説明

商品出荷先のトレース方法及びトレースシステム

【課題】 不良品(例えば品質低下、異物混入、包装袋の破れ等)が梱包工程後に発見され、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に製造された商品に限定されるような場合にはその不良の虞のある商品群のみを市場から確実に回収し、或いは市場へ出荷されることを確実に回避できること。
【解決手段】 各パレット毎の積載開始日時情報及び積載終了日時情報を取得し各パレット毎の出荷実績を取得し取得された積載開始日時情報及び積載終了日時情報と出荷実績とを、対応するパレット識別情報を介して結び付けて記憶させることでデータベースを生成し与えられたパレット積載日時を検索キーとして、又は与えられた製造日時から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時を検索キーとして前記データベースを検索することによりその商品が積載されていたパレット又はその商品が出荷された出荷先を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、日々大量の食品を市場に出荷する食品メーカ等に好適な商品の出荷先トレース方法及びトレースシステムに係り、特に、不良品発生時におけるその波及先特定等に有効な商品の出荷先トレース方法及びトレースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々大量の食品を市場に出荷する食品メーカにあっては、一般に、図18に示される流れを経て、商品(食品)の包装から出荷に至る作業が行われる。
【0003】
すなわち、第1の工程では、商品(食品)201を包装体(例えば、包装袋)202に収容すると共に、各包装体202の外表面に食品衛生法上必要な製造日時情報203等をプリンタにて印字(表示)する(図18(a)参照)。
【0004】
続く、第2の工程では、商品が収容された包装体202aを所定個数だけ運送用の梱包箱(例えば、ダンボール箱)204に収容すると共に、各梱包箱204の外表面に物流管理上必要な商品の品種情報に相当するバーコード(一般に、ITFコードと称する)205をプリンタにより印字(表示)する(図18(b)参照)。
【0005】
続く、第3の工程では、商品収容済みの包装体202aが所定個数だけ収容された梱包箱204aをフォークリフト用パレット208への積載用ステーションへと例えばベルトコンベア等の搬送手段206により搬送する(図18(c)参照)。なお、図において、207は積載用ステーションにあって、ITFコードを光学的に読み取るためのバーコードリーダである。
【0006】
続く、第4の工程では、積載用ステーションにおいて、積み上げ用ロボット(ロボットパレタイザと称する)209を使用して、商品収容済み梱包箱204aをパレット208上に所定個数だけ積載(パレタイズ)する(図18(d)参照)。
【0007】
続く、第5の工程では、商品収容済みの梱包箱204aが所定個数だけ積載されたパレット208を出荷場へとフォークリフト等の搬送手段210を使用して搬送して出荷待機させる(図18(e)参照)。
【0008】
続く、第6の工程では、出荷待機状態にある積載済みパレット208の中から、出荷指示に従って、必要なパレットをフォークリフト210でピッキングして、指定された出荷先を目的地又は経由地として含む運送車両211に積込む(図18(f)参照)。
【0009】
商品の出荷管理は、業務用基幹システム(例えば、SAPシステム等)を使用して行われる。業務用基幹システムからは、商品の出荷先や出荷個数(梱包箱数)が記載されたピッキングリストが発行される。出荷作業担当者は、このピッキングリストを参照して出荷を行なう。どの出荷先に何箱出荷したかと言った出荷実績データは、例えば1日単位で、保存される。
【0010】
なお、このような商品出荷システムとしては、パレット単位に製品の識別情報を持たせ、出荷時にパレット単位の製品の識別情報と納入指示情報とを関連付けて記憶装置に記憶することにより、製品毎の出荷履歴を管理することを可能にした出荷履歴情報管理システムが従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−126977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の出荷実績の管理は、どの出荷先にどの商品を何箱出荷したかと言った情報を保存したり、あるいは、どの出荷先にどのパレットの商品を出荷したかと言った情報を保存するものであって、商品の製造日時とその製造日時にかかる商品の出荷先との関係についてはなんら配慮されていないため、ひとたび不良品(例えば、品質低下、異物混入、包装袋の破れ等々)が梱包工程後に発見されたような場合には、仮にその不良品の製造日時が包装表示から明らかとなり、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に限られることが判ったとしても、不良の虞のある商品を市場から確実に回収したり、あるいは、市場への出荷を確実に回避するためには、その日に出荷された全ての出荷先から商品を回収し、加えて、出荷待機状態にある全てのパレット積み商品を検査乃至回収せねばならず、下記(1)及び(2)のように、多大なる時間と労力を要すると言う問題点があった。
【0012】
(1)該当する製造日におけるすべての商品に対して、流通をストップさせる必要があった。すなわち、従来の流通システムでは、1日毎にロットNoが割り振られているため、安全な商品と不具合の商品との区別を付けることが困難であることから、すべての商品に対して流通をストップさせる必要があった。
【0013】
(2)出荷された商品は、ロットNoが割り振られているとは言うものの件数が非常に多く、その出荷先を特定することができないため、作業員は出荷伝票をもとに出荷先の倉庫すべてを実際に見て回る必要がある。さらに、商品の梱包箱には、商品の品種データや商品の入り数情報が格納された1次元バーコードが印字されているが、この1次元バーコードには、商品の製造日時情報が含まれていない。そのため、製造日時をチェックするには、商品の梱包箱1つ1つを開けて商品袋に印字されている製造日時をチェックし、回収の必要有無を判断していた。これらの状況により、出荷先を特定するには、まる1日以上要していた。
【0014】
一方、このような問題を解決する一案としては、製造日時で特定される個々の商品がどの梱包箱に収容されたか、どの梱包箱がどのパレットに積載されたか、どのパレットがどの出荷先に出荷されたか、と言った情報をすべて紐付けしたデータベースを作成すればよいが、そのためには、梱包箱の外表面に収容物情報を表示するためのプリンタ、これを読み取るためのリーダ等々言った新たなハードウェアの追加、それらの制御並びにデータベース構築のためのソフトウェアの追加と言った既存システムに対する大幅な改造が必要となり、実現性に乏しいと言う問題点がある。
【0015】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ひとたび不良品(例えば、品質低下、異物混入、包装袋の破れ等々)が梱包工程後に発見され、その不良品の製造日時が包装表示から明らかとなり、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に製造された商品に限定されるような場合には、その不良の虞のある商品群のみを市場から確実に回収し、あるいは、市場へ出荷されることを確実に回避でき、しかも、既存の出荷システムに大幅な改造を加えることなく、これを実現することが可能な商品出荷先のトレース方法及びトレースシステムを提供することにある。
【0016】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するためには、商品出荷先のトレース方法として、つぎのような構成を採用すればよい。
