回折レンズを測定する方法
【課題】回折レンズの光学的特性を測定する方法を提供すること。
【解決手段】多焦点眼内レンズの光学的特性を測定する方法。平行光が眼内レンズを通過して小型レンズのアレイの上に進む。小型レンズのアレイから出た光はセンサにより検出される。ぼやけたスポット及び/又は2重スポットが波面の回折ゾーンを表わす。スポットの重心又は2つのスポットの内の明るい方がスポットの横の位置を決定するために用いられ得る。理論的計算、実験室の測定、臨床測定及び実験的画像スポットが、単焦点等価レンズを決定するために、生成され、比較されて、照合され得る。MTFが回折レンズ及び単焦点等価レンズを評価及び比較するために用いられ得る。
【解決手段】多焦点眼内レンズの光学的特性を測定する方法。平行光が眼内レンズを通過して小型レンズのアレイの上に進む。小型レンズのアレイから出た光はセンサにより検出される。ぼやけたスポット及び/又は2重スポットが波面の回折ゾーンを表わす。スポットの重心又は2つのスポットの内の明るい方がスポットの横の位置を決定するために用いられ得る。理論的計算、実験室の測定、臨床測定及び実験的画像スポットが、単焦点等価レンズを決定するために、生成され、比較されて、照合され得る。MTFが回折レンズ及び単焦点等価レンズを評価及び比較するために用いられ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、回折眼科用レンズ、及び、回折レンズの光学的特性を測定する方法に関する。
【0002】
本出願は、「回折レンズを測定する方法」と題された2007年7月31日に出願された仮特許出願番号60/952913号による優先権を主張し、この出願の全内容は全ての目的のために参照されてここに明確に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
回折レンズは、通常、光学波面(optical wavefront)を不連続に分割する回折「ゾーン(zone)」を利用する。ゾーン境界間の横の分離(lateral separation)、及び、ゾーン境界における光学的位相の遅れは、管理された方法で、一緒に結合して光の方向を変える。波面が通常滑らか且つ連続している従来の光学的画像化システムに関する状況とは異なり、光学波面自身は、通常、回折レンズを通過したすぐ後には不連続である。
【0004】
従来の単焦点画像化システムの光学波面は、そのシステムによって作り出された画像の光学的特性を決定するために用いることができる。波面は、点広がり関数、変調伝達関数、又は画質の様々な他の指標を計算するために用いられ得る。従来のレンズの波面を測定するために用いられ得る1つの方法には、波面が小さな小型レンズ(lenslet)のアレイ(array)を照らすシャックハルトマン(Shack−Hartmann)システムがある。各小型レンズを通過した光は焦点に到り、もし局所的波面が傾いていると、焦点が合った点は、小型レンズの領域に跨るレンズの局所的傾きを示す距離だけ横方向に表示される。波面の傾きは、このように全ての小型レンズに対して測定されて、傾きが波面を作り出すために結合される。この方法は、多くの分野において用いられてきており、最近は、人間の眼の波面の性質を測定するために用いられ得る眼科学において評判を呼んでいる。
【0005】
この方法は局所的波面の傾きの測定のみができ、回折レンズの特徴である帯状の光学的不連続性を測定しないため、小型レンズアレイが回折レンズを測定するために用いられると問題が生じる。同じ制約が、レンズの物理的体積がレンズ表面を軸方向にシフトすることによって低減されているフレネルレンズに対しても存在する。これらのシフトは、任意の位置において存在しており、フレネルレンズに対して任意の光学的位相の遅れを有する。任意の位置におけるレンズの表面傾きは、元のレンズの表面傾きと同じであるが、光学的特性に影響を与える位相の不連続性が導入されている。
【0006】
回折レンズのある具体的な眼科用の使用は、眼内レンズとしての使用である。眼内レンズ(IntraOcular Lens:IOLs)は、通常、白内障手術中に患者の眼の中に埋め込まれて、自然のレンズが取り除かれた場合に生じる失われた光学的能力を補償する。”眼内レンズ”という用語及びその省略であるIOLは、自然のレンズを置き換えるためにか、又は、さもなくば自然のレンズが取り除かれるか取り除かれないかに関わらず視覚を議論するために眼の中に埋め込まれたレンズを述べるべく、ここでは同じ意味に用いられる。それらは、自然の眼の屈折誤差を修正することに対して光学的能力を提供する。多くの異なるタイプの眼内レンズが、様々な状態を取り扱うために存在して、患者に修正された視覚を提供する。
【0007】
回折レンズは、また通常回折次数として知られているように、光を同時にいくつかの方向に回折できる。他焦点眼内レンズにおいて、2つの回折次数が用いられて患者に2つの光学的能力を提供する。1つは遠視力(distance vision)であり、もう1つは近視力(near vision)である。そのような回折眼内レンズは、通常、遠焦点及び短焦点の間の分離を提供する追加の能力を有するように設計されている。このように、回折IOLは物体距離範囲に亘って患者に視力を提供し得る。
【0008】
回折IOLが眼の中に埋め込まれると、それは上述したように波面に影響を与える。小型レンズアレイを用いた測定は、波面における不連続性によって影響を受ける。
【発明の開示】
【0009】
回折レンズに対して、従来の単焦点レンズのもののように波面が滑らか且つ連続でないこと、個々のゾーンの局所的傾き、及び、回折ステップにおける不連続性がスポットの位置に影響を与える、という事実による光学的影響を補正する方法が好ましい。
【0010】
ある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するためのシステム及び方法を説明する。ある実施形態では、回折レンズの光学的特性を測定する方法が、円環状レンズ又は非球面構成要素を有する回折レンズを測定し得る。上記方法は、回折レンズの波面のサンプリング領域を有し得る。回折レンズの波面は不連続性を有しており、波面のサンプルは、あまり細かくないので真実の波面を測定するには十分ではない。例えば、眼科学では、一般に、サンプリングは複数のゾーン境界を交差する傾向にある粗いサンプリングを有している。粗いサンプリングは、修正又は変換を要求し得る。
【0011】
ある実施形態は眼内レンズ(IOL)の光学的特性を測定するための方法を述べる。ある実施形態は、ここで、回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、光を上記回折レンズに通過させて小型レンズのアレイの上に進めるステップであって、各小型レンズは上記光の一部分を受け取り、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、上記小型レンズのアレイによって大まかに合焦され且つセンサによって検出された光に基づいて、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップと、測定システムにおいて、測定された結果を調整して、上記レンズの回折構成要素の予期された光学的特性を補正するステップと、を有している方法を開示する。ある実施形態では、各小型レンズは上記光の一部分を受け取り、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している。ある実施形態では、方法は、更に、各小型レンズにより合焦された光のスポットの位置を、完全な平行波面に対するスポットの位置と比較して、スポットの横の動きを決定するステップを有する。ある実施形態では、回折構造により導入された位相の遅れに対して、各小型レンズにわたる波面のフーリエ変換を用いて上記回折構造の効果が計算される。ある実施形態では、上記回折構造の上記効果は、回折レンズ及び単焦点等価レンズの両方に対する測定値を比較して補正を決定することによって定められる。ある実施形態では、方法は、更に、ぼやけているか又は2重のスポットを特定するステップと、上記小型レンズに対する局所的傾きを調整して単焦点等価レンズを表わすステップと、を有している。上記ぼやけているか又は2重のスポットの存在が上記レンズの表面の回折部分の存在を示している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、単焦点等価レンズを決定するステップを有している。ある実施形態では、単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び実験的測定値を比較するステップを有している。ある実施形態では、単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び臨床測定値を比較するステップを有している。ある実施形態では、方法は、更に、理論的計算値、実験的測定値及び臨床測定値の内の2つ又はそれ以上を照合するステップを有している。ある実施形態では、方法は、更に、波面の一部分を解析するステップを有している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、上記レンズの設計に基づいて理論的歪みのデータを予測するステップと、上記理論的歪みの上記予測を補正するステップと、を有している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、小型レンズを覆うおおよそのレンズ領域を計算して2重のスポットの大きさを予測するステップを有している。
【0012】
