数アップコンバーター(UC)26は、混合素子及び局部発振器(図示されない)を有し、制御部34からの制御信号に応じて、対応するチューナー24から供給されたIF信号を指定された周波数帯へ周波数アップコンバートし、それにより周波数アップコンバートされた信号を生成する。
【0021】
可変利得増幅器28はそれぞれ、周波数変換機能を実行する。ある実施例によると、各可変利得増幅器28は、対応する周波数アップコンバーター(UC)26から出力された周波数変換された信号を増幅し、それにより増幅された信号を生成する。図2に明示的に示されないが、各可変利得増幅器28の利得は、制御部34からの制御信号を介し制御されてよい。
【0022】
信号結合器30は、信号結合(つまり、加算)機能を実行する。ある実施例によると、信号結合器30は可変利得増幅器28から供給された増幅された信号を結合し、信号スプリッター40を介して1又は複数のIRD60へ送信するため、結果として生じた信号を同軸ケーブルのような伝送媒体で出力する。
【0023】
送受信機32はFTM20とIRD60との間の通信を可能にする。ある実施例によると、送受信機32はIRD60からの種々の信号を受信し、当該信号を制御部34へ中継する。逆に、送受信機32は制御部34からの信号を受信し、当該信号を1又は複数のIRD60へ信号スプリッター40を介して中継する。送受信機32は、例えば1又は複数の所定の周波数帯で信号を受信及び送信してよい。送受信機32及びその動作に関する更なる例である詳細は、本願明細書で後述される。
【0024】
制御部34は種々の制御機能を実行する。ある実施例によると、制御部34はIRD60からのテレビジョン信号の所望のバンドに対する要求コマンドを受信する。本願明細書で後述されるように、各IRD60は、制御部34により割り当てられた別個のタイム・スロット中にFTM20へ要求コマンドを送信してよい。衛星放送システムでは、要求コマンドは、テレビジョン信号の所望のバンドを供給する所望の衛星及び/又は所望の中継器を示す。制御部34は、要求コマンドに応じて、テレビジョン信号の所望のバンドに対応する信号を対応するIRD60へ送信させる。
【0025】
ある実施例によると、制御部34は、種々の制御信号をクロスオーバー・スイッチ22、チューナー24、及び周波数アップコンバーター(UC)26へ供給し、テレビジョン信号の所望のバンドに対応する信号をIRD60へ同軸ケーブルのような伝送媒体を介して送信させる。制御部34は、要求コマンドに応じてIRD60へ、(例えば、同軸ケーブルなどの)周波数帯がテレビジョン信号の所望のバンドに対応する信号をIRD60へ送信するために用いられることを示す確認応答を提供する。このように、制御部34は伝送媒体(例えば同軸ケーブルなど)の利用可能な周波数スペクトルを割り当て、全てのIRD60が所望の信号を同時に受信できるようにする。
【0026】
図3は、本発明の態様を実施する実施例300の図である。図3は、図1のFTM20とIRD60との間の相互接続の更なる詳細を示す。図3の実施例300は、保護回路31、送受信機32、及び信号結合器30をFTM20内に有する。IRD60内には、チューナー36、送受信機37、LNB電源38、DiSEqC符号器/復号器39、スイッチ33、及び保護回路35が示される。
【0027】
保護回路31は、FTM制御信号及びテレビジョン信号のような所望の信号を歪みなく通過させ、同時にFTM回路を雷サージ及び他の環境電気的外乱から保護する。ある実施例によると、保護回路31は、正及び負の雷サージの事象からエネルギーを吸収するために実装されたサージ保護ダイオードのような素子を有する。サージ保護ダイオードは、2.3MHzのFTM信号への非線形導電経路が存在しないよう構成される。
【0028】
信号結合器30は、信号結合(つまり、加算)機能を実行する。ある実施例によると、信号結合器30は可変利得増幅器28から供給された増幅された信号を結合し、信号スプリッター40を介して1又は複数のIRD60へ送信するため、結果として生じた信号を同軸ケーブルのような伝送媒体で出力する。
【0029】
送受信機32はFTM20とIRD60との間の通信を可能にする。ある実施例によると、送受信機32はIRD60からの種々の信号を受信し、当該信号を制御部34へ中継する。逆に、送受信機32は制御部34からの信号を受信し、当該信号を1又は複数のIRD60へ信号スプリッター40を介して中継する。送受信機32は、例えば1又は複数の所定の周波数帯で信号を受信及び送信してよい。送受信機32及び送受信機32に関する更なる例である詳細は、本願明細書で後述される。
