説明

器具監視装置

【課題】特定ガス器具の特有の不具合事象を軽微な段階で発見することを目的とする。
【解決手段】ガス通路内のガス流量を検出する流量検出部102と、流量検出信号に基づいて流量値を算出する流量演算部103と、ガスが使用されている期間における特定の情報を取得する情報取得手段107と、該情報取得手段107で得られる特定情報と流量演算部の流量値から特定のガス器具を判別する器具判別部105と、流量値及び特定情報に所定の変化量をそれぞれ加算して設定した特定事象判定値設定部111と、器具判定部で特定器具が判別されたとき流量値と特定情報を監視する特定事象監視部110と、該特定事象監視部110の監視値が特定事象判定値設定部111の設定値を超えたとき特定事象が発生したと判断する特定事象判定部109を備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスやLPガス等を利用するガス給湯機器やガス風呂釜等の熱交換器が、フィン詰り状態になったことをガスメータで検出する器具監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の安全装置では、COセンサー40等をガス給湯器に設けることで熱交換器16がフィン詰り状態になったことを検出するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
具体的には図4に示すように、バーナー22と、該バーナー22への給気及び排気を行う燃焼ファン24と、給気通路50と、排気通路52と、該排気通路52に設けられた排気ガス中のCO濃度を検出するCO濃度検出部40とを備えた燃焼装置において、前記給気通路50に前記燃焼装置内の空気を吸引する穴60を有する燃焼装置を提供することにより達成される。
【0004】
即ち、給気通路50は、一般的に、燃焼ファン24の回転により室外からの空気のみを吸引しているが、燃焼室内42の給気通路50に穴60をあけると、給気通路50は前記室外の空気と共に燃焼室内42の空気も吸引する。ここで、何らかの原因により燃焼室42や排気通路内52に穴62があき、そこから排気ガスが燃焼装置内に漏れた場合、吸引される前記燃焼室内42の空気には前記排気ガスが含まれる。
【0005】
前記排気ガスを含んだ燃焼装置内の空気は、酸素濃度の低い排気ガスを含んでいるため前記室外の空気に比べ酸素濃度が低い。酸素濃度の低い空気により燃焼が行われると、ガスは不完全燃焼を起こし、COガスが発生する。
【0006】
排気通路内52には、CO濃度を検出するCOセンサー40が設置されており、検知されたCOガスの濃度により、上述のように、燃焼ファン24の回転を制御し、また、所定以上の濃度に達すると、燃焼が停止されるような制御が行われる。
【特許文献1】特許第3744618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の監視装置では燃焼装置の排気通路52に設けられたCOセンサー40等によって排気ガス中のCO濃度を検出し熱交換器16がフィン詰り状態になったことを検出するので、COセンサー40等を新たに設ける必要がありCOセンサー40やCOセンサー取付けによるコストアップにつながっていた。また、従来の安全装置は燃焼器具毎にCOセンサー40等を設ける必要が有るので、社会インフラとして全戸に普及させて問題の根絶を行うには限界があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の器具監視装置は、ガス通路内のガス流量を検出する流量検出部と、流量検出信号に基づいて流量値を算出する流量演算部と、ガスが使用されている期間における特定の情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段で得られる特定情報と流量演算部の流量値から特定のガス器具を判別する器具判別部と、流量値及び特定情報に所定の変化量をそれぞれ加算して設定した特定事象判定値設定部と、器具判定部で特定器具が判別されたとき流量値と特定情報を監視する特定事象監視部と、該特定事象監視部の監視値が特定事象判定値設定部の設定値を超えたとき特定事象が発生したと判断する特定事象判定部とを備えたものである。
【0009】
上記発明によれば、情報取得手段によりガス器具の連続使用時間やガス流量値を時系列に関連付けてパターン化した流量情報や器具から送信される器具情報等の特定情報を取得し、器具判別部で特定のガス器具、例えばガス給湯器等、を判別することで、特定のガス器具が使用されたときに生じる特有の事象を、特定事象監視部で監視している流量情報の変化により把握することができ、別途センサーを設けることなく、ガスメータで得られる流量情報を利用して特定ガス器具の特有の不具合事象を軽微な段階で発見することができ、より高度な安全性の確保を実現できる。
【0010】
