説明

回路基板及び電子装置

【課題】本発明は、クラックの発生を抑制することが可能な回路基板及び電子装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回路基板であって、主面を有する基体5と、主面に設けられる枠体6と、主面に設けられ、枠体6で囲まれる空間AS内に収容される導電性部材4と、を備え、基体5の表面および枠体6の表面の少なくとも一方には凹凸SRが形成されており、表面と導電性部材4とが接触していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミックス基板上に金属板を接合したセラミックス回路基板の開発が進められている。セラミックス回路基板は、セラミックス基板の一方の面に半導体チップを電気的に接続して回路となす銅板を接合し、他方の面には放熱用の銅板を接合して形成する構造が、例えば、特許文献1に、開示されている。また、基板の内部にコアメタルを入れた半導体装置用のプラスチック基板の構造が、例えば、特許文献2に、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−170930号公報
【特許文献2】特開平9−129781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セラミックス基板に金属板が接合されることから、セラミックス基板が金属板との熱膨張差によって受ける応力が大きくなり易く、セラミックス基板にクラック等が発生する虞がある。また、プラスチック基板がコアメタルとの熱膨張差によって受ける応力が大きくなり易く、プラスチック基板にクラック等が発生する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、クラックの発生を抑制することが可能な回路基板及び電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る回路基板は、基体と、枠体と、導電性部材とを備えたことを特徴とする。前記基体および前記枠体の表面の少なくとも一方には凹凸が形成されている。また、前記枠体は、前記基体の主面に設けられ、前記導電性部材を前記枠体で囲まれる空間内に収容している。また、前記導電性部材は、該表面と接触するように配置されている。
【0007】
また、本発明に係る回路基板は、枠体と、導電性部材とを備えていることを特徴とする。凹凸が前記枠体の表面に形成されている。前記導電性部材は、前記枠体で囲まれる空間内に嵌合されるように前記枠体の内側に設けられ、前記枠体の前記表面と接触するように配置されている。
【0008】
また、本発明に係る電子装置は、前記回路基板上に設けられ、前記回路基板に電気的に接続される電子部品と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、クラックの発生を抑制することが可能な回路基板及び電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る電子装置の概観斜視図である。
【図2】本実施形態に係る回路基板の分解斜視図である。
【図3】図1に示す電子装置をA−A線で切断したときの断面図である。
【図4】本実施形態の変形例1の電子装置の断面図である。
【図5】本実施形態の変形例2の電子装置の断面図である。
【図6】本実施形態の変形例3の電子装置の断面図である。
【図7】本実施形態の変形例4に係る電子装置であって、(A)は、電子装置の概観斜視図、(B)は、(A)の電子装置をB−B線で切断したときの断面図、(C)は、変形例4の他の例の断面図、(D)は、変形例4の他の例の断面図である。
【図8】本実施形態の変形例5に係る電子装置であって、(A)は、電子装置の断面図、(B)は、電子装置の平面図である。
【図9】本実施形態の変形例6に係る電子装置であって、(A)は、電子装置の概観斜視図、(B)は、(A)の電子装置をC−C線で切断したときの回路基板の断面図、(C)は、回路基板の分解斜視図である。
【図10】本実施形態の変形例7に係る回路基板の分解斜視図である。
【図11】本実施形態の変形例8に係る電子装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る回路基板及び電子装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<実施形態>
<回路基板及び電子装置の構成>
本実施形態に係る電子装置1は、回路基板2と、回路基板2に実装される電子部品3とを備えている。