【0018】
この方法は、つぎのような出荷工程を前提とする。この出荷工程は、各包装体の外表面に食品衛生法上必要な製造日時情報を表示する第1の工程と、前記商品が収容された包装体を所定個数だけ運送用の梱包箱に収容すると共に、各梱包箱の外表面に物流管理上必要な商品の品種情報を表示する第2の工程と、前記商品の包装体が所定個数だけ収容された梱包箱をフォークリフト用パレットへの積載用ステーションへと搬送する第3の工程と、前記積載用ステーションにおいて、商品収容済み梱包箱をパレット上に所定個数だけ積載する第4の工程と、前記商品収容済みの梱包箱が所定個数だけ積載されたパレットを出荷場へ搬送して出荷待機させる第5の工程と、前記出荷待機状態にある積載済みパレットの中から、出荷指示に従って、必要なパレットをフォークリフトでピッキングして、指定された出荷先を目的地又は経由地として含む運送車両に積込む第6の工程と、を順に経由する一連の作業の流れを有する。
【0019】
この方法は、上記の出荷工程を前提として、特定の製造日時の商品がどのパレットに積載されたか、又はどの出荷先へと出荷されたかをトレースするための方法であって、前記第4の工程における各パレット毎の積載開始日時情報及び積載終了日時情報を取得する第1のステップと、前記第6の工程における各パレット毎の出荷実績を取得する第2のステップと、前記第1のステップで取得された積載開始日時情報及び積載終了日時情報と第2のステップで取得された出荷実績とを、対応するパレット識別情報を介して結び付けて記憶させることでデータベースを生成する第3のステップと、与えられたパレット積載日時又は積載日時帯を検索キーとして、又は与えれた製造日時又は製造日時帯から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時又はパレット積載日時帯を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、その商品が積載されてたパレット、又はその商品が出荷された出荷先を抽出する第4のステップと、を具備することを特徴とするものである。
【0020】
このような構成によれば、積載開始日時情報及び積載終了日時情報と出荷実績とを、対応するパレット識別情報を介して結び付けて記憶させることでデータベースを生成するようにしていることに加えて、製造日時と積載開始乃至終了日時との間には、実用上許容し得る精度で、一定の相関が見られるため、ひとたび不良品(例えば、品質低下、異物混入、包装袋の破れ等々)が梱包工程後に発見され、その不良品の製造日時が包装表示から明らかとなり、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に製造された商品に限定されるような場合には、与えれた製造日時又は製造日時帯から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時又はパレット積載日時帯を検索キーとして、あるいは、与えられたパレット積載日時又は積載日時帯を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、その商品が積載されてたパレット、又はその商品が出荷された出荷先を抽出することができるから、その不良の虞のある商品群のみを市場から確実に回収し、あるいは、市場へ出荷されることを確実に回避することができる。
【0021】
しかも、この方法で使用される積載開始並びに終了日時を含むデータベースの作成のためには、従前より存在するであろう出荷管理用サーバに対して、積載開始タイミング並びに積載終了タイミングとなるタイミング信号を送出する手段(パルス発生源)を設けるだけで済み、また各パレット毎の出荷実績を取得するためには、ハンディーターミナルから出荷実績を取得するだけで済むため、既存の出荷管理システムに対する大幅な改造を施すことなく、所期の目的を達成することができる。
【0022】
上記の課題を解決するためには、商品出荷先のトレースシステムとして、つぎのような構成を採用すればよい。なお、出荷工程の前提は上記と同様である。
【0023】
すなわち、このシステムは、フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、搬送されてくる商品収容済み梱包箱の外表面から商品の品種情報を読み取る品種情報読取器と、フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、所定の積載開始条件が成立するのを待って、搬送されてくる商品収容済み梱包箱のパレットへの積載動作を開始すると共に、積載個数が所定個数に達するのを待って、積載動作を終了して積載済みパレットを排出すると言った一連の動作を繰り返す積載用ロボットと、フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、パレットへ付することが可能なパレットラベルを発行するパレットラベル発行機と、出荷場にあって、各パレットに付されたパレットラベルからパレット識別コードを光学的に読み取り可能なハンディーターミナルと、前記品種情報読取器、前記積載用ロボット、前記パレットラベル発行機、及び前記ハンディターミナルと通信で結ばれたサーバ装置とを備えている。
【0024】
前記サーバ装置には、前記品種情報読取器及び前記積載用ロボットと協働しつつ、各パレットにパレット識別情報を割り当てると共に、そのパレット識別情報と積載商品に関する品種情報、積載開始日時情報、及び積載終了日時情報とを関連づけてデータベースに記憶させ、さらに、各パレットに割り当てられたパレット識別情報が表示されたパレットラベルをパレットラベル発行機から発行させるパレタイジング時処理手段と、前記ハンディーターミナルでパレットラベルからパレット識別情報を読み込む動作と協働して、指定された出荷先とその出荷先に関してピッキングされたパレットのパレット識別情報とを関連づけてデータベースに記憶させるピッキング時処理手段と、与えられたパレット積載日時又は積載日時帯を検索キーとして、又は与えれた製造日時又は製造日時帯から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時又はパレット積載日時帯を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、その商品が積載されてたパレット、又はその商品が出荷された出荷先を抽出するデータベース検索手段と、が備えられている。
【0025】
このような構成によれば、パレット識別情報と積載商品に関する品種情報、積載開始日時情報、及び積載終了日時情報とを関連づけてデータベースに記憶させる機能はパレタイジング時処理手段により、また出荷先に関してピッキングされたパレットのパレット識別情報とを関連づけてデータベースに記憶させる機能はピッキング時処理手段により、それぞれ自動的に実現されるから、作業者の行う基本的な作業としては、パレットラベル発行機から発行されるパレットラベルをそのパレットに貼付する作業、並びに、出荷に際してハンディーターミナルによりパレットに貼付されたパレットラベルを読み取る作業だけで済み、作業者に与える負担を殆ど増すこともなく、しかも既存の出荷管理システムに対する大幅な改造を施すことなく、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ひとたび不良品(例えば、品質低下、異物混入、包装袋の破れ等々)が梱包工程後に発見され、その不良品の製造日時が包装表示から明らかとなり、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に製造された商品に限定されるような場合には、その不良の虞のある商品群のみを市場から確実に回収し、あるいは、市場へ出荷されることを確実に回避でき、しかも、既存の出荷システムに大幅な改造を加えることなく、これを実現することが可能な商品出荷先のトレース方法及びトレースシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、この発明に係る出荷先のトレース方法及びトレースシステムの好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
