説明

商品包装体

【課題】衝撃によって破損し易い商品を安全に輸送することができるようにした商品包装体を提供する。
【解決手段】板状の台座11で容器充填商品12を支持し、その台座と容器充填商品とをフィルム13による包装により一体化してフィルム包装物10を形成し、そのフィルム包装物をフィルムにより容器充填商品が吊下げ支持される状態で外装用箱体1内に収容する。フィルム包装物における台座をフィルムとで容器充填商品を支持する支持板11aの両側縁に外装用箱体の側面パネル4の内側面に衝合される折曲げ片11bを設けた構成として、フィルムにより吊下げ支持された容器充填商品と外装用箱体の内周面間に間隔を確保すると共に、容器充填商品が前後、左右および上下方向に移動するのを防止し、輸送時の振動や衝撃を容器充填商品を吊下げ支持するフィルムで吸収して容器充填商品が破損するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輸送の段階で商品が損傷し、あるいは破損するのを防止することができるようにした商品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビやラジオ、インターネット、カタログ等の媒体を通じて売買契約された通信販売用の商品は、普通、段ボール箱からなる外装用箱体により包装されて購買者まで輸送される。
【0003】
上記のような通信販売用の商品は、多種、多様であって大きさや形状が一定しない。この多種、多様な大きさに合わせた段ボール箱等の外装用箱体を用意することになれば、この外装用箱体の種類がばく大なものとなり、コストと、準備の手間がかさむことになる。したがって、大きさの異なる数種の外装用箱体を適当に用意することになる。
【0004】
そこで、販売会社においては、商品の大きさに応じて事前に用意されている大きさの異なる数種の外装用箱体の中から所定大きさの外装用箱体を選択し、その選択された外装用箱体内に商品を収容して輸送することが行われている。
【0005】
このとき、外装用箱体と商品との間には空間が生じるため、輸送時の振動や衝撃等によって商品が外装用箱体内で移動して破損する危険がある。その破損防止には、新聞紙や発泡プラスチック、板紙等の緩衝材を挿入することが有効であるが、緩衝材の詰め込みに人手を要し、また、多くの緩衝材を必要とするため、開梱後の廃棄処理に手間がかかる問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されているように、中央に開口を有する矩形状のフレームの両端に一対の端パネルを連設すると共に、両側に一対の側パネルを連設し、上記開口を横切るようにしてフレーム上に重ねられた上下2枚のシートからなるハンモックの両端部を上記端パネルに固定し、そのハンモックの上下2枚のシート間に商品を挿入した後、一対の端パネルを下向きに折曲げてハンモックに張力を与え、かつ、一対の側パネルを上向きに折曲げて懸架包装体を形成し、その懸架包装体を外装用箱体内に挿入することにすれば、商品は外装用箱体内において宙吊り状態に支持されるため、振動や衝撃が負荷されても、その振動や衝撃が商品に伝達されるようなことはなく、緩衝材の詰め込みを不要とする状態で商品を輸送することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−105935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載された商品包装体においては、上下2枚のシートのみで商品を支持する構成であるため、輸送時に振動や衝撃が負荷されると、フレームの開口において商品がふらつき、上下2枚のシートに伸びが生じることになる。特に、商品が容器充填商品のように、重量のある商品の場合は、上下2枚のシートに大きな伸びが生じることになり、そのシートの伸びによって外装用箱体の底パネルに衝突して破損する可能性がある。
【0009】
この発明の課題は、衝撃によって破損し易い容器充填商品であっても破損させることなく安全に輸送することができるようにした商品包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明においては、商品を板状の台座で支持してフィルムの巻き付けにより一体化したフィルム包装物と、前記商品をフィルムにより吊下げ支持する状態のフィルム包装物が収容される外装用箱体とからなり、前記フィルム包装物の台座が、前記フィルムとで商品を支持し、外装用箱体の一対の側面パネルの対向内面に対する両側縁の衝合によってフィルム包装物の左右方向への移動を防止する支持板と、その支持板の両側縁から商品支持面側に略90°折り曲げられて外装用箱体の側面パネルの内面に重なり、外装用箱体の前面パネルおよび後面パネルの内面に対する前後縁の衝合によって、フィルム包装物の前後方向の移動を防止する折曲げ片とからなり、前記折曲げ片の高さを、その下縁が外装用箱体の底パネルに支持される状態で支持板が蓋パネルの内面に衝合してフィルム包装物の上下方向の移動を防止する高さとした構成を採用したのである。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、この発明に係る商品包装体においては、外装用箱体内にフィルム包装物を収容すると、支持板の両側縁が外装用箱体の一対の側面パネルの内面に衝合してフィルム包装物の左右方向の移動を防止すると共に、折曲げ片の前後縁が前面パネルおよび後面パネルの内面に衝合してフィルム包装物の前後方向の移動を防止し、さらに、上記折曲げ片の上下縁が外装用箱体の底パネルの内面に衝合し、かつ、支持板が蓋パネルの内面に衝合してフィルム包装物の上下方向の移動を防止するため、フィルム包装物が外装用箱体内において移動することのない安定した収納状態を得ることができる。
【0012】
また、台座の支持板の下面においてフィルムで商品を吊下げ支持して、その商品を上記支持板とフィルムで支持したことにより、輸送時に商品が上下方向にふらつき、フィルムに伸びが生じて商品が外装用箱体の底パネルに衝突するのを防止することができる共に、輸送時の振動や衝撃をフィルムで緩衝することができるため、商品を破損させることなく安全に輸送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図示のように、商品包装体は、外装用箱体1と、その外装用箱体1内に収容されたフィルム包装物10とからなる。