【0013】
また、本実施形態に係る回路基板2は、主面を有する基体5と、主面に設けられる枠体6と、主面に設けられ、枠体6で囲まれる空間AS内に収容される導電性部材4と、を備え、基体5の表面および枠体6の表面の少なくとも一方には凹凸が形成されており、該表面と導電性部材4とが接触している。
【0014】
なお、回路基板2は、例えば、LED発光素子、集光式太陽電池セル、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)、ダイオード、サイリスタ等からなる電子部品3を搭載するのに用いるものである。なお、電子装置1は、回路基板2に電子部品3を搭載したものである。
また、本実施形態では、回路基板2上に電子部品3を1個搭載して説明しているが、これに限らない。回路基板2上に電子部品3を複数個搭載してもよい。
【0015】
導電性部材4は、例えば、アルミニウム、銅又は銀等の金属材料、或いはこれらの金属材料を含有する合金、或いは焼結タングステンに銅を含浸したような複合材料、銅含浸タングステンに設けられた複数の貫通孔に銅を充填したような複合材料又は各種金属を層状に積層した複合材料等からなる。導電性部材4は、熱伝導を良好にし、基体5に実装された電子部品3から発生する熱を効率良く基体5を介して外部に放熱させる機能を備えている。また、導電性部材4の熱伝導率は、例えば、100(W/m・K)以上1000(W/m・K)以下に設定されている。また、導電性部材4の熱膨張係数は、5(ppm/℃)以上20(ppm/℃)以下に設定されている。
【0016】
また、導電性部材4の製法の一例としては、溶融した金属材料を型枠に鋳込んで作製したインゴットを周知の切削加工や打ち抜き加工等の金属加工法を用いて所定形状に形成される。なお、導電性部材4の一辺の長さは、例えば、0.5mm以上100mm以下に設定される。また、導電性部材4の厚みは、例えば、0.1mm以上3mm以下に設定される。なお、本実施形態では、導電性部材4の大きさは、枠体6に形成される空間部ASの大きさに合わせて、一辺の長さ及び厚みが設定される。
【0017】
本実施形態では、基体5が、回路基板2の最下層に位置している。また、枠体6が、中層に位置し、基体5の主面に設けられ、導電性部材4を囲み、収容するための空間ASを有している。また、回路板7が、回路基板2の最上層に位置している。すなわち、枠体6上には、導電性部材4を基体5とで挟持する回路板7が設けられている。基体5の表面又は枠体6の表面は、多数の凹凸SRが形成されている。なお、回路基板1は、枠体6及び回路板7を一体化した形状を枠体6とし、基体5と組み合わせる構成としてもよい。また、基体5及び枠体6を一体化した形状を枠体6としてもよい。
【0018】
また、枠体6は、基体5の主面に設けられ、導電性部材4を枠体6で囲まれる空間AS内に収容している。導電性部材4は、基体5の表面又は枠体6の表面と接触するように配置されている。すなわち、導電性部材4は、基体5又は枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されている。回路基板2は、基体5、枠体6又は回路板7をそれぞれ接合し、枠体6の空間AS内に収容された導電性部材4が、基体5の表面又は枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されている。
【0019】
基体5又は枠体6の表面は、多数の凹凸SRが形成されており、図3の接触面の拡大図に示すように、例えば、導電性部材4は、基体5の表面の凹凸SRと接触して配置され、また、枠体6の表面の凹凸SRと接触して配置されている。基体5又は枠体6の表面に形成される凹凸SRは、基体5及び枠体6の両方の表面に形成されていても、どちらか一方の表面に形成されていてもよい。基体5又は枠体6の表面の凹凸SRの算術平均粗さ(Ra)は、導電性部材4が熱膨張した際の逃げ部を確保し、かつ導電性部材4との接触面積を確保するという点で、算術平均粗さ(Ra)は、1〜10μmに設定することが好ましい。
【0020】
また、基体5又は枠体6の表面の凹凸SRは、基体5又は枠体6に対して、それぞれに含有されるセラミック粒子の粒径を調製する方法によって、算術平均粗さ(Ra)を1〜10μmに設定することができる。後述する回路板7も同様にして設定することができる。算術平均粗さ(Ra)は、1μmより小さくなると、導電性部材4が熱膨張した際に導電性部材4の逃げ部が無くなるという問題を生じ、10μmより大きくなると、導電性部材4との接触面積が小さくなるという問題を生じる。
