説明

回生ユニット

【課題】アクチュエータから流出する作動流体の圧力エネルギを効率よく回生できる回生ユニットを提供すること。
【解決手段】回生弁20を介して供給される作動油によって回生モータ11が回転駆動される回生ユニット10であって、回生モータ11は、ピストン75及びシリンダブロック71を収容するモータ室99を画成するベースプレート85を備え、回生弁20は、ベースプレート85に形成される収容孔86と、この収容孔86に収容されるスプール46と、を備え、このスプール46が移動されるのに伴って回生モータ11に対する作動油の供給量が調節される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータから流出する作動流体の圧力エネルギを回生する回生ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたエネルギ回生システムは、アクチュエータから流出する作動油圧によって回転作動する回生モータと、この回生モータに対する作動油の供給量を調節する回生弁とを備える。
【0003】
アクチュエータから流出する作動油が、回生弁を介して回生モータに供給されることにより、回生モータが回転作動して電動機(ジェネレータ)を駆動し、この電動機によって発電される電力がバッテリに充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−263157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のエネルギ回生システムにあっては、回生モータと回生弁とが配管等によって接続される構造のため、回生モータに給排される作動油の流れに付与される圧力損失を増大し、アクチュエータから流出する作動油の圧力エネルギを回生する効率が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、アクチュエータから流出する作動流体の圧力エネルギを効率よく回生できる回生ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アクチュエータから流出する作動流体の圧力によって回転作動する回生モータと、この回生モータに対する作動流体の供給量を調節する回生弁と、を備える回生ユニットであって、回生モータは、複数のピストンと、このピストンが往復動可能に収容されるシリンダブロックと、ピストン及びシリンダブロックを収容するモータ室と、このモータ室を画成するモータハウジング及びベースプレートと、を備え、供給される作動流体の圧力によってピストンがシリンダブロックに対して往復動することによってシリンダブロックを回転駆動する構成とし、回生弁は、ベースプレートに形成される収容孔と、この収容孔に収容されるスプールと、を備え、このスプールの移動に伴って回生モータに対する作動流体の供給量が調節される構成としたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、回生モータのケーシングを構成するベースプレートに回生弁が設けられることにより、回生弁と回生モータを結ぶ配管等が不要になり、回生モータに給排される作動流体の流れに付与される圧力損失を低減し、アクチュエータから流出する作動流体の圧力エネルギを効率よく回生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示す掘削アタッチメントの概略側面図。
【図2】同じく流体圧制御装置の概略構成図。
【図3】同じく回生モータの断面図。
【図4】同じく図3のA−A線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、油圧ショベルの掘削アタッチメント100の構成を示す概略側面図である。
【0012】
掘削アタッチメント100は、掘削作業等を行うためのブーム101、アーム102及びバケット103を備え、これらをアクチュエータであるブームシリンダ104、アームシリンダ105及びバケットシリンダ106によってそれぞれ駆動する。ブームシリンダ104、アームシリンダ105及びバケットシリンダ106は、それぞれ油圧シリンダである。
【0013】