ある実施形態は、ここで、回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、光を上記回折レンズに通過させるステップであって、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、レンズから出た光に基づいて上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定して、レンズの光学的特性を測定するために設計されたシステムを使用するステップと、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を計算して上記回折レンズの予期された1つ又は複数の特性を決定するステップと、上記回折レンズの上記決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の理論的計算値に対して比較するステップと、レンズの上記特性を測定するために用いた上記システムの1つ又は複数の特性を計算するステップと、上記回折レンズの上記特性を測定するために用いた上記システムの1つ又は複数の特性を測定するステップと、上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性、及び、レンズの特性を測定するための上記システムの上記1つ又は複数の特性に対する比較に基づいて、上記回折レンズの1つ又は複数の特性の測定値を補正するステップと、を有している方法を提供する。ある実施形態では、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップが、回折レンズの球面収差を測定するステップを有している。
【0013】
回折レンズを測定するための方法の実施形態は、フレネルレンズ、単焦点レンズ、多焦点レンズ、及びゾーン屈折多焦点IOLsのような他のゾーンレンズに対して適用できる。ゾーン屈折レンズは、ゾーン境界において光学的位相における不連続性を有しておらず、主に波面の傾きにおける変化を有しているだろう。
【0014】
後述する記載及び添付の図面と共に考慮されて、ここに開示された上記実施形態の他の目的及び利点が、より良く認識され且つ理解されるであろう。
【0015】
開示及びその利点のより完全な理解が、似た参照符号は一般に似た特徴を示している添付の図面と共に下記の記載を参照して得られるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本開示は様々な変形及び代替形の影響を受けるが、その具体的な実施形態は図面において例示として示されており、ここで詳細に説明される。しかしながら、その図面及び詳細な説明は、本開示を開示されている特定の形式に制限することを意図するものではなく、むしろ、意図する所は、添付の請求項により定められるように本開示の精神及び範囲内におさまる全ての変形、均等物及び代替形をカバーすることにあることを理解すべきである。
【0017】
回折レンズの測定、並びにその様々な特徴及び利点の詳細に対する本発明のシステム及び方法が、下記の記載において述べられる非制限的な実施形態を参照して、より十分に説明される。周知の出発原料、製造技術、構成要素及び装置の説明は、本発明を不必要に詳細にして不明瞭にしないように、省略されている。しかしながら、当業者は、本発明の好ましい実施形態を開示しているけれども、詳細な説明及び具体例が説明のみのために与えられており制限のためではないということを理解すべきだろう。基礎をなす発明の概念の範囲内における様々な代替、変形及び追加が、本開示を読んだ後に当業者に対して明らかになるだろう。また、当業者は、ここで開示された図面が必ずしも縮図で描かれていないということを理解し得る。
【0018】
ここで用いられているように、”備える(comprises)”、”備えている(comprising)”、”含む(includes)”、”含んでいる(including)”、”有する(has)”、”有している(having)”という言葉又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な含有を含むことを意図している。例えば、要素のリストを含むある処理(a process),処理(process),物(article)又は装置(apparatus)は、必ずしもこれらの要素に制限されるだけでなく、また、明確に記載されていないか又はそのようなある処理,処理,物又は装置に固有の他の要素を含んでも良い。更に、反対であると明示していない限り、”又は(or)”は包含的であり、排他的ではない。例えば、条件A又はBは下記の何れか一つによって満たされる:Aは真(又は存在する)でありBは偽である(又は存在しない)、Aは偽(又は存在しない)でありBは真(又は存在する)である、及び、A及びBの両方が真(又は存在する)である。
【0019】
更に、ここで与えられた任意の実施形態又は説明は、これらが共に用いられている用語又は表現の制限事項、限界、又は定義の表現として多少なりとも見なすべきではない。代わりに、これらの用語又は表現は、ある具体的な実施形態及び説明としてのみ見なされるべきである。当業者は、これらの実施形態及び説明が共に用いられている任意の用語及び表現が、明細書におけるそこに又は他の場所に与えられている他の実施形態を含み、且つ全てのそのような実施形態はその用語及び表現の範囲内に含まれることが意図されていることを理解するだろう。そのような非制限的実施形態及び説明を指定する言葉は、”例えば(for example)”、”例えば(for instance)”、”例えば(e.g.)”、”ある実施形態では(in one embodiment)”を含むが、これらに制限されるものではない。
【0020】
様々な実施形態が図面に記載されており、同様の符号が、各種の図面の同様の及び対応する部分を参照して用いられている。
【0021】
ここに開示されたある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するシステム及び方法を提供する。回折レンズは、回折ゾーンの間にゾーン境界を有しており、また、非回折ゾーンを有していても良い。ある実施形態では、波面測定が、レンズの表面の全域で光学的特性を評価するために用いられ得る。これらの光学的特性は、光学的特性を評価するためか、又は、画像特性変化の特定原因を特定するために用いられ得る。
【0022】
回折ゾーンを有するレンズが、レンズの光学的特性を測定するためにシステムに位置づけられ得る。光源がレンズに向けられる。もし、中継レンズが含まれていれば、光はまた中継レンズを通り抜ける。結果は、非回折表面を有するレンズを通過して投影された光と比較されて、回折構成要素の効果を決定し得る。当業者は、これらの技術が、眼の波面測定のために光源として働くべく患者の網膜から反射された光のように、様々な他のアプリケーションに対しても等しく適用しうることを理解するだろう。
【0023】
ここに開示されたある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するための方法を提供する。ある実施形態では、ハルトマンシャック(Hartmann−Shack)システムがレンズの光学的特性を測定するために用いられ得る。回折レンズの測定をするためにハルトマンシャックシステムを用いることの問題に対する1つの解決法は、レンズ設計に基づいて理論的歪みのデータを予測し、次にシステムソフトウェアにおいて補正を提供することであり得る。ある実施形態では、波面における逸脱の方向が2重スポットの方向にあるため、2重スポットに対する歪みの方向がその2重スポット自身から決定され得る。ある実施形態では、2重スポットに対する歪みの大きさが、アレイのその領域における小型レンズの範囲に及ぶ概算のレンズ領域の計算を含む。
【0024】
回折レンズの光学的特性を測定するためのシステムの一実施形態は、回折レンズからの画像スポット(image spot)を提供し得る。透明なレンズからのスポット強度と回折レンズに対するスポット強度との比較は、光学的特性を測定するために用い得る。2重スポットに対する歪みを計算する方法の一実施形態は、計算されたスポット強度分布から決定されるファクタによって、回折レンズのスポットの横変位を見積もることを含み得る。
【0025】
ある実施形態では、回折レンズを測定する方法が、各小型レンズにおける明るいスポットに対するシフトの影響を計算すること、及び、ぼやけているか又は不鮮明なスポットそれぞれの線に沿ったデータに対して補正を適用すること、を含み得る。
【0026】
ある実施形態では、測定が実験室において眼模型を用いて実行される。ある実施形態では、測定が臨床において実行される。ある実施形態では、測定が患者の実際の眼において実行される。
【0027】
多焦点回折IOLの一例は、テキサス州フォートワースのアルコン・ラボラトリ社によって製造されたアポダイズ(apodized)された回折レンズであるReSTOR(登録商標)がある。このレンズは、中央にアポダイズされた回折領域を有しており、この回折領域は回折ゾーンがない領域によって取り囲まれている。当業者は、眼内レンズを含む他の単焦点及び多焦点回折レンズが、ここで開示された実施形態を用いて測定され得ることを理解するだろう。
【0028】
図1及び2は、眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを描いている。ある実施形態では、眼模型は患者における回折レンズの使用をシミュレートするために用いられ得る。角膜が図1に示すように正しいレベルの収差でもってPMMAから正確に製造できるので、眼模型は角膜を凸平レンズでシミュレートする。凸平角膜の平らな表面は、その中にテスト中のレンズが位置付けられるウエットセル(wet cell)の前方の窓として働く。レンズの軸の配置は平均的な人間の眼の光学的配置をかたどるようにセットされる。ある実施形態では、図2に示すように、凹凸PMMA角膜も眼模型として使用できる。
【0029】
レンズを測定する実施形態は、人間の眼をシミュレートするために物理的な眼模型を製造することを含む。ある実施形態では、眼模型において用いるための角膜レンズは、典型的な人間の眼に一致する球面収差のためのゼルニケ係数を与えるように設計された非球面性を備えたダイヤモンド回転旋盤上で製造され得る。ある実施形態では、眼の角膜に対する6mm入射瞳上のゼルニケrms球面収差は、約0.285μmである。角膜レンズは平均的な患者の角膜に基づいている。凸平角膜レンズは11.445mmの半径及び2.0mmの厚さを有している。この角膜の円錐係数は0.5188である。角膜のゼルニケ球面収差項に対する設計値は6mm瞳(水)に対して0.285μmである。
【0030】