【0021】
基体5、枠体6又は回路板7は、絶縁性の基体からなり、例えば、アルミナ、ムライト又は窒化アルミ等のセラミック材料、或いはガラスセラミック材料等からなる。または、これらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料からなる。基体5、枠体6又は回路板7の熱伝導率は、例えば、2(W/m・K)以上200(W/m・K)以下に設定されている。また、基体5、枠体6又は回路板7の熱膨張係数は、4(ppm/℃)以上8(ppm/℃)以下に設定されている。
【0022】
また、基体5、枠体6又は回路板7の厚みは、例えば、0.1mm以上3mm以下に設定されている。また、基体5、枠体6又は回路板7の熱伝導率は、例えば、2W/m・K以上200W/m・K以下に設定されている。また、基体5の熱導電率を回路板7の熱伝導率より大きく設定することで、導電性部材4からの基体5への熱伝導を良好にし、基体5から熱を外部に効果的に放熱することができる。
【0023】
導電層8が、回路板7の上面に形成される。なお、導電層8は、電子部品3を搭載したときに、電子部品3と電気的に接続される。また、枠体6を複数の層で構成することにより、回路基板2は、導電性部材4を収容する空間ASを容易に形成することができる。
【0024】
回路基板2を構成している基体5、枠体6又は回路板7は、ガラス、セラミック接着剤、樹脂接着剤等の接合材9でそれぞれ接合される。また、基体5、枠体6又は回路板7は、それぞれの接合部において、メタライズ層上にニッケル又は金等のメッキ層を形成し、接合材9として、ロウ材又は半田を用いて接合してもよい。ロウ材は、例えば、銀−銅ロウ等、また、半田は、例えば、金−錫半田等からなる。なお、メタライズ層は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン等の金属材料を、例えば、スクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて形成される。
【0025】
電子部品3は、例えば、金−錫半田等やアクリル樹脂等で、回路板7の上面に搭載され、固定されている。なお、電子部品3は、例えば、LED発光素子、集光式太陽電池セル、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)、ダイオード、サイリスタ等からなる。
【0026】
また、導電層8は、例えば、タングステン、モリブデン、ニッケル、銅、銀、金又はアルミニウム等の金属材料、或いはそれらの合金、或いはこれらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料、或いは、それらの材料の複合層からなる。導電層8上には、ニッケル又は、および金等のメッキ層が形成される。なお、メッキ層が形成されたものを導電層8とする。
【0027】
また、電子部品3は、例えば、導電性ワイヤで、回路板7の上面に形成された導電層8と電気的に接続される。そして、電子装置1が、電子部品3を回路基板2に搭載することにより得られる。なお、電子装置1は、例えば、ワイヤボンディング法等の電気的接続手段により、外部回路基板等に接続される。
【0028】
また、回路基板2の形状は、本実施形態では、平面視して、四角形状としているが、電子部品3を搭載することが可能であれば、四角形状に限られず、円形状、楕円形状又は多角形状等であってもよい。
【0029】
本実施形態によれば、図3に示すように、基体5の表面及び枠体6の両方の表面に凹凸SRが形成され、導電性部材4は、基体5及び枠体6の表面と接触するように配置されている。すなわち、導電性部材4は、基体5及び枠体6の表面の凹凸SRで接触しているのみであり、例えば、接合材等を介して、接合されていない。回路基板2が、高温雰囲気内に置かれたり、回路基板2に搭載される電子部品3から発熱したりして、熱が回路基板2に加わったとしても、基体5又は枠体6と導電性部材4との間の熱膨張差による応力が、基体5又は枠体6に対して、作用するのを低減することができる。結果として、回路基板2は、基体5又は枠体6の受ける応力が低減され、クラック等の発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、基体5及び枠体6の両方の表面に凹凸SRが形成されているが、少なくとも一方の表面に凹凸SRが形成されていれば、回路基板2は、同様な効果を得ることができる。
【0030】
