説明

回転プレート及びモータ

【課題】製造コストを低減させることができる回転プレートを提供する。
【解決手段】表面を固定接点端子41〜43が摺接する回転プレート51は、所定の導電パターンを形成する可動接点板52の表面が、絶縁性の樹脂材料よりなり可動接点板52を保持する保持部材53の表面よりも突出しないように、可動接点板52と保持部材53とが一体成形により互いに固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力軸等の回転位置を検知するための回転プレート、及び回転プレートを用いて検知された回転位置に応じた給電を行うモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパ装置の駆動源に用いられるモータは、給電により回転軸を回転駆動するモータ部と、該モータ部にて発生された回転駆動力を減速して出力する減速部とが一体に組み付けられて構成されたものがある。減速部内には、減速機構を構成するウォームホイールが収容されるとともに、該ウォームホイールと一体回転する出力軸には、リンク機構を介してワイパが連結される。
【0003】
このようなモータでは、払拭作動中のワイパを停止させるべくワイパスイッチがオフに切り替えられた場合に、同ワイパを所定の停止位置まで作動させてから停止させることが望まれている。そこで、ワイパの位置、即ち出力軸の回転位置に応じてモータ部に給電を行うために、モータは、減速部内に、出力軸の回転位置を検知するための回転プレートを収容している(例えば特許文献1参照)。この回転プレートは、絶縁材料よりなる保持部材に、所定の導電パターンを形成するように導電性の板材を打ち抜いて形成された板状の可動接点板を固定して形成されており、略円板状をなしている。また、回転プレートは、ウォームホイールと連れ回り可能に形成されるとともに、減速部内には、回転プレートにおける可動接点板側の面(即ち、回転プレートの表面)に摺接する複数の固定接点端子が収容されている。そして、モータでは、回転プレートに対する固定接点端子の接触位置に基づいて、出力軸の回転位置が検知されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−56753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、保持部材の表面よりも可動接点板の表面が外側に突出していると、固定接点端子が摺接する回転プレートの表面に、可動接点板による段差が形成されてしまう。すると、固定接点端子は、保持部材の表面から可動接点板の表面に、若しくは可動接点板の表面から保持部材の表面に摺接するときに、可動接点板の周縁の角部に接触することになるため、当該固定接点端子の摩耗が早められてしまう。そこで、固定接点端子の摩耗を抑制するために、可動接点板に対応した形状をなし且つ可動接点板の板厚以上の深さを有する凹部を保持部材の表面に形成し、この凹部の内部に可動接点板を配置して固定することにより、可動接点板の表面が保持部材の表面よりも外側に突出しないように構成することがある。しかしながら、ワイパの停止位置やワイパの払拭角(ワイパの回動範囲)は車種に応じて設定されるため、ワイパの停止位置やワイパの払拭角に応じて設定される導電パターンは様々な形状のものがある。そのため、導電パターンを形成する可動接点板は、車種等に応じて様々な形状のものが存在する。従って、可動接点板が固定される前記凹部を有する保持部材も、可動接点板の形状に応じて様々な形状のものを製造することになってしまう。例えば、保持部材を絶縁性の樹脂材料にて形成する場合には、保持部材を形成するための成形型を複数種類形成することになる。その結果、回転プレートの製造コストが増大されるという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造コストを低減させることができる回転プレート、及び該回転プレートを備えたモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、表面を固定接点端子が摺接する回転プレートであって、所定の導電パターンを形成する可動接点板の表面が、絶縁性の樹脂材料よりなり前記可動接点板を保持する保持部材の表面よりも突出しないように、前記可動接点板と前記保持部材とが一体成形により互いに固定されていることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、可動接点板の形状が複数種類存在する場合であっても、回転プレートの外形寸法に変更が無い場合には、1つの成形型で可動接点板の形状が異なる複数種類の回転プレートを形成することができる。従って、可動接点板の種類に合わせて、保持部材を形成するための成形型を複数種類形成しなくてもよい。また、保持部材を形成する際に同時に可動接点板の表面が当該保持部材の表面よりも突出しないように当該可動接点板と当該保持部材とが固定されることになる。従って、保持部材と可動接点板とをそれぞれ別体で形成した後に可動接点板を保持部材に固定する場合よりも、可動接点板による段差の発生を防止しつつ製造工程の数を減少させることができる。これらのことから、回転プレートの製造コストを低減させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転プレートにおいて、前記可動接点板は、平面状の摺接面と前記摺接面の裏側に設けられた保持面とを備え、前記保持部材は、前記可動接点板に対応する部位に前記保持面を露出させる複数の露出孔が形成された多孔部を有することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、保持部材に多孔部を設けることによって、保持面全体を樹脂材料にて被覆する場合よりも、保持部材に使用する樹脂材料の量を減少させることができるため、回転プレートの製造コストをより低減させることができるとともに、回転プレートの軽量化を図ることができる。また、多孔部によって保持部材を構成する樹脂材料の量を減少させることにより、樹脂材料が固化する時の収縮量を小さくすることができる。従って、保持部材の反り等の変形を抑制して回転プレートにおける保持部材と可動接点板との剥離を防止できるため、保持部材により可動接点板をしっかりと固定することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転プレートにおいて、前記保持部材は、回転プレートの回転中心を中心として前記保持面上を放射状に延びる複数の放射リブと、回転プレートの回転中心を中心として同心状に形成され周方向に隣り合う前記放射リブ同士を連結する複数の弧状リブとを有し、前記多孔部は、前記可動接点板に対応する部位に形成された前記放射リブと前記弧状リブとから構成されるとともに、前記放射リブと前記弧状リブとが形成する網目によって前記露出孔が形成されていることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、放射リブと弧状リブとから複数の露出孔の形状や大きさに規則性のある網目構造を形成して保持部材を構成する樹脂材料の量を減少させているので、樹脂材料が固化する時の収縮量をより一層小さくすることができる。従って、保持部材の反り等の変形を一層抑制して回転プレートにおける保持部材と可動接点板との剥離をより一層防止できるため、保持部材に対する可動接点板の固定をより一層確実なものとすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転プレートにおいて、前記可動接点板は、前記弧状リブ及び前記放射リブの少なくとも一方の内部に埋設された複数の係止爪を有することをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、保持部材を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によって、弧状リブ及び同弧状リブに連結された放射リブが、可動接点板に対して相対移動されることが係止爪によって抑制される。従って、回転プレートの反り、及び可動接点板と保持部材との剥離が更に一層抑制される。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の回転プレートにおいて、前記係止爪は、その基端から先端に向かうに連れて爪幅が広く形成されていることをその要旨としている。
