説明

回路基板の検査装置および回路基板の検査方法

【課題】検査対象の回路基板が微細ピッチの電極を有するものであっても信頼性の高い電気検査を行うことができる回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供する。
【解決手段】中継ピンユニットが、中間保持板36と、第1の絶縁板34と中間保持板36との間に配置された第1の支持ピン33と、第2の絶縁板35と中間保持板36との間に配置された第2の支持ピン37とを備えるとともに、第1の支持ピン33の中間保持板36に対する第1の当接支持位置と、第2の支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置とが、中間保持板36の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。また、中継基板29を設置し、ピッチ変換用基板23と被検査回路基板1との電気的接続を中継するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気検査を行う検査対象である回路基板(以下、「被検査回路基板」という。)を、一対の第1の検査治具と第2の検査治具で両面から挟圧することにより、被検査回路基板の両面に形成された電極をテスターに電気的に接続された状態として、被検査回路基板の電気的特性を検査する回路基板の検査装置および回路基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などを実装するためのプリント回路基板は、集積回路などを実装する前に、回路基板の配線パターンが所定の性能を有することを確認するために電気的特性が検査される。
【0003】
この電気検査では、例えば、回路基板の搬送機構を備えた検査用テスターに検査ヘッドを組み込み、検査ヘッド部分を交換することにより異なる回路基板の検査を行っている。
例えば、特許文献1に開示されているように、被検査回路基板の被検査電極に接して電気的に導通する金属の検査ピンを基板に植設した構造の検査治具を用いる方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されているように、導電ピンを有する検査ヘッドと、オフグリットアダプターと呼ばれるピッチ変換用の回路基板と、異方導電性シートとを組み合わせた検査治具を用いる方法が知られている。
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、金属検査ピンを直接に被検査回路基板の被検査電極に接触させる検査治具を用いる方法では、金属からなる導電ピンとの接触により被検査回路基板の電極が損傷する可能性がある。
【0006】
特に、近年では回路基板における回路の微細化、高密度化が進み、このようなプリント回路基板を検査する場合、多数の導電ピンを被検査回路基板の被検査電極に同時に導通接触させるためには、高い圧力で検査治具を加圧することが必要となり、被検査電極が損傷し易くなる。
【0007】
そして、このような微細化、高密度化されたプリント回路基板を検査するための検査治具では、高密度で多数の金属ピンを基板に植設することが技術的に困難になりつつある。また、その製造コストも高価となり、さらに、一部の金属ピンが損傷した場合に、修理、交換することが困難である。
【0008】
一方、特許文献2のように、異方導電性シートを使用する検査治具では、被検査回路基板の被検査電極が、異方導電性シートを介してピッチ変換用基板の電極と接触することになるため、被検査回路基板の被検査電極が損傷しにくいという利点がある。また、ピッチ変換を行う基板を使用しているため、基板に植設する検査ピンを、被検査回路基板の被検査電極のピッチよりも広いピッチで植設することができるため、微細ピッチで検査ピンを植設する必要がなく、検査治具の製造コストを節約できるという利点もある。
【0009】
しかしながら、この検査治具では、検査対象である被検査回路基板ごとに、ピッチ変換用基板と、検査ピンを植設する検査治具とを作成する必要があるため、検査される被検査回路基板であるプリント回路基板と同数の検査治具が必要となる。
【0010】
このため、複数のプリント回路基板を生産している場合では、それに対応して複数の検
査治具を保有しなければならないという問題がある。特に、近年では電子機器の製品サイクルが短縮し、製品に使用されるプリント回路基板の生産期間の短縮化が進んでいるが、これに伴って検査治具を長期間使用することができなくなり、プリント回路基板の生産が切り替わる度に検査治具を生産しなければならないという問題が生じている。
【0011】
このような問題への対策として、例えば、特許文献3〜5のような、中継ピンユニットを用いる、いわゆるユニバーサルタイプの検査治具を用いた検査装置が提案されている。
図42は、このようなユニバーサルタイプの検査治具を用いた検査装置の断面図である。この検査装置は、一対の第1の検査治具111aと第2の検査治具111bとを備え、これらの検査治具は、回路基板側コネクタ121a、121bと、中継ピンユニット131a、131bと、テスター側コネクタ141a、141bとを備えている。
【0012】
回路基板側コネクタ121a、121bは、ピッチ変換用基板123a、123bと、その両面側に配置される異方導電性シート122a、122b、126a、126bとを有している。
【0013】
中継ピンユニット131a、131bは、一定ピッチ(例えば2.54mmピッチ)で格子点上に多数(例えば5000ピン)配置された導電ピン132a、132bと、この導電ピン132a、132bを上下へ移動可能に支持する一対の絶縁板134a、134bとを有している。
【0014】
テスター側コネクタ141a、141bは、被検査回路基板101を検査治具111a、111bで挟圧した際に、テスターと導電ピン132a、132bとを電気的に接続するコネクタ基板143a、143bと、コネクタ基板143a、143bの導電ピン132a、132b側に配置される異方導電性シート142a、142bと、ベース板146a、146bとを有している。
【0015】
この中継ピンユニットを使用した検査治具は、異なる被検査対象であるプリント回路基板を検査する際に、回路基板側コネクタ121a、121bを被検査回路基板101に対応するものに交換するだけでよく、中継ピンユニット131a、131bとテスター側コネクタ141a、141bは共通で使用できる。
【0016】
ところで、被検査回路基板101であるプリント配線基板は、多層高密度化してきており、実際には厚み方向に、例えば、BGAなどのハンダボール電極などの被検査電極102、103による高さバラツキや基板自体の反りが生じている。そのため、被検査回路基板101上の検査点である被検査電極102、103に電気的接続を達成するためには、第1の検査治具111aと第2の検査治具111bとを高い圧力で加圧して、被検査回路基板101を平坦に変形する必要がある。また、被検査電極102、103の高さバラツキに対しては、第1の検査治具111aと第2の検査治具111bの被検査電極102、103の高さに対する追従性が必要となる。
【0017】
従来のこのようなユニバーサルタイプの検査治具では、被検査電極102、103の高さに対する追従性を確保するために、導電ピン132a、132bの軸方向移動により追従していたが、この導電ピン132a、132bの軸方向移動量にも限界があるため、このような被検査電極102、103の高さに対する追従性が良好でない場合があり、導通不良が発生して正確な検査ができないことになる。
【0018】
また、このようなユニバーサルタイプの検査治具では、第1の検査治具111aと第2の検査治具111bによって、被検査回路基板101を挟圧した際のプレス圧力は、その上下の異方導電性シート122a、122b、126a、126b、142a、142b
にて吸収している。
【0019】
そのため、このようなユニバーサルタイプの検査治具では、ピッチ変換用基板123a、123bを支持しプレス圧を分散させるために、一定間隔で導電ピン132a、132bを配置する必要がある。
【0020】
また、従来のユニバーサルタイプの検査治具では、プレス圧力は導電ピン132a、132bで受けるようになっているため、一定間隔で多数の導電ピン132a、132bを配置する必要がある。
【0021】
このため、被検査回路基板101の電極の微細化に対応して、例えば、0.75mmピッチで1万以上の貫通孔を有する絶縁板134a、134bを形成する場合、絶縁板134a、134bの基板の厚さが薄いと強度が低くなり、曲げた時に割れることもあるので、絶縁板134a、134bの厚さは厚めにする必要があった。
【0022】
しかしながら、形成する貫通孔の径が例えば直径0.5mm程度と微細になり、絶縁板134a、134bの厚さが5mm以上になると、一回のドリル加工で貫通孔を形成しようとする場合に、ドリルの刃の強度の関係で、ドリルの刃の欠損、折れが生じて絶縁板の加工に失敗する場合が多くなる。
【0023】
このため、絶縁板の片面から厚みの半分程度までドリル加工し、さらに他面側から同一部分にドリル加工を行うことにより貫通孔を形成することによって絶縁板の加工を行っているが、この場合、絶縁板に形成する貫通孔数の2倍のドリル加工作業が必要となり、加工工程が煩雑となるという問題があった。
【0024】
また、従来のこうしたユニバーサルタイプの検査治具では、回路基板側コネクタを構成する異方導電性シート122a、122bとして、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有されて面方向に不均一に分散され、シート片面側に導電路形成部が突出した偏在型の異方導電性シートを使用していた。この異方導電性シートは検査での繰り返し使用により導電路形成部が劣化(抵抗値の上昇)し、異方導電性シートを交換する場合、交換の度に異方導電性シートとピッチ変換用基板との位置合わせ、および回路基板側コネクタと中継ピンユニットとの位置合わせが必要であり、この位置合わせ作業が煩雑で検査効率の低下の要因となっていた。
【0025】
また、被検査回路基板の電極が、例えば200μm以下のような微少ピッチになると、上記のような異方導電性シートを用いて複数の被検査回路基板について検査を連続して行った場合、被検査回路基板と繰り返し接触することにより異方導電性シートの位置ずれが生じ易くなる。すると異方導電性シートの導電路形成部と被検査回路基板の電極位置とが一致しなくなり、良好な電気的接続が得られなくなるため過大な抵抗値が測定され、本来は良品と判断されるべきプリント回路基板が不良品と誤判断され易くなる。
【0026】
従来、このような問題を解決するために、表面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された接続用電極を有し、裏面に格子点位置に従って配置された端子電極を有するピッチ変換用基板と、このピッチ変換用基板の表面上に一体的に設けられた異方導電性エラストマーシートとからなるアダプター装置が提案されている(特許文献6および特許文献7)。
【0027】
このようなアダプター装置によれば、回路基板の電気的検査において、異方導電性エラストマーシートの位置合わせ作業が不要であり、また、温度変化による熱履歴などの環境
の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って高い接続信頼性が得られる。
【0028】
しかしながら、図43に示したように、被検査電極102(103)の間のピッチP1が100μm以下の場合には、被検査電極102(103)の間の離間距離S1が50μm以下になってしまう。このため、図44に示したように、ピッチ変換用基板123の接続用電極125の間の離間距離も、被検査電極102(103)の間の離間距離S1と同じく、50μm以下にする必要がある。
【0029】
従って、異方導電性シート122の導電路形成部間を相互に絶縁する絶縁部の幅も、これに合わせて、被検査電極102(103)の間の離間距離S1と同じく、50μm以下にする必要がある。
【0030】
しかしながら、被検査電極間の離間距離が100μm以下であるような、被検査電極が狭ピッチで配置された回路基板を検査するための偏在型異方導電性エラストマーシートを得る場合、上記したように、隣接する導電路形成部間を相互に絶縁する絶縁部の幅が50μm以下となるように形成する必要があるが、金型成形によりシートを製造する従来の方法では、隣接する金型磁極との磁場作用のため50μm以下の絶縁部の形成が困難となる。
【0031】
このため、この従来の製法による偏在型異方導電性エラストマーシートでは、シートの厚みにもよるが、回路基板の電極間距離の検査可能な下限は、約60〜80μmであった。
【0032】
このため、被検査電極の離間距離が50μm以下である、被検査電極が小ピッチで配置された回路基板を検査するための偏在型異方導電性エラストマーシートは、金型法によって成形することがきわめて困難であるため、実質的には得られていない。
【0033】
また、アダプター装置として、ピッチ変換用基板の表面に導電性エラストマー層を形成した後、導電性エラストマー層に対してレーザー加工を施してその一部を除去することにより、ピッチ変換用基板の各接続用電極上に互いに独立した導電路形成部が形成されたものが提案されている(特許文献8)。
【0034】
このようなアダプター装置によれば、導電路形成部の各々は互いに独立した状態で形成されているため、隣接する導電路形成部間において所要の絶縁性が確実に得られる。
しかしながら、このアダプター装置においては、導電路形成部の各々がピッチ変換用基板の接続用電極のみによって支持されているため、ピッチ変換用基板から脱落し易く耐久性が低いという問題がある。
【0035】
また、導電路形成部を形成する際には、レーザー加工によってピッチ変換用基板に損傷を与えるおそれがある、という問題がある。
一方、導電性粒子が厚み方向に配列するとともに面方向に均一に分散された、いわゆる分散型の異方導電性エラストマーシートでは、その厚みを小さくすることにより高い分解能が得られるため、例えばその厚みを30μm程度とすることにより、被検査電極の離間距離が50μm以下である回路基板を検査することが、その分解能としては可能となる。
【0036】
しかし、その厚みが30μm程度であるような、薄い分散型異方導電性エラストマーシートでは、異方導電性エラストマーシートの特性の一つである、シート本体の弾性による機械的衝撃の吸収能力や、電極同士のソフトな接触による電気的接続を達成する能力がほとんど無くなってしまうため、多数の高さバラツキを含む被検査電極を有する被検査回路
基板を検査装置に接続する場合に、異方導電性エラストマーシートの段差級収能力の低下により、多数の被検査電極を同時に接続することが困難となる。
【0037】
例えば、メッキにより多数の電極が形成される回路基板では、その各々の電極の高さのバラツキが約20μm程度となる。分散型異方導電性エラストマーシートでは、厚み方向に圧縮された際に、安定して電気的な導通を達成できる圧縮率は約20%以下である。例えば20%を超えて圧縮を行うと、横方向の電気的導通が大きくなり導通の異方性が損なわれるばかりでなく、基材となるエラストマーの永久変形が生じて繰り返し使用が困難となる。このため、約20μmの高さバラツキを含む電極を有する回路基板の検査を行う場合、厚みが100μm以上の分散型異方導電性エラストマーシートを使用することが必要となる。
【0038】
しかし、厚みが100μm以上の分散型異方導電性エラストマーシートを使用すると、被検査電極が50μm以下の小さいピッチで配置された回路基板を検査することが、分解能が損なわれるために実質的に不可能となってしまう問題点があった。
【0039】
さらに、厚みの小さい分散型異方導電性エラストマーシートは、シート本体の弾性が低いために機械的衝撃の吸収能力が小さく、回路基板検査用アダプターに用いて回路基板の繰り返し検査を行った場合に異方導電性エラストマーシートの劣化が早く、そのため頻繁に分散型異方導電性エラストマーシートを交換しなければならず、交換作業が繁雑となり、回路基板の検査効率が低くなってしまう。
【0040】
以上のことから、被検査電極が50μm以下の小さいピッチで配置された回路基板を検査するための、異方導電性エラストマーシートを用いた回路基板検査用アダプターでは、分解能、段差吸収能、繰り返し使用耐久性を全て満足するものが得られていなかった。
【0041】
図44に示したように、被検査電極102(103)の間のピッチP1が100μmの場合には、ピッチ変換基板123の接続用電極125の間の離間距離は、被検査電極102(103)の間の離間距離S1と同じく、50μmであればよい。しかしながら、高い精度で回路基板の潜在的な電気的欠陥を検出するために4端子検査を行う場合、図45に示したように、被検査用回路基板の被検査電極102(103)の1つに対して、ピッチ変換基板123の2つの電極(電流供給用電極127および電圧測定用電極128)を接続することになる。
【0042】
そのため、ピッチ変換基板123における電流供給用電極127と電圧測定用電極128との間の離間距離S2はさらに小さくなる。例えば、ピッチ変換基板123の被検査電極間102(103)のピッチP1が200μmである場合、被検査電極102(103)の直径Rが約100μmとなり、この直径約100μmの被検査電極102(103)に対して、ピッチ変換用基板123における電流供給用電極127および電圧測定用電極128が共に接続されるので、電流供給用電極127と電圧測定用電極128との間の離間距離S2は、図45に示したように、30〜40μm程度しか設けることができない。
【0043】
しかしながら、上述したように、従来では、偏在型異方導電性エラストマーシート、分散型異方導電性エラストマーシートのいずれを用いた場合にも、ピッチ変換用基板における接続用電極の離間距離S2を30〜40μmとしたアダプター装置は得られていないのが現状である。
【0044】
以上のように、従来の偏在型異方導電性シートや分散型異方導電性シートを用いた回路基板の検査装置では、多数の被検査電極を有する回路基板を検査する際に要求される分解能、段差吸収能、クッション性、耐久性に関して、その全てにおいて性能が充分なものは
得られていなかった。
【特許文献1】特開平6−94768号公報
【特許文献2】特開平5−159821号公報
【特許文献3】特開平7−248350号公報
【特許文献4】特開平8−271569号公報
【特許文献5】特開平8−338858号公報
【特許文献6】特開平4−151564号公報
【特許文献7】特開平6−82531号公報
【特許文献8】特開平10−229270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明は、検査対象である被検査回路基板が微細ピッチの微小電極を有するものであっても、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができる回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0046】
また、本発明は、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対する追従性が良好で、導通不良が発生せず、正確な検査を実施することが可能な回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0047】
