説明

回転アノードをもつX線発生装置

本発明は、固定されたカソードとモータ駆動ロータに配置された回転アノードとを備え、カソードと回転アノードとが真空タンクに導入されている、X線を発生させるための回転アノードを備えたX線発生装置に関する。発明の回転アノードをもつX線発生装置は、X線発生装置内に集約され、真空タンクに接続された制御装置を含むバランス装置と、ロータに接続され、制御装置によって相互間の角度を変更可能な少なくとも2つの補償用質量体を含む作動装置と、X線発生装置の振動を検出するための振動センサと、補償用質量体の位置を検出するための位置センサと、バランス装置に接続され、アンバランスを計算し、アンバランスによって生成される振動を減少させるように、補償用質量体を制御装置により移動させることのできるバランス装置を制御するためのマイクロプロセッサによって制御されるコントローラと、を含む。角度αだけ、または回転軸に関する特定の距離だけ、特有の方法によって1つの補償用質量体を移動させてアンバランスベクトルを生成させることにより校正が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転アノードをもつX線発生装置及び同X線発生装置のバランスをとるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転アノードをもつX線発生装置は、最近は物質を試験するためや医療目的のために使用されている。回転アノードを持つ現在のX線発生装置における回転アノードは、20,000rpmに到達する高速度で回転するので、回転システムにおける残余のアンバランス(不釣合)が振動を引き起こす。運転の間、特に電極の加熱の間において変化するアンバランスのひとつの理由は、電極の熱膨張である。アンバランスによって引き起こされる振動は、ベアリングの運転寿命を短くする振動を生成する。その上、X線発生装置が医療目的で使用されるときに、患者に不快になると感じられる振動によって騒音が発生される。更に、アンバランスによって引き起こされるX線発生装置における振動は、X線検査の間に生成される写真の写真品質を低下させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、振動の問題に関して改善された回転アノードをもつX線発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、固定カソードと、モータ駆動ロータ上に配置された回転アノードとを有し、前記カソードと前記回転アノードとを真空容器内に収容する、X線を発生させるための回転アノードを備えたX線発生装置は、前記X線発生装置内に集約され、前記真空容器に接続された制御装置と、前記ロータに接続され且つ前記制御装置によって相互間の角度を変更可能な少なくとも2つの補償用質量体を含む作動装置と、を含む少なくとも1つのバランス装置と、前記X線発生装置の振動を検出するための振動センサと、前記補償用質量体の前記位置を検出するための位置検出装置と、前記バランス装置に連結され、アンバランスを算出するように構成された前記バランス装置を制御するためのマイクロプロセッサによって制御され、前記アンバランスによって引き起こされる振動を減少するように前記制御装置を介して前記補償用リングを動かすことのできるコントローラとにより特徴付けられる。
【0005】
バランス装置のX線発生装置内への集約は、発生装置内の限られた空間に関わらず可能であり、また、小さな容積のバランス装置はX線発生装置またはX線管内の潜在的なアンバランスのバランスをとるのに十分であることが好都合に明確になった。バランス装置をバランスシステム内の回転アノードをもつX線発生装置内への集約を基礎として、やがて発生する振動は、生成装置の運転を中断させることなく自動的に校正される。もし、運転中に、さらにアンバランスが発生すると、更なるバランスとりが生成装置の運転を中断させることなく実行される。振動センサによって採取された振動がコントローラ内で計算される。これ(コントローラ)は、アンバランスによって引き起こされた振動が自動的に減少されるように、補償用リングを調整する。補償用おもりは、その中で、既知のスプレッドアングル法に従って調整される。運転速度の初期立ち上げの間に、望ましくない共鳴振動はない。
【0006】
本発明の好適な実施形態は、複数の平面に関して前記X線発生装置をバランスさせるために、各バランス平面のためにバランス装置が備えられていることを特徴とする。本発明に係るX線発生装置は、それゆえ、必要に応じて複数のバランス平面におけるバランスをとることもできる。
【0007】
本発明の好適な実施形態は、コントローラが複数のバランス装置の制御のために備えられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施形態は、バランス装置は、真空容器内に配置され、制御装置として働くステータを有するリングバランス装置と、ロータに接続され、補償用質量体として動く2つのバランスリングとであることを特徴とする制御装置としてのステータと、ロータに接続され、補償用質量体として働く2つのバランスリングとを有するリングバランス装置は、機械工学においては、ツールホルダや、グラインドホイール等のバランスを取るために知られている(DE−PS4337001参照)。そこにおいて、バランスリングは、ロータのアンバランスを補償するために、バランスリングの周囲の部分に配置され且つ複数の磁気回路からなるステータと、複数の磁石を含むバランスリングとの間の電磁力によって所望のように調整してもよい。そのようなバランスシステムは、回転アノードをもつX線発生装置にも適用可能であり、限られたスペースの状態に関わらず、それらをそこに収容することが可能であることが適切に証明される。
