説明

四面包装体

【課題】四面体状に形成し、封止した包装容器を開封するときに、簡単、確実に引き裂き状に開封でき、開封後の供食時ではそのまま容器として利用できるようにする。
【解決手段】底辺ab、左右側辺ac,bdを有して平面で矩形状を呈する袋材2における上部開口部の端部c,d相互を当接して上部開口部をシールし、袋材2の底辺abに対して直交配置される閉塞部3を形成する。これによって、底辺abを共通の一辺とする三角形状の底側面部A、上側面部B、及び閉塞部3を共通の一辺とする三角形状の左右側面部C,Dから成る四面体状の容器本体1とする。また、底辺abの端部a,bから閉塞部3の中央部位である袋材2の上部開口部の端部c,dに至る開封口6を形成するよう開封口6に沿って開封破断テープ4を袋材2の内側面に貼着配置する。開封破断テープ4の端部a,b位置に摘み状の引き手4Aを連設形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三角形状の薄膜シート材をそれぞれの辺縁によって他のシート材に連続させることで四面体(三角錐体)状の立体として形成したいわゆるテトラ状包装体の改良に係り、食品の如き被収納物を立体的に保護した包装状態での陳列販売はもとより、供食時では簡単に開封でき、そのまま容器としても使用可能な四面包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、スーパーマーケット、コンビニエンスストアその他では、包装された各種の弁当・惣菜等が提供されており、しかもそれらは通常は一人前の分量であることで、購入者の個々人による個別の購入、供食が可能であるから便利である。そのため、盛り付けられた状態で個別包装ができるように、やや硬質の薄膜シート材によって必要があれば仕切が設けられて所定形状に成型された容器本体と、これに施蓋されるように組み合わせられる蓋体等が用意されている。このような所定形状の立体的な容器等から成る風袋は、中身の調理品の供食後ではそのまま廃棄されることが予定されているが、そのまま廃棄するには嵩張り、その処理は面倒である。
【0003】
こうした点を解消すべく、例えば特許文献1に示すような合成樹脂フイルム製の包装体が提案されている。この包装体の概略は、上部の1辺で開口され、熱シールによる左右側部、底部の3辺が閉塞されている矩形状の薄膜シート材製の包装袋によって、開口されている上部の辺縁の角部である左右側部の上端部相互を合わせて底部とほぼ直交するように封止することで、三角形状を呈する計4面の側面部によって、それぞれの辺縁にて他の側面部と連続して成るいわゆるテトラ状(三角錐体状)である四面体に形成する。そして、封止前には予め所定の被包装物を収納し、また適当量の気体の充填によって大気圧より僅かにでも高くして封止しておくのであり、取り出し時では封止した上部の辺縁における中央部を起点として前記の左右側部縁(熱圧着して形成したシール線)に沿って強制的に引き裂くように開封することによって、封止前の被包装物がそのまま露出され、また取り出せるようになるいわゆる舟形を呈する容器になるとする。
【0004】
このような包装体によると、被収納物を収納した封止後で運搬し、また店頭等に陳列販売するにも取り扱いが容易であり、また、開封後の包装体素材そのものは単なる合成樹脂製フィルムであることで、その廃棄も容易である等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3997251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1による包装体によって各種の被収納物を収納保持し、販売、購入後等でこれを開封するには、開封時の引き裂きの始端(起点)は、包装される以前の袋材時の開口部における両端部であり、袋材の左右辺縁に沿って切り離すとされているから、その始端それぞれに引き裂き力が十分に付与される必要がある。このときに付与される引き裂き力は、包装体のシール閉塞部を左右に引き裂くように左右部分を強く反対方向に牽引することで得られ、いずれにしても、その始端それぞれに集中的に付与されることで円滑に引き裂いていくことができる。
【0007】