また、回路板7は、基体5又は枠体6と同様に、回路板7の表面に多数の凹凸SRを形成してもよい。回路板7の表面に凹凸SRが形成され、導電性部材4が、基体5又は枠体6又は回路板7の表面の凹凸SRと接触するように配置されているので、回路基板2は、熱膨張差による応力が、基体5又は枠体6又は回路板7に対して、作用するのを低減することができる。結果として、回路基板2は、基体5又は枠体6又は回路板7の受ける応力が低減され、クラック等の発生を抑制することができる。
【0031】
<回路基板及び電子装置の製造方法>
ここで、図1に示す電子装置1及び回路基板2の製造方法について説明する。
【0032】
先ず、回路基板2を構成している基体5、枠体6及び回路板7を準備する。各々が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等の焼結後の算術平均粗さ(Ra)が1〜10μmとなるように粒径を調整した原料粉末に、有機バインダー、可塑剤、および溶剤等を添加し、混合して得た混合物よりグリーンシートを成型する。
【0033】
また、タングステン又はモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤又は溶剤等を添加し、混合して金属ペーストを得る。
【0034】
次に、グリーンシートの状態の基体5は、枠体6との接合部に対向する基体5の上面に対して、例えば、スクリーン印刷法を用いて、金属ペーストを塗ってメタライズ層を形成する。
【0035】
次に、グリーンシートの状態の枠体6は、基体5及び回路板7との接合部と対向する枠体6の上面及び下面に対して、例えば、スクリーン印刷法を用いて、金属ペーストを塗ってメタライズ層を形成する。
【0036】
そして、グリーンシートの状態の回路板7は、回路板7の上面に対して、例えば、スクリーン印刷法を用いて、金属ペーストを塗って導電層8を形成する。また、同様にして、枠体6との接合部に対向する回路板7の下面に対して、メタライズ層を形成する。
【0037】
次に、準備した焼結前の基体5、枠体6及び回路板7を、約1600度の温度でそれぞれを焼成した後、電解メッキ又は無電解メッキ等のメッキ形成方法によって、導電層8又はメタライズ層に、ニッケルメッキ層を形成する。そして、焼結後の枠体6の空間AS内に導電性部材4を収容し、焼結後の基体5、枠体6及び回路板7を、例えば、ロウ材を介して接続した後に、少なくとも導電層8に金メッキ層を形成する。このようにして、回路基板2を作製することができる。
【0038】
次に、回路基板2の最上層に位置する回路板7上の所定箇所に電子部品3を、金−錫半田等の接着剤を介して搭載する。そして、電子部品と電極層8とを導電性ワイヤで電気的に接続する。このようにして、電子装置1を作製することができる。
【0039】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、本実施形態の変形例に係る電子装置1のうち、本実施形態に係る電子装置1と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。なお、変形例の図面では、電子部品3を搭載した状態を示している。
【0040】
<変形例1>
上記実施形態に係る電子装置1は、枠体6と導電性部材4とが接触する構成とされているが、これに限らない。図4に示すように、枠体6の空間ASの大きさに対して、導電性部材4の大きさを小さくして、枠体6と導電性部材4との間に空隙部SPを形成する構成としてもよい。すなわち、導電性部材4は、基体5の表面の凹凸SRと接触するように配置されており、例えば、接合材等を介して、接合されていない。更に、枠体6と導電性部材4との間に空隙部SPを形成している。このように、枠体6が、枠体6と導電性材料4との間に空隙部SPを有し、導電性部材4と接触していない構成であるため、導電性部材4が熱膨張しても、枠体6と導電性部材4との間の空隙部SPが導電性部材4の熱膨張分の逃げ部となることができる。結果として、回路基板2は、クラック等の発生を抑制することができる。また、回路基板2は、回路板7の表面にも凹凸SRを形成してもよい。
【0041】
また、充填物が、枠体6と導電性部材4との間の空隙部SPに充填されてもよい。充填物は、例えば、接着性を有するエポキシ,アクリル樹脂又は接着性を有するフィラーを含有する樹脂等のセラミックや金属に比較して弾力性に富んだ材料からなる。結果として、枠体6と導電性部材4との間の空隙部SPを充填物で充填することにより、導電性部材4が、空間AS内で動くのを抑制し、回路基板2の信頼性を向上することができる。また、充填物によって、枠体6と導電性部材4との隙間が無くなり、回路基板2は、充填物を介して導電性部材4から枠体5への熱伝導を向上させることができる。
