説明

回転ツマミのトルク調整構造及び弾性部材

【課題】ボリュームツマミの装着を容易にし、不用意にツマミが動かないためのトルク調整をできるようにする。
【解決手段】ボリューム10のシャフト13に装着する回転ツマミ2と前記シャフト13の軸受14に取り付けるナット12間に、リング状の弾性部材11を設ける。弾性部材11は、リングの全周に亘って形成したトルク発生部20の上方と下方にスリップ部21と補強部22を設けたものである。スリップ部21と補強部22は、リングの外周に周方向と直角なリブ21a、22aを形成して、そのリブ21a、22aにテーパーを付けたもので、ツマミ2の取り付け時は、スリップ部21が、ツマミ2との摩擦を少なくする。この際、トルク発生部20は、ツマミ2に押されて倒れ込むのを補強部22が支持する。こうすることで、ツマミ2の装着を容易にし、不用意にツマミ2が動かないためのトルク調整をできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転式ボリューム、回転式アッテネータなどの回転ツマミのトルク調整構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯機器の回転式ボリューム、回転式アッテネータなどの回転式のツマミは、振動や間違って一寸触れた程度で操作量が変化しないようにするためのトルク調整構造が必須である。
【0003】
このようなトルク調整構造として、例えば、図7の特許文献1に記載のものがある。このものは、図7に示すように、樹脂製のリング1を回転ツマミ(以下、ツマミ)2の円筒面に嵌入し、グリスを塗ってツマミ2を可変抵抗器のシャフト7に嵌着するものである。このとき、樹脂製のリング1は外周に突部3を形成し、その突部の内側に穴4を設けて変形できるようにしてある。こうすることで、グリスをパネル5に設けたリブ6とリング1の内周との間に充填し、リブ6とリング1との間に粘性抵抗を生じさせる。
【0004】
そして、常温ではグリスの粘性抵抗によりツマミ2に適度な負荷トルクが得られるようにし、かつ、極低温でグリスが硬化したときには、ツマミ4とリング1が滑ってツマミ2を操作するときに異常に負荷トルクが大きくなることのないようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−298527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では、樹脂製のリングは、ツマミとの摩擦係合のため、ツマミの内面に接するように形成する。さらに、このとき、リングの断面は、端が直角になって出張った形状にしてツマミの内面に接した際に、所定のトルクが得られるようにしてある。そのため、シャフトにツマミを嵌める際に、ツマミの端でリングを引っ掛けて切断してしまったり、リング捲れあがって外れてしまったりするので、上手く嵌めることができず、装着するのが難しい問題があった。
【0006】
また、上記のものでは、既存のツマミに適用しようとすると、パネルに円筒形のリブを形成して係合面を設け、リングを取り付けなければならず、そのため、パネルを作り変えなければならない問題があった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、ツマミを容易に装着できるようにするとともに、不用意にツマミが動かないためのトルク調整ができるようにする。さらに、そのトルク調整が、パネルを作り変えるなどの大幅な変更をすることなしに既存のツマミにも適用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明では、ケースあるいはパネルに取り付けたシャフトを有する回転部品の前記シャフトに装着した回転ツマミと、前記ツマミの内面に接触するリング形状の弾性部材とを備えた回転ツマミのトルク調整構造において、前記リング状の弾性部材の外周に、全周に亘って回転ツマミと接して摩擦トルクを生じさせるトルク発生部を形成するとともに、そのトルク発生部の上方に、ツマミとの接触量を低減するスリップ部を形成し、かつ、前記トルク発生部の下方に、トルク発生部を支持する補強部を形成した構成を採用したのである。
【0009】
このような構成を採用することにより、リング状の弾性部材は、例えば、ツマミの内面と接してトルクを生じさせるので、パネルを作り変えるなどの大幅な変更することなしに使用できる。また、弾性部材は、ツマミを取り付ける際、弾性部材のトルク発生部上方のスリップ部が、ツマミとの接触量を低減させて摩擦を少なくするので、弾性部材は、ツマミの内側へスムースに入り込むことができる。このとき、ツマミの内側に入り込んだ弾性部材のトルク発生部は、ツマミに押されて倒れ込むが、この倒れ込みをトルク発生部の下方の補強部が支持して防ぐので、トルク発生部が回転ツマミとの間で想定通りの摩擦トルクを生じることができる。こうすることで、不用意にツマミが動かないようにするためのトルク調整ができる。
