説明

四環式化合物、その製造方法及びこれらを含む薬剤組成物

【課題】強力なドーパミン作動性リガンドとして作用する新しい四環式化合物、その製造方法及びこれらを含む薬剤組成物の提供。
【解決手段】ラセミ体であるか、又は光学異性体である、trans相対配置の式(I)の化合物。


(式中、Xは酸素原子又はNR2基を表し、Yは−CH2−、−(CH2)2−及び−CH=CH−から選択される基を表し、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又はアルキル、シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキルから選択される群を表す)で示される化合物、更には薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩、及びその水和物、薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい四環式化合物、その製造方法及びこれらを含む薬剤組成物に関する。
【0002】
更に具体的には、本発明は、ラセミ体であるか、又は光学異性体である、trans相対配置の式(I):
【0003】
【化6】

【0004】
[式中、
Xは、酸素原子又はNR2基を表し、
Yは、−CH2−、−(CH22−及び−CH=CH−から選択される基を表し、
1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキル(ここで、アルキル残基は、C1−C6であり、かつ直鎖又は分岐であり、そしてシクロアルキル残基は、C3−C8である)から選択される基を表す]で示される化合物、更には薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩、及びその水和物に関する。
【0005】
3−C8シクロアルキル基は、3員〜8員の単環式飽和炭化水素基であると理解される。
【0006】
薬剤学的に許容しうる酸としては、非限定例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ショウノウ酸及びジベンゾイル酒石酸を挙げることができる。
【0007】
本発明の1つの態様は、R1がアルキル基、特にプロピル基を表す、式(I)の化合物に関する。
【0008】
本発明の別の態様は、XがNR2基、特にNH基を表す、式(I)の化合物に関する。
【0009】
本発明の別の態様は、YがCH2基を表す、式(I)の化合物に関する。
【0010】
本発明の別の態様は、下記の式(I)の化合物に関する:
(4aRS,11bRS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]ベンゾオキサジン−10(2H)−オン、更にはそのエナンチオマー、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,11bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,11b−オクタヒドロ−10H−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−10−オン、及びまた薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,12bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,12b−オクタヒドロ−2H,11H−ピラノ[4’,3’:6,7]ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−11−オン、及びまた薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,9,10,12b−デカヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン、及びまた薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;並びに
(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,10,12b−オクタヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン、及びまた薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩。
【0011】
式(I)の化合物は、強力なドーパミン作動性リガンドとして作用する。
【0012】
ドーパミン作動性化合物は、精神病及び神経疾患における、そして末梢性には心血管疾患における、その有益な作用に基づいて治療において広く使用されている。
【0013】
5種のドーパミン作動性受容体サブタイプ(D1〜D5)が、これまでにクローン化及び特性決定されている。目下この分類の医薬の大多数は、ブロッカー(又はアンタゴニスト)として、又はアクチベーター(又はアゴニスト)としてのいずれかとして、D2サブタイプに及ぼすその作用によって、ドーパミン作動系に作用する。これらの医薬は、多くの副次的作用を有する:前者の場合には、ジスキネジア、高プロラクチン血症及び無月経、そして後者の場合には、心血管作用及び催吐作用である。
【0014】
2受容体とは対照的に、D3受容体の濃度は、黒質線条体核において、及びプロラクチン産生細胞において非常に低い(Pharmacol Ther. 2001, 90(2-3), 231-59;CNS Neurol Disord Drug Targets 2006, 5(1), 25-43)。その一方で、D2受容体と同様に、D3受容体の濃度は辺縁系では非常に高い(Pharmacol Ther. 2001, 90(2-3), 231-59;CNS Neurol Disord Drug Targets 2006, 5(1), 25-43)。これらの2種の受容体サブタイプの局在におけるこの顕著な差は、D3サブタイプに優先的に作用する新しい医薬の探索を促しているが、これと共に本明細書に前記のD2サブタイプに典型的に付随する副次的作用の最小化が必要である(Pharmacol Ther. 2001, 90(2-3), 231-59;J Pharmacol Exp Ther. 2004, 309(3), 936-50;J Pharmacol Exp Ther. 2004, 309(3), 921-35;CNS Neurol Disord Drug Targets 2006, 5(1), 25-43)。
【0015】
二置換trans−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b]−1,4−オキサジンは、特許明細書EP 0,899,267にドーパミン作動性リガンドとして記述されている。
【0016】
本発明の化合物は、D3受容体の優先的リガンドとして挙動し、D2受容体に対する親和性は低い。
【0017】
この特徴により、本発明の化合物は、低レベルの副次的作用を示すという事実のために特に有用になっている。
【0018】
数々の試験により、中枢神経系の多数の疾患の治療における、これらの作用機序及び使用の価値を確認している。
【0019】
詳細には、本発明の化合物は、シナプス前ドーパミン作動性自己受容体活性化試験、強制水泳試験、超音波発声試験、及び6−OH−DA−病変ラットでの回転試験において、その活性を示している。
【0020】
これらの結果により、本発明の生成物は、パーキンソン病(Pharmacol Ther. 2001, 90(2-3), 231-59;J Pharmacol Exp Ther. 2004, 309(3), 936-50;CNS Neurol Disord Drug Targets 2006, 5(1), 25-43)、高プロラクチン血症(Pharmacol Ther. 2001, 90(2-3), 231-59;Curr Opin Obstet Gynecol. 1993, 5(3), 360-7)、性機能障害(Physiol Behav. 2004, Vol 83, 291-307;J Neurosci. 1999, Vol 19, 456-463)、鬱病(Pharmacol Ther. 2006, 110(2), 135-370;J Pharmacol Exp Ther. 2004, 309(3), 936-50)、不安(Prog Neurobiol. 2003, 70(2), 83-244;J Pharmacol Exp Ther. 2004, 309(3), 936-50)、アルツハイマー病、及び脳卒中のような他の神経変性疾患(Eur J Neurosci. 2005, 22(10), 2422-30;Glia. 2005, 52(4), 336-43;J Neurosci. 2006, 26(27), 7272-80;Brain 1999, 122(Pt8), 1449-68;J Neurosci Res. 2002, 67(4), 494-500)などのドーパミン作動系に影響を及ぼす中枢神経系の障害の神経防護に対して、及び治療に対して提案することができる。
【0021】
本発明はまた、式(I)の化合物の製造方法であって、trans相対配置の式(II):
【0022】
【化7】

