説明

回路装置の製造方法

【課題】上面に回路素子が組み込まれた回路基板の裏面を薄く樹脂封止する樹脂封止工程を低コストで実現する回路装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明では、混成集積回路が組み込まれた回路基板14の上面および側面をトランスファーモールドで形成される第1封止樹脂18で被覆した後に、回路基板14の下面、第1封止樹脂18の下面および側面を第2封止樹脂20で被覆している。更に、第2封止樹脂20を形成する工程では、第1封止樹脂18を部分的に下方に突出させた樹脂突起部12を第2金型50の内壁に当接させて位置を固定することで、安定したトランスファーモールドを実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に回路素子が組み込まれた回路基板を樹脂封止する回路装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタやチップ素子から成る混成集積回路が上面に組み込まれた回路基板を封止する方法としては、ケース材を用いた封止方法と、樹脂により樹脂封止する方法が有る。
【0003】
ケース材を用いた場合では、中空部を備えた蓋状のケース材を回路基板に嵌合させることで、回路基板の上面に形成された混成集積回路を、ケース材の中空部に収納する。
【0004】
樹脂封止が採用された場合は、金型を用いた射出成形により回路基板の上面に形成された混成集積回路が被覆される。図8(A)を参照して、樹脂封止された混成集積回路装置100の構成を説明する。混成集積回路100では、先ず、アルミニウム等の金属から成る回路基板101の上面が全面的に絶縁層102により被覆されている。そして、絶縁層102の上面に形成された導電パターン103に回路素子が接続されて所定の混成集積回路が構成されている。回路基板101の上面に配置される素子としては、金属細線107により接続された半導体素子105Aとチップ素子105Bが図示されている。回路基板101の端部では、パッド状の導電パターン103にリード104が固着されている。
【0005】
封止樹脂106は熱可塑性樹脂であり、回路基板101の上面、側面および下面を被覆している。ここで、回路基板101の上面に形成された回路素子から発生した熱を、回路基板101を経由して良好に外部に放出させるためには、回路基板101の下面を被覆する封止樹脂106を薄くすることが有効である。しかしながら、回路基板101の下面を被覆する封止樹脂106の厚みを例えば0.5mm程度に薄く設定すると、回路基板101の下面が部分的に封止樹脂106により被覆されない問題が発生する。この理由は、金型を用いて封止樹脂106を射出成形する工程にて、回路基板101の下面と金型の内壁下面との間隙が狭くなり、この間隙に十分に封止樹脂が行き渡らなくなるからである。
【0006】
この問題を回避するための方法を、図8(B)を参照して説明する(下記特許文献1)。ここでは、支持部材110により回路基板101を下面から支持した状態でインジェクションモールドを行っている。具体的には、支持部材110は熱可塑性樹脂から成り、内側の面は回路基板101の下面および側面の一部に当接するサイズである。また、支持部材110の外側の面は金型112の内壁下面および側面に接触する大きさとなっている。従って、支持部材110により支持された状態の回路基板101を金型112のキャビティ114に収納させると、回路基板101の下面と金型112の内壁下面との間隙に支持部材110が位置する。この状態で、熱可塑性樹脂をキャビティ114に注入することにより、回路基板101の樹脂封止が行われる。この方法によると、回路基板101の下面と金型112の内壁下面との間隙には支持部材110が位置しており、この間隙に液状の熱硬化性樹脂を注入する必要がないので、回路基板101の下面が部分的に被覆されないことによるボイドの発生が防止される。また、樹脂封止時の注入圧から金属細線等を保護するために、回路素子が被覆されるように回路基板101の上面にポッティング樹脂120が形成されている。
【0007】
更に、他の封止方法が下記特許文献2に記載されている。この文献の図3およびその説明箇所を参照すると、回路基板22の下面に配置された樹脂シート52を溶融させることにより、回路基板22の下面を薄く樹脂封止することを可能としている。
【0008】
具体的には、先ず、樹脂材料を打錠加工した樹脂シート52を下金型44に配置し、この樹脂シート52の上面に回路基板22を載置している。そして、下金型44により加熱溶融された樹脂シート52により、回路基板22の下面が薄く被覆される。樹脂シート52で回路基板22の下面を被覆することにより、ボイドを発生させることなく回路基板22の下面を薄く樹脂封止することが可能となる。
【0009】
一方、複数回の樹脂モールドにより回路素子を樹脂封止する技術が下記特許文献3に記載されている。この文献の第1図および明細書3頁の記載を参照すると、半導体チップ103を第1のモールド樹脂116で被覆し、更に第1のモールド樹脂116およびヒートシンク101を第2のモールド樹脂11で被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3316449号公報
【特許文献2】特開2010−86993号公報
