説明

器官又は組織における線維症を処置するための医薬の製造における5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドン

器官又は組織における線維症を処置するための医薬の製造における5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドンの使用。それは、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドンが、様々なECMによって生産された細胞を阻害することができると共にそれらの効果がピルフェニドンよりも高いものであることを示唆する。従って、このタイプの化合物を、器官及び組織において抗繊維化剤を調製するための活性な成分として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドン類の使用に関係する。より詳しくは、本発明は、器官又は組織における線維症を処置するための医薬の製造における5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドン類の使用に関係する。
【背景技術】
【0002】
線維症は、様々な器官又は組織において起こり得るが、いずれの器官又は組織の内の健康な細胞の低減及び繊維化の結合性の組織の質量における増加をも引き起こすと共に、ついには、器官又は組織の正常な構造を損傷させる。損傷は、影響を及ぼされた器官又は組織の生理学的な及び生化学的な機能を減損し得ると共に、器官が完全に活動停止させられることを引き起こすこともある。器官及び組織の線維症についての病原論、診断の方法、予防及び処置の方法は、広範に研究されてきたものである。大幅な進歩は、ある一定のエリアにおいてなされてきたものである。しかしながら、特に有効な治療法のものを開発するというエリアにおいて、なお多数の挑戦がある。
【0003】
器官又は組織の線維症が、柔組織の細胞の炎症性の変性及び昏睡を引き起こすものである、炎症、免疫学的な反応、虚血、血液力学の変化などのような多重の因子によって引き起こされることは、一般に信じられることである。減損した柔組織の細胞は、次には、数多くのサイトカイン類及び成長因子を解放するためにマクロファージを活性化させるが、それらの間で、TGF−βが、決定的なものである。TGF−βは、細胞を生産する静止状態の細胞外の基質(ECM)を活性化すると共にそれらを筋繊維芽細胞の中へ戻すことができる。新しく形成された筋繊維芽細胞は、コラーゲン、ECMの鍵となるタンパク質の生産を増加させるだけでなく、ECMの破壊をもまた減少させる。正味の結果は、器官又は組織の線維症に至るものである、細胞外の基質の累積である。このように、器官又は組織の線維症の発症及び発達は、炎症性の応答の結果及び炎症性のサイトカイン類、主としてTGF−βの生産である。ECMの累積並びに器官及び組織の線維症の形成におけるTGF−βの重大な役割のおかげで、論理的に、抗繊維化の薬物の早期の発達における重要な目標の一つは、化合物を調査することであるが、それは、炎症前のサイトカイン、TGF−βの生産を阻害することができるものである。しかしながら、いずれの抗繊維化の薬物の候補についても、より確信するデータは、明白に、様々な生体内の繊維化のモデルを使用する試験から来ることになる。
【0004】
抗炎症及び抗繊維化の活性を呈示するものである、多くの化合物は、記載されてきたものである。米国特許第3,839,346号明細書(特許文献1)、米国特許第3,974,281号明細書(特許文献2)、米国特許第4,042,699号明細書(特許文献3)、及び米国特許第4,052,509号明細書(特許文献4)は、後に続くピリドン様の式(O):
【0005】
【化2】


を備えた合計で29個の化合物を公表したが、そこでは、Aは、芳香族の基である。これらの化合物は、良好な抗炎症及び鎮痛性の活性を有すると共に、尿酸及びブドウ糖の血清のレベルを低減することができる。一つの化合物、特に5−メチル−1−フェニル−2(1H)−ピリドンは、最良の活性及び低い毒性を有する。
【0006】
米国特許第5,518,729号明細書(特許文献5)及び米国特許第5,716,632号明細書(特許文献6)が、抗繊維化の活性をN−置換された2(1H)−ピリドン(I)又はN−置換された3(1H)−ピリドンのいずれかの追加の44個の化合物まで拡張するが、欧州特許出願公開第1138329号明細書(特許文献7)は、有効な抗繊維化の化合物:ピルフェニドン(PFD,5−メチル−10−フェニル−2(1H)−ピリドン)を記載した。
【0007】
5−メチル−1−フェニル−2(1H)−ピリドン(ピルフェニドン,PFD)の抗繊維化の活性の効能は、様々な動物のモデル及び人間の臨床的な試行においてさらに立証されてきた(Shimazu et al.,ピルフェニドンは、部分的な腎臓切除を伴ったラットにおける残存物の腎臓におけるコラーゲンの累積を予防する。Kidney Int.52(Supple 63):S239−243(1997)(非特許文献1);Raghu et al.,新しい抗繊維化剤、ピルフェニドンでの特発性の肺の線維症の処置。Am.J.Respir.Crit.Care Med.159:1061−1069 (1999)(非特許文献2))ものである。これらの研究は、ピルフェニドンが、予防するだけでなく、過剰な細胞外の基質の累積を逆転させることをもまた示唆した。ピルフェニドンの薬理学的な機構は、まだ十分に理解されてきたものではないが、しかし、データは、今まで、ピルフェニドンが、(TGF−βを含む)サイトカイン類を下方制御することに有効な化合物であると共に、多重の因子を規制することを通じて繊維芽細胞の活性を減少させることを示唆する。
【0008】
中国特許第02114190.8号は、後に続く一般的な構造の式(I):
【0009】
【化3】


