説明

回転アトマイザーのベルカップ用インクノズル

本発明は、回転アトマイザーのベルプレートに配置され得て、配置された時には、インクジェット(5)と、ベルプレートの分配ディスク窪みとの間に環状ギャップを形成し、ベルプレート(3)を洗浄するための洗浄剤を導くためのインクジェット(5)内に延びる共通の洗浄剤流路(11.1、11.2)と、共通の洗浄剤流路(11.1、11.2)によって洗浄剤が供給され、ベルプレートの分配ディスクに向けて略軸方向前方に向けられた第1の洗浄剤出口(16)と、を有し、共通の洗浄剤流路(11.1、11.2)によって洗浄剤が供給される第2の洗浄剤出口(18)を有するインクジェットに関連する。本発明によれば、実装状態においては、洗浄剤で環状ギャップを洗浄するために、第二の洗浄剤出口(18)が、分配ディスク窪みとインクジェット(5)との間の環状ギャップに入る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転アトマイザーのベルカップに挿入可能な塗料ノズルに関連する。
【背景技術】
【0002】
図1は、たとえば車両部品を塗装するための塗装装置に用いられ得る従来の回転アトマイザー1を示す。回転アトマイザー1は中空のタービンシャフト2を有し、それはタービンによって駆動され、その自由端においてベルカップ3を保持し、ベルカップ3はタービンシャフト2にネジで固定される。中空の塗料チューブ4が中空のタービンシャフト2内を通り、その塗料チューブを通って、塗布される塗料がベルカップ3に運ばれる。交換可能な塗料ノズル5が塗料チューブ4の端面に取り付けられ、その塗料ノズルはベルカップ3を通って、そのノズルヘッドによって軸方向に突出し、塗料のフローを分配ディスク6に向ける。さらに、回転アトマイザー1は、多数のガイド空気ノズル8を有するガイド空気リング7を有し、それが周縁部にわたって分配され、ベルカップ3によって噴霧ジェットの出力を方向づけるために、ガイド空気の流れを、背後から軸方向に、たとえばベルカップ3の側面9に向ける。回転アトマイザー1によって、塗料チューブ4およびその内部を通る塗料流路10を介して洗浄剤が塗料の代わりに供給されるため、洗浄モードも可能となり、ついで、洗浄剤が、ベルカップ3および分配ディスク6の内面を洗浄する。
【0003】
この既知の構造の短所は、ベルカップ3の外側面9を洗浄剤で洗浄することができないことである。他方、本構造の短所は、塗料ノズル5の所まではコーティングが途切れなく押し出され続け、コーティングが乾燥することを防止するために中間でベルカップ3のみが簡単に洗浄されている間は、簡単な洗浄が可能ではない、ということである。
【0004】
図2は、ベルカップ3の同様な既知の従来の構造を示し、それは上述の図1に係る構造と部分的に一致し、参照符号が上述されており、反復を避けるため、同一の参照符号が対応する細部に対して用いられる。類似の構造が特許文献1によっても知られている。
【0005】
この既知の構造の特徴は、塗料ノズル5が、連続的な塗料流路10だけでなく、洗浄剤流路11を有し、それは塗料ノズル5の前方端面にある洗浄剤出口を終点とし、洗浄剤を分配ディスク6側に略軸方向に向けることである。洗浄プロセスの間でさえ塗料ノズル5の所までコーティングが押し出され続け得るので、塗料流路10からの洗浄剤流路11の分離によって上述の簡単な洗浄が可能になる。この既知の構造のさらなる特徴は、ベルカップ3の側面9もまた洗浄され得ることである。この目的を達成するために、洗浄剤穴12が共通の洗浄剤流路11から分岐し、その穴が、次に洗浄剤がベルカップ3の外側面9の上を通る場所から、ベルカップ3の環状の外側洗浄チャンバーに向けて、ベルカップ3内のさらなる洗浄剤流路13を通る洗浄剤を導く。この外部洗浄もまた、それ自体が特許文献2によって知られており、それゆえに、詳細について説明される必要がない。
【0006】
この既知の構造の短所は、洗浄剤の圧力が小さい時には、塗料ノズル5と反対側の分配ディスク6の後側のみが洗浄されつつ、洗浄剤の乱流および分配ディスク6からの洗浄剤の跳ね返りが、洗浄剤によって分配ディスク容器15を完全に洗浄するのに不十分であるので、分配ディスク容器15が汚れを含むということである。
【0007】
図3は、ベルカップ3の既知の構造を同様に示し、それは上述の従来のベルカップ3と部分的に一致し、参照符号が上述されており、反復を避けるため、同一の参照符号が対応する細部に対して用いられる。