【特許文献3】特開昭63−141353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に示された樹脂封止の方法では、回路基板の下面に敷いて用意される樹脂シートと、回路基板が配置されたキャビティに注入されるモールド樹脂により、回路基板が全体的に樹脂封止される。
【0012】
しかしながら、この製造方法では、モールド樹脂の材料と成るタブレットとは別に薄い樹脂シートを用意する必要があり、このことが製造コストを上昇させていた。更には、打錠加工で製造される樹脂シートは脆い性質を備えており、製造工程の途中段階にて樹脂シートが割れて破損してしまう恐れもあった。
【0013】
更にまた、特許文献3に記載された樹脂封止方法では、第2図に示すモールド金型を用いてモールドを行うが、この金型の内部で第1のモールド樹脂116を固定する具体的な方法が示されていない。特に、トランスファーモールドでは高い圧力で液状の樹脂が金型に注入されるので、この圧力により第1のモールド樹脂116が移動してしまう恐れがあった。
【0014】
本発明は上記した問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、上面に回路素子が組み込まれた回路基板の裏面を薄く樹脂封止する樹脂封止工程を低コストで実現する回路装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の回路装置の製造方法は、上面に回路素子が実装された回路基板を第1金型に収納し、前記回路基板の下面を前記第1金型の内壁に当接させた状態で、第1封止樹脂で前記回路素子、前記回路基板の上面および側面を被覆し、前記第1封止樹脂の一部を前記回路基板の下面よりも下方に突出する突起部とする第1工程と、前記第1封止樹脂で被覆された前記回路基板を第2金型に収納し、前記突起部を前記第2金型の内壁に当接させ、前記回路基板の下面と前記第2金型の内壁との距離を所定の長さに固定した状態で、前記回路基板と前記第2金型の内壁との間に第2封止樹脂を充填し、前記第1封止樹脂を前記第2封止樹脂で被覆する第2工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、先ず、回路基板を第1封止樹脂で被覆し、第1封止樹脂の一部を回路基板の下面よりも下方に突出させて突起部を形成する。更に、回路基板および第1封止樹脂を第2封止樹脂で被覆する工程では、この突起部を第2金型の内壁に当接させることで、回路基板と第2金型の内壁とを所定の距離で離間させ、第2封止樹脂で第1封止樹脂を被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明で製造される回路装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図2】本発明で製造される回路装置を示す平面図である。
【図3】本発明で製造される回路装置の第1封止樹脂を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は部分的に拡大された斜視図である。
【図4】本発明で製造される回路装置を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は回路基板を抜き出して示す平面図である。
【図5】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は成形される第1封止樹脂を示す斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図6】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は成形される第2封止樹脂を示す斜視図であり、(B)および(C)は断面図である。
【図7】本発明の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は第1封止樹脂を成形する工程でのイジェクトピンを示す断面図であり、(B)は第2封止樹脂を成形する工程でのイジェクトピンを示す断面図である。
【図8】背景技術の回路装置の製造方法を示す図であり、(A)は製造される混成集積回路装置を示す断面図であり、(B)は樹脂封止工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、本形態が適用される混成集積回路装置10の構成を説明する。図1(A)は混成集積回路装置10の斜視図であり、図1(B)は図1(A)のB−B’線に於ける断面図であり、(C)はC−C’線に於ける断面図である。
【0019】
混成集積回路装置10は、回路基板14の上面に、導電パターン22と回路素子から成る混成集積回路が組み込まれ、この回路と電気的に接続されたリード24が外部に導出している。更に、回路基板14の上面に構築された混成集積回路、回路基板14の上面、側面および下面は、熱硬化性樹脂から成る封止樹脂16により一体的に被覆されている。
【0020】
回路基板14は、アルミニウムや銅等の金属から成る基板であり、具体的な大きさは、例えば縦×横×厚さ=61mm×42mm×1mm程度である。ここで、回路基板14の材料として金属以外が採用されても良く、例えば、セラミックや樹脂材料が回路基板14の材料として採用されても良い。