例えば、ガス給湯器において、熱交換器を構成するフィンの隙間に堆積する埃によるフィン詰まりで熱効率が低下する事象を、ガスメータで得られる流量情報、流量値の増大側変化及びガス使用時間の増大側変化、を監視することで、容易に検出することができ、フィン詰まり状態で長時間継続して使用されたときのCO発生事象を事前に検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の器具監視装置は、別途センサーを設けることなく、ガスメータで得られる流量情報を利用して特定ガス器具の特有の不具合事象を軽微な段階で発見することができ、より高度な安全性の確保を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、ガス通路内のガス流量を検出する流量検出部と、流量検出信号に基づいて流量値を算出する流量演算部と、ガスが使用されている期間における特定の情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段で得られる特定情報と流量演算部の流量値から特定のガス器具を判別する器具判別部と、流量値及び特定情報に所定の変化量をそれぞれ加算して設定した特定事象判定値設定部と、器具判定部で特定器具が判別されたとき流量値と特定情報を監視する特定事象監視部と、該特定事象監視部の監視値が特定事象判定値設定部の設定値を超えたとき特定事象が発生したと判断する特定事象判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
そして、情報取得手段によりガス器具の連続使用時間やガス流量値を時系列に関連付けてパターン化した流量情報や器具から送信される器具情報等の特定情報を取得し、器具判別部で特定のガス器具、例えばガス給湯器等、を判別することで、特定のガス器具が使用されたときに生じる特有の事象を、特定事象監視部で監視している流量情報の変化により把握することができ、別途センサーを設けることなく、ガスメータで得られる流量情報を利用して特定ガス器具の特有の不具合事象を軽微な段階で発見することができ、より高度な安全性の確保を実現できる。
【0014】
例えば、ガス給湯器において、熱交換器を構成するフィンの隙間に堆積する埃によるフィン詰まりで熱効率が低下する事象を、ガスメータで得られる流量情報、流量値の増大側変化及びガス使用時間の増大側変化、を監視することで、容易に検出することができ、フィン詰まり状態で長時間継続して使用されたときのCO発生事象を事前に検出することが可能となる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明において、情報取得部は、ガスが連続して使用されている時間を取得するものとし、器具判別部は、ガス流量値とガス使用時間とからガス給湯器の使用有無を判別し、ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、フィン詰まりと判断する特定事象判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
そして、ガスメータで得られる流量情報であるガス流量値とガス使用時間を利用して、特定のガス器具であるガス給湯器の使用有無を判別するようにし、ガス給湯器の使用が判別されたとき、ガス給湯器の熱交換器を構成するフィンの隙間に堆積する埃によるフィン詰まりで熱効率が低下する事象を、ガスメータで得られる流量情報である、流量値の増大側変化及びガス使用時間の増大側変化、を監視することで、容易に検出することができ、フィン詰まり状態で長時間継続して使用されたときのCO発生事象を事前に検出することが可能となる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1の発明において、情報取得部は、所定期間のガス流量値を時系列に関連付けて流量パターンとして取得するものとし、器具判別部は、取得した流量パターンと予め記憶してあるガス給湯器の流量パターンとを比較してガス給湯器の使用有無を判別し、ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、フィン詰まりと判断する特定事象判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
そして、ガスメータで得られる流量情報である所定期間、例えば運転開始初期の立ち上がり時のガス流量値を時系列に関連付けてパターン化した流量パターンを利用して、予め記憶してある特定器具の流量パターン、例えば、ガス給湯器の流量パターンと比較して、特定のガス器具であるガス給湯器の使用有無を判別するようにし、ガス給湯器の使用が判別されたとき、ガス給湯器の熱交換器を構成するフィンの隙間に堆積する埃によるフィン詰まりで熱効率が低下する事象を、ガスメータで得られる流量情報である、流量値の増大側変化及びガス使用時間の増大側変化、を監視することで、容易に検出することができ、フィン詰まり状態で長時間継続して使用されたときのCO発生事象を事前に検出することが可能となる。
【0019】
第4の発明は、特に、第1の発明において、情報取得部は、器具より送信される器具情報を取得するものとし、器具判別部は、器具情報に含まれる識別コードよりガス給湯器の使用有無を判別し、ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、フィン詰まりと判定する特定事象判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
