説明

回転基板上に保持された層を加熱する装置及び方法

【課題】回転基板上に保持された層を加熱するための改良された装置及び方法を提供する。
【解決手段】回転基板上に保持された基板115及び犠牲層120を回転しながら加熱流体130を供給してベーキングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野は概して、半導体集積回路製造分野に関し、より詳細には、回転基板上に保持された半導体集積回路製造に用いられる種類の層の加熱に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造には、たとえば誘電体の堆積、イオン注入、及びメタライゼーションのような後続プロセスを行う領域を正確でかつ厳密に描画するウエハ上へのパターン形成方法が必要となる。これらのパターン生成に含まれるプロセス方法は、フォトリソグラフィとして知られている。典型的なフォトリソグラフィプロセスは一般的に、1層以上の均一なフォトレジスト層をウエハ基板表面上に塗布する工程、ベーキングステーション内で塗布された層を乾燥及び硬化する工程、フォトレジスト層を電磁波に曝露することによって基板をパターニングする工程、並びにパターニングされたフォトレジスト層を現像する工程を有する。
【0003】
フォトリソグラフィ装置内のベーキングステーションは、ウエハを加熱することで、ウエハ上側表面に塗布された材料層を処理、硬化、又は活性化させるように設計されている。ベーキングステーションはベーキングプレートを有する。そのベーキングプレートは通常ウエハの下に設けられることで、ウエハ背面に直接熱を伝えることなくウエハを背後から加熱する。この構成は、表面の接触を最小にしながら、空気ギャップ及び基板を介して熱を伝えることによって、フォトレジストを間接的に加熱する方法を供する。表面の接触を最小となることで、ウエハ上面又は背面への物理的接触による汚染は最小となる。
【0004】
しかし従来のベーキングステーションの構成は2つのプロセス制御に係る問題を起こす恐れがある。それは、ホットプレートの温度制御と空気ギャップを介した伝熱制御である。ベーキングプレートの温度をプロセス中に制御するのは難しいと考えられる。その理由は、冷却水がホットプレート近くを流れるときにエネルギーが急速に失われるからである。また基板の平坦性が少しでも変化することで、空気ギャップ間隔は不均一となる。その結果ウエハの加熱も不均一になる恐れがある。
【0005】
さらに従来のベーキングステーションはまた、フォトレジスト層を加熱すなわち硬化する際、プロセス中に発生した溶媒が環境中へ出て行くのを防止する蓋を有して良い。その蓋は、発生した溶媒が凝集し、堆積し、その後ウエハ上面に再び戻る恐れがある。それにより蓋はウエハの汚染源となる恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って必要なことは、回転基板上に保持された層を加熱するための改良された装置及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
流体ベーキングプロセスによって基板及び基板上に保持された犠牲層を加熱する装置及び方法が様々な実施例中で開示されている。しかし当業者は、様々な実施例は、1以上の具体的詳細が与えられなくても、又は他の置換及び/若しくは追加的方法、材料、若しくは構成要素によっても実施可能であることを理解する。他の例では、本発明の様々な実施例に係る態様が不明確にならないように、周知構造、材料、又は操作の詳細は記載されていない。同様に説明目的のため、具体的数値、材料、及び構成は、本発明を完全に理解してもらうために与えられている。それでも本発明は具体的詳細が与えられなくても実施可能である。さらに図示されている様々な実施例は例示であり、必ずしも正しい縮尺で表す必要はない。
【0008】
本明細書を通して“一実施例”又は“ある実施例”とは、その実施例に関連して記載された特定部位、構造、材料、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれていることを意味する。しかしこれらはどの実施例にも含まれていることを意味するわけではない。よって本明細書を通して様々な場面で現れる“一実施例”又は“ある実施例”という語は、必ずしも本発明の同一実施例を指すわけではない。さらに特定部位、構造、材料、又は特徴は、1以上の実施例中において適切な方法で組み合わせられて良い。様々な追加層及び/又は構造が含まれて良い。かつ/あるいは、他の実施例では、記載された部位は省略されても良い。
【0009】
