説明

四面体状包装体の製造方法およびその装置

【課題】シンプルな構成で四面体状の袋詰め包装体を得る。
【解決手段】物品10を収容した袋12を、袋口12aをコンベヤの側方に向けた上向き姿勢で載置してコンベヤで間欠的に搬送する。シール位置で停止した袋12は、開口爪22,22で袋口12aを上下に拡開して扁平状にする。挟持体36,36で扁平状に保持した袋口12aを開口爪22,22および送気ノズルと共に挟持して送気ノズルから不活性ガスを充填する。そして、開口爪22,22を送気ノズルと共に袋口12aの外方へ退避した後、挟持体36,36の挟持位置より外側をシールバー34,34で挟持して袋口12aをシールする。得られた包装体28のコンベヤでの下流への搬送を許容するよう、シール手段26をコンベヤから離間する方向へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の物品が収容された袋を四面体状に形成すると共に、その袋口をシールして四面体状包装体を製造する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スナック菓子、サラダ、野菜等の食品を小分けして袋に収容した後に、該袋の開口部をシールして四面体状とした包装体として、例えば特許文献1〜4等に開示のものが存在する。このような四面体状の包装体を製造する方法としては、特許文献5に開示の方法がある。この方法では、円盤型ロータの周縁に配設したアームを介して支持された一対のクランプで袋の両側縁を挟持し、ロータの複数の各間欠回転停止位置において袋内に物品を充填し、次に、物品が充填された袋の開口部に一対の爪片を挿入して、両爪片をクランプの配列方向と直交する方向に離反させて袋口を扁平状にする。そして、クランプによる袋の挟持を解除した後に爪片で袋を90度回転させ、クランプで袋を再び挟持して開口部から爪片を抜いた後の間欠停止位置において、該袋の開口部を加熱シールするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭53−16756号公報
【特許文献2】特公昭63−50269号公報
【特許文献3】特開2007−284144号公報
【特許文献4】特開2009−51507号公報
【特許文献5】特許第3732400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献5に開示の製造方法によれば、個々の袋を挟持するクランプを備えた複数のアームをロータに設ける必要があるばかりでなく、袋内に挿入する爪片を回転する機構を設ける等、袋口を封止するまでに要する各処理工程について多くの構成部材を採用する必要があり、装置が大型化かつ複雑化する難点が指摘される。また、異なる袋のサイズに対応するには、個々の袋を挟持して搬送するクランプの間隔調節、その他の各動作機構のためのアジャスト機構の設置や、あるいはそれら複数個所の調節操作等が要求される。
【0005】
すなわち本発明は、シンプルな構成で四面体状の袋詰め包装体を得ることが可能な四面体状包装体の製造方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る四面体状包装体の製造方法は、
物品を収容して一端が開口する袋を、袋口がコンベヤの一側方を向く横倒し姿勢でコンベヤに載置して搬送し、
該コンベヤの間欠走行の停止時に袋内に挿入した開口爪で袋口を上下に拡開して袋口を扁平状に保持し、
扁平状に保持した袋口を挟み手段で左右から挟んだ状態で袋内に気体を充填し、
扁平状となった袋口の端縁のなす傾斜に沿って該袋口をシール手段でシールし、
得られた包装体とシール手段とを相対的に離間して、該包装体の前記コンベヤでの下流側への搬送を許容し得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記コンベヤに載置される袋は、その袋口を斜め上向き姿勢として搬送するようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記袋口を上下拡開する前に、第2の開口爪を袋内に挿入して左右に拡開するようにしたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記開口爪を袋内に挿入して袋口を扁平状に整形しシール手段で袋口をシールするまでの工程を、前記コンベヤの間欠走行の同一停止位置にて実施するようにしたことを要旨とする。
