回路構成体および電気接続箱
【課題】放熱性を確保したまま小型化することが可能な回路構成体および電気接続箱を提供する。
【解決手段】複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22と、前記ベース基板22の表面または裏面に実装される電子部品23とを備えた回路構成体20であって、前記ベース基板22は、前記導電部材31を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなる回路ユニット30を、回路基板40に組み付けてなるものであり、前記ベース基板22の表面または裏面には放熱部材26が備えられている。
【解決手段】複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22と、前記ベース基板22の表面または裏面に実装される電子部品23とを備えた回路構成体20であって、前記ベース基板22は、前記導電部材31を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなる回路ユニット30を、回路基板40に組み付けてなるものであり、前記ベース基板22の表面または裏面には放熱部材26が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体および電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の導電部材により構成された回路パターンを有し、その表面または裏面に電子部品が実装された回路構成体が知られている(例えば特許文献1)。この回路構成体は、金属製の板材を所定形状に打ち抜いて、回路パターンと放熱板とを成形し、この板材を、放熱板の一部分と回路パターンの端子部とを残して絶縁性材料でモールドしてなるものである。放熱板を設けることで、通電時に電子部品から発生した熱が放熱板から放散されるようになっており、電子部品やその周辺に熱が蓄積されて回路構成体に実装されている他の電子部品等に悪影響を与えることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−24620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路構成体をケース内に収容し、車両のエンジンルーム内に格納して使用する場合には、エンジンルーム内のスペースに限りがあるため、できるだけ回路構成体を小型化することが重要である。しかし、上記のような構成の回路構成体は、放熱板と、回路パターンを構成する全ての導電部材とが、面方向に並んでいるため、面積が大きくなってしまうという問題があった。そこで、放熱性を確保したまま、回路構成体を小型化するための工夫が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性を確保したまま小型化することが可能な回路構成体および電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回路構成体は、複数の導電部材により構成された回路パターンを有するベース基板と、前記ベース基板の表面または裏面に実装される電子部品とを備えた回路構成体であって、前記ベース基板は、前記導電部材を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部をモールド成形してなる回路ユニットを、回路基板に組み付けてなるものであり、前記ベース基板の表面または裏面には放熱部材が備えられている。
【0007】
このような構成によれば、電子部品から発生した熱は放熱部材から放散されるので、回路構成体の放熱性を確保することができる。また、全ての導電部材を面方向に並べて配置する場合に比べてベース基板の面積が小さくなるから、回路構成体の小型化を図ることができる。すなわち、回路構成体を、放熱性を確保したまま小型化することができる。
【0008】
また、前記回路ユニットは、前記回路基板の表面または裏面に沿って配置される板部と、前記電子部品の端子部が接続される部品接続部とを有し、前記部品接続部は、前記板部から突出する形態をなすとともに前記回路基板に形成された嵌合部に嵌合しているものとしてもよい。
【0009】
このような構成によれば、回路ユニットの部品接続部と回路基板の表面または裏面との間の段差を小さくすることができるから、その分、回路ユニットと回路基板との双方に接続する電子部品の端子部の長さ寸法を小さくすることができ、もって電子部品の小型化を図ることができる。
【0010】
また、前記回路ユニットの部品接続部は、表裏に重ねて配置された前記導電部材のうち一方の導電部材の部品接続部が、他方の導電部材の部品接続部側に突出して設けられたものとしてもよい。このような構成によれば、表裏に重ねて配置された導電部材の部品接続部の間の段差が小さくなる。ここで、導電部材を表裏に重ねて配置し、その両導電部材に一の電子部品を接続する場合には、両導電部材の表裏方向の段差分だけ電子部品の端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、表裏に重ねて配置された導電部材の部品接続部の間の段差が小さくなるから、その分端子部の長さ寸法を小さくすることができ、もって電子部品の小型化を図ることができる。
【0011】
また、前記放熱部材は、前記回路基板の表面または裏面のうち前記板部が配置される側の面に備えられているものとしてもよい。
また、前記放熱部材は、前記ベース基板の表面または裏面に密着して備えられているものとしてもよい。このような構成によれば、ベース基板と放熱板との間に空気層が存在する場合に比べて放熱性を良くすることができる。
【0012】
また、少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部との間には隙間が設けられているものとしてもよい。ここで、回路ユニットの部品接続部は、電子部品の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部との間に隙間が設けられていることで、電子部品からの熱が回路基板側に伝達しにくくなる。これにより、回路基板に耐熱性の低い電子部品が実装されている場合等に有利である。
【0013】
また、少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部とは一続きに設けられているものとしてもよい。ここで、回路ユニットの部品接続部は、電子部品の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部とが一続きに設けられていることで、電子部品からの熱が回路基板側に伝達しやすくなる。これにより、電子部品の熱は回路基板側まで分散して放散されるから、放熱効率を向上することができる。
【0014】
本発明の電気接続箱は、前記回路構成体をケースに収容してなる。
また、前記ケースには、前記放熱部材を同ケースの外部へ露出させる開口部が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、ケース内に熱がこもりにくくなるから、電気接続箱の放熱性を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放熱性を確保したまま小型化することが可能な回路構成体および電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる電気接続箱の外観斜視図
【図2】同断面図
【図3】放熱板が備えられたベース基板の外観斜視図
【図4】回路基板および回路ユニットの外観斜視図
【図5】第1導電部材および第2導電部材の外観斜視図
【図6】放熱板が備えられたベース基板を裏側から見た外観斜視図
【図7】第1ケースが一体に形成されたベース基板の外観斜視図
【図8】同表面図
【図9】図8のA−A断面図
【図10】図8のB−B断面図
【図11】図8のC−C断面図
【図12】第1ケースが一体に形成されたベース基板を裏側から見た外観斜視図
【図13】同裏面図
【図14】電気接続箱の裏面図
【図15】回路構成体にコネクタハウジングを取り付ける前の状態を表す斜視図
【図16】回路構成体に第2ケースを被せる前の状態を表す斜視図
【図17】他の実施形態(8)にかかる第1ケースが一体に形成されたベース基板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図16を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における電気接続箱10は、バッテリー等の電源(図示せず)と、ヘッドランプ、ワイパー等の車載電装品(図示せず)との間に接続されて、各種車載電装品の通断電制御を行うものである。以下、各構成部材において、図2の上側を上方、下側を下方、左側を表方、右側を裏方として説明する。
【0018】
電気接続箱10は、回路構成体20をケース60内に収容してなるものである。