また、本発明は、一定間隔で導電ピンを配置する必要がなく、そのため、導電ピンを保持する絶縁板への貫通孔のドリル加工による穿設作業が少なく、コストを低減することが可能な回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0048】
また、本発明は、高い分解能で検査が可能であり、被検査回路基板の被検査電極による段差を良好に吸収するとともに、繰り返し使用耐久性にも優れた回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明の回路基板の検査装置は、一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行う回路基板の検査装置であって、
前記第1の検査治具と第2の検査治具がそれぞれ、
基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板と、
前記ピッチ変換用基板の被検査回路基板側に配置され、基板に形成された複数の貫通孔に、弾性高分子物質からなる絶縁部と、導電性粒子を含有する弾性高分子物質からなり前記絶縁部を厚み方向へ貫通する導電路形成部とが形成された、該導電路形成部によって前記ピッチ変換用基板と前記被検査回路基板との電気的接続を中継する中継基板と、
前記ピッチ変換用基板の前記中継基板とは逆側に配置される第2の異方導電性シートと、
を備えた回路基板側コネクタと、
所定のピッチで配置された複数の導電ピンと、
前記導電ピンを軸方向へ移動可能に支持する、一対の離間した第1の絶縁板と第2の絶縁板と、
を備えた中継ピンユニットと、
テスターと前記中継ピンユニットとを電気的に接続するコネクタ基板と、
前記コネクタ基板の中継ピンユニット側に配置される第3の異方導電性シートと、
前記コネクタ基板の中継ピンユニットとは逆側に配置されるベース板と、
を備えたテスター側コネクタと、を備え、
前記中継ピンユニットは、
前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に配置された中間保持板と、
前記第1の絶縁板と中間保持板との間に配置された第1の支持ピンと、
前記第2の絶縁板と中間保持板との間に配置された第2の支持ピンと、
を備えるとともに、
前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置と、前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置とが、中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0050】
このように構成することによって、第1の検査治具と第2の検査治具との間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行う際に、加圧の初期段階では、中継ピンユニットの導電ピンによる厚み方向への移動と、中継基板の弾性部分と、第2の異方導電性シートと、第3の異方導電性シートのゴム弾性圧縮にて圧力を吸収して、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキをある程度吸収することができる。
【0051】
そして、第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置と、前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置とが、中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において、異なる位置に配置されているので、第1の検査治具と第2の検査治具の間で検査対象である被検査回路基板をさらに加圧した際に、中継基板の弾性部分と、第2の異方導電性シートと、第3の異方導電性シートのゴム弾性圧縮に加えて、中継ピンユニットの第1の絶縁板と、第2の絶縁板と、第1の絶縁板と第2の絶縁板の間に配置された中間保持板のバネ弾性により、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキ、例えば、ハンダボール電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて、局部的な応力集中を回避することができる。
【0052】
これにより、高さバラツキを有する被検査回路基板の被検査電極の各々に対しても、安定的な電気的接触が確保され、さらに応力集中が低減されるので、中継基板の弾性部分の局部的な破損が抑制される。その結果、中継基板の繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0053】
また、一定間隔で導電ピンを配置する必要がないので、導電ピンを保持する絶縁板への貫通孔のドリル加工による穿設作業が少なく、コストを低減することができる。
さらに本発明では、導電路形成部とその周囲の絶縁部とからなる弾性部分が基板に形成された複数の貫通孔のそれぞれに設けられた中継基板を配置しているので、検査治具の押圧による加圧力や衝撃がこの弾性部分で吸収され、被検査回路基板の電極などを破損損傷することがない。
【0054】
さらに、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の配置パターンに関わらず、被検査回路基板について所要の電気的検査を確実に実行することができ、被検査回路基板の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、被検査回路基板について所要の電気的検査を確実に実施することができる。
【0055】
本発明の回路基板の検査装置は、前記中継基板が、
第1の離型性支持板上に支持され、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に配向した状態で弾性高分子物質中に分散された導電性エラストマー層を、レーザー加工することにより、第1の離型性支持板上に所定のパターンに従って配置された導電路形成部を形成し、
第2の離型性支持板上に支持され、硬化されて弾性高分子物質となる材料からなる未硬化状態の絶縁部用材料層が前記基板における両側表面および貫通孔の内部に形成された当該基板に対して、導電路形成部が形成された前記第1の離型性支持板を、導電路形成部が前記基板の貫通孔に位置するように重ね合わせ、
この状態で、絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成した後、第1およ
び第2の離型性支持板を除去することにより得られたものであることを特徴とする。
【0056】
このように、導電性エラストマー層をレーザー加工して導電路形成部を形成しているので、導電路形成部は所期の良好な導電性を有している。
また、所定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、これらの導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる材料よりなる絶縁部用材料層を形成して、硬化処理することにより絶縁部を形成するため、絶縁部には導電性粒子が全く存在しない。
【0057】
しかも、従来の異方導電性シートを製造するために使用されていた多数の強磁性体部が配列されてなる金型を用いることが不要である。
従って、接続すべき被検査回路基板の被検査電極の配置パターンに関わらず、電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成される。また、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成される。しかも、中継基板を低コストで製造することができる。
【0058】
さらに、従来の金型成形により異方導電シートを製造する方法ではないので、隣接する金型磁極との磁場作用の影響がなく、導電路形成部の離間距離が小さい、例えば、導電路形成部間の絶縁部の幅が50μm以下であるものが得られる。
【0059】
したがって、被検査電極の離間距離が50μm以下である、被検査電極が小ピッチで配置された被検査回路基板を検査することが可能である。
さらに、4端子検査を行う場合、被検査用回路基板の被検査電極1つに対してピッチ変換用基板の2つの検査電極(電圧用および電流用)を接続することになり、検査電極間の離間距離が小さくなるが、このような場合であっても、導電路形成部の離間距離が充分に小さい中継基板を備えているので、確実に電気的検査を実施することができる。
【0060】
本発明の回路基板の検査装置は、前記導電性エラストマー層が、
離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有された導電性エラストマー用材料層を形成し、
該導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って、磁性を示す金属からなる金属マスクを形成し、
前記導電性エラストマー用材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、導電性粒子を厚み方向に配向させ、次いで、磁場を作用させた状態で、または磁場を停止した状態で前記導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより得られたものであることを特徴とする。
【0061】
このように、磁性を示す金属からなる金属マスクを用いて導電性エラストマー用材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、分散されていた導電性粒子は、金属マスク部分に集中した状態で厚み方向に配向する。
【0062】
これにより、導電性エラストマー用材料層における金属マスクが形成されていない部分の導電性粒子の密度が小さくなる。そのため、レーザー加工による導電路形成部の形成が容易になる。さらに、厚みの大きい導電性エラストマー層のレーザー加工が容易となるため、厚みの大きい導電路形成部を確実に得ることができる。
【0063】
このような製法により得られた中継基板を用いた本発明の検査装置は、接続すべき被検査回路基板の被検査電極の配置パターンに関わらず、電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成できる。また、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成できる。
【0064】
上記した本発明の検査装置では、前記中継基板における少なくとも一部の導電路形成部において、互いに隣接する導電路形成部の離間距離が50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0065】
このようにすることで、被検査電極の離間距離が50μm以下である、被検査電極が微細ピッチで配置された被検査回路基板を検査することが可能である。
さらに、4端子検査を行う場合、被検査用回路基板の被検査電極1つに対してピッチ変換用基板の2つの検査電極(電圧用および電流用)を接続するので、検査電極間の離間距離が小さくなるが、このような場合であっても確実に電気的検査を実施することができる。
【0066】
なお、前記中継基板の片面側もしくは両面側には、導電性粒子が厚み方向に配列するとともに面方向に均一に分散された第1の異方導電性シートを配置してもよい。
本発明の回路基板の検査装置は、
一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧した際に、
前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第2の絶縁板の方向に撓むとともに、
前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第1の絶縁板の方向に撓むことを特徴とする。
【0067】
このように構成することによって、中間保持板が、第1の当接支持位置、第2の当接支持位置を中心として、相互に反対方向に撓むので、第1の検査治具と第2の検査治具の間で検査対象である被検査回路基板をさらに加圧した際に、中間保持板のバネ弾性力がさらに発揮されることになり、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて局部的な応力集中を回避することができ、中継基板の弾性部分の局部的な破損が抑制される。その結果、中継基板の繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0068】
本発明の回路基板の検査装置は、前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置され、
前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置されており、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第1の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第2の当接支持位置が配置されるとともに、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第2の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第1の当接支持位置が配置されていることを特徴とする。
【0069】
このように構成することによって、第1の当接支持位置と第2の当接支持位置が格子状に配置され、しかも、第1の当接支持位置と第2の当接支持位置の格子点位置が全てずれた位置に配置されることになる。
【0070】
従って、中間保持板が、第1の当接支持位置、第2の当接支持位置を中心として、相互に反対方向により撓むことになり、第1の検査治具と第2の検査治具の間で検査対象である被検査回路基板を加圧した際に、中間保持板のバネ弾性力がさらに発揮されることになり、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対して圧力集中を分散させて、局部的な応力集中をさらに回避することができる。よって、中継基板の弾性部分の局部的な破損が抑制され、その結果、異方導電性シートの繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0071】
また、本発明の回路基板の検査装置は、前記中継ピンユニットが、
前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に所定間隔離間して配置された複数個の中間保持板と、
隣接する中間保持板同士の間に配置された保持板支持ピンと、
を備えるとともに、
少なくとも1つの中間保持板において、該中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置と、該中間保持板に対して他面側から当接する第1の支持ピン、第2の支持ピン、または保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置とが、該中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0072】
このように構成することによって、これらの複数個の中間保持板によってバネ弾性がさらに発揮されることになり、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて局部的な応力集中をさらに回避することができ、中継基板の弾性部分の局部的な破損が抑制される。その結果、中継基板の繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0073】
また、本発明の回路基板の検査装置は、全ての前記中間保持板において、該中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置と、該中間保持板に対して他面側から当接する第1の支持ピン、第2の支持ピン、または保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置とが、該中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0074】
これによって、隣接する中間保持板の間で、保持板支持ピンの中間保持板との当接支持位置がずれた位置に配置されるので、これらの複数個の中間保持板のバネ弾性がさらに発揮されることになり、被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対して圧力集中を分散させて、局部的な応力集中をさらに回避することができ、中継基板の弾性部分の局部的な破損が抑制される。その結果、中継基板の繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0075】
また、本発明の回路基板の検査装置は、前記第2の異方導電性シートが、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより該導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の回路基板の検査装置は、前記第3の異方導電性シートが、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより該導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする。
【0077】
このように、第2の異方導電性シートおよび第3の異方導電性シートとして、導電路形成部と絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有されて面方向に不均一に分散され、シート片面側に導電路形成部が突出した偏在型の異方導電性シートを使用することにより、検査治具の押圧による加圧力や衝撃がこれらのシートで吸収され、これにより中継基板の弾性部分の劣化が抑制される。
【0078】
本発明における一つの態様では、前記複数の導電ピンは、前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間の間隔よりも短い棒状の中央部と、該中央部の両端側に形成され該中央部よりも径が小さい一対の端部とからなり、
前記一対の端部がそれぞれ、前記第1の絶縁板と第2の絶縁板とに形成された前記中央部よりも径が小さく前記一対の端部よりも径が大きい貫通孔に挿通され、これにより、前記導電ピンが軸方向に移動可能に支持される。
【0079】
このように構成することで、導電ピンが、第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に、軸方向に移動可能に、且つ脱落しないように保持することができる。
本発明における他の態様では、前記第1の絶縁板と中間保持板との間、前記第2の絶縁板と中間保持板との間、または中間保持板同士の間に、前記導電ピンが挿通される貫通孔が形成された屈曲保持板が設けられ、