【0010】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項5の発明に係る四面体状包装体の製造装置は、
物品を収容して一端が開口する袋を、その袋口が搬送方向と交差する一側方を向く横倒し姿勢で所定間隔毎に載置して間欠的に走行するコンベヤと、
前記コンベヤの間欠走行の停止時に前記袋内に挿入して、袋口を上下に拡開して袋口を扁平状にする開口爪と、
前記袋口から袋内に気体を充填する送気ノズルと、
前記袋内に挿入した送気ノズルと共に袋口を挟む挟み手段および挟み手段で挟持した袋口をシールするシールバーを備えたシール手段と、
前記シール手段で袋口をシールして得た包装体をコンベヤで搬出する際に包装体とシール手段との間を相対的に離間する作動手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記コンベヤの搬送面は、前記開口爪で開口されるまでの袋をその袋口が斜め上向き姿勢で搬送し得るよう傾斜配置され、該コンベヤの側方には袋の底部を支持して案内する案内手段を配設したことを要旨とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記作動手段は、袋口のシール後において、前記シールバーを袋口の挟持位置より外方に離間した退避位置へ移動するよう構成したことを要旨とする。
【0013】
請求項8に係る発明では、前記送気ノズルは、前記開口爪と一体に配設するよう構成したことを要旨とする。
【0014】
請求項9に係る発明では、前記袋口を上下に拡開する第1の開口爪と、該第1の開口爪の拡開動作前に袋口を左右に拡開し、また前記第1の開口爪で袋口を上下に拡開する際に袋口の左右が狭くなるのに対応して袋口の左右を支持して相互に近接移動する第2の開口爪を設けたことを要旨とする。
【0015】
請求項10に係る発明では、前記開口爪、送気ノズルおよびシール手段の夫々は、前記コンベヤの間欠走行の同一停止位置に対応して配設され、それら開口爪、送気ノズルおよびシール手段による全ての動作処理を同一停止位置で停止中の袋に対して施すよう構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1および請求項5に係る発明によれば、コンベヤの間欠走行の停止時に袋に対して袋口の整形およびシールを行なうようにしたので、構成を簡略化して省スぺース化を図り得る。また、袋内に気体を充填するようにしたので、袋内に収容された物品が消費されるまでの各種外圧から保護することができる。
請求項2および請求項6に係る発明によれば、袋口を斜め上向き姿勢で搬送するようにしたので、収容安定性に欠ける物品を収容した袋をコンベヤに載置したときやコンベヤでの搬送中において物品が袋口からこぼれ出ることなく、内容量が変化したりするのを未然に防ぐことができる。また、袋内の物品を袋底部側へ片寄り状態として寄せられるから、袋口をシールする際に、シール部に物品を挟み込んでシール不良を招くようなことがない。
請求項3および請求項9に係る発明によれば、第2の開口爪で袋口を一旦横方向に扁平状にしてから袋口を上下に拡開して扁平状にする際に袋口の左右両側を第2の開口爪により常に張るように支持するようにしたので、被包材において平袋の左右にシール部が形成されたものを使用した際に、袋口を上下方向に扁平状とした時の左右に重合するフィルムのシール部の形成ラインを位置合わせすることができ、該シール形成部が包装体の左右面において位置ズレすることによって四面体状包装体の見栄えが低下するのを防止し得る。
請求項4および請求項10に係る発明によれば、袋口の整形からシールまでの工程を、全て同位置で実施するようにしたので、各処理手段の動作機構を纏めて配置することができ、装置のコンパクト化を図り得る。
請求項7に係る発明によれば、袋口シール後のコンベヤへの間欠走行開始前にシールバーを、コンベヤで搬出する包装体に接触しない退避位置へ移動させるよう構成したので、コンベヤでの搬送経路を変えることなく包装体を搬出することができる。また、包装体の搬出時にシールバーに接触干渉することで包装体が熱変形したりコンベヤでの搬送が阻害されたりする問題を生ずることがない。