【0023】
[式中、R1は、式(I)と同義である]で示される化合物から出発して、
これをピリジンの存在下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)と反応させることにより、式(III):
【0024】
【化8】

【0025】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
これを熱い状態でジメチルホルムアミド中でシアン化亜鉛及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)と反応させることにより、式(IV):
【0026】
【化9】

【0027】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
これを還流下で塩酸と酢酸の混合物で処理することにより、式(V):
【0028】
【化10】

【0029】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
次にこれを有機化学の従来の反応により式(I)の化合物に変換することを特徴とする方法に関する。
【0030】
一例として、XがNHを表し、そしてYがCH2を表す、式(I)の化合物は、従来のアミド化条件下での式(V)の化合物とジエチルアミンとの反応により得ることができるが、この反応により式(VI):
【0031】
【化11】

【0032】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これをオルトメタル化条件下でシアン酸フェニルと反応させることにより、式(VII):
【0033】
【化12】

【0034】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、例えば、ラネーニッケルのような従来の還元剤を用いて還元することにより、式(VIII):
【0035】
【化13】

【0036】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、tert−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物の存在下で環化することにより、式(I)の化合物の特定の場合である、式(Ia):
【0037】
【化14】

【0038】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0039】
XがOを表し、そしてYがCH2を表す、式(I)の化合物は、オルトメタル化条件下での式(VI)の化合物とジメチルホルムアミドとの反応により得ることができるが、この反応により、式(IX):
【0040】
【化15】

【0041】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを水素化ホウ素ナトリウムのような選択的還元剤を用いて還元することにより、式(X):
【0042】
【化16】

【0043】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、塩酸のような有機又は無機酸の存在下で環化することにより、式(I)の化合物の特定の場合である、式(Ib):
【0044】
【化17】

【0045】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0046】
XがNR’2基[ここで、R’2は、直鎖又は分岐のC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキル(ここで、アルキル残基は、C1−C6であり、かつ直鎖又は分岐であり、そしてシクロアルキル残基は、C3−C8である)から選択される基を表す]を表し、そしてYがCH2基を表す、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物と式:NH2R’2の第1級アミンとの反応により得ることができるが、この反応により式(I)の化合物の特定の場合である、式(Ic):
【0047】
【化18】

【0048】
[式中、R1及びR’2は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0049】
XがNHを表し、そしてYが−(CH22−を表す、式(I)の化合物は、式(X)の化合物と、塩化チオニル若しくは臭化チオニルのようなハロゲン化剤との、又は式:CG4[ここで、Gは、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す]の化合物とのPPh3の存在下での反応により得ることができるが、この反応により、式(XI):
【0050】
【化19】

【0051】
[式中、R1は、前記と同義であり、そしてGは、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す]で示される化合物が得られ、
これを、シアン化テトラブチルアンモニウム、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウムのようなシアン化剤と反応させることにより、式(XII):
【0052】
【化20】

【0053】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、ラネーニッケルのような従来の還元剤を用いて還元することにより、式(XIII):
【0054】
【化21】

【0055】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、tert−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物を用いて環化することにより、式(I)の化合物の特定の場合である、式(Id):
【0056】
【化22】

【0057】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0058】
XがOを表し、そしてYが−(CH22−を表す、式(I)の化合物は、式(VI)の化合物と、オルトメタル化条件下でのn−ブチルリチウムの存在下でのブロモエタノールとの反応により得ることができるが、この反応により、式(XIV):
【0059】
【化23】

【0060】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、塩酸のような有機又は無機酸を用いて環化することにより、式(I)の化合物の特定の場合である、式(Ie):
【0061】
【化24】

【0062】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0063】
XがNR’2基[ここで、R’2は、直鎖又は分岐のC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキル(ここで、アルキル残基は、C1−C6であり、かつ直鎖又は分岐であり、そしてシクロアルキル残基は、C3−C8である)から選択される基を表す]を表し、そしてYが−(CH22−基を表す、式(I)の化合物は、式(Ie)の化合物と、式:NH2R’2の第1級アミンとの反応により得ることができるが、この反応により、式(I)の化合物の特定の場合である、式(If):
【0064】
【化25】

【0065】
[式中、R1及びR’2は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0066】
XがNHを表し、そしてYがCH=CHを表す、式(I)の化合物は、式(V)の化合物と、塩化チオニルのような塩素化剤との反応により得ることができるが、この反応により、式(XV):
【0067】
【化26】

【0068】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これをメトキシルアミン塩酸塩と、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で反応させることにより、式(XVI):
【0069】
【化27】

【0070】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、オルトメタル化条件下でヨウ化メチルと反応させることにより、式(XVII):
【0071】
【化28】

【0072】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを、sec−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物の存在下でジメチルホルムアミドと反応させることにより、式(XVIII):
【0073】
【化29】

【0074】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られ、
これを塩化チタン(III)と反応させることにより、式(I)の化合物の特定の場合である、式(Ig):
【0075】
【化30】