【0030】
保護回路31と同様に、保護回路35は、FTM制御信号及びテレビジョン信号のような所望の信号を歪みなく通過させ、同時にIRD60の回路を雷サージ及び他の環境電気的外乱から保護する。ある実施例によると、保護回路35は、正及び負の雷サージの事象からエネルギーを吸収するために実装されたサージ保護ダイオードを有する。サージ保護ダイオードは、2.3MHzのFTM信号への非線形導電経路、又はFTM20から送信される入来テレビジョン信号が存在しないよう構成される。
【0031】
チューナー36はそれぞれ、ユーザーからのチャンネル選択に応じたIRDからの制御信号に応じて信号調整機能を実行する。ある実施例によると、チューナーは、RF信号を保護回路35から受信し、RF信号をフィルタリング及び周波数ダウンコンバート(つまり、単一又は複数段のダウンコンバート)し、それにより中間周波数(IF)信号を生成することにより信号調整機能を実行する。RF及びIF信号は、オーディオ、ビデオ及び/又はデータ・コンテンツ(例えば、テレビジョン信号など)を含んでよく、アナログ信号規格(例えば、NTSC、PAL、SECAMなど)及び/又はデジタル信号規格(例えば、ATSC、QAM、QPSKなど)である。
【0032】
送受信機37はFTM20とIRD60との間の通信を可能にする。ある実施例によると、送受信機37はFTM20からの種々の信号を受信し、当該信号をIRD制御部へ中継する。逆に、送受信機37はIRD制御部からの信号を受信し、当該信号をFTMへ同軸ケーブル及び保護回路31及び35を介して中継する。送受信機37は、例えば1又は複数の所定の周波数帯で信号を受信及び送信してよい。送受信機37及び送受信機37の動作に関する更なる詳細な例は、実質的に送受信機37と同様の方法で動作し通信する送受信機32の例である記載を通じて、本願明細書に後述される。
【0033】
LNB電源38は、システムが従来のLNBモードで動作しているときに、LNBの所望の動作DC電力を生成する。従来のモードでは、LNBはセットトップボックスからの通信をLNB電源線に結合されるパルス・トーンを介し受信する。ある実施例によると、LNB電源38は、電力降下機能又は所望の出力を備えたDC−DC、昇圧スイッチ式電源を有する従来のLNB電源である。LNB電源は、22kHzトーンをDC出力電圧に付加する線形整流器を有する。線形整流器の出力は、標準的にプッシュプル型であるが、エミッタ・フォロワ型の出力のような他の構成であってもよい。
【0034】
スイッチ33は、IRD60が従来モードで動作しているとき、LNB電源38を保護回路35と低インピーダンスで結合する。スイッチ33は、IRD60がFTMモードで動作しているとき、LNB電源38を保護回路35から高インピーダンスで切断する。
【0035】
DiSEqC符号器及び復号器39は、IRDが従来モードで動作しているときに、所望の制御トーンを生成し、LNBへ伝達する。ある実施例によると、2つの22kHzトーンのモード、つまり一定トーンと2方向パルス幅変調(PWM)トーン制御モードがある。LNB整流器がトーンを送信しているとき、DiSEqC符号器及び復号器39は低インピーダンス出力をスイッチ33へ供給する。
【0036】
図4は、図3の送受信機32の更なる詳細を示す本発明の実施例の図である。図3のFTM20の送受信機32を参照すると、この実施例では、送受信機及び記載される回路が共にIRD60内に実施されてよい。図4の送受信機32は、周波数選択及び前処理回路321、復調器323、増幅及びデータ・クランプ回路325、及びデータ・スライサー327を有する。
【0037】
周波数選択及び前処理回路321は、2.3MHzのFSK FTM制御信号をFTM制御モジュールから伝送回線を介し受信する。周波数選択及び前処理回路321は、受信したFSK信号を前置フィルターにかけ、不要なスプリアス及び隣接周波数に存在する隣接チャンネル信号を除去する。周波数選択及び前処理回路321は、受信した信号を増幅又は減衰し、復調器323に結合するのに適するように受信した信号の振幅が所定の範囲内になるようにする。周波数選択及び前処理回路321及びその動作に関する更なる例である詳細は、本願明細書で後述される。