【0010】
このとき、トルク発生部が、断面の形状を半円とした突条である構成を採用することができる。
【0011】
このような構成を採用することにより、例えば、トルク発生部は、ツマミへ押し付ける圧力を変化させて、半円球状の断面を潰せばツマミと接する面積を変えることができるので、摩擦トルクの調整ができる。
【0012】
また、スリップ部が、リングの外周に間隔を置いて周方向と直角なリブを形成し、そのリブの上方を先端側としてテーパーを形成したものである構成を採用することができる。
【0013】
このような構成を採用することにより、間隔を置いて周方向に直角なリブを設けたことで、取り付けの際のスリップ部とツマミとの接触は面ではなく線接触となる。そのため、接触量は低減し、摩擦が少なくなって容易に取り付けられる。このとき、リブの上方を先端側としてテーパーを形成し、ツマミを取り付け始める挿入側のリブの高さを低くして、ツマミの内側へ入り込み易くして容易に取り付けられるようにしてある。また、ツマミの取り付け後は、ツマミとのトルクの発生は、主にトルク発生部が担当するが、スリップ部のリブもツマミと接した状態を保つので、リブの数を変化させれば、トルクの調整手段として使用することができる。
【0014】
また、このとき、補強部が、リングの外周に間隔を置いて周方向と直角に形成したリブである構成を採用することができる。
【0015】
このような構成を採用することにより、周方向に直角に形成されたリブは、ツマミを取り付ける際に、トルク発生部を柱のように支持して倒れ込みを防止する。また、支持後は、ツマミと面ではなく線接触して、接触量を低減し、摩擦を少なくして取り付けを容易にする。その際、直角に形成されたリブは、ツマミの取り付け後は、補強部のリブもツマミと接した状態を保つので、リブの数を変化させれば、トルクの調整手段として使用できる。
【0016】
また、このとき、補強部のリブの下方を先端側としてテーパーを形成し、そのテーパーを形成した補強部のリブと上記スリップ部のリブとをトルク発生部を介して一列に形成するようにした構成を採用することができる。
【0017】
このような構成を採用することにより、スリップ部と補強部の構造を対称に設定したので、ナットへの取り付けの際に、スリップ部と補強部の向きを考慮しなくても良くなり、組立時の作業性を向上できる。
【0018】
また、このとき、隣接するリブ間をグリス溜とし、グリスを充填した構成を採用することができる。
【0019】
このような構成を採用することにより、間隔をおいて形成したリブの間をグリス溜としたので、グリスが全周に亘って充填されることになる。ここで、ツマミとの間のトルクの発生はトルク発生部が主に担当する。その際、充填されたグリスが潤滑剤として働くことにより、摩擦による弾性部材の破損を長期に防止することができる。
【0020】
このとき、回転部品をケースあるいはパネルに取り付けるナットの外周に嵌入部を設けて弾性部材を嵌入できるようにするとともに、前記嵌入部の切削量を変えて深さを調整するようにした構成を採用することができる。
【0021】
このような構成を採用することにより、切削量を変えて嵌入部の深さを調整すると、弾性部材をツマミへ押し付ける圧力を変化させてツマミのトルクを調整することができる。
【0022】
また、このとき、ケースあるいはパネルに取り付けたシャフトを有する回転部品の前記シャフトに装着した回転ツマミと、前記ツマミの内面に接触するリング形状の弾性部材とを備えた回転ツマミのトルク調整構造に用いられる弾性部材において、上記リング状の弾性部材の外周に、全周に亘って回転ツマミと接して摩擦トルクを生じさせるトルク発生部を形成するとともに、そのトルク発生部の上方に、ツマミとの接触量を低減するスリップ部を形成し、かつ、前記トルク発生部の下方に、トルク発生部を支持する補強部を形成した構成を採用することで、弾性部材は、ツマミを取り付ける際、弾性部材のトルク発生部上方のスリップ部が、ツマミとの接触量を低減させて摩擦を少なくするので、ツマミの内側へスムースに入り込むことができる。また、ツマミの内側に入り込んだ弾性部材のトルク発生部の倒れ込みを補強部が防止してトルク発生部が回転ツマミとの間で想定通りの摩擦トルクを生じるようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、以上のように構成したことにより、ツマミの装着が容易にできて、不用意にツマミが動かないようにするためのトルク調整ができる。また、その際、リブの数やナットの切削量を変えて、弾性部材の回転ツマミへの押圧や接触量を変更し、トルクの調整を容易にできるようにした。このように、トルク力の調整方法を確立できた。また、このとき、パネルを作り変えるなどの大幅な変更しなくても良いので、既存のツマミにも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に、本発明の回転ツマミのトルク調整構造を音量調整ボリューム10に適用した小電力トランシーバーを示す。