本発明の出荷先のトレースシステムのシステム構成図が図1に示されている。同図に示されるように、このシステムは、サーバ10と、プログラマブル・コントローラ(以下、PLCという)11と、ロボットパレタイザ12と、バーコードリーダ13と、ハンディターミナル装置14と、ラベルプリンタ15と、手積みステーション端末16と、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17と、を含んで構成される。
【0029】
サーバ10は、システムバスやLANケーブルを介して、PLC11、ラベルプリンタ15、及び手積みステーション端末16と接続されている。また、サーバ10とハンディターミナル装置14とは、無線LANなどの無線通信媒体を介して接続されている。もちろん、サーバ10とハンディターミナル装置14との接続方法は、システムバスやLANケーブルを用いた有線接続でも良いことは言うまでもない。
【0030】
PLC11は所謂制御機器であり、RS422/232Cケーブル等のシリアル通信線を介して、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17及びバーコードリーダ13と接続されている。PLC11は、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17やバーコードリーダ13で得たデータや信号をサーバ10へと送信する中継機能をも有する。
【0031】
ロボットパレタイザ12は、商品が梱包された梱包箱(例えば、ダンボール製)をフォークリフトによる出荷用パレットに積み上げるための装置であって、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17から送信される動作信号を受けて一連の動作(後に説明するパレタイズ処理)を開始又は終了する。なお、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17の代わりにPLC11によってロボットパレタイザを制御するように構成しても良いが、以下、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17にてロボットパレタイザ12を制御する構成例について説明する。
【0032】
バーコードリーダ13は、商品ケースに印字されている1次元バーコード(物流上必要なITFコード)を光学的に読み取るための装置である。バーコードリーダ13は、梱包箱を自動積みステーションへと搬送するベルトコンベアの終端付近に設置され、梱包箱が図示しないコード読取部を通過するたびに、1次元コードが読み取られる。読み取られた1次元コード情報に含まれる品種データは、PLC11に送信される。
【0033】
ハンディターミナル装置14は、所謂PDA(Personal Digital Assistants)端末である。ハンディターミナル装置14には、光学的コード読取部が設けられている。このコード読取部で出荷リストに印字されている1次元バーコードやパレットラベル(図9参照)に印字されている2次元コードを読み取ることにより、各シートに記載されている情報を画面上に表示させることができる。また、ハンディターミナル装置14は、サーバ10とデータ通信可能とされている。
【0034】
ラベルプリンタ15は、サーバ10から出力されたデータ(文字列と2次元コード)をパレット貼付用ラベル(以下、パレットラベルと言う)に印刷するためのプリンタ装置である。
【0035】
手積みステーション端末16は、ロボットパレタイザ12にて積上不能であった梱包箱に対して、手動でパレットに積み上げるエリア(以下、手積みステーションと言う)に設置された端末である。手積みステーション端末16は、ハンディバーコードリーダ(図示しない)と、例えば操作端末となるプログラマブル表示器(図示しない)とを含んで構成され、パレットへの積み上げ開始・終了の操作は、作業者自身が行う。手積みステーション端末16はサーバ10と接続され、パレット積上作業の開始・終了のそれぞれの信号、並びに、品種データがサーバ10へと送信される。
【0036】
サーバ10の内部構成を示すブロック図が図2に示されている。同図に示されるように、サーバ10は、制御部101と、表示部102と、入力操作部103と、記憶部104と、通信制御部105とを含んで構成される。
【0037】
制御部101は、サーバ10の動作を統括する中央処理装置(CPU)である。記憶部104に格納されたデータベース作成プログラムやデータベース検索プログラムが制御部101で実行されることにより、データベース作成機能、並びに、データベース検索機能がソフトウェア的に実現される。
【0038】
表示部102としては、CRTや液晶が用いられ、制御部101で画像処理された画像データが映し出される。
【0039】
入力操作部103は、所謂キーボードやマウスなどの入力装置である。この入力装置は後述するように、データベース検索操作に使用される。
【0040】
記憶部104には、所謂HDD等の記憶装置が含まれている。記憶部104の記憶領域には、後に説明するデータベース作成プログラムと、データベース検索プログラムと、データが格納されるデータベースとが記憶される。
【0041】
通信制御部105は、所謂USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)のための通信制御を実現するための部分である。これらの通信制御部に通信ケーブルを接続することによって、PLC11、ハンディターミナル装置14、及び手積みステーション端末16のそれぞれとの間でデータ通信が行われると同時に、ラベルプリンタ15へデータ出力が行われる。さらに、ハンディターミナル装置14とのデータ通信は、無線を用いるため、この例の通信制御部105には、無線通信機能が設けられている。
【0042】
ハンディターミナル装置14の内部構成を示すブロック図が図3に示されている。同図に示されるように、ハンディターミナル装置14は、制御部141と、表示部142と、入力操作部143と、コード読取部144と、記憶部145と、通信制御部146とを含んで構成される。
【0043】
制御部141は、ハンディターミナル装置14の動作を統括する中央処理装置(CPU)である。記憶部145に格納されたデータ入力プログラムが制御部141にて実行されることにより、データ入力・更新の機能がソフトウェア的に実現される。
【0044】
表示部142としては、小型の液晶が用いられ、制御部141で画像処理された画像データが映し出される。
【0045】
入力操作部143は、所謂タッチパネルなどの入力装置である。入力操作部143によって生成された入力信号は制御部141で処理される。
【0046】
コード読取部144は、所謂バーコードリーダである。コード読取部144は、1次元バーコードや2次元コードの光学読み取りが可能とされている。
【0047】
記憶部145は、所謂HDD等の記憶装置である。記憶部145の記憶領域には、後に説明するコード読取プログラムと、データ送受信プログラムと、入力データとが記憶される。
【0048】
通信制御部146は、所謂USB(Universal Serial Bus)や無線LAN等のための制御を実現するための部分である。USBや無線LANを介すことによって、サーバ10と通信可能とされている。
【0049】