そして、ガスメータに設けられた受信手段により、器具から送信される器具情報を受信し、器具情報に含まれる識別コードよりガス給湯器の使用有無を判別するようにし、ガス給湯器の使用が判別されたとき、ガス給湯器の熱交換器を構成するフィンの隙間に堆積する埃によるフィン詰まりで熱効率が低下する事象を、ガスメータで得られる流量情報である、流量値の増大側変化及びガス使用時間の増大側変化、を監視することで、容易に検出することができ、フィン詰まり状態で長時間継続して使用されたときのCO発生事象を事前に検出することが可能となる。
【0021】
第5の発明は、特に、第1〜第4の発明において、特定事象判定値設定部は、流量値の増大変化分をそれぞれ複数段に分割して加算したフィン詰まり判定値を設定し、特定事象判定部は、特定事象監視部の流量値を比較するとき、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を変化すると共に、最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
そして、熱交換器のフィン詰まりに伴い熱交換効率が低下する事象が発生すると、給湯器側では給湯温度を設定温度に保つべく燃焼量、つまりガス流量を増大させる。この熱交換効率の低下に伴うガス流量の増大側変化は、フィン詰まりの状態が進むに連れて徐々に大きくなり、最終的にはガス流量を増大側に変化させても給湯温度を設定温度に保つことができなくなり、かつ燃焼状態も悪化してCOが発生するような状況となる。本発明は、この事象を事前に検知し報知することで最悪の事態を回避するようにしたものであり、その具体的手段として、フィン詰まり判定値を複数段に分割して設定し、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を大きくしたり、異なる音に変えたりして、使用者に警告レベルを変化して知らしめ、それでも気付かず最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止して、安全性を確保するようにしている。
【0023】
第6の発明は、特に、第1〜第4の発明において、特定事象判定値設定部は、ガス使用時間の増大変化分をそれぞれ複数段に分割して加算したフィン詰まり判定値を設定し、特定事象判定部は、特定事象監視部のガス使用時間を比較するとき、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を大きくすると共に、最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
そして、熱交換器のフィン詰まりに伴い熱交換効率が低下する事象が発生すると、給湯器側では給湯温度を設定温度に保つべくガスの供給を継続し、結果的にガス使用時間が増大したことになる。この熱交換効率の低下に伴うガス使用時間の増大側変化は、フィン詰まりの状態が進むに連れて徐々に大きくなり、最終的にはガス使用時間を増大側に変化させても給湯温度を設定温度に保つことができなくなり、かつ燃焼状態も悪化してCOが発生するような状況となる。本発明は、この事象を事前に検知し報知することで最悪の事態を回避するようにしたものであり、その具体的手段として、フィン詰まり判定値を複数段に分割して設定し、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を大きくしたり、異なる音に変えたりして、使用者に警告レベルを変化して知らしめ、それでも気付かず最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止して、安全性を確保するようにしている。
【0025】
第7の発明は、特に、第1〜第6の発明において、ガス給湯器等の使用開始からフィン詰りと判定した時点までの時間を計時し記憶する経過時間記憶手段を備えたことを特徴とするものである。
【0026】
そして、各需要家別にガス給湯器のフィン詰まりが発生する期間を把握することができるため、該期間を参考に定期的なメンテナンスを実施することで、器具の寿命を延長させることが可能となり、かつ不安全な事象発生を事前に回避することができる。
【0027】
第8の発明は、特に、第1〜第6の発明において、フィン詰りの情報を表示する表示部を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
そして、特定の事象、例えば熱交換器のフィン詰まり、が発生したことを使用者に知らせることができるため、不安全事象に至るまでにメンテナンス等、不具合を解消するための作業が必要であることを訴求することができる。
【0029】
第9の発明は、特に、第1〜第6の発明において、フィン詰りの情報を外部に出力する通信手段を備えたことを特徴とするものである。
【0030】
