説明

呼吸用システム

【課題】本発明は、フィルタエレメント(128)及びメモリデバイス(402)を含むフィルタ組立体(124)を提供する。
【解決手段】メモリデバイス(402)により、前記フィルタ組立体(124)をある濾過システムから別の濾過システムに移した場合でも前記フィルタエレメントの使用状態の記録が常時利用できるようにする。本発明の別の実施形態においては、前記フィルタ組立体(124)は、エアユニット(130)の作動中に前記メモリデバイス(402)を周期的に更新するエアユニット(130)などの濾過デバイスと相互作用する。また、このエアユニット(130)は、前記フィルタ組立体(124)がその有効寿命限界に達しているかを確認するために周期的にチェックする。寿命限界に達している場合には、前記エアユニットは、可聴及び/又は視覚警報を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に空気、気体及び液体のフィルタなどのフィルタ分野に関し、より詳しくは、フィルタの使用状態を記憶する記憶デバイスを有するフィルタ及びそれと共に用いるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃、有毒ガス、空気感染バクテリア、ミストなどが充満した環境で作業を行う場合には通常、電動エア呼吸用器具又は他のタイプの呼吸用保護具を装着する。電動エア呼吸用器具を用いて、アスベスト含有の塵埃、放射性核種、血液感染病原体などにより健康を害するような状況から装着者を守る。
【0003】
一般的な電動エア呼吸用システムには、フェイスシールドを有するヘッドカバー、このヘッドカバーに呼吸管を通って濾過空気を流すベルト装着式エアフィルタユニットが含まれている。このエアフィルタユニットは、そのハウジング内部に、環境内の不純物を濾過する高性能粒子状エア(HEPA)フィルタ又は他のタイプのフィルタなどのフィルタを含む。作動中、周囲空気が従来のブロワのモータ/インペラ組立体(以下、単にブロワモータ組立体と呼ぶ)によりベルト装着式エアフィルタユニットを通って吸い込まれる。次に、濾過されていない空気が前記エアユニットの内部フィルタを通って吸い込まれ、濾過された空気が前記ヘッドカバーに送風される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不純物を濾過する際に前記呼吸用システムの効率を維持するためには、前記エアフィルタユニット内に配設された使い捨て可能なフィルタを定期的に交換することが重要である。フィルタの適宜な交換時期を間違えると、前記システムが最適の濾過性能を発揮できなくなり、呼吸用システムの装着者が健康を害する危険性がある。
【0005】
多くの個人呼吸用システムを従業員が使用するような仕事では、通常、保守スケジュールを立てて、各呼吸用システム内の各フィルタを交換すべき時期を従業員に知らせる。その交換時期の大部分は有効であるが、この種の予定した保守アプローチでは、スケジュールによる監視が必要であり、このスケジュールを適宜の時期に守る場合も守らない場合もある。ある呼吸用システムからのフィルタを別の呼吸用システムからのフィルタ又は使用済みのフィルタと交換する場合に大きな問題が生じる。このような特別の状況では、フィルタが同一の電動エアユニットと最早関係ないので、特定のフィルタの交換時期を忘れることがある。このような状況により、フィルタが寿命限界状態に達していて濾過機能の一部又は全部を失った後も長期間フィルタを使用してしまう場合もある。
【0006】
上述の内容では個人呼吸用システムに関する問題が主であるが、同様な問題は、交換可能又は持運び可能なフィルタを使用する任意の濾過デバイス又はシステムについても起こり得る。例えば、HVAC(暖房/換気/空調)システム、電子組立工場用の浄水システムなどの液体濾過システム、自動車のエアフィルタ及びキャビンフィルタなどがある。
【0007】
個人呼吸用システムや他のタイプの流体(例えば、空気、気体及び液体)濾過デバイス又はシステムに用いる殆どのフィルタが持運び式であるとすると、交換可能なフィルタを変えている個人は普通、元のパッケージから直接新しいフィルタを取り付けないかぎり、そのフィルタの残りの寿命を決して確かめることはできない。現在取り付けられているフィルタがある期間他のシステムで以前使用されていたことが明白な場合もあるだろう。このような状況では、フィルタの限界寿命を測定してそのフィルタの交換時期を決めることは非常に難しくなる。フィルタをその有効寿命より長く使用すると、当該濾過システムのタイプに依存するあらゆる種類の問題が起こることがある。例えば、機械類の場合、フィルタをその有効寿命より長く使用すると、機械類がその寿命より早く故障してしまうこともある。一方、呼吸用システムでは、寿命を過ぎたフィルタを使うと、装着者に健康上の重大な問題が生じることもある。このように従来技術には、上述の如き問題を克服可能なフィルタ及びシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フィルタを用いた特定の濾過システム/デバイス(例えば、個人呼吸用システムなど)と通信するフィルタ(フィルタ組立体)内に配設された記憶デバイスを介してフィルタの使用状態を記憶することができるフィルタ(フィルタ組立体)を提供する。前記記憶デバイスは、複数の濾過システム/デバイスでフィルタを使用する場合でもフィルタの使用状態を記憶している。