請求項8に係る発明によれば、送気ノズルを開口爪に配設するよう構成したので、送気ノズルの移動機機を省略して装置構成を簡素化することができると共に袋内への気体充填を効率的に行ない得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係る四面体状包装体の製造装置を示す概略側面図である。
【図2】実施例に係る開口爪の配設部位を示す要部概略側面図である。
【図3】実施例に係るシール手段を、挟持部材およびシールバーの閉成状態で示す概略正面図である。
【図4】実施例に係るコンベヤの傾斜が無い状態で示したコンベヤでの各搬送位置との関係を示す概略斜視図である。
【図5】実施例に係る各種処理工程を示す作用説明図である。
【図6】開口爪の別実施例に係る作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る四面体状包装体の製造方法およびその装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0019】
本実施形態において採用し得る被包材としての袋として、所定寸法でシート状の四角形に形成された平袋であって、透明フィルムに商品名その他の所定の印刷が施されたフィルム素材が使用され、四辺の内の一辺が開口し、他の三辺が夫々加熱溶着されたシール部を備えている。袋底面となるシール部および袋左右に形成されたシール部は、溶断シールを施したものや、それらシール部の何れか、あるいは全てが所定幅を有する熱溶着シールや、または特許文献1,2に記載された形態が必要に応じて採用される。なお、実施例では四角形に形成された平袋を被包材として採用した場合について例示した。
【0020】
図1は、実施例に係る四面体状包装体の製造装置を示すものであって、該装置は、例えばサラダ等の惣菜類やその他の各種加工食品を主とした食品等の物品10が所定量単位で収容された袋12を、その開口した袋口12aが搬送方向と交差する方向となるコンベヤの一側方を向く横倒し姿勢で載置して搬送するコンベヤ16を備える。コンベヤ16には、図4に示す如く、搬送方向に所定間隔毎に仕切り部材18が配設され、袋12は各仕切り部材18により仕切られた搬送面上に載置され、袋口12aと反対側の端部でシールされた袋底部の辺がコンベヤ16の搬送方向に向き、また袋12の左右端縁部に形成された線状シール部となる溶断シール部がコンベヤ16の搬送方向前後に位置する姿勢で載置される。
【0021】
前記コンベヤ16は、図1または図2に示す如く、袋12を搬送面に載置した際に袋口12aが斜め上向き姿勢となって載置されるように搬送方向と交差する方向へ搬送面が傾斜して配置される。またコンベヤ16の側方には、コンベヤ16で搬送される袋12の底部を支持して案内する案内手段としての袋底ガイド20が搬送方向に向けて延在するように配置される。そして、袋底ガイド20に底部が支持されて搬送面に載置した袋12は、図1または図2に示す如く、袋口12aがコンベヤ16の一側方から外側に延出して搬送されるよう設定される。
【0022】
前記コンベヤ16は、搬送上流側の供給位置P1と、搬送終端までに至る中間位置となるシール位置P2と、搬送下流側の取り出し位置P3とに対応して各仕切り部材18によって仕切られた搬送面に載置した袋12を順次停止するように間欠走行するよう構成される(図4参照)。
【0023】
前記コンベヤ16における袋12の袋口12aが向く一側方には、コンベヤ16の間欠走行の停止時に前記シール位置P2に至った袋12の袋口12aを上下に拡開して扁平状に保持する一対の開口爪22,22と、袋内に気体を充填する送気ノズル24と、袋口12aをシールするシール手段26とが配設され、当該シール位置P2において、袋口12aを扁平状に整形する工程と、袋内に気体を充填する工程および袋口12aをシールする工程との全ての処理動作を行なって四面体状包装体28(以後、単に包装体とも称す)を得るよう構成される。
【0024】