【0038】
復調器323は、周波数選択及び前処理回路321からフィルターされ振幅調整されたFSK FTM制御信号を受信する。復調器323は、周波数シフト変調されデジタルで変調されたRF信号を更なるデジタル処理に適した2進ベースバンド信号に変換する。変調器は、2.3MHz搬送波信号の一部をFSK FTM制御信号から分離し、FSK信号に存在する2進データを有する2つの別個の周波数を抽出することにより、これを達成する。変調器323は次に、1つの周波数を「マーク」周波数として、他を「空白」周波数として指定する。マーク及び空白はそれぞれ1及び0に対応する。慣例により、マークは高い無線周波数に対応する。2進信号は次に増幅及びデータ・クランプ回路325へ渡される。
【0039】
増幅及びデータ・クランプ回路325は、受信した2進信号を前置フィルターにかけ、不要なスプリアス雑音を除去し、信号を調整し、ビット誤りを最小化し、信号品質を最大化する。増幅及びデータ・クランプ回路325は、受信した2進信号を増幅又は減衰し、データ・スライサー327に結合するのに適するように2進信号の振幅が所定の範囲内になるようにする。増幅及びデータ・クランプ回路325及びその動作に関する更なる例である詳細は、本願明細書で後述される。
【0040】
データ・スライサー327は、屡々ゼロ閾値交差検出器と称され、入力信号が0ボルト電位のような所定の閾値をクロスする瞬間を検出し表示するために用いられる回路を有する。この回路の実施例は、正入力に印加される入力信号と接地された負入力を有する演算増幅器である。結果として生じる演算増幅器からの信号出力は、入力電圧が正のときに正の値であり、入力電圧が負のときに出力電圧は負の値である。出力電圧の大きさは、演算増幅器とその電源の特性である。データ・スライサーの別の実施例は、入力信号を演算増幅器の正の端子と閾値検出器の両方に供給する。閾値検出器はベースバンド信号の中央電位又は平均電位を生成する。閾値検出器の出力は、次に、演算増幅器の負端子へ供給される。演算増幅器の出力は、入力信号がベースバンド信号の平均電位より高いときに正の値であり、入力信号がベースバンド信号の平均電位より低いときに負の値である。再び、出力電圧の大きさは、演算増幅器とその電源の特性である。データ・スライサー327の出力は次にマイクロプロセッサーへ印加される。
【0041】
図5は、図4の周波数選択及び処理回路321の更なる詳細を示す本発明のある態様を実施する実施例の図である。周波数選択及び前処理回路321は、差動増幅器を有する。差動増幅器は、エミッタ・フォロワT41として構成された第1のトランジスター、及び共通ベース増幅器T42として構成された第2のトランジスターを有する。エミッタ・フォロワT41は、高入力インピーダンスであり、抵抗器R41を通じて負帰還を有する。抵抗器R43、R41、及びR42は、第1の電源V41により供給される電圧及びベースの入力FSK信号INをエミッタ・フォロワT41のコレクタへ調整する分圧回路を作る。抵抗器R41を通じた負帰還は、回路を発振から保護し、共通ベース増幅器T42と結合される入力信号を第1の電源V41により供給される電圧に制限する。エミッタ・フォロワT41のベースに供給される最小電圧は、抵抗器R42に渡り生成される電圧に制限される。キャパシターC41は、入力FSK信号INをエミッタ・フォロワT41のベースに結合するとともに、周波数選択及び前処理回路321の外部で生成される不要なDCバイアスを制限する。
【0042】
第3の電圧源は、共通ベース増幅器T42を、分圧器として構成される抵抗器R48及びR45、並びにキャパシターC42を通じてバイアスする。この共通ベース増幅器の構成は、ベースが入力と出力を分け、高周波数での発振を最小限に抑えるので高周波数用途で有用である。この共通ベース増幅器の構成は、共通コレクタ構成と比べて高電圧利得、比較的低い入力インピーダンス、及び高出力インピーダンスを有する。抵抗器R46及びR44は、第2の電圧源V42により供給される電圧を分割する。
【0043】
インダクターL41及びキャパシターC43は並列回路に構成され、FSK送信の中心周波数に調整されたタンク回路を作る。待機解除抵抗器R47は、帯域幅を広げ共通ベース増幅器T42に付加を与えるために用いられる。タンク回路の出力は次に図4の復調器323へ出力される。