ところで、収納・封止作業を行うときには、立体的な包装体になるように平面で矩形状を呈する袋材内に被収納物を収納した後に、袋材の開口部における折曲されている端部相互を展延、当接させた状態で、底辺とは直交する配置となして開口部をシールすることで閉塞するとする。ところが、その引き裂くための両始端位置が、シール閉塞部の中央位置で相互に相対して当接しておらず、左右方向でずれてしまうと、左右方向への引き裂き力の付与はその始端それぞれに集中せず、引き裂き開封操作が円滑に行われず、開封が困難な事態となってしまうことがある。このため、被収納物を収納後の密封シールに際し、端部相互の正確な位置合わせが必要である等の製造上の問題点があった。
【0008】
また、開封作業が円滑に行われず、切断のためのカッター、鋏等の切断用具を使用せざるを得ないとなると、開封者、一般的には消費者・購買者にとって面倒なことになり、また商品としての欠陥が疑われ、商品提供者に苦情が寄せられることにもなる。
【0009】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えば食品の如き各種の被収納物を収納して四面体状の包装容器として封止されて陳列販売され、またそれが購入後で開封されるときには簡単、確実に引き裂き状に開封できるようにし、開封後の供食時ではそのまま舟形形状あるいは器形状の容器として使用可能にした四面包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、底辺ab、左右側辺ac,bdを有して平面で矩形状を呈する袋材2における上部開口部の端部c,d相互を当接して上部開口部をシールすることで、袋材2の底辺abに対して直交配置される閉塞部3を形成し、底辺abを共通の一辺とする三角形状の底側面部A、上側面部B、及び閉塞部3を共通の一辺とする三角形状の左右側面部C,Dから成る四面体状の容器本体1と、この容器本体1を開封する開封口6を形成するよう開封口6に沿って袋材2の内側面に貼着配置される開封破断テープ4とを備えて成ることを特徴とする。
開封破断テープ4は、底辺abの端部a,bから閉塞部3の中央部位である袋材2の上部開口部の端部c,dに至る開封口6を形成するよう左右側面部C,Dの内側面に貼着配置して形成することができる。具体的には、例えば開封破断テープ4の一側縁を袋材2の熱シールされる左右側辺ac,bdに沿わせて貼着配置し、底辺abの端部a,b位置に摘み状の引き手4Aを開封破断テープ4に連設形成し、また、端部a,b部位に、引き手4Aを引き離し可能にした補強部7を形成することができる。
また、開封破断テープ4は、閉塞部3から底辺abに至る開封口6を形成するよう左右側面部C,Dの内側面に貼着配置して形成することができ、この場合、例えば、開封破断テープ4は、袋材2の左右側辺ac,bd上に沿って、あるいはこれと若干の間隙を隔てて平行にして配置形成することができる。このとき、底辺abに至らずに、底辺abとは若干の間隔を保つように袋材2自体の一部が破断されずに残る非開披部5を形成することができる。
更には、開封破断テープ4は、容器本体1の閉塞部3における中央部位からいずれか一方の端部側にずらした位置を始端とし、左右側面部C,Dを経て底辺abの半ば位置に至るように左右側辺ac,bdに対して傾斜状で、相互の間隔が次第に狭まるようにして配置形成することができる。
また、開封破断テープ4は、閉塞部3、左右側面部C,D、上側面部Bそれぞれの内側面に連続させて貼着配置して形成することができ、例えば、開封破断テープ4は始端位置とする閉塞部3から左右側面部C,Dのいずれか一方、上側面部B、左右側面部C,Dのいずれか他方それぞれの内側面を経て、終端位置とする閉塞部3に再び至るように連続させたり、あるいは上側面部Bの所定位置を始端とし、左右側面部C,D内側面を経て閉塞部3位置を終端とするように左右で対にして連続させたりして、配置形成することができる。
【0011】
以上のように構成された本発明に係る四面包装体にあって、四面体状に密封包装された容器本体1において、そのシール閉塞された閉塞部3における開封破断テープ4による容器本体1の開封破断は、容器本体1を容易に開封させて開封口6を形成し、この開封口6を経て内部収納の被収納物Mを取り出させる。
開封破断テープ4による開封破断は、開封者によって開封破断テープ4を引っ張ることでこれに沿って容器本体1の素材を容易に引き裂かせ、容器本体1を確実に破断開封させて開封口6を開口形成させることで、収納した被収納物Mを取り出させる。
