説明

商品決済システムおよび万引き防止装置

【課題】商品の万引きを防止するとともに、顧客が購入した商品情報を保護すること。
【解決手段】
キャパシタと整流回路とメモリと第1のアンテナを有し、外部から電波を受けて第1のアンテナで発生した誘導電流を整流回路により直流電流としてキャパシタに充電可能に形成されかつメモリ内に仮精算情報を記憶可能な無線タグを有する商品の決済処理を商品決済システムにおいて、無線タグリーダライタと第2のアンテナと警報装置を備え、無線タグリーダライタが第2のアンテナを介して無線タグとデータ通信し、商品決済システムが仮精算情報は未清算状態であると認識したときに警報装置を作動させ、仮精算情報は清算済みであると認識したとき無線タグの感度を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店などで利用される商品決済システムに関する。特に、商品に取り付けられた無線タグ(RFID(Radio Frequency Identification)タグ)から商品コードを読取り、この読取った商品コードに基づいて商品販売データを処理する商品決済システムに関する。また、その商品決済システムで用いる万引き防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の量販店では、顧客用に買い物籠やショッピングカートなどの商品収容体が備え付けられている。来店した顧客は、買い物籠を持つかまたはショッピングカートを押しながら店内を回り、購入しようとする商品を買い物籠またはショッピングカートにまとめて入れて精算場所まで運ぶ。精算場所には、バーコード読取装置を搭載するPOS(Point Of Sales: 販売時点情報管理)端末と呼ばれる決済装置が設置されている。店員(キャッシャ)が商品収容体に入れられた商品を1個ずつ取り出し、商品に付けられたバーコードを読取らせることで、その商品情報を決済装置に入力している。商品収容体に収容された全ての商品情報の入力を終えると、決済装置の表示部に合計金額が表示される。店員は合計金額を顧客へ通知し、顧客は代金を支払い、レシートを受取っている。
【0003】
店員が商品収容体から商品を1個ずつ取り出して商品情報を決済装置に入力する方法では、入力作業に時間を要すること、また、取り出し作業を繰り返しおこなうため店員の疲労度も大きくなるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、無線タグからデータを読取る無線タグ読取装置(無線タグリーダ)を備えた決済装置が提案されている。無線タグはデータとして各商品固有の商品識別コード等を記憶し、それぞれの商品に添付される。無線タグは、メモリ、アンテナ、送受信回路等を内蔵し、外部からの無線電磁波に同調してメモリのデータ(商品識別コード)を無線送信するものである。無線タグリーダは、無線タグが同調する無線電磁波を発信してメモリデータの問合せを行ない、当該無線タグから送信される無線電磁波によりメモリデータを取得するものである。無線タグリーダは無線電磁波の送受信を行なうアンテナと接続されている。無線タグリーダに接続されたアンテナは、商品収容体の全方位にアンテナが配置されるように、商品収容体が通過し得るトンネル状に作られている。
【0005】
精算場所では、店員は品を商品収容体から取り出すことなく、無線タグリーダによってまとめて1顧客分の商品識別コードをそれぞれの無線タグのメモリから読み取って決済装置へ入力することができる。したがって、店員が決済装置へデータを入力する作業時間を短縮できる上、店員の作業負担も軽減できる(特許文献1 参照)。
【0006】
一方、菓子を包むアルミ蒸着パッケージや、ジュースや酒類のスチール缶などの商品が無線タグの近くに存在すると、無線タグのアンテナが正常に機能しないことがあるため、無線タグの受信電力が低下する。従って、無線タグリーダが商品収容体内の全ての無線タグの情報を読み取ることができないという問題もあった。
【0007】
無線タグの受信電力が低下しても無線タグが動作できるように改良された高感度の無線タグとして、高利得整流回路とそれを用いた無線タグが知られている(特許文献2参照)。
【0008】
不正持ち出し警告システムが知られている。ゲートに接近した者が所持する商品に取り付けられているRFIDタグに記憶されているタグデータをRFIDリーダが読み出し、そのタグデータに含まれる精算済みフラグの値が未精算であることを示す値であるとき、タグデータに含まれる画像データまたは映像データを表示器の画面に表示させる。タグデータに含まれる警告メッセージを表示器の画面に合成表示し、さらに、タグデータに含まれる警告メッセージに対応する音声をスピーカより出力する。(特許文献3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