【0021】
絶縁層26は、フィラーが高充填されたエポキシ樹脂から成り、回路基板14の上面全域を覆うように形成されている。
【0022】
導電パターン22は厚みが50μm程度の銅等の金属膜から成り、所定の電気回路が実現されるように絶縁層26の表面に形成される。また、リード24が導出する辺に、導電パターン22からなるパッドが形成される。
【0023】
半導体素子28およびチップ素子30(回路素子)は、半田等の接合材を介して、導電パターン22の所定の箇所に固着されている。半導体素子28としては、トランジスタ、LSIチップ、ダイオード等が採用される。ここでは、半導体素子28と導電パターン22とは、金属細線34を経由して接続される。チップ素子30としては、チップ抵抗やチップコンデンサ等が採用され、両端の電極は半田等の接合材を介して導電パターン22に固着されている。また、半導体素子28が、多量の熱を放出するパワー系の素子である場合は、厚さが数ミリ程度の金属片から成るヒートシンクを介して回路基板14の上面に固着される。
【0024】
リード24は、回路基板14の周辺部に設けられたパッドに固着され、入力信号や出力信号が通過する外部接続端子として機能している。図1(B)を参照すると、回路基板14の対向する2つの辺に沿って多数個のリード24が設けられているが、1つの側辺または4つの側辺に沿ってリード24が配置されても良い。
【0025】
封止樹脂16は、熱硬化性樹脂を用いるトランスファーモールドにより形成される。本形態では、複数回のトランスファーモールドにより、封止樹脂16が形成される。図1(B)では、封止樹脂16により、導電パターン22、半導体素子28、チップ素子30、金属細線34が封止されている。更に、回路基板14の上面、側面および下面が封止樹脂16により被覆されている。
【0026】
更に、図1(A)を参照して、紙面上にて左右方向に対向する封止樹脂16の側面中間部に固定部19が設けられている。固定部19は、平面視で封止樹脂16の側面を略半円状に内側に窪ませた部位であり、この部分にビス等の固定手段が配置されることで、封止樹脂16の下面がヒートシンク等の放熱体に当接される。
【0027】
図1(B)を参照して、封止樹脂16に関して更に説明する。まず、封止樹脂16の外観は、下面および側面が第2封止樹脂20から成り、上面の周辺部は第2封止樹脂20から成り、それ以外の上面は第1封止樹脂18が露出する面となる。
【0028】
換言すると、第1封止樹脂18は回路基板14の下面を露出した状態で回路素子および回路基板14を被覆しており、第2封止樹脂20は回路基板14の下面および第1封止樹脂18の側面を包み込むように封止している。第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との界面は外部から回路基板14に向かって水分が進入しやすい経路となり得るが、この構成によりこの経路が長く設定されるので耐湿性が向上する。
【0029】
第1封止樹脂18は1回目のトランスファーモールドにより形成され、半導体素子28等の回路素子、リード24の接続部分、回路基板14の上面および側面を被覆している。第1封止樹脂18は、フィラーが充填されたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る。また、回路基板14の下面は基本的には第1封止樹脂では被覆されずに下方に露出している。第1封止樹脂18は、半導体素子28から発生する熱の経路である回路基板14の下面を被覆しない。従って、高い放熱性を要求されないことから、第1封止樹脂18の材料としては放熱性の低い樹脂材料が採用される。また、リード24が導出する第1封止樹脂18の側面は、樹脂封止時の離型性が考慮されて、リード24の導出部分が外部に突出する傾斜面と成っている。ここで、回路基板14の下面は必ずしも第1封止樹脂18から下方に露出させる必要はなく、厚さが数十μm程度の薄い樹脂バリのような第1封止樹脂18により回路基板14の下面が被覆されても良い。
【0030】
第2封止樹脂20は2回目のトランスファーモールドにより形成され、第1封止樹脂の側面および下面、回路基板14の下面を被覆している。第2封止樹脂20の厚みは一様ではない。
【0031】
具体的には、図1(B)を参照して、回路基板14の下面、第1封止樹脂18の下面および、リード24が導出する対向する第1封止樹脂18の側面を被覆する第2封止樹脂20の厚みは一定に設定される。回路基板14および第1封止樹脂18の下面を被覆する第2封止樹脂20の厚みL1は、例えば0.1mm以上0.3mm以下である。回路基板14の下面を被覆する第2封止樹脂20をこの様に薄くすることにより、第2封止樹脂20の熱抵抗が低減され、半導体素子28から発生した熱が、回路基板14および第2封止樹脂20を経由して良好に外部に放出される。第1封止樹脂18の側面を被覆する第2封止樹脂20の厚みL2も、L1と同程度である。
【0032】
本形態では、第1封止樹脂18の側面を被覆する第2封止樹脂20の厚みL2を、回路基板14の下面を被覆する第2封止樹脂20の厚みL1と同様にすることにより、樹脂封止の工程にてこれらの部分に一様に第2封止樹脂20を行き渡らせてボイド無く樹脂封止を行うことができる。この事項は、図5を参照して後述する。
【0033】