次に、本発明の商品出荷先のトレースシステムの動作プログラムの概要を示すフローチャートが図4に示されている。同図に示されるように、商品出荷先のトレースシステムは、サーバ10側の処理とハンディターミナル14側の処理とを含んでいる。
【0050】
サーバ10側の処理では、パレタイズ処理(ステップ401)と、ピッキング処理(ステップ402)と、検索処理(ステップ403)とが行われる。また、パレタイズ処理(ステップ401)は、PLC11と動作を連携してロボットパレタイザ12やバーコードリーダ13からのデータを取得する。これらの詳細は、後に説明する。
【0051】
また、ハンディターミナル14側の処理では、ピッキング処理(ステップ411)が行われる。これはサーバ10側のパレタイズ処理(ステップ401)が完了した後に行われる。ハンディターミナル装置14側のピッキング処理(ステップ411)は、サーバ10側のピッキング処理(ステップ402)と協働して並行に行われる。
【0052】
次に、サーバ10におけるパレタイズ処理(ステップ401)の詳細を示すフローチャートが図5に示されている。同図に示されるように、サーバ10は、PLC11と動作を連携して、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17やバーコードリーダ13からのデータを取得する。サーバ10のパレタイズ処理(ステップ401)が開始されると、サーバ10は、バーコードリーダ13で読み取られた梱包箱の品種情報をPLC10から受信し、品種データを取得する(ステップ501)。取得した品種情報は、記憶部104に記憶される(ステップ502)。その後、PLC11からパレタイズ作業開始信号が受信されるまで、受信チェックが行われる(ステップ503、504NO)。
【0053】
PLC11からパレタイズ作業開始信号が受信されると(ステップ504YES)、サーバ10は、開始信号を受信した時点の自機内蔵時計の時刻(サーバ時間)を取得する(ステップ505)。ロボットパレタイザ12にてパレットへのパレタイズが行われている間は、サーバ10ではPLC11からパレタイズ作業終了信号を受信するまで、受信チェックが行われる(ステップ506、507NO)。
【0054】
PLC11からパレタイズ作業終了信号が受信されると(ステップ507YES)、サーバ10では、終了信号を受信した時点の自機内蔵時計の時刻(サーバ時間)を取得する(ステップ508)。終了時間が取得されると(ステップ508)、パレットラベルを構成する文字列、並びに、2次元コードが作成される(ステップ509)。こうして作成された文字列並びに2次元コードは、ラベルプリンタ15へデータ出力され、貼付用ラベル上に印刷が行われ、パレットラベルが発行される(ステップ510)。
【0055】
パレットラベルの構成例を示す説明図が図9に示されている。同図に示されるように、パレットラベル900は、パレット毎に貼り付けられ、「品種」、「工場記号」、「製造日」、「パレタイズ開始時間」、「パレタイズ終了時間」、「製造ロットNo」、及び「パレットNo」にそれぞれ相当する文字列901〜907と、2次元コード908とを含んでいる。また、2次元コード908には、各文字列901〜907に対応するデータが格納されており、ハンディターミナル装置14のコード読取部144で読み取り可能となっている。なお、このラベルは剥離紙を剥がすことにより、パレットの適所又は梱包箱の適所に貼付可能とされている。
【0056】
図5に戻り、ラベルプリンタ15での印刷が行われると(ステップ510)、パレットラベル上の文字列901〜907に相当するデータは、記憶部104内のデータベースに記憶される(ステップ511)。
【0057】
データベースの内部構成を示す説明図が図10に示されている。同図に示されるように、このデータベースは、シップメント番号1001毎に1レコードが構成されている。各レコードには、レコード番号1002、届け先コード1003、届け先名1004、パレットコード1005、パレタイズ開始日時1006、パレタイズ終了日時1007、ITFコード1008、商品名1009、パレタイズ数量(荷積数)1010、実績数1011、工場記号1012、プラントコード1013、プラント名1014、製造日1015、並びに製造ロットNo1016がそれぞれ属性として互いに関連付けられて格納される。
【0058】
属性の1つであるパレットコード1005、パレタイズ開始日時1006、パレタイズ終了日時1007、ITFコード1008、商品名1009、及びパレタイズ数量(荷積数)1010の各データは、図5のステップ501〜508の処理でPLCから受信したデータ又はサーバ10自身で取得したデータである。また、属性である工場記号1012、プラントコード1013、プラント名1014、製造日1015、製造ロットNo1016は、作業開始前にサーバ10に予め設定したデータを元に作成されたデータである。この予め設定されたデータは、記憶部104内の設定ファイル(図示しない)に格納されている。これらのデータ(1005〜1010、並びに、1012〜1016)は、図5のステップ511の処理でデータベースに記憶される。
【0059】
図5に戻り、バーコードリーダ13で1次元バーコードが読み込まれている間は、ステップ501〜511の処理が繰り返し実行され(ステップ512YES)、バーコードリーダ13での読み込みが終了した場合には(ステップ512NO)、パレタイズ処理が終了される。
【0060】
次に、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17におけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートが図6に示されている。同図に示されるように、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17に電源が投入されると、初期処理が行われる(ステップ601)。この初期処理では、ロボットパレタイザ12、並びにバーコードリーダ13との接続設定が行われる。初期処理が完了すると(ステップ601)、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17は、ロボットパレタイザ12に隣接されているセンサが梱包箱を検知するまで、センサの状態チェックを行う(ステップ602、603NO)。
【0061】
ロボットパレタイザ12に隣接されているセンサが梱包箱を検知すると(ステップ603YES)、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17は、ロボットパレタイザ12へ作業開始指示を送信する(ステップ604)。作業開始指示が送信されると(ステップ604)、ロボットパレタイザ12では、パレットへの梱包箱の積み上げ(パレタイズ)が開始され、パレタイズが行われている間、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17では、パレット排出信号又は、動作終了信号の受信チェックを行う(ステップ605)。この受信チェックは、パレット排出信号又は、動作終了信号を受信するまで行われる(ステップ606NO、ステップ607NO)。
【0062】
ロボットパレタイザ12から動作終了信号を受信した場合(例えば、パレットの最大積載量に達し、新しいパレットに切り替える場合)には(ステップ607YES)、再びロボットパレタイザ12へ作業開始指示を送信する処理が行われる(ステップ604)。これらの処理ステップ604〜607の処理は、作業者によりパレット排出操作が実行されない限り、繰り返し行われる。
【0063】
パレットの最大積載量に達してなくても、作業者によって、ロボットパレタイザ制御盤に設置されているパレット排出ボタンが押下されると、ロボットパレタイザ制御盤からロボットパレタイザ制御用コントローラ17へパレット排出信号が送信される。パレット排出信号を受信すると(ステップ606YES)、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17は、ロボットパレタイザ12へ作業終了指示を送信する(ステップ608)。