ブームシリンダ110は、そのピストンロッド107がブーム101に連結されており、ピストンロッド107が移動して伸縮することによってブーム101を駆動する。
【0014】
図2は、油圧ショベルの動作を制御する流体圧制御装置1の概略構成図である。以下、ブームシリンダ110の作動を制御する構成について説明する。
【0015】
ブームシリンダ110は、そのピストン108によってロッド側圧力室111とボトム側圧力室112とに区画される。
【0016】
油圧源であるメインポンプ30及びサブポンプ80は、油圧ショベルに搭載されたエンジン(図示せず)によって駆動され、加圧した作動油(作動流体)をそれぞれ吐出する。エンジンは、運転効率の良い所定の回転速度、負荷で運転される。
【0017】
なお、作動油としてオイルの代わりに例えば水溶性代替液等の作動流体を用いても良い。
【0018】
メインポンプ30から吐出される作動油は、メイン制御弁40を介してブームシリンダ110のロッド側圧力室111またはボトム側圧力室112に供給される。
【0019】
メイン制御弁40は、ポンプポート41、タンクポート42、第一負荷ポート43、第二負荷ポート44を有する。ポンプポート41は、メインポンプ30の吐出口に接続される。タンクポート42は、タンク59に接続される。第一負荷ポート43は、第一負荷通路51を介してブームシリンダ110のロッド側圧力室111に連通される。第二負荷ポート44は、第二負荷通路52を介してブームシリンダ110のボトム側圧力室112に連通される。
【0020】
メイン制御弁40は、ブームシリンダ110を伸長させる伸長ポジションa、ブームシリンダ110を収縮させる収縮ポジションb及びブームシリンダ110の負荷を保持する停止ポジションcを有する。
【0021】
メイン制御弁40は、一対のパイロット圧室63、64と一対のスプリング61、62を備える。このスプリング61、62の付勢力によって図示のように停止ポジションcに保持された状態では、各ポート41〜44のすべてが閉ざされ、ブームシリンダ110の負荷が保持される。
【0022】
メイン制御弁40は、一方のパイロット圧室63にパイロット圧が導かれると、スプリング61、62の付勢力に抗して図にて左側の伸長ポジションaに切換わる。この伸長ポジションaにて、ポンプポート41と第二負荷ポート44とが連通し、タンクポート42と第一負荷ポート43とが連通する。これによりメインポンプ30から吐出される吐出油が第二負荷通路52を通ってボトム側圧力室112に供給され、ロッド側圧力室111の作動油が第一負荷通路51を通ってタンク59に戻され、ブームシリンダ110が伸長する。
【0023】
メイン制御弁40は、他方のパイロット圧室64にパイロット圧が導かれると、スプリング61、62の付勢力に抗して図にて右側の収縮ポジションbに切換わる。この収縮ポジションbにて、ポンプポート41と第一負荷ポート43とが連通し、第二負荷ポート44とタンクポート42とが連通する。これにより、メインポンプ30から吐出される吐出油が第一負荷通路51を通ってロッド側圧力室111に供給され、ボトム側圧力室112の作動油が第二負荷通路52を通ってタンク59に戻され、ブームシリンダ110が収縮する。
【0024】
収縮ポジションbにて、第二負荷ポート44とタンクポート42と連通する連通路には絞り45が介装される。これにより、…
サブポンプ80から吐出される作動油は、サブ制御弁81を介してブームシリンダ110のボトム側圧力室112に供給される。
【0025】
サブ制御弁81は、ポンプポート82、負荷ポート83を有する。ポンプポート82は、サブポンプ80の吐出口に接続される。負荷ポート83は、第三負荷通路53を介してブームシリンダ110のボトム側圧力室112に連通される。
【0026】
サブ制御弁81は、ブームシリンダ110を伸長させる増速ポジションd及びブームシリンダ110の負荷を保持する中立ポジションeを有する。
【0027】
サブ制御弁81は、一つのパイロット圧室84と一つのスプリング68を備える。このスプリング28の付勢力によって図示のように中立ポジションeに保持される状態では、各ポート82、83が閉ざされる。
【0028】