様々な操作が、多数の各独立した操作として、本発明を理解するのに最も役立つような順で記載されている。しかし記載の順序は、これらの操作が必ずしも順序に依存するものであることを示唆すると解してはならない。具体的に記載すると、これらの操作は、説明順序に従って実行される必要はない。記載された操作は、記載された実施例とは異なる順序で実行されて良い。様々な追加操作が実行されて良い。かつ/あるいは、他の実施例では、記載された操作は省略されても良い。
【0010】
基板上に保持された層を加熱することで、たとえばその層を含むレジストの硬化又はその層を含む化学増幅レジストを活性化するための経済的な方法及び装置が一般に必要とされている。加熱流体ベーキング用の方法及び装置を供することによって、犠牲レジスト層を保持する基板が硬化されて良い。あるいは犠牲化学増幅レジストを保持する基板が活性化されて良い。これらの基板は、後続の冷却及び現像プロセスと同一のチャンバで行われて良い。このことにより、プロセス時間、プロセス時間に起因するプロセスのばらつき、及び関連コストがかなり抑制される。当該方法の一実施例は、チャック上に基板の第1面を設ける工程を有する。続いて加熱流体ノズルは、基板の第2面に保持される犠牲層付近に設けられる。チャック及び基板が回転するとき、加熱流体は回転基板全体にわたって広がり、犠牲層を加熱及び硬化させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2を参照すると、加熱流体ベーキング装置100は、加熱流体を用いることによって、たとえば処理可能材料からなる犠牲層120のような層を加熱するのに用いられて良い。ウエハ112は、基板115、該基板115の一面119に保持された犠牲層120、及び前記犠牲層120上に設けられた任意の上部コーティング層123を有する。犠牲層120は、当業者に理解されている従来方法によってパターニングされても良いし、又はパターニングされなくても良い。基板115もまた、面119とは反対側にパターニングされていない面117を有する。基板115研磨されたシリコン又はシリコンゲルマニウム基板を有して良い。
【0012】
犠牲層120は、ネガのレジスト、ポジのレジスト、又はデュアルトーン(ポジ-ネガ)のレジストを有して良い。レジストは典型的には、ポリマー、増感剤、溶媒、及び他の添加剤を有して良い。ネガのレジストでは、化学結合は、露光後に架橋する。これにより、非露光領域を除去する現像工程を引き続いて行うことが可能となる。ポジのレジストでは、化学結合は、露光後に壊れる。これにより、露光領域を除去する現像工程を引き続いて行うことが可能となる。デュアルトーンのレジストは、ポジ型レジストとネガ型レジストの特徴を両方有することができる。一の実施例では、レジストはフォトレジスト又は感光性コーティングである。フォトレジスト又は感光性コーティングは基板115に一時的に塗布される。それによりマスクから基板表面への光学像の転写が可能になる。レジストは、後続プロセスの前に、スピン・オンプロセス、ソフトベーキング、露光、露光後ベーキング、現像、及びハードベーキングを用いることによって、基板115の上側表面上に塗布される。加熱流体は、露光後ベーキング中に用いられることで、後続プロセス用に、レジストから溶媒を飛ばし、かつレジストを強化するのに用いられて良い。
【0013】
あるいはその代わりに犠牲層120は、化学増幅型(CA)のポジ又はネガのフォトレジストを有して良い。フォトレジスト内では、露光中照射によって生成される触媒の種類には、熱による活性化で生じる一連の化学変換のカスケードが含まれる。ポジのCAフォトレジストでは、加熱流体による露光後ベーキングプロセスが適用されることで、CAフォトレジスト中での酸が活性化する反応が起こる。それにより照射領域でのCAフォトレジストの溶解度特性が変化して良い。
【0014】
一の実施例では、任意の上部コーティング層123は犠牲層120と直接接触している。上部コーティング層123は上部反射防止コーティング(TARC)材料及びバリヤ層であって良い。上部反射防止コーティング(TARC)材料及びバリヤ層は、浸積リソグラフィ用途において一般的に用いられている。当業者に理解されている方法によって犠牲層120に塗布される上部コーティング層123は、犠牲層120が加熱流体を汚染するのを防ぐことができる。上部コーティング層123はまた、加熱液体が、犠牲層120と接触すること、及び犠牲層120の特性を変化させてしまうことを防ぐことができる。
【0015】