【0076】
[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物が得られる。
【0077】
式(II)の出発化合物は、既知物質から出発して、文献に記載されている手順により調製される。
【0078】
(4aRS,11bRS)又は(4aRS,10bRS)異性体とは、それぞれ、絶対配置(4aR,11bR)と(4aS,11bS)、又は(4aR,10bR)と(4aS,10bS)を有するエナンチオマーのラセミ混合物であると理解される。
【0079】
式(I)の化合物の光学活性型は、光学活性型の式(II)の出発化合物から出発することによるか、又は文献から既知の方法によりラセミ体の式(I)の化合物を分割することによるかのいずれかにより得られる。
【0080】
本発明の化合物はドーパミン作動性リガンドである。これらは、パーキンソン病、高プロラクチン血症、性機能障害、鬱病、不安、アルツハイマー病、及び脳卒中のような他の神経変性疾患などの、ドーパミン作動系に影響を及ぼす中枢神経系の障害の治療における医薬として有用である。
【0081】
本発明はまた、活性成分として式(I)の化合物又は薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩を、1つ以上の不活性で非毒性の薬剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と併せて含むことを特徴とする、薬剤組成物に関する。
【0082】
本発明の薬剤組成物としては、特に経口、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、経皮(per- or trans-cutaneous)、鼻内、直腸内、経舌、眼内又は呼吸器内投与に適したもの、そして特に錠剤又は糖衣錠、舌下錠、ゼラチンカプセル剤、カプセル剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚用ゲル剤、注射用又は飲用調剤、エーロゾル剤、点眼剤及び点鼻剤に言及することができる。
【0083】
有用な用量は、患者の年齢及び体重、投与経路、障害の性質及び重篤度、並びに任意の併用療法の適用により変化し、そして1日に1回以上の投与で0.5〜500mgの範囲である。
【0084】
以下の実施例により本発明を説明する。実施例に記述される化合物の構造は、通常の分光学的手法(赤外線、核磁気共鳴、質量分析)により求めた。
【0085】
実施例1:(4aRS,11bRS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]ベンゾオキサジン−10(2H)−オン及びその塩酸塩
工程A:(4aRS,10bRS)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
塩化メチレン(815ml)に懸濁したtrans−(4aRS,10bRS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト−[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボン酸塩酸塩(特許明細書EP O 899 267に記載の手順に従って調製)51g(163mmol)に、ジエチルアミン(18.3ml、177mmol、1.09当量)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)(57g、177mmol、1.07当量)、次にトリエチルアミン(56ml、402mmol、2.4当量)を連続して加えた。得られた溶液を周囲温度で20時間撹拌し、次に反応混合物を1N水酸化ナトリウム溶液(425ml)で処理した。有機相を分離し、飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次に減圧下で濃縮した。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(90/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を油状物の形態で回収した。
IR: 1629 cm-1
N.M.R. 1H 300MHz (CDCl3) : 7.60; 7.25; 7.10; 4.30; 4.10; 3.95; 3.7-3.15; 3.00-2.75; 2.50; 2.4-2.2; 1.7-1.4; 1.35-1.00; 0.95.
【0086】
工程B:(4aRS,10bRS)−N,N−ジエチル−8−シアノ−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(220ml)に溶解した上記工程で得たアミド(12g、36mmol)を、−78℃に冷却したヘキサン(40ml)中のs−BuLi(1.3M)及びテトラヒドロフラン(240ml)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(8.2ml)の溶液に、内部温度を−65℃未満に保ちながら加えた。得られた混合物を−70℃の温度で1時間30分撹拌した。シアン酸フェニル(PhOCN)(12g)を、内部温度を−65℃未満に保ちながら加えた。混合物を−65℃で5分間撹拌し、次に反応混合物を1時間30分かけて周囲温度に戻し、次に周囲温度で1時間撹拌した。混合物をテトラヒドロフラン中10%水溶液を用いて加水分解し、エチルエーテルで抽出し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(95/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を油状物の形態で得た。
IR: 2228 cm-1; 1632 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (CDCl3): 7.65; 7.40; 4.30; 4.05; 3.90; 3.60; 3.25; 3.05-2.75; 2.50-2.15; 1.8-l.4; 1.15; 0.95.
【0087】
工程C:(4aRS,10bRS)−8−(アミノメチル)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
メタノール(60ml)に溶解した上記工程で得たニトリル(0.61g、1.7mmol)を、水素で4barの圧力下にてラネーニッケル(1g)の存在下、60℃で4時間処理した。周囲温度に戻した後、触媒を濾別し;次に濾液を濃縮した。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール/アンモニア(90/10/1)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を無定形の固体の形態で得た。
IR: 3388-3314 cm-1, 1626 cm-1.
N.M.R. 1H (CDCl3): 7.35, s, 1H; 7.10, s, 1H; 4.30, d, 1H; 4.05, dd, 1H; 3.90, dt, 1H; 3.75, s, 2H; 3.55, q, 2H; 3.20, q, 1H; 2.85, m, 1H; 2.90, m, 2H; 2.80, m, 1H; 2.30, m, 1H; 2.30, m, 1H; 1.55, m, 1H; 1.50, m, 2H; 1.30, t, 3H; 1.05, t, 3H; 0.90, t, 3H.
【0088】
工程D:(4aRS,11bRS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]−ベンゾオキサジン−10(2H)−オン及びその塩酸塩
tert−ブチルリチウム(ペンタン中1.5M)(10ml)の溶液を、テトラヒドロフラン(200ml)中の上記工程で得たアミン(1.8g)の溶液に加えた。得られた混合物を−75℃で15分間、及び−40℃で20分間撹拌し、次にテトラヒドロフラン中10%水溶液を用いて加水分解した。塩化メチレンの存在下で分離した後、乾燥し、減圧下で濃縮して、目的生成物を白色の固体、メタノールから結晶化した塩酸塩の形態で単離した。
IR: 1691 cm-1; 3183 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (CDCl3): 8.09, s, 1H; 7.16, s, 1H; 6.68, unresolved peak, 1H; 4.38, m, 1H; 4.35, d, 1H; 4.09, m, 1H; 3.95, td, 1H; 3.00, m, 2H; 2.89, d, 1H; 2.82, m, 1H; 2.46, td, 1H; 2.29, m, 3H; 1.64, m, 1H; 1.53, m, 2H; 0.92, t, 3H.
【0089】
実施例2:(4aR,11bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]−ベンゾオキサジン−10(2H)−オン及びその塩酸塩
【0090】
実施例1の工程Dで得た生成物700mgを、Chiralcel(商標)ODカラム上に配置し、イソプロパノール及びトリフルオロ酢酸の200:1混合物を移動相として用いて、HPLCにより分離した。目的生成物をまず溶離した。水酸化ナトリウムで、次に2Mエーテル性塩化水素溶液で処理した後、目的生成物の塩酸塩を得た。
融点:287−291℃
旋光度:溶媒=メタノール
濃度=1%
温度=20℃
λ.=589nm
D =+52.4
【0091】
実施例3:(4aS,11bS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]−ベンゾオキサジン−10(2H)−オン及びその塩酸塩
実施例2で溶離した第2生成物は、目的生成物に相当した。水酸化ナトリウムで、次に2Mエーテル性塩化水素溶液で処理した後、目的生成物の塩酸塩を得た。
融点:302−308℃
旋光度:溶媒=メタノール
濃度=1%
温度=20℃
λ.=589nm
D =−53.9
【0092】
実施例4:(4aR,11bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,11b−オクタヒドロ−10H−フロ[3’,4’:6,7]−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−10−オン及びその塩酸塩
【0093】
工程A:(4aR,10bR)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]−オキサジン−9−カルボキサミド
(4aR,10bR)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボン酸塩酸塩(α=+90.6、20℃にて、メタノール中1%濃度)を実施例1の工程Aのように処理して、目的生成物を得た。
【0094】
工程B:(4aR,10bR)−N,N−ジエチル−8−ホルミル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト−[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(10ml)に溶解した上記工程で得たアミド(2g、6.05mmol)を、−78℃に冷却したs−BuLi(1.3M、7.86ml)及びテトラヒドロフラン(25ml)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(1.2ml、7.9mmol)の溶液に、温度を全体に−65℃未満に保ちながら加えた。得られた混合物を1時間30分撹拌し、次にN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)を内部温度を−65℃未満に保ちながら加えた。混合物を−65℃で5分間撹拌し;次に反応混合物を1時間30分かけて周囲温度に戻し、その温度で1時間撹拌した。テトラヒドロフラン中10%水溶液を用いて加水分解した後、エチルエーテルで抽出し、乾燥し、濃縮して、得られた残渣を、溶離混合剤(塩化メチレン/エタノール:95/5)を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を油状物の形態で回収した。
IR: 2940-1696 cm-1; 1 628 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (CDCl3): 9.90, s, 1H; 7.70, s, 1H; 6.30, s, 1H; 4.25, d, 1H; 4.OO, m, 1H; 3.80, m, 1H; 3.45, q, 2H; 3.00, q, 2H; 3.00-2.70, m, 4H; 2.35-2.05, m, 4H; 1.45, m, 3H; 1.20, t, 3H; 0.90, t, 3H; 0.85, t, 3H.
【0095】
工程C:(4aR,11bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,11b−オクタヒドロ−10H−フロ[3’,4’:6,7]ナフト−[1,2−b][1,4]オキサジン−10−オン及びその塩酸塩
上記工程で得たアルデヒド(3.5g)をメタノール(35ml)に溶解した。0℃に冷却した溶液を水素化ホウ素ナトリウム(0.45g)で処理した。反応混合物を周囲温度に戻しながら20時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し;次に6N塩酸溶液(7ml)を加えた。得られた混合物を20時間加熱還流した。周囲温度に戻した後、目的生成物の塩酸塩を単離し、メタノールから再結晶化した。
融点: 268-271℃
IR: 2780 cm-1, 2140 cm-1, 1746 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) :
11.90, m, 1H; 7.80, s, 1H; 7.50, s, 1H; 5.40, s, 2H; 5.10, d, 1H; 4・25, m, 2H; 3.60, m, 1H; 3.45-3.15, m, 3H; 3.15-2.95, m, 3H; 2.55, m, 1H; 2.10, m, 1H; 1.75 (sext), 2H; 0.95 (t), 3H.
【0096】
実施例5:(4aR,12bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,12b−オクタヒドロ−2H,11H−ピラノ−[4’,3’:6,7]ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−11−オン及びその塩酸塩
【0097】
工程A:(4aR,10bR)−8−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(60ml)に溶解した実施例4の工程Aで得たアミド(5g、15mM)を、−78℃に冷却したヘキサン(14.7ml)中のs−BuLi(1.3M)及びテトラヒドロフラン(65ml)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(3ml)の溶液に、内部温度を−65℃未満に保ちながら加えた。得られた混合物を−70℃の温度で30分間撹拌した。リチウム化ブロモエタノール[テトラヒドロフラン中のブロモエタノール及びn−BuLi(ヘキサン2.5M)から調製]の溶液を、内部温度を−65℃未満に保ちながらカニューレにより移した。混合物を−65℃で5分間撹拌し;反応混合物を1時間30分かけて周囲温度に戻し、撹拌を更に1時間続けた。テトラヒドロフラン中10%水溶液を用いて加水分解し、塩化メチレンで抽出し、乾燥と濃縮を行った。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(90/10)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を油状物の形態で単離した。
IR: 3600-3090 cm-1; 1621 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 7.10, s, 1H; 7.00, s, 1H; 4.60, t, 1H; 4,15, d, 1H; 3.95, d, 1H; 3.75, t, 1H; 3.50, m, 2H; 3.40, m, 2H; 3.05, m, 2H; 2.80, m, 2H; 2.60, m, 2H; 2.30-2.00, m, 5H; 1.55-1.35, m, 4H; 1.15, t, 3H; O.95, t, 3H; 0.85, t, 3H.
【0098】
工程B:(4aR,12bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,12b−オクタヒドロ−2H,11H−ピラノ[4’,3’:6,7]−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−11−オン及びその塩酸塩
6N塩酸溶液(2.1ml)を、メタノール(9ml)中の上記工程で得た生成物(1.08g、2.88mmol)の溶液に周囲温度で加えた。得られた混合物を20時間加熱還流した。周囲温度に戻した後、形成した沈殿物を濾過して、目的生成物の塩酸塩を得た。
融点: 275-279℃
IR: 2401 cm-1, 1712 cm-1, 1620 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 11.50, m, 1H; 8.00, s, 1H; 7.21, s, 1H; 4.95, dd, 1H; 4.50, t, 2H ; 4.25, d, 2H; 3.60, m, 1H; 3.28, m, 3H; 3.05, m, 5H; 2.50, m, 1H; 2.00, m, 1H; 1.75, m, 2H; 1.00, t, 3H.
【0099】
実施例6:(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,9,10,12b−デカヒドロ−11H−イソキノ−[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン及びその塩酸塩
【0100】
工程A:(4aR,10bR)−8−ヒドロキシメチル−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
実施例4の工程Bで得たアルデヒド(0.85g、2.4mmol)をメタノール(10ml)に溶解した。0℃に冷却した溶液を水素化ホウ素ナトリウム(0.16g、4.23mmol)で処理した。反応混合物を周囲温度に戻しながら20時間撹拌した。メタノールを減圧下で蒸発した。残渣を水及び塩化メチレンに取った。分離した後、乾燥し、濃縮して、得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(95/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を油状物の形態で得た。
IR: 3600-3070 cm-1; 1627 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 7.20, s, 1H; 7.10, s, 1H; 5.10, t, 1H; 4.35, d, 1H; 4.20, d, 1H; 4.00, m, 1H; 3・80, m, 1H; 3.40, q, 2H; 3.10, q, 2H; 2.80, m, 4H; 2.40-2.00, m, 4H; 1.45, m, 3H; 1.10, t, 3H; 0.95, t, 3H; 0.85, t, 3H.
【0101】
工程B:(4aR,10bR)−8−クロロメチル−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
トルエンに溶解した上記工程で得たアルコールを、塩化チオニル(0.4ml)で処理した。混合物を周囲温度で20時間撹拌した。トルエンを減圧下で蒸発した。残渣を水及び塩化メチレンに取った。分離した後、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥して、目的化合物を油状物の形態で得た。
IR: 1627 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 7.25, s, 1H; 7.20, s, 1H; 4.65, d, 1H; 4.20, d, 1H; 4・OO, dd, 1H; 3.80, td, 1H; 3.45, q, 2H; 3・10, q, 2H; 2.90-2.70, m, 4H; 2.40-2.05, m, 4H; 1.6-1.35, m, 3H; 1.25, t, 3H; 1.00, t, 3H; 0.90, t, 3H.
【0102】
工程C:(4aR,10bR)−8−シアノメチル−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(15ml)に溶解した上記工程で得た化合物(0.64g、1.68mmol)を、シアン化テトラブチルアンモニウム(0.8g、2.98mmol)で20時間処理した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を水及び塩化メチレンに取った。分離した後、乾燥し、次に濃縮して、目的ニトリルを油状物の形態で得た。
IR: 1628 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 7.20, 2s, 2H; 4.20, d, 1H; 4.00, dd, 1H; 3.80, m+s, 3H; 3.45, q, 2H; 3.10, q, 2H; 2.90-2.70, m, 4H; 2.35-2.05, m, 4H; 1.55-1.35, m, 3H; 1.15, t, 3H; 1.00, t, 3H; 0.85, t, 3H.
【0103】
工程D:(4aR,10bR)−8−(2−アミノエチル)−N,N−ジエチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボキサミド
メタノール(250ml)に溶解した上記工程で得た化合物(2.7g、7.3mmol)を、水素で4barの圧力下にてラネーニッケル(1g)の存在下、60℃で4時間処理した。周囲温度に戻した後、触媒を濾別し;次に濾液を濃縮した。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール/アンモニア(90/10/1)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を無定形の固体の形態で単離した。
IR: 3360-3310 cm-1, 1626 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 7.10, s, 1H; 7.00, s, 1H; 4.20, d, 1H; 4.00, m, 1H; 3.80, m, 1H; 3.45, q, 2H; 3.10, q, 2H; 2.9-2.7, m, 4H; 2.50, m, 2H; 2.4-2.05, m, 4H; 1.6-1.3, m, 3H; 1.20, t, 3H; 1.00, t, 3H; 0.90, t, 3H.
【0104】
工程E:(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,9,10,12b−デカヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]−ベンゾオキサジン−11−オン及びその塩酸塩
ペンタン(1.9ml、3.21mmol)中のtert−ブチルリチウムの1.5M溶液を、テトラヒドロフラン(45ml)中の上記工程で得たアミン(0.40g)の溶液に加えた。得られた混合物を−78℃で10分間、次に−40℃で20分間撹拌した。混合物をテトラヒドロフラン中10%水溶液を用いて加水分解した。塩化メチレンの存在下で分離した後、乾燥し、減圧下で濃縮して、得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(90/10)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を無定形の固体、酢酸エチルから結晶化した塩酸塩の形態で単離した。
融点: 263-265℃
IR: 1666 cm-1
N.M.R. 1H (DMSO-d6) : 7.90, s, 1H; 7.10, s, 1H; 5.00, d, 1H; 4.25, m, 2H; 3.60, m, 1H; 3.4-3.15, m, 5H; 3.00, m, 3H; 2.85, m, 2H; 2.50, m, 2H; 2.00, m, 1H; 1.75, m, 2H; 1.00, t, 3H.
【0105】
実施例7:(4aR,11bR)−9−メチル−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ−[5,6−h][1,4]ベンゾオキサジン−10(2H)−オン及びその塩酸塩
40%メチルアミン水溶液(10ml)に溶解した実施例4の生成物(1g、3.08mmol)を、オートクレーブ中で120℃で16時間加熱した。周囲温度に戻した後、混合物を塩化メチレンで抽出し;有機相をMgSOで乾燥した。濃縮して残渣を得て、それを塩化メチレン/エタノール(95/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を白色の固体、アセトニトリルから結晶化した塩酸塩の形態で得た。
融点: 240-245℃
IR: 1692 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 8.00, s, 1H; 7.10, s, 1H; 4.35, d, 1H; 4,30, s, 2H; 4.10, m, 1H; 3.95, m, 1H; 3.20, s, 3H; 3.00, m, 2H; 2.90, m, 1H; 2.85, m, 1H; 2.50, m, 1H; 2,30, m, 3H; 1.7-1.4, m, 3H; O.90, t, 3H.
【0106】
実施例8:(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,10,12b−オクタヒドロ−11H−イソキノ−[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン及びその塩酸塩
【0107】
工程A:(4aR,10bR)−9−(4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン)−カルボン酸クロリド
塩化チオニル3.6ml(41.7mmol)を、(4aR,10bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−9−カルボン酸(10g、32mmol)に滴下し、無水トルエン(100ml)及びジメチルホルムアミド(0.15ml)に懸濁した。得られた混合物を1時間加熱還流した。周囲温度に戻した後、混合物を濾過し;固体残渣をトルエンで洗浄した。固体をオーブン中で減圧下にてPの存在下で一定重量まで乾燥して、目的生成物を得た。
IR: 2457 cm-1; 1753 cm-1; 814-775 cm-1.
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 8.05 (s) 1H; 7.80 (dd) 1H; 7.30 (d) 1H; 5.05 (d) 1H; 4.30 (m) 2H; 3.60 (d) 1H; 3.50 (NH) 1H; 3.30 (m) 3H; 3.00 (m) 3H; 2.50 (m) 1H; 2.10 (m) 1H; 1.75 (m) 2H; 0.95 (t), 3H.
【0108】
工程B:(4aR,10bR)−9−(4−プロピル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン)−カルボン酸メトキシメチルアミド
メトキシルアミン塩酸塩2.62g(31.3mmol)を、水(31ml)中の炭酸カリウム(13g、94mmol)及び酢酸エチル(62ml)の混合物に加えた。0℃に冷却した混合物に、工程Aの酸塩化物(10.35g、31.3mmol)を温度を5℃未満に保ちながら少量ずつ加えた。混合物を0℃で2時間撹拌した。酢酸エチル及び水を加え、周囲温度に戻した後、混合物を分離し;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次に減圧下で濃縮して、目的生成物を固体の形態で得た。
融点: 147-152℃
IR: 3194 cm-1, 2870 cm-1, 2803-2767 cm-1, 1650 cm-1, 1272-1126 cm-1, 834-760 cm-1..
N.M.R. 1H 300MHz (DMSO-d6) : 11.60 (s) 1H; 7.82 (s) 1H; 7.55 (dd) 1H; 7.18 (d) 1H; 4.20 (d) 1H; 4.00 (dd) 1H; 3.80 (td) 1H; 2.7 to 3.00 (m) 3H; 2.30 (m) 2H; 2.05 to 2.2 (m) 2H; 1.45 (m) 3H; 0.88 (t) 3H.
【0109】
工程C:(4aR,12bR)−10−メトキシ−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,10,12b−オクタヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン
テトラヒドロフラン(40ml)中の工程Bで得たアミド(4g、13.14mmol)の溶液を、−78℃に冷却したs−BuLi(24ml、31.53mM)及びテトラヒドロフラン(90ml)中のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(4.8ml、31.53mmol)の溶液に、温度を−70℃未満に保ちながら加えた。反応混合物を−20℃の温度に戻し、次に平均温度−10℃で45分間撹拌した。混合物を再度−78℃に冷却し、ヨウ化メチル(0.9ml、14.45ml)を加えた。温度を0℃に戻し、次に周囲温度にした。飽和塩化アンモニウム溶液を用いて加水分解を行った。エチルエーテルを加えた後、混合物を分離し;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次に減圧下で濃縮した。s−BuLi(21.4ml、27.8mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(83ml)中の得られた残渣(4.04g)の溶液に加えた。−78℃への冷却と、その温度での2時間の撹拌を行った。温度を−70℃未満に保ちながら、ジメチルホルムアミド(1.13ml、14.6mmol)を混合物に加え、それをその温度で10分間撹拌し、その後周囲温度に戻した。飽和塩化アンモニウム溶液を用いて加水分解を行った。エチルエーテルを加えた後、混合物を分離し;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次に減圧下で濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(330ml)に取り、濃塩酸(13.5ml)を加え、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。濃水酸化ナトリウム溶液で処理し、酢酸エチルで抽出し、水及び塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、次に減圧下で濃縮した。得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(95/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物をベージュ色の固体の形態で単離した。
融点: 142-145℃
N.M.R. 1H 400MHz (CDCl3): 8.65, 7.25, 7.22, 6.35, 4.47, 4.12-4.03, 4.05, 3.00 ppm
【0110】
工程D:(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,10,12b−オクタヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]−ベンゾオキサジン−11−オン及びその塩酸塩
水(7.6ml)中のTiClの15%溶液を、エタノール(3.3ml)中の工程Cの化合物(1.1g、3.35mmol)の溶液に加えた。反応混合物を45℃で24時間加熱した。毎日15%TiC1溶液(3.5ml)を加えながら6日間加熱を続けた。周囲温度に戻した後、混合物を水(30ml)及び氷(30g)で処理し、次に35%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH13〜14でアルカリ性にした。黒色の懸濁液を、完全に脱色するまで圧縮空気を流して処理した。塩化メチレンで抽出した後、乾燥し、濃縮して、得られた残渣を、塩化メチレン/エタノール(95/5)の溶離混合剤を用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。目的生成物を白色の固体、アセトニトリルから結晶化した塩酸塩の形態で単離した。
融点: 200-203℃
IR: 3457 cm-1, 3162 cm-1, 1632 cm-1.
N.M.R. 1H 400MHz (DMSO-d6) : 11.10 (m) 2H; 8.25 (s) 1H; 7.40 (s) 1H; 7.10 (t) 1H; 6.40 (d) 1H; 4.95 (d) 1H; 4.25 (m) 2H; 3・60 (d) 1H; 3.3-3.0 (2m) 2H; 3.0.5-2.00 (2m) 4H; 1.70 (m) 2H; 0.95 (t) 3H.
【0111】
薬理学的試験
実施例9:ヒトD2及びD3受容体結合試験
細胞培養
CHO(チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary))細胞は、文献から知られている方法により、ヒトドーパミンD2又はD3受容体をコードする遺伝子で安定にトランスフェクトする。未変性細胞は、酵素のDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DiHydroFolate Reductase))が欠けている。細胞は、5% CO2、95%空気の湿潤な雰囲気で37℃のインキュベーターで培養する。トランスフェクションは、リポフェクチン(Lipofectin)(ギブコ(Gibco))を用いて実施する。ヒトD2受容体とフレオマイシン耐性遺伝子で同時トランスフェクトしたCHO細胞は、培地中のその抗生物質の存在に対する耐性について選択する。ヒトD3受容体でトランスフェクトした細胞は、メトトレキサートの存在下で、ヒポキサンチン/チミジンを欠いた培地中で選択する。使用した培地の組成は以下である:CHO−D2には、10%ウシ胎仔血清及びヒポキサンチン/チミジンを補足したDMEM(ダルベッコー修飾イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium));そしてCHO−D3には、10%透析ウシ胎仔血清を補足したDMEM。細胞は、コンフルエンスになったら回収し、次に膜を調製する。
【0112】
膜調製:
0.2%トリプシンの存在下で数分後、細胞を回収して、2,000gで5分間遠心分離する。5mM MgSO4を含む10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)に再懸濁した細胞塊は次に、ポリトロン(Polytron)(登録商標)を用いてホモジェナイズする。次にこのホモジェネートを50,000gで15分間遠心分離し、そして沈殿物は、以下の組成を持つインキュベーション緩衝液に、穏やかな超音波処理により再懸濁する:120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2、5mM MgCl2を含む50mMトリス−HCl(pH7.5)。次にこの膜をアリコートに分割して、実験の日まで−80℃で貯蔵する。
【0113】
結合実験
インキュベーションは、以下を含む400μlの最終容量で、ポリプロピレンチューブ中で実施する:
100μlの[125I]−ヨードサルプリド(iodosulpride)(アマーシャム(Amersham))[D2及びD3受容体について、それぞれ0.1nM及び0.2nM]
100μlの緩衝液(全チューブ)、又は
100μlの10μMラクロプリド(raclopride)(非特異的結合)、又は
100μlの化合物
200μlの膜調製物[0.2% BSA(ウシ血清アルブミン)を加えた緩衝液中にD2及びD3受容体を含む]。
【0114】
各化合物の濃度範囲は、少なくとも三重測定した7点を含む。各実験は少なくとも2回繰り返す。30℃で30分間続くインキュベーションは、ブランドル(Brandle)装置による迅速濾過と、これに続く120mM NaClを含むトリス−HCl緩衝液(pH7.4)での連続3回の水洗によって停止させる。フィルターを回収し、次にガンマカウンターを用いて計数に付す。
【0115】
結果の解析
放射性リガンドの結合を50%阻害する濃度を表すIC50は、非線形回帰(プリズム・グラフ法(Prism Graph method))により算出する。Ki値は、式:Ki=IC50/(1+L/Kd)[ここで、Lは、実験に使用された[125I]−ヨードサルプリドの濃度であり、そしてKdは、その解離定数である]から誘導する。結果は、pKi(pKi=−logKi)の形で表す。
【0116】
ヒトD2及びD3受容体について、Kd値は、それぞれ0.5nM及び1.31nMである。
【0117】
結果
【表1】