【0044】
図6は、図4の振幅及びデータ・クランプ回路325の更なる詳細を示す本発明を実施する実施例の図である。増幅器及びデータ・クランプ回路325は、図4の復調器323からのFTM制御信号を表す2進信号を受信する。増幅及びデータ・クランプ回路325は次に、受信した2進信号を増幅又は減衰し、図4のデータ・スライサー327に結合するのに適するように2進信号の振幅が所定の範囲内になるようにする。本発明による実施例では、増幅段は反転増幅器として構成される。抵抗器R53及びR54は分圧器として構成され、演算増幅器A51の正端子に所望のDC電圧を生成する。キャパシターC52は、不要な又はスプリアスなより高い周波数信号を演算増幅器A51の正端子から分離する。抵抗器R51及びR52の値は増幅段の全体の利得を決定するために用いられ、当該利得が−R52/R51と等しくなるようにする。キャパシターC51は受信した2進信号の周波数を制限する。分離キャパシターC53は、不要なノイズ及びスプリアス信号を低減し、増幅段へ出るのを防ぐ。増幅段の利得は最適に設定され、図4の復調器325から期待される最小振幅偏差がNPNトランジスターT51及びPNPトランジスターT52のクランプを動作させるようにする。より大きい偏差レベルで、クランプは常にオン状態である。抵抗器R55及びキャパシターC54は、増幅段からの増幅された2進信号をデータ・クランプ段へ結合する。R55は更に電流制限抵抗器として動作し、増幅段が過負荷にならないよう保証するか、又は歪みが出力波形に導入されないよう保証する。
【0045】
PNPトランジスターT52及びNPNトランジスターT52はデータ・クランプ回路として構成される。PNPトランジスターT52は、2進信号が所定の閾値より下に降下すると、増幅段からの出力電圧を第1の固定レベルにクランプする。この閾値は第2の電圧源V52のDC値、分圧器として構成された抵抗器R57及びR58により定められる。2進信号のレベルがPNPトランジスターのベース電圧、及びシリコン構成で一般に0.7ボルトであるベースからコレクタへの電圧降下より低いレベルに降下すると、出力電圧は第1の固定レベルにクランプされる。2進信号のレベルがPNPトランジスターのベース電圧とベースからエミッタへの電圧降下との和より高いレベルまで上昇すると、出力電圧は第2の固定レベルにクランプされる。結果として生じる波形は、波形の全周期で固定の所定レベルにクランプされ、そして出力信号に関して固定信号レベルを維持するという望ましい結果を得る。これは信号品質を向上し、図4のデータ・スライサー327及びマイクロプロセッサーの誤りを低減する。マイクロプロセッサーは、デジタル信号プロセッサー又は万能非同期送受信機(UART)を用い実施されてよい。UARTはデータをシーケンシャルに受信し、ビットを完全なバイトに組み立てる。
【0046】
本願明細書に記載されたように、本発明はFTMとIRDとの間の信号通信を可能にするアーキテクチャ及びプロトコルを提供する。本発明は好適な設計を有するとして記載されたが、本発明は、本開示の精神と範囲内で更に変更され得る。本出願は、従って、本発明の原則を使用した本発明の如何なる変化、使用、又は適用も対象とする。更に、本出願は、本発明が関連する既知の又は従来の慣例の範囲内に含まれる、及び特許請求の範囲の限定の範囲内に含まれる本開示からの逸脱も対象とする。
【0047】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年3月29日に米国特許庁に提出した仮出願60/787072に基づく優先権及び当該仮出願から生じる全ての利益を主張する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を実施する実施例を示す図である。
【図2】本発明の実施例による図1のFTMの更なる詳細を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例による図1のFTM20とIRD60との間の相互接続の更なる詳細を示す図である。
【図4】図3の送受信機32の更なる詳細を示す本発明の実施例の図である。
【図5】図4の周波数選択及び処理回路321の更なる詳細を示す本発明を実施する実施例の図である。