【0009】
本発明の更なる好適な実施形態は、ステータは前記真空容器の外側に配置され、作動装置は真空容器内のステータと反対の位置に配置されていることを特徴とする。原理的には、ステータはX線発生装置の内側の作動装置のそばに配置することもできる。ステータは真空容器の外側に配置され、作動装置は真空容器内にステータに対して対向するように配置されている事実によれば、X線発生装置内において提供されている限られた空間は好適な方法においては考慮される。そこにおいては、作動装置と真空容器の壁との間の距離を短くすることができる。
【0010】
本発明の更なる好適な実施形態は、振動センサが真空容器の外側に配置されていることを特徴とする。アンバランスによって引き起こされる振動は、真空容器に伝播されるので、この位置は、別な装置によって真空容器の内部空間に負荷をかけることなく振動を検出するために適している。
【0011】
本発明の更なる好適な実施形態は、位置検出装置が、補償用おもり上の磁石と、磁石に反応する位置センサとからなることを特徴とする。これにより、信頼のある補償用おもりの位置検出が、程度の低い構造上の取り組みにより可能となる。
【0012】
本発明の更なる好適な実施形態は、ロータの回転速度を検出するための速度検出装置により特徴付けられる。これにより、ロータの回転速度をバランスシステムの装置によって検出することができ、アンバランスの重要性の評価の間にこれを考慮することができる。
【0013】
本発明の更なる好適な実施形態は、速度検出装置は、ロータ上の磁石と、磁石に反応する速度センサにより構成されることを特徴とする。検出装置の位置については、これもまた、この配置においては、構造上の更なる取り組みを行うことなく回転速度を検出するために好適な解決策である。
【0014】
本発明の更なる好適な実施形態は、位置センサ及び/または速度センサは、ホールセンサであることを特徴とする。このようなセンサは、正確であり、小さい容積であり、そのような適用においては好適であると証明されている。
【0015】
本発明の更なる好適な実施形態は、真空容器がガラス管であることを特徴とする。振動の理由であるアンバランスの校正は、スプレッドアングル法に従って、作動装置内の補償用リングの電磁力の調整をすることによってガラス管を通して実行される。補償用リングの速度検出と位置検出もまたガラス管を通して、回転システム内の磁石と、外側に配置されたホールセンサとによって実行される。
【0016】
上記したように、バランス装置は、装置の振動がより小さくなるまでの間、補償用質量体が調整され、または予め決められた方向に広げられる方法に従って動作する。もし、補償用質量体を変位した状態で振動が大きくなる場合には、補償用質量体の調整の間、変位の方向が逆転される。この方法に従った調整は、予め決められた残余のアンバランスに到達してバランス方法が終了されるまで繰り返される。この”トライ・アンド・エラー”方法によりバランス動作のためには、しばしば長時間を要するという不利益がある。
【0017】
回転アノードをもつX線生成装置に関して、毎分の20,000回点にも到達する高い実行速度のために、速度増加の間及び動作の間もまた、バランスの調停の完了は非常に重要である。それに関して、この技術の現状に従ったトライ・アンド・エラー法は多くの場合に不十分である。それゆえ、本発明に係る回転アノードをもつX線発生装置のバランスをとるための方法を提供することが更に要請されており、この方法によって、X線発生装置のバランスをとることを早めることができ、より正確にすることができる。
【0018】
それゆえ、本発明に係るまたは、本発明の好適な実施形態に係るX線発生装置のバランスとりのそれぞれは、
(a)前記補償用質量体を、これらによって生成されるアンバランスベクトルが相殺されるゼロ位置に持っていき、
(b)そのときに存在する前記アンバランスベクトルを、既知の方法により、大きさ及び方向に従って測定し、
(c)前記補償用質量体の少なくとも1つが、任意の角度αだけ変位して、又は前記回転軸からの距離をずらして変位させ、これにより、別のアンバランスがキャリブレーションアンバランスベクトルとして生成され、
(d)前記角度αまたは前記距離の変位が検出され、
(e)そのとき存在する前記全体アンバランスベクトルが、既知の方法により、大きさ及び方向に従って測定され、
(f)キャリブレーションアンバランスベクトルは、前記アンバランスベクトルと前記全体アンバランスベクトルから算出され、
(g)前記補償用質量体が、前記アンバランスベクトルVが補償されるように前記ゼロ位置から動かされることを特徴とする。それゆえ、校正は、本質的には、適切に定義された補償用質量体の角度αによる変位または回転軸からの指定された距離による変位によってアンバランスベクトルを生成することによって行われる。それゆえ、移動の特徴を認識することは、既知のバランスシステムのトライ・アンド・エラー原理と対比して、意味のあるものとなり、また、自動化をもたらす。
【0019】
本発明の方法の更なる好適な実施形態は、ステップ(a)において、変位の方向に一致するゼロ位置からの補償用質量体の変位及び/または変位の距離がバランス実行中に記録され、補償用質量体が各々記録された変位距離だけ変位方向の反対に戻されることにより、前記ゼロ位置に持っていかれることを特徴とする。それによって、この方法を実行するために、付加的なハードウエア状態が用意される必要がない。