回路構成体20は、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22を備え、このベース基板22の表面に半導体スイッチング素子23等の電子部品が実装されてなるものである。
【0019】
半導体スイッチング素子23は、本体部23Aと、本体部23Aの裏面に設けられた図示しないドレイン端子(電力用端子)と、本体部23Aの側面に突出して設けられたゲート端子23B(制御用端子)およびソース端子23C(電力用端子)とを有している。なお、ドレイン端子およびソース端子23Cが、それぞれ本発明の電子部品の端子部に該当する。半導体スイッチング素子23の各端子は、半田付け等の公知の手法によりベース基板22に接続されている。
【0020】
ベース基板22は、図3に示すように、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有する回路ユニット30が、回路基板40に組み付けられてなるものである。
回路ユニット30は、導電部材31を表裏に重ねて所定の間隔を空けて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなるものである(図4参照)。表裏に重ねて配置された導電部材31のうち一方は、電源からの電力が供給される入力回路を構成し、他方は電力を外部へ出力する出力回路を構成している。なお、入力回路を構成する導電部材31を第1導電部材31A、出力回路を構成する導電部材31を第2導電部材31Bと称する。
【0021】
回路ユニット30は、平板状をなす板部33と、この板部33から板厚方向に突出して設けられた部品接続部24とを有している。板部33は、回路基板40の裏面に沿って配置され、部品接続部24には、半導体スイッチング素子23のドレイン端子およびソース端子23Cが接続されている。部品接続部24は、第1導電部材31Aのうち半導体スイッチング素子23のドレイン端子が電気的に接続される第1部品接続部34Aと、第2導電部材31Bのうち半導体スイッチング素子23のソース端子23Cが電気的に接続される第2部品接続部34Bとからなる。
【0022】
第1導電部材31Aは金属製であって、全体として略矩形の板状に加工されたものである(図5参照)。第1導電部材31Aは、板部33と、第1部品接続部34Aとを有している。
第1部品接続部34Aは、板部33から表側に突出して設けられるとともに、板部33の長手方向の一端から他端にわたり直線状に延びている。第1部品接続部34Aの板部33からの突出寸法は、回路基板40の板厚寸法と同等であり、全体にわたり一定とされている(図2参照)。なお、第1部品接続部34Aは、板部33の短手方向(上下方向)の中間部に設けられている。
【0023】
板部33は、全体として厚さ寸法が一定の薄い板状をなしている。板部33のうち第1部品接続部34Aよりも上側の部分には、第2導電部材31Bが所定の間隔を空けて重ねて配置されている。板部33のうち第2導電部材31Bが重ねて配置される部分には、板部33の長手方向に沿って長い長円形状をなす貫通孔35Aが複数形成されている。なお、各貫通孔35Aの周面は絶縁部32に覆われている。
【0024】
板部33のうち第2導電部材31Bが重ねて配置される部分よりも外側には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第1端子接続孔36と称する)が複数設けられている。各第1端子接続孔36は略円形をなし、板部33を表裏方向に貫通している。なお、第1端子接続孔36は、貫通孔35Aよりも若干上方寄りの位置に形成され、板部33の上縁に沿って配置されている。
【0025】
また、板部33には、回路ユニット30を回路基板40に固定するためのユニット固定孔37が設けられている。ユニット固定孔37は、略円形をなして板部33を表裏方向に貫通している。ユニット固定孔37は、板部33の上縁および下縁に沿って、所定の間隔をあけて複数並んで設けられている。
【0026】
第2導電部材31Bは、金属板材をプレス加工することにより所定の形状に形成されてなるものである。第2導電部材31Bの板厚寸法は回路基板40の板厚寸法よりも薄く、全ての第2導電部材31Bにおいてほぼ等しくされている。
【0027】
第2導電部材31Bは、一の第1導電部材31Aに対して複数(本実施形態では5枚)並べて配置されている。複数の第2導電部材31Bは、互いに所定の間隔を空けて第1導電部材31Aの第1部品接続部34Aの長さ方向に沿って並べられている。
【0028】
第2導電部材31Bのうち下縁部(第1部品接続部34Aに沿って配置される部分)は、第2部品接続部34Bとされている。第2導電部材31Bおよび絶縁部32の厚さ寸法を加算した寸法は、第1部品接続部34Aの板部33からの突出寸法と同等とされており、第1部品接続部34Aの突出端面(表側の面)と第2部品接続部34Bの表面(第2導電部材31Bの表面)とは、高さ(回路ユニット30の厚さ方向の位置)が揃っている(図2参照)。そして、第1部品接続部34Aの突出端面と、絶縁部32の表面と、第2部品接続部34Bの表面とは、平坦な面を構成している。
【0029】
各第2導電部材31Bのうち上縁部には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第2端子接続孔38と称する)が複数設けられている。第2端子接続孔38は、略円形をなして第2導電部材31Bを表裏方向に貫通して設けられている。第2端子接続孔38は、各第2導電部材31Bの上縁に沿って配置され、全ての第2導電部材31Bのうちいくつかの第2導電部材31Bに設けられた第2端子接続孔38は、第1導電部材31Aの貫通孔35Aと表裏方向に連なり、貫通孔35Aを介して回路ユニット30の裏面に露出している。また、全ての第2導電部材31Bのうち他の第2導電部材31Bに設けられた第2端子接続孔38は、第1導電部材31Aの上角部に形成された切り欠き部35Bを介して回路ユニット30の裏面に露出している。
【0030】
絶縁部32は、第1導電部材31Aの板部33と第2導電部材31Bとの間、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間、および隣り合う第2導電部材31Bの間に配されてこれらの間を絶縁している。なお、絶縁部32のうち第2端子接続孔38の裏側に位置する部分は、表裏方向に開口している。
【0031】
回路ユニット30は、例えば以下のようにして製造される。まず金属材料を鍛造、圧延、プレス加工または切削加工等して第1導電部材31Aを形成するとともに、金属板材を所定の形状にプレス加工して第2導電部材31Bを形成する。次いで、第1導電部材31Aと第2導電部材31Bとを図示しない成形金型にセットし、絶縁部32をモールド成形する。
【0032】
回路基板40は、ケース60内に収容可能な略矩形をなしている。回路基板40の表面にはプリント配線手段により導電路(図示せず)が形成されている。
回路基板40には、後述する端子金具52を表裏方向に挿通可能な端子挿通孔41が複数箇所に設けられている。端子挿通孔41は、回路ユニット30の第1端子接続孔36の表側に位置する部分に形成され、回路基板40の長手方向に沿って長い略長円形をなし、回路基板40を表裏方向(厚さ方向)に貫通している。この端子挿通孔41を介して第1端子接続孔36はベース基板22の表側に露出している。
【0033】
回路基板40には、回路ユニット30の部品接続部24(板部33を除く部分)が嵌合可能な嵌合部42が形成されている。嵌合部42は、回路基板40の上側角部に形成され、回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bの外形に沿う形状をなして回路基板40の表裏方向に開口している。回路ユニット30の部品接続部24は嵌合部42に嵌合し、回路基板40の表側に露出している。回路ユニット30の部品接続部24の表面と回路基板40の表面とは、高さ(回路基板40の厚さ方向における位置)が揃っており、ベース基板22の表面は平坦な面となっている。そして、回路基板40のうち嵌合部42の周縁部(下縁に沿う部分)には、半導体スイッチング素子23のゲート端子23Bが接続されている。
【0034】
また、回路基板40には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第3端子接続孔43と称する)が複数設けられている。第3端子接続孔43は、回路基板40の上縁部であって嵌合部42の側方に位置する領域に設けられ、回路基板40の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0035】
回路基板40のうち嵌合部42の周縁部であって回路ユニット30のユニット固定孔37と整合する位置には、基板固定孔44が設けられている。各基板固定孔44は、ユニット固定孔37と略同形・同大の円形状をなして回路基板40を表裏方向に貫通している。
【0036】
表裏方向に連なった基板固定孔44とユニット固定孔37とには、樹脂製の固定柱25がモールド成形されている。この固定柱25により回路ユニット30の板部33が回路基板40に固定され、回路ユニット30と回路基板40とが一体に保持されている。