を有する、合計38個の新しい5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2(1H)−ピリドン化合物の識別及び合成を記載した。
【0010】
n=1である場合には、置換Rは、F、Br、Iであることができる。n=2である場合には、置換Rは、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化されたアルキル基であることができる。R基についての相対的な位置は、オルト又はメタ又はパラである。
【0011】
米国特許第5,716,632号明細書は、米国特許第3,974,281号明細書におけるGadekarによって当初より記載された5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2(1H)−ピリドンの6個の構造の式を列挙した。これらの“置換されたフェニル”化合物について、Gadekarは、最良の生物学的な活性を備えた化合物として置換されてないフェニルを教示するものである構造−活性な関係を確立した。しかしながら、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2(1H)−ピリドン、1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2(1H)−ピリドンが、試験管内である一定の生物学的な活性を示したことは、報告されてきたものである(J.Cent.South Univ.Med.Sci.29:139(2004))。このように、構造の式IIを有する置換されたフェニル化合物が、いずれの望ましい抗繊維化の活性をも有するのであろうかどうかを決定することは、関心のあることである。
【特許文献1】米国特許第3,839,346号明細書
【特許文献2】米国特許第3,974,281号明細書
【特許文献3】米国特許第4,042,699号明細書
【特許文献4】米国特許第4,052,509号明細書
【特許文献5】米国特許第5,518,729号明細書
【特許文献6】米国特許第5,716,632号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1138329号明細書
【非特許文献1】Kidney Int.52(Supple 63):S239−243(1997)
【非特許文献2】Am.J.Respir.Crit.Care Med.159:1061−1069(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の背景技術に基づいて、本発明は、ピリドン化合物の新規な群を公表するが、それらを、器官又は組織の線維症の予防及び処置用の抗繊維化の薬物の調製に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、新規な群のピリドン化合物について一般的な構造の式(I):
【0014】
【化4】