そして、特定の事象、例えば熱交換器のフィン詰まり、が発生したとき、監視センター等の外部に通報することが可能であるため、不安全事象に至るまでにメンテナンス等、不具合を解消するための作業が必要であることを訴求することができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における器具監視装置の構成ブロック図である。
【0033】
家庭内には、ガス供給路101に接続された超音波流量計102等で構成された流量検出部を経由した後の配管に接続され、供給されるガスをエネルギーとした器具A、器具B、器具Cが設置されている。そして、このガス器具が使用されたときに流れるガス流量を流量検出部である超音波流量計102で検出する。なお、流量検出部の構成は超音波流量計に限定されるものではなく、流路内に熱線式センサーを設け流れにより変化するインピーダンスより流量を求めるものや、他の方式でもよいものである。本実施の形態では流量検出部に超音波流量計を用いたものについて説明する。
【0034】
超音波流量計102は、ガス供給管101の経路中に接続され、超音波信号を用いてガス供給管101内のガス流により生じる伝搬時間差を求め、ガスの瞬時流量を計測するものである。
【0035】
流量演算部103は、計測された瞬時流量を基に、所定期間毎の瞬時流量を平均した平均流量値を算出したり、瞬時流量を積算して積算流量値を算出したり、器具判別のための流量値のデータ処理をするなど、流量に関する各種演算を行うものである。
【0036】
遮断弁104は、流量演算部103で求められる流量情報を制御部105で監視し、異常が検出されたとき制御部105からの駆動信号でガスの供給を遮断する。
【0037】
次に、超音波流量計102及び流量演算部103の動作と、ガス器具の判別手段の詳細な説明を行う。
【0038】
超音波流量計102の一例を図2に示すと、ガス供給管101に連通する矩形断面を持つ計測流路102aを有し、この計測流路102aの相対向する流路壁の上流側と下流側には、一対の超音波送受信器102b、102cが配置されている。これらの超音波送受信器102b、102cは、超音波伝搬経路が計測流路102aを流動するガス流を斜めに横切るように設定され、交互に超音波を送受信させることによって、ガス流に対して順方向と逆方向に超音波の伝搬を行う。
【0039】
このとき、超音波送受信器102b、102c間の距離、すなわち測定距離をL、ガス流に対する超音波伝搬経路の角度をφ、超音波送受信器102b、102cの上流から下流への超音波伝搬時間をt1、下流から上流への超音波伝播時間をt2、音速をCとすると、流速Vは以下の式により求められる。
【0040】
V=L/2cosφ((1/t1)−(1/t2)) …(1)
この流速Vと計測流路102aの断面積とからガス流の瞬時流量を算出する。
【0041】
瞬時流量の計測の時間間隔は、超音波の送受信が可能な範囲で設定できる。ガス器具により起動や制御により変化する時間が器具毎に異なるため、計測時間間隔を小さくすることは器具判別を瞬時に行う点では有利となるが、計測時間間隔を短くすると電池の消耗が大きくなる。
【0042】
また、計測時間間隔が従来のガスメータで使用している膜式方式と同等の2桁オーダーの秒数間隔になると、流量変化を判断することが困難になる。そこで、本実施の形態では、2秒間隔の周期的な瞬時流量の計測を行い、この瞬時流量値を時系列に関連付けてパターン化することで、器具別の特徴的な流量変化が発生する期間の流量パターンを確認しガス器具を判別する。
【0043】
なお、計測時間間隔は更に短くすることも可能である。例えば、ガス器具を判別する場合、その特徴的な流量変化を示すガス器具の起動後の所定期間は、計測精度を上げるために計測時間間隔を短くする等の制御を行ってもよい。
【0044】
また、流量演算部103は、検出された瞬時流量を基に、所定期間毎に平均流量値を算出したり、瞬時流量を積算してガス流量を算出したり、器具判別のための流量値のパターン化処理を実行する等、流量情報を得るための各種演算を行う。
【0045】
次に、ガス器具判定手段106の動作について、図3を用いて説明する。
【0046】
ステップ1は器具判別動作の開始命令、ステップ2は流量計測命令、ステップ3は流量変化判断命令、ステップ4はインターバル設定命令、ステップ5は立上り波形作成命令、ステップ6は器具パターン比較判断命令、ステップ7はインターバル設定命令、ステップ8は器具特定命令である。
【0047】
ステップ1の開始命令により器具判別動作のプログラムが開始する。ステップ2の流量計測命令により超音波流量計102による通常の流量計測が行われる。
【0048】
ここで、器具A、器具B、器具Cのいずれかが使用されると、流量変化が生じるが、この流量変化はステップ3の流量変化判断命令により判別され、YES側のフローによりステップ5の処理を実行する。
【0049】
ステップ3の流量変化判断命令で、器具A、器具B、器具Cの流量変化が立上りでない場合には、NO側のフローによりステップ4のインターバル設定命令にて設定された時間が経過したのち、再度、同様の動作が繰返される。
【0050】