ベース基板22のうち回路ユニット30と回路基板40との間、詳しくは、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bとの間には所定の隙間が設けられている。
【0037】
ベース基板22の裏面(回路ユニット30の板部33が配置される側の面)には、放熱板26(本発明の放熱部材に該当する)が備えられている(図6参照)。放熱板26は、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板であって、全体として略矩形の板状をなし、ベース基板22のうち回路ユニット30の板部33が配置されている部分と、第3端子接続孔43が形成されている部分とを除く領域の全範囲を覆っている。放熱板26の板厚寸法は、回路ユニット30の板部33の厚さ寸法よりも大きくされている。放熱板26は、ベース基板22の裏面に密着した状態で、後述する第1ケース60Aによりベース基板22と一体に保持されている。
【0038】
ベース基板22の表面には、合成樹脂製のコネクタハウジング50が備えられている(図15参照)。コネクタハウジング50は、全体としてベース基板22の長手方向にわたる横長の略箱型をなし、ベース基板22の上縁部に設けられている。コネクタハウジング50は、下方に開口する形状のコネクタ嵌合部51を複数有し、各コネクタ嵌合部51には図示しない電線を介して電源または車載電装品に接続された相手側コネクタが嵌合可能とされている。
【0039】
コネクタハウジング50には、ベース基板22に設けられたネジ孔27に対して表裏方向に連なって配置される図示しないネジ孔が設けられている。そして、ベース基板22のネジ孔27とコネクタハウジング50のネジ孔とに裏側からネジ(図示せず)を挿通して締め付けることで、コネクタハウジング50がベース基板22に固定されている。
【0040】
コネクタハウジング50には、複数の端子金具52がインサート成形により一体に備えられている(図2参照)。各端子金具52は、L字型に屈曲された形態をなし、その一端側がコネクタ嵌合部51内において下方へ突出して配置され、相手側コネクタと電気的に接続される。また、端子金具52の他端側はコネクタハウジング50から裏側へ突出し、回路構成体20と電気的に接続されている。詳しくは、全ての端子金具52のうち複数の端子金具52の他端側が、回路基板40の端子挿通孔41から第1端子接続孔36に挿通し、半田付け等により第1端子接続孔36に電気的に接続されている。また、全ての端子金具52のうち複数の端子金具52の他端側が、第2端子接続孔38または第3端子接続孔43に挿通されて半田付け等により電気的に接続されている。
【0041】
ケース60は合成樹脂製であって、全体として扁平な形状をなし、回路構成体20に対して裏側に配置される第1ケース60Aと、表側に配置される第2ケース60Bとを有している。
第1ケース60Aは、モールド成形により回路構成体20に一体化されている。第1ケース60Aは、回路構成体20のベース基板22の周縁を囲う枠部61を有している(図7参照)。枠部61は、ベース基板22の外形に沿う略矩形の枠状をなし、回路基板40の周縁の全周、および回路ユニット30の周縁と放熱板26の周縁とのうち回路基板40の周縁に沿う部分に密着している。枠部61の外周面には、複数のロック突部63が外方に突出して設けられている。
【0042】
また、第1ケース60Aは、ベース基板22の裏側に配される底部62を有している。底部62は、回路ユニット30の裏面に配されるユニット底部64と、放熱板26の裏面に配される放熱板底部65と、ベース基板22のうち第3端子接続部が形成された領域を裏側へ開放する窓部66Aと、を有している(図12および図13参照)。また、底部62には、ネジ孔27、第1端子接続孔36および第2端子接続孔38の位置において表裏に貫通する孔部66Bが複数設けられており、ネジ孔27および各端子接続孔36,38は裏側へ露出している。各孔部66Bは、裏方へ向かって開口寸法が少しずつ大きくなるテーパ形状をなしている。
【0043】
ユニット底部64は、回路ユニット30の第1導電部材31Aの略全体を覆っている。ユニット底部64には、裏方へ突出するリブ67が設けられている。リブ67は、ユニット底部64のうち端子接続孔36,38の裏側に位置する孔部66Bが設けられていない略下側部分に、格子状をなして形成されている。
【0044】
放熱板底部65は全体として格子状をなし、放熱板26の長手方向に直線状に延びる複数本の横架部65Aと、放熱板26の短手方向に直線状に延びる複数本の縦架部65Bとからなる。横架部65Aと縦架部65Bとは、略直角に交差している。横架部65Aは、枠部61の両側縁間に架け渡された形態をなし、縦架部65Bは、枠部61の下縁とユニット底部64または窓部66Aとの間に架け渡された形態をなしている。なお、横架部65Aと縦架部65Bとは、放熱板26の裏面に密着している。
【0045】
そして、放熱板底部65のうち横架部65A、縦架部65Bおよび枠部61に囲われてなる部分は、表裏方向に開口して放熱板26をケース60の外部へ露出させる開口部65Cとされている。開口部65Cは略方形を成して縦横に並んで設けられ、全ての開口部65Cは略同形・同大をなしている。
【0046】
また、第1ケース60Aの裏面には、充填材68が充填されている(図14参照)。充填材68は、第1ケース60Aの窓部66Aとユニット底部64のうちリブ67が設けられた部分を除く部分とに充填されている。充填材68により、ベース基板22の各端子接続部36,38,43に接続された端子金具52の他端部、およびベース基板22とコネクタハウジング50とを固定するネジが充填材68に覆われ、埃や水等から保護されている。なお、充填材68は、ゴムあるいはゲル状の充填材68がポッティングあるいは低圧成形により充填されてなる。
【0047】
第2ケース60Bは、回路構成体20およびコネクタハウジング50の表側に被さる形状をなしている(図15参照)。第2ケース60Bの周壁には、枠部61のロック突部63と係合するロック片69が設けられ、ロック突部63とロック片69とが係合することで、第1ケース60Aと第2ケース60Bとが一体に組み付けられて保持されている。
【0048】
電気接続箱10は、例えば以下のようにして製造される。
電気接続箱10を製造するには、予め製造した回路ユニット30、回路基板40、および放熱板26を成形金型にセットし、この成形金型内に所定の温度に設定した溶融樹脂を射出して充填する。
【0049】
すると、上下方向に連なった基板固定孔44、ユニット固定孔37に樹脂が充填されて固定柱25が形成され、また所定の形状をなす第1ケース60Aが形成される。そして、溶融樹脂が固化した後、成形金型を離型すると、第1ケース60Aおよび放熱板26付きのベース基板22が製造される。
次いで、半導体スイッチング素子23等の電子部品をリフロー半田付け等によりベース基板22の表面に実装すると、回路構成体20の製造が終了する。
【0050】
その後、回路構成体20の表面にコネクタハウジング50をネジ固定し、第2ケース60Bを表側から被せて第1ケース60Aのロック突部63に第2ケース60Bのロック片69を係合させると電気接続箱10の製造が完了する。
【0051】
次に、上記のように構成された実施形態1の作用および効果について説明する。
本実施形態の回路構成体20は、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22と、ベース基板22の表面に実装される半導体スイッチング素子23等の電子部品とを備えた回路構成体20であって、ベース基板22は、導電部材31を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなる回路ユニット30を、回路基板40に組み付けてなるものであり、ベース基板22の裏面には放熱板26が備えられている。これにより、半導体スイッチング素子23等の電子部品から発生した熱は放熱板26から放散されるので、回路構成体20の放熱性を確保することができる。また、全ての導電部材31を面方向に並べて配置する場合に比べてベース基板22の面積が小さくなるから、回路構成体20の小型化を図ることができる。すなわち、回路構成体20を、放熱性を確保したまま小型化することができる。
【0052】
また、回路ユニット30は、回路基板40の裏面に沿って配置される板部33と、半導体スイッチング素子23のドレイン端子およびソース端子23Cが接続される部品接続部24とを有し、部品接続部24は、板部33から突出する形態をなすとともに回路基板40に形成された嵌合部42に嵌合している。これにより、回路ユニット30の部品接続部24と回路基板40の表面との間の段差を小さくすることができる。ここで、回路ユニットの部品接続部と回路基板とに一の電子部品の端子部をそれぞれ接続する場合には、それらの間の表裏方向の段差分だけ端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、本実施形態の回路構成体20においては、回路ユニット30の部品接続部24と回路基板40との間の表裏方向の段差が小さくなるから、その分ゲート端子23Bの長さ寸法を小さくすることができ、もって半導体スイッチング素子23の小型化を図ることができる。
