説明

四重極型質量分析装置

【課題】ロッド電極の位置ずれ等による四重極電場の非理想状態を補正するためにロッド電極に小振幅交流電圧を印加する際に、信号強度データに現れる不所望の周期的なレベル変動を軽減し分析精度を高める。
【解決手段】共通クロック信号発生部15で生成した共通の基準クロック信号CLKを、A/D制御信号生成部16及び高周波電圧生成部12に送る。A/D制御信号生成部16は基準クロック信号CLKに基づいてサンプリング制御信号を生成しA/D変換部5に送る一方、小振幅交流電圧生成部13は基準クロック信号CLKに基づいて擬似正弦波状の交流電圧を生成して四重極マスフィルタ3に印加する。これにより、小振幅交流電圧の位相とA/D変換部5における検出信号のサンプリングタイミングとが同期し、小振幅交流電圧の決まった位相位置でデータサンプリングが行われるためにデータの周期的変動を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析器として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析器として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置は、小型で比較的安価であることから最も広く利用されている質量分析装置の一つである。
【0003】
一般に、四重極マスフィルタはイオン光軸を取り囲むように互いに平行に配置された4本のロッド電極からなり、各ロッド電極には直流電圧±Uと高周波電圧±Vcosωtが重畳された電圧±(U+Vcosωt)が印加される。各ロッド電極に印加された電圧により、4本のロッド電極で囲まれた空間には四重極電場が形成され、イオン光軸方向に該空間に導入されたイオンは四重極電場によって振動しながら進行し、特定の質量電荷比m/zを有するイオンのみが該電場を通過する。したがって、四重極型質量分析装置では、四重極マスフィルタの各ロッド電極に印加する直流電圧及び高周波電圧を一定の関係を保ちつつ走査することにより、四重極マスフィルタを通過するイオンの質量電荷比を所定範囲で走査し、所定の質量電荷比範囲に亘るイオンの信号強度、つまりマススペクトルデータを収集することができる。
【0004】
原理的には、四重極マスフィルタを構成するロッド電極はイオン光軸に向いた面が断面双曲線形状であることが理想的である。しかしながら、ロッド電極面を精度よく双曲面に加工することは難しくコストも掛かるため、単純な円筒(又は円柱)形状のロッド電極で代用される場合が多い。また、仮にロッド電極面が双曲面であっても4本のロッド電極の相互位置関係を理想状態とすることは難しい。このように必ずしも理想的ではない形状のロッド電極が使用された場合や組立誤差等によりロッド電極の配置が理想的でない場合には、四重極電場の電位勾配等が理想的なものとはならず、四重極電場以外の成分、具体的には高次の多重極電場成分が発現する。こうした不所望の電場成分はイオンの挙動を不安定にし、イオン選択性やイオン透過効率を低下させる要因となる。
【0005】
上記のような四重極電場の理想状態からのずれの影響を軽減するために、従来、四重極マスフィルタを構成する各ロッド電極に、上述した電圧±(U+Vcosωt)のほかに、周波数が該高周波電圧Vcosωtの周波数よりも低く振幅が小さい交流電圧を印加する方法が知られている(例えば特許文献1など参照)。通過させたい目的イオンの質量電荷比に応じた適切な周波数の小振幅交流電圧をロッド電極に印加すると、マシュー(Mathieu)方程式の解の安定条件に基づく安定領域図において略三角形である安定領域の中に帯状の不安定領域が形成され、これによってマススペクトル上で目的イオンのピークのテーリング部の発生を抑制することが可能となる。
【0006】
一方、四重極マスフィルタを通過したイオンが検出器に到達すると該検出器ではアナログ的な検出信号が生成され、この検出信号はアナログ/デジタル(A/D)変換器において所定のサンプリング時間間隔でデジタルデータに変換されてデータ処理に供される。一般に、或る時点で得られた検出信号に対応した1個の検出データだけではノイズやそのほかの外乱等の影響を受け易いため、或る一つの質量電荷比に対して得られる複数の検出データを積算することにより、該質量電荷比に対する信号強度データを取得するようにしている。
【0007】
近年、こうした機器分析の分野では分析スループットの向上の要請が非常に強まっている。こうした要請に対応するために、四重極型質量分析装置では、質量走査によるスキャン測定の際のスキャン速度の高速化、SIM(選択イオンモニタリング)測定における質量電荷比切替え時の非測定時間(待機時間)の短縮化など、様々な改良が試みられている。また、A/D変換器やデータ処理部においてはデータサンプリング時間間隔を短縮したりデータ積算点数を減らしたりすることでデータ取得の高速化が図られている。このような高速化や高スループット化のための性能改善の試みの中で、本願発明者は、四重極マスフィルタに印加される小振幅交流電圧が信号強度の時間的変動の要因となっていることを見出した。
【0008】