前記開口爪22,22は、袋口12aの外側方の退避位置と袋内の挿入位置との間を進退移動する進退機構32と、開口爪22,22を開閉作動する平行リンクを備えた拡開機構33とからなる作動機構により動作するよう構成され、進退機構32は前記コンベヤ16の一側方に位置する固定枠52に設けたガイドロッド54に移動体56を移動自在に支持し、該移動体56を図示省略したモータの駆動力により作動するカムレバー機構58により進退移動するよう構成されると共に、前記移動体56には前記拡開機構33により前記一対の開口爪22,22が上下方向に拡縮し得るよう配設されている。開口爪22,22における袋内への挿入部位は、該開口爪22,22により扁平状に保持した際に袋口12aの斜め上下方向に延在する斜辺12bと交差(図2では直交)するように、コンベヤ16の搬送面に対して所定角度で傾斜配置されており、拡開状態で各開口爪22による袋口12aから袋内側に向けた挿入量は均等な長さとなるよう設定されている。
【0025】
前記開口爪22,22の対向面に、袋内に窒素あるいは窒素と二酸化炭素の混合ガス等からなる不活性ガス(気体)を充填する送気ノズル24が夫々開口爪22と一体に設けられ、送気ノズル24,24は、開口爪22,22と共に袋内に挿入され、その先端に形成された送気孔が袋内に臨んで不活性ガスを噴出するよう構成される。
【0026】
前記送気ノズル24,24による袋内への気体の充填量は、少なくとも袋12を膨らんだ状態にして四面体形状を保持でき、袋内の物品10を外圧等から保護し得るクッション機能を付与可能な量とすることが最も好ましい。本例では、気体として窒素ガス等の不活性ガスを用いるようにしたので、袋素材としてガスバリア性フィルムを使用することが推奨される。
【0027】
前記シール手段26は、袋口12aを挟持して溶着シールする一対のシールバー34,34と、該シールバー34,34による袋口12aのシールに先立ち開口爪22,22で扁平状に保持した袋口12aを左右外側から挟持するスポンジやゴム材等の弾性部材36aを対向面に備えた一対の挟持体36,36を有する挟み手段38が設けられる。前記シール手段26は、前記機枠30に昇降自在に設けた複数のガイドロッド60の上端に取着した移動枠42に配設される。該移動枠42を、ガイドロッド60をモータ64の駆動力により作動するカムレバー機構62で昇降動する作動手段としての接離機構44が配設され、シール手段26は、接離機構44によりシールバー34,34が、コンベヤ16に載置してシール位置P2から搬出される袋12と接触しない上方の退避位置と、コンベヤ16の一側方から外側に延出した袋口12aを左右外側から挟持可能な下方の挟持位置との間を移動するよう構成される。
【0028】
前記シールバー34,34は、前記移動枠42に回動自在に配設された一対の作動軸66,66の夫々と一体回転するアーム68の先端に設けた支持部材48を介して配設され、移動枠42に設けた開閉機構(図示省略)によって開閉作動し得るよう構成される。これら構成によって、一対のシールバー34,34は、相互に離間する開放状態で接離機構44と開閉機構とからなる作動手段によって前記退避位置から挟持位置まで下降した後に、両シールバー34,34が開放状態から相互に閉じるように作動して袋口12aを挟持してシールする。シールバー34,34は、前記開口爪22,22により扁平状に保持した袋口12aの斜辺12bに略沿うように傾斜配置されている(図1参照)。実施例では、四角形の平袋から正四面体の包装体28を得るものとしたので、袋口12aを扁平にしたときに残る四面体状に形成された袋12の各面は正三角形となり、前記斜辺12bはコンベヤ16の搬送面に対して60度の角度で交わるように傾斜する。従って、図1の如くシールバー34,34は、コンベヤ16の搬送面に対する傾斜角度αが略60度となるように配置されて、開口爪22,22で扁平状に保持する袋口12aの前記斜辺12bに沿って該袋口12aを所定幅でシールするよう構成される。
【0029】
前記各支持部材48には、シールバー34よりコンベヤ16側に向けて近接する位置において該シールバー34と平行に延在する挟持体36が配設される。各挟持体36は、その対向面に配設された弾性部材36aの挟持面が対応するシールバー34のシール面より突出する位置に保持されるように支持部材48との間に介挿したばね等の弾発部材40により相互に対向する方向に付勢され、シールバー34,34が閉移動して袋口12aを挟持する前に、そのシール予定位置より袋底部側を挟持する。
【0030】