【図6】図4の増幅及びデータ・クランプ回路325の更なる詳細を示す本発明を実施する実施例の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって:
−周波数シフト・キーイングで変調された信号を受信する入力;
−前記周波数シフト・キーイングで変調された信号を増幅する、第1の出力と前記第1の出力から前記入力へ結合された負帰還とを有する差動増幅器;を有し、前記入力は第1の基準電源電位及び第2の基準電源電位に更に結合され、
−前記装置は、前記第1の出力と第2の出力との間に結合されたタンク回路を更に有する、装置。
【請求項2】
前記入力は前記第1の基準電源電位と第1の抵抗器を介して結合され、前記入力は前記第2の基準電源電位と第2の抵抗器を介して結合される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記タンク回路は、第3の抵抗器、インダクター、及びキャパシターを有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第2の出力は第3の基準電源電位と第4の抵抗器を介して結合される、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記増幅器は、エミッタ・フォロワとして構成され、前記入力と結合された第1のトランジスター、及び共通ベース構成で、前記第1の出力と結合された第2のトランジスター、を有し、前記第2のトランジスターのベースは第4の基準電源電位と結合される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
信号処理装置であって:
−第1のコレクタ、第1のエミッタ、及び信号源と結合され前記第1のコレクタと更に結合された第1のベースを有する第1のトランジスター;並びに
−第2のベース、前記第1のエミッタと結合された第2のエミッタ、及び出力と結合された帯域通過フィルターと結合された第2のコレクタを有する第2のトランジスター、を有する信号処理装置。
【請求項7】
前記帯域通過フィルターは、前記帯域通過フィルターと結合された第3のベース及び前記出力と結合された第3のコレクタを有する第3のトランジスターを通じて前記出力と結合される、請求項6記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記帯域通過フィルターはインダクター及びキャパシターを有する、請求項7記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記帯域通過フィルターは抵抗器を更に有する、請求項8記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記信号源は周波数変調された信号と結合される、請求項6記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記信号源はFSK信号と結合される、請求項6記載の信号処理装置。
【請求項12】
FSK信号を処理する方法であって:
−FSK変調信号を受信する段階;
−前記FSK変調信号の振幅を第1の振幅範囲に制限する段階;
−前記FSK変調信号の振幅を第2の振幅範囲に増幅する段階;
−前記FSK変調信号をDCバイアスする段階;
−前記FSK変調信号をフィルタリングする段階;及び
−シリアル・データ信号を生成するために前記FSK変調信号を復調する段階、を有する方法。
【請求項13】
前記受信する段階は、前記受信したFSK変調信号をDCバイアスする段階を更に有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記受信する段階は、前記受信したFSK変調信号をフィルタリングする段階を更に有する、請求項12記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−531969(P2009−531969A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502824(P2009−502824)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/006299
【国際公開番号】WO2007/126573
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】