ある実施形態では、眼模型が、LADARWave(登録商標)システムのような眼波面測定システムにより測定できるように、設計されて製造される。ある実施形態では、回折レンズ32の配置が、望ましい物理的位置を計算して眼模型の理論的光線追跡を実行することによって決定され得る。
【0031】
図3は、回折レンズの光学的特性を測定するために用いられ得るシステムの一実施形態の模式図を示す。ある実施形態では、光源30はLEDでも良い。ある実施形態では、光源30は、網膜上の光点を反射することによって形成しても良い。ある実施形態では、点源30からの光が眼内レンズ32によって平行にされても良い。ある実施形態では、レンズ32は患者の眼の中に配置されて、網膜上の光点から反射された光はレンズ32を通過し得る。眼においてレンズ32に関連した波面の測定が好ましい。しかしながら、検出器をレンズ32に近づけて配置することは問題がある。ある実施形態では、システム100は、中継システム(図示せず)を備えてレンズ32に関連した波面の検出を可能にしても良い。
【0032】
ある実施形態では、眼内レンズ32を通過した光は小型レンズ38のアレイ37を通過しても良い。レンズ32に関連した波面の一部分はアレイ37における小型レンズ38それぞれに入る。アレイ37における小型レンズ38それぞれは、小型レンズ38に入った波面の一部分をセンサ36のプレート上のスポットに合焦し得る。
【0033】
ある実施形態では、小型レンズ38及びセンサは、ハルトマンシャック波面センサ36の一部分であっても良い。ある実施形態では、小型レンズそれぞれによって合焦された光点の位置と完全な平行波面に対するスポットの位置とを比較することによって、小型レンズ38のアレイ37の局所的傾きが波面を再構成するように決定され且つ用いられて、スポットの横の動きを決定する。これは、回折ステップがない場合における小型レンズに対するレンズの局所的傾きを示す。回折ステップが存在する場合は、スポットの追加の移動がレンズ設計及び測定装置に対して決定される。そして、このことは、根本的に単焦点レンズを示すように、局所的波面の傾きを補正するために用いられる。波面における任意の傾き又は他の逸脱が完全な平面波の焦点からの変化として視覚化可能である。ある実施形態では、局所的波面における傾きが、合焦スポットの横の動き又はシフトとして視覚化できる。他の視認できる違いが小型レンズのアレイにおける他の変形に対して見られる。
【0034】
光学的波面を測定するために用いられる波面測定システムは、通常、波面が滑らか且つ連続していることを見込んでいる。波面の傾きのいかなる揺らぎも記録されない。この揺らぎは、平均傾き値における誤差に導く。
【0035】
2つの一般的な再構成方法が、波面を再構成するために用いられ得る。ゼルニケフィッティングが、小型レンズ38のアレイ37の局所的傾きをゼルニケ多項式の組にフィットすることにおいて関与し得る。ある実施形態では、2,3のゼルニケ項のみが用いられた場合、波面の高次のずれが除外されるだろう。図4は、測定されたゼルニケ値が小さな量のピンぼけを有する眼模型のレンズに対してプロットされているLADARWave(登録商標)スクリーンショットの一例を示す。LADARWave(登録商標)システムは、テキサス州、フォートワースのアルコン・ラボラトリ社によって製造されている。ある実施形態では、レンズの測定は、W40ゼルニケ球面収差を有するレンズに基づいている。当業者は、コマ及びトレフォイル(trefoil)のような他の収差もまた評価され得ることを理解するだろう。図4の眼模型において測定された単焦点IOLの実施形態では、球面収差(spherical aberration)値は0.23μmである。
【0036】
球面収差はレンズの分散及びレンズの傾きに対して比較的鈍感である。一方、ゼルニケ収差に対する他の値はレンズの位置決めに対してより影響を受ける。ある状況では、眼模型の位置又はレンズの位置における小さな変化は、それらが個々に合わせられた波面のベストフィットを表わしているので、ゼルニケ項における大きな再分配を引き起こす。
【0037】
光学的光線追跡ソフトウェアが、様々な瞳直径に対する眼内レンズ32に対するゼルニケ球面収差を計算するために用い得る。例えば、ワシントン州、ベルビュのジーマックス・デベロップメント・コーポレーションの製品であるZemaxを用いることができる。ある実施形態では、ゼルニケ球面収差が眼模型を用いて実験室において測定し得る。図5はIOLを含む眼模型を示す。
【0038】
図6は、アポダイズされた回折ゾーン21及び外側の屈折領域20を有するレンズ32の一実施形態に対する回折表面プロファイルの一実施形態を示す。当業者は他の回折プロファイルが可能であることを理解するだろう。ある状況では、図6にプロファイルされたようなレンズ32が、スポットのアレイの形で出力を形成する。ある実施形態では、ゾーン20を有するレンズの評価は、単焦点レンズによって形成されるスポットと似たスポットのアレイを形成し得る。しかしながら、異なるゾーンの異なる曲率及びゾーン境界における不連続性を備えたレンズ32は、回折ゾーン又はゾーン境界による2重スポット、ぼやけたスポット又は他の変形を含むスポットのアレイを形成する。図6に描かれているように、レンズ32の傾きの球面からの偏差(μmにおいて)は、半径位置(mmにおいて)に対して変化し得る。波面が焦点に伝播する時に、大きなステップを有するゾーン21は近焦点に対してよりエネルギーを送り、一方、非回折領域20は遠焦点に対してよりエネルギーを送り得る。
【0039】
図7A及び7Bは、回折表面を有する眼内レンズ32の中を通過する光によって形成され得るスポットのアレイの例を描いている。図7Aは、ウエットセル内のレンズ32を通過する光の結果であり得るスポットのアレイの一実施形態を描いている。図7Bは、眼模型内のレンズ32を通過する光の結果であり得るスポットのアレイの一実施形態を描いている。図7A及び7Bでは、スポットがアレイの中央部分近くで欠けており、これはレンズ32が測定装置上でどのように配置されているのかに起因している。測定が患者におけるレンズ32からなされる実施形態では、患者の頭は向きを変え得るか、又は患者は光を直接見ないかもしれないか、又は、レンズ32が中央に位置付けられないような他の要因が生じるかも知れない。
【0040】
ある実施形態では、レンズ32の予期される性質の計算は、測定システムがスポットの位置を測定する方法を変更することを含む。現在のハルトマンシャックシステムは単一スポットのみを見込んでおり、ソフトウェアはスポットの伸び又は第2のスポットという細部を拒絶する。ある実施形態では、図3に描かれたのと同様のシステムを用いて測定されるレンズ32が、2重スポットを有するアレイを形成する。図8は、図7A又は7Bのアレイの出力による2重スポットの表示を描いている。2重スポットは回折表面を備えたレンズ32を通過する光の結果であり得る。
【0041】
ある実施形態では、2重スポットの重心がスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。ある実施形態では、2重スポットの明るい方のスポットがスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。図10は、2重スポット及び1重スポットに対する光強度の比較のグラフィカル描写を示す。ある実施形態では、2重スポットに対する光強度は2つの頂点を有する光強度曲線をもたらし得る。ある実施形態では、2重スポットに関する高い頂点の横の動きは、スポットの横の動きを決定するために用いられ得る。ある実施形態では、2重スポットに対する光強度は2重スポットの重心を表わす1重スポットによって説明し得る。ある実施形態では、2重スポットに関連した重心の横の動きはスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。図10に描かれているように、2重スポットの重心の横の動きは、2重スポットにおける2つのスポットの内の明るい方の横の動きとは異なり得る。
【0042】
2重スポットに対して計算された重心に基づくか、又は2重スポットにおける2つのスポットの内の明るい方に基づいて、スポットの横の動きを測定するかどうかを決定した後に、”単焦点等価物”が計算され得る。
【0043】
単焦点等価レンズは、回折構造が取り除かれたレンズである。これは、基礎をなすレンズの単焦点波面と同じ収差を有する。例えば、図6の回折表面は、通常、回折表面と同様の見かけを有する波面を作り出し、これは伝播して遠焦点及び近焦点における2つの主要な画像を作り出すだろう。また、その画像は、レンズ全域の様々な回折能力によるアポダイゼーション構成要素を有し、眼の収差による影響よりもより少ないレベルではあるけれども、このことが更に画像の性質に影響を与えるだろう。単焦点等価レンズは、光学システムの全ての収差に対応する収差と共に、且つアポダイゼーション効果を有さずに、単独で撮影画像を作り出すだろう。
【0044】
小型レンズの画像化特性は、各小型レンズにおける瞳関数のフーリエ変換計算を用いることによってシミュレートできる。
【0045】
図11は、SA60AT及びSN60WF単焦点IOLs(W40)に対して異なる瞳直径に対する実験室及び臨床ゼルニケ球面収差データ(W40)の比較のグラフィカル描写を示す。実際の患者の眼に対する臨床データは、単純なゼルニケ球面収差には含まれない優位な追加の収差をまた含んでいたけれども、それらの値の間に素晴らしい一致がある。
【0046】
図12は、図11に対して実験室及び臨床値を追加する。多焦点SA60D3 ReSTOR(登録商標)眼内レンズ32に対するゼルニケ球面収差(W40)としてLADARWave(登録商標)により報告された値である。実際にはないことだけれども、図12は、小さい瞳に対しては球面収差が負の値を有することを示している。LADARWaveシステムによって報告される明白な球面収差は理論的又は実験的データによって補正され得る。
【0047】