容器本体1を開封するに際し、底辺abの端部a,b位置の引き手4Aによる引き剥がしで開封破断テープ4が容器本体1をその底辺ab側から破断開口し、このときの開封破断テープ4は、熱シールされている左右側辺ac,bdに沿って開封破断テープ4幅員で容器本体1の袋面部を破断する。開封破断テープ4の底辺ab側からの容器本体1に対する破断は、容器本体1が例えば電子レンジによって被収納物Mを加熱調理した際の容器本体1内に存する加熱蒸気を徐々に排出させて、開封者に対する安全性を配慮させる。
この破断、開封は、容器本体1を底側面部Aを底部として上下方向に大きく開口させて分断し、底側面部A、これに連続する半裁の左右側面部C,D下部から成る皿様に変形された容器本体1とし、容器本体1内に収容してある被収納物Mを取り出し可能にし、例えばそのまま供食させる。こうして変形された容器本体1において、上側面部B、これに連続する半裁の左右側面部C,D上部は蓋様となり、あるいは左右方向に開口して容器本体1における底辺abを共通の一辺とする三角形状の底側面部A及び上側面部Bそれぞれを底面部分とする舟形形状の皿様の容器とさせる。
開封破断テープ4の引き手4Aは、開封破断テープ4の破断開始を容易にさせ、補強部7は引き手4Aによる底辺ab側からの破断操作に際し、容器本体1側を押さえさせ、破断作業を速やかに行わせる。
また、閉塞部3から底辺ab側に至る開封破断テープ4による開封は、容器本体1を左右方向に開口して容器本体1における底辺abを共通の一辺とする三角形状の底側面部A及び上側面部Bそれぞれを底面部分とする舟形形状の皿様の容器に容器本体1を変形させる。また、閉塞部3と底辺ab側とを連続させずに、閉塞部3位置を始端、終端とする開封破断テープ4による開封は容器本体1における底側面部Aを底部とする器形状の容器に容器本体1を変形させる。
袋材2の左右側辺ac,bdに沿う開封破断テープ4による容器本体1の開封破断は、閉塞部3を左右部分に分断すると同時に、左右側面部C,Dをも分断し、左右で対称的な舟形形状の容器を形成させる。
また、この開封破断テープ4によっても左右側面部C,Dを分断させない非開披部5は、舟形形状に開封したときの中央部分で所定高さの堰片を形成し、器内部における液状分の外部への漏出を阻止させる。
閉塞部3における中央部位からいずれか一方の端部側にずらした位置から左右側辺ac,bdに対して傾斜した状態で底辺abの半ば位置に至る開封破断テープ4は、左右で非対称となる舟形形状の器を形成させ、器の底面部となる底側面部A、上側面部Bのいずれかで周囲を囲繞する堰片を有するものとなり、被収納物Mから浸出することがある液状分の外部への漏出を防止する。
上側面部B、左右側面部C,D、閉塞部3に連続させてそれぞれの内側面に配置した開封破断テープ4は、四面体状を呈する容器本体1における上部部分を除去させ、底側面部A及びその周囲に連続する上側面部B、左右側面部C,Dの下部分を残置させることで周囲が囲繞されている器形状となす。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明したように構成されているため、被収納物Mを収納した状態で包装される四面体状の容器本体1を開封破断テープ4による引き裂きで簡単、確実に開封して開封口6を得ることができ、開封後ではそのまま舟形形状あるいは器形状の容器として使用可能である利点を有する。特に、開封破断テープ4によって簡単、確実に開封できることで、従来であれば袋材2の上部開口部における引き裂き開封のための始端となる端部c,dの内側面相互の厳密な位置合わせが必要であった製造上の問題を解決でき、その封止作業の能率向上、製造コストの低減化にも大きく寄与できる。
【0013】
すなわち、これは本発明において、底辺ab、左右側辺ac,bdを有して平面で矩形状を呈する袋材2によって、上部開口部を底辺abに対して直交配置した閉塞部3に形成して底側面部A、上側面部B、左右側面部C,Dから成る四面体状とした容器本体1と、この容器本体1に開封口6を形成するよう袋材2の内側面に貼着配置される開封破断テープ4とを備えて成るからであり、これによって、容器本体1の容易、確実な開封による開封口6の開口形成、開封後での舟形形状あるいは器形状の容器への変形を容易にする。