無線タグと無線タグリーダとを用いた従来の商品決済システムでは、無線タグリーダのアンテナは、商品収容体の全方位に配置されるように、商品収容体が通過し得るトンネル状の構成として精算場所に設ける必要があった。トンネル状にアンテナを構成すると、精算場所の施設が大規模になるという問題があった。また、精算場所の店員は、商品収容体をトンネル内に通すという作業が要求され、その作業は重労働であった。仮に、チェックアウトカウンタにベルトコンベアを設けて、自動的に商品収容体をトンネル内に通すようにすることも可能であるが、精算場所の施設がさらに大規模なものにならざるを得なかった。
【0010】
特許文献3に記載の不正持ち出し警告システムでは、顧客が正規に購入した商品に取り付けられたRFIDタグのフラグが精算済みフラグになったまま店舗外に持ち出される。店舗外で顧客が購入した商品のRFIDタグを読取ることで、顧客が購入した商品を他人に知られることになる。顧客が個人的に購入した商品情報を知られるといった、プライバシーが守られないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、下記のような構成とした。
【0012】
キャパシタと整流回路とメモリと第1のアンテナを有し、外部から電波を受けて前記第1のアンテナで発生した誘導電流を前記整流回路により直流電流として前記キャパシタに充電可能に形成されかつ前記メモリ内に仮精算情報を記憶可能な無線タグを有する商品の決済処理を行うために、前記無線タグに保存された該商品に係るデータの通信を行う商品決済システムにおいて、
前記商品決済システムは、無線タグリーダライタと前記無線タグリーダライタに接続された第2のアンテナと警報装置を備え、前記無線タグリーダライタが前記第2のアンテナを介して前記無線タグと該データ通信し、前記商品決済システムが前記仮精算情報は未清算状態であると認識したときに前記警報装置を作動させ、前記仮精算情報は清算済みであると認識したとき前記無線タグの感度を低下させることを特徴とする商品決済システム。
【発明の効果】
【0013】
全ての商品に無線タグが取り付けられていない過渡期においては、バーコードと無線タグを併用して商品の決済をすることになる。本発明によれば、その過渡期においても、無線タグを用いた商品決済システムを構築できる。また、無線タグの感度を制御できるため、精算後は無線タグの感度を下げることで、第3者から無線タグの情報を読み取られるような危険性も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の商品決済システムで用いる商品棚を示す図である。
【図2】商品決済システムの構成図である。
【図3】本発明の携帯端末の構成図である。
【図4】本発明の商品決済システムに接続された精算機の構成を示す図である。
【図5】本発明の商品決済システムに接続された万引き防止装置の構成図である。
【図6】本発明で用いる無線タグの構造を示す図である。
【図7】本発明で用いる無線タグの構造を示す図である。
【図8】無線タグ内部のメモリマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は商品決済システムで用いる商品棚を示している。商品棚2の各棚に複数の棚アンテナ5が備えられ、各棚アンテナ5は同軸ケーブル4で直列に接続されている。無線タグリーダライタ3は同軸ケーブル4で棚アンテナ5に接続されている。無線タグリーダライタ3はネットワークケーブル14を通してサーバ11へ接続されている。無線タグ8(RFID (Radio Frequency Identification))とバーコード9が取り付けられた商品7が商品棚2に並べられている。顧客はショッピングカート6(商品収容体)を押しながら店内を回り、購入しようとする商品7をショッピングカート6に入れて精算場所へ運んでいる。顧客は後述する携帯端末1を利用することで、決済処理を短時間でおこなうことができるようになっている。
【0017】
図2は本発明の商品決済システムの構成を示している。アクセスポイント10と精算機12と万引き防止装置13がネットワークケーブル14を介してサーバ11に接続されている。携帯端末1は、バーコードリーダ(バーコード読取装置)と無線タグリーダライタ(無線タグへのデータの書き込みと、無線タグからのデータの読取りをおこなう装置)の機能を備え、アクセスポイント10を介してサーバ11と通信できるようになっている。アクセスポイント10と携帯端末1は無線LAN(Local Area Network)でデータの送受信を行なっている。通信方法として、Bluetoothを用いることもできる。その他、無線の一般的な通信手段を用いることが可能である。