【0064】
次に、PLC11におけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートが図7に示されている。同図に示されるように、PLC11に電源が投入されると、初期処理が行われる(ステップ701)。この初期処理では、サーバ10、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17、並びにバーコードリーダ13との接続設定が行われる。初期処理が完了すると(ステップ701)、バーコードリーダ13からの品種情報がサーバ10へ送信される(ステップ702)。バーコードリーダ13からの品種情報がサーバ10へ送信されると(ステップ702)、動作を開始した旨を知らせるレスポンス信号がロボットパレタイザ12から受信されるまで、PLC11は、受信チェックを行う(ステップ703、704NO)。
【0065】
ロボットパレタイザ12からのレスポンス信号が受信されると(ステップ704YES)、サーバ10へパレタイズ動作開始信号が送信される(ステップ705)。
【0066】
サーバ10へパレタイズ動作開始信号が送信されると(ステップ705)、動作を終了した旨を知らせるレスポンス信号がロボットパレタイザ制御用コントローラ17から受信されるまで、PLC11は、受信チェックを行う(ステップ706、ステップ707NO)。ロボットパレタイザ制御用コントローラ17からのレスポンス信号が受信されると(ステップ707YES)、サーバ10へパレタイズ動作終了信号を送信する(ステップ708)。これらの処理(ステップ702〜708)は、PLC11が稼働中の間は繰り返し実行される。
【0067】
次に、ロボットパレタイザ12におけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートが図8に示されている。ロボットパレタイザ12は、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17からの信号をもとにパレタイズ処理が行われるため、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17から作業開始指示を受信するまで、受信チェックを行う(ステップ801、802NO)。
【0068】
ロボットパレタイザ制御用コントローラ17からの作業開始指示が受信されると(ステップ802YES)、商品ケースが積まれていない空パレットが所定の位置に導入設置される(ステップ803)。この時点で、パレットへの積載作業が可能となり、パレットへの積載作業を開始した旨の信号(動作開始信号)がPLC11へ送信され(ステップ804)、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17の制御下で積載作業が実施される(ステップ805)。その際、パレットに積まれた梱包箱の数がカウントされる(ステップ806)。これらの積載作業は、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17から作業終了指示が受信されるまで行われる(ステップ807NO)。
【0069】
積載作業中、ロボットパレタイザ12は、ステップ806において、積載数のカウンタや積載感知用センサ(図示しない)を用いて、パレットに積載する梱包箱の積み込み個数を計測することにより、パレットに定められている最大積載数に達したか否かの判断が行われ、現在の積載数が最大積載数に達するまで、積載作業が行われる(ステップ808NO)。現在の積載数が最大積載数に達した場合には(ステップ808YES)、積載作業を一時停止し、積載済みパレットの排出が行われ(ステップ809)。同時に、PLC11へ動作終了信号が送信される(ステップ810)。動作終了信号が送信されると(ステップ810)、再び積載作業が行われる。
【0070】
ロボットパレタイザ制御用コントローラ17から作業終了指示が受信されると(ステップ807YES)、積載作業を終了し、積載済みのパレットの排出が行われ(ステップ811)、PLC11へ動作終了信号が送信される(ステップ812)。
【0071】
このようにして、ロボットパレタイザ制御用コントローラ17からの開始/終了の信号を受信するにより、ロボットパレタイザ12の動作が行われる。さらに、パレットに商品ケースを積み込み始めたときにPLC11へ動作開始信号を送信する処理が行われ、積載済みパレットを排出するときに、PLC11へ動作終了信号を送信する処理が行われる。以上の処理により、ロボットパレタイザ12によって、商品ケースがパレットに積み上げられる。
【0072】
また、ロボットパレタイザ12に積上不能であった商品ケースに対しては、手動により、パレットに積み上げられる。その際、積み上げ作業は手積みステーション端末16を操作しつつ行われる。すなわち、手積みステーション端末16には図示しないプログラマブル表示器が設置されており、これに接続されたハンディバーコードリーダを用いて、梱包箱外表面の1次元バーコードを読み取ることにより、梱包箱の品種データが取得される。さらに、プログラマブル表示器に設定表示されている積み上げ開始・終了のボタンを押圧することにより、パレット積み上げ作業の開始・終了のそれぞれの信号が取得した品種データと併せて、サーバ10へ送信される。手積みステーションでパレタイズが行われた場合でも、サーバ10のパレタイズ処理は、図5の処理と同様の処理が行われる。
【0073】
続いて、ピッキング処理について説明する。ピッキング処理は、ハンディターミナル装置14で行われる処理(ステップ402)と、サーバ10で行われる処理(ステップ403)とが、互いに連携を取りつつ行われる。ピッキング作業を行う作業者は、ハンディターミナル装置14を携帯して、業務用基幹システム(例えば、SAPシステム)から発行されるピッキングリスト(出荷伝票)を参照して、所定の操作を行う。なお、ピッキングリストは、業務用基幹システムから定期的(本実施形態では1日1回とする)に発行される。
【0074】
ハンディターミナル装置14におけるピッキング処理(ステップ402)の詳細を示すフローチャートが図11に示されている。同図に示されるように、ハンディターミナル装置14のコード読取部144を使用して、ピッキングリスト上に含まれる配送トラック毎のバーコードが読み込まれる。ピッキングリストのバーコードを読み込むことにより、ピッキングリストに該当するシップメント番号(出荷伝票番号)が取得される(ステップ1101)。
【0075】
シップメント番号を取得すると(ステップ1101)、取得したシップメント番号がサーバ10へ送信され(ステップ1102)、該当するピッキングデータがサーバ10から返送される。ピッキングデータが受信されると、表示部142に出力される(ステップ1103)。その後、コード読取部144にて、出荷を行うパレットに貼り付けられたパレットラベル900に印字されている2次元コード908の読込が行われるまで、読込チェックが行われる(ステップ1104、1105YES)。
【0076】
パレットラベル900の2次元コード908が読み込まれると(ステップ1105YES)、2次元コード908に含まれたパレット情報(品種、工場記号、製造日、パレタイズ開始時間、パレタイズ終了時間、製造ロットNo、並びに、パレットNo)がハンディターミナル装置14の記憶部145に取り込まれ、表示部142に出力される(ステップ1106)。
【0077】