【0009】
本発明の別の実施形態においては、濾過システムは、記憶デバイスを有するフィルタと通信するフィルタユニットを含む。作動中、前記濾過システムは、フィルタの使用状態に関してフィルタ内の記憶デバイスの内容を定期的に更新する。フィルタが所定の寿命限界状態に達すると、濾過システムは、視覚的警報又は音声警報の何れか一方或いは両方によりそのフィルタの寿命限界状態を装着者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による呼吸用システムの分解図である。
【図2】フィルタを取り外した状態の前記呼吸用システムのエアフィルタユニットの背面図である。
【図3】本発明によるエアフィルタユニットの斜視図である。
【図4】本発明によるフィルタ及びシステムの電気回路図である。
【図5】図1に示すフィルタ組立体の斜視図である。
【図6】本発明によるフィルタ組立体の使用状態を更新するステップを強調して示す簡易フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面について説明する。図1は、好ましい実施形態による個人呼吸用システムなどの濾過システムの分解図を示す。好ましい実施形態は個人呼吸用システムによって説明しているけれども、本発明はそれに限定されず、交換可能なフィルタを利用している殆どの流体(例えば、空気、気体及び液体など)の濾過応用分野において使用できることをここで留意するべきである。
【0012】
好ましい実施形態の呼吸用システム100は、任意選択できるケープ付きの使い捨て可能なヘッドカバー102を有する。このヘッドカバー102は更に、顔面を保護するフェイスシールドを含む。前記使い捨てヘッドカバーは、市販の適当な保護布(例えば、E.I.Du Pont De Nemours & Co.,Inc.が販売しているヘッドカバー用のTYVEK(登録商標)布など)から作製できる。フードを耐液性にするために、ポリエチレンを更に塗布する。前記ヘッドカバー102は、呼吸管108に配設されたスロット付きコネクタ106を嵌める呼吸管口104を含む。呼吸管108に配設された第2コネクタ110は、エアフィルタユニット130の出口112に接続する。
【0013】
エアフィルタユニット130は、図2に更に見やすく示すようにエアユニットのハウジング134内に配設された従来のブロワのモータ及びインペラ組立体(以下、単にブロワモータ組立体と呼ぶ)118を含む。このブロワモータ組立体118は、好ましい実施形態では、着脱可能な電池パック120により給電される。この電池パック120は、再充電可能なニッケルカドミウム電池や他のタイプの市販電池などの再充電式電池を含むことが望ましい。電池パック120は再充電可能であることが望ましいけれども、電池パックは、再充電できない電池を使用するように構成してもよい。本発明により配設された記憶又はメモリデバイスを有するフィルタ又はフィルタ組立体124は、コネクタ122を介して前記エアフィルタユニットに電気的に接続されている。好ましい実施形態におけるフィルタ組立体124は、HEPAフィルタ128を含む。HEPAフィルタが好ましい実施形態で利用されているけれども、必要な濾過レベルや問題の特定応用分野に応じて他のタイプの濾過媒体を利用してもよい。また、前記エアユニット130は、エアユニット組立体全体を密封するために主エアユニットハウジング134に嵌合するカバー部材126を含む。
【0014】
前記ハウジング134内に配設された回路基板114は、フィルタ又はフィルタ組立体124に配設されたコネクタ122に嵌合する電気的コネクタ116を含む。詳細に後述する回路基板114上の電子部品は、ブロワモータ組立体118が作動する時期を監視し、フィルタ組立体124内に配設されたメモリデバイスの内容を定期的に更新する。回路基板114に連結された発光ダイオード(LED)などの視覚表示器132は、フィルタ組立体124の交換が必要な時やシステムで別の問題を検出した時に呼吸用システムの装着者に対して視覚的な表示を行う。前記LED132は、フィルタ組立体124がその有効実用寿命の限界に達しているか否かを判別するフィルタ使用回路に基づいて作動する。LED132はハウジング134上の何れの場所に取り付けてもよいが、目立つ位置に取り付けることが望ましい。加えて、そのLED132の代わりに、望ましくはそのLED132に加えて、圧電警報器(図2の符号202を参照)などの音声表示器が、システムの装着者に対して「フィルタ寿命の限界」やその他のシステム状態に関する可聴警報を出すために含まれている。