【0008】
この態様の特徴は、塗料ノズル5の前方端面に対して裏側に軸方向に相殺される洗浄剤出口に向けて洗浄剤流路11が開口していることである。
【0009】
しかしながら、軸方向裏側にセットされた洗浄剤出口を伴う本構造の短所は、分配ディスク容器15および塗料ノズル5内の中央穴の不十分な洗浄である。
【0010】
最後に、従来技術として特許文献3が参照される。しかしながら、本文献は、塗料ノズルと、それを環状に取り囲む分配ディスク容器との間の環状のギャップを対象とした洗浄を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6341734号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0715896号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0277496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それゆえ、本発明の目的は、相応に改良された塗料ノズルを生み出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る塗料ノズルによって、好ましくは簡単な洗浄が可能になり、さらに、もしこれがベルカップの一部ではない場合には、ベルカップ全体の内側、分配ディスク、塗料ノズル、ベルカップの外側面および分配ディスク容器への満足すべき洗浄効果が実現されるべきである。
【0014】
本目的は、独立項に記載された本発明に係る塗料ノズルによって実現される。
【0015】
本発明は、塗料ノズル内の端に配置された洗浄剤出口が、満足するように分配ディスクを洗浄し得るだけではなく、塗料ノズルと、取り囲む分配ディスクとの間の環状ギャップをも洗浄し得るという物理的な発見に基づく。
【0016】
さらに、本発明は、洗浄剤出口を軸方向背後にセットすることが、分配ディスクに対する洗浄の効果の邪魔に繋がるという物理的な発見に基づく。
【0017】
それゆえ、本発明は、塗料ノズル内に分離した洗浄剤出口を設けるという一般的な技術的教示を備え、その出口は、分配ディスク、および、塗料ノズルと、取り囲む分配ディスク容器(すなわち、概してベルカップ)との間の環状ギャップを洗浄すべきであり、それによって同時洗浄が可能となる。
【0018】
それゆえに、本発明に係る塗料ノズルは、従来の形式における、ベルカップを洗浄するための洗浄剤を導くための共通の洗浄剤流路を第一に備える。この洗浄剤流路は、分配ディスクを洗浄するために用いられる第一の洗浄剤出口に向けて開口し、ベルカップの分配ディスクに対して略軸方向前方に洗浄剤を向ける。さらに、本発明に係る塗料ノズルは第二の洗浄剤出口を有し、塗料ノズルが実装状態にある時に、洗浄剤によって環状ギャップを洗浄するために、それは、分配ディスク窪みと塗料ノズルとの間の環状ギャップに向けて開口する。本発明に係る塗料ノズルは、それゆえに、塗料ノズルにおいて分岐し、分離された洗浄剤出口に洗浄剤を供給する共通の洗浄剤流路を有する。
【0019】
分配ディスクを洗浄するため、および、塗料ノズルと分配ディスク容器との間の環状ギャップを洗浄するための、上述の2つの洗浄剤出口に加えて、塗料ノズルは好ましくは第3の洗浄剤出口を有し、それは、共通の洗浄剤流路によって洗浄剤が同様に供給され、たとえば特許文献2に記載されているように外部洗浄を可能にする。そして、外部洗浄の構造の詳細に関して、特許文献2は本明細書に完全に包含される。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、共通の洗浄剤流路はそれゆえに少なくとも3つの洗浄剤出口に分岐し、それはベルカップの異なる領域を洗浄すべきである。塗料ノズルの端面の第一の洗浄剤出口はそれゆえに、分配ディスクおよびベルカップの内面を洗浄するために主に用いられる。また一方、第2の洗浄剤出口は、塗料ノズルと、取り囲む分配ディスク容器との間の環状ギャップを洗浄するために主に用いられる。また一方、第3の洗浄剤出口は、外部洗浄のために、すなわちベルカップの外側面を洗浄するために、主に用いられる。
【0021】
本発明に係る塗料ノズルは、好ましくは、共通の洗浄剤流路を経て供給される洗浄剤の流れが複数の支流に分割され、それがお互いに対して一定の割合を有し、それぞれの洗浄剤出口に供給されるように設計される。
【0022】