【0118】
実施例10:シナプス前ドーパミン作動性自己受容体活性化。
ラットの腹側被蓋領域における単一の細胞外電気的活動を記録する試験。
原理
ドーパミン作動性アゴニストの投与は、用量依存的にニューロン放電周波数を低下させる。この作用は、ドーパミン作動性アンタゴニストのハロペリドールにより逆転する。
【0119】
方法
ラットは、抱水クロラール(400mg/kg、腹腔内)を用いて麻酔し、大腿静脈にカテーテル挿入後に定位装置(ウニメカニーク(Unimecanique)、フランス)に入れる。麻酔のレベルは、1時間毎の抱水クロラールの腹腔内投与により維持する;直腸温は、サーモスタット制御加熱毛布を用いて37±1℃に保持する。タングステン微小電極(10MΩ、1μm)は、マイクロ電子駆動装置(electronic microdrive)(ウニメカニーク、フランス)を用いて、腹側被蓋領域(AP:−5.5/ブレグマ;L:0.7;H:7.0〜8.5/硬膜;パキノスとワトソンのアトラス(Paxinos and Watson atlas), 1986)中に進める。ドーパミン作動性細胞のポテンシャルは、その形態(3msecを超える持続時間の三相の電位:+/−/+)、その放電リズム(規則的であるか、一気に振幅が減衰するかどうか)、及びその放電周波数(2〜8Hzである)により認識される。ラット1匹につき単一の細胞を記録に使用する。
【0120】
≧5分の期間(基礎活動)及び担体の初回注射(数滴の希乳酸を加えた蒸留水;1N NaOHを用いてpHを5に調整)後、2〜3分の間隔で累積増加用量で本発明の生成物を静脈内投与する。
【0121】
結果の解析
データ収集は、スパイク2(Spike2)ソフトウェアパッケージ(ケンブリッジ電子設計(Cambridge Electronic Design)、英国)により実行する。放電周波数は、各注射の間の最大変化時に1分間にわたり測定して、基礎活動(初回処置に先立つ5分間にわたり平均する;これを100%と定義する)に対する変化百分率として表す。本生成物の作用は、反復測定の分散分析と、これに続く担体(蒸留水)の作用との様々な用量の作用の比較のためのダネット(Dunnett's)検定により統計的に評価する。
【0122】
結果
一例として、以下の表には、実施例2の生成物の作用を示す。
【表2】