サブ制御弁81は、パイロット圧室84にパイロット圧が導かれると、増速ポジションdに切換わる。この増速ポジションdにて、ポンプポート82と負荷ポート83とが連通し、サブポンプ80から吐出される吐出油が第三負荷通路53、第二負荷通路52を通ってボトム側圧力室112に供給される。
【0029】
メイン制御弁40及びサブ制御弁81のパイロット圧を制御する操作機構2が設けられる。
【0030】
この操作機構2は、オペレータによって操作されるレバー3を備える。オペレータがレバー3を図にて左側に倒す操作をすることによって、メイン制御弁40のパイロット圧室63にパイロット圧が導かれ、このパイロット圧によってメイン制御弁40が伸長ポジションaに切り換わる。レバー3の操作量(レバー開度)Dが大きくなるのに伴ってメイン制御弁40の開度が増やされる。これにより、レバー3の操作量Dが増すのに応じてメイン制御弁40を通過する作動油の流量が増え、ブームシリンダ110の伸長速度が高められる。
【0031】
オペレータがレバー3を図にて左側に倒す操作量Dが所定値を超えて増えるのに伴って、サブ制御弁81のパイロット圧室84にパイロット圧が導かれ、このパイロット圧によってサブ制御弁81が増速ポジションdに切り換わる。レバー3の操作量Dが大きくなるのに伴ってサブ制御弁81の開度が増やされる。これにより、レバー3の操作量Dが所定値を超えて増すのに応じてサブ制御弁81を通過する作動油の流量分が追加され、ブームシリンダ110の伸長速度が段階的に高められる。
【0032】
オペレータがレバー3を図にて右側に倒す操作をすることによって、メイン制御弁40のパイロット圧室64にパイロット圧が導かれる。このパイロット圧によってメイン制御弁40が収縮ポジションbに切り換わり、その操作量Dが大きくなるのに伴ってメイン制御弁40の開度が増やされる。これにより、レバー3の操作量Dが増すのに応じてメイン制御弁40を通過する作動油の流量が増え、ブームシリンダ110の収縮速度が高められる。
【0033】
操作機構2は、レバー3の操作方向、操作量Dを検出するレバー操作量検出器(図示せず)を備え、レバー3の操作方向や操作量Dがこのレバー操作量検出器から電気信号としてコントローラ4に出力される。
【0034】
流体圧制御装置1は、ブームシリンダ110から流出する作動油の圧力エネルギを回収する回生ユニット10を備える。
【0035】
第二負荷通路52にはアンチドリフト弁35が介装され、回生通路25にはアンチドリフト弁38が介装される。アンチドリフト弁35、38は、ブームシリンダ110が収縮する作動時に、操作機構2から導かれるパイロット圧によってスプリングに抗して開弁する、パイロットチェック弁として作動する。
【0036】
回生ユニット10は、ブームシリンダ110のボトム側圧力室112から流出する作動油圧によって回転作動する回生モータ11と、この回生モータ11に対する作動油の供給量を調節する回生弁20とを備える。ボトム側圧力室112から流出する作動油が、回生弁20を介して回生モータ11に供給されることにより、回生モータ11が回転作動して電動機(ジェネレータ)12を駆動し、この電動機12によって発電される電力がインバータ13を介してバッテリ14に充電される。
【0037】
回生モータ11と電動機12とは、同一軸上に設けられ、これらが互いに連動して同一速度で回転作動する。
【0038】
なお、これに限らず、回生ユニット10は、回生モータ11、電動機12が、歯車等によって構成される動力伝達機構を介して互いに異なる速度で回転作動する構成としてもよい。
【0039】
電動機12には、インバータ13を介してバッテリ14が接続される。電動機12は、その回転作動によって発電を行い、その電力がインバータ13を介してバッテリ14に充電される。
【0040】
バッテリ14の蓄電圧を検出する蓄電圧検出器15が設けられる。コントローラ4は、蓄電圧検出器15の検出信号と操作機構2からの信号を入力し、バッテリ14が満充電に達しておらず、かつブームシリンダ110が収縮する作動時をエネルギ回生時と判定し、パイロット電磁弁31を開弁させる制御を行う。これにより、パイロット圧室27に導かれるパイロット圧が高められ、回生弁20が開ポジションgに切換えられ、ブームシリンダ110から流出する作動油が回生モータ11に供給され、エネルギ回生が行われる。