【0053】
さらに、回路ユニット30の部品接続部24は、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bのうち第1導電部材31A(一方の導電部材)の第1部品接続部34Aが、第2導電部材31B(他方の導電部材)の第2部品接続部34B側に突出して設けられたものである。これにより、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bにおいて、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間の段差が小さくなる。ここで、導電部材を表裏に重ねて配置し、その両導電部材に一の電子部品の端子部をそれぞれ接続する場合には、両導電部材の表裏方向の段差分だけ端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、本実施形態の回路構成体20においては、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bの、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間の段差が小さくなるから、その分ソース端子23Cの長さ寸法を小さくすることができ、もって半導体スイッチング素子23の小型化を図ることができる。
【0054】
また、放熱板26は、ベース基板22の裏面に密着して備えられている。これにより、例えばベース基板と放熱板との間に空気層が存在する場合に比べて放熱性を良くすることができる。
【0055】
また、少なくとも回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24との間には隙間が設けられている。ここで、回路ユニット30の部品接続部24は、半導体スイッチング素子23の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部42との間に隙間が設けられていることで、半導体スイッチング素子23からの熱が回路基板40側に伝達しにくくなる。これにより、回路基板40に耐熱性の低い電子部品が実装されている場合等に有利である。
【0056】
また、ケース60には、放熱板26をケース60の外部へ露出させる開口部65Cが形成されている。これにより、熱は放熱板26から直接ケース60の外部に放散されるから、ケース60内に熱がこもりにくく、電気接続箱10の放熱性を確保することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)上記実施形態では、放熱板26は、第1ケース60Aによりベース基板22と一体に保持されているが、これに限らず、例えば放熱板をベース基板の裏面に接着剤等により接着することで、一体に保持するようにしてもよい。またこのとき、ケースには、放熱板の全体を露出させる開口部を設けるようにしてもよい。なお、放熱板をベース基板の裏面に接着し、この接着された放熱板とベース基板とに対して第2ケースを一体に形成するようにしてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、嵌合部42は、回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bの外形に沿う形状をなして回路基板40の表裏方向に開口しているが、嵌合部は必ずしもこのような開口でなくてもよく、例えば回路ユニットの第1部品接続部および第2導電部材の外形に沿って回路基板の周縁を切り欠いてなる切り欠き部であってもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば接着剤により一体化してもよい。
【0061】
(4)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば表裏方向に連なった基板固定孔およびユニット固定孔に樹脂製の固定ピンを挿入し、この固定ピンを加熱しつつ軸方向に押し潰すことで、回路ユニットと回路基板とを一体に保持するようにしてもよい。
【0062】
(5)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば回路ユニットの板部の端部を回路基板側に屈曲して屈曲部を形成し、また回路基板には屈曲部を挿入可能な挿入孔を形成し、屈曲部を挿入孔に挿入して半田付けすることにより一体化してもよい。
【0063】
(6)上記実施形態では、予め製造した回路ユニット30、回路基板40および放熱板26をモールド成形して一体にしたが、これに限らず、例えば、回路ユニットの製造と同時に、回路基板および放熱板と一体にするようにしてもよく、具体的には、回路ユニットを構成する複数の導電部材と回路基板と放熱板とを一度にモールド成形するようにしてもよい。
【0064】
(7)上記実施形態では、第1ケース60Aは、モールド成形により回路構成体20に一体化したが、これに限らず、例えば、回路ユニットの製造と同時に一体にするようにしてもよく、具体的には、回路ユニットを構成する複数の導電部材と回路基板と放熱板、および絶縁部と固定柱と第1ケースとを一度に成形するようにしてもよい。
【0065】
(8)上記実施形態では、第1ケース60Aはモールド成形によりベース基板22と一体化されているが、これに限らず、第1ケースをベース基板とは別体に形成し、これらをネジ等により固定するようにしてもよい。
【0066】
(9)上記実施形態では、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24との間には隙間が設けられているが、これに限らず、例えば図17に示すように、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24とを一続きに設けてもよい。これにより、電子部品の熱は、回路基板側まで分散して放散されやすくなるから、放熱効率を向上することができる。また、回路基板40と回路ユニット30の板部33とを一続きに設けることで、回路ユニットの熱を回路基板側により伝達しやすくし、さらなる放熱効率の向上を図ることができる。
【0067】
(10)上記実施形態では、複数の導電部材をモールド成形してなる回路ユニットを回路基板に組み付けたベース基板に、表面または裏面に放熱部材が備えられる構成としたが、ベース基板と放熱部材間に、接着もしくは非接着性の絶縁シートを設けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…電気接続箱
20…回路構成体
21…回路パターン
22…ベース基板
23…半導体スイッチング素子(電子部品)
24…部品接続部
26…放熱部材
30…回路ユニット
31A…第1導電部材(一方の導電部材)
31B…第2導電部材(他方の導電部材)
32…絶縁部
33…板部
34A…第1部品接続部(一方の導電部材の部品接続部)
34B…第2部品接続部(他方の導電部材の部品接続部)
40…回路基板
42…嵌合部
60…ケース
65C…開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体および電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の導電部材により構成された回路パターンを有し、その表面または裏面に電子部品が実装された回路構成体が知られている(例えば特許文献1)。この回路構成体は、金属製の板材を所定形状に打ち抜いて、回路パターンと放熱板とを成形し、この板材を、放熱板の一部分と回路パターンの端子部とを残して絶縁性材料でモールドしてなるものである。放熱板を設けることで、通電時に電子部品から発生した熱が放熱板から放散されるようになっており、電子部品やその周辺に熱が蓄積されて回路構成体に実装されている他の電子部品等に悪影響を与えることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−24620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路構成体をケース内に収容し、車両のエンジンルーム内に格納して使用する場合には、エンジンルーム内のスペースに限りがあるため、できるだけ回路構成体を小型化することが重要である。しかし、上記のような構成の回路構成体は、放熱板と、回路パターンを構成する全ての導電部材とが、面方向に並んでいるため、面積が大きくなってしまうという問題があった。そこで、放熱性を確保したまま、回路構成体を小型化するための工夫が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性を確保したまま小型化することが可能な回路構成体および電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回路構成体は、複数の導電部材により構成された回路パターンを有するベース基板と、前記ベース基板の表面または裏面に実装される電子部品とを備えた回路構成体であって、前記ベース基板は、前記導電部材を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部をモールド成形してなる回路ユニットを、回路基板に組み付けてなるものであり、前記ベース基板の表面または裏面には放熱部材が備えられている。