ある実施形態では、単焦点等価物がレンズ32に対して決定され得る。ある実施形態では、実験値がレンズ32に対する理論的計算値と比較され得る。ある実施形態では、LADARWave(登録商標)測定値及びゼルニケ球面収差の理論的計算値が、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径に対して比較され得る。理論的計算値、又は回折表面を有するレンズ32の測定値が決定され得る。図13は、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径を有するSA60D3回折レンズに対する計算を比較した眼模型測定値のグラフィカル描写を示す。ある実施形態では、LADARWave(登録商標)測定値及びゼルニケ球面収差の理論的計算値が、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径に対して比較され得る。理論的計算値及び測定値の間の差は、単焦点等価値を反映するためのデータを調整するために用いられ得る。
【0048】
図14は、回折レンズ32の測定をまとめる波面のスケッチを示す。図14に描かれているように、波面はベース曲線35を有し得る。回折レンズ32に対するベース曲線35は、単焦点レンズに対するベース曲線と同一か又はほぼ同じであり得る。更に、図14は、図3に関連して上述した小型レンズ38のような小型レンズのおよその寸法を、波面に対して示す。ある実施形態では、小型レンズ38の寸法は波面の測定の精度を決定し得る。例えば、図14に描かれた小型レンズ38は波面における1つのステップよりも大きくわたり得る。ここに開示された実施形態を用いて、1つ又は複数の光学的特性の測定が回折レンズ32に対して決定され得る。
【0049】
ある実施形態では、回折眼内レンズ32の光学的特性を測定することは、1つ又は複数の方法の照合を含み得る。ある実施形態では、実験的画像スポットが生成されて、上述したようなシステムによって生成された画像スポットと比較され得る。図15A,15B及び15Cは、上述した測定方法を照合するために用いられ得る実験的画像スポットのスクリーンショットを描いている。図15A,15B及び15Cは、レンズ32の前の異なる配置の直径0.4の開口に対するウエットセル内におけるReSTOR(登録商標)眼内レンズ32に対する画像強度を示す。ある実施形態では、実験的画像スポットが、LADARWave(登録商標)小型レンズ38が画像スポットを生成するのと同じ方法で生成され得る。
【0050】
ある実施形態では、回折レンズ32の光学的特性を測定することは、波面の特性を計算することを含む。図16は、スポットのアレイの4分の1象限の計算のスクリーンショットを描いており、これは他の象限に対して複製できる。スポットの計算された状況は、その小型レンズの配置における波面の見かけの傾きを決定するために用いられて、補正がなされ得る。
【0051】
ある実施形態では、変調伝達関数(MTF)が回折レンズ32のために計算され得る。ある実施形態では、MTFを計算すること、又は同様のことが、回折レンズ32の光学的特性の望ましい測定を提供し得る。単焦点等価レンズのMTFがレンズの全般的な収差の光学的影響を評価するために用いられ得る。
【0052】
当業者は、ここで開示された回折レンズを測定するための方法が別のゾーンレンズに適用され得ることを理解するだろう。更に、ここで開示された方法が0次の回折を有するレンズに適用できるだけでなく、高次の回折を有するレンズに対しても適用できる。例えば、レンズを測定する方法は、波長の視認領域にまたがる7−12の範囲にあり得る高次の回折レンズを測定することを含み得る。
【0053】
実施形態がここで詳細に述べられているが、説明は例示のみのためであり、限定する意味にとらえられないことを理解するべきである。従って、実施形態の詳細における数字の変更及び追加の実施形態は、明らかであり、この記載を参照して当業者によってなされ得る。すべてのそのような変更及び追加の実施形態は記載の請求項の範囲内にあることが予期される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを示す。
【図2】眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを示す。
【図3】回折眼内レンズの光学的特性を測定するために用いられ得るシステムの一実施形態の模式図を示す。
【図4】小さな量のピンぼけを有する眼模型のレンズに対して測定されたゼルニケ値をプロットするLADARWave(登録商標)画面の一例を示す。
【図5】PMMA角膜を用いたレンズを備えたZemax(登録商標)眼模型のスクリーンショットを示す。
【図6】回折ゾーン及び連続ゾーンを有するレンズの一実施形態に対する回折表面プロファイルの一例を示す。
【図7A】回折表面を有するレンズを通り抜ける光によって形成され得るスポットのアレイの一例を示す。
【図7B】回折表面を有するレンズを通り抜ける光によって形成され得るスポットのアレイの一例を示す。
【図8】図7A及び7Bのアレイの出力による2重スポットの描写を示す。
【図9】図7A及び7Bのアレイの出力によるぼやけたスポットの描写を示す。
【図10】2重スポット及び1重スポットに対する光強度の比較のグラフィカル描写を示す。
【図11】異なる瞳直径に対する実験室及び臨床ゼルニケ球面収差データ(W40)の比較のグラフィカル描写を示す。
【図12】レンズに対するゼルニケ球面収差(W40)の実験室及び臨床値の比較のグラフィカル描写を示す。
【図13】各種の瞳直径を有する回折レンズに対する計算を比較した眼模型測定結果のグラフィカル描写を示す。
【図14】回折レンズの一実施形態に対する波面のスケッチを示す。
【図15】図15A,B,Cは、測定方法を照合するのに使われた実験画像スポットのスクリーンショットを示す。
【図16】スポットのアレイの4分の1象限に対する計算のスクリーンショットを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、回折眼科用レンズ、及び、回折レンズの光学的特性を測定する方法に関する。
【0002】
本出願は、「回折レンズを測定する方法」と題された2007年7月31日に出願された仮特許出願番号60/952913号による優先権を主張し、この出願の全内容は全ての目的のために参照されてここに明確に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
回折レンズは、通常、光学波面(optical wavefront)を不連続に分割する回折「ゾーン(zone)」を利用する。ゾーン境界間の横の分離(lateral separation)、及び、ゾーン境界における光学的位相の遅れは、管理された方法で、一緒に結合して光の方向を変える。波面が通常滑らか且つ連続している従来の光学的画像化システムに関する状況とは異なり、光学波面自身は、通常、回折レンズを通過したすぐ後には不連続である。
【0004】
従来の単焦点画像化システムの光学波面は、そのシステムによって作り出された画像の光学的特性を決定するために用いることができる。波面は、点広がり関数、変調伝達関数、又は画質の様々な他の指標を計算するために用いられ得る。従来のレンズの波面を測定するために用いられ得る1つの方法には、波面が小さな小型レンズ(lenslet)のアレイ(array)を照らすシャックハルトマン(Shack−Hartmann)システムがある。各小型レンズを通過した光は焦点に到り、もし局所的波面が傾いていると、焦点が合った点は、小型レンズの領域に跨るレンズの局所的傾きを示す距離だけ横方向に表示される。波面の傾きは、このように全ての小型レンズに対して測定されて、傾きが波面を作り出すために結合される。この方法は、多くの分野において用いられてきており、最近は、人間の眼の波面の性質を測定するために用いられ得る眼科学において評判を呼んでいる。
【0005】
この方法は局所的波面の傾きの測定のみができ、回折レンズの特徴である帯状の光学的不連続性を測定しないため、小型レンズアレイが回折レンズを測定するために用いられると問題が生じる。同じ制約が、レンズの物理的体積がレンズ表面を軸方向にシフトすることによって低減されているフレネルレンズに対しても存在する。これらのシフトは、任意の位置において存在しており、フレネルレンズに対して任意の光学的位相の遅れを有する。任意の位置におけるレンズの表面傾きは、元のレンズの表面傾きと同じであるが、光学的特性に影響を与える位相の不連続性が導入されている。
【0006】
回折レンズのある具体的な眼科用の使用は、眼内レンズとしての使用である。眼内レンズ(IntraOcular Lens:IOLs)は、通常、白内障手術中に患者の眼の中に埋め込まれて、自然のレンズが取り除かれた場合に生じる失われた光学的能力を補償する。”眼内レンズ”という用語及びその省略であるIOLは、自然のレンズを置き換えるためにか、又は、さもなくば自然のレンズが取り除かれるか取り除かれないかに関わらず視覚を議論するために眼の中に埋め込まれたレンズを述べるべく、ここでは同じ意味に用いられる。それらは、自然の眼の屈折誤差を修正することに対して光学的能力を提供する。多くの異なるタイプの眼内レンズが、様々な状態を取り扱うために存在して、患者に修正された視覚を提供する。
【0007】
回折レンズは、また通常回折次数として知られているように、光を同時にいくつかの方向に回折できる。他焦点眼内レンズにおいて、2つの回折次数が用いられて患者に2つの光学的能力を提供する。1つは遠視力(distance vision)であり、もう1つは近視力(near vision)である。そのような回折眼内レンズは、通常、遠焦点及び短焦点の間の分離を提供する追加の能力を有するように設計されている。このように、回折IOLは物体距離範囲に亘って患者に視力を提供し得る。
【0008】
回折IOLが眼の中に埋め込まれると、それは上述したように波面に影響を与える。小型レンズアレイを用いた測定は、波面における不連続性によって影響を受ける。
【発明の開示】
【0009】
回折レンズに対して、従来の単焦点レンズのもののように波面が滑らか且つ連続でないこと、個々のゾーンの局所的傾き、及び、回折ステップにおける不連続性がスポットの位置に影響を与える、という事実による光学的影響を補正する方法が好ましい。
【0010】