【0041】
一方、コントローラ4は、バッテリ14が満充電に達していると判定される場合、パイロット電磁弁31の通電を停止する制御を行う。これにより、回生弁20が閉ポジションfに切換えられ、ブームシリンダ110から流出する作動油の全量が第二負荷通路52、メイン制御弁40、戻し通路26を介してタンク59に戻され、エネルギ回生が行われない。
【0042】
コントローラ4は、回生通路25の圧力を検出する圧力検出器9、電動機12の回転速度を検出する回転検出器8、レバー操作量検出器、インバータ13等からの検出信号を入力し、回生ユニット10の運転状態に異常があるか否かを判定し、回生ユニット10の作動に異常があると判定された場合に、回生弁20を閉ポジションfに切換えて、エネルギ回生を停止するフェイルセーフ制御を行う。
【0043】
図3は、回生モータ11の断面図である。回生モータ11は、モータハウジング65とベースプレート85とにより形成される内部空間にシリンダブロック71および斜板79等が収装される。
【0044】
シリンダブロック71はモータシャフト73を介して回転作動する。モータシャフト73は、その一端がベースプレート85にベアリング66を介して支持され、その他端がモータハウジング65にベアリング67を介して支持される。モータシャフト73の端部には電動機12のシャフト(図示せず)が連結される。
【0045】
シリンダブロック71には複数本のシリンダ72がその回転軸Oと平行に、かつその回転軸Oを中心とする略同一円周上に一定の間隔を持って並んで配置される。
【0046】
各シリンダ72にはピストン75がそれぞれ挿入され、両者の間に容積室74が画成される。各ピストン75の一端側はシリンダブロック71から突出され、斜板79に接するシュー76を介して支持される。
【0047】
シリンダブロック71の内側にはスプリング77が圧縮して介装され、このスプリング77の弾性復元力が各シュー76に伝えられ、各シュー76が斜板79に押し付けられる。
【0048】
ベースプレート85は複数のボルト58を介してモータハウジング65に締結される。ベースプレート85とモータハウジング65との間にはシリンダブロック71の端面を摺接させるバルブプレート78が介装される。
【0049】
バルブプレート78には、円弧状に開口するモータ入口ポート17とモータ出口ポート18がそれぞれ形成され、容積室74に対する作動油の給排を切換える。
【0050】
シリンダブロック71の1回転につき、容積室74がモータ入口ポート17とモータ出口ポート18に連通することにより、各ピストン75がシリンダ72を1往復動し、容積室74の容積が拡張する拡張行程と、容積室74容積が収縮する収縮行程とが繰り返し行われる。
【0051】
拡張行程では、作動油がモータ入口ポート17からモータ入口ポート17を通して容積室74に供給される。この作動油圧によってピストン75がシリンダ72から突出する方向(図3にて右方向)に移動し、斜板79に対してシリンダブロック71を回転駆動する。
【0052】
収縮行程では、ピストン75がシリンダ72に入り込む方向(図3にて左方向)に移動することによってシリンダ72内の作動油がモータ出口ポート18を通って排出される。
【0053】
図4は、図3のA−A線に沿うベースプレート85の断面図である。ベースプレート85には回生弁20と第一チェック弁32と第二チェック弁33が収装される。
【0054】
回生弁20は、ベースプレート85に形成される収容孔86と、この収容孔86に摺動可能に介装されるスプール46とを備える。
【0055】
ベースプレート85には、収容孔86に連通する供給ポート21、戻しポート22、回生弁入口ポート23、回生弁出口ポート24が形成される。
【0056】
供給ポート21には、回生通路25を画成する図示しない油圧配管が接続される。供給ポート21は、この油圧配管を介してブームシリンダ110のボトム側圧力室112に連通される。
【0057】
戻しポート22は、戻し通路26を画成する図示しない油圧配管が接続される。
戻しポート22は、この油圧配管を介してタンク59に連通される。
【0058】
回生弁入口ポート23は、バルブプレート78のモータ入口ポート17に連通され、容積室74に流入する作動油を導く。
【0059】