【0042】
<変形例2>
また、同様に、図5に示すように、枠体6が導電性部材4に部分的に接触し、枠体6が、導電性部材4と接触していない空隙部SPを形成する構成としてもよい。すなわち、導電性部材4は、基体5の表面の凹凸SRと接触するように配置されており、例えば、接合材等を介して、接合されていない。更に、導電性部材4は、枠体6の一部と、枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されている。このような構成により、導電性部材4は、導電性部材4が熱膨張しても、導電性部材4の枠体6と接触している部分が潰れ、導電性部材4と接触していない空隙部SPに熱膨張した導電性部材4を逃がすことができる。結果として、回路基板2は、クラック等の発生を抑制することができる。また、変形例2と同様に、充填物が、枠体6と導電性部材4との間の空隙部SPに充填されてもよい。
【0043】
<変形例3>
また、同様に、図6に示すように、基体5又は枠体6又は回路板7に窪みを設け、基体5又は枠体6又は回路板7が、導電性部材4と接触していない空隙部SPを形成する構成としてもよい。すなわち、窪みが、導電性部材4と接触していない空隙部SPをなる。また、基体5又は枠体6又は回路板7の窪みは、基体5又は枠体6又は回路板7表面の凹凸SRの凹部よりも大きくすることが好ましい。また、図6に示すように、電子装置11は、回路板7が、開口部B1を有し、導電性部材4の一主面が開口部B1から露出されて構成されている。なお、枠体6は、導電性部材4を囲む空間SRを有している。また、導電性部材4に基体5又は枠体6又は回路板7と接触していない空隙部SPを形成してもよい。
【0044】
図6に示すように、基体5又は枠体6又は回路板7の表面に凹凸SRが形成され、また、導電性部材4は、窪みが設けられた基体5又は枠体6又は回路板7の表面の凹凸SRと接触するように配置されており、例えば、接合材等を介して、接合されていない。このような構成のため、導電性部材4が熱膨張しても、導電性部材4の熱膨張分を基体5又は枠体6又は回路板7と導電性部材4との間の導電性部材4に接触していない空隙部SPに逃がすことができる。結果として、回路基板12は、クラック等の発生を抑制することができる。
【0045】
また、回路板7は、導電性部材4の一主面を露出させる開口部B1を有する構成であるため、回路基板11は、回路板7から露出された導電性部材4上に、LED発光素子、集光式太陽電池セル、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)、ダイオード、サイリスタ等の電子部品3を、金−錫半田等を介して、直接搭載することができる。それによって、回路基板12は、露出された導電性部材4上に搭載される電子部品3から発生する熱を効果的に外部に放散することができる。なお、回路基板11は、枠体6及び回路板7を一体化した形状を枠体6とし、基体5と組み合わせる構成としてもよい。また、基体5及び枠体6を一体化した形状を枠体6としてもよい。
【0046】
<変形例4>
上記実施形態に係る電子装置1は、基体5と枠体6と導電性部材4を含んで回路基板2を構成しているが、これに限らない。図7に示すように、電子装置21は、回路基板22が導電性部材14と導電性部材14を囲む枠体6で構成されてもよい。すなわち、枠体6は、表面に凹凸SRが形成され、導電性部材14が枠体6で囲まれる空間AS内に嵌合されるように枠体6の内周部に設けられ、導電性部材14は枠体6の内側の表面と接触するように配置されている。また、導電性部材14は、導電性部材14a及び導電性部材14bで構成されている。なお、導電性部材14は、3個以上の複数個で構成されてもよい。図7に示すように、導電性部材14は、枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されており、例えば、接合材等を介して、接合されていない。このような構成により、回路基板22は、クラック等の発生を抑制することができる。
【0047】
また、導電性部材14は、枠体6を貫通した状態で、導電性部材14a及び導電性部材14bで上下を挟み込むように嵌合されている。これにより、回路基板22は、枠体6に
対して導電性部材14を安定的に固定することができる。なお、導電性部材14a及び導電性部材14b同士は、例えば、ガラス、セラミック接着剤又は樹脂接着剤等の接合材でそれぞれ接合される。また、ロウ材又は半田接合のために、メタライズ層にメッキ層を形成し、接合材として、ロウ材又は半田を用いて接合してもよい。ロウ材は、例えば、銀−銅ロウ等、また、半田は、例えば、金−錫半田等からなる。