ある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するためのシステム及び方法を説明する。ある実施形態では、回折レンズの光学的特性を測定する方法が、円環状レンズ又は非球面構成要素を有する回折レンズを測定し得る。上記方法は、回折レンズの波面のサンプリング領域を有し得る。回折レンズの波面は不連続性を有しており、波面のサンプルは、あまり細かくないので真実の波面を測定するには十分ではない。例えば、眼科学では、一般に、サンプリングは複数のゾーン境界を交差する傾向にある粗いサンプリングを有している。粗いサンプリングは、修正又は変換を要求し得る。
【0011】
ある実施形態は眼内レンズ(IOL)の光学的特性を測定するための方法を述べる。ある実施形態は、ここで、回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、光を上記回折レンズに通過させて小型レンズのアレイの上に進めるステップであって、各小型レンズは上記光の一部分を受け取り、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、上記小型レンズのアレイによって大まかに合焦され且つセンサによって検出された光に基づいて、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップと、測定システムにおいて、測定された結果を調整して、上記レンズの回折構成要素の予期された光学的特性を補正するステップと、を有している方法を開示する。ある実施形態では、各小型レンズは上記光の一部分を受け取り、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している。ある実施形態では、方法は、更に、各小型レンズにより合焦された光のスポットの位置を、完全な平行波面に対するスポットの位置と比較して、スポットの横の動きを決定するステップを有する。ある実施形態では、回折構造により導入された位相の遅れに対して、各小型レンズにわたる波面のフーリエ変換を用いて上記回折構造の効果が計算される。ある実施形態では、上記回折構造の上記効果は、回折レンズ及び単焦点等価レンズの両方に対する測定値を比較して補正を決定することによって定められる。ある実施形態では、方法は、更に、ぼやけているか又は2重のスポットを特定するステップと、上記小型レンズに対する局所的傾きを調整して単焦点等価レンズを表わすステップと、を有している。上記ぼやけているか又は2重のスポットの存在が上記レンズの表面の回折部分の存在を示している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、単焦点等価レンズを決定するステップを有している。ある実施形態では、単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び実験的測定値を比較するステップを有している。ある実施形態では、単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び臨床測定値を比較するステップを有している。ある実施形態では、方法は、更に、理論的計算値、実験的測定値及び臨床測定値の内の2つ又はそれ以上を照合するステップを有している。ある実施形態では、方法は、更に、波面の一部分を解析するステップを有している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、上記レンズの設計に基づいて理論的歪みのデータを予測するステップと、上記理論的歪みの上記予測を補正するステップと、を有している。ある実施形態では、上記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、小型レンズを覆うおおよそのレンズ領域を計算して2重のスポットの大きさを予測するステップを有している。
【0012】
ある実施形態は、ここで、回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、光を上記回折レンズに通過させるステップであって、上記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、レンズから出た光に基づいて上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定して、レンズの光学的特性を測定するために設計されたシステムを使用するステップと、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を計算して上記回折レンズの予期された1つ又は複数の特性を決定するステップと、上記回折レンズの上記決定された1つ又は複数の特性を上記回折レンズの1つ又は複数の理論的計算値に対して比較するステップと、レンズの上記特性を測定するために用いた上記システムの1つ又は複数の特性を計算するステップと、上記回折レンズの上記特性を測定するために用いた上記システムの1つ又は複数の特性を測定するステップと、上記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性、及び、レンズの特性を測定するための上記システムの上記1つ又は複数の特性に対する比較に基づいて、上記回折レンズの1つ又は複数の特性の測定値を補正するステップと、を有している方法を提供する。ある実施形態では、上記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップが、回折レンズの球面収差を測定するステップを有している。
【0013】
回折レンズを測定するための方法の実施形態は、フレネルレンズ、単焦点レンズ、多焦点レンズ、及びゾーン屈折多焦点IOLsのような他のゾーンレンズに対して適用できる。ゾーン屈折レンズは、ゾーン境界において光学的位相における不連続性を有しておらず、主に波面の傾きにおける変化を有しているだろう。
【0014】
後述する記載及び添付の図面と共に考慮されて、ここに開示された上記実施形態の他の目的及び利点が、より良く認識され且つ理解されるであろう。
【0015】
開示及びその利点のより完全な理解が、似た参照符号は一般に似た特徴を示している添付の図面と共に下記の記載を参照して得られるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本開示は様々な変形及び代替形の影響を受けるが、その具体的な実施形態は図面において例示として示されており、ここで詳細に説明される。しかしながら、その図面及び詳細な説明は、本開示を開示されている特定の形式に制限することを意図するものではなく、むしろ、意図する所は、添付の請求項により定められるように本開示の精神及び範囲内におさまる全ての変形、均等物及び代替形をカバーすることにあることを理解すべきである。
【0017】
回折レンズの測定、並びにその様々な特徴及び利点の詳細に対する本発明のシステム及び方法が、下記の記載において述べられる非制限的な実施形態を参照して、より十分に説明される。周知の出発原料、製造技術、構成要素及び装置の説明は、本発明を不必要に詳細にして不明瞭にしないように、省略されている。しかしながら、当業者は、本発明の好ましい実施形態を開示しているけれども、詳細な説明及び具体例が説明のみのために与えられており制限のためではないということを理解すべきだろう。基礎をなす発明の概念の範囲内における様々な代替、変形及び追加が、本開示を読んだ後に当業者に対して明らかになるだろう。また、当業者は、ここで開示された図面が必ずしも縮図で描かれていないということを理解し得る。
【0018】
ここで用いられているように、”備える(comprises)”、”備えている(comprising)”、”含む(includes)”、”含んでいる(including)”、”有する(has)”、”有している(having)”という言葉又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な含有を含むことを意図している。例えば、要素のリストを含むある処理(a process),処理(process),物(article)又は装置(apparatus)は、必ずしもこれらの要素に制限されるだけでなく、また、明確に記載されていないか又はそのようなある処理,処理,物又は装置に固有の他の要素を含んでも良い。更に、反対であると明示していない限り、”又は(or)”は包含的であり、排他的ではない。例えば、条件A又はBは下記の何れか一つによって満たされる:Aは真(又は存在する)でありBは偽である(又は存在しない)、Aは偽(又は存在しない)でありBは真(又は存在する)である、及び、A及びBの両方が真(又は存在する)である。
【0019】
更に、ここで与えられた任意の実施形態又は説明は、これらが共に用いられている用語又は表現の制限事項、限界、又は定義の表現として多少なりとも見なすべきではない。代わりに、これらの用語又は表現は、ある具体的な実施形態及び説明としてのみ見なされるべきである。当業者は、これらの実施形態及び説明が共に用いられている任意の用語及び表現が、明細書におけるそこに又は他の場所に与えられている他の実施形態を含み、且つ全てのそのような実施形態はその用語及び表現の範囲内に含まれることが意図されていることを理解するだろう。そのような非制限的実施形態及び説明を指定する言葉は、”例えば(for example)”、”例えば(for instance)”、”例えば(e.g.)”、”ある実施形態では(in one embodiment)”を含むが、これらに制限されるものではない。
【0020】
様々な実施形態が図面に記載されており、同様の符号が、各種の図面の同様の及び対応する部分を参照して用いられている。
【0021】
ここに開示されたある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するシステム及び方法を提供する。回折レンズは、回折ゾーンの間にゾーン境界を有しており、また、非回折ゾーンを有していても良い。ある実施形態では、波面測定が、レンズの表面の全域で光学的特性を評価するために用いられ得る。これらの光学的特性は、光学的特性を評価するためか、又は、画像特性変化の特定原因を特定するために用いられ得る。
【0022】