【0014】
開封破断テープ4は、底辺abの端部a,bから閉塞部3の中央部位である袋材2の上部開口部の端部c,dに至るよう左右側面部C,Dの内側面に貼着配置し、底辺abの端部a,b位置の引き手4Aによって容器本体1を破断開封するように形成してあることで、容器本体1における底部側の隅部を起点としてその隅部から容器本体1を破断開封できる。そのため、例えば容器本体1内の被収納物Mを電子レンジ等で加熱調理したときに容器本体1内に貯留される加熱蒸気の急速な一時的な大量の排出を防止して、徐々に僅かずつで加熱蒸気を排出でき、開封者に対する安全性を配慮したものとできる。
【0015】
しかも、開封破断テープ4は、その一側縁を袋材2の熱シールされる左右側辺ac,bdに沿わせて貼着配置してあることで、その熱シール部分を強制的に引き剥がすように分断するから、破断開封はその左右側辺ac,bdに沿った直線状の開口となし、開封作業を一層円滑にすることができる。
【0016】
更には、端部a,b部位に引き手4Aを引き離し可能にした補強部7を形成してあるので、引き手4Aによる開封破断テープ4の引き剥がして破断開封するときには、容器本体1側を押さえつける支持部位となり、開封作業を円滑に行わせるのである。
【0017】
容器本体1の左右側面部C,D、上側面部Bそれぞれの内側面に貼着配置された開封破断テープ4の始端等が閉塞部3内側面に位置することで、閉塞部3位置のシール密閉力が脆弱となるようにすることもできる。そうすると被収納物Mに対する電子レンジによる加熱調理時に被収納物Mから発生する所定圧力の加熱蒸気の排出路として剥離、破断形成され、容器本体1そのものによる調理をも可能にする利点もある。
【0018】
また、開封破断テープ4は、袋材2の左右側辺ac,bdあるいはこれと平行に配置してあることで、開封破断テープ4による容器本体1の開封破断によって閉塞部3を左右部分に分断すると同時に、容器本体1における左右側面部C,Dをも分断し、その結果、左右で対称的な舟形形状の容器を簡単に形成でき、容器本体1内の被収納物Mを完全に露呈させ、取り出すことができる。
【0019】
この開封破断テープ4による破断によってもその破断部分が袋材2の底辺abに至らずに、底辺abとは若干の間隔を保つように袋材2自体の一部が破断されずに残る非開披部5を形成することで、容器本体1の破断時に得られる容器には、この非開披部5が、展開される底側面部A、上側面部B相互間で所定高さの堰片となり、例えば被収納物Mから浸出されることがある液状分の外部への漏出を阻止し、周囲を汚損させない。
【0020】
更に、閉塞部3における中央部位からいずれか一方の端部側にずらした位置から左右側辺ac,bdに対して傾斜した状態で底辺abの半ば位置に至るように開封破断テープ4を配置形成することで、この開封破断テープ4による容器本体1の分断は左右で非対称となる舟形形状の器を形成させることができる。これによって、他方に対し深底状となる一方では、器の底面部となる底側面部Aあるいは上側面部Bのいずれかで、上側面部Bあるいは底側面部Aに連続して残置される部位が周囲を囲繞する堰片ともなり、被収納物Mから浸出することがある液状分の外部への漏出を防止するのに役立つ。
【0021】
また、開封破断テープ4を閉塞部3、左右側面部C,D、上側面部Bそれぞれの内側面に連続させて貼着配置して、底辺ab位置には至らないように離間配置することで、この開封破断テープ4によって容器本体1を開封したときでは、開封口6は容器本体1の底側面部Aを底部とした場合で、上側面部B、左右側面部C,Dそれぞれの上部部分を切除するものとなる。そのために、底側面部Aの周囲は上側面部B、左右側面部C,Dそれぞれの下部部分で囲繞された器形状の容器を呈し、被収納物Mが例えば液状分を含む調理品等である場合でもそれを周囲に漏出させる虞は全くない。
【0022】
開封破断テープ4の始端を上側面部Bの所定位置とし、左右側面部C,Dを経て終端を閉塞部3とすることで、底側面部Aを底部としての容器本体1の上部部分を上側面部B側から切除できるから、切除操作も容易であり、上部縁が開封口6となる器形状の容器に簡単に変形できる。
【0023】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すもので、第1の実施の形態における斜視図である。
