説明

回路形成システム

【課題】 基板に回路パターンを精度よく形成することのできる回路形成システムを提供する。
【解決手段】 ダイレクト露光装置が、予め作成した理論回路パターンの設計データに基づいて、基板上のレジストに直接に回路パターンを露光する(ステップS2)。その後、現像処理(ステップS3)およびエッチング処理(ステップS4)を施した後に、基板上に形成された実回路パターンの画像データを撮像装置で取得して所定のデータに変換し、回路パターンを所定の複数領域に分割する。この分割領域単位で、実回路パターンと理論回路パターンのパターン幅の偏差を求めて補正し、補正回路パターンを作成する(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、樹脂基板、およびフレキシブル基板などを含むプリント配線基板に回路パターンを形成する回路形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回路パターンの露光処理および現像処理を行った基板に対してエッチング処理を施した場合、エッチングのズレや、導体幅が太すぎたり(線太り)、細すぎたりして(線細り)パターン幅にバラツキが生じる。この線太りや線細りを抑制するために、従来の回路形成システムでは、CAD(Computer Aided Design)により予め作成した回路パターンのパターン幅に基づいて、回路パターンの導体幅を計測し、その結果に応じてエッチング処理工程における、ラインスピード、エッチング液濃度、エッチング液のスプレー圧などの条件を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−207611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のプリント配線板製造装置は、リアルタイムに回路パターンを計測しながら導体幅を調節するので製品の良否判定を逐次にするのに有用である。しかしながら、近年、高密度実装技術の要求にともない、回路パターンのパターン幅がより微細になる傾向にある。したがって、従来システムのように、回路パターンの導体幅を個々に計測しながらエッチング条件を制御するのは困難な状況にある。エッチング条件を満たした制御ができなくなると、特に、パターンの密集する箇所やパターン同士のピッチが狭いような箇所ではショートしたり、結線の位置がズレて断線したりするといった問題がある。
【0004】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、微細な回路パターンを精度よく加工することのできる配線基板の回路成形システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するために次のような構成をとる。
【0006】
第1の発明は、回路パターンを基板に形成する回路形成システムであって、
予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光するマスクレス露光手段と、
露光された前記回路パターンを現像する現像手段と、
現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得るエッチング手段と、
前記実回路パターンの画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得した実回路パターンの画像を分割し、前記実回路パターンのパターン幅と、前記理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成し、当該補正回路パターンを前記マスクレス露光手段にフィードバックする補正回路パターン演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
(作用・効果) 第1の発明によると、マスクレス露光手段は、予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光する。現像手段は、露光された回路パターンを現像する。エッチング手段は、現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得る。撮像手段は、エッチングされた基板の回路パターンの画像を撮像する。補正回路パターン演算手段は、撮像手段により取得した実回路パターンの画像を分割し、実回路パターンのパターン幅と、理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成し、当該補正回路パターンをマスクレス露光手段にフィードバックする。
【0008】