回折ゾーンを有するレンズが、レンズの光学的特性を測定するためにシステムに位置づけられ得る。光源がレンズに向けられる。もし、中継レンズが含まれていれば、光はまた中継レンズを通り抜ける。結果は、非回折表面を有するレンズを通過して投影された光と比較されて、回折構成要素の効果を決定し得る。当業者は、これらの技術が、眼の波面測定のために光源として働くべく患者の網膜から反射された光のように、様々な他のアプリケーションに対しても等しく適用しうることを理解するだろう。
【0023】
ここに開示されたある実施形態は、回折レンズの光学的特性を測定するための方法を提供する。ある実施形態では、ハルトマンシャック(Hartmann−Shack)システムがレンズの光学的特性を測定するために用いられ得る。回折レンズの測定をするためにハルトマンシャックシステムを用いることの問題に対する1つの解決法は、レンズ設計に基づいて理論的歪みのデータを予測し、次にシステムソフトウェアにおいて補正を提供することであり得る。ある実施形態では、波面における逸脱の方向が2重スポットの方向にあるため、2重スポットに対する歪みの方向がその2重スポット自身から決定され得る。ある実施形態では、2重スポットに対する歪みの大きさが、アレイのその領域における小型レンズの範囲に及ぶ概算のレンズ領域の計算を含む。
【0024】
回折レンズの光学的特性を測定するためのシステムの一実施形態は、回折レンズからの画像スポット(image spot)を提供し得る。透明なレンズからのスポット強度と回折レンズに対するスポット強度との比較は、光学的特性を測定するために用い得る。2重スポットに対する歪みを計算する方法の一実施形態は、計算されたスポット強度分布から決定されるファクタによって、回折レンズのスポットの横変位を見積もることを含み得る。
【0025】
ある実施形態では、回折レンズを測定する方法が、各小型レンズにおける明るいスポットに対するシフトの影響を計算すること、及び、ぼやけているか又は不鮮明なスポットそれぞれの線に沿ったデータに対して補正を適用すること、を含み得る。
【0026】
ある実施形態では、測定が実験室において眼模型を用いて実行される。ある実施形態では、測定が臨床において実行される。ある実施形態では、測定が患者の実際の眼において実行される。
【0027】
多焦点回折IOLの一例は、テキサス州フォートワースのアルコン・ラボラトリ社によって製造されたアポダイズ(apodized)された回折レンズであるReSTOR(登録商標)がある。このレンズは、中央にアポダイズされた回折領域を有しており、この回折領域は回折ゾーンがない領域によって取り囲まれている。当業者は、眼内レンズを含む他の単焦点及び多焦点回折レンズが、ここで開示された実施形態を用いて測定され得ることを理解するだろう。
【0028】
図1及び2は、眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを描いている。ある実施形態では、眼模型は患者における回折レンズの使用をシミュレートするために用いられ得る。角膜が図1に示すように正しいレベルの収差でもってPMMAから正確に製造できるので、眼模型は角膜を凸平レンズでシミュレートする。凸平角膜の平らな表面は、その中にテスト中のレンズが位置付けられるウエットセル(wet cell)の前方の窓として働く。レンズの軸の配置は平均的な人間の眼の光学的配置をかたどるようにセットされる。ある実施形態では、図2に示すように、凹凸PMMA角膜も眼模型として使用できる。
【0029】
レンズを測定する実施形態は、人間の眼をシミュレートするために物理的な眼模型を製造することを含む。ある実施形態では、眼模型において用いるための角膜レンズは、典型的な人間の眼に一致する球面収差のためのゼルニケ係数を与えるように設計された非球面性を備えたダイヤモンド回転旋盤上で製造され得る。ある実施形態では、眼の角膜に対する6mm入射瞳上のゼルニケrms球面収差は、約0.285μmである。角膜レンズは平均的な患者の角膜に基づいている。凸平角膜レンズは11.445mmの半径及び2.0mmの厚さを有している。この角膜の円錐係数は0.5188である。角膜のゼルニケ球面収差項に対する設計値は6mm瞳(水)に対して0.285μmである。
【0030】
ある実施形態では、眼模型が、LADARWave(登録商標)システムのような眼波面測定システムにより測定できるように、設計されて製造される。ある実施形態では、回折レンズ32の配置が、望ましい物理的位置を計算して眼模型の理論的光線追跡を実行することによって決定され得る。
【0031】
図3は、回折レンズの光学的特性を測定するために用いられ得るシステムの一実施形態の模式図を示す。ある実施形態では、光源30はLEDでも良い。ある実施形態では、光源30は、網膜上の光点を反射することによって形成しても良い。ある実施形態では、点源30からの光が眼内レンズ32によって平行にされても良い。ある実施形態では、レンズ32は患者の眼の中に配置されて、網膜上の光点から反射された光はレンズ32を通過し得る。眼においてレンズ32に関連した波面の測定が好ましい。しかしながら、検出器をレンズ32に近づけて配置することは問題がある。ある実施形態では、システム100は、中継システム(図示せず)を備えてレンズ32に関連した波面の検出を可能にしても良い。
【0032】
ある実施形態では、眼内レンズ32を通過した光は小型レンズ38のアレイ37を通過しても良い。レンズ32に関連した波面の一部分はアレイ37における小型レンズ38それぞれに入る。アレイ37における小型レンズ38それぞれは、小型レンズ38に入った波面の一部分をセンサ36のプレート上のスポットに合焦し得る。
【0033】
ある実施形態では、小型レンズ38及びセンサは、ハルトマンシャック波面センサ36の一部分であっても良い。ある実施形態では、小型レンズそれぞれによって合焦された光点の位置と完全な平行波面に対するスポットの位置とを比較することによって、小型レンズ38のアレイ37の局所的傾きが波面を再構成するように決定され且つ用いられて、スポットの横の動きを決定する。これは、回折ステップがない場合における小型レンズに対するレンズの局所的傾きを示す。回折ステップが存在する場合は、スポットの追加の移動がレンズ設計及び測定装置に対して決定される。そして、このことは、根本的に単焦点レンズを示すように、局所的波面の傾きを補正するために用いられる。波面における任意の傾き又は他の逸脱が完全な平面波の焦点からの変化として視覚化可能である。ある実施形態では、局所的波面における傾きが、合焦スポットの横の動き又はシフトとして視覚化できる。他の視認できる違いが小型レンズのアレイにおける他の変形に対して見られる。
【0034】
光学的波面を測定するために用いられる波面測定システムは、通常、波面が滑らか且つ連続していることを見込んでいる。波面の傾きのいかなる揺らぎも記録されない。この揺らぎは、平均傾き値における誤差に導く。
【0035】
2つの一般的な再構成方法が、波面を再構成するために用いられ得る。ゼルニケフィッティングが、小型レンズ38のアレイ37の局所的傾きをゼルニケ多項式の組にフィットすることにおいて関与し得る。ある実施形態では、2,3のゼルニケ項のみが用いられた場合、波面の高次のずれが除外されるだろう。図4は、測定されたゼルニケ値が小さな量のピンぼけを有する眼模型のレンズに対してプロットされているLADARWave(登録商標)スクリーンショットの一例を示す。LADARWave(登録商標)システムは、テキサス州、フォートワースのアルコン・ラボラトリ社によって製造されている。ある実施形態では、レンズの測定は、W40ゼルニケ球面収差を有するレンズに基づいている。当業者は、コマ及びトレフォイル(trefoil)のような他の収差もまた評価され得ることを理解するだろう。図4の眼模型において測定された単焦点IOLの実施形態では、球面収差(spherical aberration)値は0.23μmである。
【0036】
球面収差はレンズの分散及びレンズの傾きに対して比較的鈍感である。一方、ゼルニケ収差に対する他の値はレンズの位置決めに対してより影響を受ける。ある状況では、眼模型の位置又はレンズの位置における小さな変化は、それらが個々に合わせられた波面のベストフィットを表わしているので、ゼルニケ項における大きな再分配を引き起こす。
【0037】
光学的光線追跡ソフトウェアが、様々な瞳直径に対する眼内レンズ32に対するゼルニケ球面収差を計算するために用い得る。例えば、ワシントン州、ベルビュのジーマックス・デベロップメント・コーポレーションの製品であるZemaxを用いることができる。ある実施形態では、ゼルニケ球面収差が眼模型を用いて実験室において測定し得る。図5はIOLを含む眼模型を示す。
【0038】
図6は、アポダイズされた回折ゾーン21及び外側の屈折領域20を有するレンズ32の一実施形態に対する回折表面プロファイルの一実施形態を示す。当業者は他の回折プロファイルが可能であることを理解するだろう。ある状況では、図6にプロファイルされたようなレンズ32が、スポットのアレイの形で出力を形成する。ある実施形態では、ゾーン20を有するレンズの評価は、単焦点レンズによって形成されるスポットと似たスポットのアレイを形成し得る。しかしながら、異なるゾーンの異なる曲率及びゾーン境界における不連続性を備えたレンズ32は、回折ゾーン又はゾーン境界による2重スポット、ぼやけたスポット又は他の変形を含むスポットのアレイを形成する。図6に描かれているように、レンズ32の傾きの球面からの偏差(μmにおいて)は、半径位置(mmにおいて)に対して変化し得る。波面が焦点に伝播する時に、大きなステップを有するゾーン21は近焦点に対してよりエネルギーを送り、一方、非回折領域20は遠焦点に対してよりエネルギーを送り得る。
【0039】
図7A及び7Bは、回折表面を有する眼内レンズ32の中を通過する光によって形成され得るスポットのアレイの例を描いている。図7Aは、ウエットセル内のレンズ32を通過する光の結果であり得るスポットのアレイの一実施形態を描いている。図7Bは、眼模型内のレンズ32を通過する光の結果であり得るスポットのアレイの一実施形態を描いている。図7A及び7Bでは、スポットがアレイの中央部分近くで欠けており、これはレンズ32が測定装置上でどのように配置されているのかに起因している。測定が患者におけるレンズ32からなされる実施形態では、患者の頭は向きを変え得るか、又は患者は光を直接見ないかもしれないか、又は、レンズ32が中央に位置付けられないような他の要因が生じるかも知れない。