【0018】
サーバ11には、商品マスタファイルが設けられている。商品マスタファイルには予め各商品に係るデータが保存されている。商品に係るデータには、商品を識別する商品コード、商品の属性を表す属性コード、商品を特定する商品名、販売価格等の項目データが含まれる。
【0019】
顧客が携帯端末1のバーコードリーダにより商品の商品コードを入力すると、サーバ11の商品マスタファイルからこの商品コードによって識別される商品の商品名、販売価格等のデータを呼出す。それらのデータは、アクセスポイント10を介して携帯端末1に送信される。携帯端末1は商品に係るデータ、すなわち、価格や商品名を表示して、顧客へ通知する。
【0020】
図3は携帯端末1の構成を示している。携帯端末1は、商品に係る情報を表示する表示器1a、携帯端末へデータの入力をおこなうキーボード1c、アクセスポイント10を介してサーバ11と通信するための無線LANトランシーバ1e(WLAN トランシーバ (Wireless Local Area Network Transceiver))、商品に付された無線タグとのデータ通信をおこなう無線タグリーダライタ1h、商品に付されたバーコードを読取るためのバーコードリーダ1gと、それらを制御するためのコントローラ1bと、携帯端末1を動作させる電力供給用のバッテリ1dを備えている。表示器1a、キーボード1c、無線LANトランシーバ1e、無線タグリーダライタ(RFIDリーダライタ)1h、バーコードリーダ1gがコントローラ1bに接続され、携帯端末1の動作は制御される。無線LANトランシーバ1eにはアクセスポイント10とデータ通信をおこなうアンテナ1fが接続され、無線タグリーダライタ1hには商品に付された無線タグ8とのデータ通信をおこなうためのアンテナ1kが接続されている。携帯端末1は、無線LANトランシーバ1eによりアンテナ1fを介してアクセスポイント10と接続し、サーバ11と通信できるようになっている。
【0021】
図4は精算機12を示している。精算機12はPOS端末であり、商品販売データ処理装置の一態様である。本体制御部(コントローラ12b)としてCPU(Central Processing Unit)を搭載している。また、プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)、入力データ,演算処理データ等の可変的データを記憶するための種々のメモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)、現在の日時を計時する時計部、オンライン接続されたストアサーバ11(店舗サーバ)との間で行うデータ通信を制御するLANインターフェース12m(Local Area Network)、無線タグとデータ通信をおこなう無線LANトランシーバ12e(WLANトランシーバ12e(Wireless Local Area Network transceiver))を備えている。無線LANトランシーバ12eはアンテナ12fが接続され、携帯端末1との通信および無線タグ8とのデータ通信をおこなう。さらに、精算機12は、キーボード12cの操作キーに対応したキー信号を取り込むキーボードコントローラ、オペレータ用ディスプレイ(表示器12a)の画面表示を制御する第1の表示コントローラ、客用ディスプレイの画面表示を制御する第2の表示コントローラ、レシート印字を行うプリンタ12hの印字動作を制御するプリンタコントローラ、現金等を収容するための金銭受装置12d(ドロワ)と、磁気カードのデータを読取り、書込みをおこなうカードリーダ12kと、データ読取音などを発するブザーとにそれぞれ信号を出力するI/O(Input/Output)ポート等を備えている。そしてCPUと、ROM,RAM,時計部,LANインターフェース12m,無線LANトランシーバ12e,I/Oポート及び各種入出力機器のコントローラとを、アドレスバス,データバス等のバスラインで接続した構成となっている。
【0022】
図5は万引き防止装置13の構成を示している。万引き防止装置13は、表示器13a、コントローラ13b、警報装置13c、LANインターフェース13d、商品7に付された商品用無線タグ8のメモリ情報を読取り可能な無線タグリーダライタ13eを備えている。そして、この無線タグリーダ13eに接続されたアンテナ13fを店の出口に設け、該出口より店外に出ようとする顧客が持っている商品7に付された商品用無線タグ8のメモリ情報を読取り、そのメモリ情報が精算済情報に書換えられていないことを検知した場合に、警報装置13cが万引警告を発するものである。さらに、万引き防止装置13に備付の無線タグリーダライタ13eは商品に取り付けられた無線タグ8のキャパシタに充電された電力を放電させることができるようになっている。