【0123】
実施例11:抗鬱性:ラットにおける強制水泳試験
原理
強制水泳試験(Porsolt R.ら, Eur. J. Pharmacol., 1978, 47, 379-91)は、実験未使用ラットを、15分の間、逃げることのできない水を満たした囲いに入れることにより、ラットに「絶望」の状態を誘導することを特徴とする行動試験である。最初の5〜10分間、ラットは激しくもがくが、遂に試験の最後の方では不動の姿勢をとる。翌日同じ囲いに入れられると、ラットは試験の大部分の間(5分の持続時間)不動状態のままである。抗鬱剤により、試験中のラットの不動状態の持続時間が減少する。
【0124】
実験手順
この実験は、自由に飼料と水が摂れる、前日に個別のケージに収容した170gの平均体重を有するラットに対して、24時間の間隔で2日間にわたり実施する。1日目に、各ラットを15分間、25℃に維持した水で15cmの高さまで充填したガラスシリンダー(直径20cm×高さ40cm)に入れる。2日目に、ラットを5分間、再びシリンダーに入れる;ラットの不動状態の総期間(秒として)を測定する。試験の開始の30分前に、ラットに生成物又は溶媒を投与する。本生成物の作用は、反復測定の分散分析と、これに続く担体(蒸留水)の作用との様々な用量の作用の比較のためのダネット検定により統計的に評価する。
【0125】
結果
一例として、そして本発明の生成物の活性を例示するために、実施例2の生成物の作用を以下の表に列挙する:
【0126】
【表3】