図2は、標準試料を連続的に四重極型質量分析装置に導入している状態、つまり一定のイオン強度を検出している状態での検出信号の時間変動(トータルイオンクロマトグラム)を実測した例であり、(a)はロッド電極に小振幅交流電圧を印加したときの結果、(b)はロッド電極に小振幅交流電圧を印加しないときの結果である。両者を比較すれば分かるように、小振幅交流電圧印加時には本来一定である筈の信号強度に変動が観測される。ロッド電極に印加される小振幅交流電圧がどのような経路で又はどのようなメカニズムで検出信号の変動となって顕在化するのかについては未だ解明されていないものの、上記結果から、小振幅交流電圧の印加が検出信号変動の要因であることは明白である。ロッド電極へ小振幅交流電圧を印加しなければ上述したような信号強度の時間的変動は解消されるものの、上述したように、小振幅交流電圧の印加は理想的な四重極電場からのずれを補償するために必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−218251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、四重極マスフィルタを構成する電極に印加される小振幅交流電圧に起因する信号強度の変動を抑制し、分析精度を改善することができる四重極型質量分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者の実験的な検討によれば、上述のようにデータ取得を高速化するべく或る一つの質量電荷比における信号強度データを得るためのデータ積算点数を少なくすると、小振幅交流電圧の印加に起因する信号強度の時間的変動が顕在化する傾向にある。これは、データ積算点数が多い場合には、検出器からの検出信号の変動の影響が積算処理によって軽減されるのに対し、データ積算点数が減るとそうした積算処理の効果が減じるためであると推定できる。
【0012】
検出器による検出信号に現れる変動は小振幅交流電圧に同期していると考えられるが、検出データはその検出信号を所定のタイミングでサンプリングしA/D変換して得られるものである。従来の四重極型質量分析装置では、A/D変換時のデータサンプリングのタイミングとロッド電極に印加される小振幅交流電圧の信号波形とは全く関係がなく完全に非同期であるが、その場合、小振幅交流電圧の信号波形とサンプリングタイミングとの関係は一定とならない。そのため、ロッド電極に印加される小振幅交流電圧の振幅が実質的にゼロである、つまり四重極電場に対する小振幅交流電圧の影響が殆どない状態で、四重極マスフィルタを通り抜けて来たイオンに対する検出信号をサンプリングする場合もあれば、ロッド電極に印加される小振幅交流電圧の振幅がピーク付近である、つまり四重極電場に対する小振幅交流電圧の影響が最大に近い状態で、四重極マスフィルタを通り抜けて来たイオンに対する検出信号をサンプリングする場合もある。
【0013】
したがって、或る1個の検出データにはサンプリング時点での小振幅交流電圧の振幅の影響が反映されるものと考えられる。データ積算点数が多い場合には個々の検出データのばらつきは軽減されるものの、データ積算点数が少なくなると個々の検出データのばらつきが軽減されにくくなる筈である。そこで、本願発明者はこうした知見に基づいて、検出信号のサンプリングのタイミングと小振幅交流電圧の変化(つまり位相)とを同期させることにより、小振幅交流電圧に起因する信号強度データの変動を軽減することに想到した。
【0014】
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、複数の電極からなる四重極マスフィルタと、該複数の電極に対してそれぞれ、選別対象のイオンの質量電荷比に応じた直流電圧及び高周波電圧を印加する四重極駆動手段と、前記四重極マスフィルタを通過して来たイオンを検出する検出手段と、該検出手段による検出信号をサンプリングしてデジタルデータに変換するA/D変換手段と、を具備する四重極型質量分析装置において、
a)前記四重極駆動手段による印加電圧により四重極マスフィルタの内部空間に形成される電場を補正するために、前記高周波電圧よりも周波数が低く振幅も小さい小振幅交流電圧を生成して前記四重極マスフィルタの各電極に印加する交流電圧生成手段と、
b)前記A/D変換手段において入力信号をサンプリングするタイミングを決める信号を生成するA/D駆動信号生成手段と、
を備え、前記A/D駆動信号生成手段による信号と前記交流電圧生成手段による小振幅交流電圧の位相とを同期させるようにしたことを特徴としている。
【0015】
本発明に係る四重極型質量分析装置の一態様として、所定周波数の基準クロック信号を生成する基準信号生成手段を備え、前記A/D駆動信号生成手段は前記基準クロック信号又はその分周信号に基づいてサンプリングタイミングを決める信号を生成し、前記交流電圧生成手段は前記基準クロック信号又はその分周信号に基づいて小振幅交流電圧を生成する構成とすることができる。
【0016】
A/D駆動信号生成手段は例えば分周回路などを含む論理演算回路から構成され、基準クロック信号よりも周波数が低いサンプリング制御信号を生成する。また、交流電圧生成手段は例えば、基準クロック信号を分周回路等、論理演算回路で演算処理して生成した矩形波信号をローパスフィルタを通すことにより擬似正弦波信号に変換して小振幅交流電圧を得るものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る四重極型質量分析装置では、四重極マスフィルタの各電極に印加される小振幅交流電圧の位相とA/D変換手段における検出信号のサンプリングタイミングとが同期しているので、例えば小振幅交流電圧波形がほぼ同じ状態であるときに検出データを取得することができ、小振幅交流電圧の周波数に依存した信号強度データの周期的変動を軽減することができる。