続けて図1及び図2を参照すると、加熱流体ベーキング装置100は、駆動軸125及び支持構造、又はチャック105を有する。第1端部110は基板115を保持するように備えられている。第2端部124は駆動軸125と結合するように備えられている。加熱流体ベーキング装置100は、プロセスチャンバ(図示されていない)内部に設けられている。加熱流体ベーキング装置100は、大気開放されていても良いし、又は環境が制御されたプロセスチャンバ内に密閉されても良い。駆動軸125は、ステッパモータ、電気的に駆動するアーマチャ、又は空気圧で駆動するシャフトの一部であって良い。とはいえ実施例はそれに限定されるわけではない。基板115は、手動又は駆動軸125を用いてチャックを昇降させることにより、及び/若しくは多軸ロボット(図示されていない)を用いてチャック105への基板110の搬入とチャック105からの基板110の搬出を交互に行うことにより、完全に自動でチャック105上に設けられて良い。
【0016】
チャック105は、デルリン(登録商標)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(登録商標)から構築されて良い。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。さらにチャックは、第1端部110上の絶縁層でコーティング又はキャッピングされることで、ウエハからチャック105への熱の移動を減少させて良い。チャック105は、中心軸について回転するように設計される。基板115は、当業者に既知である真空手段、機械的手段、又は静電的手段を用いることにより、チャック105の中心部に取り付けられて良い。チャック105は、非パターニング面117上で基板115と接触する。非パターニング面117上にパターニング層が存在しないことで、真空封じの形成が可能となる。
【0017】
加熱流体ベーキング装置100は、犠牲層120の上側表面に近接して設けられた加熱流体ノズル145の形態をとる供給器、及び当業者に既知である定温槽のような加熱流体源130をさらに有する。加熱流体源130は、加熱流体輸送ライン135を介して加熱流体ノズル145と接続する。加熱流体ノズル145は、犠牲槽120の上に位置する第1位置と、たとえばカップ150外部のような第2位置との間で可動であって良い。第1位置では加熱流体が供給される。第2位置では、ウエハ112がチャック105上で脱着可能である。
【0018】
加熱流体源130は、たとえば水、純水、現像用流体、及び上部反射防止コーティング溶媒のような流体の1種類以上を供給して良い。一の実施例では、現像用流体は、たとえばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)のような水溶性の塩基である。上部反射防止コーティング溶媒は、TMAH又は他の水溶性の塩基性現像溶液であって良い。
【0019】
加熱流体ノズル145は、加熱流体の設定温度を維持するように設計される。加熱流体ノズル145の端部から犠牲層120の表面までの距離は、加熱流体から大気までの熱損失が減少するように短くされる。その結果、犠牲層120は、ウエハ112上に加熱流体流を供給することにより、加熱流体の設定温度にほぼ等しい温度にまで加熱されることが可能となる。加熱流体の設定温度は、2つの壁を有する熱交換器又は電気的に起動する熱ジャケットを用いることによって、加熱流体ノズル145内で制御されて良い。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。2つの壁を有する熱交換器は再循環流体流と接続することで、加熱流体ノズル145内の温度を制御する。あるいはその代わりに、加熱流体の設定温度は、加熱流体をウエハ112へ与える前に、複数の温度制御された流体源(図示されていない)からの複数の流体(図示されていない)を混合することによって設定されて良い。
【0020】
捕獲キャップ150は、加熱流体源130からの流体のほとんど全てを捕獲する。なぜなら、流体は犠牲層120上に供給され、かつ半径方向を外側に向かうからである。カップ150によって捕獲された材料は、廃液ポート153を介して液体を排出し、かつ排気ポート152を介して蒸気を排気することによって除去されて良い。
【0021】
加熱流体ベーキング装置100は、たとえば純水源のような洗浄用流体源155をさらに有する。洗浄用流体源155は、洗浄用流体を流し、かつ犠牲層120から加熱流体を除去するのに用いられる。一の実施例では、洗浄用流体源155からの洗浄用流体は、洗浄用流体供給ライン170を介して供給され、かつ洗浄用流体ノズル175を介して犠牲層120上に供給される。洗浄用流体は、洗浄用流体ノズル175から、ウエハ112の中心位置又はウエハ112の半径に沿ったある位置のいずれかに供給されることで犠牲層を除去する。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。