【0015】
図2には、前記カバー126とフィルタ組立体124を取り外した状態の前記エアユニットの背面図が示してある。作動中、ブロワモータ組立体118は、フィルタ組立体124を通して周囲空気を吸い込み、濾過された空気を出口112から強制排出する。濾過されていない空気が、カバー126に配設された通気口を通ってエアユニット130に入る。一旦フィルタ組立体124により濾過された空気は、呼吸管108を通りヘッドカバー102に向かって移動する。ゴムシール204により、エアフィルタ組立体124をその周囲に嵌合させて密封することができる。開口部の角にある整合キー206により、フィルタ組立体124がハウジング部材134に間違った方向に挿入されるのを防止することができる。
【0016】
雌型コネクタ116には、着脱可能なフィルタ組立体124に配設された雄型コネクタ122にある該当接触子と相互接続する複数個の接触子がある。これらのコネクタ116及び122は、回路基板114上に配設されたフィルタ使用監視回路にフィルタ組立体の記憶デバイス402を電気的に相互接続する。さらに、フィルタの実用寿命の限界を呼吸用システムの装着者に警告するために、システム使用監視回路に電気的に連結された圧電警報器202は、フィルタ組立体124がその有効実用寿命の限界に達したときに可聴警報を提供する。
【0017】
図3に示すように、開口部306に通して輪にしたベルト302により、呼吸用器具の使用者はエアフィルタユニット130を装着することができる。通常の動作中、エアフィルタユニット130はウエスト部分に沿って装着者の背中にある。呼吸管108は、装着者の背中と首に達しており、ヘッドカバー102の後部にある管口104に至る。電池の再充電の便宜上、又は外部電池パックをエアフィルタユニット130に相互接続するために、充電口又はソケット304がエアフィルタユニット130の側面に設けられている。充電器をソケット304に差し込むことにより、エアフィルタユニット130の内部に配設された電池パック120を充電することができる。外部電池パックを使用するのが望ましい状況ではソケット304を使用してもよい。
【0018】
図4には、フィルタ組立体124内に配設された電子部品とエアユニット130内に配設された回路基板114の電気回路図が示してある。交換可能なフィルタ組立体124内に配設されているのは、記憶又はメモリデバイス402である。記憶デバイス402は、それを外部環境から保護するために、フィルタ128のフレーム内部に封入したり、埋め込んだりすることが望ましいが(図5参照)、フィルタ組立体124の何れの場所に配設してもよい。例えば、記憶デバイス402をフィルタ媒体の内部に埋め込むこともできるが、これはフィルタ組立体の濾過性能が低減するため最も望ましい配置とはいえない。前記記憶デバイス402は、多数の周知の取付け又は付着方法の一つを用いてフィルタのフレーム部材やフィルタ媒体に取付けてもよい。別の実施形態においては、フィルタ組立体のハウジングに取付け可能なコネクタ122と一緒に記憶デバイス402を組立体の一部とすることもできる。
【0019】
組立体で支持されるように記憶デバイス402をフィルタ又はフィルタ組立体124と一緒に配設することにより、フィルタの使用状態の記録は、後述するように、フィルタ組立体を取り外して別の濾過システムに設置しても常に利用できる。好ましい実施形態においては、記憶デバイス402は、使い捨て可能なフィルタ組立体124内に埋め込まれた電気的に消去可能でプログラム可能な256ビット直列式ROM(EEPROM)で構成されている。EEPROMを好ましい実施形態で使用しているが、更新可能な他のタイプの従来の不揮発性記憶デバイスをその代わりに使用してもよい。好ましい実施形態においては、メモリデバイス402は、μCHIP,Inc.製の93AA46のEEPROMで構成されている。
【0020】
記憶デバイス402はコネクタ122に連結されており、このコネクタ122は、CHIP SELECT(ラベルCS)、DATA IN(ラベルDI)、DATA OUT(ラベルDO)、正電圧(VDD)、グラウンド(COM)、及びEEPROM402と回路基板114上に配設された該当線との間のCLOCK(ラベルSK)信号を電気的に相互接続する。コネクタ122は、フィルタ組立体124用の入力ポートとしての機能を果たす。好ましい実施形態で用いたコネクタ122のタイプの代わりに、当業者により知られている多くの異なるタイプのコネクタ及び電気的相互接続機構を使用してもよい。
【0021】