同構成によれば、係止爪の先端側の部位が弧状リブに引っ掛かりやすくなる。従って、係止爪が弧状リブから抜け難くなるため、可動接点板を保持部材に対してより強固に固定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の回転プレートにおいて、前記保持部材は、前記保持面と対向して配置される回転体に向けて突出形成されるとともに前記回転体に設けられた回転体側係合突起と回転方向に係合するプレート側係合突起を備え、前記可動接点板は、前記プレート側係合突起に埋設されるとともに前記係止爪よりも基端と先端との間の長さが長い突起用係止爪を有することをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、回転体の回転体側係合突起と回転方向に係合するプレート側係合突起は、弧状リブに埋設された係止爪よりも基端と先端との間の長さが長い突起用係止爪が埋設されている。従って、保持部材を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によってプレート側係合突起が傾倒することをより抑制することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の回転プレートにおいて、前記プレート側係合突起は、回転プレートの回転方向と直交する平板状をなし同回転プレートの回転方向に離間した一対の当接壁と、該当接壁同士を連結する連結壁とを備え、前記突起用係止爪は、前記連結壁内に埋設されていることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、一対の当接壁は、それぞれ回転プレートの回転方向と直交する平板状をなしている。従って、保持部材を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によって、プレート側係合突起が、その先端部が回転プレートの内周側に移動するように傾倒したとしても、当接壁は、回転プレートの回転方向と直交した状態に維持される。即ち、回転プレートにおける一対の当接壁の位置(回転プレートの回転方向の位置)が変化され難い。よって、回転体側係合突起とプレート側係合突起とが回転プレートの回転方向に係合したときの、回転プレートと回転体との回転方向の位置ずれを抑制することができる。また、当接壁同士を連結する連結壁内に突起用係止爪が埋設されているため、回転体側係合突起が当接する当接壁を平板状に形成しやすいとともに、プレート側係合突起の傾倒もより抑制しやすくなっている。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、前記可動接点板は、円環状の第1接点部と、該第1接点部から径方向外側に突出した第2接点部とを備え、少なくとも、前記第1接点部の外周縁における前記第2接点部の基端部の周方向の両側、及び前記第1接点部の内周縁における前記第2接点部の径方向内側となる部位には前記係止爪が形成されていることをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、保持部材と第2接点部とが剥離することを効果的に抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項2乃至請求項8の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、前記可動接点板は、円環状の第1接点部と、該第1接点部から径方向外側に突出した第2接点部とを備え、前記保持部材は、前記第2接点部の先端部を前記保持面側から前記摺接面側まで回り込んで被覆する先端被覆部を有することをその要旨としている。
【0022】
同構成によれば、保持部材と第2接点部とが剥離することをより効果的に抑制することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の回転プレートにおいて、前記第2接点部の先端部には、前記第2接点部における前記摺接面側の角部を面取りしてなる面取り部が形成されていることをその要旨としている。
【0023】
同構成によれば、保持部材と第2接点部とが剥離することを更に効果的に抑制することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項2乃至請求項10の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、前記保持部材は、前記可動接点板に対して前記保持面側に、前記保持部材を形成するための成形型に溶融した前記樹脂材料を充填するためのゲートの位置に対応した樹脂導入部を有することをその要旨としている。
【0024】
同構成によれば、保持部材を形成するための成形型の内部に溶融した樹脂材料を充填するためのゲートが保持面側に設定されるため、回転プレートにおいて固定接点端子が摺接される摺接面側の面にゲートによる凹凸が形成されない。従って、回転プレートにおける摺接面側の面と固定接点端子との摺接を円滑に行うことができる。
【0025】
請求項12に記載の発明は、回転駆動力を発生させるモータ部と、ワイパが連結される出力軸と一体回転するウォームホイールを有し前記回転駆動力を減速する減速機構と、前記ウォームホイールと連れ回り可能な請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の回転プレートと、前記可動接点板に摺接し前記回転プレートと共に前記出力軸の回転位置を検知するための複数の固定接点端子と、を備え、前記回転プレートと前記固定接点端子とを用いて検知された前記出力軸の回転位置に応じて前記モータ部への電源の供給が行われるモータとしたことをその要旨としている。
【0026】
同構成によれば、製造コストが低減された回転プレートをモータに備えることにより、当該モータの製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製造コストを低減させることができる回転プレート、及び該回転プレートを備えたモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】モータの平面図。
【図2】(a)は第2ハウジング、ウォームホイール、出力軸及び回転プレートの断面図(第2ハウジングは図4におけるA−A断面図)、(b)は互いに係合したギヤ側係合突起及びプレート側係合突起の断面図。
【図3】第1ハウジングの断面図。
【図4】第2ハウジングの平面図。
【図5】車両用ワイパ装置の電気的構成図。
【図6】(a)は回転プレートの部分拡大図、(b)は回転プレートの断面図(図6(a)におけるB−B断面図)。
【図7】回転プレートの正面図。
【図8】回転プレートの背面図。
【図9】回転プレートの断面図(図8におけるC−C断面図)。
【図10】回転プレートの断面図(図8におけるD−D断面図)。
【図11】別の実施形態の回転プレートの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のフロントガラスに付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ装置の駆動源として用いられるものである。このモータ1は、回転駆動力を発生させるモータ部2と、該モータ部2にて発生された回転駆動力を減速して出力する減速部3とから構成されている。
【0030】
モータ部2のヨークハウジング4は、導電性金属材料にて形成されるとともに、略有底円筒状をなしている。ヨークハウジング4の内周面には、二対(合計4個)のマグネット5が固定されている。対をなすマグネット5は、ヨークハウジング4の径方向に互いに対向している。また、二対のマグネット5の内側には、アーマチャ6が回転可能に配置されている。アーマチャ6を構成する略円柱状の回転軸7の基端部は、ヨークハウジング4の底部中央部に設けられた軸受8にて軸支されている。一方、回転軸7の先端側の部位は、ヨークハウジング4の開口部4aから同ヨークハウジング4の外部に突出している。この回転軸7の先端側の部位には、螺子歯状のウォーム部7aが形成されている。そして、ヨークハウジング4の開口部4aには、回転軸7の先端側の部位を収容するように、前記減速部3を構成するギヤハウジング10が組み付けられている。
【0031】
減速部3は、ギヤハウジング10の内部に、回転軸7の回転駆動力を減速する減速機構13等を収容して形成されている。ギヤハウジング10は、アルミニウム合金等の導電性金属材料にて形成された第1ハウジング11と、絶縁性の樹脂材料にて形成され第1ハウジング11に対して組付けられた第2ハウジング12とから構成されるとともに、中空状をなしている。
【0032】
第1ハウジング11は、ヨークハウジング4の開口部4aに固定された略有底円筒状の取付け部11aと、該取付け部11aの底部に一体に形成された略皿状の収容部11bとから構成されている。取付け部11aの開口部11cは、ヨークハウジング4の開口部4aとほぼ同形状をなしている。そして、開口部11cから第1ハウジング11の内部に挿入された回転軸7の先端側の部位(即ちウォーム部7aが形成された部位)は、取付け部11aの底部を貫通して収容部11b内に配置されている。尚、取付け部11aの底部には、前記軸受8と共に回転軸7を軸支する図示しない軸受が設けられている。また、取付け部11a内には、前記アーマチャ6に電源を供給するための図示しないブラシ装置が収容固定されている。尚、このブラシ装置は、モータ部2を構成するものである。そして、図5に示すように、ブラシ装置は、前記アーマチャ6に電源を供給するための高速用給電ブラシB1及び低速用給電ブラシB2と、高速用給電ブラシB1を用いたアーマチャ6への通電時並びに低速用給電ブラシB2を用いたアーマチャ6への通電時に共通して使用される共通ブラシBcとを備えている。