前記開閉機構は、前記シールバー34,34を相互に近接する際に挟持体36,36により袋口12aを挟持して一旦停止し、その後に挟持体36,36で挟持された袋口12aをシールバー34,34で挟持してシールするよう作動される。このような構成によって、シールバー34,34が閉移動するときには、挟持体36,36で袋口12aを挟持して停止する際に該挟持体36,36で開口爪22,22と送気ノズル24,24とを挟み込み、その停止時期に合わせて送気ノズル24,24から不活性ガスを充填し、そのガス充填後に送気ノズル24,24と一体となった開口爪22,22を袋口12aから抜き、挟持体36,36で挟持された袋口12aをシールバー34,34で挟持してシールする。また、前記シール手段26の退避位置は、袋口12aをシールして得た包装体28をコンベヤ16で搬出する際にシールバー34,34や挟持体36,36と接触して搬出が阻害されない位置に設定されている。
【0031】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る四面体状包装体の製造方法について、製造装置との関係での作用について説明する。
【0032】
図4に示すように、前記コンベヤ16の間欠走行の停止時に、コンベヤ16の搬送上流となる供給位置P1において仕切り部材18で仕切られた搬送面に、物品10を収容した袋12を、その袋口12aがコンベヤ16の一側方を向く横倒し姿勢で載置する。図2の如くコンベヤ16に載置された袋12は、その底部が下方に位置するように袋口12aが斜め上向きに傾斜した姿勢となって支持され、袋内に収容されている物品10は、袋底部側に寄せられた状態となって袋口12a側には物品10が存在しない空間が画成されるようにコンベヤ16の搬送面は搬送方向と交差する方向へ傾斜配置されている。なお、袋12の底部は袋底ガイド20に支持されて、袋口12aが斜め上向き姿勢に保持されると共に、袋口12aはコンベヤ16の一側から外方に所定長さだけ延出した状態となる。
【0033】
コンベヤ16の搬送面の傾斜によって袋12を供給位置P1へ載置するときや、供給位置P1から前記シール位置P2まで搬送する途上で袋12に収容した物品10が袋口付近や袋口12aより外方にこぼれ出るのを抑制することができ、内容量が変化したり袋口12aのシール時にシール部に内容物が噛み込んでシール不良となる等の不具合を防止することができる。
【0034】
図4の如く袋12がシール位置P2に到来してコンベヤ16の走行が間欠停止すると、前記進退機構32により開口爪22,22が、相互に近接した状態で退避位置から挿入位置に前進して袋内に挿入され、次いで両開口爪22,22が拡開機構33によって相互に離間することで(図5(a)参照)、袋口12aは上下に拡開されて袋口12aは扁平状に保持される。また、前記接離機構44により前記シール手段26が退避位置から挟持位置まで移動され、開放状態のシールバー34,34がシール位置P2で停止中の袋12における袋口12aの左右両側に臨む。次いで前記開閉機構によりシールバー34,34の閉移動が開始され、その閉移動途上で前記挟持体36,36によって扁平状に保持されている袋口12aを袋内に挿入された開口爪22,22と送気ノズル24,24とを挟み込んだ段階で一時停止する(図5(b)参照)。前記挟持体36,36で袋口12aを挟持した際に、送気ノズル24,24の挟持体36,36での非挟持位置に形成された送気孔から不活性ガスが噴出されて袋内に充填される。なお、挟持体36,36は挟持面にスポンジやゴム材等の弾性部材36a,36aを備えているから、挟持体36,36で開口爪22,22および送気ノズル24,24と共に袋口12aを挟持した際には、弾性部材36a,36aが開口爪22,22および送気ノズル24,24の形状に倣って変形して袋口12aが押さえ付けられるので、充填した不活性ガスの袋口12aからの漏出を抑制することができる。
【0035】
前記開口爪22,22と共に送気ノズル24,24が袋口12aの外方へ退避した後、シールバー34,34の閉移動が再開されて、前記挟持体36,36で挟持された挟持位置より外側の袋口12aを、シールバー34,34で挟持してシールする(図5(c)参照)。これにより、図5(d)に示すように袋口12aが斜めにシールされた四面体状包装体28が得られる。
【0036】