前記複数の導電ピンは、前記第1および第2の絶縁板に形成された貫通孔と、前記屈曲保持板に形成された貫通孔とを支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて前記屈曲保持板の貫通孔の位置で屈曲され、これにより前記導電ピンが軸方向に移動可能に支持される。
【0080】
このように構成することで、導電ピンが、第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に、軸方向に移動可能に、且つ脱落しないように保持することができる。さらに、導電ピンとして円柱状である簡易な構造のピンを使用できるため、導電ピンおよびそれを保持する部材の全体としてのコストを抑えることができる。
【0081】
本発明の回路基板の検査方法は、前述した回路基板の検査装置を用いた回路基板の検査方法であって、
一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0082】
本発明によれば、検査対象である被検査回路基板が、例えば被検査電極の離間距離が50μm以下であるような、微細ピッチの微小電極を有するものであっても、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことが可能である。
【0083】
また、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対する追従性が良好で、導通不良が発生せず、正確な検査を実施することが可能である。
また、一定間隔で導電ピンを配置する必要がないので、導電ピンを保持する絶縁板への貫通孔のドリル加工による穿設作業が少なく、コストを低減することができる。
【0084】
また、高分解能で検査が可能であり、且つ、被検査回路基板の被検査電極による段差を良好に吸収できるとともに、繰り返し使用耐久性も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以降の記述において、第1の検査治具と第2の検査治具における一対の同一の構成要素(例えば回路基板側コネクタ21aと回路基板側コネクタ21b、第1の異方導電性シート22aと第1の異方導電性シート22bなど)を総称する場合には、記号「a」、「b」を省略することがある(例えば、第1の異方導電性シート22aと第1の異方導電性シート22bとを総称して「第1の異方導電性シート22」と記述することがある)。
【0086】
図1は、本発明の検査装置の実施形態を示した断面図、図2は、図1の検査装置の検査使用時における積層状態を示した断面図である。
この検査装置は、集積回路などを実装するためのプリント回路基板などの検査対象である被検査回路基板1において、被検査電極間の電気抵抗を測定することにより被検査回路基板の電気検査を行うものである。
【0087】
そして、この検査装置には、図1および図2に示したように、被検査回路基板1の上面側に配置される第1の検査治具11aと、下面側に配置される第2の検査治具11bとが、上下に互いに対向するように配置されている。
【0088】
第1の検査治具11aは、その両側に中継基板29aおよび異方導電性シート26aを備えた回路基板側コネクタ21aと、中継ピンユニット31aを備えている。また、第1の検査治具11aは、その中継ピンユニット31a側に第3の異方導電性シート42aが配置されるコネクタ基板43aと、ベース板46aとを備えたテスター側コネクタ41aを備えている。
【0089】
第2の検査治具11bも、第1の検査治具11aと同様に構成され、その両側に中継基板29bおよび異方導電性シート26bを備えた回路基板側コネクタ21bと、中継ピンユニット31bを備えている。また、第2の検査治具11bは、その中継ピンユニット31b側に異方導電性シート42bが配置されるコネクタ基板43bと、ベース板46bとを備えたテスター側コネクタ41bを備えている。
【0090】
被検査回路基板1の上面には、被検査用の電極2が形成され、その下面にも被検査用の電極3が形成されており、これらは互いに電気的に接続されている。
回路基板側コネクタ21a,21bは、ピッチ変換用基板23a,23bと、その一方の面に配置される中継基板29a,29bと、他方の面に配置される第2の異方導電性シート26a,26bを有している。
【0091】
図3は、ピッチ変換用基板の被検査回路基板側の表面を示した図、図4は、その中継ピンユニット側の表面を示した図、図5は、ピッチ変換用基板、中継基板および被検査回路基板を積層した状態を示した断面図である。
【0092】
ピッチ変換用基板23の一方の表面、すなわち、被検査回路基板1側には、図3に示したように、被検査回路基板1の電極2、3に電気的に接続される複数の接続用電極25が形成されている。これらの接続電極25は、被検査回路基板1の被検査電極2,3のパターンに対応するように配置されている。
【0093】
一方、ピッチ変換用基板23の他方の表面、すなわち、被検査回路基板1と反対側には、図4に示したように、中継ピンユニット31の導電ピン32a、32bに電気的に接続される複数の端子電極24が形成されている。これらの端子電極24は、例えば、2.54mm、1.8mm、1.27mm、1.06mm、0.8mm、0.75mm、0.5mm、0.45mm、0.3mmまたは0.2mmである一定ピッチの格子点上に配置されており、そのピッチは中継ピンユニットの導電ピン32a、32bの配置ピッチと同一である。
【0094】
図3のそれぞれの接続電極25は、配線52および絶縁基板51の厚み方向に貫通する内部配線53(図5を参照)によって、対応する図4の端子電極24に電気的に接続されている。
【0095】
ピッチ変換用基板23の表面における絶縁部は、例えば、図5に示したように、絶縁基板51の表面に、それぞれの接続電極25が露出するように形成された絶縁層54で構成される。この絶縁層54の厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜60μmである。この厚みが過小である場合、表面粗さが小さい絶縁層を形成することが困難となることがある。一方、この厚みが過大である場合、接続電極25と中継基板29の導電路形成部との電気的接続が困難となることがある。
【0096】
ピッチ変換用基板の絶縁基板51を形成する材料としては、一般にプリント回路基板の基材として使用されるものを用いることができる。具体的には、例えばポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂などを挙げることができる。
【0097】
図5の絶縁層54、55の形成材料としては、薄膜状に成形可能な高分子材料を用いることができる。その具体例としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、これらの混合物、レジスト材料などを挙げることができる。
【0098】
ピッチ変換用基板23は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、平板状の絶縁基板の両面に金属薄層を積層した積層材料を用意し、この積層材料に対して、形成すべき端子電極のパターンに対応し、積層材料の厚み方向に貫通する複数の貫通孔を、数値制御型ドリリング装置、フォトエッチング処理、レーザー加工処理などにより形成する。
【0099】
次いで、積層材料に形成された貫通孔内に無電解メッキおよび電解メッキを施すことによって、基板両面の金属薄層に連結されたバイアホールを形成する。その後、金属薄層に対してフォトエッチング処理を施すことにより、絶縁基板の表面に配線パターンおよび接続電極を形成するとともに、反対側の表面に端子電極を形成する。
【0100】
そして、図5に示したように、絶縁基板51の表面に、それぞれの接続電極25が露出するように絶縁層54を形成するとともに、反対側の表面に、それぞれの端子電極24が露出するように絶縁層55を形成することにより、ピッチ変換用基板23が得られる。なお、絶縁層55の厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜60μmである。
【0101】
図6(a)は、中継基板の断面図、図6(b)は、その部分拡大断面図、図6(c)は、その部分上面図である。この中継基板29の基板73には、ピッチ変換用基板23の電極パターンに従って導電路形成部61が配置される多数の貫通孔が形成されている。この貫通孔内には、弾性高分子物質を埋設することにより絶縁部62が形成され、導電路形成部61が、この絶縁部76に囲まれるように貫通形成されている。絶縁部76は基板73の両側表面にも一体的に形成され、複数の貫通孔に連続している。
【0102】
導電路形成部61には、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されている。
これに対し、絶縁部62は、導電性粒子を含有しない弾性高分子物質により形成されている。導電路形成部61を構成する弾性高分子物質と絶縁部62を構成する弾性高分子物質とは、互いに同じ種類のものであっても異なる種類のものであってもよい。
【0103】
中継基板の基板73を形成する材料としては、具体的には、例えばガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂、等の複合樹脂材料、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、液晶ポリマー等の機械的強度の高い樹脂材料、ステンレス等の金属材料、フッ素樹脂繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリマー繊維等の有機繊維よりなるメッシュ、不織布、金属メッシュなどを挙げることができる。基板73の厚みは、形成材料にもよるが、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。
【0104】
この基板73に形成された多数の貫通孔のそれぞれに、接続用電極25に対応した導電路形成部61が配置される。例えば、4端子検査における電圧供給用電極27と電圧測定用電極28に対応した導電路形成部61の対が貫通孔のそれぞれに配置される。一つの貫通孔に配置される導電路形成部61の数は、特に限定されないが、好ましくは1〜4個であり、ピッチ変換用基板23の接続用電極25に対応して、基板73の各貫通孔毎に導電路形成部75の数が異なっていてもよい。
【0105】
図示の例では、中継基板29の両面において、導電路形成部61が絶縁部62の表面から突出した突出部61aが形成されている。このように突出部61aを形成することによって、導電路形成部61に対する加圧による圧縮の程度が絶縁部62に対するそれよりも大きくなるため、導電路形成部61には充分に抵抗値の低い導電路が確実に形成され、加圧力の変化に対する抵抗値の変化を小さくすることができる。その結果、中継基板29のそれぞれの導電路形成部61に作用する加圧力が不均一であっても、各導電路形成部61間における導電性のバラツキを防止することができる。
【0106】
導電路形成部61および絶縁部62を構成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料の具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0107】
中継基板29に耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点からシリコーンゴムを用いることが好ましい。シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105ポアズ以下で
あることが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、例えばジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
【0108】
また、シリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。)が10000〜40000であることが好ましい。また、耐熱性の点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。)が2以下であることが好ましい。
【0109】
導電路形成部61に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により導電性粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。
【0110】
このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
【0111】
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する方法としては、例えば化学メッキ、電解メッキなどを挙げることができる。
【0112】
導電性粒子として芯粒子の表面に導電性金属を被覆したものを用いる場合には、良好な導電性が得られる点から、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
【0113】
導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0114】
導電性粒子の粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。
導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
【0115】
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部61は、加圧変形が容易なものとなり、また、導電路形成部61において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
【0116】
導電性粒子の形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
【0117】
また、導電性粒子として、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性シートの耐久性が向上する。
【0118】
このような導電性粒子は、導電路形成部中に体積分率で好ましくは15〜45%、より好ましくは20〜40%となる割合で含有される。この割合が過小である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部61が得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部61は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部61として必要な弾性が得られないことがある。
【0119】
導電路形成部61の厚みは、好ましくは20〜250μm、より好ましくは30〜200μmである。この厚み過小である場合、厚み方向の加圧に対する吸収能力が低くなる。一方、この厚み過大である場合、良好な導電性が得られないことがある。
【0120】
導電路形成部61における突出部61aの突出高さは、導電路形成部61の厚みの5〜70%であることが好ましく、より好ましくは10〜60%である。
以下に、中継基板29の製造方法の一例を説明する。先ず、導電路形成部61を形成する。
1.導電性エラストマー層の形成
先ず、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が分散された導電性エラストマー用材料を調製する。そして、図7に示したように、導電路形成部を形成するための離型性支持板65上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層61Aを形成する。ここで、導電性エラストマー用材料層61A中には、図8に示したように、磁性を示す導電性粒子Pがランダムに分散された状態で含有されている。
【0121】
次いで、導電性エラストマー用材料層61Aに対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、図9に示したように、導電性エラストマー用材料層61A中に分散されていた導電性粒子Pを、導電性エラストマー用材料層61Aの厚み方向に並ぶよう配向させる。
【0122】
そして、導電性エラストマー用材料層61Aに対する磁場の作用を継続しながら、または、磁場の作用を停止した後に、導電性エラストマー用材料層61Aの硬化処理を行うことにより、図10に示したように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された導電性エラストマー層61Bが、離型性支持板65上に支持された状態で形成される。
【0123】
離型性支持板65を構成する材料としては、金属、セラミックス、樹脂およびこれらの複合材などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
【0124】
導電性エラストマー用材料層61Aの厚みは、形成すべき導電路形成部の厚みに応じて設定される。
導電性エラストマー用材料層61Aに磁場を作用させる手段としては、電磁石、永久磁石などを用いることができる。
【0125】
導電性エラストマー用材料層61Aに作用させる磁場の強度は、0.2〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層61Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層61Aを構成するエラストマー用材料の種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0126】
この導電性エラストマー層61Bから、以下のようにして、ピッチ変換用基板23の接続用電極25に対応したパターンに従って複数の導電路形成部61を形成する。(図11〜図14)
2.導電路形成部61の形成
図11に示したように、離型性支持板65上に支持された導電性エラストマー層61Bの表面に、メッキ電極用の金属薄層66を形成する。
【0127】
次いで、図12に示したように、この金属薄層66上に、フォトリソグラフィーの手法により、形成すべき導電路形成部のパターン、すなわち接続すべき電極のパターンに対応する所定のパターンに従って、複数の開口67aが形成されたレジスト層67を形成する。
【0128】
その後、図13、図15(a)および図16(a)に示したように、金属薄層66をメッキ電極として、金属薄層66におけるレジスト層67の開口67aから露出した部分に電解メッキ処理を施すことにより、レジスト層67の開口67a内に金属マスク68を形成する。
【0129】
次に、導電性エラストマー層61Bと、金属薄層66と、レジスト層67に対してレーザー加工を施すことにより、図15(b)および図16(b)に示したように、金属マスク68の周辺のレジスト層67と、金属薄層66と、導電性エラストマー層61Bとを除去する。これにより、所定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部61が離型性支持板65上に支持された状態で形成される。