分配ディスク、および、ベルカップの内面を洗浄するための第一の洗浄剤出口は、それゆえに、好ましくは、合計洗浄剤体積流量の3/7〜5/7の割合で出力し、それは概して、360〜440ミリリットル/分の洗浄剤体積流量に相当する。本発明の好ましい実施態様においては、第一の洗浄剤出口は、合計洗浄剤体積流量の4/7の割合を出力する。これは、洗浄剤の圧力およびチューブ次第であり、それゆえに、上述の数値範囲よりも大きくなったり、小さくなったりし得る。
【0023】
一方、分配ディスク容器と塗料ノズルとの間の環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口は、好ましくは、合計洗浄剤量の2/7以下の割合を出力し、それは110ミリリットル/分までの洗浄剤量に相当する。本発明の好ましい実施態様においては、第二の洗浄剤出口は、合計洗浄剤量の1/7の割合を出力する。
【0024】
一方、外部洗浄のための第三の洗浄剤出口は、好ましくは、合計洗浄剤量の1/7〜3/7の割合を出力し、それは180〜220ミリリットル/分の洗浄剤量に相当する。好ましい実施態様においては、外部洗浄用の割合は、合計洗浄剤量の2/7である。
【0025】
この場合、合計洗浄剤量は、好ましくは、10〜40ミリリットルの範囲にある。
【0026】
上述した異なる支流への洗浄剤フローの分割は、好ましくは、洗浄剤出口の構造形成および寸法決めと、上流側の洗浄剤穴とを対応させることによって実現される。
【0027】
塗料ノズルと、取り囲む分配ディスク容器との間の環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口は、それゆえに、好ましくは、1mm、0.7mm、0.5mmまたは、0.35mmよりもさらに小さい直径を有する。これは、比較的小さな量の洗浄剤のみが第二の洗浄剤出口を経て分岐され、ベルカップの他の領域を洗浄するための十分な洗浄剤が残存する、ということを意味する。
【0028】
分配ディスク容器と塗料ノズルとの間の環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口が、好ましくは、塗料ノズルの前方の背後に、軸方向一定の距離をおいて配置されることにも言及されるべきである。第二の洗浄剤出口は、それゆえに、好ましくは、塗料ノズルの前方端面に対して軸方向背後にセットされ、塗料ノズルの前方からの軸方向の距離は、好ましくは、4〜5mmの範囲である。本発明の好ましい実施態様においては、塗料ノズルの前方と、第二の洗浄剤出口との間の距離は、4.5mm±0.2mmである。これは、分配ディスク容器の内面の半分以上が洗浄され、塗料チューブの方向に向けて、または、外部の洗浄穴に向けて逆流する洗浄剤がないことを保証する。
【0029】
第二の洗浄剤出口は、好ましくは、洗浄剤を斜め方向前方および後方に出力し、洗浄剤出口が、ベルカップの回転軸に対して一定の出口角度を有することにもさらに言及されるべきである。第二の洗浄剤出口の出口角度は、好ましくは、0〜15°の範囲であり、本発明の好ましい実施態様における出口角度は原則的には3°である。また、出口角度が0°であることも、本発明の範疇に入り得る。
【0030】
好ましい実施態様においては、共通の洗浄剤流路は、上流側のダクト部分と、下流側のダクト部分とを有し、上流側のダクト部分は下流側のダクト部分よりも大きなダクト断面部を有する。共通の洗浄剤流路は、それゆえに、好ましくは、段差とともに拡がり、分配ディスク容器と塗料ノズルとの間の環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口は、好ましくは、共通の洗浄剤流路の上流側のダクト部分から、すなわち、より大きなダクト断面部を伴うダクト部分から分岐する。この点において、環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口は、好ましくは、共通の洗浄剤流路の上流側のより大きなダクト断面部から、共通の洗浄剤流路の下流側のより小さなダクト断面部への移行部において分岐し、フローに関して有利であることを証明することにも言及されるべきである。
【0031】
あるいは、分配ディスク容器と塗料ノズルとの間の環状ギャップを洗浄するための第二の洗浄剤出口が、共通の洗浄剤流路の下流側のダクト部分から分岐することも可能である。
【0032】