流量変化が各器具の立上りであると判定した場合には、ステップ5の立上り波形作成命令により所定周期で求められる瞬時流量を時系列で関連付けてパターン化した立上り波形が生成される。
【0051】
次に、ステップ6の器具パターン比較判断命令で、予め登録されている器具別の立上りパターンとステップ5で生成された立上り波形が比較され、合致するものがあった場合にはステップ8の器具特定命令により使用器具を特定する。
【0052】
このステップ6の器具パターン比較判断命令により合致しない場合には、NO側のフローによりステップ7のインターバル設定命令により定められた時間が経過した後、再度、上記の器具判別動作を繰返す。
【0053】
以上のガス器具判定手段106の器具判別動作において、流量変化を判断する流量情報や器具別の特徴的な流量特性を確認するための立上り波形等の流量情報は、制御部105の流量データから流量情報取得部107が取得し、ガス器具判定手段106に送られる。
【0054】
次に、監視対象器具登録手段108は、特定事象、例えばフィン詰まりの発生を監視するために予め記憶してある特定器具、例えばガス給湯器が、ガス器具判定手段106の器具判別動作により特定されたとき、特定事象判定部であるフィン詰まり判定手段109に監視動作の開始指令を出力する。
【0055】
特定事象の監視動作開始指令が出力されると、フィン詰まり判定手段109は、制御部105で保持されている各種流量データのうち、特定事象、例えばフィン詰まりに関連するデータを特定事象監視部である流量情報監視部110が取得しフィン詰まり判定部109に送る。
【0056】
ここでフィン詰まりに関連するデータとしては、ガス給湯器の熱交換器のフィン詰まりに伴い、熱交換効率が低下する事象が発生すると、給湯器側では給湯温度を設定温度に保つべく燃焼量、つまりガス流量を増大させたり、ガスの供給時間、つまりガス使用時間を延長する方向に制御する。
【0057】
このガス流量の増大及び/又はガス使用時間の増大を監視することで、特定事象の一例であるフィン詰まりの状況を判断することができる。
【0058】
なお、本実施の形態では特定事象であるフィン詰まり事象の監視情報としてガス流量及びガス使用時間を設定したが、この監視情報は特定事象に応じて適宜設定すればよい。
【0059】
そして、流量情報監視部110からの監視情報は、特定事象判定値設定部であるフィン詰まり判定値設定部111から送られるフィン詰まり判定値と比較され、フィン詰まりの状況が判断される。このフィン詰まり判定値としては、フィン詰まり事象が発生したときの流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定する。
【0060】
また、フィン詰まり判定値の設定方法として、流量値の増大変化分及び/又はガス使用時間の増大変化分をそれぞれ複数段に分割して加算して設定するようにしてもよい。
【0061】
このように複数段にフィン詰まり判定値を設定することで、フィン詰まり判定手段109の判断として、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告手段118の警告音の大きさを変えたり、音の種類を変えたり、という変化させると共に、最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止する、という処理を実行することができる。
【0062】
以上の実施形態において、特定のガス器具が使用された場合における特定事象の発生の有無を判定することができ、その状況は制御部105を介して送られる報知信号により、警告手段118や表示部112で使用者に知らしめることができる。
【0063】
また、通信手段113を介して宅内表示器114や監視センター115に報知することも可能であり、より高度な報知効果を上げることができる。
【0064】
次に、ガス器具判定手段106における器具判別方法として、上記実施の形態では所定周期で計測される瞬時流量値を時系列に関連付けてパターン化することで、器具別の特徴的な流量変化が発生する期間の流量パターンを確認してガス器具を判別する方法について記載したが、これ以外の方法として、例えば、流量情報取得部107が制御部105の保持データのうち、ガスが連続して使用されている時間を取得するものとし、この情報をガス器具判定手段106に送ることで、ガス流量値とガス使用時間とからガス給湯器の使用有無を判別することができる。
【0065】
また、別の方法として、流量情報取得部107は、器具D、器具E、器具Fより送信される器具情報を入力手段116を介して通信手段113に送信し、器具情報識別手段117で器具情報に含まれる識別コードより器具を判別し、特定のガス器具、例えばガス給湯器が判別されたとき、監視対象器具登録手段108にガス給湯器が使用されたことを登録する。
【0066】