【0026】
音量調整ボリューム10はシャフト13を備えるものであり、シャフト13には、回転ツマミ2が装着されていて、回転ツマミ2を回転させることで音量を調整するようにしたものである。また、このボリューム10は、シャフト10がケース25から突出するようにナット12で固定されていて、ナット12とツマミ2との間に、弾性部材11を介在した構造となっている。
【0027】
すなわち、前記調整構造は、図2に示すように、回転ツマミ(以下、ツマミ)2、ボリューム10、弾性部材11、ナット12で構成している。
【0028】
ツマミ2は、図3に示すように、つばなしタイプのもので、シャフト穴2aは平軸タイプのボリューム2に対応した略半円形で、前記シャフト穴2aには、係止用の板バネ8を装着してある。
【0029】
ボリューム10は、先にも述べたように平軸タイプのシャフト13を有するもので、前記シャフト13に軸受14を備えている。この軸受14は、外軸となっており、図3のように、シャフト13の下部を被うように設けられており、パネル取り付け用のナット12を嵌めるためのものである。
【0030】
弾性部材11は、例えば、ゴム、合成ゴム、プラスチックなどの弾性素材で作った図4のようなリング状のもので、リングの外周面に、トルク発生部20を全周に亘って形成し、そのトルク発生部20の上方と下方に、スリップ部21と補強部22を形成した構造となっている。
【0031】
トルク発生部20は、この形態の場合、図5のように、半円状の断面を有する一本の突条で形成し、ツマミ2との間で摩擦トルクを生じさせるためのものである。スリップ部21は、弾性部材11のリングの外周に間隔を置いて周方向に直角に形成した例えば、蒲鉾形のリブ21aで、そのリブ21aの上方(トルク発生部に対して)を先端側としてテーパーを付けることにより、先端側の高さが低くなるようにしたものである。また、補強部22は、ここでは、前記スリップ部21と同じように蒲鉾形のリブ22aを、リングの外周に間隔を置いて周方向に直角に形成したもので、そのリブ22aの下方(トルク発生部に対して)を先端側としてテーパーを付けることにより、高さが低くなるようにしたものである。このようにして、この形態では、前記スリップ部21と補強部22がトルク発生部20を介して一列となるように形成し、スリップ部21と補強部22の形状が対称となるようにして、上下の区別を無く組立時の作業性を向上させるようにしている。さらに、一列に形成したスリップ部21と補強部22のリブ22a、22bの間をグリス溜23とすることにより、グリス30が全周にほぼ等しく充填できるようにしてある。
【0032】
なお、この形態では、スリップ部21と補強部22のリブ21a、22aは一列となるように配置したが、これに限定されるものではなく、スリップ部21と補強部22のリブ21a、22aの配置構成は、仕様にあわせて適宜決められるものである。
【0033】
ナット12は、この形態では、図2のように、外周に弾性部材11のリングの幅に合わせた溝による嵌入部24を設けて弾性部材11を嵌るようにしたものである。また、前記嵌入部24の切削量を変えることにより、溝の深さを調整し、後述のように、ツマミ11のトルクを調整する際の調整手段として使用する。なお、この形態では、前記嵌入部24の形状を溝としたが、これに限定されるものではなく、嵌入部24は、溝と同じ作用を呈するものであれば、例えば、L形のような形状でもかまわない。
【0034】
この形態は、上記のように構成され、以下のような各部材2、10、11、12の組み付けを行なってトルク調整構造をボリューム10に付与する。
【0035】
すなわち、図3のように、ケース25の取り付け孔にボリューム10のシャフト13を挿通し、取り付け孔から突出したシャフト13の軸受にナット12を螺合してボリューム10をケース25に固定する。このボリューム10を固定したナット12にリング状の弾性部材11を取り付ける。このとき、弾性部材11は、上下方向の区別をせずにナット12の嵌入部24に嵌めることができるので、区別のための手間が要らず作業性が向上する。こうして嵌めた弾性部材11は、嵌入部24の溝によって支持されるので、この後のツマミ2の取り付けの際にも外れ難くなる。