パレット情報を取得すると(ステップ1106)、ハンディターミナル装置14の記憶部145に記憶されているシップメント番号とパレットNoとがサーバへ送信される(ステップ1107)。シップメント番号とパレットNoとがサーバ10へ送信されると(ステップ1107)、サーバ10からピッキング指示が送信され、ピッキング作業者は表示部142に表示される内容を確認し、ピッキング作業を行う。ピッキング作業終了後、所定の操作により入力されたピッキング実績がサーバ10へ送信される(ステップ1108)。これらのピッキング処理(ステップ1104〜1108)は、ピッキング作業が完了するまで繰り返される(ステップ1109NO)。
【0078】
次に、サーバ10におけるピッキング処理(ステップ403)の詳細を示すフローチャートが図12に示されている。同図に示されるように、ピッキングリストが発行されると同時に、サーバ10はピッキングデータを取得し、データベースに格納する(ステップ1201)。なお、ピッキングデータは、シップメント番号と、届け先と、出荷品種と、製造ロットとを含んでいる。
【0079】
ピッキングデータを取得すると(ステップ1201)、サーバ10は、ハンディターミナル装置14から送信されたシップメント番号を受信するまで、受信チェックが行われる(ステップ1202、1203NO)。シップメント番号を受信すると、受信したシップメント番号に該当するピッキングデータが送信元のハンディターミナル装置14へ送信される(ステップ1204)。
【0080】
ピッキングデータがハンディターミナル装置14へ送信されると(ステップ1204)、サーバ10は、ハンディターミナル装置14で送信されたパレットNoとシップメント番号とを受信するまで、受信チェックが行われる(ステップ1205、1206NO)。パレットNoとシップメント番号とを受信すると(ステップ1206YES)、受信したパレットNoに該当するパレット情報、並びにシップメント番号に該当するピッキングデータがデータベースからそれぞれ取得され(ステップ1207)、パレット情報とピッキングデータとの関連付けが行われる(ステップ1208)。
【0081】
データベース内のパレット情報とピッキングデータとの関連付けが行われると(ステップ1208)、サーバ10は、ステップ1203〜1206の処理で通信しているハンディターミナル装置14に対し、ピッキング指示を送信する。ピッキング指示は、ハンディターミナル装置14を介して作業者に通知される。ピッキング作業終了後、サーバ10では、ハンディターミナル装置14で入力されたピッキング実績などのデータ受信が行われる(ステップ1209)。受信したピッキング実績は、データベースに登録される(ステップ1210)。これらのピッキング処理(ステップ1100〜1210)は、ピッキング作業が完了するまで繰り返される(ステップ1211NO)。
【0082】
ここで、パレット情報、ピッキングデータ、並びに、ピッキング実績が格納されているデータベースについて説明する。先に説明した通り、図10には、データベースの内部構成が示されている。パレット情報のデータ(1005〜1010、並びに、1012〜1016)が、パレタイズ処理でデータベースに記憶される。図12のステップ1208の関連付けの処理では、取得したパレットNoのデータに、シップメント番号1001と届け先コード1003と届け先名1004とに該当するピッキングデータがそれぞれ記憶される。さらに、ステップ1209のピッキング実績受信の処理では、実績数1011に該当する実績値が記憶される。
【0083】
このようにして、ピッキングデータから該当するパレット情報を取得することができ、さらに、パレット情報から商品の届け先を取得することができる。
【0084】
次に、サーバにおける検索処理(ステップ404)の詳細を示すフローチャートが図13に示されている。検索処理は、ピッキング処理(ステップ403)でピッキングデータとパレット情報とが関連付けられたデータベースを用いて行われる。検索処理が開始されると、サーバ10の表示部102に、検索用入力画面(初期表示)が表示される(ステップ1301)。
【0085】
検索画面の表示例が図14に示されている。同図に示されるように、検索用入力画面1400は、検索条件入力欄1410と、データ表示欄1420とを含んでいる。検索条件入力欄1410は、ITFコード入力欄1411と、商品名入力欄1412と、パレタイズ日時入力欄1413と、届け先コード入力欄1414と、届け先名入力欄1415と、製造日時入力欄1416と、検索ボタン1417と、クリアボタン1418とを有している。さらに、データ表示欄1420は、パレットラベルNo表示欄1421と、ITFコード表示欄1422と、商品名表示欄1423と、パレタイズ終了日時表示欄1424と、製造プラント表示欄1425と、荷積数表示欄1426と、残数表示欄1427とを有している。検索条件入力欄1410に検索条件を入力し、検索ボタン1417が押圧されると、データベースが検索され、条件に該当するデータは、データ表示欄1420に一覧表示される。また、クリアボタン1418が押圧されると、検索条件入力欄1410に入力された検索条件と、データ表示欄1420に表示された検索結果とが、それぞれクリアされる。
【0086】
図13に戻り、検索用入力画面1400が表示されると(ステップ1301)、検索ボタン1417が押圧されるまで、ボタン操作チェックが行われる(ステップ1302、1303NO)。検索ボタン1417が押圧されると(ステップ1303YES)、検索条件入力欄1410に入力された検索条件をキーにして、データベースの検索が行われる(ステップ1304)。
【0087】
検索結果が存在する場合には(ステップ1305YES)、検索条件に該当するデータが検索画面のデータ表示欄1420に出力される(ステップ1306)。また、検索結果が存在しない場合には(ステップ1305NO)、エラー処理が実行される(ステップ1307)。
【0088】
上記の検索処理による検索例を示す図が図15に示されている。同図に示されるように、この例では、検索条件入力欄1410の製造日時入力欄1416には、検索条件である「2006年5月8日9時」が入力されている。この検索条件で検索ボタン1417を押圧すると、データベースを参照し、製造日時「2006年5月8日9時」に該当する商品が収容された梱包箱が積載されているであろうパレットの一覧が検索されて表示される。この検索処理は、例えば、製造日時の印字時刻からその商品が梱包、搬送、パレット積載されるまでの標準所要時間を考慮して、与えられた検索キーである「製造日時」からパレット積載日時帯を推定し、これを内部検索キーとして、データベースを検索することで行われる。
【0089】
すなわち、データベースには、「製造日」のデータが格納されているが、この値は、作業開始前にサーバ10に予め設定したデータを元に作成されたものであるため、商品袋に印字されている製造時間を特定するのは難しい。また、データベースには、商品の製造日時のデータが格納されていない。製造日時は、商品袋には印字されているが、商品が梱包されている梱包箱には商品の製造日時情報は記載されていないからである。梱包箱の印字装置(図示しない)を改良しない限りは、データベースに製造日時を格納させることは不可能である。
【0090】
しかし、出願人が経験的に知得したところでは、商品の包装袋に製造日時を印字してから、その商品包装袋が収容された梱包箱がパレットに積載されるまでの所要時間は、数分程度の誤差はあるものの、ほぼ一定であることが判った。すなわち、商品の袋詰め直後に製造日時が包装袋の外表面に印字され、その直後に、自動梱包機による梱包箱への梱包、梱包済みの梱包箱のベルトコンベアによる自動積みステーションへの搬送、パレットへの積載と言った一連の作業を想定すると、それらの一連の作業の所要時間はほぼ一定(例えば、10分程度)であることが確認された。つまり、製造工程での商品の製造時刻(すなわち、商品を袋詰めした時刻)から梱包・パレタイズ作業に至る工程は、ベルトコンベアや作業用機械により自動的に行われるので、その所要時間はほぼ一定である。このことに着目すれば、与えられた製造日時から上記の所要時間を加算することで、パレタイズ時刻又はパレタイズ時間帯を、実用上許容し得る精度をもって、推定することができ、この推定されたパレタイズ時刻又は時間帯を内部検索キーとしてデータベースを参照することで、その商品がパレタイズされたパレット又はそのパレットに関する出荷先を検索することができるのである。