図1の如く前記シール位置P2において袋12は、袋口12aを斜め上向き姿勢で傾斜した状態で支持されて、内部の物品10は袋底部側に片寄り状態となっているから、シールバー34,34で挟持してシールする際に、シール部に物品10が噛み込まれることがない。また袋口12aは、コンベヤ16から外側方に延出しているから、シールバー34,34で袋口12aを挟持してシールする際に支障なく袋口12aを全長に亘って確実にシールし得る。
【0037】
前記シール手段26は、開閉機構と接離機構44とからなる作動手段の作動により、一対のシールバー34,34を開放すると共に前記退避位置まで移動する。またシール手段26が退避位置に移動するのに合わせて前記コンベヤ16が走行を開始することで得られた包装体28は、シール手段26と接触することなくシール位置P2から下流側に搬出される。そして、コンベヤ16における取り出し位置P3で作業者が取り上げる等によりコンベヤ外に取り出される。
【0038】
このようにして、例えば惣菜等の加工食品、その他の生鮮食品を収容した、通常の袋詰め包装品やトレー詰め包装品に代わる消費者の購買意欲をそそることができる包装形態としての四面体状包装体28をシンプルな構成の装置によって得ることができ、しかも、袋内には不活性ガスが充填されて酸化を防止して品質保持を行なうことができ、またテトラ形状を維持するから、これまでトレー等の容器に収容してフィルム包装していた食品についても、容器を用いることなく、内容物を外的圧力から保護することができる。
【0039】
このように本例では、コンベヤ16の間欠走行の停止時に、同一位置で袋口12aを扁平状に整形すると共にシールするようにしたので、袋をクランプして搬送する等の構成部品を不要として装置のコンパクト化を図り得ると共に、袋のサイズ変更等にも簡単に対応し得る。しかも、袋12の袋口12aを扁平状に整形する工程と、袋内に不活性ガスを充填する工程および袋口12aをシールして包装体28を得るまでの工程の全ての動作処理を、コンベヤ16がシール位置P2で停止した際に実施するようにしたので、開口爪22,22およびシール手段26の各作動機構32,33,44を纏めて配置することができ、装置の更なるコンパクト化を図り得る。
【0040】
また、前記シール手段26は、コンベヤ16でシール位置P2から取り出し位置P3へ搬出される包装体28から離間した退避位置と、シール位置P2において袋口12aにシールを施し得る挟持位置との間を往復移動するよう構成されている。従って、シール位置P2から搬出される包装体28がシールバー34や挟持体36に接触して変形したり搬送が阻害されたりする事態を回避できる。これにより、コンベヤ16でシール位置P2から搬出する袋12や包装体28の搬送ラインを、シール手段26に接触しないように変えることなく実施し得るので、コンベヤ16の構成を簡略化し得ると共にコンベヤ16の搬送ラインをずらす等の動作によって搬出中の袋12や包装体28が位置ズレしてしまう等の不具合を未然に防止し得る。なお、包装体28は、シール易開封処理(切り込み、ミシン目、ハーフカット処理、あるいはフィルムのシール部を剥がれ易くするための弱シール処理等)を施すようにすることが好適である。
【0041】
更に、前記送気ノズル24を開口爪22に一体に配設したので、送気ノズル24の専用の作動機構を設ける必要はなく、装置構成を簡単にすることができる。また、開口爪22に送気ノズル24を設けることで、該開口爪22によって袋口12aが扁平状に保持された袋内に不活性ガスを充填することができるから、不活性ガスが袋口12aから漏れるのは抑制されて、該ガスの袋内への充填を効率的に行ない得る。特に、開口爪22の内側に送気ノズル24を配置したので、開口爪22で袋口12aを拡開した際に送気ノズル24の送気孔が閉ざされて不活性ガスの充填量が不足する等のガス充填不良を生じることがない。
【0042】