【0127】
実施例2の生成物により、ラットの不動状態の期間が用量依存的に減少するため、この生成物は優れた抗鬱作用を示している。
【0128】
実施例12:黒質の片側性病変を有するラットにおけるドーパミン作動性アゴニストにより誘導される回転
原理
神経毒である6−ヒドロキシ−ドーパミン(6−OH−DA)の黒質への片側性注入により、上行黒質線条体路の変性が、病変と同じ側のシナプス後ドーパミン作動性受容体の過敏と共に起こる。このような病変を受けたラットでは、直接アゴニスト生成物(アポモルヒネ)の全身投与により、反対側回転(病変に対して反対側での回転)が誘導される。この試験により、パーキンソン病における治療を目標とする生成物のアゴニストドーパミン作動性を証明することができる。
【0129】
方法
病変:病変は、ペントバルビタール(40〜50mg/kg、腹腔内)を用いて麻酔して、25mg/kg(腹腔内)の用量のデシプラミンを投与した、280〜330gの体重のオスのウィスターラットに起こす。ラットは、ペレグリーノとクッシュマンのアトラス(Pellegrino and Cushman Atlas)(1979)により頭蓋の向きを定めて、KOPF定位装置に入れる。微小灌流装置を用いて、4μlの容量の6−OH−DAの溶液(2μg/μl)を、左の黒質(A=2.4mm;L=2.0mm;V=3.1mm、両耳間ゼロに対して)中にゆっくり注入する(U. Ungerstedt, Acta Physiol. Scandi. Suppl., 1971, 367, 69-93)。
【0130】
装置:回転の数と向きの記録は、ロタカウント(ROTACOUNT)システム(コロンバス社(Columbus Co)、米国)を用いてコンピュータにより自動的に実行する。ラットは、直径30cmで高さ50cmの平底シリンダーに入れる。細い半剛性のケーブルを前足蹠の下でラットにかけ、そしてシリンダーの上に設置してコンピュータにつなげた光学計数セルにつなげる。
【0131】
病変ラットの選択:6−OH−DAでの病変の誘導の1月後、ドーパミン作動性アゴニストのアポモルヒネの投与(0.04mg/kg、皮下)後1時間の間に実行される、少なくとも150回の反対側回転という基準により、正確に病変したラットを選択する。
【0132】
実験手順:ラットは、1週間に1回試験するが、本発明の生成物をドーパミン作動性アゴニストと交互に投与する。反対側回転の記録は、ドーパミン作動性アゴニストの注入時(T0)に開始して、1時間続ける。本生成物の作用は、反復測定の分散分析と、これに続く担体(蒸留水)の作用との様々な用量の作用の比較のためのダネット検定により統計的に評価する。
【0133】
結果
一例として、以下の表に皮下経路により投与した実施例2の生成物の作用を示す。
【0134】
【表4】