【0007】
このような構成によれば、電子部品から発生した熱は放熱部材から放散されるので、回路構成体の放熱性を確保することができる。また、全ての導電部材を面方向に並べて配置する場合に比べてベース基板の面積が小さくなるから、回路構成体の小型化を図ることができる。すなわち、回路構成体を、放熱性を確保したまま小型化することができる。
【0008】
また、前記回路ユニットは、前記回路基板の表面または裏面に沿って配置される板部と、前記電子部品の端子部が接続される部品接続部とを有し、前記部品接続部は、前記板部から突出する形態をなすとともに前記回路基板に形成された嵌合部に嵌合しているものとしてもよい。
【0009】
このような構成によれば、回路ユニットの部品接続部と回路基板の表面または裏面との間の段差を小さくすることができるから、その分、回路ユニットと回路基板との双方に接続する電子部品の端子部の長さ寸法を小さくすることができ、もって電子部品の小型化を図ることができる。
【0010】
また、前記回路ユニットの部品接続部は、表裏に重ねて配置された前記導電部材のうち一方の導電部材の部品接続部が、他方の導電部材の部品接続部側に突出して設けられたものとしてもよい。このような構成によれば、表裏に重ねて配置された導電部材の部品接続部の間の段差が小さくなる。ここで、導電部材を表裏に重ねて配置し、その両導電部材に一の電子部品を接続する場合には、両導電部材の表裏方向の段差分だけ電子部品の端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、表裏に重ねて配置された導電部材の部品接続部の間の段差が小さくなるから、その分端子部の長さ寸法を小さくすることができ、もって電子部品の小型化を図ることができる。
【0011】
また、前記放熱部材は、前記回路基板の表面または裏面のうち前記板部が配置される側の面に備えられているものとしてもよい。
また、前記放熱部材は、前記ベース基板の表面または裏面に密着して備えられているものとしてもよい。このような構成によれば、ベース基板と放熱板との間に空気層が存在する場合に比べて放熱性を良くすることができる。
【0012】
また、少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部との間には隙間が設けられているものとしてもよい。ここで、回路ユニットの部品接続部は、電子部品の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部との間に隙間が設けられていることで、電子部品からの熱が回路基板側に伝達しにくくなる。これにより、回路基板に耐熱性の低い電子部品が実装されている場合等に有利である。
【0013】
また、少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部とは一続きに設けられているものとしてもよい。ここで、回路ユニットの部品接続部は、電子部品の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部とが一続きに設けられていることで、電子部品からの熱が回路基板側に伝達しやすくなる。これにより、電子部品の熱は回路基板側まで分散して放散されるから、放熱効率を向上することができる。
【0014】
本発明の電気接続箱は、前記回路構成体をケースに収容してなる。
また、前記ケースには、前記放熱部材を同ケースの外部へ露出させる開口部が形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、ケース内に熱がこもりにくくなるから、電気接続箱の放熱性を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放熱性を確保したまま小型化することが可能な回路構成体および電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる電気接続箱の外観斜視図
【図2】同断面図
【図3】放熱板が備えられたベース基板の外観斜視図
【図4】回路基板および回路ユニットの外観斜視図
【図5】第1導電部材および第2導電部材の外観斜視図
【図6】放熱板が備えられたベース基板を裏側から見た外観斜視図
【図7】第1ケースが一体に形成されたベース基板の外観斜視図
【図8】同表面図
【図9】図8のA−A断面図
【図10】図8のB−B断面図
【図11】図8のC−C断面図
【図12】第1ケースが一体に形成されたベース基板を裏側から見た外観斜視図
【図13】同裏面図
【図14】電気接続箱の裏面図
【図15】回路構成体にコネクタハウジングを取り付ける前の状態を表す斜視図
【図16】回路構成体に第2ケースを被せる前の状態を表す斜視図
【図17】他の実施形態(8)にかかる第1ケースが一体に形成されたベース基板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図16を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における電気接続箱10は、バッテリー等の電源(図示せず)と、ヘッドランプ、ワイパー等の車載電装品(図示せず)との間に接続されて、各種車載電装品の通断電制御を行うものである。以下、各構成部材において、図2の上側を上方、下側を下方、左側を表方、右側を裏方として説明する。
【0018】
電気接続箱10は、回路構成体20をケース60内に収容してなるものである。
回路構成体20は、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22を備え、このベース基板22の表面に半導体スイッチング素子23等の電子部品が実装されてなるものである。
【0019】
半導体スイッチング素子23は、本体部23Aと、本体部23Aの裏面に設けられた図示しないドレイン端子(電力用端子)と、本体部23Aの側面に突出して設けられたゲート端子23B(制御用端子)およびソース端子23C(電力用端子)とを有している。なお、ドレイン端子およびソース端子23Cが、それぞれ本発明の電子部品の端子部に該当する。半導体スイッチング素子23の各端子は、半田付け等の公知の手法によりベース基板22に接続されている。
【0020】
ベース基板22は、図3に示すように、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有する回路ユニット30が、回路基板40に組み付けられてなるものである。
回路ユニット30は、導電部材31を表裏に重ねて所定の間隔を空けて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなるものである(図4参照)。表裏に重ねて配置された導電部材31のうち一方は、電源からの電力が供給される入力回路を構成し、他方は電力を外部へ出力する出力回路を構成している。なお、入力回路を構成する導電部材31を第1導電部材31A、出力回路を構成する導電部材31を第2導電部材31Bと称する。
【0021】
回路ユニット30は、平板状をなす板部33と、この板部33から板厚方向に突出して設けられた部品接続部24とを有している。板部33は、回路基板40の裏面に沿って配置され、部品接続部24には、半導体スイッチング素子23のドレイン端子およびソース端子23Cが接続されている。部品接続部24は、第1導電部材31Aのうち半導体スイッチング素子23のドレイン端子が電気的に接続される第1部品接続部34Aと、第2導電部材31Bのうち半導体スイッチング素子23のソース端子23Cが電気的に接続される第2部品接続部34Bとからなる。
【0022】
第1導電部材31Aは金属製であって、全体として略矩形の板状に加工されたものである(図5参照)。第1導電部材31Aは、板部33と、第1部品接続部34Aとを有している。
第1部品接続部34Aは、板部33から表側に突出して設けられるとともに、板部33の長手方向の一端から他端にわたり直線状に延びている。第1部品接続部34Aの板部33からの突出寸法は、回路基板40の板厚寸法と同等であり、全体にわたり一定とされている(図2参照)。なお、第1部品接続部34Aは、板部33の短手方向(上下方向)の中間部に設けられている。
【0023】
板部33は、全体として厚さ寸法が一定の薄い板状をなしている。板部33のうち第1部品接続部34Aよりも上側の部分には、第2導電部材31Bが所定の間隔を空けて重ねて配置されている。板部33のうち第2導電部材31Bが重ねて配置される部分には、板部33の長手方向に沿って長い長円形状をなす貫通孔35Aが複数形成されている。なお、各貫通孔35Aの周面は絶縁部32に覆われている。