回生弁出口ポート24は、バルブプレート78のモータ出口ポート18に連通され、容積室74から流出する作動油を導く。
【0060】
回生弁20は、スプール46の一端を付勢するスプリング28を備える。ベースプレート85には、スプリング28を収容するスプリングハウジング54が複数のボルト55を介して締結される。スプール46はスプリング28の付勢力によって図4に示すように閉ポジションfに保持される。
【0061】
スプール46は、入口ランド部49と出口ランド部47とを有する。閉ポジションfにて、供給ポート21と回生弁入口ポート23の間が入口ランド部49によって遮断されるとともに、回生弁出口ポート24と戻しポート22の間が出口ランド部47によって遮断される。これにより、回生モータ11に対する作動油の供給が停止される。
【0062】
スプール46は、出口ランド部47に開口する複数のノッチ48を有する。このノッチ48は、閉ポジションfにて、回生弁出口ポート24と戻しポート22とを連通する絞り29(図2参照)を構成する。
【0063】
ベースプレート85には、バルブハウジング56が複数のボルト57を介して締結され、両者の間にパイロット圧室27が画成され、このパイロット圧室27にスプール50の一端部が面している。回生弁20は、パイロット圧室27に導かれるパイロット圧力によってスプリング28の付勢力に抗してスプール46が図4にて右方向に移動すると開ポジションgに切換わる。
【0064】
この開ポジションgにて、供給ポート21と回生弁入口ポート23が連通されるとともに、回生弁出口ポート24と戻しポート22が連通される。これにより、ブームシリンダ110が収縮するのに伴って、ボトム側圧力室112から流出する作動油は、回生通路25、供給ポート21、回生弁入口ポート23、モータ入口ポート17を通って回生モータ11の容積室74に供給され、この作動油の圧力エネルギによって回生モータ11が回転作動する。こうして回生モータ11が回転作動するのに伴って、容積室74から流出する作動油は、モータ出口ポート18、回生弁出口ポート24、戻しポート22、戻し通路26を通ってタンク59に戻される。
【0065】
バルブハウジング56には、パイロットポート88が形成され、このパイロットポート88とパイロット圧室27の間にはパイロット電磁弁31と減圧弁36が介装される。
【0066】
パイロットポート88には、パイロット圧を導く図示しない油圧配管が接続される。
【0067】
パイロット電磁弁31の開度はコントローラ4によって制御され、パイロット圧室27に導かれるパイロット圧が調節される。コントローラ4は、オペレータがレバー3を図にて右側に倒す操作量Dが大きくなるのに伴ってパイロット電磁弁31の開度を大きく調節する。レバー3を図2にて右側に倒す操作量Dが大きくなるのに伴って、パイロット電磁弁31を介してパイロット圧室27に導かれるパイロット圧が高められ、スプール46が図4にてスプリング28に抗して右方向に移動する。これにより、レバー3の操作量Dに応じて回生弁20の開度Aが大きく調節され、回生モータ11に供給される作動油の流量が増える。
【0068】
ベースプレート85には、回生弁入口ポート23と回生弁出口ポート24を短絡する第一短絡ポート37が形成され、この第一短絡ポート37を開閉する第一チェック弁32が介装される。
【0069】
第一チェック弁32は、ベースプレート85の収容孔91に摺動可能に介装されるスプール92と、このスプール92を閉弁方向に付勢するスプリング93と備える。
【0070】
第一チェック弁32は、回生弁出口ポート24の圧力が回生弁入口ポート23より高まるのに伴ってスプリング93に抗してスプール92がシート部94から離れて開弁する。
【0071】
ベースプレート85には、メークアップポート89が形成される。このメークアップポート89には戻し通路26を画成する図示しない油圧配管が接続される。
【0072】
ベースプレート85には、タンク59に連通するメークアップポート89と回生弁入口ポート23とを短絡する第二短絡ポート34が形成され、この第二短絡ポート34に第二チェック弁33が介装される。
【0073】
