説明

噴射ノズル

本発明は、多様な用途として使用されうる噴射ノズルに係り、さらに詳細には、洗浄またはデバリングのために気体または液体を高圧で対象物の表面に噴射させるが、直線運動だけでも効率的に洗浄などを行うことができる噴射ノズルのための技術に関する。噴射ノズルには主な構成として、内部に空洞部が設けられて、供給される物質を複数の噴射孔を介して排出させる噴射ノズルにおいて、前記噴射孔は、噴射ノズルの先端部または外周面に形成されるが、曲率を有して空洞部から外部に向かって次第に断面積が広くなり、かつ曲がりつつ形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な用途として使用されうる噴射ノズルに係り、さらに詳細には、洗浄またはデバリングのために気体または液体を高圧で対象物の表面に噴射させるが、直線運動のみでも効率的に洗浄などを行うことができる噴射ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車または造船機資材などの産業全般にわたって、各種の部品は多様な機械加工を通じて製造され、加工表面には微細な異物やバリ(burr)が存在したり、最終的な設置以前に待機中のほこりなどが付着したりする。1次的な旋削加工後に研磨作業を行うとしても、保管または移送中に各種の異物が部品の表面に付着しうるため、最終的な組み立ての前に表面を洗浄する必要のある装置がある。
【0003】
すなわち、微細な異物の混入によっても機械装置の作動に深刻な問題を発生させうる場合には、このような洗浄またはデバリング作業は非常に重要なチェックポイントとなる。特に、深い穴に対する洗浄や、穴の中でも一側の閉鎖された穴のような部分に対する洗浄作業は非常に難しいと言える。
【0004】
以下、従来技術として知られた一般的な洗浄用噴射ノズルについて説明する。
【0005】
図1は、従来技術1による噴射ノズルの概略的な断面図である。図1に示すように、噴射ノズルnの中心部に形成される空洞部hを介して洗浄のための液体または気体が供給され、前記噴射ノズルの末端部の周辺の外周面の周りに複数の噴射孔10が前記空洞部hと連結されるように形成される。前記噴射孔は、一直線上の円形断面の開口された孔である。
【0006】
このような噴射ノズルを利用して深い穴を有する部品に対する洗浄を行うためには、前記噴射ノズルを洗浄液供給管と連結して、直線運動だけでなく回転運動をさせればこそ穴に対する洗浄作業が可能であった。しかし、従来技術1の場合、噴射孔が噴射ノズルの末端面ではない外周面に形成されるため、閉鎖された穴である場合、最も深い底部に対する洗浄ができなかった。
【0007】
さらに、噴射ノズルを直線運動させると同時に回転運動されるように装着せねばならないため、周辺装置が多くなり、サイズが大きくなるという問題点もあった。
【0008】
その他、韓国実用新案登録第386331号の食器洗浄機の噴射ノズル(以下、従来技術2と言う)、特許出願第10−2007−7031034号のスプレーヘッド用ノズル(以下、従来技術3という)、実用新案登録第427079号の超短型クリーニング・ノズル・アセンブリ(以下、従来技術4と言う)などが知られている。
【0009】
図2は、従来技術2による噴射ノズルの一実施形態を示す斜視図である。図2に示すように、ボディー71の上部に噴射ノズル設置孔31、41と締結されるネジ締結部72を設け、ボディーの下端の中央に噴射孔73を形成するが、前記噴射孔73の周りに放射状に複数の噴出通路74を設けたことを特徴とする技術である。この技術の場合、単純に内部に連結される噴出通路は直線状に形成され、一つの噴射孔73を介して洗浄水が排出されて、最終的に噴出通路から排出されるように構成される。
【0010】
図3は、従来技術3についての分解斜視図である。従来技術3でのスプレーヘッド用ノズルは、ノズルボディー14に対して渦巻きボディー18がネジ絞りノズル16によって結合される構造を有し、グルーブ44、環状ウェブ46、前記環状ウェブのあいだに形成されるさらに他のグルーブ48によって排出される材料が渦巻かれつつ、最終的にはノズルホール26を介して噴出される構造を有する。しかし、従来技術3は、ノズルホール26を介しての排出の前に材料に渦巻きが発生するが、最終的な排出時には一つのノズルホールを介して噴出されるため、効率的な洗浄のための目的に使用されるには限界がある。
【0011】
図4は、従来技術4によるノズルアセンブリを示す断面図であり、従来技術1と同様に、ノズルの外側に円形断面のノズル孔が形成されるため、多くの問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国実用新案登録第386331号
【特許文献2】特許出願第10−2007−7031034号