【0130】
その後、導電路形成部61以外の導電性エラストマー層61Bを剥離除去することにより、図14、図15(c)および図16(c)に示したように、離型性支持板65上に導電路形成部61のみを残す。そして、導電路形成部61の表面から残存する金属薄層66と金属マスク68を剥離する。
【0131】
これにより、所定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部61が、離型性支持板65上に支持された状態で形成される。
導電性エラストマー層61Bの表面に金属薄層66を形成する方法としては、無電解メッキ法、スパッタ法などを利用することができる。
【0132】
金属薄層66を構成する材料としては、銅、金、アルミニウム、ロジウムなどを用いることができる。
金属薄層66の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、レーザー加工によって除去することが困難となることがある。
【0133】
レジスト層67の厚みは、形成すべき金属マスク68の厚みに応じて設定される。
金属マスク68を構成する材料としては、銅、鉄、アルミウニム、金、ロジウムなどを用いることができる。
【0134】
金属マスク68の厚みは、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。この厚みが過小である場合には、レーザーに対するマスクとして不適なものとなることがある。
【0135】
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーまたは紫外線レーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部61を確実に形成することができる。
第1の異方導電性シート22における導電路形成部61は、上述した方法の他に、以下の方法によって形成することができる。
1.複合フィルムの形成
図17に示したように、メッキ電極用の金属薄層66上に、フォトリソグラフィーの手法により、形成すべき導電路形成部のパターン、すなわち接続すべき電極のパターンに対応する所定のパターンに従って複数の開口67aが形成されたレジスト層67を形成する。
【0136】
その後、図18に示したように、金属薄層66をメッキ電極として、金属薄層66におけるレジスト層67の開口67aから露出した部分に電解メッキ処理を施すことにより、レジスト層67の開口67a内に金属マスク68を形成する。これにより、複合フィルム69が得られる。
【0137】
ここで、金属薄層66としては、金属箔、金属板などを用いることができる。また、樹脂フィルムに一体化された金属箔や、無電解メッキ法、スパッタ法などにより樹脂フィルム上に形成した金属薄層などを用いることができる。
【0138】
金属薄層66の材料としては、銅、金、アルミニウム、ロジウムなどを用いることができる。
金属薄層66の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、レーザー加工によって除去することが困難となることがある。
【0139】
レジスト層67の厚みは、形成すべき金属マスク68の厚みに応じて設定される。
金属マスク68を構成する材料としては、磁性を示す金属が使用される。その具体例としては、ニッケル、コバルト、およびこれらの合金などを挙げることができる。
【0140】
金属マスク68の厚みは、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。この厚みが過小である場合には、レーザーに対するマスクとして不適なものとなることがある。
2.導電性エラストマー層の形成
先ず、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が分散された導電性エラストマー用材料を調製する。そして、図19に示したように、導電路形成部を形成するための離型性支持板65上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層61Aを形成する。ここで、導電性エラストマー用材料層61A中は、磁性を示す導電性粒子Pがランダムに分散された状態で含有されている。
【0141】
次いで、複合フィルム69を、その金属薄層66が形成されていない側の面が導電性エラストマー用材料層61Aに接するようにして積層する。
その後、導電性エラストマー用材料層61Aに対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、図21に示したように、分散されていた導電性粒子Pを、磁性を示す金属からなる金属マスク68の部分に集中させると共に、厚み方向に並ぶように配向させる。磁性を示す金属からなる金属マスク68の作用により、金属マスク68の領域における磁場の強度が強くなるので、導電性粒子Pが金属マスク68の部分に集中しつつ配向がなされる。これにより、導電性エラストマー用材料層61Aにおいて、金属マスク68の部分における導電性粒子Pの密度が高くなり、金属マスク68が形成されていない部分では導電性粒子の密度が低くなる。
【0142】
そして、導電性エラストマー用材料層61Aに対する磁場の作用を継続しながら、または、磁場の作用を停止した後に、導電性エラストマー用材料層61Aの硬化処理を行うことにより、図22に示したように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された導電性エラストマー層61Bが、離型性支持板65上に支持された状態で形成される。
【0143】
離型性支持板65を構成する材料、導電性エラストマー用材料を塗布する方法、導電性エラストマー用材料層61Aの厚み、導電性エラストマー用材料層61Aに磁場を作用させるときの条件等は、前述した導電路形成部の形成方法において説明したとおりである。
【0144】
その後、図23に示したように、この導電性エラストマー層61Bの表面に一体化された金属薄層66を除去する。金属薄層66の除去は、エッチング、機械的剥離、機械的研磨等により行うことができる。
2.導電路形成部61の形成
この導電性エラストマー層61Bから、前述した方法に準じて、ピッチ変換用基板23の接続用電極25に対応したパターンに従って複数の導電路形成部61を形成する。すな
わち、導電性エラストマー層61Bとレジスト層67に対してレーザー加工を施すことにより、金属マスク68の周辺のレジスト層67と導電性エラストマー層61Bとを除去する。これにより、所定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部61が離型性支持板65上に支持された状態で形成される。
【0145】
その後、導電路形成部61以外の導電性エラストマー層61Bを剥離除去することにより、図24に示したように、離型性支持板65上に導電路形成部61のみを残す。そして、導電路形成部61の表面から残存する金属マスク68を剥離する。
【0146】
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーまたは紫外線レーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部61を確実に形成することができる。
以上のようにして得られた、離型性支持板65上に形成された複数の導電路形成部61を用いて、以下の工程によって中継基板29を得る。先ず、図25(a)に示したように、離型性支持板70を用意し、この離型性支持板70の表面に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状の絶縁部用材料層62Aを印刷法などにより形成する。
【0147】
次いで、図25(b)に示したように、絶縁部用材料層62Aの上に、貫通孔を有する基板73を載置する。そして基板73の上面側から、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料を、印刷法などによって基板73の貫通孔75内に充填する。さらに、エラストマー用材料を基板73の表面に塗布することにより、図25(c)に示したように基板73の両側表面および貫通孔75に一体に形成された絶縁部用材料層62Aを得る。
【0148】
次いで、図26(a)に示したように、複数の導電路形成部61が形成された離型性支持板65を、基板73が載置され、その両側表面および貫通孔75内に絶縁部用材料層62Aが形成された離型性支持板70上に重ね合わせることにより、導電路形成部61の各々を離型性支持板70に接触させる。これにより、導電路形成部61の周囲に絶縁部用材料層62Aが形成された状態となる。
【0149】
次いで図26(b)に示したように、離型性支持板65を加圧することにより導電路形成部61を圧縮し、絶縁部用材料層62Aの硬化処理を行う。硬化処理後、離型性支持板65および離型性支持板70による圧力を開放し、離型性支持板65および離型性支持板70から離型させることにより、導電路形成部61の両端部を絶縁部62から突出させる。これにより、図26(c)に示したように、隣接する一対の導電路形成部61,61を相互に絶縁する絶縁部62が、導電路形成部61と一体的に形成され、導電路形成部61が絶縁部62の表面より突出した中継基板29が得られる。
【0150】
なお、図26(d)に示したように、導電路形成部61の先端部に、金属膜64を形成してもよい。この金属膜64は、同図のように導電路形成部61における両側の先端部に形成してもよく、あるいは導電路形成部61におけるいずれか一方の片側の先端部に形成してもよい。このような金属膜は、例えば金属メッキによる方法、スパッタ法などによる蒸着、金属プレートを接着剤によって導電路形成部61の先端部に貼付する方法など、公知である各種の方法で形成できる。
【0151】
離型性支持板70を構成する材料としては、導電路形成部61を形成するための離型性支持板65と同様のものを用いることができる。
絶縁部用材料層62Aに用いられるエラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを挙げることができる。
【0152】
絶縁部用材料層62Aの厚みは、形成すべき絶縁部62の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層62A硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層62Aを構成するエラストマー材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0153】
基板73の貫通孔は、数値制御型ドリリング装置、フォトエッチング処理、レーザー加工処理などにより形成することができる。
以上に説明した中継基板の製造方法によれば、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散された導電性エラストマー層61Aに対してレーザー加工を施してその一部を除去することによって目的とする形状の導電路形成部61を形成している。
【0154】
従って、所要の量の導電性粒子Pが充填され、所期の導電性を有する導電路形成部61が形成された中継基板29を確実に得ることができる。
また、磁性を示す金属からなる金属マスクを用いて導電性エラストマー用材料層61Aに対して磁場配向を行う方法を適用することにより、金属マスクが形成されていない部分の導電性粒子の密度が小さくなる。そのため、レーザー加工による導電路形成部の形成が容易になる。さらに、厚みの大きい導電性エラストマー層61Bのレーザー加工が容易となるため、厚みの大きい導電路形成部61を確実に得ることができる。
【0155】
また、ピッチ変換用基板23の接続用電極25に対応する所定のパターンに従って離型性支持板65上に配置された複数の導電路形成部61を形成し、これらの導電路形成部61の間に、未硬化状態のエラストマー用材料層62Aを形成して硬化処理することにより、絶縁部62を形成している。
【0156】
これにより、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部62が形成された第1の異方導電性シート22を確実に得ることができる。
しかも、従来の異方導電性シートを製造するために使用されていた、多数の強磁性体部が配列された高価な金型が不要である。
【0157】
従って、このような方法によって得られる中継基板29によれば、検査対象である被検査回路基板の検査電極の配置パターンに関わらず、被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0158】
また、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができ、さらに高い耐久性が得られる。
【0159】
図5は、ピッチ変換用基板、中継基板および被検査回路基板を積層した状態を示した断面図である。同図では、4端子検査を行う場合の例を示している。図示したように、被検査回路基板1とピッチ変換用基板23との間に中継基板29が配置されている。
【0160】
ピッチ変換用基板23の表面には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の電流供給用電極27および電圧測定用の電圧測定用電極28からなる接続用電極25が形成されている。
【0161】
ピッチ変換用基板23の電流供給用電極27および電圧測定用電極28に対応して、中継基板29の1つの貫通孔内には、一対の導電路形成部61が形成されている。この一対の導電路形成部61,61は、その一端側で電流供給用電極27および電圧測定用電極28と電気的に接続され、他端側で被検査回路基板1の被検査電極2と電気的に接続され、この状態で電気検査が行われる。
【0162】
中継基板29の片面側もしくは両面側には、分散型異方導電性シートを配置するようにしてもよい。本発明では中継基板29を備えているので、分解能を損なわない薄い分散型異方導電性シートを用いても、被検査回路基板1の電極による局部的な応力集中が充分に緩和される。図27は、分散型異方導電性シートを配置した例を示した断面図であり、図27(a)では、ピッチ変換用基板23と中継基板29との間に分散型異方導電性シートである第1の異方導電性シート22を配置し、ピッチ変換用基板23の電流供給用電極27および電圧測定用電極28と、中継基板29の一対の導電路形成部61,61とを、第1の異方導電性シート22を介して電気的に接続している。
【0163】
図27(b)では、中継基板29の両面側に分散型異方導電性シートである第1の異方導電性シート22,22を配置し、ピッチ変換用基板23の電流供給用電極27および電圧測定用電極28と、中継基板29の一対の導電路形成部61,61とを、第1の異方導電性シート22を介して電気的に接続するとともに、被検査回路基板1の被検査電極2と、中継基板29の一対の導電路形成部61,61とを、第1の異方導電性シート22を介して電気的に接続している。
【0164】
回路基板側コネクタ21を構成し、中継基板29に隣接して配置される第1の異方導電性シート22は、図28に示したように、絶縁性の弾性高分子物質からなるシート基材63中に多数の導電性粒子Pが面方向に分散されるとともに厚み方向に配列した状態で含有されている。
【0165】
第1の異方導電性シート22の厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。この最小厚みが20μm未満である場合には、第1の異方導電性シート22の機械的強度が低くなり易く、必要な耐久性が得られないことがある。一方、この第1の異方導電性シート22の厚みが200μmを超える場合には、厚み方向の電気抵抗が大きくなり易く、また、接続すべき電極のピッチが小さい場合には、加圧により形成される導電路間において所要の絶縁性が得られず、被検査電極間で電気的な短絡が生じて検査対象回路基板の電気的検査が困難となることがある。
【0166】
第1の異方導電性シート22のシート基材63を構成する弾性高分子物質は、そのデュロメータ硬さが好ましくは30〜90であり、より好ましくは35〜80、さらに好ましくは40〜70である。なお、ここで「デュロメータ硬さ」とは、JIS K6253の
デュロメータ硬さ試験に基づいてタイプAデュロメータによって測定されたものをいう。
【0167】
弾性高分子物質のデュロメータ硬さが30未満である場合、厚み方向に押圧された際に、異方導電性シートの圧縮、変形が大きく、大きな永久歪みが生じるため、異方導電性シートが早期に劣化して検査使用が困難となり耐久性が低くなり易い。
【0168】
一方、弾性高分子物質のデュロメータ硬さが90を超える場合、異方導電性シートが厚み方向に押圧された際に、厚み方向の変形量が不十分となるため、良好な接続信頼性が得られず、接続不良が発生し易くなる。
【0169】
第1の異方導電性シート22の基材を構成する弾性高分子物質としては、上記のデュロメータ硬さを示すものであれば特に限定されないが、形成加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0170】
第1の異方導電性シート22は、その厚みW1(μm)と、磁性導電性粒子の数平均粒
子径D1(μm)との比率W1/D1が1.1〜10であることが好ましい。ここで、「磁
性導電性粒子の数平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。比率W1/D1が1.1未満である場合、異方導電性シートの厚みに対して磁性導電性粒
子の直径が同等あるいはそれよりも大きくなるため、この異方導電性シートはその弾性が低くなり、このため、この異方導電性シートを被検査回路基板側に配置する際に被検査回路基板が傷つきやすくなる。
【0171】
一方、比率W1/D1が10を超える場合には、厚み方向に多数の導電性粒子が配列して連鎖が形成されるので、多数の導電性粒子同士の接点が存在し、電気的抵抗値が高くなり易い。
【0172】
磁性導電性粒子としては、異方導電性シートを形成するためのシート成形材料中において、磁性導電性粒子を磁場の作用によって容易に移動させることができる点から、その飽和磁化が好ましくは0.1Wb/m2 以上、より好ましくは0.3Wb/m2 以上、特に好ましくは0.5Wb/m2 以上のものが使用される。
【0173】
飽和磁化が0.1Wb/m2 以上であることにより、その製造工程において磁性導電性粒子を磁場の作用によって確実に移動させて所望の配向状態とすることができるため、異方導電性シートを使用する際に磁性導電性粒子の連鎖を形成することができる。
【0174】
磁性導電性粒子の具体例としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの磁性を示す金属の粒子もしくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、あるいはこれらの粒子を芯粒子とし、この芯粒子の表面に高導電性金属を被覆した複合粒子、あるいは非磁性金属粒子もしくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、この芯粒子の表面に、高導電性金属のメッキを施した複合粒子、あるいは芯粒子に、フェライト、金属間化合物などの導電性磁性体および高導電性金属の両方を被覆した複合粒子などが挙げられる。