第二チェック弁33は、ベースプレート85に介装されるバルブボディ95と、このバルブボディ95に摺動可能に介装されるポペット96と、このポペット96を閉弁方向に付勢するスプリング97と備える。
【0074】
第二チェック弁33は、回生弁入口ポート23の圧力が戻し通路26より低くなるのに伴ってスプリング97に抗してスプール96がシート部98から離れて開弁する。
【0075】
例えば、回生弁20が開ポジションgから閉ポジションfに切換わり、回生弁入口ポート23が閉ざされた状態で、回生モータ11が慣性力によって回転するとき、容積室74から回生弁出口ポート24に吐出される作動油は、第一チェック弁32を介して回生弁入口ポート23に流入するとともに、不足分の作動油が第二チェック弁33を介して回生弁入口ポート23に流入し、回生モータ11が円滑に停止するようになっている。
【0076】
以上のように、本実施形態では、アクチュエータ(ブームシリンダ110)から流出する作動油の圧力によって回転作動する回生モータ11と、この回生モータ11に対する作動油の供給量を調節する回生弁20と、を備える回生ユニット10であって、回生モータ11は、複数のピストン75と、このピストン75が往復動可能に収容されるシリンダブロック71と、ピストン75及びシリンダブロック71を収容するモータ室99と、このモータ室99を画成するモータハウジング65及びベースプレート85と、を備え、供給される作動油の圧力によってピストン75がシリンダブロック71に対して往復動することによってシリンダブロック71を回転駆動する構成とし、回生弁20は、ベースプレート85に形成される収容孔86と、この収容孔86に収容されるスプール46と、を備え、このスプール46が移動されるのに伴って回生モータ11に対する作動油の供給量が調節される構成とした。
【0077】
上記構成に基づき、回生モータ11のケーシングを構成するベースプレート85に回生弁20が設けられることにより、回生弁20と回生モータ11を結ぶ配管等が不要になり、回生モータ11に給排される作動油の流れに付与される圧力損失を低減し、アクチュエータ(ブームシリンダ110)から流出する作動油の圧力エネルギを効率よく回生することができる。
【0078】
本実施形態では、ベースプレート85は、アクチュエータ(ブームシリンダ110)から流出する作動油が導かれる供給ポート21と、供給ポート21からの作動油を回生モータ11へと導く回生弁入口ポート23と、回生モータ11から排出される作動油を導く回生弁出口ポート24と、この回生弁出口ポート24からの作動油をタンク59へと導く戻しポート22と、を有し、スプール46は、供給ポート21と回生弁入口ポート23との間を遮断する入口ランド部49と、回生弁出口ポート24と戻しポート22の間を遮断する出口ランド部47と、出口ランド部47に開口するノッチ48と、を有し、このノッチ48によって回生弁出口ポート24と戻しポート22とを常時連通する絞り29を構成した。
【0079】
上記構成に基づき、回生弁20が開ポジションgから閉ポジションfに切換わる際に、出口ランド部47が回生弁出口ポート24と戻しポート22の間を遮断しても、ノッチ48が出口ポート24と戻しポート22とを連通する絞り29を構成するため、出口ポート24の圧力変動が緩和される。ノッチ48が出口ランド部47に開口することにより、絞り29が構成されるため、構造の簡素化がはかれる。
【0080】
本実施形態では、ベースプレート85は、回生弁入口ポート23と回生弁出口ポート24を短絡する第一短絡ポート37を有し、この第一短絡ポート37を開閉する第一チェック弁32が介装され、この第一チェック弁32は回生弁出口ポート24の圧力が回生弁入口ポート23より高まるのに伴って開弁する構成とした。
【0081】
上記構成に基づき、回生弁20が開ポジションgから閉ポジションfに切換わる際に、出口ランド部47が回生弁出口ポート24と戻しポート22の間を遮断しても、回生モータ11が慣性力によって回転するとき、容積室74から回生弁出口ポート24に吐出される作動油は、第一チェック弁32を介して回生弁入口ポート23に流入し、回生モータ11が円滑に停止することができる。
【0082】