を提供する。
【0015】
n=1の場合には、置換Rは、F、Cl、Br、I、ニトロ、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化されたアルキルの基であることができる;n=2の場合には、置換Rは、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化されたアルキルの基であることができる。これらの化合物を、薬物の調製に使用することができると共に、それは、幅広い一連の範囲の抗器官線維症又は抗組織線維症を有するものである。
【0016】
本発明において、用語“抗器官又は組織線維症”は、器官/組織における線維症を予防すること、又は、器官/組織における繊維化の工程を遅くする若しくは停止させることを、及び/又は、器官/組織における繊維化の健康状態を逆転することを、意味する。
【0017】
構造式(I)においては、好適なnの数は、1であると共に好適なRは、F、Br、Iである。
【0018】
n=2の場合には、Rは、F、Cl、Br、I、飽和の直鎖のアルキル基、飽和の直鎖のアルコキシ基、飽和の直鎖のハロゲン化されたアルキル基であることができる。R基についての相対的な位置は、オルト又はメタ又はパラである。
【0019】
Fについての好適な位置は、メタの位置、即ち、3’−フルオロフェニルである。
【0020】
本発明におけるアルキル置換基は、1−6個の炭素を備えた飽和の直鎖の又は分岐のもののいずれかであると共に、好適なものは、1−4個の炭素である。
【0021】
5−メチル−1−(置換された フェニル)−2(1H)−ピリドン(構造の式I)の他の例は、後に続く化合物:を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。
【0022】
n=1,R=Brのとき、化合物は、1−(2−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンであることができる。
【0023】
n=1,R=Fのとき、化合物は、1−(2−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンであることができる。
【0024】
n=1,R=Iのとき、化合物は、1−(2−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンできる。
【0025】
n=2,R=F、Br、又はBrのとき、化合物は、1−(2,3−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,4−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンであることができる。
【0026】
n=1又は2及びR=トリフルオロメチルのとき、化合物は、1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,4−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンであることができる。
【0027】
n=1又は2及びR=メチルのとき、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドンは、1−(2−メチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3−メチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,4−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,5−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,6−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3,4−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3,5−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン:である。
【0028】
n=1又は2及びR=メトキシルのとき、化合物は、1−(2−メトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3−メトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,3−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,5−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(2,6−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジン、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリジンであることができる。
【0029】
本発明の例に従って、好適な製薬の組成物を、抗腎性間質性線維症、抗糸球体硬化症、抗肝臓硬化症、抗肺硬化症、抗腹膜線維症、抗心筋線維症、抗皮膚線維症、抗外科的手術後付着、抗良性前立腺肥大、抗筋肉骨格線維症、抗強皮症、抗アルツハイマー病、及び、抗繊維化血管の薬物として使用することができる。
【0030】
また、本発明の例に従って、一般的な構造の式(I)の化合物を、住血吸虫症によって引き起こされた肝臓の線維症の処置のための治療の薬剤を調製するために使用することができる。
【0031】
また、本発明の例に従って、一般的な構造の式(I)の化合物を、糖尿病によって引き起こされた糸球体の硬化症の処置のための治療の薬剤を調製するために使用することができる。
【0032】
また、本発明の例に従って、一般的な構造の式(I)の化合物を、尿のトラックの封鎖又は糖尿病によって引き起こされた腎性の間質性の線維症の処置のための治療の薬剤を調製するために使用することができる。
【0033】
また、本発明の例に従って、一般的な構造の式(I)の化合物からの調製された治療の薬剤を、経口的な、注射可能な、又は局所的な経路を通じて投与することができる。治療の試剤を、いずれの適当な製薬の処方にも調製することができる。
【0034】
本発明においては、選択された化合物を、細胞を生産するECM及び線維症の疾患についての様々な動物モデルを使用することで、試験してきたものである。結果は、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2−(1H)−ピリドン類が、細胞を生産する様々なECMを抑制することが可能なもの、及び、ピルフェニドンよりも効能のあるものであることを立証する。従って、新規な化合物のこの群を、抗器官又は組織の繊維化の薬物について活性な成分として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明において、5−メチル−1−(3’−フルオロフェニル)−2−(1H)−ピリドン(AKF−PD)は、抗繊維化の薬物の調製を例証するための例として使用されるが、それらは、5−メチル−1−(置換されたフェニル)2−(1H)−ピリドン類を含むものである。AKF−PD、5−メチル−1−(3’−フルオロフェニル)−2−(1H)−ピリドンは、中国特許第02114190.8号明細書に記載された工程に従って作られる。
【0036】
例1
1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによるマウスの糸球体間質の細胞の増殖の抑制
【0037】
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間連続させられた。血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の5−メチル−1−(3’−フルオロフェニル)−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、12、24、及び48時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加された。そして、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0038】
結果は、表1に示される。24時間で、500μg/mlのAKF−PDは、マウスの糸球体間質の細胞の増殖を抑制したが、しかし、500μg/mlのピルフェニドンは、しなかった。1000μg/ml及び2500μg/mlの濃度では、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、マウスの糸球体間質の細胞の増殖を抑制したが、しかし、AKF−PDは、ピルフェニドンよりも効能のあるものであった。48時間の時点で、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、全ての試験する濃度のレベルにおいてマウスの糸球体間質の細胞に抑制的な効果を有するものであった;しかしながら、AKF−PDは、100μg/ml、500μg/ml、1000μg/mlでピルフェニドンよりも強い効果を示した。結論において、AKF−PDは、マウスの糸球体間質の細胞の増殖を抑制することができると共にある一定の濃度のレベルでピルフェニドンよりも効能のある抑制的な効果を有する。
【0039】
表1
マウスの糸球体間質の細胞におけるAKF−PD及びPEDの効果
【0040】
【表1】