CHIP SELECT線の論理レベルがハイレベルになると、EEPROM402が選択され、CHIP SELECT線の論理レベルがローレベルになると、EEPROM402が選択解除される。DATA OUT線はコントローラ410からEEPROM402にデータビットを出力し、DATA IN線はEEPROM402からコントローラ410にデータビットを入力する。CLOCK線の論理レベルがハイレベルになると、直列データビットのEEPROM402への入出力時刻が記録される。
【0022】
回路基板114上のシステム使用監視回路は、電圧入力404及び406で構成されている。好ましい実施形態においては、電圧入力404及び406は、電池パック120から入ってブロワモータ組立体118に接続された電圧線に並列に接続されている。エアユニットのハウジング134に配設されたオンオフスイッチによりブロワモータ組立体118の電源を入れた時のみ、電圧入力404及び406によりシステム使用監視回路に電源が投入されることになる。
【0023】
Maxim,Inc.製のMAX921CSA比較器などの比較器408は、コントローラ410への制御「濾過システム作動」信号412を生成する。この信号412は、電圧入力404及び406で適切な電圧をかけた時に論理がハイレベルである。また、信号線412の論理がハイレベルであることは、ブロワモータ組立体118に電源が投入されエアユニットにより周囲空気がフィルタ128を通って流れることを示している。比較器408により、設定した閾値レベルに達した時に信号線412の論理がハイレベルになる。この閾値レベルは、R101とR102で形成される分圧器により決定される。また、比較器408は、閾値電圧レベルの付近で作動した時に出力論理レベルがオン状態とオフ状態の間で動くのを避けるのに役立つ従来のヒステリシスを生成する。
【0024】
コントローラ410は、内蔵EPROM。RAM及び入出力ポートを含むマイクロコントローラで構成することが望ましい。好ましい実施形態ではコントローラ410をμCHIP,Inc.製のPIC16LC54Aのマイクロコントローラで構成しているが、その代わりに、数多く市販されているマイクロプロセッサやマイクロコントローラの何れか一つを使用してもよい。マイクロプロセッサやマイクロコントローラを使用する代わりに、従来の個別部品やASICを用いて構成することもできる。
【0025】
32,768ヘルツ(Hz)の水晶発振器Y101は、コントローラ410用の外部発振源として使用されている。コントローラポートRAOは、エアユニットにある2つの表示器のうちの1つであるLED CR101の電源をオンまたはオフに切り換える時を制御する。一方、コントローラ410からの第1出力ポート(ラベルOUT1)は制御出力電圧を生成して第2表示器(圧電警報器202)をオン状態にする。第2出力ポート(ラベルOUT2)は、エアユニットに取付けられた外部デバイス又は回路により使用可能なパルスを毎秒出力する。
【0026】
以下、表1において、図4に概略的に示す回路図にある回路部品のリストを詳細に説明する。
【0027】
【表1】

【0028】
図5は、図1に示すフィルタ組立体の斜視図である。図5においては、フィルタ媒体128の全周囲に沿って配設されたフィルタ組立体のハウジング502が示してある。また、ハウジング502内に埋め込まれた記憶デバイス402が強調して示してある。
【0029】
図6の簡易フローチャートにおいては、好ましい実施形態によるシステムの動作が強調して示してある。ステップ602では、エアユニット130に電源を投入してから、コントローラ410が、内部フラグ及びレジスタを初期設定する初期化ルーチンを実行する。この初期化の実行中、コントローラ410は、EEPROM402との通信及び動作を確認するためにテストルーチンも実行する。ステップ604でEEPROM402が誤動作状態であることを判別した場合には、ステップ606で呼吸用システムの装着者に警告を出すために2つの表示器(警報器202及び/又はLED CR101)のうちの1つにより警報信号を生成可能である。
【0030】
フィルタ組立体124を作製する間、フィルタ組立体124を識別するのに役立つ一意の連続番号をEEPROM402にプログラムすることが望ましい。また、同作製中、フィルタ寿命の閾値をEEPROM402にプログラムすることが望ましい。格納されたフィルタ寿命閾値は、好ましい実施形態のエアユニット130のフィルタ組立体124に取付けられた濾過デバイスに、交換を要する前に特定のフィルタが処理可能な作動時間を知らせる。例えば、特定のフィルタエレメントの場合、そのフィルタ寿命閾値を40時間に設定する。フィルタ寿命閾値は、使用するフィルタのタイプ及び当該濾過適用分野のタイプによって変わる。連続番号及びフィルタ寿命閾値の両方は、EEPROM402内の絶対アドレス位置に格納される。これらのアドレス位置は、データを破損しないように「読取り専用」位置に設定される。
【0031】