【0023】
図6は、無線タグ8の構成を示している。無線タグ8はアンテナ8a、負荷変調回路8b、整流回路8c、キャパシタ8d、制御回路8e、メモリ8f、キャパシタ8dをオン・オフするスイッチ8gにより構成されている。制御回路8eは負荷変調回路8bとスイッチ8gを制御している。無線タグ8がメモリ8fに保存されたデータに基づき応答する場合に、負荷変調回路8bはそのデータ信号に基づいて負荷を変化させることで無線タグリーダライタ3や携帯端末1への返答信号であるバックスキャッタ信号を発生させる。スイッチ8gは、キャパシタ8dを充電状態とするか、キャパシタを放電状態にさせる。
【0024】
図7は、無線タグ8の他の実施形態を示している。無線タグ8はアンテナ8a、負荷変調回路8b、整流回路8c、キャパシタ8d、制御回路8e、メモリ8f、キャパシタ8dを放電させる放電回路8hにより構成されている。
【0025】
図8は無線タグ8内部のメモリマップを示している。ヘッダはデータの開始を表している。商品コードはそれぞれの商品名を表している。固有IDはそれぞれの商品に割り当てられた固有の識別番号である。精算フラグはその商品が仮精算状態であるか、未清算状態であるかを示している。顧客が商品棚2から商品7を取り出し、携帯端末1で商品のバーコード9を読取る(スキャン)とともに、携帯端末1に内蔵された無線タグリーダライタで無線タグ8の精算フラグを書き換え、仮精算状態とする。顧客が商品棚2にその商品7を戻した場合には、商品棚2の無線タグリーダライタ3が無線タグ8の精算フラグを未精算の状態に書き換える。このようにして、精算情報を仮精算状態と未清算状態に書き換えている。
【0026】
無線タグ8の動作について説明する。商品7が商品棚2に置かれていると、無線タグリーダライタ3はアンテナ5からCW送信(無変調波(Continuous Wave))と信号送信を行い、定期的に無線タグ8のメモリ内にある精算情報を未清算の状態に書き換えている。無線タグ8はアンテナ5の近傍に位置するため、常にアンテナ5から放射される強電界の中に存在することになる。
【0027】
無線タグ8のアンテナ8aで受信した高周波電力を整流回路8cで直流電流に変換し、キャパシタ8dに充電する。整流回路8cはキャパシタ8dによりバイアス電圧を印加され、整流感度が高くなるため、無線タグ8の受信感度が高くなる。顧客が購入しようとする商品7を商品棚2から取り出した場合、商品7に付された無線タグ8が無線タグリーダライタから放射される強電界領域から出ることになる。無線タグ8が強電界領域から出ても、キャパシタ8dにより整流回路8cは高感度を維持できるため、数時間程度であれば無線タグ8は高感度の状態を維持できる。
【0028】
商品決済システムの商品登録の手順を説明する。
【0029】
店舗において、店員が無線タグ8とバーコード9を取り付けた商品7を商品棚2へ陳列すると、無線タグリーダライタ3がアンテナ5からCW送信と信号送信を行っているので、無線タグ8のメモリ内にある仮精算情報を未清算の状態に書き換える。これにより、商品7を商品棚2へ陳列し所定時間が過ぎると、全ての商品の仮精算情報は未清算の状態に自動的に書き換えられる。
【0030】
顧客はカート6に買い物籠を載せ、携帯端末1を所持しながら購入しようとする商品7を探して店内を巡回する。携帯端末1は、店舗が顧客に貸与する場合と、顧客自身が携帯端末1を所有している場合がありうる。
【0031】
商品7にはバーコード9と無線タグ8が取り付けられているが、全ての商品7に無線タグ8が取り付けられていない場合も想定される。そのため、顧客は商品を選び買い物籠に入れる際に、携帯端末1のバーコードリーダ1gで商品のバーコード9を読み取る。同時に、携帯端末1の無線タグリーダライタ1hは、商品に取り付けられている無線タグ8のメモリ8f内の商品コードを読取りかつ精算フラグの精算情報を書き換え、仮精算の状態にする(図8参照)。無線タグリーダライタ1hが誤って他の商品に付いている無線タグ8の精算情報を書き換えてしまうことがないように、バーコードリーダ1gで読み取ったバーコード9の商品コードと無線タグ8の商品コードが一致したときに、無線タグ8の精算情報を書き換える。
【0032】
商品7にバーコード9のみが付けられ無線タグ8が取り付けられていない場合には、バーコード9の読取りしかできない。すなわち、無線タグリーダライタ1hが無線タグ8の商品コードを読み取れなかった場合は、バーコード9の読取りのみとする。
【0033】