【0048】
また、回路基板22は、導電性部材14a及び導電性部材14bを枠体6に嵌合し、対向する面を接合した後、導電性部材14aの上面に電子部品3を搭載してもよい。また、回路基板22は、導電性部材14aに電子部品3を搭載した後、導電性部材14a及び導電性部材14bを枠体6に嵌合し、対向する面を接合してもよい。また、導電性部材14は、導電性部材14a及び導電性部材14bの2個で構成されているが、これに限らず、3個以上としてもよい。
【0049】
また、回路基板22は、導電性部材14の一部が枠体6の内側に露出して構成されているので、導電性部材14に搭載された電子部品3から発生する熱を効果的に外部に放散することができる。また、回路基板22は、枠体6が導電性部材14の上面及び下面を枠体6の内側に露出させる構造で構成されているが、枠体6が導電性部材14の上面及び下面の少なくとも一方を枠体6の内側に露出させる構造で構成されてもよい。このような構成により、回路基板22は、導電性部材14が枠体6で囲まれるため、導電性部材14に対する絶縁性を向上させることができる。
【0050】
また、図7(C)に示すように、枠体6が枠体6の上面から内壁面に切り欠いた形状を有し、導電性部材14が枠体6で囲まれる空間AS内に嵌合される構成としてもよい。このような形状とすることにより、枠体6は、導電性部材14を枠体6で囲まれる空間AS内に安定して嵌合することができる。また、回路基板21は、枠体6と導電性部材4をそれぞれ1個で構成することができ、製造プロセスを削減することができる。
【0051】
また、図7(D)に示すように、導電性部材14が枠体で囲まれる空間AS内に嵌合されるように枠体6の内周部に設けられ、枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置される構成としてもよい。回路基板21は、枠体6及び導電性部材14がそれぞれ1個で構成され、それぞれの構造が簡素化され、製造プロセスを削減することができる。
【0052】
<変形例5>
また、同様に、図8に示すように、枠体6が、導電性材料14と部分的に接触し、枠体6が、導電性部材41と接触していない空隙部SPを形成する構成としてもよい。枠体6は表面に多数の凹凸SRが形成されている。すなわち、図8に示すように、導電性部材14は、枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されており、例えば、接合材等を介して、接合されていない。更に、枠体6と導電性部材14との間に空隙部SPを形成している。このような構成により、回路基板22は、クラック等の発生を抑制することができる。
【0053】
また、図8に示すように、回路基板22は、導電性部材14a及び導電性部材14bが枠体6から露出している構成である。そして、回路基板22は、平面視して、枠体6と導電性部材14が接している上面及び下面の外周部A1の位置で、枠体6と導電性部材14がロウ材等の接合材により接合されているのが好ましい。回路基板22は、外周部A1で枠体6と導電性部材14が接合されることにより、枠体6と導電性部材14を安定的に固定することができる。
【0054】
また、導電性部材14は、枠体6の上面及び下面で、枠体6から露出している。枠体6から露出した導電性部材14の酸化を抑制するために、回路基板22は、枠体6から露出している導電性部材14の上面及び下面の表面上に、例えば、電解メッキ又は無電解メッキ等のメッキ形成方法によって、ニッケル又は金等からなるメッキ層を形成してもよい。また、メッキ層の厚みは、例えば、0.5μm以上3.0μm以下に設定されている。また、回路基板22は、枠体6と導電性部材14の外周部A1がロウ材等の接合材で接合されているので、メッキ層を形成する際に、回路基板22は、枠体6と導電性部材14の外周部A1から回路基板22の内部にメッキ液が浸入するのを抑制することができる。
【0055】
また、回路基板22は、外周部A1で枠体6と導電性部材14が接合されているので、枠体6と導電性部材14の外周部A1から気密漏れが発生するのを抑制することができる。
【0056】
<変形例6>