すなわち、この構成によれば、基板上の領域を分割して分割領域ごとのパターン幅の偏差に応じて、理論回路パターンを細かく補正した補正回路パターンが得られる。この補正回路パターンを露光手段にフィードバックさせて新たな露光処理に利用し、その後に現像処理およびエッチング処理を行なうことにより、一般に装置内のどの場所で処理されたかに起因して現像、エッチングにおいて発生する先に形成した回路パターンのパターン幅のバラツキは解消される。したがって、回路パターンが密集している箇所に応じては、パターン同士がショートすることない適正なピッチを有するとともに、パターン同士の結線の断線を回避することができ、高精度の回路パターン成形が可能となる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量に応じて、前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンのスケール補正を行なうスケール補正手段を備えることを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) 第2の発明によると、回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量を考慮した補正回路パターンを得ることができるので、より高精度な回路パターン形成が可能となる。なお、補正回路パターンを得ることは、スルーホール加工された穴に合せて回路パターンを形成するような場合には不可欠となる。
【0011】
第3の発明は、回路パターンを基板に形成する回路形成システムであって、
予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光するマスクレス露光手段と、
露光された前記回路パターンを現像する現像手段と、
現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得るエッチング手段と、
前記実回路パターンの画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得した実回路パターンの画像を分割し、前記実回路パターンのパターン幅と、前記理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成する補正回路パターン演算手段と、
前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンに基づいて、露光処理用のマスクを作成するマスク作成手段と、
前記マスク作成手段により作成された補正回路パターンに基づくマスクを利用し、基板上に形成されたレジストに回路パターンを露光する露光手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(作用・効果) 第3の発明によると、マスクレス露光手段は、予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光する。現像手段は、露光された回路パターンを現像する。エッチング手段は、現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得る。撮像手段は、エッチングされた基板の実回路パターンの画像を撮像する。補正回路パターン演算手段は、撮像手段により取得した回路パターンの画像を分割し、実回路パターンのパターン幅と、理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成する。なお、偏差の補正は、例えば、隣合う分割画像間を滑らかに連続させるように行なう。マスク作成手段は、補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンに基づいて、露光用のマスクを作成する。露光手段は、マスク作成手段により作成された補正回路パターンに基づくマスクを利用し、基板上に形成されたレジストに回路パターンを露光する。
【0013】
すなわち、この構成によれば、基板上の領域を分割して分割領域ごとの実回路パターンと理論回路パターンの両パターン幅の偏差に応じて、理論回路パターンを細かく補正した補正回路パターンが得られる。この補正回路パターンに基づいて露光処理用のマスクが作成される。したがって、補正後の理論回路パターンに基づいて作成されるマスクを利用して、新たな露光処理を行なうことにより、先に形成した回路パターンにおいて主に現像・エッチングによって引起されるパターン幅のバラツキによって発生するパターン同士のショートや、結線箇所の断線を回避した高精度の回路パターンを基板に形成することができる。
【0014】
また、マスクレス露光手段からマスクを利用した露光手段に切り替えることにより、高精度な回路パターンを有する基板の生産効率の向上を図ることができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量に応じて、前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンのスケール補正を行なうスケール補正手段を備えることを特徴とする。
【0016】
(作用・効果) 第4の発明によると、回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量を考慮した補正回路パターンを得ることができ、この補正回路パターンを利用してマスクを作成することにより、より高精度の回路パターンを効率よく形成することができる。したがって、両面基板など別の層の回路間を接続するスルーホールなどの既に加工された回路パターンと高精度に位置決めされた回路パターンを基板上に形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る回路形成システムによれば、微細な回路パターンを精度よく基板に形成することができる。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の配線基板の回路刑形成システムを説明する。