【0020】
本発明の方法の更なる好適な実施形態は、ステップ(a)において、変位の方向及び/または補償用質量体の変位距離はエンコーダ装置によって検出されることを特徴とする。それによって、実際の位置、つまり、距離と変位方向に従った絶対的な位置を、好適な方法により検出することができるので、それに応じて、補償用質量体をゼロ位置に戻させる移動を実行することができる。
【0021】
本発明の方法の更なる好適な実施形態は、ステップ(c)において、変位角度は、エンコーダ装置によって検出されることを特徴とする。
【0022】
ステップ(a)において、変位の方向及び/または補償用質量体の変位の距離は、変位ユニットに配列されたステップ発生装置によって検出されてもよい。また、ステップ(a)において、補償用質量体の変位の距離を変位の移動の継続時間によって検出するようにしてもよく、また、変位の方向は変位ユニットの回転方向によって検出するようにしてもよい。ステップ(a)において、補償用質量体の変位の電力消費によって変位の距離を検出し、変位の方向を変位ユニットの回転方向を通じて検出することも更に可能である。
【0023】
ステップ(a)において、補償用質量体は、反対側にそれぞれ配置された2つのセンサによって、補償用質量体がセンサに位置することが検出されるまで動かされるようにしてもよい。センサによって、いつ補償用質量体が互いに180°のずれを持つように移動されたか、すなわちそれぞれが0°と180°の位置にあるかが検出される。
【0024】
ステップ(c)において、変位角は、変位ユニットに配置されているステップ発生装置によって検出されてもよく、または、変位移動の継続時間によって検出されてもよく、または、変位中の電流消費によって検出されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態を、以下の図面を参照して今から説明する。
【0026】
図1は、バランス装置を有し、回転アノードをもつX線発生装置の概略を示した図である。
【0027】
図2は、本発明に係る回転アノードをもつX線発生装置をバランスさせるための方法の概略を示した図である。
【0028】
図3は、2つのバランス平面内のそれぞれにバランス装置を有する、回転アノードをもつX線発生装置の概略を示した図である。
【0029】
X線を発生するための、回転アノード2を有するX線発生装置は、図1にあるように、固定されたカソード4と、モータ駆動ロータ6上に配置された回転アノード8とを有し、そこにおいて、カソード4と回転アノード8は真空容器内またはガラス管10内にそれぞれ収容されている。ロータ6と、回転アノード8は、ローラベアリング14、16、18、20によって回転可能に支持されているモータ駆動ドライブシャフト12上に据え付けられている。このような回転アノードをもつX線発生装置は、この技術の現状においては知られている。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る回転アノードをもつX線生成装置は、X線発生装置2内に集約され、ガラス管に接続された制御装置22からなるバランス装置と、制御装置22によって相互間の角度を変更可能な少なくとも2つの補償用おもりを有し且つロータ6上に配置された作動装置とからなる。示している本実施形態では、バランス装置は、制御装置22としての、外側に配置されたステータを有するいわゆるリングバランス装置と、補償用質量体としての、ロータに接続された2つのバランスリングである。そこにおいて、ステータは、ガラス管の外側に配置され、作動装置はガラス管の内側のステータの反対側に、作動装置とガラス管の内側との間にエアギャップが存在するように配置されている。
【0031】
X線発生装置の振動を検出するための振動センサ26は、ガラス管の外側に配置されている。補償用質量体上の磁石と磁石に反応する位置センサ(図示せず)とからなる位置検出装置は、補償用質量体の位置を検出するために働く。ロータの回転速度を検出するための回転速度検出装置(図示せず)は備えられ、ロータ上の磁石と、磁石に反応する速度センサとからなる。位置センサと速度センサは、ホールセンサであってもよい。
【0032】
振動センサ26と制御装置22、同様に位置検出装置と速度検出装置は、そのコントローラがバランス装置を制御するために備えられたマイクロプロセッサによって制御されるコントローラ28に繋がれている。この目的のために、アンバランスはコントローラ28内で計算され、補償用リングまたは質量体のそれぞれは、アンバランスによって引き起こされる振動が減少するように制御装置22により移動される。
【0033】
まず、自動バランス装置内に存在する補償用質量体m1、m2は、補償用質量体m1、m2が互いに180°ずれて変位して位置している中立のゼロ位置まで動かされる。
【0034】
補償用質量体m1、m2がゼロ位置にあることは、センサS1、S2によって検出される。センサS1、S2の出力信号は、主制御装置に渡され、その結果、この装置が測定回路に、バランス装置と回転体とからなるシステムの実際のアンバランスからなるベクトルV1を検出させるようにさせる。
【0035】