【0033】
図1に示すように、前記収容部11bには、前記ウォーム部7aと共に減速機構13を構成するウォームホイール14が収容されている。ウォームホイール14は、円板状をなすとともに、ウォーム部7aと噛合している。また、図2(a)に示すように、ウォームホイール14の軸方向の端部のうち第2ハウジング12側の端部には、ウォームホイール14の軸方向に(後述する回転プレート51側に向けて)突出したギヤ側係合突起14aが形成されている。このギヤ側係合突起14aは、ウォームホイール14の径方向の中央部よりも径方向外側となる位置に形成されるとともに、円柱状をなしている。また、ウォームホイール14の径方向の中央部には、有底円筒状をなす固定部14bが形成されるとともに、該固定部14b内には、略円柱状をなす出力軸15の基端部が相対回転不能に固定されている。図3に示すように、出力軸15の先端部は、収容部11bの底部を貫通してギヤハウジング10の外部に突出するとともに、同出力軸15は、収容部11bの底部にて軸支されている。詳しくは、収容部11bの底部には、ギヤハウジング10の外部に突出した筒状の筒状支持部11dが形成されており、出力軸15は、この筒状支持部11dによって軸支されている。また、出力軸15の先端部には、車両用ワイパ装置のリンク機構(図示略)を介してワイパWが駆動連結される。
【0034】
図1に示すように、前記第2ハウジング12は、収容部11bの開口部に対応した略皿状をなすとともに、第1ハウジング11に固定されて同収容部11bの開口部を閉塞している。図2(a)及び図4に示すように、この第2ハウジング12の内側面の略中央部には、出力軸15の軸方向に沿ってギヤハウジング10の内側に突出した支持凸部12aが形成されている。この支持凸部12aは、円柱状をなしている。
【0035】
第2ハウジング12は、ギヤハウジング10の外側に突出する筒状のコネクタ部12bを備えている。また、第2ハウジング12は、複数(本実施形態では5本)の端子部材21〜25を保持している。各端子部材21〜25は、導電性の金属板材を所定の形状に打ち抜いた後に複数箇所を屈曲して形成されている。これらの端子部材21〜25は、インサート成形により第2ハウジング12の内部に部分的に埋設されている。
【0036】
図4及び図5に示すように、5本の端子部材21〜25のうち、図4において最も上側に位置する第1端子部材21は、複数箇所が屈曲された略帯状をなしている。そして、第1端子部材21の長手方向の一端部には、前記コネクタ部12bの内部に突出しギヤハウジング10の外部に露出する第1接続端子21aが形成されるとともに、同第1端子部材21の長手方向の他端部には、第2ハウジング12の内側面からギヤハウジング10の内側に突出する第1モータ側接続端子21bが形成されている。第1モータ側接続端子21bは、チョークコイルL1を介してモータ部2の高速用給電ブラシB1に接続されるものである。また、第1端子部材21には、第2ハウジング12の内側面上に配置された第1雑防コンデンサ31の一方の端子が接続されている。
【0037】
第1端子部材21よりも第2ハウジング12の中央寄りの位置に配置され同第1端子部材21と隣り合う第2端子部材22は、複数箇所が屈曲された略帯状をなしている。第2端子部材22の長手方向の一端部には、前記コネクタ部12bの内部に突出しギヤハウジング10の外部に露出する第2接続端子22aが形成されるとともに、同第2端子部材22の長手方向の他端部には、第2ハウジング12の内側面からギヤハウジング10の内側に突出する第2モータ側接続端子22bが形成されている。第2モータ側接続端子22bは、チョークコイルL2を介してモータ部2の低速用給電ブラシB2に接続されるものである。また、第2端子部材22には、第2ハウジング12の内側面上に配置された第2雑防コンデンサ32の一方の端子が接続されている。
【0038】
第2ハウジング12においてコネクタ部12bの近傍に位置する第3端子部材23には、コネクタ部12bの内部に突出しギヤハウジング10の外部に露出する第3接続端子23aが形成されている。この第3端子部材23における第3接続端子23aと反対側の端部には、第2ハウジング12の内側面に固定された第1固定接点端子41が接続されている。また、第2ハウジング12において第3端子部材23の近傍に位置する第4端子部材24には、コネクタ部12bの内部に突出しギヤハウジング10の外部に露出する第4接続端子24aが形成されている。この第4端子部材24における第4接続端子24aと反対側の端部には、第2ハウジング12の内側面に固定された第2固定接点端子42が接続されている。
【0039】
また、第2ハウジング12においてコネクタ部12bの近傍に位置する第5端子部材25には、コネクタ部12bの内部に突出しギヤハウジング10の外部に露出する第5接続端子25aが形成されている。この第5端子部材25には、第2ハウジング12の内側面に固定された第3固定接点端子43が接続されている。更に、第5端子部材25には、第1ハウジング11の外周縁部と第2ハウジング12の外周縁部とによって挟み込まれ第1ハウジング11及び第2ハウジング12を締結する螺子(図示略)によって共締めされる接地端子25bが形成されている。また、第5端子部材25には、前記第1雑防コンデンサ31の他方の端子及び前記第2雑防コンデンサ32の他方の端子が接続されている。
【0040】
そして、コネクタ部12bには、図示しない外部コネクタが接続されるとともに、当該外部コネクタ及び第1〜第5端子部材21〜25を通じて、モータ部2への電源の供給等が行われる。詳しくは、第1〜第4接続端子21a〜24aは、外部コネクタを介して、車両の運転席に設けられたワイパスイッチ45に接続される。また、第3接続端子23aは、車両のバッテリ電源Eの+端子に接続されるとともに、第5接続端子25aはグランドに接続される。
【0041】
図2(a)及び図4に示すように、前記固定接点端子41〜43は、複数箇所が屈曲された略帯状をなすとともに、その基端部がそれぞれ第2ハウジング12の内側面に固定されている。3本の固定接点端子41〜43は、互いに平行に配置されるとともに、その基端から先端に向かうに連れて第2ハウジング12の内側面から離間してウォームホイール14に近接するように形成されている。また、各固定接点端子41〜43の先端部は、前記ウォームホイール14と軸方向に重なる位置に位置するとともに、固定接点端子41〜43の先端部は、ウォームホイール14の径方向に沿って一列に並んでいる。
【0042】
図2(a)に示すように、ギヤハウジング10の内部には、前記ギヤハウジング10と連れ回りする回転プレート51が収容されている。回転プレート51は、可動接点板52と、該可動接点板52と一体形成された保持部材53とから構成されている。尚、図7及び図8においては、可動接点板52及び保持部材53の形状を分かりやすくするために、保持部材53に微細なドットを付している。
【0043】
図7に示すように、可動接点板52は、導電性の金属板材をプレス加工により所定の形状に打ち抜いた後に複数箇所を屈曲して形成されている。可動接点板52は、円環状の板状をなす第1接点部52aと、該第1接点部52aから径方向外側に延設された扇形状の板状をなす第2接点部52bとを備えている。この第1接点部52a及び第2接点部52bによって、回転プレート51における導電パターンが形成されている。また、可動接点板52の厚さ方向の一方の面(即ち第1接点部52aの厚さ方向の一方の面と第2接点部52bの厚さ方向の一方の面とから構成される面)は、平面状をなし前記固定接点端子41〜43が摺接される摺接面52c(図7において手前側の面)となっている。また、同可動接点板52の厚さ方向の他方の面(即ち第1接点部52aの厚さ方向の他方の面と第2接点部52bの厚さ方向の他方の面とから構成される面)は、平面状をなす保持面52d(図7において奥側の面)となっている。
【0044】
第1接点部52aには、径方向外側に向かって凹設され径方向内側に開口する非導通凹部52eが形成されている。非導通凹部52eの周方向の両側の内側面は、第1接点部52aの径方向に沿って延びるとともに、非導通凹部52eの底面52mは、第1接点部52aと同心状の円弧状をなしている。即ち、非導通凹部52eは、第1接点部52aの軸方向(回転プレート51の中心軸線L方向に同じ)から見た形状が扇形状をなしている。尚、非導通凹部52eの周方向の両側の内側面及び底面は、第1接点部52aの内周縁を構成している。
【0045】