一方、図1(C)を参照して、リード24が導出しない側面(図1(A)で左右方向に対向する側面)では、第1封止樹脂18の側面を被覆する第2封止樹脂の厚さL3は例えば5mm程度であり、図1(B)の場合と比較すると厚く被覆される。これは、図1(A)に示す固定部19を設けるためである。
【0034】
ここで、図1(B)では、第1封止樹脂18の上面は第2封止樹脂20から露出しているように図示されているが、厚さが数十μm程度の薄い樹脂バリのような第2封止樹脂20により第1封止樹脂18の上面が被覆されても良い。
【0035】
また、図1(C)を参照して、第1封止樹脂18の側面(境界36)は、下部が上部よりも外側に広がる傾斜面と成っている。これにより、境界36にて第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との嵌合が強化されてアンカー効果が発生し、両樹脂の剥離が防止される。
【0036】
また、回路基板14の4隅に対応して、第1封止樹脂18の下面を円柱状に下方に突起させた樹脂突起部12が設けられている。樹脂突起部12の幅は2.0mm程度であり、高さは回路基板14の下面を被覆する第2封止樹脂20と同様に、0.1mm以上0.3mm以下である。樹脂突起部12の側面は第2封止樹脂20により被覆され、樹脂突起部12の下面は第2封止樹脂20から下方に露出するか或いは第2封止樹脂20により薄く覆われる。この様に、第1封止樹脂18の下面を部分的に下方に突出させて樹脂突起部12とし、この樹脂突起部12の側面を第2封止樹脂20で被覆する事により、第1封止樹脂18と第2封止樹脂20とが良好に嵌合し、両者の剥離が防止される。
【0037】
更にまた、樹脂突起部12と回路基板14とが離間する距離L4は、例えば0.5mm以上に設定される。回路基板14の端部側面は金属材料が露出する面であり、この部分は第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との境界36を経由して外部と連続している。従って、この境界36を経由して外部とショートする可能性が有るが、本形態では樹脂突起部12を回路基板14の端部から離間させることによりこのショートの危険性を少なくしている。
【0038】
上記した第1封止樹脂18および第2封止樹脂20は、エポキシ樹脂等の樹脂材料、フィラーおよび硬化促進剤等の混合物である。ここで、第1封止樹脂18と第2封止樹脂20とは同じ材料から構成されても良いし、異なる材料から構成されても良い。
【0039】
例えば、第2封止樹脂20に含まれるフィラーの量を、第1封止樹脂18に含まれるフィラーの量よりも多くしても良い。具体的には、第2封止樹脂20にフィラーが含まれる割合を83重量%以上87重量%以下(例えば85重量%)とし、第1封止樹脂にフィラーが含まれる割合を78重量%以上82重量%以下(例えば80重量%)とする。第2封止樹脂20が大量のフィラーを含むことにより、第2封止樹脂20の放熱性が良好となる。従って、半導体素子28等の回路素子が動作することにより発生した熱が、回路基板14および第2封止樹脂20を経由して良好に外部に放出される。一方、第1封止樹脂18に含まれるフィラーの量を少なくすることにより、樹脂注入の際に硬いフィラーが回路素子や金属細線34に衝突する頻度が少なくなるので、樹脂封止の工程に於ける回路素子の損傷が抑制される。
【0040】
また、第1封止樹脂18に含まれるフィラーの種類と、第2封止樹脂20に含まれるフィラーの種類を異ならせても良い。例えば、第2封止樹脂20に含まれるフィラーとしてアルミナ(Al)を採用し、第1封止樹脂18に含まれるフィラーとしてシリカ(SiO)を採用しても良い。第2封止樹脂20に含まれるフィラーとして熱伝導性に優れるアルミナを採用することにより、第2封止樹脂20を経由した放熱の効果が向上される。更に、両樹脂にフィラーとしてアルミナおよびシリカが含まれる場合は、第2封止樹脂20に採用されるフィラーにアルミナが含まれる割合を第1封止樹脂18よりも多くしても良い。
【0041】
更に、第2封止樹脂20が硬化収縮する量(収縮率)を第1封止樹脂18よりも大きくしても良い。具体的には、第1封止樹脂18の硬化収縮に伴う収縮率は0.4%であり、第2封止樹脂20の収縮率は0.5%である。各樹脂の収縮率は、フィラーの含有率を調整することにより、変化させることができる。これにより、第1封止樹脂18の側面および下面を包み込む第2封止樹脂20の効果収縮に伴う圧縮力が第1封止樹脂18に作用し、両者が境界36にて嵌合する作用が大きくなり剥離が防止される。
【0042】
また、境界36における第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との嵌合作用をより大きくするために、第1封止樹脂18の表面の粗度を一定以上にしても良い。例えば、第1封止樹脂18の表面の粗度は、13.0μRZ以上15.0μRZ以下が好適である。これは、樹脂封止の工程にて、第1封止樹脂18を成形するモールド金型の内壁を、同様の粗度を有する面とすることにより実現される。第1封止樹脂18の表面の粗度を13μRZ以上とすることにより、境界36にて、第1封止樹脂18の表面に第2封止樹脂20を良好に嵌合できる。また、第1封止樹脂18の表面の粗度を15μRZ以下とすることで、第1封止樹脂18を樹脂成形する際に、モールド金型から第1封止樹脂18を良好に離型させることができる。