【0024】
板部33のうち第2導電部材31Bが重ねて配置される部分よりも外側には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第1端子接続孔36と称する)が複数設けられている。各第1端子接続孔36は略円形をなし、板部33を表裏方向に貫通している。なお、第1端子接続孔36は、貫通孔35Aよりも若干上方寄りの位置に形成され、板部33の上縁に沿って配置されている。
【0025】
また、板部33には、回路ユニット30を回路基板40に固定するためのユニット固定孔37が設けられている。ユニット固定孔37は、略円形をなして板部33を表裏方向に貫通している。ユニット固定孔37は、板部33の上縁および下縁に沿って、所定の間隔をあけて複数並んで設けられている。
【0026】
第2導電部材31Bは、金属板材をプレス加工することにより所定の形状に形成されてなるものである。第2導電部材31Bの板厚寸法は回路基板40の板厚寸法よりも薄く、全ての第2導電部材31Bにおいてほぼ等しくされている。
【0027】
第2導電部材31Bは、一の第1導電部材31Aに対して複数(本実施形態では5枚)並べて配置されている。複数の第2導電部材31Bは、互いに所定の間隔を空けて第1導電部材31Aの第1部品接続部34Aの長さ方向に沿って並べられている。
【0028】
第2導電部材31Bのうち下縁部(第1部品接続部34Aに沿って配置される部分)は、第2部品接続部34Bとされている。第2導電部材31Bおよび絶縁部32の厚さ寸法を加算した寸法は、第1部品接続部34Aの板部33からの突出寸法と同等とされており、第1部品接続部34Aの突出端面(表側の面)と第2部品接続部34Bの表面(第2導電部材31Bの表面)とは、高さ(回路ユニット30の厚さ方向の位置)が揃っている(図2参照)。そして、第1部品接続部34Aの突出端面と、絶縁部32の表面と、第2部品接続部34Bの表面とは、平坦な面を構成している。
【0029】
各第2導電部材31Bのうち上縁部には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第2端子接続孔38と称する)が複数設けられている。第2端子接続孔38は、略円形をなして第2導電部材31Bを表裏方向に貫通して設けられている。第2端子接続孔38は、各第2導電部材31Bの上縁に沿って配置され、全ての第2導電部材31Bのうちいくつかの第2導電部材31Bに設けられた第2端子接続孔38は、第1導電部材31Aの貫通孔35Aと表裏方向に連なり、貫通孔35Aを介して回路ユニット30の裏面に露出している。また、全ての第2導電部材31Bのうち他の第2導電部材31Bに設けられた第2端子接続孔38は、第1導電部材31Aの上角部に形成された切り欠き部35Bを介して回路ユニット30の裏面に露出している。
【0030】
絶縁部32は、第1導電部材31Aの板部33と第2導電部材31Bとの間、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間、および隣り合う第2導電部材31Bの間に配されてこれらの間を絶縁している。なお、絶縁部32のうち第2端子接続孔38の裏側に位置する部分は、表裏方向に開口している。
【0031】
回路ユニット30は、例えば以下のようにして製造される。まず金属材料を鍛造、圧延、プレス加工または切削加工等して第1導電部材31Aを形成するとともに、金属板材を所定の形状にプレス加工して第2導電部材31Bを形成する。次いで、第1導電部材31Aと第2導電部材31Bとを図示しない成形金型にセットし、絶縁部32をモールド成形する。
【0032】
回路基板40は、ケース60内に収容可能な略矩形をなしている。回路基板40の表面にはプリント配線手段により導電路(図示せず)が形成されている。
回路基板40には、後述する端子金具52を表裏方向に挿通可能な端子挿通孔41が複数箇所に設けられている。端子挿通孔41は、回路ユニット30の第1端子接続孔36の表側に位置する部分に形成され、回路基板40の長手方向に沿って長い略長円形をなし、回路基板40を表裏方向(厚さ方向)に貫通している。この端子挿通孔41を介して第1端子接続孔36はベース基板22の表側に露出している。
【0033】
回路基板40には、回路ユニット30の部品接続部24(板部33を除く部分)が嵌合可能な嵌合部42が形成されている。嵌合部42は、回路基板40の上側角部に形成され、回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bの外形に沿う形状をなして回路基板40の表裏方向に開口している。回路ユニット30の部品接続部24は嵌合部42に嵌合し、回路基板40の表側に露出している。回路ユニット30の部品接続部24の表面と回路基板40の表面とは、高さ(回路基板40の厚さ方向における位置)が揃っており、ベース基板22の表面は平坦な面となっている。そして、回路基板40のうち嵌合部42の周縁部(下縁に沿う部分)には、半導体スイッチング素子23のゲート端子23Bが接続されている。
【0034】
また、回路基板40には、後述する端子金具52が電気的に接続される端子接続孔(第3端子接続孔43と称する)が複数設けられている。第3端子接続孔43は、回路基板40の上縁部であって嵌合部42の側方に位置する領域に設けられ、回路基板40の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0035】
回路基板40のうち嵌合部42の周縁部であって回路ユニット30のユニット固定孔37と整合する位置には、基板固定孔44が設けられている。各基板固定孔44は、ユニット固定孔37と略同形・同大の円形状をなして回路基板40を表裏方向に貫通している。
【0036】
表裏方向に連なった基板固定孔44とユニット固定孔37とには、樹脂製の固定柱25がモールド成形されている。この固定柱25により回路ユニット30の板部33が回路基板40に固定され、回路ユニット30と回路基板40とが一体に保持されている。
ベース基板22のうち回路ユニット30と回路基板40との間、詳しくは、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bとの間には所定の隙間が設けられている。
【0037】
ベース基板22の裏面(回路ユニット30の板部33が配置される側の面)には、放熱板26(本発明の放熱部材に該当する)が備えられている(図6参照)。放熱板26は、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板であって、全体として略矩形の板状をなし、ベース基板22のうち回路ユニット30の板部33が配置されている部分と、第3端子接続孔43が形成されている部分とを除く領域の全範囲を覆っている。放熱板26の板厚寸法は、回路ユニット30の板部33の厚さ寸法よりも大きくされている。放熱板26は、ベース基板22の裏面に密着した状態で、後述する第1ケース60Aによりベース基板22と一体に保持されている。
【0038】
ベース基板22の表面には、合成樹脂製のコネクタハウジング50が備えられている(図15参照)。コネクタハウジング50は、全体としてベース基板22の長手方向にわたる横長の略箱型をなし、ベース基板22の上縁部に設けられている。コネクタハウジング50は、下方に開口する形状のコネクタ嵌合部51を複数有し、各コネクタ嵌合部51には図示しない電線を介して電源または車載電装品に接続された相手側コネクタが嵌合可能とされている。
【0039】
コネクタハウジング50には、ベース基板22に設けられたネジ孔27に対して表裏方向に連なって配置される図示しないネジ孔が設けられている。そして、ベース基板22のネジ孔27とコネクタハウジング50のネジ孔とに裏側からネジ(図示せず)を挿通して締め付けることで、コネクタハウジング50がベース基板22に固定されている。
【0040】
コネクタハウジング50には、複数の端子金具52がインサート成形により一体に備えられている(図2参照)。各端子金具52は、L字型に屈曲された形態をなし、その一端側がコネクタ嵌合部51内において下方へ突出して配置され、相手側コネクタと電気的に接続される。また、端子金具52の他端側はコネクタハウジング50から裏側へ突出し、回路構成体20と電気的に接続されている。詳しくは、全ての端子金具52のうち複数の端子金具52の他端側が、回路基板40の端子挿通孔41から第1端子接続孔36に挿通し、半田付け等により第1端子接続孔36に電気的に接続されている。また、全ての端子金具52のうち複数の端子金具52の他端側が、第2端子接続孔38または第3端子接続孔43に挿通されて半田付け等により電気的に接続されている。
【0041】
ケース60は合成樹脂製であって、全体として扁平な形状をなし、回路構成体20に対して裏側に配置される第1ケース60Aと、表側に配置される第2ケース60Bとを有している。