*p<0.05 対 対照;**p<0.01 対 対照;***p<0.001対 対照
p<0.05 対 AKF−PD;++p<0.01 対 AKF−PD;+++p<0.001 対 AKF−PD
例2
−1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによるラットの心筋の繊維芽細胞の増殖の抑制
【0041】
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間に温置させられた。そして、血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、12、24、又は48時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加され、且つ、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0042】
結果は、表2に示される。100μg/ml、500μg/ml、1000μg/ml及び2500μg/mlの濃度で、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、24時間の処置の後にラットの心筋の繊維芽細胞の増殖を抑制することができる;しかしながら、1000μg/ml及び2500μg/mlのレベルで、AKF−PDは、ピルフェニドンよりも効能のあるものであった。同じ濃度の範囲で、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、48時間の後に細胞の増殖における抑制的な効果を示したが、しかし、AKF−PDは、100μg/ml、500μg/ml、及び1000μg/mlで、より能のあるものであった。結論において、AKF−PDは、ラットの心筋の繊維芽細胞においてピルフェニドンよりも効能のある抗増殖剤である。
【0043】
表2
ラットの心筋の繊維芽細胞におけるAKF−PD及びPEDの効果
【0044】
【表2】


*p<0.05 対 対照;**p<0.01 対 対照;***p<0.001 対 対照
p<0.05 対 AKF−PD;++p<0.01 対 AKF−PD;+++p<0.001 対 AKF−PD
例3
1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによる人間の星状細胞の増殖の抑制
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間に温置させられた。そして、血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、12、24、又は48時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加され、且つ、そして、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0045】
結果は、表3に示される。500μg/ml、1000μg/ml、及び2500μg/mlで、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、12時間の後の薬物の処置から始まる人間の星状細胞の増殖を抑制することができる。24時間の時点で、1000μg/ml及び2500μg/mlのAKF−PDは、ピルフェニドンよりも抑制的なものであった。48時間で、AKF−PDは、500μg/ml、1000μg/ml及び2500μg/mlの濃度でピルフェニドンよりも抑制的なものであった。結論において、AKF−PDは、人間の星状細胞においてピルフェニドンよりも効能のある抗増殖剤である。
【0046】
表3
人間の星状細胞におけるAKF−PD及びPEDの効果
【0047】
【表3】


*p<0.05 対 対照; **p<0.01 対 対照; ***p<0.001 対 対照
p<0.05 対 AKF−PD; ++p<0.01 対 AKF−PD; +++p<0.001 対 AKF−PD
例4
1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによるラットの肺の繊維芽細胞の増殖の抑制
【0048】
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間に温置させられた。そして、血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、8、20、又は44時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加され、且つ、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0049】
結果は、表4に示される。24時間の処置の後で、AKF−PDは、1000μg/mlと同程度の低いところにラットの肺の繊維芽細胞の増殖を抑制することができるであろうし、且つ、それは、2500μg/mlでピルフェニドンよりも抑制的なものであった。48時間の処置の後に、両方の化合物は、500μg/ml、1000μg/ml、及び2500μg/mlの薬物の濃度で効果を有するが、しかし、AKF−PDの抗増殖の効果は、500μg/ml及び1000μg/mlの濃度でピルフェニドンのものよりも強いものであった。結論において、AKF−PDは、ラットの肺の繊維芽細胞においてピルフェニドンよりも効能のある抗増殖剤である。
【0050】
表4
ラットの肺の繊維芽細胞におけるAKF−PD及びPEDの効果
【0051】
【表4】

*p<0.05 対 対照; **p<0.01 対 対照; ***p<0.001 対 対照
p<0.05 対 AKF−PD; ++p<0.01 対 AKF−PD; +++p<0.001 対 AKF−PD
例5
1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによる人間の皮膚の傷を形成する繊維芽細胞の増殖の抑制
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間に温置させられた。そして、血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、12、24、又は48時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加させられ、且つ、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0052】
結果は、表5に示される。100μg/ml、500μg/ml、1000μg/ml、及び2500μg/mlの濃度での24時間の間における薬物の処置の後で、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、人間の皮膚の繊維芽細胞の成長を阻害することが可能なものであった;しかしながら、AKF−PDは、500μg/ml、1000μg/ml、及び2500μg/mlの濃度でピルフェニドンよりも効能のあるものであった。48時間の処置の後に、500μg/ml又は1000μg/mlのAKF−PDは、類似の濃度のピルフェニドンよりも多くの阻害を示した。結論において、AKF−PDは、人間の皮膚の繊維芽細胞においてピルフェニドンよりも効能のある抗増殖剤である。
【0053】
表5
人間の皮膚の傷を形成する繊維芽細胞におけるAKF−PD及びPEDの効果
【0054】
【表5】