【図2】同じく開封するときの斜視図であり、その(a)は底辺端部の一方から開封するとき、(b)は更に底辺端部の他方から開封するときである。
【図3】同じく袋材を形成するときの袋面部、開封破断テープ等の配置を示す分解斜視図である。
【図4】同じく開封破断テープ部位における要部断面図である。
【図5】本発明を実施するための第2の実施の形態における斜視図である。
【図6】同じく開封したときの斜視図である。
【図7】同じく密封包装前における袋材の平面図である。
【図8】同じく第3の実施の形態における斜視図である。
【図9】同じく開封したときの斜視図である。
【図10】同じく第4の実施の形態における斜視図である。
【図11】同じく開封したときの斜視図である。
【図12】同じく第5の実施の形態における斜視図である。
【図13】同じく第5の実施の形態における他例の斜視図である。
【図14】同じく内部にトレーと共に被収納物を装入した場合の第6の実施の形態における一部切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明するに、図において示される符号1は透明な所定肉厚の合成樹脂製フィルム・シート材にて形成されたほぼ四面体状(三角錐体状)、いわばテトラ状を呈するように形成される容器本体である。この容器本体1自体は、所定幅員、所定高さを有する矩形状を呈する扁平な袋材2によって形成される。
【0026】
この袋材2は、扁平な状態においての底辺abおよびこれに連続する左右側辺ac,bdは例えば熱シールされることで閉塞されていて、上辺cdのみが開口されて上部開口部を形成している(図3、図7参照)。そして、この平面で矩形状を呈する袋材2において、上部開口部における端部c,dそれぞれの内側面を相互に当接させ、上辺cdの中央位置e,fが端部となるようにすると共に、底辺abに対して直交するように配置形成して、上部開口部縁からの所定幅員でシール閉塞することで形成した閉塞部3によって、四面体状(三角錐体状)を呈する容器本体1となるようになっている(例えば図1参照)。
【0027】
この容器本体1においては、袋材2の底辺abを一辺とする三角形状の底側面部A(abg)、同じく底辺abを一辺とする三角形状の上側面部B(abh)、袋材2の上部開口部辺efあるいはghを一辺とする三角形状の左側面部C(bhg)、同じく上部開口部辺efあるいはghを一辺とする三角形状の右側面部D(ahg)の4面を有する四面体(三角錐体)となっている。また、容器本体1の容積・高さ等は、例えば収納される被収納物Mを収納するに十分なものとしてあるのは勿論である。
【0028】
また、四面体状に形成された容器本体1を開封するために、袋材2素材を破断し、分離する帯材あるいは紐材等から成る開封破断テープ4が容器本体1における左右側面部C,D、上側面部B、閉塞部3の内側面に貼着配置されている。この開封破断テープ4による容器本体1に対する開封形態によって、容器本体1自体は開封口6が形成された舟形形状あるいは器形状に開口変形されるようになっている。このための開封破断テープ4は、容器本体1として形成される以前の袋材2の袋面部の内側面に所定の配置形態で予め貼着配置される。そして、開封破断テープ4のいずれか一方の端部は、容器本体1外に突出することで、容器本体1を破断開封する引き手4Aとなっており、また、その両脇部分には破断開始が円滑となるように袋材2自体に引き裂きガイドとなる切れ目4Bを形成してある。尚、この切れ目4B自体は、容器本体1内外を連通させずに遮断している形態で設けられる。
【0029】
尚、袋材2の素材自体においては、この開封破断テープ4による破断方向に沿って容易に破断される易開封性の一軸延伸フィルムによって形成されることが望ましい。
【0030】
図示を省略したが、この開封破断テープ4に代え、袋材2の素材自体を破断する破断線を、左右側辺ac,bdにあるいはこれに若干の間隙を隔てて平行状にして形成することも可能である。この破断線は、例えば袋材2素材の肉厚の例えば半ば位置に達する深さの切り込み・溝等を形成しておくもので、強制的な外力の付与があって破断線に沿って袋材2自体を破断させるものとしてある。
【0031】