【0022】
加熱流体ベーキング装置100は、冷却用流体源160及び冷却用流体供給ノズル185をさらに有して良い。冷却用流体供給ノズル185は、冷却用流体供給ライン180によって冷却用流体源160と結合する。冷却用流体源160及び冷却用流体供給ノズル185は、たとえば純水のような冷却用流体を犠牲層120へ供給することで犠牲層120を冷却するように協働する。冷却用流体は、ウエハ112の中心位置又はウエハ112の半径に沿ったある位置のいずれかに供給されることで、冷却すなわち犠牲層120内部での後続の化学反応を抑制する。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。
【0023】
犠牲層120を形成する材料組成に少なくとも部分的に依存する加熱流体の温度は、室温を超え、典型的には約40℃から約125℃の範囲である。冷却用流体は、加熱流体の初期温度よりも低い温度で供給され、典型的には室温以下(たとえば約25℃)である。一の実施例では、冷却用流体の温度は約15℃から約25の範囲であって良い。
【0024】
加熱流体ベーキング装置100は現像用流体源165をさらに有して良い。現像用流体源165は、たとえばTMAHのような現像用流体を、ほぼ一定の温度で犠牲層120上に供給する。現像用流体は、現像用流体源165から現像用流体ライン190を介して現像用流体ノズル195を流れる。現像用流体ノズル195から、現像用流体は犠牲層120上に供給される。現像用流体は現像用流体ノズル195から、ウエハ112の中心位置又はウエハ112の半径に沿ったある位置のいずれかに供給されることで、犠牲層の一部を現像する。一の実施例では、冷却用流体は、現像用流体が付与される前に犠牲層120に付与されることで、犠牲層を冷却する。
【0025】
一の実施例では、加熱流体ベーキングプロセスは、加熱された現像用流体を用いてCAレジストを加熱し、CAレジスト中の酸を活性化させることによって実行されて良い。この実施例では、現像用流体は、CAレジスト内の酸を活性化させ、かつCAレジストの一部を現像するのに用いられる。この実施例は、CAレジスト内での酸を徐々に活性化させ、続いてCAレジストの増加部分を現像する。それにより、部位のプロファイルの修正又は犠牲層120の端部粗さをある程度減少させることが可能となる。
【0026】
図3は、図1及び図2に図示された加熱流体ベーキング装置100を用いて化学増幅される犠牲層120を硬化又は活性化させるのに用いられる加熱流体ベーキングプロセスに係る一の実施例を示すフローチャートである。ブロック300では、ベーキングプロセスは、チャック105上に基板115の非パターニング面117を設け、かつチャック105の中心に基板115をほぼ中心に位置設定することにより初期設定される。ブロック310では、加熱流体ノズル145は、基板115上の犠牲層120の上に設けられる。
【0027】
ブロック320では、ウエハ112及びチャック105は、中心軸について回転する。ブロック330では、加熱流体は、ウエハ112の中心位置、ウエハの半径に沿った位置、又はウエハ表面にわたって動的に供給されることで犠牲層を加熱及び硬化させる。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。ウエハ112は回転して、犠牲層120表面全体にわたって加熱流体を均一に分散させる。それにより犠牲層120は均等に加熱される。一の実施例では、ウエハ112の回転速度(つまり角速度)は、約10から約300回転/分(rpm)である。他の実施例では、ウエハ112の回転速度は、約300rpmから約500rpmである。ウエハ112の回転速度は、犠牲層120の均一な加熱が実現するように設定される。たとえば加熱流体ノズル145によって加熱流体を付与することによって、犠牲層120の温度は、ウエハ112の表面全体にわたって±0.5℃の範囲内で加熱される。より厳しい温度均一性の許容度が求められる、より重要なプロセスは、犠牲層120全体にわたって±0.1℃以内での均一な加熱を供する。加熱流体はウエハ112全体にわたって分散することで、約30秒から約90秒の期間、犠牲層120を十分に加熱及び硬化、又は活性化する。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。
【0028】