本実施形態では、ベースプレート85は、タンク59に連通するメークアップポート89と回生弁入口ポート23とを短絡する第二短絡ポート34が形成され、この第二短絡ポート34に第二チェック弁33が介装され、この第二チェック弁33は回生弁入口ポート23の圧力がメークアップポート89より低くなるのに伴って開弁する構成とした。
【0083】
上記構成に基づき、回生弁20が開ポジションgから閉ポジションfに切換わる際に、出口ランド部47が回生弁出口ポート24と戻しポート22の間を遮断しても、回生モータ11が慣性力によって回転するとき、タンク59からの作動油が、第二チェック弁33を介して回生弁入口ポート23に流入することにより、回生モータ11が円滑に停止するようになっている。
【0084】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0085】
10 回生ユニット
11 回生モータ
17 モータ入口ポート
18 モータ出口ポート
20 回生弁
21 供給ポート
22 戻しポート
23 回生弁入口ポート
24 回生弁出口ポート
29 絞り
31 パイロット電磁弁
32 第一チェック弁
33 第二チェック弁
34 第二短絡ポート
37 第一短絡ポート
46 スプール
47 出口ランド部
48 ノッチ
49 入口ランド部
65 モータハウジング
71 シリンダブロック
75 ピストン
85 ベースプレート
86 収容孔
89 メークアップポート
99 モータ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータから流出する作動流体の圧力によって回転作動する回生モータと、この回生モータに対する作動流体の供給量を調節する回生弁と、を備える回生ユニットであって、
前記回生モータは、複数のピストンと、このピストンが往復動可能に収容されるシリンダブロックと、前記ピストン及び前記シリンダブロックを収容するモータ室と、このモータ室を画成するモータハウジング及びベースプレートと、を備え、供給される作動流体の圧力によって前記ピストンが前記シリンダブロックに対して往復動することによって前記シリンダブロックを回転駆動する構成とし、前記回生弁は、前記ベースプレートに形成される収容孔と、この収容孔に収容されるスプールと、を備え、このスプールの移動に伴って前記回生モータに対する作動流体の供給量が調節されることを特徴とする回生ユニット。
【請求項2】
前記ベースプレートは、前記アクチュエータから流出する作動流体が導かれる供給ポートと、この供給ポートからの作動流体を前記回生モータへと導く回生弁入口ポートと、前記回生モータから排出される作動流体を導く回生弁出口ポートと、この回生弁出口ポートからの作動流体をタンクへと導く戻しポートと、を有し、前記スプールは、前記供給ポートと前記回生弁入口ポートとの間を遮断する入口ランド部と、前記回生弁出口ポートと前記戻しポートの間を遮断する出口ランド部と、この出口ランド部に開口するノッチと、を有し、このノッチによって前記回生弁出口ポートと前記戻しポートとを常時連通する絞りを構成したことを特徴とする請求項1に記載の回生ユニット。
【請求項3】
前記ベースプレートは、前記回生弁入口ポートと前記回生弁出口ポートを短絡する第一短絡ポートを有し、この第一短絡ポートを開閉する第一チェック弁が介装され、この第一チェック弁は前記回生弁出口ポートの圧力が回生弁入口ポートより高まるのに伴って開弁することを特徴とする請求項1または2に記載の回生ユニット。
【請求項4】
前記ベースプレートは、タンクに連通するメークアップポートと前記回生弁入口ポートとを短絡する第二短絡ポートが形成され、この第二短絡ポートに第二チェック弁が介装され、この第二チェック弁は前記回生弁入口ポートの圧力が前記メークアップポートより低くなるのに伴って開弁することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の回生ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−13161(P2012−13161A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150975(P2010−150975)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】