図1乃至図4に示される第1の実施の形態において、開封破断テープ4は、底辺abの端部a,bから閉塞部3の中央部位である袋材2の上部開口部の端部c,dに至る開封口6を形成するよう左右側面部C,Dの内側面に貼着配置して形成される。具体的には、例えば開封破断テープ4の一側縁を袋材2の熱シールされる左右側辺ac,bdに沿わせて貼着配置し、端部a,b位置に摘み状の引き手4Aを開封破断テープ4に連設形成してある。
【0032】
すなわち図3に示すように、袋材2が、平面矩形状の一対の袋面部を、その底辺ab、左右側辺ac,bdそれぞれが熱シール等されることで形成されるとき、いずれか一方の袋面部における左右側辺ac,bdに沿わせて袋面部内側面に貼着されることで配置形成される。このとき、底辺abにおける端部a,b部位に、袋面部の外側面に位置するようにして開封破断テープ4に連設した引き手4Aを引き離し可能にして補強部7を形成するのである。また、引き手4A部分は、容器本体1の他部位と明確に区別できるように色による識別、凸部・膨らみ形状、容器本体1外方に突出する突出部形状その他によって形成できる。
【0033】
図5、図6に示される第2の実施の形態においては、袋材2における左右側辺ac,bdの内側面に開封破断テープ4を貼着等することで配してあり、開封破断テープ4の端部は袋材2の開口部から若干でも外出していて、引き手4Aとなっている。また必要に応じ、開封破断テープ4の引き手4Aである端部近傍では、これの両脇部分の袋材2自体に切れ目4Bを設けることで、引き手4Aによって引き裂くときの切断の一層の容易性を図れるようにすると良い。
【0034】
この開封破断テープ4自体は、左右側辺ac,bdにおける折曲部分上に沿って配してあるも、左右側辺ac,bdとは若干の間隔を隔ててほぼ平行状にして配してあるもいずれでも良い。また開封破断テープ4は、左右側辺ac,bdそれぞれに沿って1本にするも、複数本にするもいずれでも良く、要は、開封破断テープ4の始端である引き手4Aによって袋材2が分断され、開封されるものとなっていれば良い。
【0035】
開封破断テープ4あるいは破断線による袋材2自体の破断は、袋材2の上部開口部から底辺ab位置に至るまでとすることで、後述するように開封時では舟形容器として大きく開放したものとできる。
【0036】
あるいは図8、図9にて示される第3の実施の形態のように、開封破断テープ4あるいは破断線による破断開封時では、底辺abに至らずに、底辺abとは若干の間隔を保つように袋材2自体の一部が破断されずに残る非開披部5を形成することができる。こうすると、開封時ではこの非開披部5が破断されずに残り、舟形容器として開放されたときの中央部位で所定高さを有する堰片となり、例えば食品である被収納物Mから浸出することがある液状分を外部に漏出させず、周囲を汚損させることがない。
【0037】
図10、図11には第4の実施の形態が示されており、破断開封時に変形舟形形状を呈するものとして構成されている。すなわち、開封破断テープ4は、これらの図8、図9に示すように底側面部Aを底部として載置したときの閉塞部3における中央部位からいずれか一方の端部側にずらした位置に、例えば上方位置である、底部からの高さ比率が4:6の位置にその始端を配置し、左右側面部C,Dを経て上側面部Bとの境界線を跨ぎ、上側面部Bにおける両側縁を経て底辺abにおける内側位置にその終端を配置して成る。
【0038】
そして、この場合にあっては、開封破断テープ4の袋材2に対する予めの配置は、袋材2を平面で見たとき、いずれか一方の片面において、上部開口部の端部c,dの内側位置から底辺abの半ば位置に至るように左右側辺ac,bdに対して傾斜状で、相互の間隔が次第に狭まるように配置することで対処可能である。また、開封破断テープ4に沿って容易に破断できるように、袋材2素材は先の実施の形態におけると同様に易開封性の一軸延伸フィルムによって形成されることが望ましい。尚、この開封破断テープ4における開封時の始端構造は、先の実施の形態におけると同様に構成されている。
【0039】
こうすることで、袋材2内に所定の被収納物Mを収納密封後の容器本体1において、開封破断テープ4によって容器本体1を破断開封すると、図7に示すように舟形形状に開封されたときには、一半部では例えば被収納物Mが載置され、その周囲を囲繞する深底状の器体様を呈し、他半部では被収納物Mを覆うような蓋となる浅底状を呈するものとなる。このように開封時で左右半部それぞれの機能が異なるような平面でほぼ三角形状を呈する大小の器体様とすることで、被収納物M等の種別に応じた使用態様を選択できる。