上記実施形態に係る電子装置1は、電子部品3が、回路基板2の最上層に位置する回路板7上に形成された導電層8と電気的に接続される構成としているが、これに限らない。図9に示すように、回路基板32は、基体5の表面又は枠体6の表面に凹凸SRが形成され、導電性部材4は、基体5又は枠体6の表面の凹凸SRと接触するように配置されている。すなわち、導電性部材4は、基体5又は枠体6の表面の凹凸SRと接触しているのみであり、例えば、接合材等を介して、接合されていない。また、回路板7は、基体5又は枠体6と同様に、回路板7の表面に凹凸SRが形成されてもよい。回路基板32は、クラック等の発生を抑制することができる。
【0057】
また、回路基板32は、枠体6の空間部ASに収容される導電性部材24を配線板として構成してもよい。回路板7は、導電性部材24の一主面を露出させる開口部B1を有している。すなわち、電子装置31において、電子部品3が、回路板7に設けられた開口部B1から露出する導電性部材24の突起部PRと電気的に接続されている。なお、導電性部材24は、電子部品3に対して、配線としての機能を有する配線板となる。
【0058】
導電性部材24aは、回路板7の開口部B1から露出した一方の突起部PRが電子部品3と、他方の突起部PRがリード端子10と、それぞれ電気的に接続される。また、導電性部材24bは、回路板7の開口部B1から露出した一方の突起部PRが電子部品3と、他方の突起部PRがリード端子10と、それぞれ電気的に接続される。なお、電子部品3は、開口部B1から露出した導電性部材24の突起部PRと、例えば、導電性ワイヤで電気的に接続される。
【0059】
また、リード端子10は、開口部B1から露出した導電性部材24の突起部PRと、例えば、金−錫半田等で接合される。なお、リード端子10は、例えば、鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金又は銅等からなる。電子装置31は、リード端子10を介して、例えば、リボンボンディング法やワイヤボンディング法等の電気的接続手段により、外部回路基板等に接続される。なお、枠体6の空間部ASに2個の導電性部材24が収容されているが、これに限らず、1個又は3個以上の複数個の導電性部材24が収容されてもよい。
【0060】
このような構成とすることにより、導電性部材24が外部に放熱させる機能を備えるとともに、導電性部材24が電子部品3に電気信号を伝送するための配線板としての機能を備えることができる。
【0061】
また、回路基板32は、枠体6の空間部ASに導電性部材24を収容するため、複数の導電性部材24を収容してもそれぞれの導電性部材24の絶縁性が向上し、導電性部材24間での電気的短絡を抑制することができる。
【0062】
また、導電性部材24の電気抵抗値は、1×10−8(Ω・m)以上10×10−8(Ω・m)以下に設定されている。このような電気抵抗値に設定することにより、回路基板32は、電気信号が電気抵抗によって損失するのを抑制することができ、電気信号を効率良く伝送することができる。
【0063】
また、回路基板32は、導電性部材24との電気的な接続に限らず、更に、回路板7上に導電層8を形成することによって、例えば、コンデンサや抵抗器等の電子部品3を搭載し、電気的に接続することができる。結果として、回路基板32は、電子部品3に対する配線の設計の自由度を向上することができる。また、回路基板32は、多種の電子部品3を搭載することができ、多機能化、小型集積化することができる。
【0064】
<変形例7>
また、同様に、図10に示すように、回路基板42が、枠体6a及び枠体6bの空間部ASに収容される導電性部材24及び導電性部材34を配線板として構成してもよい。すなわち、枠体6aの空間ASに導電性部材24を収容し、枠体6bの空間ASに導電性部材34を収容して、回路板7bを介して導電性部材24及び導電性部材34を2層の積層構造としてもよい。なお、回路板7bは、枠体6a及び回路板7aに対しては、基体5と同じように、基体としての機能も備えている。このような構成とすることで、回路基板42は、回路板7a上に複数個の電子部品3を効果的に搭載することができる。なお、電子部品3が搭載されることにより、電子装置41となる。
【0065】
また、導電性部材24及び導電性部材34を絶縁性の基体を介して積層しているので、導電性部材24及び導電性部材34間の電気的短絡を抑制することができる。
【0066】
また、回路基板42が回路板7aに導電層8を形成して構成される場合と比較して、回路基板42は、導電性部材24及び導電性部材34を配線板として積層して配置し、電子部品3を配線板によって配線するので、平面視したとき、配線を交差して配置することができる。結果として、回路基板42は、電子部品3に対する配線の設計の自由度を増加させることができ、また、小型化することができる。