【0040】
ある実施形態では、レンズ32の予期される性質の計算は、測定システムがスポットの位置を測定する方法を変更することを含む。現在のハルトマンシャックシステムは単一スポットのみを見込んでおり、ソフトウェアはスポットの伸び又は第2のスポットという細部を拒絶する。ある実施形態では、図3に描かれたのと同様のシステムを用いて測定されるレンズ32が、2重スポットを有するアレイを形成する。図8は、図7A又は7Bのアレイの出力による2重スポットの表示を描いている。2重スポットは回折表面を備えたレンズ32を通過する光の結果であり得る。
【0041】
ある実施形態では、2重スポットの重心がスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。ある実施形態では、2重スポットの明るい方のスポットがスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。図10は、2重スポット及び1重スポットに対する光強度の比較のグラフィカル描写を示す。ある実施形態では、2重スポットに対する光強度は2つの頂点を有する光強度曲線をもたらし得る。ある実施形態では、2重スポットに関する高い頂点の横の動きは、スポットの横の動きを決定するために用いられ得る。ある実施形態では、2重スポットに対する光強度は2重スポットの重心を表わす1重スポットによって説明し得る。ある実施形態では、2重スポットに関連した重心の横の動きはスポットの横の動きを決定するために用いられ得る。図10に描かれているように、2重スポットの重心の横の動きは、2重スポットにおける2つのスポットの内の明るい方の横の動きとは異なり得る。
【0042】
2重スポットに対して計算された重心に基づくか、又は2重スポットにおける2つのスポットの内の明るい方に基づいて、スポットの横の動きを測定するかどうかを決定した後に、”単焦点等価物”が計算され得る。
【0043】
単焦点等価レンズは、回折構造が取り除かれたレンズである。これは、基礎をなすレンズの単焦点波面と同じ収差を有する。例えば、図6の回折表面は、通常、回折表面と同様の見かけを有する波面を作り出し、これは伝播して遠焦点及び近焦点における2つの主要な画像を作り出すだろう。また、その画像は、レンズ全域の様々な回折能力によるアポダイゼーション構成要素を有し、眼の収差による影響よりもより少ないレベルではあるけれども、このことが更に画像の性質に影響を与えるだろう。単焦点等価レンズは、光学システムの全ての収差に対応する収差と共に、且つアポダイゼーション効果を有さずに、単独で撮影画像を作り出すだろう。
【0044】
小型レンズの画像化特性は、各小型レンズにおける瞳関数のフーリエ変換計算を用いることによってシミュレートできる。
【0045】
図11は、SA60AT及びSN60WF単焦点IOLs(W40)に対して異なる瞳直径に対する実験室及び臨床ゼルニケ球面収差データ(W40)の比較のグラフィカル描写を示す。実際の患者の眼に対する臨床データは、単純なゼルニケ球面収差には含まれない優位な追加の収差をまた含んでいたけれども、それらの値の間に素晴らしい一致がある。
【0046】
図12は、図11に対して実験室及び臨床値を追加する。多焦点SA60D3 ReSTOR(登録商標)眼内レンズ32に対するゼルニケ球面収差(W40)としてLADARWave(登録商標)により報告された値である。実際にはないことだけれども、図12は、小さい瞳に対しては球面収差が負の値を有することを示している。LADARWaveシステムによって報告される明白な球面収差は理論的又は実験的データによって補正され得る。
【0047】
ある実施形態では、単焦点等価物がレンズ32に対して決定され得る。ある実施形態では、実験値がレンズ32に対する理論的計算値と比較され得る。ある実施形態では、LADARWave(登録商標)測定値及びゼルニケ球面収差の理論的計算値が、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径に対して比較され得る。理論的計算値、又は回折表面を有するレンズ32の測定値が決定され得る。図13は、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径を有するSA60D3回折レンズに対する計算を比較した眼模型測定値のグラフィカル描写を示す。ある実施形態では、LADARWave(登録商標)測定値及びゼルニケ球面収差の理論的計算値が、3mmから6mmの範囲の様々な瞳直径に対して比較され得る。理論的計算値及び測定値の間の差は、単焦点等価値を反映するためのデータを調整するために用いられ得る。
【0048】
図14は、回折レンズ32の測定をまとめる波面のスケッチを示す。図14に描かれているように、波面はベース曲線35を有し得る。回折レンズ32に対するベース曲線35は、単焦点レンズに対するベース曲線と同一か又はほぼ同じであり得る。更に、図14は、図3に関連して上述した小型レンズ38のような小型レンズのおよその寸法を、波面に対して示す。ある実施形態では、小型レンズ38の寸法は波面の測定の精度を決定し得る。例えば、図14に描かれた小型レンズ38は波面における1つのステップよりも大きくわたり得る。ここに開示された実施形態を用いて、1つ又は複数の光学的特性の測定が回折レンズ32に対して決定され得る。
【0049】
ある実施形態では、回折眼内レンズ32の光学的特性を測定することは、1つ又は複数の方法の照合を含み得る。ある実施形態では、実験的画像スポットが生成されて、上述したようなシステムによって生成された画像スポットと比較され得る。図15A,15B及び15Cは、上述した測定方法を照合するために用いられ得る実験的画像スポットのスクリーンショットを描いている。図15A,15B及び15Cは、レンズ32の前の異なる配置の直径0.4の開口に対するウエットセル内におけるReSTOR(登録商標)眼内レンズ32に対する画像強度を示す。ある実施形態では、実験的画像スポットが、LADARWave(登録商標)小型レンズ38が画像スポットを生成するのと同じ方法で生成され得る。
【0050】
ある実施形態では、回折レンズ32の光学的特性を測定することは、波面の特性を計算することを含む。図16は、スポットのアレイの4分の1象限の計算のスクリーンショットを描いており、これは他の象限に対して複製できる。スポットの計算された状況は、その小型レンズの配置における波面の見かけの傾きを決定するために用いられて、補正がなされ得る。
【0051】
ある実施形態では、変調伝達関数(MTF)が回折レンズ32のために計算され得る。ある実施形態では、MTFを計算すること、又は同様のことが、回折レンズ32の光学的特性の望ましい測定を提供し得る。単焦点等価レンズのMTFがレンズの全般的な収差の光学的影響を評価するために用いられ得る。
【0052】
当業者は、ここで開示された回折レンズを測定するための方法が別のゾーンレンズに適用され得ることを理解するだろう。更に、ここで開示された方法が0次の回折を有するレンズに適用できるだけでなく、高次の回折を有するレンズに対しても適用できる。例えば、レンズを測定する方法は、波長の視認領域にまたがる7−12の範囲にあり得る高次の回折レンズを測定することを含み得る。
【0053】
実施形態がここで詳細に述べられているが、説明は例示のみのためであり、限定する意味にとらえられないことを理解するべきである。従って、実施形態の詳細における数字の変更及び追加の実施形態は、明らかであり、この記載を参照して当業者によってなされ得る。すべてのそのような変更及び追加の実施形態は記載の請求項の範囲内にあることが予期される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを示す。
【図2】眼模型の実施形態の模式的ダイアグラムを示す。
【図3】回折眼内レンズの光学的特性を測定するために用いられ得るシステムの一実施形態の模式図を示す。
【図4】小さな量のピンぼけを有する眼模型のレンズに対して測定されたゼルニケ値をプロットするLADARWave(登録商標)画面の一例を示す。
【図5】PMMA角膜を用いたレンズを備えたZemax(登録商標)眼模型のスクリーンショットを示す。
【図6】回折ゾーン及び連続ゾーンを有するレンズの一実施形態に対する回折表面プロファイルの一例を示す。
【図7A】回折表面を有するレンズを通り抜ける光によって形成され得るスポットのアレイの一例を示す。
【図7B】回折表面を有するレンズを通り抜ける光によって形成され得るスポットのアレイの一例を示す。
【図8】図7A及び7Bのアレイの出力による2重スポットの描写を示す。
【図9】図7A及び7Bのアレイの出力によるぼやけたスポットの描写を示す。
【図10】2重スポット及び1重スポットに対する光強度の比較のグラフィカル描写を示す。
【図11】異なる瞳直径に対する実験室及び臨床ゼルニケ球面収差データ(W40)の比較のグラフィカル描写を示す。
【図12】レンズに対するゼルニケ球面収差(W40)の実験室及び臨床値の比較のグラフィカル描写を示す。
【図13】各種の瞳直径を有する回折レンズに対する計算を比較した眼模型測定結果のグラフィカル描写を示す。
【図14】回折レンズの一実施形態に対する波面のスケッチを示す。
【図15】図15A,B,Cは、測定方法を照合するのに使われた実験画像スポットのスクリーンショットを示す。
【図16】スポットのアレイの4分の1象限に対する計算のスクリーンショットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、
光を前記回折レンズに通過させて小型レンズのアレイの上に進めるステップであって、各小型レンズは前記光の一部分を受け取り、前記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、
前記小型レンズのアレイによって大まかに合焦され且つセンサによって検出された光に基づいて、前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップと、
測定システムにおいて、測定された結果を調整して、前記レンズの回折構成要素の予期された光学的特性を補正するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