バーコード9の商品コードを認識した携帯端末1のコントローラ1bは、無線LANトランシーバ1eによりアンテナ1fを介してアクセスポイント10と無線接続し、サーバ11に商品名と価格の問い合わせをおこなう。サーバ11から返信された商品名と価格情報は、アクセスポイント10と無線LANトランシーバ1eを介してコントローラ1bに蓄積されるとともに、表示器1aに表示される。商品名とその商品価格をサーバへ照会し、情報を得ることをPLU (Price Look Up)と呼んでいる。コントローラ1bは、携帯端末1に備えられたメモリに、顧客が商品棚2から取り出した全ての商品7に関する商品情報(商品コード)を保存する。携帯端末1はカート6に載せた全商品の商品名や価格、合計金額を表示するので、顧客は買い物途中で合計金額を知ることができる。
【0034】
顧客がバーコードリーダ1gで商品7のバーコード9を読取り、無線タグリーダライタが精算フラグを仮精算状態にした後、顧客が商品の購入をやめることもある。顧客が仮精算済みの商品7を商品棚2に戻すときは、顧客は携帯端末1のバーコードリーダ1gで商品7のバーコード9を読取り、携帯端末1内のその戻した商品情報を取り消す。顧客が仮精算済みの商品7を商品棚2へ戻すと、無線タグリーダライタ3はアンテナ5からCW送信と信号送信を行っているので、無線タグ8のメモリ内にある仮精算情報を未清算の状態に書き換える。
【0035】
精算の手順を説明する。顧客は携帯端末1で仮精算された商品を買い物籠に入れ、カートに載せて精算機12に向かう。顧客は精算機12の前で携帯端末1を操作し、精算処理を開始する。携帯端末1は無線LANトランシーバ1eを介してアクセスポイント10または精算機12の無線LANトランシーバ12fと接続し、携帯端末1の内蔵メモリに保存された商品情報を精算機12に転送する。精算機12は転送された商品コードについてPLUを行い、サーバ11から商品名と価格を取得し、合計金額を計算して表示器12aに合計金額を表示する。
【0036】
顧客は代金を精算機12の金銭授受装置12dに投入する。またはカードリーダ12kにクレジットカードなどを通すことで支払いを行う。支払いが完了すると、精算機12はレシートプリンタ12hからレシートを発行するとともに、精算が完了したことを携帯端末1に無線LANトランシーバ1eを介して伝送する。携帯端末1が店舗から貸与されている場合は、ここで顧客は携帯端末1を店舗に返却する。
【0037】
顧客がショッピングカート6に商品7を載せて精算場所へ運び、顧客が精算機12に現金を投入するまたはクレージットカードで支払うので、店員の精算における作業は軽減する。顧客によっては、店員を介して精算することもあるが、その場合であっても商品を運ぶなどの作業は軽減される。
【0038】
万引き防止チェックの手順を説明する。顧客は買い物籠を載せたカート6と共に万引き防止装置13を通過する。万引き防止装置13のアンテナ13fから商品7の無線タグ8に対して問い合わせ信号を送信すると、無線タグ8は精算情報のみを返信する。一般的に、顧客が店舗内に滞留する時間、すなわち商品を携帯端末1で仮精算してから、精算機12で精算するまでの時間は、概ね1時間以内だと考えられる。無線タグ8のキャパシタ8dは、1時間以上持続するように設計されているため、無線タグ8は高感度を維持している。
【0039】
従って、商品7が買い物籠の中にランダムに収納された状態でも、また、アルミ蒸着のパッケージなどの商品7が混在し無線タグ8のアンテナ8aが不整合を起こしていても、万引き防止装置13は確実に無線タグ8と通信できる。もし、精算情報が未清算である無線タグを万引き防止装置13が検出した場合は、警報装置13cにより警報を発する。
【0040】
また、精算情報が未精算の無線タグを一つも検出しなかった場合は、無線タグ8のスイッチ8gがオフになるように、万引き防止装置13は制御信号を無線タグ8に向けて送信する。この信号を受信した無線タグ8の制御回路8eがスイッチ8gをオフにすることで、キャパシタ8dは無効になり整流回路の感度が低下する。つまり、無線タグ8の感度が低下するため、店外で不用意に無線タグの情報を読み取られる危険性は大幅に減少する。
【0041】
また、図7に示す無線タグ8の構成の場合は、万引き防止装置13が送信した制御信号により、無線タグ8の制御回路8eは放電回路8hを動作させ、キャパシタ8dは放電する。従って、無線タグ8の感度が低下するため、店外で不用意に無線タグの情報を読み取られる危険性は大幅に減少する。
【0042】