【0175】
ここで、「高導電性金属」とは、0℃における導電率が5×106 Ω-1-1以上の金属をいう。このような高導電性金属としては、具体的には、金、銀、ロジウム、白金、クロムなどを用いることができ、これらの中では、化学的に安定でかつ高い導電率を有する点で金を用いることが好ましい。
【0176】
上記の磁性導電性粒子の中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの高導電性金属のメッキを施した複合粒子が好ましい。
芯粒子の表面に高導電性金属を被覆する手段として、例えば、無電解メッキ法を用いることができる。
【0177】
磁性導電性粒子は、その数平均粒子径の変動係数が50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。ここで、「数平均粒子径の変動係数」とは、式:(σ/Dn)×100(但し、σは、粒子径の標準偏差の値を示し、Dnは、粒子の数平均粒子径を示す。)によって求められるものである。
【0178】
磁性導電性粒子の数平均粒子径の変動係数が50%以下であることにより、粒子径の不揃いの程度が小さくなるため、得られる異方導電性シートにおける部分的な導電性のバラツキを小さくすることができる。
【0179】
このような磁性導電性粒子は、金属材料を常法により粒子化し、あるいは市販の金属粒子を用意し、この粒子に対して分級処理を行うことにより得ることができる。粒子の分級処理は、例えば、空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって行うことができる。分級処理の具体的な条件は、目的とする導電性金属粒子の数平均粒子径、分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
【0180】
磁性導電性粒子の具体的な形状は、特に限定されないが、例えば複数の球形の一次粒子が一体的に連結された二次粒子が好ましく用いられる。
磁性導電性粒子として、芯粒子の表面に高導電性金属が被覆された複合粒子(導電性複合金属粒子)を用いる場合、良好な導電性が得られる点から、導電性複合金属粒子の表面における高導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する高導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
【0181】
また、高導電性金属の被覆量は、芯粒子の重量の2.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜45質量%、さらに好ましくは3.5〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
【0182】
このような、絶縁性の弾性高分子物質中に多数の導電性粒子が面方向に分散し厚み方向に配列した状態で含有された異方導電性シートは、例えば特開2003−77560号公報に示されるように、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質用材料中に、磁性を示す導電性粒子が含有された流動性の成形材料を調製し、この成形材料からなる成形材料層を、当該成形材料層における一面に接する一面側成形部材と、当該成形材料層における他面に接する他面側成形部材との間に形成し、この成形材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させると共に、当該成形材料層を硬化処理する方法等により製造することができる。
【0183】
ピッチ変換用基板23の中継ピンユニット31側に配置される第2の異方導電性シート26は、図29に示したように、絶縁性の弾性高分子材料中に多数の導電性粒子Pが厚み方向に配列して形成された導電路形成部71と、それぞれの導電路形成部71を離間する絶縁部72から構成されている。このように、導電性粒子Pは導電路形成部71中にのみ、面方向に不均一に分散されている。
【0184】
導電路形成部71の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.2〜1.5mmである。この厚みが過小である場合、厚み方向の加圧に対する吸収能力が低く、検査時において検査治具による加圧力の吸収が小さくなり、回路基板側コネクタ21への衝撃を緩和する効果が減少する。このため、中継基板29における弾性部の劣化を抑制しにくくなり、結果として被検査回路基板1の繰り返し検査時における中継基板29の交換回数が増加して、検査の効率が低下する。一方、この厚みが過大である場合、厚み方向の電気抵抗が大きくなり易く電気検査が困難となることがある。
【0185】
絶縁部72の厚みは、導電路形成部71の厚みと実質的に同一か、それよりも小さいことが好ましい。図29に示したように、絶縁部72の厚みを導電路形成部71の厚みよりも小さくして導電路形成部71が絶縁部72より突出した突出部71aを形成することにより、厚み方向の加圧に対して導電路形成部72の変形が容易になり、加圧力の吸収能力が増大するため、検査時において検査治具の加圧力を吸収し、回路基板側コネクタへ21の衝撃を緩和することができる。
【0186】
第2の異方導電性シート26を構成する導電性粒子Pに、磁性導電性粒子を使用する場合、その数平均粒子径は好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmである。ここで、「磁性導電性粒子の数平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。磁性導電性粒子の数平均粒子径が5μm以上であると、異方導電性シートの導電路形成部の加圧変形が容易になる。また、その製造工程において磁場配向処理によって磁性導電性粒子を配向させる場合、磁性導電性粒子の配向が容易である。磁性導電性粒子の数平均粒子径が200μm以下であると
、異方導電性シートの導電路形成部71の弾性が良好で加圧変形が容易になる。
【0187】
導電路形成部71の厚みW2(μm)と、磁性導電性粒子の数平均粒子径D2(μm)との比率W2/D2は1.1〜10であることが好ましい。
比率W2/D2が1.1未満である場合、導電路形成部71の厚みに対して磁性導電性粒子の直径が同等あるいはそれよりも大きくなるため、導電路形成部71の弾性が低くなり、その厚み方向の加圧力の吸収能力が小さくなる。検査時における検査治具の加圧圧力を吸収が小さくなり、回路基板側コネクタ21への衝撃を緩和する効果が減少するため、中継基板29における弾性部の劣化を抑制しにくくなり、結果として、被検査回路基板1の繰り返し検査時において中継基板29の交換回数が増加して、検査の効率が低下し易くなる。
【0188】
一方、比率W2/D2が10を超える場合、導電路形成部71に多数の導電性粒子が配列して連鎖を形成することとなり、導電性粒子同士の接点が多数存在することになるため、電気的抵抗値が高くなり易い。
【0189】
導電路形成部71の基材である弾性高分子物質は、そのタイプAデュロメータによって測定されたデュロメータ硬さが好ましくは15〜60、より好ましくは20〜50、さらに好ましくは25〜45である。
【0190】
弾性高分子のデュロメータ硬さが15よりも小さい場合、厚み方向に押圧された際のシートの圧縮、変形が大きく、大きな永久歪が生じるためシート形状が早期に変形して検査時の電気的接続が困難となり易い。弾性高分子のデュロメータ硬さが60よりも大きい場合、厚み方向に押圧された際の変形が小さくなるため、その厚み方向の加圧力の吸収能力が小さくなる。このため、中継基板29における弾性部の劣化を抑制しにくくなり、結果として、被検査回路基板1の繰り返し検査時において中継基板29の交換回数が増加して、検査の効率が低下しやすくなる。
【0191】
導電路形成部71の基材となる弾性高分子としては、上記のデュロメータ硬さを示すものであれば特に限定されないが、加工性および電気特性の点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0192】
第2の異方導電性シート26の絶縁部72は、実質的に導電性粒子を含有しない絶縁材料により形成される。絶縁材料としては、例えば、絶縁性の高分子材料、無機材料、表面を絶縁化処理した金属材料などを用いることができるが、導電路形成部に使用した弾性高分子と同一の材料を用いると生産が容易である。絶縁部の材料として弾性高分子を使用する場合、デュロメータ硬さが上記の範囲であるものを使用することが好ましい。
【0193】
磁性導電性粒子としては、前述した中継基板29の導電路形成部に用いられる導電性粒子を用いることができる。
第2の異方導電性シート26は、例えば、以下のようにして製造することができる。先ず、それぞれ全体の形状が略平板状であって、互いに対応する上型と下型とよりなり、上型と下型との間の成形空間内に充填された材料層に磁場を作用させながら材料層を加熱硬化することができる構成の異方導電性シート成形用金型を用意する。
【0194】
この異方導電性シート成形用金型は、材料層に磁場を作用させて適正な位置に導電性を有する部分を形成するために、上型および下型の両方は、鉄、ニッケルなどの強磁性体からなる基板上に、金型内の磁場に強度分布を生じさせるための鉄、ニッケルなどよりなる強磁性体部分と、銅などの非磁性金属若しくは樹脂よりなる非磁性体部分とが互いに隣接するよう交互に配置されたモザイク状の層を有する構成のものであり、強磁性体部分は、
形成すべき導電路形成部に対応するパターンに従って配列されている。
【0195】
ここで、上型の成形面は平坦であり、下型の成形面は形成すべき異方導電性シートの導電路形成部に対応してわずかに凹凸を有するものである。
そして、上記の異方導電性シート成形用金型を用いて、以下のようにして異方導電性シートが製造される。先ず、異方導電性シート成形用金型の成形空間内に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる成形材料を注入して成形材料層を形成する。
【0196】
次に、上型および下型の各々における強磁性体部分および非磁性体部分を利用し、形成された成形材料層に対してその厚み方向に強度分布を有する磁場を作用させることにより、その磁力の作用によって、導電性粒子を、上型における強磁性体部分と、その直下に位置する下型における強磁性体部分との間に集合させ、更には導電性粒子を厚み方向に並ぶように配向させる。そして、その状態で成形材料層を硬化処理することにより、複数の柱状の導電路形成部が、絶縁部によって互い絶縁されてなる構成を有する異方導電性シートが製造される。
【0197】
一方、テスター側コネクタ41a,41bは、図1に示したように、第3の異方導電性シート42a,42bと、コネクタ基板43a,43bと、ベース板46a,46bと、を備えている。第3の異方導電性シート42a,42bには、前述した第2の異方導電性シート26と同様のものが使用される。すなわち、図29に示したような、絶縁性の弾性高分子材料中に多数の導電性粒子が厚み方向に配列して形成された導電路形成部と、それぞれの導電路形成部を離間する絶縁部とから構成された異方導電性シートが使用される。
【0198】
コネクタ基板43a,43bは、絶縁基板を備えており、その表面の中継ピンユニット31側に、図1および図2に示したようにピン側電極45a,45bが形成されている。
これらのピン側電極45は、例えば、2.54mm、1.8mm、1.27mm、1.06mm、0.8mm、0.75mm、0.5mm、0.45mm、0.3mmまたは0.2mmの一定ピッチの格子点上に配置されており、その配置ピッチは中継ピンユニット31の導電ピン32の配置ピッチと同一である。
【0199】
それぞれのピン側電極45は、絶縁基板の表面に形成された配線パターンおよびその内部に形成された内部配線によって、テスター側電極44a,44bへ電気的に接続されている。
【0200】
中継ピンユニット31は、図1、図2、図30(図30は、説明の便宜上、中継ピンユニット31aについて示している)、および図36〜図39に示したように、上下方向を向くように並列に、所定のピッチで設けられた多数の導電ピン32a,32bを備えている。また、中継ピンユニット31は、これらの導電ピン32a,32bの両端側に設けられ、導電ピン32a,32bを挿通支持する被検査回路基板1側に配置された第1の絶縁板34a,34bと、被検査回路基板1側とは反対側に配置された第2の絶縁板35a,35bの2枚の絶縁板を備えている。
【0201】
導電ピン32は、例えば、図31に示したように、直径の大きい中央部82と、これよりも直径の小さい端部81a,81bとからなる。第1の絶縁板34と第2の絶縁板35には、導電ピン32の端部81が挿入される貫通孔83が形成されている。そして、貫通孔83の直径が、導電ピン32の端部81a,81bの直径よりも大きく、且つ中央部82の直径よりも小さく形成され、これにより導電ピン32が脱落しないように保持されている。
【0202】
第1の絶縁板34および第2の絶縁板35は、図1の第1の支持ピン33および第2の支持ピン37によって、これらの間隔が導電ピン32の中央部82の長さよりも長くなるように固定され、これにより導電ピン32が上下へ移動可能に保持されている。導電ピン32の端部81の長さは、絶縁板34の厚みよりも長くなるように形成され、これにより、少なくとも一方の絶縁板34から導電ピン32が突出するようになっている。
【0203】
中継ピンユニットは、多数の導電ピンが、例えば、2.54mm、1.8mm、1.27mm、1.06mm、0.8mm、0.75mm、0.5mm、0.45mm、0.3mmまたは0.2mmのピッチの格子点上に配置されている。
【0204】
中継ピンユニット31の導電ピン32の配置ピッチと、ピッチ変換用基板23に設けられた端子電極24の配置ピッチとを同一とすることにより、導電ピン32を介してピッチ変換用基板23がテスター側に電気的に接続されるようになっている。
【0205】
また、図1および図30に示したように、中継ピンユニット31には、第1の絶縁板34a,34bと、第2の絶縁板35a,35bとの間に、中間保持板36a、36bが配置されている。
【0206】
そして、第1の絶縁板34a,34bと中間保持板36a,36bとの間には、第1の支持ピン33a,33bが配置され、これによって、第1の絶縁板34a,34bと中間保持板36a,36bとの間を固定している。
【0207】
同様に、第2の絶縁板35a,35bと中間保持板36a,36bとの間には、第2の支持ピン37a,37bが配置され、これによって、第2の絶縁板35a,35bと中間保持板36a,36bとの間を固定している。
【0208】
第1の支持ピン33と、第2の支持ピン37の材質としては、例えば、真鍮、ステンレスなどの金属が使用される。
なお、図30における第1の絶縁板34と中間保持板36との間の距離L1と、第2の絶縁板35と中間保持板36との間の距離L2としては、特に限定されるものではないが、後述するように、第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35の弾性による、被検査回路基板1の被検査電極2,3の高さバラツキの吸収性を考慮すれば、2mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上である。
【0209】
そして、図30に示したように、第1の支持ピン33の中間保持板36に対する第1の当接支持位置38Aと、第2の支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置38Bとは、検査装置を中間保持板の厚さ方向に(図1において上方から下方に向かって)投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されている。
【0210】
この場合、異なる位置としては、特に限定されるものではないが、第1の当接支持位置38Aと、第2の当接支持位置38Bは、図35に示したように、中間保持板投影面A上において格子上に形成されていることが好ましい。
【0211】
具体的には、図35に示したように、中間保持板投影面A上において、隣接する4個の第1の当接支持位置38Aからなる単位格子領域R1に、1個の第2の当接支持位置38Bが配置される。また、中間保持板投影面Aにおいて、隣接する4個の第2の当接支持位置38Bからなる単位格子領域R2に、1個の第1の当接支持位置38Aが配置される。なお、図35では、第1の当接支持位置38Aを黒丸、第2の当接支持位置群38Bを白丸で示している。
【0212】
なお、ここでは、第1の当接支持位置38Aの単位格子領域R1の対角線Q1の中央に、1個の第2の当接支持位置38Bを配置するとともに、第2の当接支持位置38Bの単位格子領域R2の対角線Q2の中央に、1個の第1の当接支持位置38Aを配置している。しかしながら、これらの相対的な位置は、特に限定されるものではなく、上記のように、検査装置を中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されていればよい。すなわち、格子状に配置されない場合には、このような相対位置関係に拘束されるものではなく、上記のように、検査装置を中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されていればよい。
【0213】
また、この場合、互いに隣接する第1の当接支持位置38Aの間の離間距離、第2の当接支持位置38Bの間の離間距離は、好ましくは10〜100mm、より好ましくは12〜70mm、特に好ましくは15〜50mmである。
【0214】
第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35の形成材料には、可撓性を有するものが用いられる。これらの板の可撓性は、第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35の両端部を、それぞれ10cm間隔で支持した状態で水平に配置した場合において、上方から50kgfの圧力で加圧することによって生ずる撓みが、これらの絶縁板の幅の0.02%以下であり、かつ上方から200kgfの圧力で加圧することによっても破壊および永久変形が生じない程度であることが好ましい。
【0215】