また、初期化ルーチンの一部としてステップ604では、そのルーチンは、EEPROM402内に格納されたフィルタ使用値と呼ばれる変数をチェックしてそれをフィルタ寿命閾値と比較することによりフィルタ組立体124を使用していた時間の長さとフィルタ寿命閾値とを比較する。フィルタ組立体124が寿命限界に達していたと判別した場合には、ステップ606で、コントローラ410は、フィルタ組立体124の交換時期を呼吸用システムの装着者に警告するために、警報器202及び/又はLED CR101により警報信号を生成せしめる。警報器202及び/又はLED CR101により、コントローラとEEPROMとの間の通信不良による警報の場合やフィルタエレメントの故障状態による警報の場合に応じて警報順序(例えば、異なる可聴警報、異なるブリンキング速度など)を変えることができる。
【0032】
電源がコントローラ410に供給されると、コントローラ410は、エアユニット130が作動状態であることを示す信号線412の論理がハイレベルであるかを確認するために入力RA1をポーリングする。入力RA1が論理ハイであると判別されるとすぐ、コントローラの埋め込みソフトウェアにより実行される従来のリアルタイムクロックルーチンは、ステップ608で信号線412が論理ハイを確認した時間の長さのカウントを開始する。ステップ610において、所定の時間長、例えば1分経過した後(更新期間)、ステップ612でコントローラ410は、フィルタ使用値がEEPROM402内に格納されている絶対アドレス位置に書込みを行い、これにより、フィルタ組立体124を実際に使用していた時間長を更新する。このようなEEPROMへの書込みは、フィルタ使用値を修正せしめるEEPROMに更新メッセージを送信するコントローラにより実行される。
【0033】
当業者は、EEPROM402内に配置されたフィルタ使用値を更新する方法が数多くあることを知っている。例えば、ある構成では、コントローラ410により送信された更新信号がフィルタ使用値を増分することができる一方、別の構成では、各更新信号がフィルタ使用値を減分することができる。前者の構成では、フィルタ使用値がフィルタ寿命閾値(例えば、40時間)に等しいときにフィルタの寿命限界状態に達したことになる一方、後者の構成では、フィルタ使用値がゼロに等しいときにフィルタの寿命限界状態に達したことになる。フィルタ組立体が使用中であった時間長を記憶するために簡単に上述した2つの方法の代わりに、従来周知の変数を更新する他の方法を使用してもよい。
【0034】
ステップ614では、コントローラ410は、フィルタ寿命閾値と現在のフィルタ使用値とを比較してフィルタがその寿命限界状態に達しているか否かを判別する。これは、EEPROMの内容を読み取ってコントローラのソフトウェアルーチンにより実行される単純比較関数を実行することにより行われる。ステップ616でフィルタ使用値がフィルタ寿命閾値に達していると判別された場合、ステップ618でコントローラ410は、ポートRA0のローレベルを明示することによりLED CR101のブリンキングを開始せしめる。また、コントローラ410は、装着者を更に警告するためにポートOUT1を明示して警報器202が可聴警報を出すようにする。ステップ616でフィルタエレメントがその有効寿命限界に達していないと判別された場合、エアユニット130が作動している間、そのルーチンは戻って繰り返しフィルタ使用値の記憶領域を定期的(例えば、1分毎)に更新し続ける。
【0035】
ステップ608で説明したリアルタイムクロックルーチンがステップ610〜616の実行中も継続して実行していることに留意するべきである。また、ステップ610で説明した更新期間は、すべての周期的な更新の後に継続してクリアされリスタートされる。また、前記ルーチンは、エアユニット130が作動していることを示す信号線412の論理がまだハイレベルであるかを確認するために入力RA1を周期的に監視する。入力RA1がローレベル(エアユニット130が作動中でないことを示す)になると、前記ルーチンはEEPROM402の内容の増分を停止する。
【0036】
以上、本発明を特定の実施形態について説明してきたが、上述の説明に照らして多くの代替、修正、交換及び変更が可能であることは当業者に明らかであろう。例えば、好ましい実施形態では、入力ポート122はEEPROM402に電気的に連結された分離コネクタで構成されているが、特にEEPROM402をフィルタ組立体のハウジング内に封入した場合にEEPROM402の同一パッドを用いて入力ポートを構成してもよい。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲に入るようなすべての代替、修正及び変更を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントと、
このフィルタエレメントに連結され、交換可能なフィルタ組立体に関する情報を格納する不揮発性メモリデバイスと、