【0043】
図2を参照して、第1封止樹脂18および第2封止樹脂20の構成を更に説明する。この図は混成集積回路装置10を上方から見た平面図であり、実際には見えない回路基板14および第1封止樹脂18の外縁を点線にて示している。
【0044】
この図を参照して、まず第1封止樹脂18の外縁(側辺)は、回路基板14と第2封止樹脂20の間に配置されている。また、紙面上で左右方向に対向する第1封止樹脂18の側辺の中間部分は、例えば端部よりも2.0〜3.0mm以上内側に配置されており、これにより凹状領域13が形成されている。また、第2封止樹脂20の側面中央部を内側に窪ませた固定部19の一部は、この凹状領域13に配置されている。
【0045】
混成集積回路装置10の使用状況下では、固定部19にはネジ等の固定手段が固定されて応力が作用する。また、第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との境界部分は異種材料の界面であるので、封止樹脂16の他の部分と比較すると機械的強度が弱い。このことから本形態では、第1封止樹脂18の側面を内側に4.0mm程度窪ませて凹状領域13を形成することで、第1封止樹脂18と第2封止樹脂20との界面を固定部19から離間し、固定部19に加えられる応力で界面から両樹脂が剥離することを防止している。
【0046】
更に、固定部19の内側の端部が凹状領域13に配置されるで、固定部19を設けるために第1封止樹脂18を紙面上にて左右方向に過度に拡大させる必要がなく、これにより装置全体が小型化される。
【0047】
また、第1封止樹脂18の各角部の下面には、上記した樹脂突起部12が配置されている。上記したように、紙面上で左右方向に対向する第1封止樹脂18の側辺は内側に窪ませてあるので、この側辺は回路基板14に極めて接近しており、この側辺付近の下面に上記した樹脂突起部12を配置することは困難である。そこで本形態では、凹状領域13が設けられない第1封止樹脂18の端部付近の下面に樹脂突起部12を設けている。
【0048】
図3および図4を参照して、次に、第1封止樹脂18の形状を更に説明する。図3(A)は第1封止樹脂18を示す斜視図であり、図3(B)は第1封止樹脂18の角部を拡大して示す斜視図であり、図4(A)は図3(A)のB−B’線での断面図であり、図4(B)は回路基板14を示す平面図である。
【0049】
図3(A)および図4(A)を参照して、第1封止樹脂18の4隅は、紙面上左右方向に突出する突出部21を呈すると共に、回路基板14の上面が第1封止樹脂18から露出する露出部25が形成されている。この露出部25は、回路基板14を第1封止樹脂18で樹脂封止する工程にて、金型で回路基板14の上面を押圧固定することで形成される部位である。従って、第1封止樹脂18を形成する工程にて、回路基板14を金型で押圧しなければ、第1封止樹脂18に露出部は形成されない。また、各突出部21の下面には、図1(C)に示した樹脂突起部12が設けられている。
【0050】
図3(B)を参照して、突出部21には、露出部25を両側から囲むように、壁部23A、23Bが設けられている。ここで、外側に配置された壁部23Bの高さL12は、内側に配置された壁部23Aの高さL11よりも低く設定されている。即ち、外側の壁部23Bの上面は、内側の壁部23Aの上面よりも下方に配置されている。
【0051】
これにより、樹脂封止の工程にて露出部25が形成される凹状の部分に樹脂が行き渡らずにボイドが発生することが防止される。具体的には、樹脂封止の工程にて露出部25の部分に流入した液状の樹脂は、低い外側の壁部23Bの上方を外側に向かって流動する。これにより、露出部25が設けられた凹状部分に充分に樹脂が行き渡り、ボイドが防止される。この事項は、他の突出部21に関しても同様である。
【0052】
更に、各突出部21で外側に配置される壁部23Bを低くすることにより、この壁部23Bが第2封止樹脂20(図1(C)参照)により厚く被覆され、両樹脂が嵌合する強度が向上される。また、第1封止樹脂18の端部の突出部21を、この様に凹凸を有する形状とすることによっても、この突出部21に第2封止樹脂20が嵌合して両樹脂が良好に密着する。
【0053】
図4(B)を参照して、第1封止樹脂18から回路基板14の上面が露出する露出部25は、回路基板14の4隅に設けられる。具体的には、露出部25は、回路基板14の端部から半径5.0mm〜10.0mm以内の領域に設けられる。この角部の領域は、プレス加工やダイシング加工により回路基板14の上面を被覆する絶縁層26にクラックが生じている場合が多いので、導電パターン22や半導体素子28等の回路素子は配置されていない。このことから、この角部の回路基板14の上面が露出部25として第1封止樹脂18から外部に露出しても、回路基板14の上面に組み込まれる混成集積回路には悪影響は及ばない。
【0054】
図5から図7を参照して、次に、上記した構成の混成集積回路装置の製造方法を説明する。図5は上記した第1封止樹脂18を形成する1回目のトランスファーモールドを示し、図6は第2封止樹脂20を形成する2回目のトランスファーモールドを示す。図7は、イジェクトピンの動作を示す図である。
【0055】