前記第2接点部52bは、第1接点部52aにおける非導通凹部52eの径方向外側となる部位から径方向外側に延設されている。そして、第2接点部52bの周方向の両端面は、径方向に沿って延びるとともに、同第2接点部52bの先端は、第1接点部52aと同心状の円弧状をなしている。また、第2接点部52bの先端部(径方向外側の端部)には、面取り部52fが形成されている。図7及び図9に示すように、面取り部52fは、第2接点部52bの先端部における前記摺接面52c側の角部を面取りして形成されている。この面取り部52fは、第2接点部52bの周方向の一端から他端まで連続して形成されている。
【0046】
また、図7に示すように、可動接点板52は、複数(本実施形態では15個)の係止爪52gを備えている。第1接点部52aの外周縁に9個の係止爪52gが設けられるとともに、第1接点部52aの内周縁に6個の係止爪52gが設けられている。ここで、第2接点部52bの周方向の中央を通り第1接点部52aの直径方向に延びる直線を第1中心線X1とするとともに、該第1中心線X1と直交し第1接点部52aの径方向の中央を通る直線を第2中心線X2とする。
【0047】
第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち2個の係止爪52gは、第2接点部52bの周方向の両側に該第2接点部52bの基端部と隣接して形成されている。また、第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち別の2個の係止爪52gは、第2中心線X2上となる2箇所にそれぞれ形成されている。そして、第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち別の2個の係止爪52gは、第1中心線X1を対称軸として線対称となる位置であって、第2接点部52bの基端部と隣接する係止爪52gと、第2中心線X2上に設けられた係止爪52gとの周方向の中央となる位置にそれぞれ形成されている。また、第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち別の1個の係止爪52gは、第1接点部52aの外周縁において第1中心線X1上であって第2接点部52bと180°反対側となる位置に形成されている。更に、第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち残りの2個の係止爪52gは、第1中心線X1を対称軸として線対称となる位置であって、第2中心線X2上に形成された係止爪52gと、第1中心線X1上に設けられた係止爪52gとの周方向の中央となる位置にそれぞれ形成されている。
【0048】
また、第1接点部52aの内周縁に形成された6個の係止爪52gのうち、1個の係止爪52gは、非導通凹部52eの底面52mに形成されるとともに、同係止爪52gは、非導通凹部52eの周方向の中央部であって前記第1中心線X1上となる位置に形成されている。そして、第1接点部52aの内周縁に形成された6個の係止爪52gのうち別の2個の係止爪52gは、非導通凹部52eの周方向の両側に該非導通凹部52eの開口部と隣接して形成されている。また、第1接点部52aの内周縁に形成された6個の係止爪52gのうち別の1個の係止爪52gは、第1接点部52aの内周縁において第1中心線X1上であって非導通凹部52eと180°反対側となる位置に形成されている。更に、第1接点部52aの内周縁に形成された6個の係止爪52gのうち残りの2個の係止爪52gは、第1中心線X1を対称軸として線対称となる位置であって、非導通凹部52eの開口部と隣接する係止爪52gと、第1中心線X1上に設けられた係止爪52gとの周方向の中央となる位置にそれぞれ形成されている。
【0049】
図9及び図10に示すように、これらの係止爪52gは、第1接点部52aに対して直角をなすように保持面52d側に折曲されて延びている。また、図6(a)及び図6(b)に示すように、これらの係止爪52gは、それぞれ基端部から先端部に向かうに連れて爪幅(本実施形態では周方向(回転プレート51の回転方向)の幅)が広くなるように形成されている。従って、本実施形態の各係止爪52gは、台形状の板状をなしている。尚、第1接点部52aの外周縁に設けられた9個の係止爪52gのうち、1個の係止爪52g(図7において右下の係止爪52g)は、図9に示すように、他の14個の係止爪52gよりも基端と先端との間の長さが長く形成された突起用係止爪52hとなっている。即ち、この突起用係止爪52hは、他の14個の係止爪52gに比べて中心軸線L方向の長さが長く形成されている。
【0050】
また、図7に示すように、可動接点板52には、複数(本実施形態では3個)の位置決め孔52kが形成されている。この位置決め孔52kは、保持部材53を形成するための成形型(図示略)に形成された突起が挿入されるものであり、当該突起が可動接点板52の位置決め孔52kに挿入されることにより可動接点板52が成形型に対して位置決めされるようになっている。3つの位置決め孔52kは、可動接点板52において、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所に形成されるとともに、それぞれ可動接点板52を厚さ方向に貫通している。3つの位置決め孔52kのうち、1つの位置決め孔52kは、第2接点部52bの基端部に形成されるとともに、残りの2つの位置決め孔52kは、第1接点部52aに形成されている。そして、第2接点部52bの基端部に形成された位置決め孔52kは、残りの2つの第2接点部52bよりも第1接点部52aの径方向の中央から遠い位置に形成されている。また、各位置決め孔52kは、それぞれ前記固定接点端子41〜43に摺接されない位置に形成されている。
【0051】
前記保持部材53は、可動接点板52を保持するものであり、絶縁性の樹脂材料から形成されている。第1接点部52aの内側、即ち回転プレート51の径方向の中央部となる位置には、保持部材53を構成する係合部61が形成されている。図10に示すように、この係合部61は、保持面52d側に開口し摺接面52c側に突出した有底円筒状をなしている。図2(a)に示すように、係合部61の内径は、前記固定部14bの外径よりも僅かに大きい値に設定されている。また、この係合部61の底部中央には、挿通孔62が形成されている。挿通孔62は、回転プレート51の中心軸線L方向に係合部61の底部を貫通するとともに、中心軸線L方向から見た形状が円形状をなしている。また、挿通孔62の直径は、前記第2ハウジング12の支持凸部12aの外径よりも僅かに大きい値となっている。
【0052】
また、図7及び図8に示すように、保持部材53は、係合部61の開口部から径方向外側に延び前記非導通凹部52e内を埋める非導通部63を備えている。この非導通部63は、第1接点部52aの厚さよりも若干厚い平板状をなしており、非導通部63は、第1接点部52aよりも軸方向の両側に若干突出している。従って、中心軸線L方向において、摺接面52c及び保持面52dは、非導通部63の厚さの範囲内(非導通部63の中心軸線L方向の両端面間)に位置する。また、非導通部63における摺接面52c側の端面(即ち回転プレート51の表面を構成する面)は、平面状をなしている。
【0053】
また、保持部材53は、第1接点部52aの外周を囲む円弧状の外周保持部64を有する。外周保持部64は、第1接点部52aの径方向外側で第2接点部52bの周方向の一端から他端まで第1接点部52aの外周縁に沿って連続的に延びている。そして、外周保持部64は、第1接点部52aと同心状の円弧状をなすとともに、同第1接点部52aと一体的に形成(回転プレート51の回転方向(周方向に同じ)及び軸方向に相対移動不能に形成)されている。この外周保持部64の径方向の幅は、第2接点部52bの径方向の幅よりも若干長く形成されている。また、図10に示すように、外周保持部64における中心軸線L方向の両端面のうち摺接面52c側の端面(即ち回転プレート51の表面を構成する面)は、その中心軸線L方向の位置が、摺接面52cよりも係合部61の底部側に位置するとともに、凹凸の無い形状をなしている。従って、本実施形態では、前記固定接点端子41〜43が摺接する回転プレート51の表面においては、保持部材53の表面(即ち、前記非導通部63における摺接面52c側の端面、及び外周保持部64における摺接面52c側の端面)は、可動接点板52の表面である摺接面52cよりも外側に突出している。更に、外周保持部64における中心軸線L方向の両端面のうち保持面52d側の端面は、その中心軸線L方向の位置が保持面52dと略等しくなっている。尚、図7に示すように、この外周保持部64は、前記非導通部63と共に回転プレート51における絶縁パターンを形成している。そして、非導通部63における摺接面52c側への露出面(表面)には第1固定接点端子41が摺接する一方、外周保持部64における摺接面52c側への露出面(表面)には第3固定接点端子43が摺接する。
【0054】