ブロック340では、冷却用流体が基板115全体にわたって分散することで、犠牲層120を冷却する。冷却用流体は、純水、現像用溶液、又は上部コーティング溶媒のうちの少なくとも1種類であって良い。一の実施例では、冷却用流体は、約15℃から約25℃の温度で分散する。ウエハの回転速度は、ウエハ112の上側表面全体にわたって冷却用流体を均等に供給するのに十分である。一の実施例では、冷却用流体を分散させる際のウエハ112の回転速度は、約10rpmから約300rpmである。他の実施例では、ウエハ112の回転速度は、約200rpmから約400rpmである。
【実施例1】
【0029】
図4は、図1及び図2に図示された加熱流体ベーキング装置100を用いて化学増幅型レジストを含む犠牲層120を活性化及び現像させるのに用いられる加熱流体ベーキングプロセスに係る一の実施例を示すフローチャートである。プロセスは、チャック105上に基板115の非パターニング面117を設け、かつチャック105の中心に基板115をほぼ中心に位置設定することにより初期設定される(ブロック400)。
【0030】
ブロック410では、基板112及びチャック105が中心軸について第1回転速度(つまり第1角速度)で回転する。ブロック420では、加熱流体は、ウエハ112の中心位置、ウエハ112の半径に沿った位置、又は加熱流体ノズル145を往復して回転すなわち循環させることによりウエハ112の表面にわたって動的に供給されることで犠牲層120を加熱及び活性化させる。ウエハ112は回転して、犠牲層120表面全体にわたって加熱流体を均一に分散させる。それにより犠牲層120は均等に加熱される。一の実施例では、ウエハ112の回転速度は、約250rpmから約350rpmである。加熱流体はウエハ112全体にわたって分散されることで、約30秒から約90秒間、犠牲層120を十分に活性化する。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。
【0031】
ブロック430及び440では、基板は第2回転速度で回転し、かつ現像用流体が基板全体にわたって供給されることで、化学増幅レジストの一部が除去される。一の実施例では、第2回転速度はゼロである。それにより現像用流体の蓄積及び犠牲層120の部分的除去が可能となる。他の実施例では、第2回転速度は、約10rpmから約100rpmである。それにより、現像用流体は、犠牲層120の一部を除去しながらウエハ112を流れることが可能となる。あるいはその代わりにウエハ112は、現像用流体を蓄積させて犠牲層120の一部を除去するために最初は静的であり、その後ウエハ112全体にわたって現像用流体を物理的に分散させるために第2回転速度で回転する。現像用流体は、約20秒から約80秒間、犠牲層120に付与されて良い。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。
【0032】
あるいはその代わりに、加熱現像用流体を用いてCAレジストを加熱することでCAレジスト中の酸を活性化させる加熱流体ベーキングプロセスが適用されても良い。この実施例では、現像用流体は、CAレジスト中の酸を活性化させ、かつCAレジストの一部を現像及び除去するのに用いられる。この実施例は、CAレジスト内での酸を徐々に活性化させ、続いてCAレジストの増加部分を現像する。それにより、部位のプロファイルの修正又は犠牲層120の端部粗さをある程度減少させることが可能となる。
【0033】
ブロック450では、洗浄用流体が第3回転速度で回転するウエハ全体にわたって供給されることで、犠牲層120から現像用流体を除去する。一の実施例では、洗浄用流体は純水である。チャック105及びウエハ112の第3回転速度は、約500rpmから約2000rpmであって良い。とはいえ本実施例はそのように限定されるわけではない。洗浄用流体は、約10秒から約40秒間、犠牲層120に付与されて良い。ブロック460では、チャック105及びウエハ112が第4回転速度で回転することで、洗浄用流体を実質的に除去する。一の実施例では、第4回転速度は、犠牲層120の表面を十分に乾燥させるため、約3000rpmから約5000rpmである。
【0034】
加熱流体ベーキングプロセスによって基板及び犠牲層を加熱する方法に係る複数の実施例を記載した。本発明の実施例についての上記記載は、例示及び説明を目的としている。上記記載は、本発明を全て網羅している、すなわち本発明を開示された厳密な実施形態に限定するものと解してはならない。本記載及び「特許請求の範囲」の請求項は、たとえば左、右、上側、下側、上、下、上部、下部、第1、第2等の語を含んでいる。しかしこれらの語は説明目的であり、限定的に解してはならない。たとえば相対的な垂直位置を表す語は、基板のパターニング面(若しくは活性表面)又は集積回路がその基板の“上側”表面であるような状況を意味する。基板は実際、標準的な地球座標系において、基板の“上側”面が“下側”面よりも低くて良く、かつそれでも“上部”の語の意味の範囲内であるようなものであれば、如何なる配置であっても良い。