【0014】
外装用箱体1は、段ボール箱からなる。この外装用箱体1は、前面パネル2、後面パネル3および一対の側面パネル4によって形成される四角筒状の箱本体5と、その箱本体5の上記各パネル2、3、4のそれぞれの下部開口縁に連設された4枚の底パネル6と、箱本体5の上記各パネル2、3、4のそれぞれの上部開口縁に連設された4枚の蓋パネル7とからなり、上記蓋パネル7は箱本体5の上部から内部にフィルム包装物10が収納されると内方に折り曲げられて、粘着テープの貼り付け等によって封緘される。この外装用箱体1は、後述する容器充填商品12を余裕をもって収容可能な大きさとされている。
【0015】
フィルム包装物10は、台座11と、その台座11に支持された底付きの筒状胴部を備える容器充填商品12と、その容器充填商品12と台座11とを包み込んで一体化するフィルム13とからなる。包装される容器充填商品12の数と形状、大きさは任意である。
【0016】
図3に示すように、台座11は、段ボールシート等のクッション性を有する板状の材料からなる。この台座11は、支持板11aと、その両側に折り曲げ用の罫線14を介して連設された一対の折曲げ片11bとからなり、上記支持板11aの両側縁間の幅寸法は、外装用箱体1の一対の側面パネル4の対向内面間の間隔に略等しい長さとされている。
【0017】
容器充填商品12は、支持板11aの上面に載置された状態でフィルム13の巻き付けによる包装により支持板11aに一体化されてフィルム包装物10とされる。このとき、容器充填商品12は、支持板11aの両側縁に平行し、支持板11aの外周縁内に全体が納まる載置とされる。
【0018】
ここで、フィルム13は、ストレッチフィルムであってもよく、あるいは、熱収縮性フィルムであってもよい。熱収縮性フィルムの場合は、支持板11aと容器充填商品12とを包み込んだ後にシュリンク装置により熱収縮させて、支持板11aと容器充填商品12とを一体化する。
【0019】
図4に示すように、一対の折曲げ片11bは、外装用箱体1の上部から内部にフィルム包装物10が収納される前段において、支持板11aの商品支持面側に向けて略90°折曲げられる。
【0020】
上記各折曲げ片11bは、外装用箱体1の側面パネル4と略同じ大きさとされている。この各折曲げ片11bを垂直状とし、支持板11aを上側に配置して容器充填商品12が支持板11aの内面側においてフィルム13により吊下げ支持される状態としたフィルム包装物10を外装用箱体1の上部から内部に収納し、外装用箱体1の各蓋パネル7を内側に折り曲げて封緘することにより、外装用箱体1の側面パネル4の内面に重なる垂直状の折曲げ片11bの前後縁は外装用箱体1のそれぞれ垂直状の前面パネル2および後面パネル3の内面に衝合し、また、水平状の下縁が外装用箱体1の水平状の底パネル6の内面に支持される状態で上側に配置された水平状の支持板11aが水平状の蓋パネル7の内面に衝合することになる。
【0021】
その結果、フィルム包装物10は前後、左右および上下方向に移動するようなことはなく、外装用箱体1内において安定した収納状態を得ることができ、台座11の支持板11aの下面においてフィルム13により吊下げ支持された容器充填商品12は外装用箱体1の前面パネル2、後面パネル3、側面パネル4および底パネル6に対して間隔があいて耐衝撃に秀れた収容状態で、上下、左右及び前後方向に移動するのが防止される。
【0022】
また、容器充填商品12は台座11の支持板11a内側面(下面)で外周の一部が支持される状態でフィルム13により吊下げ支持されるため、輸送時に容器充填商品12が上下方向にふらつくようなことはない。このため、容器充填商品12のように衝撃によって破損し易くしかも重い商品であってもフィルム13に伸びが生じて外装用箱体1の底パネル6に衝突するという不都合の発生はなく、しかも、輸送時の振動や衝撃はフィルム13で緩衝されるため、容器充填商品12を破損させることなく安全に輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る商品包装体の実施の形態を示す縦断正面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】台座と商品とをフィルムで包装した状態の斜視図
【図4】外装用箱体とフィルム包装物とを示す分解斜視図
【符号の説明】
【0024】
1 外装用箱体
2 前面パネル
3 後面パネル
4 側面パネル
6 底パネル
7 蓋パネル
10 フィルム包装物
11 台座
11a 支持板
12 容器充填商品
13 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を板状の台座で支持してフィルムの巻き付けにより一体化したフィルム包装物と、前記商品をフィルムにより吊下げ支持する状態のフィルム包装物が収容される外装用箱体とからなり、前記フィルム包装物の台座が、前記フィルムとで商品を支持し、外装用箱体の一対の側面パネルの対向内面に対する両側縁の衝合によってフィルム包装物の左右方向への移動を防止する支持板と、その支持板の両側縁から商品支持面側に略90°折り曲げられて外装用箱体の側面パネルの内面に重なり、外装用箱体の前面パネルおよび後面パネルの内面に対する前後縁の衝合によって、フィルム包装物の前後方向の移動を防止する折曲げ片とからなり、前記折曲げ片の高さを、その下縁が外装用箱体の底パネルに支持される状態で支持板が蓋パネルの内面に衝合してフィルム包装物の上下方向の移動を防止する高さとした商品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−254752(P2008−254752A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97004(P2007−97004)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】