また、保持部材53は、第2接点部52bの径方向外側に該第2接点部52bの先端部を被覆する先端被覆部65を有する。先端被覆部65は、第2接点部52bの径方向外側で第2接点部52bの先端部に沿って周方向に延びる円弧状(即ち、外周保持部64の径方向外側の端部と同様の円弧状)をなしている。また、先端被覆部65は、前記外周保持部64の周方向の両端部を連結するように同外周保持部64と一体に形成されている。更に、図9に示すように、先端被覆部65は、第2接点部52bの先端部を保持面52d側から摺接面52c側まで回り込んで被覆している。本実施形態では、先端被覆部65は、摺接面52c側では、前記面取り部52fを被覆するように形成されている。また、この先端被覆部65は、第2接点部52bの先端部と一体的に形成(回転プレート51の回転方向及び軸方向に相対移動不能に形成)されている。
【0055】
図8に示すように、保持部材53は、回転プレート51の回転中心(即ち中心軸線L上の一点)を中心として保持面52d上を放射状に延びる複数(本実施形態では20本)の放射リブ66を有する。複数の放射リブ66は、周方向に等角度間隔(本実施形態では18°間隔)に形成されるとともに、回転プレート51の径方向に沿って直線状に延びている。また、各放射リブ66は、第1接点部52aの内周縁(若しくは非導電部63の径方向内側の端部)から保持面52d上を通って外周保持部64の径方向外側の端部(若しくは先端被覆部65)まで延びている。そして、各放射リブ66は、保持面52dに一体的に形成(回転プレート51の回転方向及び軸方向に相対移動不能に形成)されるとともに、外周保持部64(若しくは先端被覆部65)と一体に形成されている。また、図9に示すように、各放射リブ66における径方向の中央部よりも径方向内側寄りの部位は、中心軸線L方向の高さが前記係止爪52g(突起用係止爪52hを除く)の中心軸線L方向の高さよりも高く形成されている。そして、各放射リブ66における径方向の中央部よりも径方向外側寄りの部位は、径方向外側に向かうに連れて中心軸線L方向の高さが低くなるように形成されている。
【0056】
また、図8に示すように、保持部材53は、回転プレート51における保持面52d側の面に形成された4種類の弧状リブ(即ち、第1弧状リブ67a、第2弧状リブ67b、第3弧状リブ67c及び第4弧状リブ67d)を有する。
【0057】
第1弧状リブ67aは、第1接点部52aの内周縁に沿って周方向に延びている。そして、第1弧状リブ67aは、周方向に隣り合う前記放射リブ66の径方向内側の端部同士を連結するように形成されるとともに、中心軸線L上の点を中心とする円環状(円弧状)をなしている。図10に示すように、第1弧状リブ67aは、係合部61の開口端部に一体に形成されるとともに、中心軸線L方向に沿って同係合部61の底部と反対方向に保持面52dよりも突出している。この第1弧状リブ67aにおける摺接面52cからの中心軸線L方向の高さは、第1接点部52aの内周縁に形成された係止爪52gの中心軸線L方向の高さ(詳しくは係止爪52gの基端と先端との間の長さ)よりも高く形成されている。更に、第1弧状リブ67aの径方向の幅は、係止爪52gの板厚よりも厚く形成されている。そして、第1弧状リブ67aは、第1接点部52aの内周縁に形成された5個の係止爪52gをその内部に埋設している。更に、第1弧状リブ67aは、第1接点部52aの径方向内側の端部をその内部に埋設し同第1接点部52aの径方向内側の端部と一体的に形成(回転プレート51の回転方向及び軸方向に相対移動不能に形成)されている。
【0058】
図8に示すように、第2弧状リブ67bは、第1弧状リブ67aよりも径方向外側に形成されている。そして、第2弧状リブ67bは、保持部材53における可動接点板52の保持面52d側で第1接点部52aの径方向の中央(径方向の幅の中央)を周方向に沿って延び、周方向に隣り合う前記放射リブ66同士を連結するように形成されている。また、第2弧状リブ67bは、前記非導通凹部52eの底面52m上を通るとともに、第1接点部52aに形成された2つの前記位置決め孔52k上を通るように形成されている。更に、第2弧状リブ67bは、中心軸線L上の点を中心とする円弧状をなし前記第1弧状リブ67aと同心状に形成されるとともに、保持面52dと一体的に形成され第1接点部52aと相対移動不能となっている。また、図10に示すように、第2弧状リブ67bにおける中心軸線L方向の高さは、第1弧状リブ67aにおける中心軸線L方向の高さと等しく、係止爪52gにおける中心軸線L方向の高さよりも若干高く形成されている。更に、図8に示すように、第2弧状リブ67bの径方向の幅は、係止爪52gの板厚よりも厚く形成されている。そして、前記非導通凹部52eの底面52mに形成された係止爪52gは、この第2弧状リブ67b内に埋設されている。
【0059】
前記第3弧状リブ67cは、第2弧状リブ67bよりも径方向外側に形成されている。第3弧状リブ67cは、保持部材53における可動接点板52の保持面52d側で、外周保持部64の内周縁部及び第1接点部52aの外周縁部に沿って周方向に延びるとともに、周方向に隣り合う前記放射リブ66同士を連結するように形成されている。また、第3弧状リブ67cは、第2接点部52bの基端部に形成された前記位置決め孔52k上を通るように形成されている。そして、第3弧状リブ67cは、中心軸線L上の点を中心とする円弧状をなし前記第1弧状リブ67a及び第2弧状リブ67bと同心状をなしている。また、第3弧状リブ67cは、外周保持部64と一体に且つ保持面52dと一体的に形成され第1接点部52aと相対移動不能となっている。図10に示すように、第3弧状リブ67cにおける中心軸線L方向の高さは、係止爪52gにおける中心軸線L方向の高さよりも若干高く、且つ第1弧状リブ67aにおける中心軸線L方向の高さよりも若干低く形成されている。また、図8に示すように、第3弧状リブ67cの径方向の幅は、第2弧状リブ67bの径方向の幅と等しく形成されている。そして、第1接点部52aの外周縁に形成された9個の係止爪52gは、この第3弧状リブ67c内に埋設されている。
【0060】
前記第4弧状リブ67dは、第3弧状リブ67cよりも径方向外側に形成されている。第4弧状リブ67dは、保持部材53における可動接点板52の保持面52d側で外周保持部64の外周縁部に沿って周方向に延び、周方向に隣り合う前記放射リブ66の径方向外側の端部同士を連結するように形成されている。また、第4弧状リブ67dは、先端被覆部65上にも形成されるとともに、外周保持部64と一体に形成されている。そして、第4弧状リブ67dは、中心軸線L上の点を中心とする円弧状をなし前記第1弧状リブ67a、第2弧状リブ67b及び第3弧状リブ67cと同心状をなしている。また、図10に示すように、第4弧状リブ67dにおける中心軸線L方向の高さは、第1弧状リブ67aにおける中心軸線L方向の高さよりも低く形成されるとともに、第4弧状リブ67dの径方向の幅は、第2弧状リブ67bの径方向の幅と略等しく形成されている。
【0061】
図8に示すように、上記のように形成された放射リブ66及び弧状リブ67a〜67dは、回転プレート51(詳しくは保持部材53)における可動接点板52の保持面52d側で、網目構造を形成している。これにより、保持部材53には、可動接点板52に対応する部位に、放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとから形成された網目構造の多孔部71が形成されている。言い換えると、多孔部71は、保持部材53において、保持面52d上に形成された部分である。この多孔部71には、保持面52dを外部に露出させる複数の露出孔72が、放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとが形成する網目によって形成されている。
【0062】
また、図2(a)及び図8に示すように、保持部材53は、保持面52dと対向して配置されるウォームホイール14に向けて突出する、即ち、回転プレート51における保持面52d側(ウォームホイール14側)から中心軸線Lに沿ってウォームホイール14に向けて突出するプレート側係合突起68を有する。このプレート側係合突起68は、回転プレート51をウォームホイール14と連れ回りさせるために、前記ギヤ側係合突起14aに周方向から当接されるものである。プレート側係合突起68は、回転プレート51において、該プレート側係合突起68と中心軸線Lとの間の距離が、ウォームホイール14の回転軸線(中心軸線Lと一致)とギヤ側係合突起14aとの間の距離と等しくなる位置に形成されている。
【0063】
図2(b)、図8及び図9に示すように、プレート側係合突起68は、第3弧状リブ67c上に立設された連結壁68aと、該連結壁68aにて連結された一対の当接壁68bとから構成されている。連結壁68aは、前記突起用係止爪52hが設けられた部分に形成されている。そして、連結壁68aは、四角形の板状をなすとともに、該連結壁68aの周方向の中央において該連結壁68aの板厚方向が回転プレート51の径方向と一致するように立設されている。また、連結壁68aの厚さは、第3弧状リブ67cの径方向の幅と略等しく形成されるとともに、同連結壁68aの中心軸線L方向の高さは、突起用係止爪52hの中心軸線L方向の高さよりも高く形成されている。そして、この連結壁68aは、突起用係止爪52hを埋設している。