【0035】
本発明が様々な実施例の記載によって例示され、かつこれらの実施例はかなり詳細に説明されているとはいえ、「特許請求の範囲」の請求項の技術的範囲を、実施例を説明する程度の詳細にまで限定することは出願人の意図ではない。他の利点及び修正型は、当業者にはすぐに思いつくだろう。よってより広い態様で説明される本発明は、特定の具体例、典型的装置及び方法、並びに図示及び記載された例に限定されるものではない。従って出願人の概略的な発明の思想の技術的思想又は技術的範囲内から逸脱することなく、係る詳細から他の実施形態を導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】カップ、支持構造、及び加熱流体ノズルを有する加熱流体ベーキングシステムの断面図である。犠牲層を保持する基板は基板支持体上に設けられている。
【図2】図1の加熱流体ベーキングシステムの上面図である。
【図3】回転基板上に保持された犠牲層を加熱及び冷却するのに用いられる加熱流体ベーキングプロセスの実施例を表すフローチャートである。
【図4】回転基板上に保持された化学増幅レジストを活性化及び現像するのに用いられる加熱流体ベーキングプロセスの実施例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
100 加熱流体ベーキング装置
105 チャック
110 第1端部
112 ウエハ
115 基板
117 非パターニング面
119 基板面
120 犠牲層
123 上部コーティング層
124 第2端部
125 駆動軸
130 加熱流体源
135 加熱流体輸送ライン
140 再循環流体流
145 加熱流体ノズル
150 カップ
152 排気口
153 廃液口
155 洗浄用流体源
160 冷却用流体源
165 現像用流体源
170 洗浄用流体ライン
175 洗浄用流体ノズル
180 冷却用流体ライン
185 冷却用流体ノズル
190 現像用流体ライン
195 現像用流体ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に保持された犠牲層を加熱する方法であって:
前記基板を回転させる工程;及び
前記犠牲層を、該犠牲層を硬化させる効果のある温度に加熱された流体と接触させる工程;
を有する方法。
【請求項2】
前記基板を、前記犠牲層を冷却する冷却用流体と接触させる工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却用流体が、純水、現像用溶液、又は上部反射防止コーティング溶媒のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板が回転し、かつ前記犠牲層が前記の加熱流体と接触する前に、上部コーティング層を前記犠牲層に直接接触するように塗布する工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記犠牲層は、ポジのレジスト、ネガのレジスト、デュアルトーンのレジスト、又は上部反射防止コーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポジのレジストが化学増幅レジストである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱流体が、純水、現像用溶液、又は上部反射防止コーティング溶媒のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記犠牲層を前記加熱流体に接触させる工程がさらに:
前記犠牲層に近接するように加熱流体ノズルを設ける工程;及び
加熱流体源からの前記加熱流体を前記加熱流体ノズルへ輸送することで前記犠牲層上に供給する工程;
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板上に保持された化学増幅レジストを処理する方法であって:
前記基板を第1回転速度で回転させる工程;
前記化学増幅レジストを、該化学増幅レジストを活性化させる効果のある温度に加熱された流体と接触させる工程;及び
前記化学増幅レジストが前記の加熱流体と接触することによって活性化した後に、前記化学増幅レジストの一部を除去する効果のある温度に加熱された現像用流体と接触させる工程;