【0019】
図1は、本実施例に係る回路形成システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施例の回路形成システム1Aは、配線基板(以下、単に「基板」という)に形成する回路パターンをCADによって設計するコンピュータ2と、コンピュータ2からの設計情報に基づいて、レジストの塗工された基板に回路パターンを露光する第1露光装置3と、露光処理後の基板に現像処理を行なう現像装置4と、現像処理後の基板にエッチング処理を行なうエッチング装置5と、エッチング処理後の回路パターンを検査する検査装置6と、これら各装置2〜6を総括的に制御する主制御装置7とを含む構成となっている。以下、各装置の構成について具体的に説明する。
【0021】
コンピュータ2は、単位配線基板分の回路パターンをCADにより設計し、設計データを回路設計において標準的なGerberフォーマットにして、後述する主制御装置7に送信する。なお、回路パターンは、導体となる部分と、導体間および基板上のそれ以外の領域を含むものである。なお、設計データは、Gerberフォーマットに限定されるおんではなく、CADに利用される種々のフォーマットのものが利用できる。
【0022】
第1露光装置3は、マスクを利用せずに基板面上のレジスト層に回路パターンを直接に形成するマスクレス露光装置であり、基板面上に塗工された感光性樹脂からなるレジスト層に紫外線を照射して化学作用による重合あるいは分解し、回路パターンの設計データの基づく潜像を形成する。マスクレス露光装置としては、例えば、レーザースキャン方式やDMD方式(Digital Micro Mirror Device)、液晶方式などを利用することができる。なお、第1露光装置3は、本発明のマスクレス露光手段に相当する。
【0023】
現像装置4は、露光後の感光樹脂に現像液を吹きつけて、(ポジレジストの場合)光の当った不要部分または(ネガレジストの場合)光の当っていない不要部分を除去し、現像液の洗浄処理および乾燥処理を基板に施してレジストパターンを形成する。現像方法としては、例えば、形成する回路パターン形状にレジストを残し、エッチングするサブトラクティブ法や、形成する回路パターン形状に、導体層を露出させてメッキするセミアディティブ法などが利用される。なお、現像装置4は、本発明の現像手段に相当する。
【0024】
エッチング装置5は、現像処理後の基板をエッチング処理する。レジストパターンから露出する導体層をエッチングにより除去し、次いで、レジストパターンを除去して回路パターンを形成する。なお、エッチング装置5は、本発明のエッチング手段に相当する。
【0025】
検査装置6は、CCDカメラから成る撮像装置8と、補正回路装演算部9とを含む構成となっている。なお、各構成装置については、本実施例システム1の一連の処理説明にて具体的に説明する。なお、撮像装置8については、CMOSカメラなどCCDカメラ以外のものを用いることもできる。
【0026】
次に、上記実施例システムの一連の処理を図1に示すブロック図および図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
コンピュータ2により基板に応じた回路パターンを設計し、設計データを主制御装置7に送信する(ステップS1)。
【0028】
主制御装置7に含まれる露光制御装置10は、設計データに基づいて第1露光装置3を制御する。第1露光装置3は、ドライフィルムレジスト(DFR)が面上にラミネートされた状態で搬送されてくる基板に、紫外線を照射して直接に回路パターンを露光する(ステップS2)。 なお、ドライフィルムレジストがラミネートされた基板に代えて、液体レジストが塗工された基板を用いても良い。
【0029】
露光処理後の基板は現像装置4に搬送される。現像装置4は、現像液をレジストに塗布して不要部分を除去し、現像液の洗浄処理および乾燥処理を施して、回路パターンをレジストに現像する(ステップS3)。
【0030】
現像処理後の基板は、エッチング装置5に搬送される。エッチング装置5は、目的の回路パターンを得るためにレジストによってマスクされた基板にエッチング処理を施し、基板面上に回路パターンを形成する(ステップS4)。
【0031】
エッチング処理された基板は、、レジストを剥離された後、検査装置6に搬送される。検査装置6は、搬送されてきた基板の位置合わせを行ない、基板上部に配備した撮像装置8で基板面を撮像し、基板面の画像データを取得する(ステップS5)。なお、撮像装置6は、本発明の撮像手段に相当する。
【0032】
取得された画像データは、補正回路演算部9に送信される。補正回路演算部9は、図3(a)に示す画像データを、例えば2値化処理を施し、図3に示すように、基板面を所定の複数領域A〜Fに分割する。そして、初期設計で作成した回路パターン(以下、「理論回路パターン」という)のパターン幅と実回路パターンのパターン幅を分割領域単位で比較し、分割領域ごとに偏差を求める(ステップS6)。
【0033】
分割領域ごとのパターン幅の比較によって求まる偏差の平均値(以下、「平均偏差」という)を算出し、当該分割領域ごとの平均偏差と、予め決めた基準値との比較を分割領域ごとに行なう(ステップS7)。比較の結果、平均偏差が基準値よりも大きい場合は、実回路パターンのパターン幅のバラツキが大きく、線太りや線細りの発生と判定される。平均偏差が基準値より小さい場合は、その分割領域の回路パターンに線太りや線細りが発生していないと判定する。