を具備する交換可能なフィルタ組立体。
【請求項2】
前記不揮発性メモリデバイスに格納された情報が、前記交換可能なフィルタ組立体を使用していた時間の長さを含む、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項3】
前記不揮発性メモリデバイスに格納された情報が、前記交換可能なフィルタ組立体を識別する連続番号を含む、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項4】
前記不揮発性メモリデバイスに電気的に連結され、前記交換可能なフィルタ組立体を濾過デバイス/システムに相互接続する入力ポートを更に有する、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項5】
前記不揮発性メモリデバイスがEEPROMで構成されている、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項6】
前記不揮発性メモリデバイスが前記フィルタエレメント内に埋め込まれている、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項7】
前記フィルタエレメントの周縁部分の周りに配設されたハウジングを更に有する、請求項1記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項8】
前記不揮発性メモリデバイスが前記ハウジング内に封入されている、請求項7記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項9】
前記不揮発性メモリデバイスが前記ハウジングに取付けられている、請求項7記載の交換可能なフィルタ組立体。
【請求項10】
フィルタエレメントと、このフィルタエレメントに取付けられた不揮発性メモリデバイスとを備えるフィルタ組立体と、
濾過システムが作動している時間の長さを監視して更新信号を前記不揮発性メモリデバイスに周期的に送信するコントローラと、
を具備する濾過システム。
【請求項11】
前記更新信号により、前記不揮発性メモリデバイスに格納されたフィルタ使用値が変更を生じ、このフィルタ使用値が、前記フィルタエレメントを使用していた時間の長さを表示する、請求項10記載の濾過システム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記フィルタ使用値とフィルタ寿命閾値とを周期的に比較して、前記フィルタエレメントがその寿命限界状態に達しているか否かを判別する、請求項11記載の濾過システム。
【請求項13】
表示器を更に有し、前記コントローラが、前記フィルタエレメントがその寿命限界状態に達していると判別した場合に、該コントローラにより前記表示器が警報を出す、請求項12記載の濾過システム。
【請求項14】
呼吸用システムが、ブロワモータ組立体を有するエアユニットを備える電動エア呼吸用システムを具備し、前記コントローラが、前記ブロワモータ組立体が作動している時間の長さを判別して、前記ブロワモータ組立体の作動中に前記更新信号を前記入力ポートに周期的に送信する、請求項12記載の濾過システム。
【請求項15】
濾過システムが呼吸用システムを具備する、請求項10記載の濾過システム。
【請求項16】
フィルタエレメントと、このフィルタエレメントに取付けられた不揮発性メモリデバイスとを備えるフィルタ組立体と、
ブロワモータ組立体とコントローラ回路とを備えるエアユニットとを具備し、
このコントローラ回路が、前記ブロワモータ組立体が作動している時間の長さを判別して、ブロワモータが作動している時間の長さを示す前記不揮発性メモリデバイスに格納する更新信号を生成するようにした、
呼吸用システム。
【請求項17】
前記コントローラ回路が、前記ブロワモータ組立体が作動している間、周期的な更新信号を送信することにより、前記不揮発性メモリデバイスの内容を周期的に更新する、請求項16記載の呼吸用システム。
【請求項18】
前記エアユニット及び交換可能なフィルタ組立体の両方が、前記コントローラと前記不揮発性メモリデバイスとを電気的に相互接続することができるコネクタを備える、請求項16記載の呼吸用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−368(P2010−368A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188085(P2009−188085)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【分割の表示】特願平10−540583の分割
【原出願日】平成10年3月11日(1998.3.11)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】