【0036】
次に、弾性部材11にグリス30を塗ってツマミ2を取り付ける。グリス30は、弾性部材の外周に塗ると、隣接するリブ21a、22aとリブ21a、22a間のグリス溜23に溜まり、ツマミ2を取り付けた際に、グリス30が全周にほぼ等しく充填できるようになる。
【0037】
ツマミ2の取り付けは、ツマミ2のシャフト穴の向きと、シャフト13の平軸の向きとを合わせて嵌入する。このとき、ツマミ2は、弾性部材11のスリップ部(対称形状なので補強部22の場合も可)21と接するが、スリップ部21は間隔を置いて周方向に直角なリブ21a(22a)としたことにより、ツマミ2の内面と面接触ではなくて線接触するので摩擦が少なく、さらに、リブ21a(22a)の上方を先端側としてテーパーを形成し、ツマミ2を嵌める側のリブ21aの高さを低くしてあるので、ツマミ2の内面がリブ21aのテーパーに導かれて、ツマミ2にスムースに入り込むことができる。このようにツマミ2を容易に装着できる。
【0038】
こうして弾性部材11のスリップ部21がツマミ2の内側へ入り込むと、次に、弾性部材11のトルク発生部20が入り込む。このとき、トルク発生部20は、ツマミ2に押されて倒れ込もうとするが、この倒れ込みをトルク発生部20の下方に設けた補強部(対称形状なのでスリップ部21の場合も可)22が支持して防ぐ。このように倒れ込みを防ぐので、トルク発生部20がツマミ2との間で想定通りの摩擦トルクを生じるようにできる。
【0039】
このようにして取り付けられたツマミ2は、ツマミ2の内側に押し付けられた弾性部材11の、主としてトルク発生部20の半円状の断面が圧力に応じて変形し、変形した接触面により、想定通りの適切な摩擦トルクを発生する。このため、ツマミ2を回してボリューム10を調整すると、例えば、使用中の一寸した振動や一寸ツマミに触れた(意に反して)程度では、ボリューム10の操作位置が変化しないので、使い勝手が良くなる。また、通常の使用(意図した操作)の場合は、少し力を入れれば操作することができる。このとき、グリス溜23により弾性部材11の全周に亘って充填されたグリス30が潤滑剤として働き、弾性部材11が切れないように保護するので、長期間の使用にも問題なく耐えることができる。
【0040】
このように、ツマミを容易に装着し、不用意にツマミが動かないためのトルク調整ができる。また、弾性部材11を設けたり、嵌入部24を形成したナット12を使用したりするだけで、パネル25を作り変えることなくツマミ2のトルクを調整(ツマミ2が意に反して動かないように)できるので、既存のツマミ2にも簡単に適用できる。
【0041】
ところで、このトルク調整構造では、嵌入部24の切削量を変更したナット12を使用する方法と、リブ21a、22aの本数を調整した弾性部材11を使用する方法により、摩擦力を定量的に設定することができる。
【0042】
すなわち、嵌入部24の切削量を変更したナット12を使用する方法では、前記ナット12は、嵌入部24の切削量を変更することで弾性部材11を嵌める溝の深さを調整し、弾性部材11のトルク発生部20をツマミ2の内面へ押付ける圧力を変更する。こうすることで、ツマミ2へ押し付けるトルク発生部20の半円状の断面を変形させて、ツマミ2との接触面積を変更し、摩擦トルクを調整することができるというものである。
【0043】
このようにナット12で摩擦力を調整できるので、弾性部材11の金型作成時の寸法精度の調整も余裕度が増して容易になるという効果も生じる。
【0044】
一方、リブ21a、22aの本数を調整した弾性部材11を使用する方法は、弾性部材11のトルク発生部20と同様に、スリップ部21と補強部22のリブ21a、22aが、ツマミ2の取り付け後にも、ツマミ2と接した状態を保つことを利用したもので、リブ21a、22aの数を変化させた弾性部材11を適宜作成して、その弾性部材11を必要とする摩擦力に応じて使用することで、トルクの発生を調整できるというものである。このように弾性部材11のみを使用してもトルクの調整ができるので、その例を図6(a)〜(c)に示す。
【0045】
図6(a)は、パネル26に設けた円筒形のリブ6とツマミ2の間に、リブ21a、22aの本数を調整した弾性部材11を設けたものである。図6(b)は、パネル26を凹設した円筒面27とツマミ2の間に、リブ21a、22aの本数を調整した弾性部材11を設けたものである。図6(c)は、パネル26と別体に設けたカラー28とツマミ2との間にリブ21a、22aの本数を調整した弾性部材11を設けたものである。いずれの場合も弾性部材11を用いたことにより、ツマミ2の装着が容易にできて、不用意にツマミ2が動かないようにするためのトルク調整ができる。また、リブ21a、22aの数を変えた弾性部材11を適宜作成して、その弾性部材11を必要とする摩擦力に応じて使用することで、トルクを調整できるものである。