【0034】
線太りや線細りと判定された分割領域については、例えば、実回路パターンのパターン幅の平均値を算出し、当該平均値を当該分割領域に含まれる回路パターンのパターン幅として設定し、理論回路パターンの設計情報を分割領域ごとに理論回路パターンと実回路パターンのパターン幅の偏差で補正処理を行なう。つまり、補正回路パターンを作成する(ステップS8)。なお、分割領域ことの補正は滑らかにつながるように補正する。この補正回路パターンは、初期設計の回路パターンの設計データと同じGerberフォーマットに変換して主制御装置7にフィードバックされる。なお、補正回路パターンの設計データが主制御装置7にフィードバックされるまでは、次の処理対象の基板は、第1露光装置3に搬送されて露光処理前の待機状態にある。なお、補正回路演算部9は、本発明の補正回路パターン演算手段に相当する。
【0035】
主制御装置7の露光制御部10は、フィードバックされた補正回路パターンの設計データに基づいて、第1露光装置3を制御し、新たな回路パターンを待機状態ある基板のレジストの直接に露光し、ステップS2からステップS7の処理を行なう。そして、ステップS7において、基板面の分割領域ごとの実回路パターンのパターン幅が、基準値以内に収まっていると、ステップS2〜ステップS8の処理を終了して量産を開始する(ステップS10)。以上で一連の処理が終了する。
【0036】
以上のように、エッチング処理後の回路パターンの画像データから求めた実回路パターンを、所定の複数領域に分割し、当該分割領域単位で初期設計の理論回路パターンのパターン幅との偏差を求め、分割領域ごとにパターンを補正し、補正回路パターンを求めることにより、回路パターン本数である母数の小さい状態で補正を行なうことができる。したがって、微細な回路パターンを形成する場合に有効に機能し、高精度な回路パターンを形成することができる。
【実施例2】
【0037】
本実施例は、実施例1の回路形成システム1Aにマスク作成装置と第2露光装置を加えた以外の構成装置については実施例1と同じであるので、同じ装置構成については同一符号を付すに留め、異なる装置構成について具体的に説明する。
【0038】
図4は、本実施例に係る回路形成システムの構成を示すブロック図である。
【0039】
本実施例の回路形成システム1Bのマスク作成装置11は、補正回路演算部9によって作成された補正回路パターンに基づいて露光用のマスクを作成する。
【0040】
第2露光装置12は、例えば、密着露光装置、プロキシミティ露光装置、および反射投影露光であり、マスク作成装置11で作成されたマスクが組み込まれ、当該マスクを利用して、基板上に形成されたレジストを露光する。なお、第2露光装置12は、本発明の露光手段に相当する。
【0041】
本実施例システムの一連の処理を図4に示すブロック図および図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本実施例の処理ステップS11からステップS18は、実施例1の処理を示す図2のフローチャートのステップS1からステップS8までの処と同じであるので説明を省略し、異なる処理であるステップS12およびステップS13について説明する。
【0042】
ステップS17において、分割領域ごとのパターン幅の平均偏差の全てが基準値より小さい場合は、現時点の補正回路パターンが線太りや線細りの発生しない最適な回路パターンである判定される。
【0043】
この補正回路パターンの設計データは、マスク作成装置11に送信される。マスク作成装置11は、この設計データに基づいてマスクを作成する(ステップS19)。作成されたマスクは、第2露光装置13に組み込まれる。そして、以後、ドライフィルムレジストのラミネートされた基板は、第2露光装置11に搬送されて量産が開始される(ステップS20)。以上で、一連の処理が終了する。
【0044】
上述のように、エッチング処理後に発生する回路パターンのパターン幅のバラツキを解消した補正回路パターンを新たに設計し、当該設計データに基づいて作成したマスクを利用して回路パターンを生成することにより、微細な配線パターンであっても、高精度に形成することができる。また、マスク作成後は、マスクレス露光装置である第1露光装置3からマスクを利用した第2露光装置に切り換ることにより、生産効率の向上を図ることができる。
【0045】
なお、本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0046】
(1)上記実施例1では、エッチング処理を繰り返して行ない、理論回路パターンと補正回路パターンとの偏差が解消した時点で量産を開始し、図2に示すフローチャートのステップS2の露光処理からステップS8までの補正回路パターン作成の処理を終了していたが、量産を開始しても、実回路パターンのパターン幅の平均偏差が基準値以内に収まっているか否かをモニタリングし、モニタリングの結果、基準値を超えた場合は、同処理を繰り返してもよい。
【0047】
