説明

商品データ処理装置

【課題】ヒンジの回動トルクを大きくすることなく、表示ユニットのフリーストップを可能とし、操作性を向上できるようにする。
【解決手段】装置本体Aと、この装置本体Aの上面部にヒンジ17を介して開閉自在に設けられ、情報を表示する表示ユニットBと、ヒンジ17の軸受孔20内に挿通される金属シャフト21に装着され、表示ユニットBを開放する方向に付勢するトーションバネ24とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば顧客に対し商品の説明が可能な商品データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、デビットカード等での決済が可能な小型のPOS(Point Of Sales)端末等の商品データ処理装置には、装置本体を備え、この装置本体の上面部に表示ユニットを枢支部を介して開閉自在に設けるものがある。
【0003】
また、この商品データ処理装置には、表示ユニットの画面をオペレータ側、或いは顧客側で兼用できるようにしたものがある。
【0004】
即ち、オペレータ側で利用する場合には、表示ユニットを閉じて装置本体に重ね合わせた状態としてその画面を見るようにしている。顧客側で利用する場合には、オペレータが表示ユニットを開いて装置本体に対し立ち上げた状態にしてその画面を顧客側に向けるようにしている。
【0005】
ところで、上記した表示ユニットの枢支部は、例えばヒンジ機構によって構成され、その回動トルクを増大させることにより、表示ユニットの開放動作の途中で手を離した場合でも、自重によって下がることなくその開放位置を保持する所謂フリーストップを実現している(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、ヒンジ機構の回動トルクを大きくしてフリーストップを実現していたため、小型のPOSシステムの商品データ処理装置では、装置本体が軽量であることから、表示ユニットを持ち上げて開こうとすると、装置本体が浮き上がってしまうことがあった。このため、装置本体が浮き上がらないように装置本体を手で押さえて表示ユニットを開放しなければならず、操作性が悪いものとなっていた。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、枢支部の回動トルクを大きくすることなく、表示ユニットのフリーストップを実現し、操作性の優れる商品データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、装置本体と、この装置本体の上面部に枢支部を介して開閉自在に設けられ、情報を表示する表示ユニットと、前記枢支部に設けられ、前記表示ユニットを開放する方向に付勢する付勢手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、枢支部の回動トルクを大きくすることなく、表示ユニットのフリーストップを実現し、操作性の優れる商品データ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態である商品データ処理装置を示す斜視図。
【図2】図1の商品データ処理装置の表示ユニットを開いた状態を示す斜視図。
【図3】図2の表示ユニットを開閉自在に枢支する枢支部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる商品データ処理装置を示す斜視図である。
商品データ処理装置1は、装置本体Aとその装置本体Aの上面に上縁側が開閉自在に枢支された表示ユニットBとからなる。装置本体Aには開閉釦6が設けられ、この開閉釦6の押下により表示ユニットBの下縁側と装置本体Aとの係合が解除される。この解除により、図2に示すように、表示ユニットBが矢印方向に開くことができるようになっている。
【0013】
装置本体Aは、電源釦2、USB(登録商標)ポート3が設けられた前面部、およびこの前面部の上縁部分を覆う状態に設けられた開閉自在な前面カバーA1、および側面部の一部を覆う状態に設けられた開閉自在な側面カバーA2を備える。
【0014】
前面カバーA1には、レシート発行口5および上記した開閉釦6が設けられている。レシート発行口5からは、装置本体Aに内蔵されているプリンタ(図示しない)により印字されたレシートが排出される。
【0015】
表示ユニットBには、タッチパネル式ディスプレイ7およびカードリーダ8が設けられている。タッチパネル式ディスプレイ7は、処理内容の表示及び操作入力の双方が可能なGUI(Graphical User Interface)として機能する。カードリーダ8は、クレジットカード、ポイントカード等の各種磁気カードやICカードが差し込まれてスライドされることにより、これらカードに記録されているデータを読取る。
【0016】
表示ユニットBを開くと、装置本体Aの上面にレシート用紙9,プラテンカバー10,プラテンローラ11及び上面カバーA3が露出する。レシート用紙9は、ロール状に巻回され、加熱により印刷面が変色する発色型感熱紙である。プラテンカバー10を閉じたとき、プラテンローラ11によりレシート用紙9が加圧され、そのレシート用紙9を挟んでプラテンローラ11と対向配置されているサーマルヘッド(図示しない)からの加熱によりレシート用紙9に処理情報等が印字される。
【0017】