第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35の材料としては、具体的には、固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性材料、例えばポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポチエチレンテレフタレート樹脂、シンジオタクチック・ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエチルケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の機械的強度の高い樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強フェノール樹脂、ガラス繊維補強型フッ素樹脂等のガラス繊維型複合樹脂材料、カーボン繊維補強型エポキシ樹脂、カーボン繊維補強型ポリエステル樹脂、カーボン繊維補強型ポリイミド樹脂、カーボン繊維補強型フェノール樹脂、カーボン繊維補強型フッ素樹脂等のカーボン繊維型複合樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等にシリカ、アルミナ、ボロンナイトライド等の無機材料を充填した複合樹脂材料、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等にメッシュを含有した複合樹脂材料などが挙げられる。また、これらの材料からなる板材を複数積層して構成された複合板材等も用いることができる。
【0216】
第1の絶縁板34、中間保持板36、および第2の絶縁板35の厚みは、第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35を構成する材料の種類に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜10mmである。例えば、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂からなり、その厚みが2〜5mmであるものを使用することができる。
【0217】
第1の絶縁板34および第2の絶縁板35に導電ピン32を移動可能に支持する方法としては、図30に示した方法の他に、図32〜図34に示した方法を挙げることができる。この例では、導電ピン32として図示したように、この例では第1の絶縁板34と第2の絶縁板35との間に、屈曲保持板84が設けられている。
【0218】
また、導電ピン32として、円柱形状である金属ピンを用いている。
図32に示したように、屈曲保持板84には導電ピン32が挿通される貫通孔85が形成されている。導電ピン32は、第1の絶縁板34に形成された貫通孔83aおよび第2の絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84に形成された貫通孔85とを
支点として、互いに逆方向に横方向へ押圧されて、屈曲保持板84の貫通孔85の位置で屈曲され、これにより導電ピン32が軸方向へ移動可能に支持されている。
【0219】
なお、中間保持板36には、導電ピン32と接触しない程度に径を大きくした貫通孔86が形成され、この貫通孔86に導電ピン32が挿通されている。
導電ピン32は、図33(a)〜図33(c)に示した手順で第1の絶縁板34および第2の絶縁板35に支持される。図33(a)に示したように、第1の絶縁板34の貫通孔83aおよび第2の絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84の貫通孔85とが軸方向に位置合わせされた位置に屈曲保持板84を配置する。
【0220】
次に、図33(b)に示したように、導電ピン32を、第1の絶縁板34の貫通孔83aから屈曲保持板84の貫通孔85を通して第2の絶縁板35の貫通孔83bまで挿入する。
【0221】
次に、図33(c)に示したように、屈曲保持板84を、導電ピン32の軸方向と垂直な横方向(水平方向)に移動し、適宜の手段によって屈曲保持板84の位置を固定する。これによって、導電ピン32は、第1の絶縁板34の貫通孔83aおよび第2の絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84の貫通孔85とを支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて、屈曲保持板84の貫通孔85の位置で屈曲され、これにより導電ピン32が軸方向に移動可能に支持される。
【0222】
このように構成することで、導電ピン32が、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35との間に、軸方向へ移動可能に、且つ脱落しないように保持することができるとともに、導電ピン32として円柱状である簡易な構造のピンを使用できるため、導電ピン32およびそれを保持する部材の全体としてのコストを抑えることができる。
【0223】
なお、屈曲保持板84が配置される位置は、第1の絶縁板34と中間保持板36との間であってもよい。
このように構成された本実施形態の検査装置では、図2に示したように、被検査回路基板1の電極2および電極3が、中継基板29a,29b、ピッチ変換用基板23a,23b、第2の異方導電性シート26a,26b、導電ピン32a,32b、第3の異方導電性シート42a,42b、コネクタ基板43a,43bを介して、最外側に配置されたベース板46a,46bをテスターの加圧機構により規定の圧力で押圧することによってテスター(図示せず)に電気的に接続され、被検査回路基板1の電極間における電気抵抗測定などの電気検査が行われる。
【0224】
測定時に被検査回路基板に対して上側および下側の第1の検査治具11a,第2の検査治具11bから押圧する圧力は、例えば、100〜250kgfである。
以下、図36〜図39を参照しながら(便宜的に、第2の検査治具11bのみ示す)、第1の検査治具11aと第2の検査治具11bとの間で被検査回路基板1の両面を挟圧した際における圧力吸収作用および圧力分散作用について説明する。
【0225】
図37に示したように、第1の検査治具11aと第2の検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1の両面を挟圧して電気検査を行う際に、加圧の初期段階では、中継ピンユニット31の導電ピン32の厚み方向への移動と、中継基板29の弾性部と、第2の異方導電性シート26と、第3の異方導電性シート42のゴム弾性圧縮により圧力を吸収して、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキをある程度吸収することができる。
【0226】
そして、第1の支持ピンと中間保持板との第1の当接支持位置と、前記第2の支持ピン
と中間保持板との第2の当接支持位置とが、中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されているので、図38の矢印で示したように、上下方向に力が作用し、図39に示したように、第1の検査治具11aと第2の検査治具11bの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、中継基板29の弾性部と、第2の異方導電性シート26と、第3の異方導電性シート42のゴム弾性圧縮に加えて、中継ピンユニット31の第1の絶縁板34と、第2の絶縁板35と、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35の間に配置された中間保持板36のバネ弾性により、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキ、例えば、ハンダボール電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて、局部的な応力集中を回避することができる。
【0227】
すなわち、図38および図39に示したように、第1の支持ピン33と中間保持板36に対する第1の当接支持位置38Aを中心として、中間保持板36が、第2の絶縁板35の方向に撓むとともに(図39の一点鎖線で囲んだEの部分参照)、第2の支持ピン37と中間保持板36との第2の当接支持位置38Bを中心として、中間保持板36が、第1の絶縁板34の方向に撓むことになる(図39の一点鎖線で囲んだDの部分参照)。なお、ここで「撓む」および「撓み方向」とは中間保持板36が凸状になる方向に突出するように撓むことおよびその突出方向を言う。
【0228】
このように、中間保持板36が、第1の当接支持位置38A、第2の当接支持位置38Bを中心として、相互に反対方向に撓むので、第1の検査治具11aと第2の検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、中間保持板36のバネ弾性力が発揮されることになる。
【0229】
また、図39の一点鎖線で囲んだB部分で示したように、第2の異方導電性シート26の導電路形成部の突出部の圧縮によって、導電ピン32bの高さが吸収されるが、この突出部の圧縮よって吸収しきれない圧力が、第1の絶縁板34bに加わることになる。
【0230】
したがって、図39の一点鎖線で囲んだC部分で示したように、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35も、第1の支持ピン33、第2の支持ピン37との当接位置で、相互に反対方向に撓むので、第1の検査治具11aと第2の検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35のバネ弾性力が発揮されることになる。
【0231】
これにより、高さバラツキを有する被検査回路基板1の被検査電極のそれぞれに対して安定的な電気的接触が確保され、さらに応力集中が低減されるので、中継基板29の弾性部の局部的な破損が抑制される。その結果、中継基板29の繰り返し使用耐久性が向上するので、その交換回数が減り、検査作業効率が向上することになる。
【0232】
図40は、本発明の検査装置の他の実施形態を説明する図36と同様な断面図(便宜的に第2の検査治具のみ示している)、図41は、その中継ピンユニットの拡大断面図である。この検査装置は、図1に示した検査装置と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付している。この検査装置では、図40および図41に示したように、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35との間に、複数個(本実施形態では3個)の中間保持板36が所定間隔離間して配置されるとともに、これらの隣接する中間保持板36同士の間に、保持板支持ピン39が配置されている。
【0233】
この場合、少なくとも1つの中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置と、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1の支持ピン33b、第2の支持ピン37b、または保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置とが、中間保
持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることが必要である。
【0234】
最も好ましくは、全ての中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置と、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1の支持ピン33b、第2の支持ピン37b、または保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置とが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置される。
【0235】
この場合、詳述しないが、「異なる位置」とは、前述した実施形態において、第1の支持ピン33と中間保持板36との第1の当接支持位置38Aと、第2の支持ピン37と中間保持板36との第2の当接支持位置38Bとの間の関係で説明した相対位置と同様な配置とすることが可能である。
【0236】
本実施形態では、3つの中間保持板36bのうち上側の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1の支持ピン33bの中間保持板36bに対する当接支持位置38Aとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0237】
また、3つの中間保持板36bのうち中央の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0238】
また、3つの中間保持板36bのうち下側の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する第2の支持ピン37bの中間保持板36bに対する当接支持位置38Bとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0239】
このように構成することによって、これらの複数個の中間保持板36によってバネ弾性がさらに発揮されることになり、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて、局部的な応力集中をさらに回避することができ、中継基板29の弾性部の局部的な破損が抑制され、その結果、中継基板29の繰り返し使用耐久性が向上するので、中継基板29の交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
【0240】
なお、中間保持板36の個数としては、複数個であればよく、特に限定されるものではない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
【0241】
例えば、被検査回路基板1は、プリント回路基板以外に、パッケージIC、MCM、CSPなどの半導体集積回路装置、ウェハに形成された回路装置であってもよい。また、プリント回路基板は、両面プリント回路基板だけではなく片面プリント回路基板であってもよい。
【0242】
第1の検査治具11aと第2の検査治具11bは、使用材料、部材構造などにおいて必ずしも同一である必要はなく、これらが異なるものであってもよい。
テスター側コネクタは、コネクタ基板のような回路基板と異方導電性シートを複数積層して構成してもよい。
【0243】
上記の実施形態では、第2の異方導電性シート26および第3の異方導電性シート42として、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより該導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出しているものを用いたが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0244】
また、図1、図2、図36、図37、図39および図40に示したように、テスター側コネクタ41におけるコネクタ基板43とベース板46との間に、支持ピン49を配置してもよい。これらの支持ピン49によって、第1の支持ピン33、第2の支持ピン37(図40では第1の支持ピン33、第2の支持ピン37および保持板支持ピン39)が与える作用と同様にして、面圧を分散させる作用を与えることも可能である。この面圧分散作用を与えるためには、支持ピン49の位置と、第2の支持ピン37の位置とが面方向において互いに異なるようにこれらを配置することが好ましい。
【実施例1】
【0245】
以下に、本発明の具体的な実施例および比較例を示す。
[実施例1]
レール搬送型回路基板自動検査機(日本電産リード社製,品名:STARREC V5)の検査部に適合する、図1に示したような、下記の評価用回路基板を検査するための回路基板検査装置を作製した。
(1)評価用回路基板1
下記の仕様の評価用回路基板1を用意した。
寸法:100mm(縦)×100mm(横)×0.8mm(厚み)
上面側の被検査電極の数:3600個
上面側の被検査電極の径:0.2mm
上面側の被検査電極の最小配置ピッチ:0.4mm
下面側の被検査電極の数:2600個
下面側の被検査電極の径:0.2mm
下面側の被検査電極の最小配置ピッチ:0.4mm
(2)ピッチ変換用基板23
ガラス繊維補強型エポキシ樹脂からなる厚さ0.5mmの絶縁基板の両面全面に、厚みが18μmの銅からなる金属薄層を形成した積層材料(松下電工社製,品名:R−1766)に、数値制御型ドリリング装置によって、それぞれ積層材料の厚み方向に貫通する直径0.1mmの円形の貫通孔を合計で7200個形成した。
【0246】
この場合、貫通孔の形成は2個を一組として、評価用回路基板の上面側の被検査電極に対応する位置に形成し、一組の貫通孔は0.1mmの間隙を設けて形成した(すなわち、貫通孔A=0.1mmと貫通孔B=0.1mmとの間の間隙=0.1mmとなるように設定することを意味する)。
【0247】
その後、貫通孔が形成された積層材料に対し、EDTAタイプ銅メッキ液を用いて無電解メッキ処理を施すことにより、各貫通孔の内壁に銅メッキ層を形成し、さらに、硫酸銅メッキ液を用いて電解銅メッキ処理を施すことにより、各貫通孔内に、積層材料表面の各金属薄層を互いに電気的に接続する、厚さ約10μmの円筒状のバイアホールを形成した。
【0248】
次いで、積層材料表面の金属薄層上に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東
京応化製,品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成するとともに、この積層材料の他面側の金属薄層上に保護シールを配置した。このレジスト層上にフォトマスクフィルムを配置し、レジスト層に対して、平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、エッチング用のレジストパターンを形成した。そして、レジストパターンを形成した面の金属薄層に対してエッチング処理を施すことにより、絶縁基板の表面に、横60μm、縦120μmの矩形の7200個の接続電極と、各接続電極とバイアホールとを電気的に接続する線幅が100μmのパターン配線部を形成し、次いで、レジストパターンを除去した。
【0249】
次に、積層材料の接続電極とパターン配線部を形成した側の面に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東京応化製,品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成し、このレジスト層の上にフォトマスクフィルムを配置して、レジスト層に対して平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、それぞれの接続電極を露出する、横方向60μm、縦方向120μmの矩形の7200個の開口を形成した。
【0250】
そして、硫酸銅メッキ液を用い、積層材料の他面側の金属薄層を共通電極として用い、それぞれの接続電極に対して電解銅メッキ処理を施すことにより7200個の接続電極を形成した。次いでレジストパターンを除去した。
【0251】
次いで、積層材料の他面側の金属薄層上の保護シールを除去し、この面の金属薄層上に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東京応化製,品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成した。その後、このレジスト層上にフォトマスクフィルムを配置し、レジスト層に対して、平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、積層材料における金属薄層上にエッチング用のレジストパターンを形成した。