【特許文献3】実用新案登録第427079号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明では、噴射ノズルとして、小型でありながらも、高圧で洗浄などの目的として液体または気体を噴射させることができ、噴射ノズルを直線運動させるだけでも一端の密閉された穴のような、洗浄の容易ではない部分に対する洗浄などの作業を円滑に行うことができる噴射ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を達成するための本発明は、内部に空洞部が形成されて、供給される物質を複数の噴射孔を介して排出させる噴射ノズルにおいて、前記噴射孔は噴射ノズルの先端部及び外周面に形成されるが、曲率を有し、空洞部から外部に向かって次第に断面積が広くなり、かつ曲がりつつ形成されることを特徴とする噴射ノズルを提供する。
【0015】
好ましくは、前記噴射孔は部分的な重畳領域を有することを特徴とする噴射ノズルを提供する。
【0016】
さらに好ましくは、前記噴射孔は弧形の断面を有することを特徴とする噴射ノズルを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明による噴射ノズルは、深い穴または一端の密閉された穴のように、接近が容易ではない部分に対する効率的な洗浄及びデバリング作業が可能であり、広い表面積を有する部品に対する洗浄及びデバリング作業も迅速かつ効率よく処理することができ、直線運動だけでも穴の内径面全体に対する洗浄が可能であり、噴射ノズルを形成するための各種の付帯装置を簡略化することができる。
【0018】
また、本発明の噴射ノズルは、その構造的な特性上、噴射時に強い渦巻きを形成しつつ排出されて、高圧噴射用として非常に適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術1による噴射ノズルの概略的な断面図である。
【図2】従来技術2による噴射ノズルの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】従来技術3についての分解斜視図である。
【図4】従来技術4によるノズルアセンブリを示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による噴射ノズルの概略的な構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態による噴射ノズルであって、噴射ノズルの先端部に向かって形成される噴射孔の形状を示す正面図である。
【図7】前記噴射孔の開始基点と最終排出点の両方を示す正面図である。
【図8】一つの噴射孔のみを示す正面図である。
【図9】噴射孔の立体的な形状を示す例示図である。
【図10】本発明の第2実施形態による噴射ノズルを示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明による噴射ノズルについてさらに詳細に説明する。添付図面は本発明の技術的思想に基づいて一つの実施形態として示すものであり、単なる構造的な変更のような変形実施形態も本発明の権利範囲に含まれると理解されねばならない。
【0021】
本発明による噴射ノズルは、洗浄またはデバリングなどの用途として、高圧で各種の液体または気体を噴射させるために使用されることができ、洗浄液などが供給されるパイプに連結して直線運動させつつ、洗浄対象体の穴の内径面及び対象体の加工外面に対する掃除作業を行う。すなわち、噴射ノズルは、パイプの端部に溶接またはネジによって結合されることができ、前記パイプは直線運動される駆動手段と連結されて使用されることが好ましい。パイプ及び噴射ノズルを直線運動させる手段は、多様な公知の技術のうち選択的に適用することが可能であり、それについての説明は省略する。
【0022】
一方、本発明の噴射ノズルを利用するに当たって、高圧噴射される液体または気体は、水または特殊な成分が含まれた液状または気相のいかなるものでもよい。また、本発明の噴射ノズルを利用して深い穴または一端の密閉された穴の内径面に対してコーティング液を噴射させて表面コーティングのための用途としても活用することが可能であり、噴射ノズルのサイズを大きくして液状または気相だけでなく、ゾル(sol)状の物質または粒子成分を含む混合物質を供給あるいは排出させる用途としても活用することが可能である。
【実施例1】
【0023】
図5は、本発明の第1実施形態による噴射ノズルの概略的な構成を示す。図5に示すように、洗浄またはデバリングを目的として供給される物質が流入されるパイプpの端部に本発明の噴射ノズルnが結合される。前記パイプpを介して流入される液体あるいは気体などは噴射ノズルnに移動され、前記噴射ノズルには空洞部hが形成される。前記空洞部hが終わる部分より外部と連結される複数の噴射孔10が形成される。
【0024】
図6は、本発明の第1実施形態による噴射ノズルであって、噴射ノズルの先端部に向かって形成される噴射孔の形状を示す正面図である。図7は、前記噴射孔の開始基点と最終排出点の両方を示す正面図である。図8は、一つの噴射孔のみを示す正面図である。図9は、噴射孔の立体的な形状を示す例示図である。