【0040】
図12、図13には第5の実施の形態が示されており、この第5の実施の形態における開封破断テープ4は、閉塞部3、左右側面部C,D、上側面部Bそれぞれの内側面に連続させて貼着配置して形成してある。具体的には例えば図12に示すように、開封破断テープ4は始端位置とする閉塞部3から左右側面部C,Dのいずれか一方、上側面部B、左右側面部C,Dのいずれか他方それぞれの内側面を経て、終端位置とする閉塞部3に再び至るように連続させて形成する。この場合、閉塞部3部位において、袋材2における上部開口部の端部c,dあるいはこれの近傍の内側面それぞれに開封破断テープ4の端部が配置されるも、いずれの側が始端あるいは終端であっても差し障りはなく、要は少なくてもいずれか一方の端部が引き手4Aとなって、容器本体1を破断開封するものとなっていれば良い。尚、袋材2における袋面部内側面に開封破断テープ4を配置貼着するにつき、開封破断テープ4自体は直線状であることが望ましく、場合によっては1本の開封破断テープ4によらずに複数本で分割し、それらの端部が重なる等で連続配置することもある。
【0041】
あるいは例えば図13に示すように、上側面部B内の所定位置を始端とし、左右側面部C,D内側面を経て閉塞部3位置を終端とするように左右で対にすると共に、始端位置更には終端位置で連続させて、配置形成することができる。図示のように、上側面部Bにおける例えばそのほぼ中央部分の近傍を始端位置とし、この始端位置では左右の開封破断テープ4端部を重ね合わせておき、その重ね合わせた始端部分である引き手4Aから順次に引き裂くことで開封するようにしてある。
【0042】
また、図14には容器本体1とする袋材2内に被収納物Mを装入するに際し、この被収納物Mを載置するようになっているトレー10を使用する第6の実施の形態が示されている。すなわち、容器本体1における三角形状の底側面部Aに比し大きくはない三角形状の底面部11と、この底面部11の各辺、少なくとも袋材2内に装入するときの装入先端側の辺に、折曲連続させることで立脚した堰片12とを備えたトレー10を袋材2とは別に用意しておく。そして、このトレー10上に載置した被収納物Mを所定の堰片12側から袋材2内に装入することで、被収納物Mの装入作業の円滑性と、装入密封後の被収納物Mの保護とを図ることができる。
【0043】
尚、このトレー10は耐水・耐油処理が施された紙片、更には吸水・吸油性がある不織布材等によることが主として予定されるも、これに限定されず、またその形状も袋材2内への装入後で袋材2をこれの内部から四面体状に形作るようになっていても良い。
【0044】
次に、これの使用の一例を説明すると、予め所定の開封破断テープ4が内側面に貼着配置されている袋材2において、その上部開口部に例えば所定のエアー圧力を吹き付け供給して半ば開口させておく。そして、このようにして開口状態にある袋材2における上部開口部の端部c,d相互間に、必要があればトレー10を使用して各種惣菜等の所定の被収納物Mを装入し、端部c,dの内側面を相互に当接させて、底辺abにほぼ直交する閉塞部3をシール閉塞して形成し、容器本体1として密封する。密封に際し、開封破断テープ4の始端である引き手4A部分は容器本体1の底辺abにおける端部a,bに(図1参照)、また閉塞部3の外部に外出した状態とする(図5、図8、図10、図12、図13、ず14参照)。
【0045】
開封に際し、開封破断テープ4の引き手4Aによって開封破断テープ4自体を引っ張り、これに沿って容器本体1を順次に開封し、開封部位に沿って開封口6を形成する。開封口6を形成することで開口された容器本体1自体は、第1乃至第4の実施の形態では、展開された底側面部A上に被収納物Mが露呈される器状を呈し、更には底側面部A及び上側面部B上に被収納物Mが露呈されることで載置されている舟形形状を呈する(図6、図9、図11参照)。あるいは、第5の実施の形態では、容器本体1の底側面部Aを底部とするときの上部部分を切除することで、底側面部Aの周囲が囲繞された器形状を呈する。このような開封状態では、被収納物Mを、あるいは必要であれば他容器に移し替えて例えば食品である被収納物Mを供食すれば良い。
【0046】