一方、外部洗浄のための第三の洗浄剤出口は、好ましくは、共通の洗浄剤流路の上流側のダクト部分から分岐し、洗浄剤流路はそこの部分において、より大きなダクト断面部を有する。
【0033】
また一方、分配ディスクを洗浄するための第一の洗浄剤出口は、好ましくは、塗料ノズルの端面、および/または、下流側のダクト部分の端に配置される。
【0034】
塗布されるコーティング剤を導くために塗料ノズル内をコーティング剤流路が概して軸方向に通り、コーティング剤流路が好ましくは塗料ノズルの全長にわたって軸方向に通過し、塗料ノズルの前方端面を終点とすることにも言及されるべきである。コーティング剤流路もまた、好ましくは、より大きなダクト断面部を伴う上流側のダクト部分と、より小さなダクト断面部を伴う下流側のダクト部分とに分割され、第一の洗浄剤出口のための十分なスペースをサイドに残すために、より小さなダクト断面部を伴う下流側のダクト部分が、塗料ノズル内を偏るように通ることが可能である。
【0035】
あるいは、コーティング剤流路の上流側のダクト部分が、下流側のダクト部分よりも小さなダクト断面部を有することも可能である。
【0036】
コーティング剤流路が、円錐状にテーパーを有すること、または、拡がることも可能である。
【0037】
本発明に係る、設けられた第二の洗浄剤出口が、塗料ノズルと、取り囲む分配ディスク容器との間の環状ギャップを洗浄するために用いられることが既に言及されている。この点において、本発明に係る塗料ノズルが、好ましくは、2つの円筒状のノズル部分を有し、それは、円錐状のノズル部分が選択的に配置される場所と、環状に円錐状のノズル部分を取り囲む第二の洗浄剤出口によって洗浄される環状ギャップとの間にあることが言及されるべきである。この場合、塗料ノズルの円錐状のノズル部分は、たとえば、20〜30°の範囲で傾き得る円錐角を有する。さらには、円錐状のノズル部分が好ましくは段差なしで遠位の円筒状のノズル部分に合流する一方で、段差が円錐状のノズル部分から近位の円筒状のノズル部分への移行部において生じ得ることにも言及されるべきである。
【0038】
本発明の文脈において用いられる「環状ギャップ」という用語は、それゆえに、好ましくは、塗料ノズルの円錐状のノズル部分を取り囲む環状ギャップに基づく。この場合、洗浄剤を環状ギャップに直接出力するために、追加の第二の洗浄剤出口が、好ましくは、円錐状のノズル部分の側面から開口する。
【0039】
本発明が、個々の構成要素として、上述の本発明に係る塗料ノズルに限定されるものではないことにも言及されるべきである。むしろ、本発明は、その内部に位置する塗料ノズルを伴うベルカップ、および、そのようなベルカップを有する完成品の回転アトマイザーをも含む。
【0040】
本発明に係るベルカップ内の分配ディスクがベルカップの常設部品であり得ることにも言及されるべきである。また一方、分配ディスクが、別個の構成要素として形成される、および、ベルカップに実装されることも可能である。
【0041】
最後に、本発明はまた、本発明に係る塗料ノズルを含む、少なくとも1つのそのような回転アトマイザーを有する塗装装置をも含む。
【0042】
本発明の他の有利な発展形が、図面に基づいた本発明の好ましい実施態様の記載とともに、従属項において特徴づけられ、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】追加の洗浄剤流路を伴わない、塗料ノズルを有する従来のベルカップの断面図を示す。
【図2】外部洗浄をも可能にする分離された洗浄剤流路を伴う、塗料ノズルを有する従来のベルカップの断面図を示す。
【図3】軸方向裏側にセットされた洗浄剤出口を伴う従来のベルカップの断面図を示す。
【図4A】本発明に係る塗料ノズルの断面図を示す。
【図4B】模式的に示された、取り囲む分配ディスク容器を伴う、本発明に係る図4Aの塗料ノズルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図4Aおよび図4Bに示される本発明に係る塗料ノズル5は、導入部分において述べられた従来の塗料ノズル5と部分的に一致し、参照符号が上述されており、反復を避けるため、同一の参照符号が対応する細部に対して用いられる。
【0045】
塗料ノズル5は塗料流路10を有し、塗料流路10は軸方向に貫通し、縦方向に並べられた2つのダクト部分10.1、10.2から構成される。塗料流路10の下流側のダクト部分10.2は、本実施態様においては、流路の上流側のダクト部分10.1よりも小さなダクト断面部を有し、実際には異なるものとして認識され得る。さらに、洗浄剤流路11の道順を決めるための十分なスペースをそこに残すために、塗料流路10の下流側のダクト部分10.2は、塗料ノズル5の前方部分寄りに偏って配置される。