*p<0.05 対 対照;**p<0.01 対 対照;***p<0.001 対 対照
p<0.05 対 AKF−PD;++p<0.01 対 AKF−PD;+++p<0.001 対 AKF−PD
例6
1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン及びピルフェニドンによる人間の腹膜の中皮の細胞の増殖の抑制
【0055】
細胞の増殖は、MTT分析によって測定された。10%の胎児の血清を備えたDMEMは、細胞の培養物の媒質として使用された。細胞は、懸濁液において調製され(1×10/ml)、且つ、懸濁液の100μLが、96個のウェルのプレートの各々のウェルへ移された。一度細胞が、プラスチックへ付着させられると、培養物は、血清の無い媒質に変化させられ、且つ、別の24時間の間に温置させられた。そして、血清の無い媒質は、吸引され、且つ、10%の血清の媒体における様々な濃度の1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)又はピルフェニドン(PFD)は、各々の濃度について5個の複製を備えた各々のウェルの中へ追加された。細胞は、12、24、又は48時間の後の薬物の処置においてMTT(ウェル当たり10μL)で染色された。4時間の温置の後に、MTTを備えた媒質は、各々のウェルから吸引された。一百μLのMTTの溶媒が、15分の間に各々のウェルへ追加され、且つ、溶解させられたMTTは、570nmにおけるプレートの読取装置で測定された。
【0056】
結果は、表6に示される。500μg/ml、1000μg/ml、及び2500μg/mlの濃度での24時間の間における薬物の処置の後で、AKF−PD及びピルフェニドンの両方は、人間の腹膜の中皮の細胞の成長を阻害することが可能なものであった;しかしながら、AKF−PDは、1000μg/ml及び2500μg/mlの濃度でピルフェニドンよりも効能のあるものであった。48時間の処置の後に、1000μg/mlのAKF−PDは、類似の濃度のピルフェニドンよりも多くの阻害を示した。結論において、AKF−PDは、人間の腹膜の中皮の細胞においてピルフェニドンよりも効能のある抗増殖剤である。
【0057】
表6
人間の腹膜の中皮の細胞においてAKF−PD及びPFDの効果
【0058】
【表6】


*p<0.05 対 対照; **p<0.01 対 対照; ***p<0.001 対 対照
p<0.05 対 AKF−PD; ++p<0.01 対 AKF−PD; +++p<0.001 対 AKF−PD

例7
糸球体硬化症及び間質性の腎性の線維症における1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKF−PD)の効果
【0059】
ラットの糖尿病性の腎臓の疾患は、抗糸球体硬化症及び腎性の間質性の線維症を予防する際に1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)の有効性を試験するためにストレプトゾトシン(STZ)によって誘発された。
【0060】
八週間の老齢の雄のウィスターラット(180g〜220g)は、正常なもの、糖尿病性のネフローゼ、糖尿病性のネフローゼ/バルサルタン、又は糖尿病性のネフローゼ/AKF−PDとして無作為に群分けされた。糖尿病は、STZの55mg/kgの単一の腹腔内の注射によって誘発された。糖尿病性の健康状態は、24時間の後で、後に続く試験の結果:13.9mmol/Lの空腹時の血中のブドウ糖、16.7mmol/Lの無作為の血中のブドウ糖、及び陽性の尿中のブドウ糖によって、確認された。糖尿病性のラットが、4週の後で30mg/日よりも高い尿中のタンパク質のレベルを有するものであったとすれば、ラットのモデルは、糖尿病性のネフローゼについて確立された。
【0061】
糖尿病性のネフローゼ/AKF−PDの群におけるラットは、500mg/kg/日のAKF−PDが経口的に給餌され、且つ、糖尿病性のネフローゼ/バルサルタンの群におけるラットは、30mg/kg/日のバルサルタンが給餌された。正常な生理食塩水が、糖尿病性のネフローゼの群におけるラットに給餌された。12週の薬物の処置の後に、全てのラットは、犠牲にされ、且つ、それらの腎臓は、病理学的な検査のために取り除かれた。糸球体及び腎臓の細管の間質の組織についての標準的な組織病理学的なスコアリングシステムについての参照文献は、:Radford et al.,IgA腎障害における腎臓の成果を予測すること。J.Am.Soc.Nephrol.8:199−207 (1997);Zhao et al.,プロマイシンの腎障害におけるアンギオテンシンII受容体の拮抗物質とアンギオテンシンを転換する酵素の阻害剤との間における腎臓の保護の効果及びそれらの可能性のある機構の比較。Chin.J.Mult.Organ Dis.Elderly 1:36−40(2002)である。
【0062】
腎臓の組織の顕微鏡の検査の結果は、表7に示される。いずれの処置無しの糖尿病性のネフローゼのラットと比較すると、AKF−PDで処置されたラットは、それらの糸球体及び腎臓の細管の間質の組織におけるより少ない損傷を示したが、AKF−PDが、糖尿病性の健康状態によって引き起こされた糸球体硬化症及び腎臓の細管の間質の線維症を有効に処置することもあることを示唆する。
【0063】
表7
異なる処置の群からの組織病理学的なスコア
【0064】
【表7】