【0135】
実施例2の生成物は、0.0025mg/kgの用量からこの試験において活性である。
【0136】
実施例13:抗不安性 − ラットにおける超音波発声試験。
原理
ラットを、前もって不快な経験(足蹠への電気ショック)に関連づけされた環境におくと、その不安は聞き取れない鳴き声(即ち、超音波発声)の発出により示される。ある生成物の抗不安活性は、このような発声の持続時間の短縮により証明される。
【0137】
装置
音響減衰換気筐体に入れた標準箱(クールバーン機器(Coulbourn Instruments))に、帯電性金属棒(ショック発生器及びスクランブラー、メド・アソシエート社(Med Associates Inc))よりなる床、及び天井の中心に位置するマイクロフォンを備えつける。超音波は、可聴範囲に変換する(コウモリ検出器、ブイテンベドリフ(Buitenbedrijf))。こうして修飾したシグナルをフィルターにかけ、次に処理する(RTSソフトウェア、エンジニアリング・デザイン(Engineering Design))。得られるスペクトログラムをDATテープに記録する。
【0138】
方法
到着時180〜200gの体重の、ウィスター系のオスのラットを、試験開始の5日前から試験終了まで、自由に飼料と水が摂れる4つのケージに収容する。利用される手順は、24時間で区切られ、そしてトレーニング、選択及び試験と呼ばれる、3つの連続段階に分割される。トレーニングセッションの間、ラットを箱に1匹づつ入れ、ここでラットに7分間の間、ランダムに間隔を開けて6回の電気ショック(0.8mA、8秒)を与える。選択は、各ラットを2分間箱に入れ、ここでラットに単回のショックを与え、そして30分後に超音波発声を記録する10分のセッションのために、ラットを箱に戻すことを特徴とする;その発声が90秒間未満しか続かないラットを残りの実験から除外する。試験相は、選択段階と同様に進行するが、2分のセッションの最後に本生成物又は担体を追加して投与する。本生成物の作用は、反復測定の分散分析と、これに続く担体(蒸留水)の作用との様々な用量の作用の比較のためのダネット検定により統計的に評価する。
【0139】
結果
一例として、以下の表は、1ml/kgの容量で皮下経路により投与した実施例2の生成物の作用を示す。
【0140】
【表5】