【0046】
洗浄剤流路11もまた、上流側のダクト部分11.1および下流側のダクト部分11.2を有し、下流側のダクト部分11.2は、上流側のダクト部分11.1よりも小さなダクト断面部を有する。
【0047】
その結果、洗浄剤流路11の下流側のダクト部分11.2は洗浄剤出口16に向けて開口し、それは塗料ノズル5の前方端面に配置され、第一の洗浄剤の流れS1を略軸方向に出力し、第一の洗浄剤の流れS1は、実質的に、洗浄剤によって、分配ディスク6と、ベルカップ3の内面とを洗浄するために用いられる。
【0048】
さらに、洗浄剤穴が、洗浄剤流路11の上流側のダクト部分11.1から分岐し、その穴は第二の洗浄剤出口18に向けて開口し、第二の洗浄剤出口18が第二の洗浄剤の流れS2を出力し、それは、実質的に、塗料ノズル5と、取り囲む分配ディスク容器15との間の環状ギャップ19(図4B参照)を洗浄するために用いられる。
【0049】
この場合、第二の洗浄剤出口18は、塗料ノズル5の前方端面に対して、距離a=4.5mmだけ離れて、軸方向裏側にセットされる。これは、分配ディスク容器15の内面の半分以上が洗浄され、かつ、逆流する洗浄剤はないことを保証する。
【0050】
第二の洗浄剤出口が、ベルカップ3の回転軸20に対してα=3°の一定の出口角度を有することにも言及されるべきである。
【0051】
最後に、さらなる洗浄剤穴21が、洗浄剤流路11の上流側のダクト部分11.1から分岐し、その穴は、さらなる洗浄剤出口22に向けて開口する。ベルカップ3の外部洗浄に用いられる第三の洗浄剤の流れS3が、洗浄剤出口22を経由して出力される。
【0052】
洗浄剤流路11のダクト部分11.1、11.2の、洗浄剤出口16、18および22と、洗浄剤穴17、21との寸法は、入口側に供給される洗浄剤の流れSが以下の割合で個々の洗浄剤の流れS1、S2およびS3に分割されるようになる。
S1=4/7×S
S2=1/7×S
S3=2/7×S
【0053】
本発明は上述の好ましい実施態様に限定されるものではない。むしろ、多くの変形および修正が可能であり、それらも本発明の概念を用いるものであり、それゆえに保護の範囲内に入る。さらに、本発明はまた、それらが参照する請求項の特徴と独立する従属項の特徴に対する保護をも主張する。
【符号の説明】
【0054】
1 回転アトマイザー
2 タービンシャフト
3 ベルカップ
4 塗料チューブ
5 塗料ノズル
6 分配ディスク
7 ガイド空気リング
8 ガイド空気ノズル
9 側面
10 塗料流路
10.1 塗料流路のダクト部分
10.2 塗料流路のダクト部分
11 洗浄剤流路
11.1 洗浄剤流路のダクト部分
11.2 洗浄剤流路のダクト部分
12 洗浄剤穴
13 洗浄剤流路
14 外部洗浄チャンバー
15 分配ディスク容器
16 洗浄剤出口
17 洗浄剤穴
18 洗浄剤出口
19 環状ギャップ
20 回転軸
21 洗浄剤穴
22 洗浄剤出口
S 洗浄剤の流れ
S1 第一の洗浄剤の流れ
S2 第一の洗浄剤の流れ
S3 第三の洗浄剤の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転アトマイザーのベルカップ(3)に挿入可能であり、挿入状態において、塗料ノズル(5)と前記ベルカップ(3)の分配ディスク容器(15)との間に環状ギャップ(19)を形成する塗料ノズル(5)であって、
a)前記ベルカップ(3)を洗浄するための洗浄剤を導くための前記塗料ノズル(5)を通る共通の洗浄剤流路(11)と、
b)前記共通の洗浄剤流路(11)によって洗浄剤が供給され、前記ベルカップ(3)の分配ディスク(6)に対して略軸方向前方に向けられた、第一の洗浄剤出口(16)と、
c)前記共通の洗浄剤流路(11)によって前記洗浄剤が供給された第二の洗浄剤出口(18)と、
を有し、
d)実装状態において、前記洗浄剤によって環状ギャップを洗浄するために、前記第二の洗浄剤出口(18)が、前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)に向けて開口している、
ことを特徴とする塗料ノズル(5)。
【請求項2】