【0064】
また、一対の当接壁68bは、連結壁68aの周方向の両端部に該連結壁68aと一体に形成されている。各当接壁68bは、回転プレート51の回転方向(周方向)と直交する四角形の平板状をなしている。各当接壁68bは、該当接壁68bにおける回転プレート51の径方向の中央部で連結壁68aと連結されている。そのため、プレート側係合突起68は、中心軸線L方向から見た形状がH形状をなしている。また、各当接壁68bの板厚方向の両側面のうち、連結壁68aと反対側の側面は、中心軸線Lと平行且つ回転プレート51の回転方向と直交する平面状をなす当接面68cとなっている(当接面68cの法線が、中線軸線Lを中心とする円と当接面68cとが交差する点において、当該円の接線と一致するようになっている。)。
【0065】
また、図8及び図10に示すように、保持部材53は、回転プレート51における保持面52d側に、複数(本実施形態では4個)の樹脂導入部69を有する。4個の樹脂導入部69は、保持面52d側であって、第2弧状リブ67b上の4箇所に形成されている。また、4個の樹脂導入部69は、周方向に等角度間隔(本実施形態では90°間隔)に形成されるとともに、第2弧状リブ67bと一体に且つ保持面52dと一体的に形成されている。そして、各樹脂導入部69は、中心軸線L方向から見た形状が円形状をなしている。これらの樹脂導入部69は、保持部材53を形成する際に、該保持部材53を形成するための成形型(図示略)内に溶融した樹脂材料を充填するためのゲートG(図8中、二点鎖線にて図示)が設定される場所である。従って、保持部材53を形成する際には、当該成形型内に配置された可動接点板52の保持面52d側から、即ち摺接面52cとは反対側から同成形型内に溶融した樹脂材料が充填される。
【0066】
図2(a)に示すように、このような回転プレート51は、前記ウォームホイール14よりも外径が小さく形成されている。そして、この回転プレート51は、摺接面52cが第2ハウジング12と対向するとともに、係合部61の挿通孔62に前記支持凸部12aが挿入された状態で歯付きワッシャ81を支持凸部12aに締着することにより第2ハウジング12の支持凸部12aに対して回転可能に支持される。尚、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して組み付けることで、係合部61に、ウォームホイール14の固定部14bが内挿される。また、ウォームホイール14と回転プレート51とは、互いの回転中心が中心軸線Lで一致するとともに、固定部14bの外周面と係合部61の内周面とを摺接させながら相対回転可能である。更に、回転プレート51のプレート側係合突起68に、ウォームホイール14のギヤ側係合突起14aが周方向から当接可能である。図2(b)に示すように、ギヤ側係合突起14aがプレート側係合突起68に周方向から当接した状態においては、ギヤ側係合突起14aは、プレート側係合突起68の何れか一方の当接面68cに線接触している。そして、図2(a)に示すように、ギヤ側係合突起14a及びプレート側係合突起68を介してウォームホイール14の回転力が回転プレート51に伝達されるようになっている。
【0067】
また、ギヤハウジング10の内部では、前記固定接点端子41〜43の先端部がそれぞれ回転プレート51における摺接面52c側の面(即ち、摺接面52c、非導通部63の摺接面52c側の面、及び外周保持部64の摺接面52c側の面)に接触している。各固定接点端子41〜43は、その弾性力により回転プレート51を中心軸線L方向に押圧するように該回転プレート51に接触している。そして、図7に示すように、第1固定接点端子41は、回転プレート51の回転位置に応じて第1トラックT1、即ち第1接点部52aに対して内周寄りの部分若しくは非導通部63に接触する。また、第2固定接点端子42は、第2トラックT2、即ち第1接点部52aにおける非導通凹部52eよりも径方向外側の部分に接触する。更に、第3固定接点端子43は、第3トラックT3、即ち回転プレート51の回転位置に応じて第2接点部52b若しくは外周保持部64に接触する。従って、回転プレート51の回転位置に応じて可動接点板52が各固定接点端子41〜43の導通の組み合わせを電気的に切り替えることで、回転プレート51の回転位置に応じたスイッチング又は信号生成が可能となっている。
【0068】
尚、図5に示すように、前記ワイパスイッチ45は、ワイパWを停止させるべくモータ1を停止させるための停止位置P1と、ワイパWを低速で払拭作動させるべくモータ1を低速作動させるための低速作動位置P2と、ワイパWを高速で払拭作動させるべくモータ1を高速作動させるための高速作動位置P3とを有している。
【0069】
次に、本実施形態のモータ1の作用を記載する。
ワイパWが車両のフロントガラスの下端に沿った停止位置に配置された状態でワイパスイッチ45が停止位置P1に位置している状態では、モータ部2の高速用給電ブラシB1と接続された第1接続端子21a(第1端子部材21)、及び低速用給電ブラシB2と接続された第2接続端子22a(第2端子部材22)には、バッテリ電源Eからの電源供給は行われない。従って、モータ部2ではアーマチャ6が回転されないため、ワイパWは、停止位置に配置された状態が維持される。
【0070】
そして、ワイパスイッチ45が低速作動位置P2に切り替えられると、回転プレート51の可動接点板52と各固定接点端子41〜43との接触状態に関係無く、第2接続端子22a(第2端子部材22)を介して低速用給電ブラシB2にバッテリ電源Eから電源供給がなされる。これにより、アーマチャ6が回転駆動されるとともに、アーマチャ6の回転駆動力は、ウォーム部7a及びウォームホイール14にて減速された後に出力軸15から出力される。そして、出力軸15の回転に伴って、車両用ワイパ装置のリンク機構(図示略)を介してワイパWが低速で払拭作動する。
【0071】
ここで、ワイパWの払拭作動中(即ちワイパWが停止位置以外の位置にあるとき)にワイパスイッチ45が停止位置P1に切り替えられた場合には、ワイパスイッチ45の低速作動位置P2を介したバッテリ電源Eが絶たれるが、第1固定接点端子41、可動接点板52及び第2固定接点端子42を介しての低速用給電ブラシB2への電源供給経路が確保され、モータ部2の駆動、即ちワイパWの払拭作動が継続される。そして、ワイパWが停止位置まで作動すると、回転プレート51の可動接点板52を介しての第2固定接点端子42との接続が第3固定接点端子43側に切り替えられる。その結果、モータ部2の駆動が自動で停止されてワイパWの払拭作動が停止される。
【0072】
また、ワイパスイッチ45が高速作動位置P3に切り替えられると、回転プレート51の可動接点板52と各固定接点端子41〜43との接触状態に関係無く、第1接続端子21a(第1端子部材21)を介して高速用給電ブラシB1にバッテリ電源Eから電源供給がなされる。これにより、モータ部2にて回転駆動力が発生され、減速機構13にて減速された回転駆動力が出力軸15から出力される。そして、出力軸15の回転に伴って、ワイパWが高速で払拭作動する。このワイパWの高速作動時においても同様に、ワイパWの払拭作動中にワイパスイッチ45が停止位置P1に切り替えられても、回転プレート51及び固定接点端子41〜43の作動にて、ワイパWが停止位置まで作動するようにモータ1への電源供給が継続され、ワイパWが停止位置まで作動すると、モータ1の駆動が自動で停止される。
【0073】
このように、本実施形態のモータ1では、ウォームホイール14と連れ回りする回転プレート51に対する、3本の固定接点端子41〜43の接触位置によって、出力軸15の回転位置(即ちワイパWの位置)を検知するとともに、検知した回転位置に応じてモータ部2への電源の供給をも行っている(電源の供給態様を変更している)。そして、出力軸15の回転位置の検知に用いられる回転プレートは、可動接点板52と保持部材53とを一体成形して形成されているため、安価に形成されている。
【0074】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)可動接点板52と保持部材53とが一体成形されている。そのため、可動接点板52の形状が複数種類存在する場合であっても、回転プレート51の外形寸法に変更が無い場合には、1つの成形型で可動接点板52の形状が異なる複数種類の回転プレート51を形成することができる。従って、可動接点板52の種類に合わせて、保持部材53を形成するための成形型を複数種類形成しなくてもよい。また、保持部材53を形成する際に同時に可動接点板52の表面が当該保持部材53の表面よりも突出しないように可動接点板52と保持部材53とが固定されることになる。従って、保持部材と可動接点板とをそれぞれ別体で形成した後に可動接点板を保持部材に固定する場合よりも、可動接点板52による段差の発生を防止しつつ製造工程の数を減少させることができる。これらのことから、回転プレート51の製造コストを低減させることができる。そして、この回転プレート51を備えたモータ1の製造コストをも低減することができる。