【0252】
次いで、積層材料の接続電極を形成した側の面に保護シールを施した後に、エッチング処理を施すことにより、絶縁性基板の裏面に7200個の端子電極と、各端子電極とバイアホールとを電気的に接続するパターン配線部を形成し、レジストパターンを除去した。
【0253】
次いで、端子電極およびパターン配線部が形成された絶縁基板の裏面に、厚みが38μmのドライフィルムソルダーレジスト(ニチゴーモートン製、品名:コンフォマスク2015)をラミネートして絶縁層を形成し、この絶縁層上にフォトマスクフィルムを配置し、次いで、絶縁層に対して、平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理することにより、電極を露出する直径0.4mmの開口を7200個形成した。
【0254】
以上のようにして、第1の検査治具11a用のピッチ変換用基板23aを作製した。このピッチ変換用基板23aは、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5mm、接続用電極25の絶縁層表面から露出した部分の寸法が、横方向約60μmで、縦方向約120μm、接続用電極25の絶縁層表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続用電極25間の離間距離が30μm、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmであった。
【0255】
また、上記と同様にして、表面に5200個の接続用電極25を有すると共に裏面に5200個の端子電極24を有する、第2の検査治具11b用のピッチ変換用基板23bを作製した。
【0256】
このピッチ変換用基板23bは、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5
mm、接続用電極25における絶縁層の表面に露出した部分の横方向約60μmで、縦方向約120μm、接続用電極25における絶縁層の表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続用電極25間の離間距離が30μm、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmのものである。
(3)中継基板29
1.基板の製造
両面に銅箔を備えた厚みが25μmの液晶ポリマー銅張積層板(新日鐵化学:エスパネックス LB18−25−18NEP)に対してエッチングを行い、両面の銅箔を除去することにより厚み25μmの液晶ポリマーシートを得た。
【0257】
この液晶ポリマーシートに、形成するべき貫通孔に対応する開口を有する厚さ18μmの銅よりなるレーザー加工用金属マスクを積層し、炭酸ガスレーザー加工機にて、レーザー加工用金属マスクの開口部を介してレーザー光を照射することにより液晶ポリマーシートに所定の貫通孔を形成した。
【0258】
以上において、炭酸ガスレーザー装置によるレーザー加工は、炭酸ガスレーザー加工機「ML−605GTX」(三菱電機(株)製)を用い、レーザービーム径が直径60μm,レーザー出力が0.8mJの条件で、1つの加工点にレーザービームを10ショット照射することにより行った。
【0259】
得られた基板73の寸法、貫通孔の数および直径は以下のとおりである。
〔上側の中継基板29a用の基板73a〕
寸法:90mm(縦)×90mm(横)×25μm(厚み)
貫通孔の数:3600個
貫通孔の直径:0.3mm
〔下側の中継基板29b用の基板73b〕
寸法:90mm(縦)×90mm(横)×25μm(厚み)
貫通孔の数:2600個
貫通孔の直径:0.3mm
2.導電性エラストマー層の形成
付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、ニッケルよりなる芯粒子に金が被覆されてなる導電性粒子(芯粒子に対する金の割合が2重量%)400重量部を分散させることにより、導電性エラストマー用材料を調製した。この導電性エラストマー用材料を、厚みが5mmのステンレスよりなる離型性支持板65の表面に、スクリーン印刷により塗布することにより、離型性支持板65上に、厚みが0.05mmの導電性エラストマー用材料層61Aを形成した(図7)。
【0260】
次いで、導電性エラストマー用材料層65に対して、電磁石によって厚み方向に2テスラの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を行うことにより、離型性支持板65上に支持された厚みが0.05mmの導電性エラストマー層65Bを形成した(図10)。
3.導電路形成部の形成
離型性支持板65上に支持された導電性エラストマー層65Bの表面に、無電解メッキ処理を施すことによって、厚みが0.3μmの銅よりなる金属薄層66を形成し(図11)、この金属薄層66上に、フォトリソグラフィーの手法によって横60μm、縦120μmの矩形の7200個の開口が形成された、厚みが25μmのレジスト層67を形成した(図12)。その後、金属薄層66の表面に電解メッキ処理を施すことにより、レジスト層67の開口内に厚みが約20μmの銅よりなる金属マスク68を形成した(図13)。そして、この状態で、金属マスク68の周辺部の導電性エラストマー層65B、金属薄層66およびレジスト層67に対して、炭酸ガスレーザー装置によってレーザー加工を施
すことにより、離型性支持板65上に支持された7200個の導電路形成部61を形成し(図15B)、次に、導電路形成部61をレーザー加工により切り離した残余の導電性エラストマー層を剥離することにより、図15(c)に示したように導電路形成部61のみを離型性支持板65上に残存させた。その後、導電路形成部61の表面から残存する金属薄層66および金属マスク68をエッチングにより除去した。
【0261】
以上において、炭酸ガスレーザー装置によるレーザー加工は、炭酸ガスレーザー加工機「ML−605GTX」(三菱電機(株)製)を用い、レーザービーム径が直径60μm、レーザー出力が0.8mJの条件で、1つの加工点にレーザービームを10ショット照射することにより行った。
4.絶縁部の形成
離型性支持板70の表面に付加型液状シリコーンゴムを塗布して厚み15μmのシリコーンゴム層を設けた(図25(a))。
【0262】
離型性支持板70の表面に、液晶ポリマーシートからなる基板73を上記のシリコーンゴム層を介して載置し(図25(b))、基板73の貫通孔内に付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、合計の厚みが0.05mmの絶縁部用材料層62Aを形成し(図25(c))、この絶縁部用材料層62A上に、7200個の導電路形成部61が形成された離型性支持板65を位置合わせして重ね合わせた(図26(a))。
【0263】
そして、離型性支持板65に20kgfの圧力を加えることにより、導電路形成部61の厚みを0.05mmから0.04mmに弾性的に圧縮させ、この状態で、120℃、1時間の条件で、絶縁部用材料層62の硬化処理を行うことにより、隣接する導電路形成部61の間に絶縁部62を形成し(図26(b))、その後、離型性支持板から離型させることにより、第1の検査治具11a用の中継基板29aを製造した(図26(c))。
【0264】
このようにして作成した第1の検査治具11a用の中継基板29aは、基板73aの寸法が90mm(縦)×90mm(横)×25μm(厚み)、導電路形成部61aの数が7200個、導電路形成部61aの寸法が横60μm、縦120μm、厚みが約0.05mm、絶縁部62aの厚みが約0.03mm、隣接する導電路形成部61a間の絶縁部62aの幅が30μm、絶縁部62aからの導電路形成部61aの突出高さが上下を合計して約0.02mmであった。
【0265】
また、第1の検査治具11a用の中継基板29aと同様の工程によって、第2の検査治具11b用の中継基板29bを作成した。この中継基板29bは、導電路形成部61bの数が5200個、導電路形成部61bの寸法が横60μm、縦120μm、厚みが約0.05mm、絶縁部62bの厚みが約0.03mm、隣接する導電路形成部61b間の絶縁部62bの幅が30μm、絶縁部62bからの導電路形成部61bの突出高さが上下を合計して約0.02mmであった。
(4)回路基板側コネクタ21
上記のピッチ変換用基板23の一面側に、中継基板29を配置し、裏面側に、厚み方向に延びる多数の導電路形成部と、これらを互いに絶縁する絶縁部とからなり、片面に導電路形成部が突出した偏在型異方導電性シートからなる第2の異方導電性シート26を配置することにより、回路基板側コネクタ21とした。
【0266】
なお、ピッチ変換用基板23と中継ピンユニット31との間に配置される第2の異方導電性シート26は、図29に示される形状であり、具体的には以下の構成のものを使用した。
〔第2の異方導電性シート26〕
寸法:110mm×150mm
導電路形成部の厚み:0.6mm
導電路形成部の外径:0.35mm
導電路形成部の突出高さ:0.05mm
導電性粒子:材質;金メッキ処理を施したニッケル粒子、平均粒子径;35μm、導電路形成部における導電性粒子の含有率;30体積%
弾性高分子物質:材質;シリコーンゴム、硬度;30
(5)中継ピンユニット31
第1の絶縁板34、中間保持板36、第2の絶縁板35の材料として、固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂よりなり、その厚みが1.9mmのものを用いた。
【0267】
そして、第1の絶縁板34と中間保持板36との間の距離L1が、36.3mm、第2の絶縁板35と中間保持板36との間の距離L2が、3mmとなるように、第1の支持ピン33(直径2mm、長さ36.3mm)と、第2の支持ピン37(直径2mm、長さ3mm)によって固定支持するようにするとともに、第1の絶縁板34と第2の絶縁板35との間に、下記の構成からなる導電ピン32を移動自在となるように貫通孔83(直径0.4mm)に配置した。
〔導電ピン〕
材質:金メッキ処理を施した真鍮
先端部81aの寸法:外径0.35mm、全長2.1mm
中央部32の寸法外径0.45mm、全長41mm
基端部81bの寸法:外径0.35mm、全長2.1mm
なお、第1の支持ピン33の中間保持板36との第1の当接支持位置38Aと、第2の支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置38Bは、図35に示したように、格子状に配置した。なお、互いに隣接する第1の当接支持位置38Aの間の離間距離、第2の当接支持位置38Bの間の離間距離を、17.5mmとした。
(6)テスター側コネクタ41
テスター側コネクタ41を、図1に示したように、第3の異方導電性シート42と、コネクタ基板43と、ベース板46とから構成した。なお、第3の異方導電性シート42は、前述した第2の異方導電性シート26と同様のものを用いた。
性能試験
1.最低プレス圧力の測定
作成した検査装置をレール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットし、検査装置に対して用意した評価用回路基板1をセットした。
【0268】
そして、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力を、100〜210kgfの範囲内において段階的に変化させ、各プレス圧力条件毎に各10回づつ、評価用回路基板1の被検査電極について、電流供給用の接続用電極に1ミリアンペアの電流を流したときの導通抵抗値を測定した。
【0269】
測定された導通抵抗値が10Ω以上となった検査点(以下、「NG検査点」という。)を導通不良と判定し、総検査点におけるNG検査点の割合(以下、「NG検査点割合」という。)を算出し、NG検査点割合が0.01%以下となった最も低いプレス圧力を最低プレス圧力とした。
【0270】
この検査装置においては、実用上、NG検査点割合が0.01%以下であることが必要とされており、NG検査点割合が0.01%を超える場合には、良品である被検査回路基板に対して、不良品であるとの誤った検査結果が得られる場合があることから、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができなくなるおそれがある。
【0271】
この導通抵抗値の測定においては、一の導通抵抗値の測定が終了した後に、測定に係るプレス圧力を開放して検査装置を無加圧状態に戻し、次の導通抵抗値の測定は、再度、所定の大きさのプレス圧力を作用させることによって行った。
【0272】
評価用回路基板1の上面被検査電極数は3600点、下面被検査電極数は2600点であり、各プレス圧力条件において10回の測定を行ったことから、NG検査点割合は、式(3600+2600)×10=62000によって算出される62000点の検査点に占めるNG検査点の割合を示す。
【0273】
測定結果を表1に示した。
なお、「最低プレス圧が小さい」とは、低いプレス圧力で被検査回路基板の電気的検査が行えることを意味している。検査時の加圧圧力を低く設定できれば、検査時の加圧圧力による被検査回路基板、異方導電性シートおよびピッチ変換用基板の劣化が抑制できる。
【0274】
しかも、検査装置の構成部材として、耐久性強度の低い部品を使用することが可能となることから、検査装置の構造を小さくコンパクトにすることができる。
その結果、検査装置の耐久性の向上、検査装置の製造のコスト削減が達成できる。
2.中継基板の耐久性の測定
作成した検査装置をレール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットした。
【0275】
検査装置に対して用意した評価用回路基板1をセットして、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力条件を130kgfとし、所定回数の加圧を行った。
【0276】
その後、評価用回路基板1の被検査電極について、プレス圧力130kgfの条件下にて、検査用電極に1ミリアンペアの電流を印加したときの導通抵抗値を10回測定し、所定回数の加圧を行い同様に導通抵抗値を10回測定する作業を繰り返した。
【0277】
測定された導通抵抗値が10Ω以上となった検査点(NG検査点)を導通不良と判定し、総検査点におけるNG検査点の割合(NG検査点割合)を算出した。
次いで、検査装置の中継基板を新しいものに交換し、プレス圧力条件を150kgfに変更したこと以外は上記と同様の条件によって所定回数の加圧を行い、上記と同様の手法によってNG検査点割合を算出した。
【0278】
なお、一の導通抵抗値の測定が終了した後に、測定に係るプレス圧力を開放して検査装置を無加圧状態に戻し、次の導通抵抗値の測定は、所定の大きさのプレス圧力を再度作用させることによって行った。
【0279】
測定結果を表2に示した。
3.絶縁性の評価
以下のようにして、ピッチ変換用基板23および中継基板29からなるアダプター体における対をなす接続用電極間の絶縁抵抗を評価した。
【0280】
接続用電極間の絶縁抗性の評価には、縦方向100mm、横方向100mm、厚さ0.8mmの、表面を絶縁性コートを施したガラスエポキシ基板を使用した。
作成した検査装置を、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットし、検査装置に対して上記のガラスエポキシ基板をセットした。
【0281】
そして、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力を、
100〜210kgfの範囲内において段階的に変化させた。そして、各プレス圧力条件毎に各10回づつ、第1の検査治具11a用の上記アダプター体に設けられた、各々の対をなす検査電極25の間の絶縁抵抗を測定した。
【0282】
具体的には、対をなす接続用電極25に対応する端子電極24を通じて1ミリアンペアの電流を印加しつつ、対をなす検査電極25の導通抵抗値を測定した。
この方法にて、対をなす接続用電極25間の絶縁抵抗値、すなわち中継基板29における対をなす導電路形成部61間の絶縁部62の絶縁抵抗値を測定した。
【0283】
測定された絶縁抵抗値が100Ω以上となった接続用電極対を絶縁良好と判定し、総検査点数に対する絶縁良好と判定された点の割合(以下「絶縁性合格点割合」という。)を算出した。
【0284】
第1の検査治具11a用の上記アダプター体における接続用電極25は、7200個が3600個の対となっており、すなわち3600個の接続電極対が存在し、各プレス圧力条件において10回の測定を行ったことから、絶縁性合格点割合は、式(3600)×10=36000によって算出される36000点の検査点に占めるNG検査点の割合を示す。
【0285】
この検査装置においては、実用上、絶縁性合格点割合が99.9%以上であることが必要とされており、絶縁性合格点割合が99.9%未満の場合には、検査時において、電流供給用電極として使用する接続用電極から、電圧測定用電極として使用する接続用電極へリーク電流が流れることになる。
【0286】
その結果、被検査回路基板の良品である被検査回路基板に対して、不良品であるとの誤った検査結果が得られる場合があるため、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができなくなるおそれがある。
【0287】
評価結果を表3に示した。
[比較例1]
実施例1の中継ピンユニット31の代わりに、図42に示したような従来の中継ピンユニット131a、131bを用いた。すなわち、一定ピッチ(2.54mmピッチ)で格子点上に多数(8000ピン)配置された導電ピン132a,132bと、この導電ピン132a,132bを上下へ移動可能に支持する絶縁板134a,134bとを有しているものを用いた。それ以外は実施例1と同様の構成として、比較用の検査装置を作製した。
【0288】
作製した比較用検査装置について、実施例1と同様な方法により、最低プレス圧および中継基板の耐久性を測定した。
最低プレス圧の測定結果を表1に、耐久性の測定結果を表2に示した。
[比較例2]
実施例1の検査装置において、中継基板29の代わりに、ピッチ変換基板23と評価用回路基板1の間に厚さ100μmの分散型異方導電性シートを配置した。
【0289】
作製した比較用検査装置におけるピッチ変換用基板と分散型異方導電性シートとからなるアダプター体について、上述した方法にて絶縁性の評価を行った。絶縁性の評価結果を表3に示した。
[比較例3]
比較例2において使用した厚さ100μmの分散型異方導電性シートを、厚み40μmの分散型異方導電性シートに交換した。
【0290】
そして作製した比較用検査装置について、実施例1と同様な方法により、最低プレス圧の測定、異方導電性シートの耐久性の測定および絶縁性の評価を行った。最低プレス圧の測定結果を表1に、耐久性の測定結果を表2に、ピッチ変換用基板の絶縁性の測定結果を表3に示した。
【0291】
なお、比較例2および比較例3において使用した分散型異方導電性シートは以下のようにして得た。
<分散型異方導電性シートの製造>
二液型の付加型液状シリコーンゴムのA液とB液とを、等量となる割合で混合した混合物100容量部に、平均粒子径が20μmの導電性粒子を25容量部添加して混合した。