a)前記コーティング剤による前記ベルカップ(3)の外部洗浄を可能にするために、前記ベルカップ(3)が外部洗浄チャンバー(14)を有し、
b)前記塗料ノズル(5)が、前記共通の洗浄剤流路(11)によって前記洗浄剤が供給された第三の洗浄剤出口(22)を有し、
c)前記第三の洗浄剤出口(22)が、前記洗浄剤を、前記外部洗浄チャンバー(14)に導く、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項3】
a)前記共通の洗浄剤流路(11)が前記洗浄剤の一定の総量を供給し、前記総量が具体的には10〜40ミリリットルの範囲であることを特徴とし、
b)前記分配ディスク(6)を洗浄するための前記第一の洗浄剤出口(16)が、その構造によって、前記洗浄剤の前記総量の一定割合を出力し、この割合が、360〜440ミリリットル/分の範囲においては、3/7〜1/7の範囲であることを特徴とし、
c)前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)を洗浄するための前記第二の洗浄剤出口(18)が、その構造によって、前記洗浄剤の前記総量の一定割合を出力し、この割合が、90〜110ミリリットル/分の範囲においては、1/7未満であることを特徴とし、および/または、
d)外部洗浄のための前記第三の洗浄剤出口(22)が、その構造によって、前記洗浄剤の前記総量の一定割合を出力し、この割合が1/7〜3/7の範囲である、および/または、180ミリリットル〜220ミリリットル/分の範囲であることを特徴とする、
請求項1および2に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項4】
前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)を洗浄するための前記第二の洗浄剤出口(18)が、1mm、0.7mm、0.5mmよりも小さい、または0.35mmよりもさらに小さい直径を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項5】
a)前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)を洗浄するための前記第二の洗浄剤出口(18)が、前記塗料ノズル(5)の前方の背後に軸方向一定の距離(a)をおいて配置され、
b)前記距離(a)が、2mm、3mm、4mmまたは4.3mmよりも大きく、および/または、
c)前記距離(a)が、7mm、6mm、5mm、4.7mmよりも小さく、および/または、
d)前記距離(a)が、原則的には4.5mmである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項6】
a)前記洗浄剤が、前記第二の洗浄剤出口(18)から、斜め方向前方および後方に出力され、および/または、
b)前記洗浄剤が、前記ベルカップ(3)の回転軸に対して一定の出口角度(α)をもって、前記第二の洗浄剤出口(18)から出力され、
c)前記出口角度(α)が、25°、20°、15°、10°または5°より小さく、具体的には原則的に3°である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項7】
前記共通の洗浄剤流路(11)が、上流側のダクト部分(11.1)と、下流側のダクト部分(11.2)とを有し、前記上流側のダクト部分(11.1)が、前記下流側のダクト部分(11.2)よりも大きなダクト断面部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項8】
前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)を洗浄するための前記第二の洗浄剤出口(18)が、前記共通の洗浄剤流路(11)の前記上流側のダクト部分(11.1)から分岐する、
ことを特徴とする請求項7に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項9】
前記分配ディスク容器(15)と前記塗料ノズル(5)との間の前記環状ギャップ(19)を洗浄するための前記第二の洗浄剤出口(18)が、前記上流側のダクト部分(11.1)と前記下流側のダクト部分(11.2)との移行部において前記共通の洗浄剤流路(11)から分岐する、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項10】