ところで、上記した表示ユニットBは、図3に示すように装置本体Aに対して枢支部15を介して開閉自在に取り付けられている。
【0018】
表示ユニットBの上緑内面側の両側部には、それぞれ凹部16が形成され(一方の凹部のみ図示する)、この凹部16内に合成樹脂製のヒンジ17が設けられている。ヒンジ17は固定ネジ18によって凹部16の内底面に固定され、ヒンジ17の軸受孔20内には金属シャフト21が挿通されている。この金属シャフト21の一端部側は凹部16の内側壁面に固定され、他端部側は支持脚22によって固定的に支持されている。支持脚22は装置本体Aの上面部に固定ネジ23によって固定されている。
【0019】
一方、金属シャフト21の一端部側には付勢部材としてのトーションバネ24が装着されている。トーションバネ24はコイル部24aと,このコイル部24aの両側部から延びる両腕部24b,24cとから構成され、コイル部24a内に金属シャフト21が挿通されている。
【0020】
トーションバネ24はその両腕部24b,24cを広げる方向に付勢力を有し、一方の腕部24bを装置本体Aの上面部に圧接させ、他方の腕部24cを表示ユニットBの凹部16の内底面部に圧接させている。
【0021】
このトーションバネ24はそのバネ力で表示ユニットBを開く方向に付勢しているが、オペレータが表示ユニットBを開く際には、その開放を補助する補助力として機能し、また、オペレータが表示ユニットBから手を離すと、自重で勝手に下がらないようにその位置で停止させる所謂フリーストップを実現するようになっている。
【0022】
次に、上記したように構成される商品データ処理装置1の使用方法について説明する。
【0023】
まず、オペレター側で使用する場合には、図1に示すように表示ユニットBを閉じた状態にし、この状態でディスプレイ7にタッチして入力操作を行なったり、表示される処理内容を見る。
【0024】
顧客側で、表示ユニットBを利用する場合には、オペレータが開閉釦6を押圧操作して表示ユニットBのロックを解除し、表示ユニットBの下緑部側を持ち上げる。このとき、トーションバネ24のバネ力が表示ユニットBの押し上げ力として補助的に付与され、表示ユニットBはスムーズに押し上げられて開放される。表示ユニットBが所定角度開放されてそのディスプレイ7が顧客側に向けられた状態になると、オペレータは表示ユニットBから手を離す。このとき、表示ユニットBは、トーションバネ24のバネ力によって保持された状態となり、自重により落下することなくフリーストップを実現する。顧客は向けられたディスプレイ7の表示内容を見て情報を得ることになる。
【0025】
顧客側が表示ユニットBのディスプレイ7の情報を見終わったのちは、オペレータが表示ユニットBをトーションバネ24のバネ力に抗して押し下げて閉じる。
【0026】
上記したように、この実施の形態によれば、トーションバネ24のバネ力により、表示ユニットBを開放する方向に付勢するため、ヒンジ17の回動トルクを大きくすることなくフリーストップを実現することができる。
【0027】
従って、表示ユニットBを持ち上げても、装置本体Aが浮き上がってしまうことがなく、操作性を向上できるという利点がある。
【0028】
また、表示ユニットBを閉じるときには、トーションバネ24のバネ力に抗して押し下げるため、表示ユニットBを急激に閉じてしまう虞もない。
【0029】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【符号の説明】
【0030】
A…装置本体、B…表示ユニット、17…ヒンジ(枢支部)、20…軸受孔、21…金属シャフト、24…トーションバネ(付勢手段)、24a…コイル部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2005−76790号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
この装置本体の上面部に枢支部を介して開閉自在に設けられ、情報を表示する表示ユニットと、
前記枢支部に設けられ、前記表示ユニットを開放する方向に付勢する付勢手段と
を具備することを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項2】
前記枢支部は、ヒンジを有してなることを特徴とする請求項1記載の商品データ処理装置。
【請求項3】
前記ヒンジは、樹脂製で軸受孔を有し、前記軸受孔内に金属シャフトが挿通されることを特徴とする請求項2記載の商品データ処理装置。
【請求項4】
前記付勢手段はトーションバネであることを特徴とする請求項1又は3記載の商品データ処理装置。
【請求項5】
前記トーションバネは、そのコイル部内に前記金属シャフトが挿通されて取り付けられることを特徴とする請求項4記載の商品データ処理装置。
【請求項6】
前記表示ユニットは、一画面を有し、この一画面がオペレータ及び顧客の画面として兼用されることを特徴とする請求項1記載の商品データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−22834(P2011−22834A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167828(P2009−167828)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】