例8
肺の線維症における1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKF−PD)の効果
【0065】
ブレオマイシンで誘発されたラットの肺の線維症は、1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKD−PD)を試験するために選択される。雄のSprague−Dawleyラット(6−8週の老齢のもの、180〜220g)は、規則正しい条件の下で世話された。動物は、3個の群:偽の外科手術の群、モデル疾患の群、及び疾患/AKF−PDの群へと無作為に分割された。6mg/kg/4mlのブレオマイシンは、モデル疾患の群及び疾患/AKF−PDの群におけるラットの気管へとゆっくりと浸出された。同じ量の正常な生理食塩水は、偽の外科手術の群におけるラットの気管へと浸出された。
【0066】
500mg/kgのAKF−PDは、手術より先の2日から手術後の27日を通じて、毎日、疾患/AKF−PDの群におけるラットの腹部の中へと直接的に勢いよく流された。正常な生理食塩水は、疾患の群及び偽の外科手術の群の両方において全ての動物について使用された。動物は、27日後の外科手術に犠牲にされ、且つ、肺の組織が、病理学的な試料の調製について取り除かれた。各々のラットからのヘマトキシリン・エオシン染色された肺の組織は、繊維化の病変の頻度及び重症度を決定するために、顕微鏡の下で検査された。肺の組織の線維症の評価は、Szapiel et al.,裸の胸腺欠損のマウスにおけるブレオマイシンで誘発された間質性の肺の疾患。Am.Rev.Respir.Dis.120:893−9(1979)の方法に従って実行された。表8に示されたように、AKF−PDで処置されたラットは、疾患の群におけるものと比較すると、あまり重症なものではない繊維化の病変を示したが、AKF−PDが、肺の線維症の疾患を処置するための有効な薬剤であることもあることを示唆する。
【0067】
表8
繊維化の病変の頻度及び重症度の比較
【0068】
【表8】