【0018】
また特に、A/D変換手段における検出信号のサンプリング周期が小振幅交流電圧の周期に比べて十分に短く、A/D変換手段によりデジタル化されたデータを複数積算することによって同一質量電荷比のイオンに対する強度情報を求める場合には、そのデータ積算期間と小振幅交流電圧の位相とも同期させる構成とすることが望ましい。これにより、例えば小振幅交流電圧波形がほぼ同じ状態である期間にイオン強度情報を取得することができ、小振幅交流電圧の周波数に依存した信号強度データの周期的変動を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例である四重極型質量分析装置の概略構成図。
【図2】従来の四重極型質量分析装置において一定のイオン強度を検出している状態での検出信号の時間変動の実測例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例による四重極型質量分析装置について添付図面を参照して説明する。図1は本実施例の四重極型質量分析装置の概略構成図である。
【0021】
試料中の各種成分はイオン源1においてイオン化され、イオン輸送光学系2を経て四重極マスフィルタ3に導入される。四重極マスフィルタ3は互いに略平行に配置された4本のロッド電極からなり、四重極駆動部10から各ロッド電極に印加される電圧により形成される四重極電場の作用で、特定の質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルタ3を通り抜ける。四重極マスフィルタ3を通り抜けたイオンは検出器4に到達し、検出器4は到達したイオンの量に応じた検出信号を時間経過に伴って出力する。この検出信号はA/D変換部5において所定のサンプリングタイミングでサンプリングされ、各サンプルはデジタルデータに変換されてデータ処理部6に送られる。データ処理部6は例えば或る一つの質量電荷比に対する複数の検出データを積算して信号強度データを求め、該データを利用した各種のデータ処理を実行する。
【0022】
四重極駆動部10は、直流電圧(DC電圧)生成部11、高周波電圧(RF電圧)生成部12、交流電圧(AC電圧)生成部13、電圧重畳部14を含み、各電圧生成部11、12、13で生成される電圧の電圧値(振幅値)は制御部17により指示される。また、A/D制御信号生成部16は、データサンプリングのためのタイミング制御信号や変換後のデジタルデータの読み出しパルス信号などを生成してA/D変換部5に送出する。
【0023】
特徴的な構成として、本実施例の四重極型質量分析装置は、共通クロック信号発生部15を備え、該信号発生部15で生成された基準クロック信号CLKがA/D制御信号生成部16と高周波電圧生成部12とに共通に供給されている。基準クロック信号CLKは、例えば高周波電圧生成部12で生成される高周波電圧の周波数やA/D制御信号生成部16で生成される各種信号の周波数に比べて十分に高い周波数を有する矩形波信号である。
【0024】
A/D制御信号生成部16は分周回路などの論理演算回路を含み、基準クロック信号CLKから全ての信号を生成する。したがって、A/D制御信号生成部16で生成される各種信号は基準クロック信号CLKに同期している。一般的には、A/D制御信号生成部16で生成される信号は、基準クロック信号CLKの立上りエッジ又は立下りエッジに一致した立上りエッジ又は立下りエッジを有する信号となる。
【0025】
一方、高周波電圧生成部12は、基準クロック信号CLKを適宜の分周比で分周し(又は分周せずに)、この分周信号CLK2をローパスフィルタに通すことにより、矩形波信号のエッジを鈍らせた擬似正弦波信号を生成する。この擬似正弦波信号の振幅を制御部17からの制御に基づいたゲインで以て増幅し、電圧重畳部14を通し、さらに四重極マスフィルタ3の各ロッド電極を含むLC共振回路で共振させることにより振幅を増大させて、高周波電圧Vcosωtとして各ロッド電極に印加する。
【0026】
交流電圧生成部13は高周波電圧生成部12から基準クロック信号CLKに同期した分周信号CLK2を受け取り、該分周信号CLK2をさらに所定の分周比で分周し、この分周信号をローパスフィルタに通すことにより矩形波信号のエッジを鈍らせた擬似正弦波信号を生成する。そして、この擬似正弦波信号の振幅を適宜のゲインで増幅し、小振幅交流電圧Acosω'tとして電圧重畳部14を通して四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加する。したがって、四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加される小振幅交流電圧Acosω'tの位相は基準クロック信号CLKに同期している。なお、この小振幅交流電圧Acosω'tの振幅Aは高周波電圧Vcosωtの振幅Vに比べると格段に小さい。
【0027】
直流電圧生成部11は制御部17からの制御に基づいた電圧値の直流電圧を発生し、この直流電圧±Uは電圧重畳部14を通して四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加される。即ち、四重極マスフィルタ3の各ロッド電極には、直流電圧±Uと高周波電圧Vcosωtと小振幅交流電圧Acosω'tとが重畳された電圧が印加される。