また、ガス給湯器等の使用開始からフィン詰りと判定した時点までの時間を計時し記憶する経過時間記憶手段119を備えることで、各需要家別にガス給湯器のフィン詰まりが発生する期間を把握することができるため、該期間を参考に定期的なメンテナンスを実施することで、器具の寿命を延長させることが可能となり、かつ不安全な事象発生を事前に回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の器具監視装置は、別途センサーを設けることなく、ガスメータで得られる流量情報を利用して特定ガス器具の特有の不具合事象を軽微な段階で発見することができるため、監視項目を特定するだけでガス器具全般における各種の不具合事象に対する監視動作に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における器具監視装置の制御ブロック図
【図2】同器具監視装置の超音波流量計の概略構成図
【図3】同器具監視装置の器具判別手段の一例を示すフローチャート
【図4】従来のガス給湯器の構成図
【符号の説明】
【0069】
102 超音波流量計(流量検出部)
103 流量演算部
105 制御部
106 ガス器具判定手段(器具判定部)
107 流量情報取得部
109 フィン詰まり判定部(特定事象判定部)
110 流量情報監視部(特定事象監視部)
111 フィン詰まり判定値設定部(特定事象判定値設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路内のガス流量を検出する流量検出部と、流量検出信号に基づいて流量値を算出する流量演算部と、ガスが使用されている期間における特定の情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段で得られる特定情報と流量演算部の流量値から特定のガス器具を判別する器具判別部と、流量値及び特定情報に所定の変化量をそれぞれ加算して設定した特定事象判定値設定部と、器具判定部で特定器具が判別されたとき流量値と特定情報を監視する特定事象監視部と、該特定事象監視部の監視値が特定事象判定値設定部の設定値を超えたとき特定事象が発生したと判断する特定事象判定部と、を備えた器具監視装置。
【請求項2】
情報取得部は、ガスが連続して使用されている時間を取得するものとし、
器具判別部は、ガス流量値とガス使用時間とからガス給湯器の使用有無を判別し、
ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、フィン詰まりと判断する特定事象判定部を備えた請求項1記載の器具監視装置。
【請求項3】
情報取得部は、所定期間のガス流量値を時系列に関連付けて流量パターンとして取得するものとし、
器具判別部は、取得した流量パターンと予め記憶してあるガス給湯器の流量パターンとを比較してガス給湯器の使用有無を判別し、
ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、フィン詰まりと判断する特定事象判定部を備えた請求項1記載の器具監視装置。
【請求項4】
情報取得部は、器具より送信される器具情報を取得するものとし、
器具判別部は、器具情報に含まれる識別コードよりガス給湯器の使用有無を判別し、
ガス給湯器の使用を判別したとき、特定事象判定値設定部の流量値の増大変化分及びガス使用時間の増大変化分をそれぞれ加算して設定したフィン詰まり判定値を、特定事象監視部の流量値とガス使用時間のいずれか一方が上回ったとき、
フィン詰まりと判定する特定事象判定部を備えた請求項1記載の器具監視装置。
【請求項5】
特定事象判定値設定部は、流量値の増大変化分をそれぞれ複数段に分割して加算したフィン詰まり判定値を設定し、
特定事象判定部は、特定事象監視部の流量値を比較するとき、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を大きくすると共に、最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の器具監視装置。
【請求項6】
特定事象判定値設定部は、ガス使用時間の増大変化分をそれぞれ複数段に分割して加算したフィン詰まり判定値を設定し、
特定事象判定部は、特定事象監視部のガス使用時間を比較するとき、最小のフィン詰まり判定値から最大のフィン詰まり判定値になるに従い警告音を大きくすると共に、最大のフィン詰まり判定値でフィン詰まりを判定したときガスの供給を停止するようにした請求項1〜4のいずれか1項記載の器具監視装置。
【請求項7】
ガス給湯器等の使用開始からフィン詰りと判定した時点までの時間を計時し記憶する経過時間記憶手段を備えた請求項1〜6のいずれか1項記載の安全装置。
【請求項8】
フィン詰りの情報を表示する表示部を備えた請求項1〜6のいずれか1項記載の器具監視装置。
【請求項9】
フィン詰りの情報を外部に出力する通信手段を備えた請求項1〜6のいずれか1項記載の器具監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−210245(P2009−210245A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56819(P2008−56819)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000168643)高圧ガス保安協会 (92)
【Fターム(参考)】