【0075】
(2)保持部材53に複数の露出孔72を備えた多孔部71を設けることによって、保持面52d全体を樹脂材料にて被覆する場合よりも、保持部材53に使用する樹脂材料の量を減少させることができるため、回転プレート51の製造コストをより低減させることができるとともに、回転プレート51の軽量化を図ることができる。また、多孔部71によって保持部材53を構成する樹脂材料の量を減少させることにより、樹脂材料が固化する時の収縮量を小さくすることができる。従って、保持部材53の反り等の変形を抑制して回転プレート51における保持部材53と可動接点板52との剥離を防止できるため、保持部材53により可動接点板52をしっかりと固定することができる。
【0076】
(3)保持部材53は、複数の放射リブ66と、第1〜第4弧状リブ67a〜67dとを有し、可動接点板52に対応する部位には、放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとによって網目構造の多孔部71が形成されている。従って、放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとから複数の露出孔72の形状や大きさに規則性のある網目構造を形成して保持部材53を構成する樹脂材料の量を減少させているので、樹脂材料が固化する時の収縮量をより一層小さくすることができる。従って、保持部材53の反り等の変形を一層抑制して回転プレート51における保持部材53と可動接点板52との剥離をより一層防止できるため、保持部材53に対する可動接点板52の固定をより一層確実なものとすることができる。
【0077】
(4)保持部材53を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によって、第1〜第4弧状リブ67a〜67d及び同弧状リブ67a〜67dに連結された放射リブ66が、可動接点板52に対して径方向に相対移動されることが係止爪52gによって抑制される。従って、回転プレート51の反り、及び可動接点板52と保持部材53との剥離が更に一層抑制される。
【0078】
(5)係止爪52gは、その基端から先端に向かうに連れて爪幅が広く形成されているため、係止爪52gの先端側の部位が第1〜第3弧状リブ67a〜67cに引っ掛かりやすくなる。従って、係止爪52gが第1〜第3弧状リブ67a〜67cから抜け難くなるため、可動接点板52を保持部材53に対してより強固に固定することができる。
【0079】
(6)ウォームホイール14のギヤ側係合突起14aと回転方向に係合するプレート側係合突起68は、第3弧状リブ67cに埋設された係止爪52gよりも基端と先端との間の長さが長い突起用係止爪52hが埋設されている。従って、保持部材53を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によってプレート側係合突起68が傾倒することをより抑制することができる。
【0080】
(7)一対の当接壁68bは、それぞれ回転プレート51の回転方向と直交する平板状をなしている。従って、保持部材53を構成する樹脂材料が固化する際の同樹脂材料の収縮によって、プレート側係合突起68が、その先端部が回転プレート51の内周側に移動するように傾倒したとしても、当接壁68bは、回転プレート51の回転方向と直交した状態に維持される。即ち、回転プレート51における一対の当接壁68bの位置(回転プレートの回転方向の位置)が変化され難い。よって、ギヤ側係合突起14aとプレート側係合突起68とが回転プレート51の回転方向に係合したときの、回転プレート51とウォームホイール14との回転方向の位置ずれを抑制することができる。また、当接壁68b同士を連結する連結壁68a内に突起用係止爪52hが埋設されているため、ギヤ側係合突起14aが当接する当接壁68bを平板状に形成しやすいとともに、プレート側係合突起68の傾倒もより抑制しやすくなっている。
【0081】
(8)第1接点部52aの外周縁における第2接点部52bの基端部の周方向の両側、及び第1接点部52aの内周縁における第2接点部52bの径方向内側となる部位には、係止爪52gがそれぞれ形成されている。この3箇所に係止爪52gを設けることで、保持部材53と第2接点部52bとが剥離することを効果的に抑制することができる。
【0082】
(9)保持部材53と第2接点部52bとが剥離することを、先端被覆部65によってより効果的に抑制することができる。
(10)先端被覆部65にて覆われる第2接点部52bの先端部に面取り部52fを形成することにより、保持部材53と第2接点部52bとが剥離することを更に効果的に抑制することができる。
【0083】
(11)保持部材53を形成するための成形型の内部に溶融した樹脂材料を充填するためのゲートGが保持面52d側に設定されるため、回転プレート51において固定接点端子41〜43が摺接される摺接面52c側の面にゲートGによる凹凸が形成されない。従って、回転プレート51における摺接面52c側の面と固定接点端子41〜43との摺接を円滑に行うことができる。
【0084】
(12)可動接点板52に形成された複数の位置決め孔52kに、保持部材53を形成するための成形型(図示略)に形成された突起がそれぞれ挿入されることにより、可動接点板52は、成形型内において位置決めされるようになっている。この各位置決め孔52kは、それぞれ固定接点端子41〜43に摺接されない位置に形成されているため、回転プレート51の使用において固定接点端子41〜43と可動接点板52との断続接触を防止できる。
【0085】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、モータ1は、車両用ワイパ装置の駆動源に用いられている。しかしながら、モータ1は、車両用ワイパ装置以外の装置の駆動源として用いられてもよい。例えば、モータ1は、車両用ウインドウレギュレータを作動させる装置の駆動源として用いられてもよいし、車両に設けられたサンルーフを電動で開閉させる装置の駆動源として用いられてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、樹脂導入部69は、第2弧状リブ67b上の4箇所に設けられている。しかしながら、樹脂導入部69は、回転プレート51において可動接点板52に対して保持面52d側に形成されればよい。例えば、樹脂導入部69は、回転プレート51における保持面52d側で、第3弧状リブ67c上の3箇所に設けられてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、第2接点部52bの先端部に面取り部52fが形成されているが、面取り部52fは必ずしも形成しなくてもよい。
・上記実施形態では、保持部材53は先端被覆部65を備えている。しかしながら、第2接点部52bと保持部材53との剥離が生じないのであれば、保持部材53は先端被覆部65を備えない構成であってもよい。
【0088】
・上記実施形態では、可動接点板52は、円環状の板状をなす第1接点部52aと該第1接点部52aから径方向外側に突出した扇形状の板状をなす第2接点部52bとから形成される導電パターンを有する形状とされている。しかしながら、可動接点板52の形状は上記実施形態の形状に限らず、モータ1が搭載される車両におけるワイパWの停止位置やワイパWの払拭角等に応じた導電パターンを形成するように適宜変更されてもよい。また、可動接点板52は、上記実施形態では1つの導電性金属板材で形成したが、2つ以上の導電性金属板材で形成してもよい。
【0089】
・上記実施形態では、プレート側係合突起68は、一対の当接壁68bと、これら当接壁68bを連結する連結壁68aとから構成され、中心軸線L方向から見た形状がH形状をなしている。しかしながら、プレート側係合突起68の形状は、必ずしも上記実施形態の形状でなくてもよい。例えば、プレート側係合突起68は、円柱状若しくは多角柱状等であってもよい。
【0090】
・上記実施形態では、突起用係止爪52hは、他の14個の係止爪52gよりも基端と先端との間の長さが長く形成されている。しかしながら、突起用係止爪52hは、他の14個の係止爪52gと同等の長さであってもよい。
【0091】
・上記実施形態では、係止爪52gは、その基端から先端に向かうに連れて爪幅が広く形成されている。しかしながら、係止爪52gは、基端から先端まで爪幅が一定に形成されてもよい。また、係止爪52gは、基端から先端に向かうに連れて爪幅が狭くなるように形成されてもよい。また、係止爪52gは、板厚方向に貫通する貫通孔を有する形状であってもよい。このようにすると、第1〜第3弧状リブ67a〜67cを構成する樹脂材料が貫通孔内に入り込むことにより、係止爪52gが第1〜第3弧状リブ67a〜67cから抜け難くなるため、可動接点板52を保持部材53に対してより強固に固定することができる。
【0092】