前記開口爪22,22は、袋口12aを上下に拡開して扁平状とする開口爪22,22(以下第1の開口爪と称す)に加えて、図6に示す如く、左右方向に近接・離間移動するよう構成されて袋口12aを左右へ拡開すると共に左右内方から支持し得る一対の第2の開口爪50,50を設けるようにしてもよい。この場合は、先ず、袋内に第2の開口爪50,50を挿入して袋口12aを左右方向に拡開することで袋口12aを横方向に扁平状とし、その後第1の開口爪22,22を相互に離間して袋口12aを上下に拡開するのに伴なって袋口12aの左右が狭くなる際に、その袋口12aの左右を常に張った状態に支持する第2の開口爪50,50を、第1の開口爪22,22の拡開動作に同調して相互に近接移動させるようにする。そして、第1の開口爪22,22によって袋口12aが扁平状となる前に、第2の開口爪50,50を袋口12aの外方へ抜くようにする。このように、袋12の袋口12aを上下に拡開して袋口12aを扁平状にする際には、第2の開口爪50,50で袋口12aを一旦横方向に扁平状にしてから袋口12aの左右両側を第2の開口爪50,50により常に張るように支持するようにしたので、被包材において平袋の左右にシール部が形成されたものを使用した際に、袋12の袋口12aを上下方向に扁平状とした時の左右に重合するフィルムの前記シール部の形成ラインを位置合わせすることができ、該シール形成部が包装体28の左右面において位置ズレすることによって包装体28の見栄えを低下させることがない。
【0043】
(変更例)
本発明は前記の実施例の構成に限定されず、以下のようにも変更可能である。
(1) コンベヤ16の搬送始端から終端までの搬送面を傾斜させることなく、例えば、シール位置P2において袋12を傾斜させる機構を設けるようにしてもよい。この構成によっても、袋内の物品10を底部側に片寄った状態としたもとで袋口12aにシールを施すことができ、シールバー34での物品の噛み込を防止できる。
(2) 袋内に充填される気体は、袋内に収容する物品特性に応じて不活性ガスに代えて、空気その他、食品に無害なその他の気体を採用し得る。
(3) 送気ノズル24を開口爪22と一体に配設する構成としては、送気ノズル24を開口爪22の対向面に配設するものに限らず、開口爪22の内部に送気ノズル24を配設したり、あるいは開口爪22自体を筒状にして送気ノズル24として機能させるようにしてもよい。また、送気ノズル24を開口爪22と一体に配設する構成に代えて、該送気ノズル24を開口爪22とは別体で設けるようにしてもよく、この場合に送気ノズルの袋口内への挿脱動作を、開口爪22と異なる動作とするよう構成してもよい。
(4) 作動手段によって包装体28との接触を回避するべくシール手段26を上方へ退避するのに代えて、該シール手段26をコンベヤ16における物品搬送路の側方へ退避することで包装体28の搬出ラインからシール手段26を離間するようにしてもよい。すなわち、包装体28とシール手段26におけるシールバー34,34の相互位置関係が変化するようになっていればよく、例えば、コンベヤ16を側方や下方に移動することや、コンベヤ16およびシール手段26の夫々を移動することでも対応可能であり、更には開放状態となったときのシールバー34,34がコンベヤ16でシール位置P2から搬出される包装体28と接触しない位置に臨む構成等の実施形態を含む作動手段を採用し得る。
(5) シールバー34と挟持体36とは一体的に作動するよう構成されているが、個々の作動機構によって夫々を別に作動するようにしてもよい。
(6) コンベヤ16の搬送面に対するシールバー34の傾斜角度は、実施例のように正四面体の平袋を用いる場合では略60度に設定されるが、四面体状に形成された袋12の各面が二等辺三角形となる場合等においては、袋口側に位置する三角形の辺に対応した内角に設定される。
(7) シール位置P2でコンベヤ16が停止した際に、袋口12aを扁平状に整形してシールするまでの各処理を同一位置において実施するようにしたが、シール位置P2とは異なるコンベヤ16の間欠走行の停止位置で開口爪22,50で袋口12aを拡開する処理と袋口12aを挟持体36,36で挟持して袋内にガス充填する処理とを実施する構成を採用し得る。
(8) 袋内に収容する物品10としては、サラダ等の惣菜類の他に、例えば、しいたけ、しめじ等のきのこ類、あるいはカット野菜、その他フルーツあるいはスナック菓子、その他多種多様な食品類等に適用でき、特にコンビニエンスストア等での販売用として従来の平袋入物品やトレー詰品等の代替用包装形態として採用することが好適である。
【符号の説明】
【0044】
10 物品,12 袋,12a 袋口,16 コンベヤ,20 袋底ガイド
22 開口爪(第1の開口爪),24 送気ノズル,26 シール手段
28 四面体状包装体,34 シールバー,38 挟み手段,44 接離機構(作動手段)