例9
肝臓の線維症における1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKF−PD)の効果
【0069】
Kun Ming(KM)マウスは、を住血吸虫症の肝臓の線維症を誘発させるために住血吸虫症のミラシジウムに感染させられた。四週から六週までの老齢の雄のKun Ming(KM)マウス(18−22g)は、健常なもの、感染させられたもの、感染させられたもの/ピクイトン(Pyquiton)、感染させられたもの/γ−インターフェロン、及び感染させられたもの/AKF−PDの群へと無作為に群分けされた。十匹の住血吸虫症のミラシジウムが、感染のために各々のマウスのシェービングされた腹部の皮膚に置かれた。感染させられたもの/ピクイトン、感染させられたもの/γ−インターフェロン、及び感染させられたもの/AKF−PDの群における感染後の八週のマウスは、4日の間における650mg/kgのピクイトンで処置することによって、消毒された。五百mg/kgのAKF−PDが、感染させられたもの/AKF−PDの群の消毒されたマウスへ、毎日、経口的に与えられた。消毒されたマウスには、毎日、(筋肉内の)50,000単位のγ−インターフェロンが与えられた。感染させられたもの/ピクイトン及び感染されられたものの群における消毒されたマウスには、薬物の投与の処置と同じ方式で、一日に一度、通常の生理食塩水が経口的に与えられた。薬物又は通常の生理食塩水の処置は、8週の間に連続させられた。全てのマウスは、薬物の処置を中断した後一週で、犠牲にされ、且つ、各々のマウスからの肝臓の左葉が、病理学的な検査のために取得された。
【0070】
肝臓の組織のHEで染色されたスライスの検査は、以下のように実行された。一般には、住血吸虫症のミラシジウムの感染の16週の後で、住血吸虫の卵子で誘発された小結節の面積は、肝臓の線維症の重症度に直接的に相関するであろう。従って、住血吸虫の卵子で誘発された小結節の面積は、高い分解能のカラーの病理学の図式の分析器(HPIAS−1000)を使用することで、測定された。密に詰め込まれた卵子を備えた5個の小結節の面積の総和及び軽く詰め込まれた卵子を備えた5個の小結節の面積の総和は、各々のスライスについて測定された。表9及び10に示されたように、AKF−PDで処置された動物は、処置無し(感染されたもののみ)又はピクイトンで処置された群のいずれかにおけるものよりも住血吸虫の卵子の小結節のより小さい面積(μm)を有するものであった。これらの結果は、AKF−PDが、住血吸虫の肝臓の線維症を処置するための有効な薬理学的な薬剤であることもあることを示唆する。
【0071】
表9 住血吸虫の卵子で誘発された小結節の面積の比較
【0072】
【表9】


表10 表9における群についてのP値
【0073】
【表10】


例10
間質性のNaporoyl線維症のラットのモデルにおける1−(3’−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン(AKF−PD)の効果
【0074】
AKF−PDの抗線維症の効果は、単一の側の尿管の外科手術の結紮によって誘発された間質性のnaphorial線維症のSDのラットのモデルにおいて試験された。八週の老齢の雄のSDラット(180g〜220g)は、偽の外科手術の群、疾患のモデルの群、エナラプリル(10mg/kd/日)の群、及びAKF−PD(500mg/kg/日)の群へと無作為に分割された。無菌の条件の下で、疾患のモデルの群、エナラプリル及びAKF−PDにおける全ての動物は、左の側の尿管の結紮のために外科手術の手順を有するものであった。偽の外科手術の群の動物は、結紮のステップを除いて、同じ外科手術の手順を経験した。それぞれの薬物は、手順より先の一日から外科手術の手順の後の14日までエナラプリル及びAKF−PDの群におけるラットへ経口的に投与された。通常の生理食塩水が、疾患のモデル及び偽の外科手術のものの群におけるラットに類似の様式で投与された。動物は、外科手術の手順の後の14日に犠牲にされ、且つ、それらの左の腎臓は、病理学的な(HEで染色する)検査のために、取り除かれた。間質性の区画についての組織学的なスコアリングは、Radfordの方法(Radford et al.,Predicting renal outcome in IgA nephropathy. J.Am.Soc.Nephrol.8:199−207(1997))に従って行われた。表11に示されたように、AKF−PDで処置されたラットは、疾患のモデル及びエナラプリルの群におけるものに対して比較することで、間質性の組織における低減された病変を示したが、AKF−PDが、間質性の腎性の線維症についての有効な薬物であることもあることを示唆するものである。
【0075】
表11
間質性の区画についての組織学的なスコアの比較
【0076】
【表11】


例11
1−(3−フルオロフェニル)−5−メチル−2(1H)−ピリドン(AKF−PD)及びピルフェニドンの急性の毒性の比較
【0077】
18g−22gの間の重量である雄及び雌のKun Ming(KM)マウスは、Hsiang−Ya Medical College、the Central South Universityの動物の施設から獲得された。五十匹のKun Mingマウスは、各々の群について5匹の雄及び5匹の雌のマウスを備えた、5個の群へと無作為に割り当てられた。動物は、薬物の処置(AKF−PD又はピルフェニドンのいずれか)を開始する前に通常の水の供給と共に断食すること経験した。薬物は、胃管栄養法によって経口的に投与された。液体の薬物の体積は、20ml/kgの体重のものであった。AKF−PDが投与されたものについての薬用量の範囲は、1071mg/kgから6000mg/kgまでであった。二つの隣接した用量の間における薬用量の差異は、1:0.65(ある用量 対 次により低い用量)であった。全ての動物は、日常的な条件の下で維持された。薬物の処置の後の14日以内の急性の毒性の反応及び死亡は、記録された。死体解剖は、全ての死亡した動物について行われ、且つ、目視の検査が、全ての器官において行われた。
【0078】
LD50は、Blissの方法に従って計算された。1−(3−フルオロフェニル)−5−メチル−2(1H)−ピリドンについての急性の毒性LD50は、2402.70−−3695.73mg/kgの95%の信頼限界で、2979.89mg/kgであった(表12)。ピルフェニドンについてのLD50は、550.9−−1656.7mg/kgの95%の信頼限界で、955.4mg/kgであった(表13)。表13の結果は、文献に報告されたもの997.7mg/kg(米国特許第5,310,562号明細書)及び1112 mg/kg(Pharmaceutical Care and Research 5:4823(2005)):に非常に近いものである。これらの結果は、AKF−PDについての毒性は、ピルフェニドンのものに比較されると、3倍未満である(2978 対 955)ことを示唆する。
【0079】
表12
5−メチル−1−(3−フルオロフェニル)−2(1H)−ピリドンのLD50
【0080】
【表12】