図5を参照して、まず、第1封止樹脂18で回路基板14を被覆する工程を説明する。図5(A)は本工程で製造される第1封止樹脂18を示す斜視図であり、図5(B)および図5(C)はトランスファーモールドを行う本工程を示す断面図である。ここで、図5(B)の断面図は図5(A)のB−B’線に対応し、図5(C)の断面図は図5(A)のC−C’線に対応している。
【0056】
図5(B)を参照して、まず、半導体素子等の回路素子が上面に組み込まれた回路基板14を金型27に収納する。具体的には、回路基板14の上面に半導体素子等の回路素子を固着し、この回路素子と導電パターンとを電気的に接続する。更に、回路基板14の周辺部に配置されたパッドにリード24を固着する。その後、下金型31に回路基板14を収納して下金型31に上金型29を当接させることで、両金型の間隙として形成されるキャビティ39に回路基板14が収納される。また、リード24は上下方向から上金型29および下金型31により挟持されることで固定され、これによりキャビティ39の内部に於ける回路基板14の位置が厚み方向および左右方向に対して固定される。更にまた、金型27でリード24を狭持することにより回路基板14の下面が下金型31の内壁に当接し、これにより本工程では回路基板14の下面が第1封止樹脂18で覆われず露出することに成る。
【0057】
キャビティ39の形状は、図5(A)に示す第1封止樹脂18を反転させた形状を有し、凹状領域13の窪み形状に即した凸部がキャビティ39の両側に設けられている。更に、キャビティ39の端部は、図3(C)に示す突出部21を反転させた形状とされている。
【0058】
次に、図5(C)を参照して、加熱されることで液状または半固形の状態となった第1封止樹脂18を、キャビティ39に注入する。本形態では、図5(A)および図5(C)を参照して、リード24が導出しない側辺にゲート42を設け、ゲート42に対向する位置にエアベント44を設けている。従って、ゲート42から第1封止樹脂18を注入するに従い、キャビティ39内部の空気はエアベント44を経由して外部に放出される。
【0059】
キャビティ39の全域に第1封止樹脂18が注入されることで、回路基板14の側面および上面、半導体素子等の回路素子が第1封止樹脂18により樹脂封止される。一方、回路基板14の下面は下金型31の内壁に当接しているので第1封止樹脂18では基本的に被覆されない。しかしながら、回路基板14の下面と下金型31の内壁との間に間隙がある場合は、この間隙に進入した第1封止樹脂18から成る薄い樹脂膜により回路基板14の下面が被覆される。
【0060】
キャビティ39に注入された第1封止樹脂18が加熱硬化したら、上金型29と下金型31とを離型し、第1封止樹脂18を金型27から取り出す。本工程では、上金型29に円筒状の孔部を設け、この孔部にイジェクトピン38が収納されている。イジェクトピン38の下面は、キャビティ39に第1封止樹脂18を封入する間は上金型29の内壁と同一平面上に位置し、第1封止樹脂18が硬化した後に金型27から第1封止樹脂18を取り出す際に、下方に移動する。これにより、成形された第1封止樹脂18がイジェクトピン38により押し出されて離型される。イジェクトピン38は、上金型29に4つ設けられ、これに対応して第1封止樹脂18の上面には、押圧痕としての当接部40が設けられる(図5(A)参照)。
【0061】
図5(B)を参照して、リード24が導出される側辺では、上金型29の側面は下部が上部よりも外側に広がる傾斜面であり、下金型31の側面は上部が下部よりも外側に広がる傾斜面である。両金型の側面がこの様な形状を呈することにより、キャビティ39で成形された第1封止樹脂を、両金型の内壁から容易に離型することができる。
【0062】
一方、図5(C)を参照して、リード24が導出しない側辺では、上金型29の側面は下部が上部よりも外側に傾斜する傾斜面であり、下金型31は側面を有さない。このようにすることで、成形される第1封止樹脂18の側面が一様に傾斜する傾斜面と成り、後に形成される第2封止樹脂とのアンカー効果が得られる。
【0063】
図5(C)を参照して、本工程では、回路基板14の周辺部にて下金型31の内壁を部分的に窪ませた凹部76を設けている。本工程にてこの凹部76に第1封止樹脂18が注入されることで、図4(A)に示す樹脂突起部12が形成される。この樹脂突起部12は、次工程にて回路基板14のクリアランスを確保するためのものである。
【0064】
更に本工程では、上金型29の内壁の一部を内側に突出させて押圧部41を設け、この押圧部41で回路基板14の周辺端部を押圧しても良い。具体的には、図5(A)に示した露出部25に対応する箇所および形状で、回路基板14の上面の周端部を上方から押圧している。これにより、回路基板14は厚み方向に固定されて樹脂封止時の移動が防止される。更には、押圧部41の押圧力により回路基板14の下面が下金型31の側壁に密着するので、回路基板14の下面に第1封止樹脂18が侵入することが抑制される。
【0065】
また、本工程で用いる金型27の内壁は粗面形状と成っている。具体的には、金型27の内壁は、第1封止樹脂18の表面の粗度が13.0μRZ以上15.0μRZ以下と成るような形状を呈している。この範囲であれば、第1金型27の内壁から容易に第1封止樹脂18を離型できる。
【0066】