回折構造により導入された位相の遅れに対して、各小型レンズにわたる波面のフーリエ変換を用いて前記回折構造の効果が計算される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、各小型レンズにより合焦された光のスポットの位置を、完全な平行波面に対するスポットの位置と比較して、スポットの横の動きを決定するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回折構造の前記効果は、回折レンズ及び単焦点等価レンズの両方に対する測定値を比較して補正を決定することによって定められる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
更に、
ぼやけているか又は2重のスポットを特定するステップであって、前記ぼやけているか又は2重のスポットの存在が前記レンズの表面の回折部分の存在を示しているステップと、
前記小型レンズに対する局所的傾きを調整して単焦点等価レンズを表わすステップと、
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、単焦点等価レンズを決定するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び実験的測定値を比較するステップを有している請求項6に記載の方法。
【請求項8】
単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び臨床測定値を比較するステップを有している請求項6に記載の方法。
【請求項9】
更に、
理論的計算値、実験的測定値及び臨床測定値の内の2つ又はそれ以上のを比較することによって、最善の調整を決定するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項10】
更に、波面の一部分を解析するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、
前記レンズの設計に基づいて理論的歪みのデータを予測するステップと、
前記理論的歪みの前記予測を補正するステップと、
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、小型レンズを覆うおおよそのレンズ領域を計算して2重のスポットの大きさを予測するステップを有している請求項1に記載のステップ。
【請求項13】
小型レンズが、測定される回折ゾーンよりも小さな直径を有している請求項1に記載の方法。
【請求項14】
小型レンズが、測定される回折ゾーンよりも大きな直径を有している請求項1に記載の方法。
【請求項15】
回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、
光を前記回折レンズに通過させるステップであって、前記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、
レンズから出た光に基づいて前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定して、レンズの光学的特性を測定するために設計されたシステムを使用するステップと、
前記回折レンズの1つ又は複数の特性を計算して前記回折レンズの予期された1つ又は複数の特性を決定するステップと、
前記回折レンズの前記決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の理論的計算値に対して比較するステップと、
レンズの前記特性を測定するために用いた前記システムの1つ又は複数の特性を計算するステップと、
前記回折レンズの前記特性を測定するために用いた前記システムの1つ又は複数の特性を測定するステップと、
前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性、及び、レンズの特性を測定するための前記システムの前記1つ又は複数の特性、に対する比較に基づいて、前記回折レンズの1つ又は複数の特性の測定値を補正するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップは、回折レンズの球面収差を測定するステップを有している請求項15に記載の方法。
【請求項1】
回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、
光を前記回折レンズに通過させて小型レンズのアレイの上に進めるステップであって、各小型レンズは前記光の一部分を受け取り、前記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、
前記小型レンズのアレイによって大まかに合焦され且つセンサによって検出された光に基づいて、前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップと、
測定システムにおいて、測定された結果を調整して、前記レンズの回折構成要素の予期された光学的特性を補正するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
回折構造により導入された位相の遅れに対して、各小型レンズにわたる波面のフーリエ変換を用いて前記回折構造の効果が計算される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、各小型レンズにより合焦された光のスポットの位置を、完全な平行波面に対するスポットの位置と比較して、スポットの横の動きを決定するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回折構造の前記効果は、回折レンズ及び単焦点等価レンズの両方に対する測定値を比較して補正を決定することによって定められる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
更に、
ぼやけているか又は2重のスポットを特定するステップであって、前記ぼやけているか又は2重のスポットの存在が前記レンズの表面の回折部分の存在を示しているステップと、
前記小型レンズに対する局所的傾きを調整して単焦点等価レンズを表わすステップと、
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、単焦点等価レンズを決定するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び実験的測定値を比較するステップを有している請求項6に記載の方法。
【請求項8】
単焦点等価レンズを決定するステップが、理論的計算値及び臨床測定値を比較するステップを有している請求項6に記載の方法。
【請求項9】
更に、
理論的計算値、実験的測定値及び臨床測定値の内の2つ又はそれ以上のを比較することによって、最善の調整を決定するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項10】
更に、波面の一部分を解析するステップを有している請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、
前記レンズの設計に基づいて理論的歪みのデータを予測するステップと、
前記理論的歪みの前記予測を補正するステップと、
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記回折レンズの決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性に対して比較するステップが、小型レンズを覆うおおよそのレンズ領域を計算して2重のスポットの大きさを予測するステップを有している請求項1に記載のステップ。
【請求項13】
小型レンズが、測定される回折ゾーンよりも小さな直径を有している請求項1に記載の方法。
【請求項14】
小型レンズが、測定される回折ゾーンよりも大きな直径を有している請求項1に記載の方法。
【請求項15】
回折レンズの光学的特性を測定する方法であって、
光を前記回折レンズに通過させるステップであって、前記回折レンズは1つの小型レンズの少なくとも一部分を覆うゾーン境界を有している、ステップと、
レンズから出た光に基づいて前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定して、レンズの光学的特性を測定するために設計されたシステムを使用するステップと、
前記回折レンズの1つ又は複数の特性を計算して前記回折レンズの予期された1つ又は複数の特性を決定するステップと、
前記回折レンズの前記決定された1つ又は複数の特性を前記回折レンズの1つ又は複数の理論的計算値に対して比較するステップと、
レンズの前記特性を測定するために用いた前記システムの1つ又は複数の特性を計算するステップと、
前記回折レンズの前記特性を測定するために用いた前記システムの1つ又は複数の特性を測定するステップと、
前記回折レンズの1つ又は複数の予期された特性、及び、レンズの特性を測定するための前記システムの前記1つ又は複数の特性、に対する比較に基づいて、前記回折レンズの1つ又は複数の特性の測定値を補正するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記回折レンズの1つ又は複数の特性を測定するステップは、回折レンズの球面収差を測定するステップを有している請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−37241(P2009−37241A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−198685(P2008−198685)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198685(P2008−198685)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】
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