表13
ピルフェニドンのLD50
【0081】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
器官又は組織の線維症を処置するための医薬の製造における、一般的な構造式(I)、
【化1】


を有する、化合物、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2(1H)−ピリドン類の使用であって、n=1のとき、置換R=F、Cl、Br、I、ニトロ、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化されたアルキル基である;n=2のとき、置換R=F、Cl、Br、I、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化されたアルキル基である、使用。
【請求項2】
n=1である場合には、Rは、F又はBr又はIであることができる;nが2であるとすれば、Rは、F又はCl又はBr又はI又は飽和の直鎖のアルキル基、又は飽和の直鎖のアルコキシ基、又は飽和の直鎖のハロゲン化されたアルキル基であることができると共に、R基についての相対的な位置は、オルト又はメタ又はパラであることができる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化合物、5−メチル−1−(置換されたフェニル)−2(1H)−ピリドン類(一般的な構造式I)は、後に続く特徴:
n=1,R=Brのとき、前記化合物は、1−(2−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
n=1、R=Fのとき、前記化合物は、1−(2−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−フルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
n=1、R=Iのとき、前記化合物は、1−(2−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(4−ヨードフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
n=2、R=F又はBr又はClのとき、前記化合物は、1−(2,3−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,4−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジブロモフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジクロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,5−ジフルオロフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
n=1又は2、R=トリフルオロメチルのとき、前記化合物は、5−メチル−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(2,3−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(2,4−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(2,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(2,6−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(3,4−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、及び5−メチル−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)−ピリドンである:
n=1又は2及びR=メチルのとき、前記化合物は、5−メチル−1−(2−メチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(3−メチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,4−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、及び1−(3,5−ジメチルフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
n=1又は2、R=メトキシのとき、前記化合物は、5−メチル−1−(2−メトキシフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(3−メトキシフェニル)−2−(1H)−ピリドン、1−(2,3−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,5−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(2,6−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドン、及び1−(3,5−ジメトキシフェニル)−5−メチル−2−(1H)−ピリドンである:
を有する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
好適な置換Rは、3の位置におけるフルオロである、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記飽和の直鎖のアルキル基又は前記飽和の分岐鎖のアルキル基は、1−4個の炭素の好適なものと共に、1−6個の炭素を有する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
前記線維症は、糸球体の硬化症、腎性の間質性の線維症、肝臓の線維症、肺の線維症、腓骨の線維症、心筋の線維症、及び皮膚の線維症、外科手術後の付着、良性の前立腺の肥大、筋骨格の線維症、強皮症、アルツハイマー病、線維化の血管の疾患、並びに緑内障を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記糸球体の硬化症は、糖尿病性の健康状態によって引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記腎性の間質性の線維症は、尿管の封鎖又は糖尿病のいずれかによるものである、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記肝臓の線維症は、住血吸虫の感染に由来するものである、請求項6に記載の使用。
【請求項10】
前記化合物の投与は、経口的な、注射の、又は局所的な適用によるものであり;前記化合物を、適合性の製薬の担体及び/又は他の薬物と共に処方することができる、請求項1乃至9のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2008−535871(P2008−535871A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505716(P2008−505716)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000651
【国際公開番号】WO2006/108354
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507296425)中南大学湘雅医院 (1)
【Fターム(参考)】