上記工程により、図5(A)に示す形状の第1封止樹脂18が形成される。図1を参照して上記したように、第1封止樹脂18のリード24が導出する側面は、リード24が導出する中間部分が外側に向かって突出する傾斜面である。一方、リード24が導出しない第1封止樹脂18の側面は上部が内側に傾く一様な傾斜面であり、これにより次工程で形成される第2封止樹脂とのアンカー効果が発生する。更に、第1封止樹脂18の上面は平坦面であり、これにより次工程にて金型内壁に安定して第1封止樹脂の上面全域を当接できる。
【0067】
図6を参照して、次に、2回目のトランスファーモールドを行い、上記工程にて形成された第1封止樹脂18と回路基板14とを第2封止樹脂で被覆する。図6(A)は本工程で製造される第2封止樹脂20を示す斜視図であり、図6(B)および図6(C)は本工程を示す断面図である。ここで、図6(B)は図6(A)のB−B’線に対応する断面図であり、図6(C)は図6(A)のC−C’線に対応する断面図である。
【0068】
本工程では、最初に、上金型52および下金型54から成る金型50を用意する。金型50のキャビティ56は、先工程で用いた金型27のキャビティ39よりも若干大きく形成され、その内壁形状は図6(A)に示す樹脂部分の形状と同様である。
【0069】
具体的な封止方法は、先ず、第1封止樹脂18で樹脂封止された回路基板14を、下金型54に配置し、下金型54に上金型52を当接させることで形成されるキャビティ56の内部に回路基板14を収納する。また、リード24が上金型52および下金型54で挟持されることにより、キャビティ56の内部に於ける回路基板14の位置が固定される。
【0070】
図6(B)に示す断面では、上金型52の側面は下部が外側に広がる傾斜面であり、下金型54の側面は上部が外側に広がる傾斜面である。これにより、先回と同様に、本工程で成形される第2封止樹脂20を金型50の内壁から容易に離型できる。
【0071】
また、この断面では、回路基板14の下面と下金型54の内壁との距離L1は、第1封止樹脂18の側面と下金型54および上金型52の側壁との距離L2と、同様である。具体的には、L1およびL2の距離は、例えば0.1mm以上0.3mm以下の範囲である。このようにすることで、キャビティ56に注入された第2封止樹脂20が、回路基板14の下方および第1封止樹脂18の側方に一様に充填され、ボイドが抑制される。
【0072】
本工程では、図6(C)を参照して、金型50で第1封止樹脂18を押圧することによりキャビティ56の内部に於ける第1封止樹脂18の位置を強固に固定している。具体的には、平坦な第1封止樹脂18の上面全域が上金型52の内壁に当接し、第1封止樹脂18の下面に設けた樹脂突起部12が下金型54の内壁に当接している。これにより、回路基板14の下面は、樹脂突起部12の厚み(L1)で下金型54の内壁と離間される。
【0073】
次に、図6(C)を参照して、液状の第2封止樹脂20をゲート58からキャビティ56に注入する。注入された第2封止樹脂20は、先ず第1封止樹脂の左側の領域56Aに充填される。第2封止樹脂20が領域56Aに充填された後は、回路基板14の下面と下金型54の内壁との間の狭い間隙に第2封止樹脂20が充填される。これと同時に図6(B)を参照して、第1封止樹脂18の側面と下金型54および上金型52の側壁との間の間隙にも第2封止樹脂20が充填される。その後、図6(C)を参照して、紙面上にて第1封止樹脂18の右側の領域56Bに第2封止樹脂20が充填されると、本工程の樹脂充填が完了する。また、第2封止樹脂20の充填に伴い、キャビティ56の空気はエアベント60を経由して外部に放出される。
【0074】
本工程では、上記したように、図6(C)に示す回路基板14の下方の間隙と、図6(B)に示す第1封止樹脂18の側方の間隙の幅が略同一に設定されている。従って、両領域に満遍なく第2封止樹脂20が充填されるので、回路基板14の下方の間隙が例えば0.2mm程度に狭く設定されても、この領域にボイド無く第2封止樹脂20を充填させることが可能となる。
【0075】
更に、先工程と同様に、本工程で用いる上金型52にもイジェクトピン62が設けられており、第2封止樹脂20の充填が終了した後に、第1封止樹脂18の上面をイジェクトピン62で下方に押圧することにより、第2封止樹脂20で樹脂封止された回路基板14を金型50から取り出す。
【0076】
また、本工程では、図6(C)に示す金型50の側面を部分的に円形に内部に突出させることで、図6(A)に示す固定部19が形成される。図2を参照して説明したように、固定部19に接近する第1封止樹脂18の側辺は内部に配置されているので、固定部19と第1封止樹脂18の端部とは、例えば1.0mm以上離間されている。
【0077】
また、図3(B)を参照して、第1封止樹脂18の端部は複雑な形状を有する突出部21である。本形態では、上記したように突出部21の外側の壁部23Bを内側の壁部23Aよりも低くしているので、凹状の露出部25に流入した第2封止樹脂20は、低い壁部23Bの上方を良好に流通する。この結果、両壁部の間の空間にも第2封止樹脂20が充填され、両者の間にボイドが生じることが防止される。
【0078】
図7を参照して、上記した工程で用いられるイジェクトピンに関して更に説明する。図7(A)は第1封止樹脂を形成する工程にて用いられるイジェクトピン38を示し、図7(B)は第2封止樹脂を形成する工程にて使用されるイジェクトピン62を示す。
【0079】