【0091】
なお、上記のデータベースには、検索キーとして、パレタイズ開始日時やパレタイズ終了日時も用意されているから、上記の所要時間を考慮して、製品袋に表示された製造日時からパレタイズ開始日時やパレタイズ終了日時を計算により求め、こうして求められた値を検索キーとしてデータベースに直接に与えても、その商品がパレタイズされたパレット又はそのパレットに関する出荷先を検索することができることは勿論である。
【0092】
時間遷移を示す説明図が図17に示されている。同図に示されるように、t11,t21,t31は、パレタイズ開始時間、t12,t22,t32は、パレタイズ終了時間、P1,P2,P3は、パレタイズ作業時間帯、txは製造日時、Tdは商品の包装袋に製造日時を印字してから、その商品包装袋が収容された梱包箱がパレットに積載されるまでの所要時間である。商品袋に印字されている製造日時がtxとすると、tx+Tdの値はパレタイズが行われた時間となる。同図によると、tx+Tdの値がt11〜t12の範囲である場合には、パレタイズ作業時間帯はP1とされ、tx+Tdの値がt21〜t22の範囲である場合には、パレタイズ作業時間帯はP2とされ、tx+Tdの値がt31〜t32の範囲である場合には、パレタイズ作業時間帯はP3とされる。このようにして、製造日時からパレタイズが行われた時間乃至時間帯を取得することができる。
【0093】
図15に戻り、製造日時をキーにして検索処理が開始されると、サーバ10では、図17の時間遷移に従い、製造日時からパレタイズ終了日時の算出が行われる。そして、算出されたパレタイズ終了日時を用いてデータベース内の該当データが抽出される。検索処理が完了すると、「製造日時:2006年5月8日9時」に該当するパレットがデータ表示欄1420に一覧表示される。また、本実施形態では、製造日時を検索キーとして用いたが、この他にも、検索条件入力欄1410の項目で検索することができる。
【0094】
データ表示欄1420に表示されているパレット情報の詳細が図16に示されている。同図に示されるように、実績一覧画面1600の実績表示欄には、パレット情報の詳細が表示される。検索用入力画面1400の実績表示ボタン1419を押下することで、選択されたパレット情報の詳細(実績一覧1610)が表示される。実績一覧1610は、パレットの入庫・出庫・取込・取崩の状態表示1601により、状態を毎に表示を切り替えることができる。さらに、実績一覧1610は、パレットの処理時刻表示欄1611と、状態表示欄1612と、入庫先表示欄1613と、パレットラベルNo1614と、シップメントコード表示欄1615と、届け先表示欄1616と、実績数表示欄1617と、残数表示欄1618とを含んでいる。この実績一覧画面1600により、パレットに積載されている商品ケースが出荷された出荷先と出荷数、あるいは残数を目視することができるため、製造ラインの不具合や商品の不良が発生した場合でも、該当商品の出荷先を容易に特定することができるため、流通をストップさせる範囲を最小限に抑えることができる。
【0095】
このように、商品出荷先のトレースシステムは、商品の不良等が見つかった場合、発生した製造日時から、該当する出荷用パレットを特定することができる。さらに、出荷用パレット情報から出荷先や出荷数を把握できるので、該当出荷先以外の流通をストップさせることなく通常通り流通させることができる。
【0096】
また、出荷トレースシステムは、出荷した商品の商品情報を指定するだけで、その出荷先を容易に特定できるので、現物を調べることなく、出荷先へ安全な商品であるか否かを伝えることができる。
【0097】
この検索処理は、サーバ10の入力操作部103から検索条件を入力して、検索結果を表示部102に出力させているが、サーバ10とLANなどのネットワークを介して接続されたパソコンなどの端末を使用しても良いし、データ表示欄1420、並びに実績一覧1610をプリンタなどを用いて出力させても良い。
【0098】
さらに、上記の標準所要時間は予めデータベースソフトの設定ファイルに保存しておけば良く、またその変更は実際のシステムに応じて行えばよい。勿論、設定並びに変更のための専用画面を設ければ、システムの設定変更の自由度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、ひとたび不良品(例えば、品質低下、異物混入、包装袋の破れ等々)が梱包工程後に発見され、その不良品の製造日時が包装表示から明らかとなり、不良の波及範囲がその製造日時の前後一定時間内に製造された商品に限定されるような場合には、その不良の虞のある商品群のみを市場から確実に回収し、あるいは、市場へ出荷されることを確実に回避でき、しかも、既存の出荷システムに大幅な改造を加えることなく、これを実現することが可能な商品出荷先のトレース方法及びトレースシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の出荷トレースシステムのシステム構成を示す説明図である。
【図2】サーバの内部構成を示すブロック図である。
【図3】ハンディターミナル装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の出荷トレースシステムの動作を示すゼネラルフローチャートである。
【図5】サーバにおけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】PLCにおけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】ロボットパレタイザ制御用コントローラにおけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】ロボットパレタイザにおけるパレタイズ処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】パレットラベルの構成例を示す説明図である。
【図10】データベースの内部構成を示す説明図である。
【図11】ハンディターミナル装置におけるピッキング処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】サーバにおけるピッキング処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】サーバにおける検索処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】検索画面の表示例を示す説明図(その1)である。
【図15】検索画面の表示例を示す説明図(その2)である。
【図16】検索画面の表示例を示す説明図(その3)である。
【図17】時間遷移を示す説明図である。
【図18】商品の袋詰め包装から出荷に至る作業の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0101】
10 サーバ
11 プログラマブル・コントローラ(PLC)
12 ロボットパレタイズ
13 バーコードリーダ
14 ハンディターミナル
15 ラベルプリント
16 手積みステーション端末
17 ロボットパレタイザ制御用コントローラ
101 制御部
102 表示部
103 入力操作部
104 記憶部
105 通信制御部
141 制御部
142 表示部
143 入力操作部
144 コード読取部
145 記憶部
146 通信制御部
900 パレットラベル
901 品種
902 工場記号