万引き防止装置では、無線タグの精算情報のみを読取り、一つでも未精算の商品があると警報を発するように、構成されている。警報を発することで、商品が盗難にあうことを防止することができる。また、無線タグのキャパシタを放電させることによって無線タグの感度を低下させるため、顧客が購入した商品情報を保護することが可能になる。無線タグのキャパシタが1時間程度高感度状態を保ち、顧客が買い物を済ませ店舗から退出したころには、無線タグの感度が低下することになるため、顧客が購入した商品についてプライバシーの保護も可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
バーコードと無線タグを備える商品を、携帯端末を用いて短時間で決済処理を完了させることができる。店舗にとって商品を精算機に運ぶ作業が軽減し、店員の作業を軽減する。商品を盗難されることを防止することができる。
【0044】
スーパーマーケットや、ショッピングセンターなどでショッピングカートに載せて運ぶ複数の商品の決済処理を、短時間で実行することが可能になる。

【符号の説明】
【0045】
1 携帯端末
2 商品棚
3 リーダライタ
4 同軸ケーブル
5 棚アンテナ
6 ショッピングカート
7 商品
8 無線タグ
9 バーコード
10 アクセスポイント
11 サーバ
12 精算機
13 万引き防止装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開平10−49756号公報
【特許文献2】特開2006−166415号公報
【特許文献3】特開2007−200239号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタと整流回路とメモリと第1のアンテナを有し、外部から電波を受けて前記第1のアンテナで発生した誘導電流を前記整流回路により直流電流として前記キャパシタに充電可能に形成されかつ前記メモリ内に仮精算情報を記憶可能な無線タグを有する商品の決済処理を行うために、前記無線タグに保存された該商品に係るデータの通信を行う商品決済システムにおいて、
前記商品決済システムは、無線タグリーダライタと前記無線タグリーダライタに接続された第2のアンテナと警報装置を備え、前記無線タグリーダライタが前記第2のアンテナを介して前記無線タグと該データ通信し、前記商品決済システムが前記仮精算情報は未清算状態であると認識したときに前記警報装置を作動させ、前記仮精算情報は清算済みであると認識したとき前記無線タグの感度を低下させることを特徴とする商品決済システム。
【請求項2】
キャパシタと整流回路とメモリと第1のアンテナを有し、外部から電波を受けて前記第1のアンテナで発生した誘導電流を前記整流回路により直流電流として前記キャパシタに充電可能に形成されかつ前記メモリ内に仮精算情報を記憶可能な無線タグを有する商品の決済処理を行うために、前記無線タグに保存された該商品に係るデータの通信を行う商品決済システムに用いる万引き防止装置において、
前記万引き防止装置は、無線タグリーダライタと前記無線タグリーダライタに接続された第2のアンテナと警報装置を備え、前記無線タグリーダライタが前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信し、前記万引き防止装置が前記メモリに保存された仮精算情報は未清算状態であると認識したときに前記警報装置を作動させ、前記仮精算情報は清算済みであると認識したとき前記無線タグの感度を低下させることを特徴とする万引き防止装置。
【請求項3】
キャパシタと整流回路とメモリと第1のアンテナを有し、外部から電波を受けて前記第1のアンテナで発生した誘導電流を前記整流回路により直流電流として前記キャパシタに充電可能に形成されかつ前記メモリ内に仮精算情報を記憶可能な無線タグを有する商品の決済処理を行うために、前記無線タグに保存された該商品に係るデータの通信を行う商品決済システムに用いる万引き防止装置において、
前記万引き防止装置は、無線タグリーダライタと前記無線タグリーダライタに接続された第2のアンテナと警報装置を備え、前記無線タグリーダライタが前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信し、前記万引き防止装置が前記メモリに保存された仮精算情報は未清算状態であると認識したときに前記警報装置を作動させ、前記仮精算情報は清算済みであると認識したとき前記キャパシタを放電させることを特徴とする万引き防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−204846(P2010−204846A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48345(P2009−48345)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】