・上記実施形態では、可動接点板52は、15個の係止爪52gを備えている。しかしながら、可動接点板52が備える係止爪52gの数は、14個以下若しくは16個以上であってもよい。また、上記実施形態では、係止爪52gは、第1〜第3弧状リブ67a〜67cに埋設されている。しかしながら、係止爪52gは、放射リブ66及び第1〜第4弧状リブ67a〜67dの少なくとも一方に埋設されるように形成されればよい。また、回転プレート51の反りや、可動接点板52と保持部材53との剥離が発生しない場合には、可動接点板52は必ずしも係止爪52gを備えなくてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、保持部材53は、放射リブ66を20本備えるとともに、4種類の弧状リブ67a〜67dを備えている。しかしながら、保持部材53が備える放射リブ66の本数、及び弧状リブ67a〜67dの数は、必ずしも上記実施形態の数でなくてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、多孔部71は、可動接点板52に対応する部位に形成された複数の放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとから形成されるとともに、多孔部71が備える露出孔72は、複数の放射リブ66と第1〜第4弧状リブ67a〜67dとが形成する網目によって形成されている。しかしながら、多孔部71及び露出孔72の形状は、これに限らず、多孔部71は、保持面52d上に形成され、保持面52dを露出させる複数の露出孔72を有するように形成されればよい。例えば、図11に示す回転プレート101の保持部材102のように、多孔部103は、円形状の露出孔104を複数備えた構成であってもよい。また、露出孔の形状は、楕円形状、多角形状等であってもよい。更に、多孔部は、可動接点板52に対応する部位に形成された複数種類の形状の露出孔を備えた構成であってもよい。
【0095】
・摺接面52c、非導通部63の摺接面52c側の面、及び外周保持部64の摺接面52c側の面を面一に形成するのが好ましい。この場合、上記実施形態のように、可動接点板52と保持部材53とを一体成形することにより、摺接面52c、非導通部63の摺接面52c側の面、及び外周保持部64の摺接面52c側の面を容易に面一に形成することができる。
【0096】
・上記実施形態では、ワイパWは、リンク機構を介して出力軸15の先端部に連結されているが、出力軸15の先端部に直接連結されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
2…モータ部、13…減速機構、14…回転体としてのウォームホイール、14a…回転体側係合突起としてのギヤ側係合突起、15…出力軸、41…固定接点端子としての第1固定接点端子、42…固定接点端子としての第2固定接点端子、43…固定接点端子としての第3固定接点端子、51,101…回転プレート、52…可動接点板、52a…第1接点部、52b…第2接点部、52c…回転プレートの表面を構成する摺接面、52d…保持面、52f…面取り部、52g…係止爪、52h…突起用係止爪、53,102…保持部材、65…先端被覆部、66…放射リブ、67a…弧状リブとしての第1弧状リブ、67b…弧状リブとしての第2弧状リブ、67c…弧状リブとしての第3弧状リブ、67d…弧状リブとしての第4弧状リブ、68…プレート側係合突起、68a…連結壁、68b…当接壁、69…樹脂導入部、71,103…多孔部、72,104…露出孔、G…ゲート、L…回転プレートの回転中心としての中心軸線、W…ワイパ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を固定接点端子が摺接する回転プレートであって、
所定の導電パターンを形成する可動接点板の表面が、絶縁性の樹脂材料よりなり前記可動接点板を保持する保持部材の表面よりも突出しないように、前記可動接点板と前記保持部材とが一体成形により互いに固定されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項2】
請求項1に記載の回転プレートにおいて、
前記可動接点板は、平面状の摺接面と前記摺接面の裏側に設けられた保持面とを備え、
前記保持部材は、前記可動接点板に対応する部位に前記保持面を露出させる複数の露出孔が形成された多孔部を有することを特徴とする回転プレート。
【請求項3】
請求項2に記載の回転プレートにおいて、
前記保持部材は、回転プレートの回転中心を中心として前記保持面上を放射状に延びる複数の放射リブと、回転プレートの回転中心を中心として同心状に形成され周方向に隣り合う前記放射リブ同士を連結する複数の弧状リブとを有し、
前記多孔部は、前記可動接点板に対応する部位に形成された前記放射リブと前記弧状リブとから構成されるとともに、前記放射リブと前記弧状リブとが形成する網目によって前記露出孔が形成されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項4】
請求項3に記載の回転プレートにおいて、
前記可動接点板は、前記弧状リブ及び前記放射リブの少なくとも一方の内部に埋設された複数の係止爪を有することを特徴とする回転プレート。
【請求項5】
請求項4に記載の回転プレートにおいて、
前記係止爪は、その基端から先端に向かうに連れて爪幅が広く形成されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の回転プレートにおいて、
前記保持部材は、前記保持面と対向して配置される回転体に向けて突出形成されるとともに前記回転体に設けられた回転体側係合突起と回転方向に係合するプレート側係合突起を備え、
前記可動接点板は、前記プレート側係合突起に埋設されるとともに前記係止爪よりも基端と先端との間の長さが長い突起用係止爪を有することを特徴とする回転プレート。
【請求項7】
請求項6に記載の回転プレートにおいて、
前記プレート側係合突起は、回転プレートの回転方向と直交する平板状をなし同回転プレートの回転方向に離間した一対の当接壁と、該当接壁同士を連結する連結壁とを備え、
前記突起用係止爪は、前記連結壁内に埋設されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、
前記可動接点板は、円環状の第1接点部と、該第1接点部から径方向外側に突出した第2接点部とを備え、少なくとも、前記第1接点部の外周縁における前記第2接点部の基端部の周方向の両側、及び前記第1接点部の内周縁における前記第2接点部の径方向内側となる部位には前記係止爪が形成されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項9】
請求項2乃至請求項8の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、
前記可動接点板は、円環状の第1接点部と、該第1接点部から径方向外側に突出した第2接点部とを備え、
前記保持部材は、前記第2接点部の先端部を前記保持面側から前記摺接面側まで回り込んで被覆する先端被覆部を有することを特徴とする回転プレート。
【請求項10】
請求項9に記載の回転プレートにおいて、
前記第2接点部の先端部には、前記第2接点部における前記摺接面側の角部を面取りしてなる面取り部が形成されていることを特徴とする回転プレート。
【請求項11】
請求項2乃至請求項10の何れか1項に記載の回転プレートにおいて、
前記保持部材は、前記可動接点板に対して前記保持面側に、前記保持部材を形成するための成形型に溶融した前記樹脂材料を充填するためのゲートの位置に対応した樹脂導入部を有することを特徴とする回転プレート。
【請求項12】
回転駆動力を発生させるモータ部と、
ワイパが連結される出力軸と一体回転するウォームホイールを有し前記回転駆動力を減速する減速機構と、
前記ウォームホイールと連れ回り可能な請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の回転プレートと、
前記可動接点板に摺接し前記回転プレートと共に前記出力軸の回転位置を検知するための複数の固定接点端子と、
を備え、前記回転プレートと前記固定接点端子とを用いて検知された前記出力軸の回転位置に応じて前記モータ部への電源の供給が行われることを特徴とするモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−222995(P2012−222995A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87656(P2011−87656)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【出願人】(503331791)ギフハイテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】