第1ケース60Aは、モールド成形により回路構成体20に一体化されている。第1ケース60Aは、回路構成体20のベース基板22の周縁を囲う枠部61を有している(図7参照)。枠部61は、ベース基板22の外形に沿う略矩形の枠状をなし、回路基板40の周縁の全周、および回路ユニット30の周縁と放熱板26の周縁とのうち回路基板40の周縁に沿う部分に密着している。枠部61の外周面には、複数のロック突部63が外方に突出して設けられている。
【0042】
また、第1ケース60Aは、ベース基板22の裏側に配される底部62を有している。底部62は、回路ユニット30の裏面に配されるユニット底部64と、放熱板26の裏面に配される放熱板底部65と、ベース基板22のうち第3端子接続部が形成された領域を裏側へ開放する窓部66Aと、を有している(図12および図13参照)。また、底部62には、ネジ孔27、第1端子接続孔36および第2端子接続孔38の位置において表裏に貫通する孔部66Bが複数設けられており、ネジ孔27および各端子接続孔36,38は裏側へ露出している。各孔部66Bは、裏方へ向かって開口寸法が少しずつ大きくなるテーパ形状をなしている。
【0043】
ユニット底部64は、回路ユニット30の第1導電部材31Aの略全体を覆っている。ユニット底部64には、裏方へ突出するリブ67が設けられている。リブ67は、ユニット底部64のうち端子接続孔36,38の裏側に位置する孔部66Bが設けられていない略下側部分に、格子状をなして形成されている。
【0044】
放熱板底部65は全体として格子状をなし、放熱板26の長手方向に直線状に延びる複数本の横架部65Aと、放熱板26の短手方向に直線状に延びる複数本の縦架部65Bとからなる。横架部65Aと縦架部65Bとは、略直角に交差している。横架部65Aは、枠部61の両側縁間に架け渡された形態をなし、縦架部65Bは、枠部61の下縁とユニット底部64または窓部66Aとの間に架け渡された形態をなしている。なお、横架部65Aと縦架部65Bとは、放熱板26の裏面に密着している。
【0045】
そして、放熱板底部65のうち横架部65A、縦架部65Bおよび枠部61に囲われてなる部分は、表裏方向に開口して放熱板26をケース60の外部へ露出させる開口部65Cとされている。開口部65Cは略方形を成して縦横に並んで設けられ、全ての開口部65Cは略同形・同大をなしている。
【0046】
また、第1ケース60Aの裏面には、充填材68が充填されている(図14参照)。充填材68は、第1ケース60Aの窓部66Aとユニット底部64のうちリブ67が設けられた部分を除く部分とに充填されている。充填材68により、ベース基板22の各端子接続部36,38,43に接続された端子金具52の他端部、およびベース基板22とコネクタハウジング50とを固定するネジが充填材68に覆われ、埃や水等から保護されている。なお、充填材68は、ゴムあるいはゲル状の充填材68がポッティングあるいは低圧成形により充填されてなる。
【0047】
第2ケース60Bは、回路構成体20およびコネクタハウジング50の表側に被さる形状をなしている(図15参照)。第2ケース60Bの周壁には、枠部61のロック突部63と係合するロック片69が設けられ、ロック突部63とロック片69とが係合することで、第1ケース60Aと第2ケース60Bとが一体に組み付けられて保持されている。
【0048】
電気接続箱10は、例えば以下のようにして製造される。
電気接続箱10を製造するには、予め製造した回路ユニット30、回路基板40、および放熱板26を成形金型にセットし、この成形金型内に所定の温度に設定した溶融樹脂を射出して充填する。
【0049】
すると、上下方向に連なった基板固定孔44、ユニット固定孔37に樹脂が充填されて固定柱25が形成され、また所定の形状をなす第1ケース60Aが形成される。そして、溶融樹脂が固化した後、成形金型を離型すると、第1ケース60Aおよび放熱板26付きのベース基板22が製造される。
次いで、半導体スイッチング素子23等の電子部品をリフロー半田付け等によりベース基板22の表面に実装すると、回路構成体20の製造が終了する。
【0050】
その後、回路構成体20の表面にコネクタハウジング50をネジ固定し、第2ケース60Bを表側から被せて第1ケース60Aのロック突部63に第2ケース60Bのロック片69を係合させると電気接続箱10の製造が完了する。
【0051】
次に、上記のように構成された実施形態1の作用および効果について説明する。
本実施形態の回路構成体20は、複数の導電部材31により構成された回路パターン21を有するベース基板22と、ベース基板22の表面に実装される半導体スイッチング素子23等の電子部品とを備えた回路構成体20であって、ベース基板22は、導電部材31を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部32をモールド成形してなる回路ユニット30を、回路基板40に組み付けてなるものであり、ベース基板22の裏面には放熱板26が備えられている。これにより、半導体スイッチング素子23等の電子部品から発生した熱は放熱板26から放散されるので、回路構成体20の放熱性を確保することができる。また、全ての導電部材31を面方向に並べて配置する場合に比べてベース基板22の面積が小さくなるから、回路構成体20の小型化を図ることができる。すなわち、回路構成体20を、放熱性を確保したまま小型化することができる。
【0052】
また、回路ユニット30は、回路基板40の裏面に沿って配置される板部33と、半導体スイッチング素子23のドレイン端子およびソース端子23Cが接続される部品接続部24とを有し、部品接続部24は、板部33から突出する形態をなすとともに回路基板40に形成された嵌合部42に嵌合している。これにより、回路ユニット30の部品接続部24と回路基板40の表面との間の段差を小さくすることができる。ここで、回路ユニットの部品接続部と回路基板とに一の電子部品の端子部をそれぞれ接続する場合には、それらの間の表裏方向の段差分だけ端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、本実施形態の回路構成体20においては、回路ユニット30の部品接続部24と回路基板40との間の表裏方向の段差が小さくなるから、その分ゲート端子23Bの長さ寸法を小さくすることができ、もって半導体スイッチング素子23の小型化を図ることができる。
【0053】
さらに、回路ユニット30の部品接続部24は、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bのうち第1導電部材31A(一方の導電部材)の第1部品接続部34Aが、第2導電部材31B(他方の導電部材)の第2部品接続部34B側に突出して設けられたものである。これにより、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bにおいて、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間の段差が小さくなる。ここで、導電部材を表裏に重ねて配置し、その両導電部材に一の電子部品の端子部をそれぞれ接続する場合には、両導電部材の表裏方向の段差分だけ端子部を長くする必要が生じ、この段差が大きいほど電子部品の大型化を招くことになる。しかしながら、本実施形態の回路構成体20においては、表裏に重ねて配置された第1導電部材31Aおよび第2導電部材31Bの、第1部品接続部34Aと第2部品接続部34Bとの間の段差が小さくなるから、その分ソース端子23Cの長さ寸法を小さくすることができ、もって半導体スイッチング素子23の小型化を図ることができる。
【0054】
また、放熱板26は、ベース基板22の裏面に密着して備えられている。これにより、例えばベース基板と放熱板との間に空気層が存在する場合に比べて放熱性を良くすることができる。
【0055】
また、少なくとも回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24との間には隙間が設けられている。ここで、回路ユニット30の部品接続部24は、半導体スイッチング素子23の熱が直接伝達する部分であり、このような部分と嵌合部42との間に隙間が設けられていることで、半導体スイッチング素子23からの熱が回路基板40側に伝達しにくくなる。これにより、回路基板40に耐熱性の低い電子部品が実装されている場合等に有利である。
【0056】