【0141】
0.04及び0.63mg/kgの用量で、本生成物は、発声の持続時間の実質的な短縮を引き起こし、そしてこれは、抗不安活性を示している。
【0142】
実施例14:薬剤組成物
それぞれ10mgの活性成分を含む1000錠の調剤のための処方:
実施例2の化合物 10g
ヒドロキシプロピルセルロース 2g
コムギデンプン 10g
乳糖 100g
ステアリン酸マグネシウム 3g
タルク 3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラセミ体であるか、又は光学異性体である、trans相対配置の式(I):
【化1】


[式中、
Xは、酸素原子又はNR2基を表し、
Yは、−CH2−、−(CH22−及び−CH=CH−から選択される基を表し、
1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、又は直鎖若しくは分岐のC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びシクロアルキルアルキル(ここで、アルキル残基は、C1−C6であり、かつ直鎖又は分岐であり、そしてシクロアルキル残基は、C3−C8である)から選択される基を表す]で示される化合物、更には薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩、及びその水和物。
【請求項2】
1が、アルキル基を表す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Xが、NR2基を表す、請求項1又は請求項2のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Yが、CH2基を表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
(4aRS,11bRS)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,11b−オクタヒドロイソインドロ[5,6−h][1,4]ベンゾオキサジン−10(2H)−オン、更にはそのエナンチオマー、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,11bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,11b−オクタヒドロ−10H−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−10−オン、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,12bR)−4−プロピル−3,4,4a,5,6,8,9,12b−オクタヒドロ−2H,11H−ピラノ[4’,3’:6,7]ナフト[1,2−b][1,4]オキサジン−11−オン、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;
(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,8,9,10,12b−デカヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩;並びに
(4aR,12bR)−4−プロピル−2,3,4,4a,5,6,10,12b−オクタヒドロ−11H−イソキノ[6,7−h][1,4]ベンゾオキサジン−11−オン、及び薬剤学的に許容しうる酸とのその付加塩
から選択される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、trans相対配置の式(II):
【化2】


[式中、R1は、式(I)と同義である]で示される化合物から出発して、
これをピリジンの存在下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることにより、式(III):
【化3】


[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
これを熱い状態でジメチルホルムアミド中でシアン化亜鉛及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)と反応させることにより、式(IV):
【化4】


[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
これを還流下で塩酸と酢酸の混合物で処理することにより、式(V):
【化5】


[式中、R1は、前記と同義である]で示される化合物を得ること、
次にこれを有機化学の従来の反応により式(I)の化合物に変換することを特徴とする方法。
【請求項7】
活性成分として請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物を、1つ以上の不活性で非毒性の薬剤学的に許容しうる賦形剤又は担体と併せて含むことを特徴とする、薬剤組成物。
【請求項8】
ドーパミン作動系に影響を及ぼす中枢神経系の障害の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
パーキンソン病、高プロラクチン血症、性機能障害、鬱病、不安、アルツハイマー病、又は脳卒中のような他の神経変性疾患の神経防護又は治療において使用するための医薬の製造における、請求項1記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
ドーパミン作動系に影響を及ぼす中枢神経系の障害の治療において使用するための、請求項7記載の薬剤組成物。
【請求項11】
パーキンソン病、高プロラクチン血症、性機能障害、鬱病、不安、アルツハイマー病、又は脳卒中のような他の神経変性疾患の神経防護又は治療において使用するための、請求項7記載の薬剤組成物。

【公開番号】特開2008−100995(P2008−100995A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−248428(P2007−248428)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】