尚、開封に先立ち、電子レンジによって例えば食品である被収納物Mを加熱調理するとき、容器本体1内で生じる加熱蒸気は、開封破断テープ4があることで例えば閉塞部3においてシール作用が若干でも脆弱となる開封破断テープ4部位が、内部圧力で剥離、破断されることで蒸気排出口となり、加熱蒸気を円滑に排出させるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…容器本体 2…袋材
3…閉塞部 4…開封破断テープ
4A…引き手 4B…切れ目
5…非開披部 6…開封口
7…補強部
10…トレー 11…底面部
12…堰片
A…底側面部 B…上側面部
C…左側面部 D…右側面部
M…被収納物
ab…袋材の底辺 cd…袋材の上辺
ac,bd…袋材の左右側辺
c,d…端部 e,f…袋材における上辺の中央部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底辺、左右側辺を有して平面で矩形状を呈する袋材における上部開口部の端部相互を当接して上部開口部をシールすることで、袋材の底辺に対して直交配置される閉塞部を形成し、底辺を共通の一辺とする三角形状の底側面部、上側面部、及び閉塞部を共通の一辺とする三角形状の左右側面部から成る四面体状の容器本体と、この容器本体を開封する開封口を形成するよう開封口に沿って袋材の内側面に貼着配置される開封破断テープとを備えて成ることを特徴とする四面包装体。
【請求項2】
開封破断テープは、底辺の端部から閉塞部の中央部位である袋材の上部開口部の端部に至る開封口を形成するよう左右側面部の内側面に貼着配置してある請求項1に記載の四面包装体。
【請求項3】
開封破断テープの一側縁を袋材の熱シールされる左右側辺に沿わせて貼着配置し、底辺の端部位置に摘み状の引き手を開封破断テープに連設形成してある請求項2に記載の四面包装体。
【請求項4】
底辺の端部部位に、引き手を引き離し可能にした補強部を形成してある請求項3に記載の四面包装体。
【請求項5】
開封破断テープは、閉塞部から底辺に至る開封口を形成するよう左右側面部の内側面に貼着配置して形成してある請求項1に記載の四面包装体。
【請求項6】
開封破断テープは、袋材の左右側辺上に沿って、あるいはこれと若干の間隙を隔てて平行にして配置形成してある請求項2または5に記載の四面包装体。
【請求項7】
開封破断テープは、底辺に至らずに、底辺とは若干の間隔を保つように袋材自体の一部が破断されずに残る非開披部を形成してある請求項5または6に記載の四面包装体。
【請求項8】
開封破断テープは、容器本体の閉塞部における中央部位からいずれか一方の端部側にずらした位置を始端とし、左右側面部を経て底辺の半ば位置に至るように左右側辺に対して傾斜状で、相互の間隔が次第に狭まるようにして配置形成してある請求項1に記載の四面包装体。
【請求項9】
開封破断テープは、閉塞部、左右側面部、上側面部それぞれの内側面に連続させて貼着配置して形成してある請求項1に記載の四面包装体。
【請求項10】
開封破断テープは、始端位置とする閉塞部から左右側面部のいずれか一方、上側面部、左右側面部のいずれか他方それぞれの内側面を経て、終端位置とする閉塞部に再び至るように連続させて貼着配置して形成してある請求項1に記載の四面包装体。
【請求項11】
開封破断テープは、上側面部の所定位置を始端とし、左右側面部内側面を経て閉塞部位置を終端とするように左右で対にして連続させて貼着配置して形成してある請求項1に記載の四面包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−269845(P2010−269845A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152119(P2009−152119)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【特許番号】特許第4523663号(P4523663)
【特許公報発行日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(390003148)エフピコチュ−パ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】