【0292】
その後、減圧による脱泡処理を行うことにより、導電性エラストマー用材料を調製した。導電性粒子としては、ニッケル粒子を芯粒子とし、この芯粒子に無電解金メッキが施されたもの(平均被覆量:芯粒子の重量の5重量%となる量)を用いた。
【0293】
表面が光沢面(表面粗さが0.04μm)で、裏面が非光沢面である、厚みが0.1mmのポリエステル樹脂シート(東レ社製,品名「マットルミラーS10」)を2枚用意した。そして、一方のポリエステル樹脂シートの表面上に、120mm×200mmの矩形の開口を有する、厚みが100μmの枠状のスペーサーを配置した。
【0294】
このスペーサーの開口内に、調製した導電性エラストマー用材料を塗布し、この導電性エラストマー用材料上に、他方のポリエステル樹脂シートを、その表面が導電性エラストマー用材料に接するよう配置した。
【0295】
その後、加圧ロールと支持ロールとからなる加圧ロール装置を用い、2枚のポリエステル樹脂シートによって導電性エラストマー用材料を挟圧することにより、厚みが100μmの導電性エラストマー用材料層を形成した。
【0296】
次いで、2枚のポリエステル樹脂シートの各々の裏面に電磁石を配置し、導電性エラストマー材料層に対して、その厚み方向に0.3Tの平行磁場を作用させながら、120℃、30分間の条件で、成形材料層の硬化処理を行うことにより、厚みが100μmの矩形の導電性エラストマーシートを製造した。得られた導電性エラストマーシートにおける導電性粒子の割合は、体積分率で12%であった。
【0297】
この導電性エラストマーシートを、110mm×110mmに切断し、比較例2に使用される分散型異方導電性エラストマーシートとした。
また、上記において、スペーサーの厚みを40μmに変更し、同様の方法にて、比較例3に使用される厚み40μmの分散型異方導電性エラストマーシートを得た。
【0298】
【表1】

【0299】
【表2】

【0300】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0301】
【図1】図1は、本発明の検査装置における一実施形態を示した断面図である。
【図2】図2は、図1の検査装置の検査使用時における積層状態を示した断面図である。
【図3】図3は、ピッチ変換用基板の回路基板側の表面を示した図である。
【図4】図4は、ピッチ変換用基板のピン側表面を示した図である。
【図5】図5は、ピッチ変換用基板、中継基板および被検査回路基板を積層した状態を示した断面図である。
【図6】図6(a)は、中継基板の部分断面図、図6(b)は、その拡大図、図6(c)は、中継基板の部分上面図である。
【図7】図7は、離型性支持板上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示した断面図である。
【図8】図8は、導電性エラストマー用材料層を拡大して示した断面図である。
【図9】図9は、導電性エラストマー用材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させた後の状態を示した断面図である。
【図10】図10は、離型性支持板上に導電性エラストマー層が形成された状態を示した断面図である。
【図11】図11は、導電性エラストマー層上に金属薄層が形成された状態を示した断面図である。
【図12】図12は、金属薄層上に開口を有するレジスト層が形成された状態を示した断面図である。
【図13】図13は、レジスト層の開口内に金属マスクが形成された状態を示した断面図である。
【図14】図14は、離型性支持板上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示した断面図である。
【図15】図15は、レーザー加工によって導電路形成部を形成する工程を示した断面図である。
【図16】図16は、レーザー加工によって導電路形成部を形成する工程を示した上面図である。
【図17】図17は、金属薄層に開口が形成されたレジスト層が積層された積層体を示した断面図である。
【図18】図18は、図17におけるレジスト層の開口内に金属マスクを形成した複合フィルムの断面図である。
【図19】図19は、離型性支持板上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示した断面図である。
【図20】図20は、導電性エラストマー用材料層上に複合フィルムを重ね合わせた状態を示した断面図である。
【図21】図21は、図20の積層体に対してその厚み方向に磁場を作用させた後の状態を示した断面図である。
【図22】図22は、離型性支持板上に導電性エラストマー層が形成された状態を示した断面図である。
【図23】図23は、図22における金属薄層を除去した後の状態を示した断面図である。
【図24】図24は、離型性支持板上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示した断面図である。
【図25】図25は、中継基板の製造工程を説明する断面図である。
【図26】図26は、中継基板の製造工程を説明する断面図である。
【図27】図27は、ピッチ変換用基板、中継基板および被検査回路基板を、第1の異方導電性シートを介して積層した状態を示した部分断面図である。
【図28】図28は、第1の異方導電性シートの部分断面図である。
【図29】図29は、第2の異方導電性シートの断面図である。
【図30】図30は、中継ピンユニットの断面図である。
【図31】図31は、中継ピンユニットの導電ピン、中間保持板および絶縁板の一部を示した断面図である。
【図32】図32は、中継ピンユニットにおける他の例を示した図31と同様の断面図である。
【図33】図33は、図32の構成において第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に導電ピンを配置するまでの工程を示した断面図である。
【図34】図34は、屈曲保持板を配置した中継ピンユニットの断面図である。
【図35】図35は、中継ピンユニットの中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面の部分拡大図である。
【図36】図36は、本発明の検査装置の実施形態を示した一部断面図である。
【図37】図37は、本発明の検査装置の使用状態を説明する断面図である。
【図38】図38は、本発明の検査装置における中継ピンユニットの使用状態を説明する断面図である。
【図39】図39は、本発明の検査装置の使用状態を説明する断面図である。
【図40】図40は、本発明の検査装置における他の実施形態を示した図40と同様の一部断面図である。
【図41】図41は、図40の実施形態における中継ピンユニットの断面図である。
【図42】図42は、従来における回路基板の検査装置の断面図である。
【図43】図43は、被検査回路基板の被検査電極のピッチと、電極離間距離との関係を示した図である。
【図44】図44は、被検査回路基板の被検査電極のピッチと、電極離間距離と、ピッチ変換用基板の接続用電極との関係を示した図である。
【図45】図45は、4端子検査の場合における、被検査回路基板の被検査電極のピッチと、電極離間距離と、ピッチ変換用基板の接続用電極との関係を示した図である。
【符号の説明】
【0302】
29a,29b 中継基板
31a,31b 中継ピンユニット
32a,32b 導電ピン
33a,33b 第1の支持ピン
34a,34b 第1の絶縁板
35a,35b 第2の絶縁板
36a,36b 中間保持板
37a,37b 第2の支持ピン
38A 第1の当接支持位置
38B 第2の当接支持位置
39 保持板支持ピン
39A 当接支持位置
41a,41b テスター側コネクタ
42a,42b 第3の異方導電性シート
43a,43b コネクタ基板
44a,44b テスター側電極
45a,45b ピン側電極
46a,46b ベース板
49a,49b 支持ピン
51 絶縁基板
52 配線
53 内部配線
54 絶縁層
55 絶縁層
61 導電路形成部
61a 突出部
61A 導電性エラストマー用材料層
61B 導電性エラストマー層
62 絶縁部
62A 絶縁部用材料層
63 シート基材
64 金属膜
65 離型性支持板
66 金属薄層
67 レジスト層
67a 開口
68 金属マスク
69 複合フィルム
70 離型性支持板
71 導電路形成部
72 絶縁部
72a 突出部
73 基板
75 貫通孔
81a,81b 端部
82 中央部
83,83a,83b 貫通孔
84 屈曲保持板
85 貫通孔
86 貫通孔
101 被検査回路基板
102 被検査電極
103 被検査電極
111a 第1の検査治具
111b 第2の検査治具
121a、121b 回路基板側コネクタ
122a,122b 第1の異方導電性シート
123a,123b ピッチ変換用基板
124a,124b 端子電極
125a,125b 接続用電極
126a,126b 第2の異方導電性シート
127 電流供給用電極
128 電圧測定用電極
131a,131b 中継ピンユニット
132a,132b 導電ピン
133a,133b 支持ピン
134a,134b 絶縁板
141a,141b テスター側コネクタ
142a,142b 第3の異方導電性シート
143a,143b コネクタ基板
144a,144b テスター側電極
145a,145b ピン側電極
146a,146b ベース板
A 中間保持板投影面
P 導電性粒子
L1 距離
L2 距離
Q1 対角線
Q2 対角線
R1 単位格子領域
R2 単位格子領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行う回路基板の検査装置であって、
前記第1の検査治具と第2の検査治具がそれぞれ、
基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板と、
前記ピッチ変換用基板の被検査回路基板側に配置され、基板に形成された複数の貫通孔に、弾性高分子物質からなる絶縁部と、導電性粒子を含有する弾性高分子物質からなり前記絶縁部を厚み方向へ貫通する導電路形成部とが形成された、該導電路形成部によって前記ピッチ変換用基板と前記被検査回路基板との電気的接続を中継する中継基板と、
前記ピッチ変換用基板の前記中継基板とは逆側に配置される第2の異方導電性シートと、
を備えた回路基板側コネクタと、
所定のピッチで配置された複数の導電ピンと、
前記導電ピンを軸方向へ移動可能に支持する、一対の離間した第1の絶縁板と第2の絶縁板と、
を備えた中継ピンユニットと、
テスターと前記中継ピンユニットとを電気的に接続するコネクタ基板と、
前記コネクタ基板の中継ピンユニット側に配置される第3の異方導電性シートと、
前記コネクタ基板の中継ピンユニットとは逆側に配置されるベース板と、
を備えたテスター側コネクタと、を備え、
前記中継ピンユニットは、
前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に配置された中間保持板と、
前記第1の絶縁板と中間保持板との間に配置された第1の支持ピンと、
前記第2の絶縁板と中間保持板との間に配置された第2の支持ピンと、
を備えるとともに、
前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置と、前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置とが、中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする回路基板の検査装置。
【請求項2】
前記中継基板は、
第1の離型性支持板上に支持され、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に配向した状態で弾性高分子物質中に分散された導電性エラストマー層を、レーザー加工することにより、第1の離型性支持板上に所定のパターンに従って配置された導電路形成部を形成し、
第2の離型性支持板上に支持され、硬化されて弾性高分子物質となる材料からなる未硬化状態の絶縁部用材料層が前記基板における両側表面および貫通孔の内部に形成された当該基板に対して、導電路形成部が形成された前記第1の離型性支持板を、導電路形成部が前記基板の貫通孔に位置するように重ね合わせ、
この状態で、絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成した後、第1および第2の離型性支持板を除去することにより得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の検査装置。
【請求項3】
前記導電性エラストマー層は、
離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有された導電性エラストマー用材料層を形成し、
該導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って、磁性を示す金属からなる金属マスクを形成し、
前記導電性エラストマー用材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、導電性粒子を厚み方向に配向させ、次いで、磁場を作用させた状態で、または磁場を停止した状態で前記導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより得られたもので
あることを特徴とする請求項2に記載の回路基板の検査装置。
【請求項4】
前記中継基板における少なくとも一部の導電路形成部において、互いに隣接する導電路形成部の離間距離が50μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項5】
前記中継基板における少なくとも一部の導電路形成部において、互いに隣接する導電路形成部の離間距離が10〜50μmであることを特徴とする請求項4に記載の回路基板の検査装置。
【請求項6】
前記中継基板の片面側もしくは両面側に、導電性粒子が厚み方向に配列するとともに面方向に均一に分散された第1の異方導電性シートが配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項7】
一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧した際に、
前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第2の絶縁板の方向に撓むとともに、
前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第1の絶縁板の方向に撓むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項8】
前記第1の支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置され、
前記第2の支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置されており、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第1の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第2の当接支持位置が配置されるとともに、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第2の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第1の当接支持位置が配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項9】
前記中継ピンユニットが、
前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間に所定間隔離間して配置された複数個の中間保持板と、
隣接する中間保持板同士の間に配置された保持板支持ピンと、
を備えるとともに、
少なくとも1つの中間保持板において、該中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置と、該中間保持板に対して他面側から当接する第1の支持ピン、第2の支持ピン、または保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置とが、該中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項10】
全ての前記中間保持板において、該中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置と、該中間保持板に対して他面側から当接する第1の支持ピン、第2の支持ピン、または保持板支持ピンの該中間保持板に対する当接支持位置とが、該中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の回路基板の検査装置。
【請求項11】
前記第2の異方導電性シートが、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより該導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項12】
前記第3の異方導電性シートが、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより該導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項13】
前記複数の導電ピンは、前記第1の絶縁板と第2の絶縁板との間の間隔よりも短い棒状の中央部と、該中央部の両端側に形成され該中央部よりも径が小さい一対の端部とからなり、
前記一対の端部がそれぞれ、前記第1の絶縁板と第2の絶縁板とに形成された前記中央部よりも径が小さく前記一対の端部よりも径が大きい貫通孔に挿通され、これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項14】
前記第1の絶縁板と中間保持板との間、前記第2の絶縁板と中間保持板との間、または中間保持板同士の間に、前記導電ピンが挿通される貫通孔が形成された屈曲保持板が設けられ、
前記複数の導電ピンは、前記第1および第2の絶縁板に形成された貫通孔と、前記屈曲保持板に形成された貫通孔とを支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて前記屈曲保持板の貫通孔の位置で屈曲され、これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の回路基板の検査装置を用いた回路基板の検査方法であって、
一対の第1の検査治具と第2の検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行うことを特徴とする回路基板の検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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