【0067】
また、回路基板42は、2層の積層構造としているが、これに限らず、3層以上の積層構造としてもよい。回路基板42は、導電性部材24及び導電性部材34の積層構造を増やすことにより、より多くの電子部品3を搭載することができる。また、回路基板42は、電子部品3に対する配線の設計の自由度を増加させることができ、また、小型化することができる。
【0068】
<変形例8>
上記実施形態及び変形例は、電子装置が、1種類の回路基板で構成されているが、これに限らない。電子装置51が、上記実施形態及び変形例に係る回路基板を組み合わせた回路基板52で構成されてもよい。すなわち、図11に示すように、電子装置51は、左側領域L1には、上記実施形態で示した回路基板2と同様な構成を配置し、右側領域R1には、変形例4で示した回路基板22と同様な構成を配置し、2種類の回路基板を組み合わせた回路基板52で構成してもよい。このような構成とすることにより、回路基板2及び回路基板22と同様な効果を有するとともに、左側領域L1の回路基板2の電子部品3で発生した熱が、導電性部材4を経由して外部に放熱されるだけでなく、右側領域R1の回路基板22の導電性部材14を経由して外部に放熱される。結果として、電子装置51は、電子部品3で発生した熱を効果的に外部に放熱することができる。また、組み合わせる回路基板の種類は、3種類の回路基板で組み合わせてもよく、それ以上を組み合わせでもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、11、21、31、41、51 電子装置
2、12、22、32、42、52 回路基板
3 電子部品
4、14、24、34 導電性部材
5 基体
6、6a、6b 枠体
7、7a、7b 回路板
8 導電層
9 接合材
10 リード端子
AS 空間
SP 空隙部
PR 突起部
SR 凹凸
A1 外周部
B1 開口部
L1 左側領域
R1 右側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基体と、
前記主面に設けられる枠体と、
前記主面に設けられ、前記枠体で囲まれる空間内に収容される導電性部材と、を備え、
前記基体の表面および前記枠体の表面の少なくとも一方には凹凸が形成されており、該表面と前記導電性部材とが接触していることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板であって、
前記枠体上には、前記導電性部材を前記基体とで挟持する回路板がさらに設けられていることを特徴とする回路基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回路基板であって、
前記基体又は前記枠体は、前記導電性部材と接触していない空隙部を有していることを特徴とする回路基板。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の回路基板であって、
前記回路板は、前記導電性部材の一主面を露出させる開口部を有していることを特徴とする回路基板。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回路基板であって、
前記基体又は前記枠体の表面の凹凸は、算術平均粗さ(Ra)が1〜10μmであることを特徴とする回路基板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の回路基板と、
前記回路基板上に設けられ、前記回路基板に電気的に接続される電子部品と、
を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項7】
凹凸は枠体の表面に形成されており、
導電性部材は、前記枠体で囲まれる空間内に嵌合されるように前記枠体の内側に設けられており、前記導電性部材は、前記枠体の前記表面と接触するように配置されていることを特徴とする回路基板。
【請求項8】
請求項7に記載の回路基板であって、
前記導電性部材は、少なくとも一部が前記枠体の内側に露出していることを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−138838(P2011−138838A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296500(P2009−296500)
【出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】