を有する方法。
【請求項10】
前記化学増幅レジストを前記現像用流体と接触させながら、前記基板を第2回転速度で回転させる工程をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1回転速度は前記第2回転速度と実質的に等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱流体及び現像用流体が同一の流体である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記化学増幅レジストを前記現像用流体と接触させる前に、前記化学増幅レジストを冷却用流体と接触させる工程をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記化学増幅レジストを洗浄用流体と接触させることで前記現像用流体を実質的に除去する工程をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記チャック及び基板を第3回転速度で回転させることで、遠心力によって前記洗浄用流体を実質的に除去する工程をさらに有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板上の犠牲層を加熱流体と接触させるための装置であって:
前記基板を受けるように備えられた支持構造;
前記支持構造と結合して前記支持構造を回転させるように備えられた駆動軸;
前記犠牲層を含む材料を硬化させる効果のある温度に前記加熱流体を加熱するように備えられた加熱流体源;
前記加熱流体源から前記加熱流体を受け取り、かつ前記加熱流体を前記犠牲層上に供給するように、前記加熱流体源とやり取り可能な状態で結合した加熱流体供給器;及び
回転中に前記基板から取り出された前記加熱流体を回収及び排出するように、前記支持構造の周りに備えられたカップ;
を有する装置。
【請求項17】
前記犠牲層の少なくとも一部を除去する効果のある現像用流体を供給するように備えられた現像用流体源;及び
現像用流体源から前記現像用流体を受け取り、かつ前記現像用流体を前記犠牲層上に供給するように、前記現像用流体源とやり取り可能な状態で結合した現像用流体供給器;
をさらに有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記犠牲層を冷却する効果のある冷却用流体を供給するように備えられた冷却用流体源;及び
前記冷却用流体源から前記冷却流体を受け取り、かつ前記加熱流体を前記犠牲層上に供給するように、前記冷却用流体源とやり取り可能な状態で結合した冷却用流体供給器;
をさらに有する、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記犠牲層を洗浄する効果のある洗浄用流体を供給するように備えられた洗浄用流体源;及び
前記洗浄用流体源から前記洗浄流体を受け取り、かつ前記洗浄用流体を前記犠牲層上に供給するように、前記洗浄用流体源とやり取り可能な状態で結合した洗浄用流体供給器;
をさらに有する、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記加熱流体供給器が前記支持構造と近接するように設けられる、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
基板上に保持された化学増幅レジスト層を処理する方法であって:
前記基板を回転させる工程;及び
前記化学増幅レジストを、該化学増幅レジストを活性化させ、かつ活性化後に前記化学増幅レジスト層を部分的に除去する効果のある温度の加熱現像用流体と接触させる工程;
を有する方法。
【請求項22】
前記加熱現像用流体が前記化学増幅レジスト層上に供給された後、前記化学増幅レジスト層上に冷却用流体を供給する工程をさらに有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記現像用流体を除去する効果を有する洗浄用流体を前記化学増幅レジスト層上に供給する工程をさらに有する、請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−225470(P2008−225470A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54928(P2008−54928)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】