また、ケース60には、放熱板26をケース60の外部へ露出させる開口部65Cが形成されている。これにより、熱は放熱板26から直接ケース60の外部に放散されるから、ケース60内に熱がこもりにくく、電気接続箱10の放熱性を確保することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)上記実施形態では、放熱板26は、第1ケース60Aによりベース基板22と一体に保持されているが、これに限らず、例えば放熱板をベース基板の裏面に接着剤等により接着することで、一体に保持するようにしてもよい。またこのとき、ケースには、放熱板の全体を露出させる開口部を設けるようにしてもよい。なお、放熱板をベース基板の裏面に接着し、この接着された放熱板とベース基板とに対して第2ケースを一体に形成するようにしてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、嵌合部42は、回路ユニット30の第1部品接続部34Aおよび第2導電部材31Bの外形に沿う形状をなして回路基板40の表裏方向に開口しているが、嵌合部は必ずしもこのような開口でなくてもよく、例えば回路ユニットの第1部品接続部および第2導電部材の外形に沿って回路基板の周縁を切り欠いてなる切り欠き部であってもよい。
【0060】
(3)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば接着剤により一体化してもよい。
【0061】
(4)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば表裏方向に連なった基板固定孔およびユニット固定孔に樹脂製の固定ピンを挿入し、この固定ピンを加熱しつつ軸方向に押し潰すことで、回路ユニットと回路基板とを一体に保持するようにしてもよい。
【0062】
(5)上記実施形態では、回路ユニット30と回路基板40とは、固定柱25がモールド成形されることで一体に保持されているが、これに限らず、回路基板と回路ユニットとをどのような方法で一体化してもよく、例えば回路ユニットの板部の端部を回路基板側に屈曲して屈曲部を形成し、また回路基板には屈曲部を挿入可能な挿入孔を形成し、屈曲部を挿入孔に挿入して半田付けすることにより一体化してもよい。
【0063】
(6)上記実施形態では、予め製造した回路ユニット30、回路基板40および放熱板26をモールド成形して一体にしたが、これに限らず、例えば、回路ユニットの製造と同時に、回路基板および放熱板と一体にするようにしてもよく、具体的には、回路ユニットを構成する複数の導電部材と回路基板と放熱板とを一度にモールド成形するようにしてもよい。
【0064】
(7)上記実施形態では、第1ケース60Aは、モールド成形により回路構成体20に一体化したが、これに限らず、例えば、回路ユニットの製造と同時に一体にするようにしてもよく、具体的には、回路ユニットを構成する複数の導電部材と回路基板と放熱板、および絶縁部と固定柱と第1ケースとを一度に成形するようにしてもよい。
【0065】
(8)上記実施形態では、第1ケース60Aはモールド成形によりベース基板22と一体化されているが、これに限らず、第1ケースをベース基板とは別体に形成し、これらをネジ等により固定するようにしてもよい。
【0066】
(9)上記実施形態では、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24との間には隙間が設けられているが、これに限らず、例えば図17に示すように、回路基板40の嵌合部42と回路ユニット30の部品接続部24とを一続きに設けてもよい。これにより、電子部品の熱は、回路基板側まで分散して放散されやすくなるから、放熱効率を向上することができる。また、回路基板40と回路ユニット30の板部33とを一続きに設けることで、回路ユニットの熱を回路基板側により伝達しやすくし、さらなる放熱効率の向上を図ることができる。
【0067】
(10)上記実施形態では、複数の導電部材をモールド成形してなる回路ユニットを回路基板に組み付けたベース基板に、表面または裏面に放熱部材が備えられる構成としたが、ベース基板と放熱部材間に、接着もしくは非接着性の絶縁シートを設けてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…電気接続箱
20…回路構成体
21…回路パターン
22…ベース基板
23…半導体スイッチング素子(電子部品)
24…部品接続部
26…放熱部材
30…回路ユニット
31A…第1導電部材(一方の導電部材)
31B…第2導電部材(他方の導電部材)
32…絶縁部
33…板部
34A…第1部品接続部(一方の導電部材の部品接続部)
34B…第2部品接続部(他方の導電部材の部品接続部)
40…回路基板
42…嵌合部
60…ケース
65C…開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電部材により構成された回路パターンを有するベース基板と、前記ベース基板の表面または裏面に実装される電子部品とを備えた回路構成体であって、
前記ベース基板は、前記導電部材を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部をモールド成形してなる回路ユニットを、回路基板に組み付けてなるものであり、
前記ベース基板の表面または裏面には放熱部材が備えられている回路構成体。
【請求項2】
前記回路ユニットは、前記回路基板の表面または裏面に沿って配置される板部と、前記電子部品の端子部が接続される部品接続部とを有し、
前記部品接続部は、前記板部から突出する形態をなすとともに前記回路基板に形成された嵌合部に嵌合している請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記回路ユニットの部品接続部は、表裏に重ねて配置された前記導電部材のうち一方の導電部材の部品接続部が、他方の導電部材の部品接続部側に突出して設けられたものである請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記回路基板の表面または裏面のうち前記板部が配置される側の面に備えられている請求項2または請求項3に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記ベース基板の表面または裏面に密着して備えられている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部との間には隙間が設けられている請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部とは一続きに設けられている請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の回路構成体をケースに収容してなる電気接続箱。
【請求項9】
前記ケースには、前記放熱部材を同ケースの外部へ露出させる開口部が形成されている請求項8に記載の電気接続箱。
【請求項1】
複数の導電部材により構成された回路パターンを有するベース基板と、前記ベース基板の表面または裏面に実装される電子部品とを備えた回路構成体であって、
前記ベース基板は、前記導電部材を表裏に重ねて配置し、その間に絶縁部をモールド成形してなる回路ユニットを、回路基板に組み付けてなるものであり、
前記ベース基板の表面または裏面には放熱部材が備えられている回路構成体。
【請求項2】
前記回路ユニットは、前記回路基板の表面または裏面に沿って配置される板部と、前記電子部品の端子部が接続される部品接続部とを有し、
前記部品接続部は、前記板部から突出する形態をなすとともに前記回路基板に形成された嵌合部に嵌合している請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記回路ユニットの部品接続部は、表裏に重ねて配置された前記導電部材のうち一方の導電部材の部品接続部が、他方の導電部材の部品接続部側に突出して設けられたものである請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記回路基板の表面または裏面のうち前記板部が配置される側の面に備えられている請求項2または請求項3に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記ベース基板の表面または裏面に密着して備えられている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部との間には隙間が設けられている請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
少なくとも前記嵌合部と前記部品接続部とは一続きに設けられている請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の回路構成体をケースに収容してなる電気接続箱。
【請求項9】
前記ケースには、前記放熱部材を同ケースの外部へ露出させる開口部が形成されている請求項8に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−183696(P2010−183696A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23704(P2009−23704)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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