【0028】
上述のように、四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加される小振幅交流電圧Acosω'tの位相は基準クロック信号CLKに同期しており、A/D制御信号生成部16で生成される各種信号も同様に基準クロック信号CLKに同期している。したがって、小振幅交流電圧Acosω'tの位相とA/D制御信号生成部16で生成されるデータサンプリングタイミング制御信号とは同期したものとなり、小振幅交流電圧Acosω'tの位相とA/D変換部5におけるデータサンプリングタイミングとは同期する。それにより、四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加される小振幅交流電圧Acosω'tが所定の位相であるとき、例えばAがゼロ付近であるときに、A/D変換部5は検出器4による検出信号をサンプリングするようにタイミングを決めることができる。その結果、小振幅交流電圧Acosω'tの影響、つまりは周期的変動が検出信号に現れている場合でも、その変動の影響がデジタル化された信号強度データに及ばないようにすることができる。
【0029】
なお、A/D変換部5におけるデータサンプリング周波数を小振幅交流電圧の周波数よりも十分に高く(つまりサンプリング周期を短く)し、同一質量電荷比のイオンが検出器4に到達している間にA/D変換部5で得られた複数のサンプリングデータをデータ処理部6で積算して該質量電荷比に対するイオン強度信号を求める場合には、データ処理部6におけるデータ積算期間も小振幅交流電圧Acosω'tの位相と同期させるようにする。それにより、常に、四重極マスフィルタ3の各ロッド電極に印加される小振幅交流電圧Acosω'tが所定位相期間である間にA/D変換部5から得られたサンプリングデータを積算し、その小振幅交流電圧Acosω'tの周期的変動の影響が積算後の信号強度データに及ばないようにすることができる。
【0030】
上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正及び追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。
例えば、上記実施例では共通の基準クロック信号を利用することによって小振幅交流電圧Acosω'tの位相とA/D変換部5におけるデータサンプリングタイミングとを同期させるようにしていたが、例えばPLL(位相ロックループ)回路などを用いて同期を図るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…イオン源
2…イオン輸送光学系
3…四重極マスフィルタ
4…検出器
5…A/D変換部
6…データ処理部
10…四重極駆動部
11…直流電圧生成部
12…高周波電圧生成部
13…交流電圧生成部
14…電圧重畳部
15…共通クロック信号発生部
16…A/D制御信号生成部
17…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極からなる四重極マスフィルタと、該複数の電極に対してそれぞれ、選別対象のイオンの質量電荷比に応じた直流電圧及び高周波電圧を印加する四重極駆動手段と、前記四重極マスフィルタを通過して来たイオンを検出する検出手段と、該検出手段による検出信号をサンプリングしてデジタルデータに変換するA/D変換手段と、を具備する四重極型質量分析装置において、
a)前記四重極駆動手段による印加電圧により四重極マスフィルタの内部空間に形成される電場を補正するために、前記高周波電圧よりも周波数が低く振幅も小さい小振幅交流電圧を生成して前記四重極マスフィルタの各電極に印加する交流電圧生成手段と、
b)前記A/D変換手段において入力信号をサンプリングするタイミングを決める信号を生成するA/D駆動信号生成手段と、
を備え、前記A/D駆動信号生成手段による信号と前記交流電圧生成手段による小振幅交流電圧の位相とを同期させるようにしたことを特徴とする四重極型質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
所定周波数の基準クロック信号を生成する基準信号生成手段を備え、前記A/D駆動信号生成手段は前記基準クロック信号又はその分周信号に基づいてサンプリングタイミングを決める信号を生成し、前記交流電圧生成手段は前記基準クロック信号又はその分周信号に基づいて小振幅交流電圧を生成することを特徴とする四重極型質量分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の四重極型質量分析装置であって、
前記A/D変換手段によりデジタル化されたデータを複数積算することにより同一質量電荷比のイオンに対する強度情報を求めるデータ処理手段をさらに備え、該データ処理手段におけるデータ積算期間と前記交流電圧生成手段による小振幅交流電圧の位相とを同期させることを特徴とする四重極型質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−169175(P2012−169175A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29968(P2011−29968)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】