V1が測定された後に、補償用質量体の少なくとも1つは、補償用質量体m2によって示されるように角度αだけ移動される。補償用質量体m2を角度αだけ移動させることによって、アンバランスベクトルV2をもつ更なるアンバランスが生成される。角度βは、アンバランスベクトルV1と、補償用質量体m2の変位から生じるアンバランスベクトルV3との間の角度である。角度αの値は、バランス装置内で検出され、記憶される。
【0036】
結果としてのベクトルV2は、実際のアンバランスとともに、大きさ及び方向に従って測定された全アンバランスベクトルV3をもつ全アンバランスを構成する。バランス装置の計算回路は、式V2=V3−V1に従って、結果としてのベクトルV3とアンバランスベクトルV1とから結果としてのアンバランスベクトルV2を計算する。
【0037】
質量体m2の角度αの移動の結果がアンバランスベクトルV2であることが知られているので、これら値は、存在するアンバランスV1を補償するために補償用質量体を意図的に動かす位置を計算するために使用することができる。
【0038】
回転軸からの補償用質量体の距離を変更する場合には、システムは同様な方法によって校正されるので、更なる詳細については説明する必要はない。
【0039】
補償用質量体m2を既知の角度値だけ変位させることによって、または補償用質量体の回転軸からの距離を変えることによって、バランス装置及び回転体からなるシステムは、実際には相対的な値に校正される。
【0040】
システムの振動の位相移動と減衰も、この校正処理において考慮される。それゆえ、技術の現状に従ったトライ・アンド・エラー方法が必要なく、補償用質量体を正確に正しい位置に移動させることができる。
【0041】
複数の平面においてバランスをとる必要がある場合、それは、X線発生装置の回転部分の質量の分散に依存するが、1つのバランス装置は、バランス平面のそれぞれに関して配置される。バランス平面を見いだすことは、本技術における知識を有している者によって既知の方法で実行される。
【0042】
図3は、2つの平面内におけるバランスを取るための本発明の一実施形態に係る回転アノードをもつX線発生装置の一例を示している。回転アノードをもつX線発生装置は、第1バランス装置と第2バランス装置からなる。第1バランス装置及び第2バランス装置は、X線発生装置102内に集約され、ガラス管に接続された第1制御装置122と、ガラス管に接続された第2制御装置222と、運転装置122、222によって相互間の角度を変更可能な少なくとも2つの補償用装置をそれぞれ有する、ロータ106に接続された第1作動装置124とロータ106に接続された第2作動装置224とを有する。
【0043】
示された本実施形態において、バランス装置は、運転装置122、222としての、外側に配置された2つのステータを有するいわゆるリングバランス装置と、補償用質量体としてのロータに接続されている4つ(それぞれの平面に2つ)バランスリングである。そこにおいて、ステータはガラス管の外側上に配置され、作動装置はガラス管の内側の所定のステータの反対側に配置され、それにより、作動装置とガラス管の内側との間にエアギャップが存在するようになっている。
【0044】
X線発生装置の振動を検出するための振動センサ126は、ガラス管の外側上に備えられている。補償用質量体上の磁石と、磁石に対して反応する位置センサ(図示せず)とからなる位置検出装置は、補償用質量体の位置を検出するために働く。ロータの回転速度を検出するための回転速度検出装置(図示せず)が備えられており、これはロータ上の磁石と、磁石に反応する速度センサからなる。位置センサ及び速度センサは、ホールセンサであってもよい。
【0045】
振動センサ126と運転装置122、222、と同様に位置検出装置と速度検出装置は、バランス装置を制御するために備えられたマイクロプロセッサコントローラ128に接続されている。この目的のため、各バランス平面におけるアンバランスは、コントローラ128内で計算され、補償用リングまたは補償用質量体のそれぞれは、制御装置122、222によってアンバランスによって引き起こされる振動が減少するように移動される。
【0046】
1つのバランス平面の場合について上記したように、補償用質量体はまずそれらの中立位置に位置決めされる。各平面における各々の補償用質量体は次々定義された位置に移動される。各測定平面における振動に与える補償用質量体の変位の影響を測定することから、影響係数が直接決定される。このようにして決定された影響係数は、上記したように、補償用質量体のバランスをとる位置を計算するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】バランス装置を有し、回転アノードをもつX線発生装置の概略を示した図である。
【図2】本発明に係る回転アノードをもつX線発生装置をバランスさせるための方法の概略を示した図である。
【図3】2つのバランス平面内のそれぞれにバランス装置を有する、回転アノードをもつX線発生装置の概略を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定カソードと、モータ駆動ロータ上に配置された回転アノードとを有し、前記カソードと前記回転アノードとを真空容器内に収容する、X線を発生させるための回転アノードを備えたX線発生装置であって、
前記X線発生装置内に集約され、前記真空容器に接続された制御装置と、前記ロータに接続され且つ前記制御装置によって相互間の角度を変更可能な少なくとも2つの補償用質量体を含む作動装置と、を含む少なくとも1つのバランス装置と、
前記X線発生装置の振動を検出するための振動センサと、
前記補償用質量体の前記位置を検出するための位置検出装置と、