903 製造日
904 パレタイズ開始時間
905 パレタイズ
906 製造ロットNo
907 パレットNo
908 2次元コード
1001 シップメント番号
1002 レコード番号
1003 届け先コード
1004 届け先名
1005 パレットコード
1006 パレタイズ開始日時
1007 パレタイズ終了日時
1008 ITFコード
1009 商品名
1010 パレタイズ数量(荷積数)
1011 実績数
1012 工場記号
1013 プラントコード
1014 プラント名
1015 製造日
1016 製造ロットNo
1400 検索用入力画面
1410 検索条件入力欄
1411 ITFコード入力欄
1412 商品名入力欄
1413 パレタイズ日時入力欄
1414 届け先コード入力欄
1415 届け先名
1416 製造日時
1417 検索ボタン
1418 クリアボタン
1419 実績表示ボタン
1420 データ表示欄
1421 パレットラベルNo表示欄
1422 ITFコード表示欄
1423 商品名表示欄
1424 パレタイズ終了日時表示欄
1425 製造プラント表示欄
1426 荷積数表示欄
1427 残数表示欄
1600 実績一覧画面
1601 状態表示
1610 実績一覧
1611 パレットの処理時刻表示欄
1612 状態表示欄
1613 入庫先表示欄
1614 パレットラベルNo表示欄
1615 シップメントコード表示欄
1616 届け先表示欄
1617 実績数表示欄
1618 残数表示欄
t11,t21,t31 パレタイズ開始時間
t12,t22,t32 パレタイズ終了時間
P1,P2,P3 パレタイズ作業時間帯
tx 製造日時
Td 製造日時印字から梱包、搬送、積載に至る標準所要時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装体に収容すると共に、各包装体の外表面に食品衛生法上必要な製造日時情報を表示する第1の工程と、
前記商品が収容された包装体を所定個数だけ運送用の梱包箱に収容すると共に、各梱包箱の外表面に物流管理上必要な商品の品種情報を表示する第2の工程と、
前記商品の包装体が所定個数だけ収容された梱包箱をフォークリフト用パレットへの積載用ステーションへと搬送する第3の工程と、
前記積載用ステーションにおいて、商品収容済み梱包箱をパレット上に所定個数だけ積載する第4の工程と、
前記商品収容済みの梱包箱が所定個数だけ積載されたパレットを出荷場へ搬送して出荷待機させる第5の工程と、
前記出荷待機状態にある積載済みパレットの中から、出荷指示に従って、必要なパレットをフォークリフトでピッキングして、指定された出荷先を目的地又は経由地として含む運送車両に積込む第6の工程と、
を順に経由する一連の作業の流れを前提として、特定の製造日時の商品がどのパレットに積載されたか、又はどの出荷先へと出荷されたかをトレースするための方法であって、
前記第4の工程における各パレット毎の積載開始日時情報及び積載終了日時情報を取得する第1のステップと、
前記第6の工程における各パレット毎の出荷実績を取得する第2のステップと、
前記第1のステップで取得された積載開始日時情報及び積載終了日時情報と第2のステップで取得された出荷実績とを、対応するパレット識別情報を介して結び付けて記憶させることでデータベースを生成する第3のステップと、
与えられたパレット積載日時又は積載日時帯を検索キーとして、又は与えれた製造日時又は製造日時帯から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時又はパレット積載日時帯を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、その商品が積載されてたパレット、又はその商品が出荷された出荷先を抽出する第4のステップと、
を具備することを特徴とする商品出荷先のトレース方法。
【請求項2】
商品を包装体に収容すると共に、各包装体の外表面に食品衛生法上必要な製造日時情報を表示する第1の工程と、
前記商品が収容された包装体を所定個数だけ運送用の梱包箱に収容すると共に、各梱包箱の外表面に物流管理上必要な商品の品種情報を表示する第2の工程と、
前記商品の包装体が所定個数だけ収容された梱包箱をフォークリフト用パレットへの積載用ステーションへと搬送する第3の工程と、
前記積載用ステーションにおいて、商品収容済み梱包箱をパレット上に所定個数だけ積載する第4の工程と、
前記商品収容済みの梱包箱が所定個数だけ積載されたパレットを出荷場へ搬送して出荷待機させる第5の工程と、
前記出荷待機状態にある積載済みパレットの中から、出荷指示に従って、必要なパレットをフォークリフトでピッキングして、指定された出荷先を目的地又は経由地として含む運送車両に積込む第6の工程と、
を順に経由する一連の作業の流れを前提として、特定の製造日時の商品がどのパレットに積載されたか、又はどの出荷先へと出荷されたかをトレースするためのシステムであって、
フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、搬送されてくる商品収容済み梱包箱の外表面から商品の品種情報を読み取る品種情報読取器と、
フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、所定の積載開始条件が成立するのを待って、搬送されてくる商品収容済み梱包箱のパレットへの積載動作を開始すると共に、積載個数が所定個数に達するのを待って、積載動作を終了して積載済みパレットを排出すると言った一連の動作を繰り返す積載用ロボットと、
フォークリフト用パレットへの積載ステーションにあって、パレットへ付することが可能なパレットラベルを発行するパレットラベル発行機と、
出荷場にあって、各パレットに付されたパレットラベルからパレット識別コードを光学的に読み取り可能なハンディーターミナルと、
前記品種情報読取器、前記積載用ロボット、前記パレットラベル発行機、及び前記ハンディターミナルと通信で結ばれたサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置には、
前記品種情報読取器及び前記積載用ロボットと協働しつつ、各パレットにパレット識別情報を割り当てると共に、そのパレット識別情報と積載商品に関する品種情報、積載開始日時情報、及び積載終了日時情報とを関連づけてデータベースに記憶させ、さらに、各パレットに割り当てられたパレット識別情報が表示されたパレットラベルをパレットラベル発行機から発行させるパレタイジング時処理手段と、
前記ハンディーターミナルでパレットラベルからパレット識別情報を読み込む動作と協働して、指定された出荷先とその出荷先に関してピッキングされたパレットのパレット識別情報とを関連づけてデータベースに記憶させるピッキング時処理手段と、
与えられたパレット積載日時又は積載日時帯を検索キーとして、又は与えれた製造日時又は製造日時帯から既知の遅れ時間を考慮して算出されたパレット積載日時又はパレット積載日時帯を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、その商品が積載されてたパレット、又はその商品が出荷された出荷先を抽出するデータベース検索手段と、
を具備することを特徴とする商品出荷先のトレースシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−56433(P2008−56433A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235826(P2006−235826)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(591115578)カルビー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】