【0025】
本実施形態では、前記噴射ノズルnの空洞部hから先端部に向かって4個の噴射孔10が形成されるが、前記それぞれの噴射孔10は曲率を有するように弧形の断面を有し、空洞部hから始まる開始基点10aから最終排出点10bに向かって次第に断面積が広くなるように形成される。特に、開始基点10aから最終排出点10bまでのそれぞれの噴射孔10は連続的に連結されるが、一直線ではない曲がりつつ形成されることを特徴とする。
【0026】
すなわち、本発明での噴射ノズルnに備えられる噴射孔10は、プロペラの一つの翼のように曲がる流路を形成しつつそれぞれの噴射孔10をなす。
【0027】
本実施形態での噴射孔10は、4個が噴射ノズルの先端部に形成されるが、空洞部hから始まって最終排出点10bに至ると、4個の噴射孔10が互いに部分的に重畳される領域をなす形状を有する。特に、空洞部hから始まる噴射孔10の開始基点10aの場合には、4個の開始基点10aが風車の翼のような形状を有する。それぞれの噴射孔10は弧形の断面を有し、ほぼ半円に及ばない曲がった形状を有する。
【0028】
図9に示すように、一つの噴射孔10は開始基点10aから最終排出点10bまで連続的に連結された流路を有するが、前記開始基点10aと最終排出点10bは同心円をなすことが好ましい。
【0029】
前記噴射孔10の最終排出点10bにおける噴出角度は、噴射ノズルのセンター軸を基準に15°ないし45°の角度を有する加工することが好ましい。前記噴射孔10の曲率値または具体的な位置噴射角度などは必要によって多様に変更可能である。すなわち、噴射ノズルのサイズ(噴射ノズルの外径)などを考慮して噴射孔の数、位置、具体的な曲率値などを異ならせることができることを意味する。
【実施例2】
【0030】
次いで、本発明による噴射ノズルであって、第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態による噴射ノズルを示す概略的な斜視図である。
【0031】
図10に示すように、第2実施形態での噴射ノズルは、噴射ノズルnの外周面に第1実施形態のような噴射孔10が備えられることを特徴とする。すなわち、空洞部の内径面から噴射孔の開始基点が形成されて、噴射ノズルの外周面に向かって最終排出点が設けられるように、噴射孔の断面積は次第に広くなり、かつ曲がる形状に形成される。
【0032】
前述のような本発明の噴射ノズルは、それぞれの噴射孔が弧形の断面を有し、プロペラの翼のように曲がりつつ連続的な流路を形成することによって、洗浄液などの噴出時に回転力が作用しつつ高圧噴射が可能であり、従来技術に比べてさらに高い噴射圧力を得ることができる。
【0033】
さらに、噴射される洗浄液などが回転しつつ前方に高圧噴射されるため、深い穴または一端の密閉された部分に対する洗浄も容易であり、穴全体の内径面に均一に洗浄液が到達されることができる。本発明による噴射ノズルは洗浄用途以外にも多様な用途として使用されることができ、穴の内径面に対する作業だけではなく、平面のような加工外面に対する洗浄などの作業時にも非常に有用に活用されうるということは言うまでもない。
【0034】
すなわち、本発明の噴射ノズルを利用すれば、噴射ノズルを直線方向のみに移動させても、360°全方向に対して均一な洗浄液の噴射が可能であるため、従来技術で要求された回転手段は不要である。
【0035】
産業上の利用可能性
噴射ノズルとしての本発明は、従来に知られたノズルの構造と全く異なり、独特の形状に噴射孔が形成されて、複雑な付加装置が結合されずとも高圧噴射が可能であるため、多様な産業分野に広く適用されうると期待される。
【符号の説明】
【0036】
10:噴射孔
10a:開始基点
10b:最終排出点
n:ノズル
h:空洞部
p:パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞部が形成されて、供給される物質を複数の噴射孔を介して排出させる噴射ノズルにおいて、
前記噴射孔は、噴射ノズルの先端部または外周面に形成されて、弧形の断面であり、隣合う噴射孔間に部分的な重畳領域を有し、空洞部から外部に向かって次第に断面積が広くなり、かつ曲がりつつ形成されることを特徴とする噴射ノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−523892(P2011−523892A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511521(P2011−511521)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002970
【国際公開番号】WO2009/148271
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510311595)
【Fターム(参考)】