(2)上記各実施例では、エッチング処理後の実回路パターンと理論回路パターンの偏差を利用して補正回路パターン作成していたが、各装置で基板に処理を施したときに発生する基板に歪みや伸縮のスケール補正を行なうスケール補正演算部を加えてもよい。例えば、図6に示すスケール補正演算部13は、エッチング処理後の基板の変化量に基づく回路パターンの変化と、理論回路パターンとを比較して実回路パターンを補正する。なお、この補正値は、基板全体の変化量から求めたものであってもよいし、基板面の分割領域ごとに求めた補正値であってもよい。この構成によれば、より高精度に微細な回路パターンを形成することができる。なお、スケール補正演算部13は、本発明のスケール補正演算手段に相当する。
【0048】
なお、スケール補正演算部13を補正回路演算部9の前段に配置し、スケール補正後に、補正回路演算部9により、線太り、線細りの補正を行っても良い。
【0049】
(3)上記実施利1では、主制御装置7に露光制御部10が含まれているが、露光制御部10が分離独立していてもよい。また、検査装置6に含まれる補正回路演算部9も検査装置とは別の装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1に係る回路形成システムの全体構成を示すブロックである。
【図2】実施例1に係る回路形成システムの処理を示すフローチャートである。
【図3】検査処理時の基板状態を示す図である。
【図4】実施例2に係る回路形成システムの全体構成を示すブロックである。
【図5】実施例2に係る回路形成システムの処理を示すフローチャートである。
【図6】変形例システムの全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
2 … コンピュータ
3 … 露光装置
4 … 現像装置
5 … エッチング装置
6 … 検査装置
7 … 主制御装置
8 … 撮像装置
9 … 補正回路演算部
10 … 露光制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンを基板に形成する回路形成システムであって、
予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光するマスクレス露光手段と、
露光された前記回路パターンを現像する現像手段と、
現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得るエッチング手段と、
前記実回路パターンの画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得した実回路パターンの画像を分割し、前記実回路パターンのパターン幅と、前記理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成し、当該補正回路パターンを前記マスクレス露光手段にフィードバックする補正回路パターン演算手段と、
を備えたことを特徴とする回路形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の回路形成システムにおいて、
回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量に応じて、前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンのスケール補正を行なうスケール補正手段を備える
ことを特徴とする回路形成システム。
【請求項3】
回路パターンを基板に形成する回路形成システムであって、
予め作成した理論回路パターンの設計情報に基づいて、基板上に形成されたレジストに直接に回路パターンを露光するマスクレス露光手段と、
露光された前記回路パターンを現像する現像手段と、
現像された前記基板をエッチングして実回路パターンを得るエッチング手段と、
前記実回路パターンの画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得した実回路パターンの画像を分割し、前記実回路パターンのパターン幅と、前記理論回路パターンのパターン幅を分割画像単位で比較して偏差を求め、当該偏差を補正した補正回路パターンを作成する補正回路パターン演算手段と、
前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンに基づいて、露光処理用のマスクを作成するマスク作成手段と、
前記マスク作成手段により作成された補正回路パターンに基づくマスクを利用し、基板上に形成されたレジストに回路パターンを露光する露光手段と、
を備えたことを特徴とする回路形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載の回路形成システムにおいて、
回路パターンを基板に形成する過程で発生する基板の歪みや伸縮による基板の変化量に応じて、前記補正回路パターン演算手段により作成された補正回路パターンのスケール補正を行なうスケール補正手段を備える
ことを特徴とする回路形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−303229(P2006−303229A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123729(P2005−123729)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】