【0046】
なお、当然であるが、リブ21a、22aの数を変化させた弾性部材11と、切削量を変更して嵌入部24の深さを調整したナット12とを併せて使用することもできる。このようにすれば、それぞれを単独で使うよりも調整量を大きくできるメリットがある。
【0047】
このように、自由にトルクを調整する方法を確立することができたので、既存のツマミ2にも簡単に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
このように、弾性部材を設けたり、嵌入部を形成したナットを使用したりするだけで、パネルを作り変えるなど大幅な変更をしなくてもツマミのトルクを調整できるので、回転ツマミの付いた無線機をはじめとする電子機器全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態の斜視図
【図2】図1の分解斜視図
【図3】図1の断面図
【図4】図1の弾性部材の斜視図
【図5】図4の要部の拡大平面図
【図6】(a)〜(c)他の態様を示す断面図
【図7】従来例の分解斜視図
【符号の説明】
【0050】
2 ツマミ
10 ボリューム
11 弾性部材
12 ナット
13 シャフト
14 軸受
20 トルク発生部
21 スリップ部
21a リブ
22 補強部
22a リブ
23 グリス溜
24 嵌入部
25 ケース
26 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースあるいはパネルに取り付けたシャフトを有する回転部品の前記シャフトに装着した回転ツマミと、前記ツマミの内面に接触するリング形状の弾性部材とを備えた回転ツマミのトルク調整構造において、
上記リング状の弾性部材の外周に、全周に亘って回転ツマミと接して摩擦トルクを生じさせるトルク発生部を形成するとともに、そのトルク発生部の上方に、ツマミとの接触量を低減するスリップ部を形成し、かつ、前記トルク発生部の下方に、トルク発生部を支持する補強部を形成した回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項2】
上記トルク発生部が、断面の形状を半円とした突条である請求項1に記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項3】
上記スリップ部が、リングの外周に間隔を置いて周方向と直角なリブを形成し、そのリブの上方を先端側としてテーパーを形成したものである請求項1または2に記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項4】
上記補強部が、リングの外周に間隔を置いて周方向と直角に形成したリブである請求項1乃至3のいずれかに記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項5】
上記補強部のリブの下方を先端側としてテーパーを形成し、そのテーパーを形成した補強部のリブと上記スリップ部のリブとをトルク発生部を介して一列に形成するようにした請求項4に記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項6】
隣接する上記リブ間をグリス溜とし、グリスを充填した請求項3乃至5のいずれかに記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項7】
上記回転部品はナットによりケースあるいはパネルに取り付けられるものであり、そのナットの外周に嵌入部を設けて弾性部材を嵌入できるようにするとともに、前記嵌入部の切削量を変えて深さを調整するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の回転ツマミのトルク調整構造。
【請求項8】
ケースあるいはパネルに取り付けたシャフトを有する回転部品の前記シャフトに装着した回転ツマミと、前記ツマミの内面に接触するリング形状の弾性部材とを備えた回転ツマミのトルク調整構造に用いられる弾性部材において、
上記リング状の弾性部材の外周に、全周に亘って回転ツマミと接して摩擦トルクを生じさせるトルク発生部を形成するとともに、そのトルク発生部の上方に、ツマミとの接触量を低減するスリップ部を形成し、かつ、前記トルク発生部の下方に、トルク発生部を支持する補強部を形成した弾性部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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