外部洗浄のための前記第三の洗浄剤出口(22)が、前記共通の洗浄剤流路(11)の前記上流側のダクト部分(11.1)から分岐する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項11】
前記分配ディスク(6)を洗浄するための前記第一の洗浄剤出口(16)が、前記塗料ノズル(5)の端面に、および/または、前記下流側のダクト部分(11.2)の端に、配置された、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項12】
a)塗布されるコーティング剤を導くために、コーティング剤流路(10、10.1、10.2)が前記塗料ノズル(5)内を軸方向に通り、および/または、
b)前記コーティング剤流路(10、10.1、10.2)が、前記塗料ノズル(5)の全長にわたって軸方向に通過し、および/または、
c)前記コーティング剤流路(10、10.1、10.2)が、上流側のダクト部分(10.1)と下流側のダクト部分(10.2)とを有し、前記上流側のダクト部分(10.1)が、前記下流側のダクト部分(10.2)よりも大きなダクト断面部を有し、および/または、
d)前記コーティング剤流路(10)の前記下流側のダクト部分(10.2)が、前記ベルカップ(3)の前記回転軸(20)に対して偏るように前記塗料ノズル(5)を通り、および/または、
e)前記コーティング剤流路(10、10.1、10.2)が円錐状に伸びる、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項13】
a)略円筒状の外側輪郭を伴う遠位ノズル部分、および/または、
b)略円筒状の外側輪郭を伴う近位ノズル部分、および/または、
c)前記近位ノズル部分と前記遠位ノズル部分との間に軸方向に配置され、前記遠位ノズル部分の方向に向けて円錐状にテーパーを有する中央ノズル部分、
を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項14】
a)前記第二の洗浄剤出口(18)が開口する前記環状ギャップ(19)が、前記塗料ノズル(5)の円錐状の前記中央ノズル部分を取り囲み、および/または、
b)円錐状の前記中央ノズル部分が、2°、5°または8°よりも大きな円錐角を有し、
c)円錐状の前記中央ノズル部分が、30°、20°、15°または10°よりも小さな円錐角を有し、および/または、
d)前記外側輪郭が、前記近位ノズル部分から前記遠位ノズル部分への移行部に段差を有し、および/または、
e)前記中央ノズル部分から前記遠位ノズル部分への移行部が原則的に段差なしである、
ことを特徴とする請求項13に記載の塗料ノズル(5)。
【請求項15】
洗浄される前記環状ギャップ(19)によって取り囲まれた円錐状のノズル部分を備え、
前記第二の洗浄剤出口(18)が前記円錐状のノズル部分から開口し、かつ、前記洗浄剤を、取り囲む前記環状ギャップ(19)に直接出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の塗料ノズル。
【請求項16】
a)分配ディスク容器(15)と、
b)前記分配ディスク容器(15)に固定された分配ディスク(6)と、
c)前記分配ディスク容器(15)に挿入された塗料ノズル(5)と、
d)前記塗料ノズル(5)と、取り囲む前記分配ディスク容器(15)との間の環状ギャップ(19)と、
を備え、
e)前記塗料ノズル(5)が、請求項1乃至15のいずれか1項に従って形成された、
ことを特徴とする回転アトマイザー用のベルカップ(3)。
【請求項17】
請求項16に記載のベルカップ(3)を備える回転アトマイザー(1)。
【請求項18】
請求項17に記載の回転アトマイザー(1)を備える、車両部品塗装用の塗装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2013−501607(P2013−501607A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524129(P2012−524129)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004714
【国際公開番号】WO2011/018169
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】