前記バランス装置に連結され、アンバランスを算出するように構成された前記バランス装置を制御するためのマイクロプロセッサによって制御され、前記アンバランスによって引き起こされる振動を減少するように前記制御装置を介して前記補償用リングを動かすことのできるコントローラと
により特徴付けられるX線発生装置。
【請求項2】
複数の平面に関して前記X線発生装置のバランスをとるために、各バランス平面に関してバランス装置が備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記複数のバランス装置を制御するために備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
【請求項4】
前記バランス装置は、
前記真空容器内に配置され、作動装置として動作するステータを有するリングバランス装置と、
補償用質量体として作用する、ロータに接続された2つの補償用リングとである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項5】
前記ステータは前記真空容器の外側に配置され、
前記作動装置は前記真空容器内の前記ステータに対向して配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のX線発生装置。
【請求項6】
前記振動センサは、前記真空容器の外側に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項7】
前記位置検出装置は、
前記補償用おもり上の磁石と、
前記磁石に反応する位置センサとを含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項8】
前記ロータの前記回転速度を検出するための速度検出装置により
特徴付けられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項9】
前記速度検出装置は、
前記ロータ上の磁石と、
前記磁石に反応する速度センサとを含む
ことを特徴とする請求項8に記載のX線発生装置。
【請求項10】
前記位置センサ及び/または前記速度センサは、ホールセンサである
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項11】
前記真空容器は、ガラス管である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のX線発生装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のX線発生装置のバランスをとるための方法であって、
(a)前記補償用質量体が、これらによって生成されるアンバランスベクトルが相殺されるゼロ位置に持っていかれ、
(b)そのときに存在する前記アンバランスベクトルが、既知の方法により、大きさ及び方向に従って測定され、
(c)前記補償用質量体の少なくとも1つが、任意の角度αだけ変位され、又は前記回転軸からのその距離を変更され、これにより、別のアンバランスがキャリブレーションアンバランスベクトルとして生成され、
(d)前記角度αまたは前記距離の変位が検出され、
(e)そのとき存在する前記全体アンバランスベクトルが、既知の方法により、大きさ及び方向に従って測定され、
(f)キャリブレーションアンバランスベクトルが、前記アンバランスベクトルと前記全体アンバランスベクトルから算出され、
(g)前記補償用質量体が、前記アンバランスベクトルVが補償されるように前記ゼロ位置から動かされる
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
ステップ(a)において、バランス操作中に、変位の方向に一致する前記ゼロ位置からの前記補償用質量体の変位及び/または変位の距離が記録され、各々記録された変位の距離だけ変位方向の反対に戻されることによって前記補償用質量体が前記ゼロ位置に移動される
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)において、前記変位の方向及び/または前記補償用質量体の前記変位距離はエンコーダ装置によって検出される
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(c)において、前記変位角度は、エンコーダ装置によって検出される
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−535167(P2008−535167A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503403(P2008−503403)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002535
【国際公開番号】WO2006/103006
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507324315)ホフマン・メス−ウント・アウスヴッフトテッヒニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】HOFMANN MESS−UND AUSWUCHTTECHNIK GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】