図7(A)を参照して、第1封止樹脂18を射出成形する工程では、上金型29に設けた孔部43にイジェクトピン38は収納された状態となっており、イジェクトピン38の下面は上金型29の内壁と同一平面上に配置されている。
【0080】
しかしながら、孔部43とイジェクトピン38との間には、摩耗が進行すると僅かな間隙が存在しており、この間隙に第1封止樹脂18が侵入することにより、第1封止樹脂18の上面が局所的に上方に突出する樹脂バリ66が形成される。
【0081】
図7(B)を参照して、この樹脂バリ66をそのままの状態にして2回目のトランスファーモールドを行うと、樹脂バリ66が第2金型の上金型52の内壁に接触して、第2金型の内部に於ける第1封止樹脂18の位置がずれる恐れがある。
【0082】
そこで本形態では、第1金型に設けられるイジェクトピン38と、第2金型に設けられるイジェクトピン62の位置を対応(重畳)させている。更に、第2金型でイジェクトピン62が設けられる孔部64を、第1金型でイジェクトピン38が設けられる孔部43よりも平面視で大きく形成している。更にまた、第2封止樹脂を樹脂封止する工程では、イジェクトピン62の下端を、上金型52の内壁よりも上方に配置している。これにより、樹脂バリ66が孔部64に収納されるので、樹脂バリ66が上金型52の内壁に当接することが防止され、上金型52の内壁が第1封止樹脂18の上面に密着する。
【0083】
上記工程が終了した後は、リード24を所定の形状や長さに成形する工程、内蔵される混成集積回路装置の特性を検査する工程を経て、図1に示す混成集積回路装置10が製造される。
【符号の説明】
【0084】
10 混成集積回路装置
12 樹脂突起部
13 凹状領域
14 回路基板
16 封止樹脂
18 第1封止樹脂
19 固定部
20 第2封止樹脂
21 突出部
22 導電パターン
23A,23B壁部
24 リード
25 露出部
26 絶縁層
27 金型
28 半導体素子
29 上金型
30 チップ素子
31 下金型
34 金属細線
36 境界
38 イジェクトピン
39 キャビティ
40 当接部
41 押圧部
42 ゲート
43 孔部
44 エアベント
50 金型
52 上金型
54 下金型
56 キャビティ
56A,56B領域
58 ゲート
60 エアベント
62 イジェクトピン
64 孔部
66 樹脂バリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に回路素子が実装された回路基板を第1金型に収納し、前記回路基板の下面を前記第1金型の内壁に当接させた状態で、第1封止樹脂で前記回路素子、前記回路基板の上面および側面を被覆し、前記第1封止樹脂の一部を前記回路基板の下面よりも下方に突出する突起部とする第1工程と、
前記第1封止樹脂で被覆された前記回路基板を第2金型に収納し、前記突起部を前記第2金型の内壁に当接させ、前記回路基板の下面と前記第2金型の内壁との距離を所定の長さに固定した状態で、前記回路基板と前記第2金型の内壁との間に第2封止樹脂を充填し、前記第1封止樹脂を前記第2封止樹脂で被覆する第2工程と、を備えることを特徴とする回路装置の製造方法。
【請求項2】
前記突起部は、前記回路基板の4隅付近の前記第1封止樹脂に4個が設けられることを特徴とする請求項1に記載の回路装置の製造方法。
【請求項3】
前記突起部は、前記回路基板から離間して設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程では、前記第1封止樹脂の上面を前記第2金型の内壁に接触させると共に、前記突起部を前記第2金型の内壁に接触させることにより、前記回路基板を厚み方向に固定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回路装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程では、前記回路基板の下面を前記第1金型の内壁に密着させることで、前記回路基板の下面を前記第1封止樹脂から露出させ、
前記第2工程では、前記第1封止樹脂から露出する前記回路基板の下面を前記第2封止樹脂で被覆することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の回路装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程では、前記第1封止樹脂の上面を前記第2金型の上面に密着させることで、前記第1封止樹脂の上面を前記第2封止樹脂から露出させることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の回路装置の製造方法。
【請求項7】
前記突起部が前記回路基板の下面から突起する長さは0.1mm以上0.3mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の回路装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115133(P2013−115133A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257967(P2011−257967)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】