50 第2の開口爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(10)を収容して一端が開口する袋(12)を、袋口(12a)がコンベヤの一側方を向く横倒し姿勢でコンベヤ(16)に載置して搬送し、
該コンベヤ(16)の間欠走行の停止時に袋内に挿入した開口爪(22,22)で袋口(12a)を上下に拡開して袋口(12a)を扁平状に保持し、
扁平状に保持した袋口(12a)を挟み手段(38)で左右から挟んだ状態で袋内に気体を充填し、
扁平状となった袋口(12a)の端縁のなす傾斜に沿って該袋口(12a)をシール手段(26)でシールし、
得られた包装体(28)とシール手段(26)とを相対的に離間して、該包装体(28)の前記コンベヤ(16)での下流側への搬送を許容し得るようにした
ことを特徴とする四面体状包装体の製造方法。
【請求項2】
前記コンベヤ(16)に載置される袋(12)は、その袋口(12a)を斜め上向き姿勢として搬送するようにした請求項1記載の四面体状包装体の製造方法。
【請求項3】
前記袋口(12a)を上下拡開する前に、第2の開口爪(50,50)を袋内に挿入して左右に拡開するようにした請求項1または2記載の四面体状包装体の製造方法。
【請求項4】
前記開口爪(22,50)を袋内に挿入して袋口(12a)を扁平状に整形しシール手段(26)で袋口(12a)をシールするまでの工程を、前記コンベヤ(16)の間欠走行の同一停止位置にて実施するようにした請求項1〜3の何れか一項に記載の四面体状包装体の製造方法。
【請求項5】
物品(10)を収容して一端が開口する袋(12)を、その袋口が搬送方向と交差する一側方を向く横倒し姿勢で所定間隔毎に載置して間欠的に走行するコンベヤ(16)と、
前記コンベヤ(16)の間欠走行の停止時に前記袋内に挿入して、袋口(12a)を上下に拡開して袋口(12a)を扁平状にする開口爪(22,22)と、
前記袋口(12a)から袋内に気体を充填する送気ノズル(24,24)と、
前記袋内に挿入した送気ノズル(24,24)と共に袋口(12a)を挟む挟み手段(38)および挟み手段(38)で挟持した袋口(12a)をシールするシールバー(34,34)を備えたシール手段(26)と、
前記シール手段(26)で袋口(12a)をシールして得た包装体(28)をコンベヤ(16)で搬出する際に包装体(28)とシール手段(26)との間を相対的に離間する作動手段(44)とを備えた
ことを特徴とする四面体状包装体の製造装置。
【請求項6】
前記コンベヤ(16)の搬送面は、前記開口爪(22,22)で開口されるまでの袋(12)をその袋口が斜め上向き姿勢で搬送し得るよう傾斜配置され、該コンベヤ(16)の側方には袋(12)の底部を支持して案内する案内手段(20)を配設した請求項5記載の四面体状包装体の製造装置。
【請求項7】
前記作動手段(44)は、袋口(12a)のシール後において、前記シールバー(34,34)を袋口(12a)の挟持位置より外方に離間した退避位置へ移動するよう構成した請求項5または6記載の四面体状包装体の製造装置。
【請求項8】
前記送気ノズル(24)は、前記開口爪(22)と一体に配設するよう構成した請求項5〜7の何れか一項に記載の四面体状包装体の製造装置。
【請求項9】
前記袋口(12a)を上下に拡開する第1の開口爪(22,22)と、該第1の開口爪(22,22)の拡開動作前に袋口(12a)を左右に拡開し、また前記第1の開口爪(22,22)で袋口(12a)を上下に拡開する際に袋口(12a)の左右が狭くなるのに対応して袋口(12a)の左右を支持して相互に近接移動する第2の開口爪(50,50)を設けた請求項5〜8の何れか一項に記載の四面体状包装体の製造装置。
【請求項10】
前記開口爪(22,50)、送気ノズル(24)およびシール手段(26)の夫々は、前記コンベヤ(16)の間欠走行の同一停止位置に対応して配設され、それら開口爪(22,50)、送気ノズル(24)およびシール手段(26)による全ての動作処理を同一停止位置で停止中の袋(12)に対して施すよう構成した請求項5〜9の何れか一項に記載の四面体状包装体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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