説明

回転工具

【課題】
最高負荷でさえ簡単且つ機能的な方法における耐久性の増加により特徴付けられる回転工具を提供すること。
【解決手段】
この発明の主題は表面処理する回転工具(1)である。この回転工具は、ブラシストリップ(5)とそのブラシストリップ(5)から外方に突き出す毛(6)を備える環状ブラシ(4)を回転駆動され得るブラシホルダー(3)を備えている。この発明によると、冷媒はブラシホルダー(3)及び/又は環状ブラシ(4)を冷却するためにブラシホルダー及び/又は環状ブラシへ供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシストリップとそのブラシストリップから外方に突き出す毛とを備える環状ブラシを回転するために駆動され得るブラシホルダーで表面処理する回転工具に関する。そのような回転工具は実施態様では手持ち工具として使用され、特に塗料除去、腐食下体保護除去、金属表面の粗面化のために使用される。
【0002】
前記構成の回転工具は例えばドイツ特許第4326793号明細書(特許文献1)に開示されている。その主題は強力な表面処理を保証し、さらにサービス寿命の増加を達成することである。
【0003】
それにもかかわらず、圧縮空気によって駆動された研磨工具は欧州特許第69181号明細書(特許文献2)から知られており、それにもかかわらず、ブラシストリップを備える環状ブラシのブラシホルダーを備えていない。その代わりに、研磨パットは回転駆動される。追加的に、冷却空気導管はモータ回転シャフト内の空気導管を介して研磨作業面の中央部へ空気を噴射するために使用される。
【0004】
環状ブラシをもつ前記回転工具を配置することは、最高負荷で温度上昇を生じ、毛とブラシストリップばかりではなく、一般に鋼、アルミニウム或いは他の金属から成る工具ホルダー及び/又はブラシホルダーも温度上昇する。結果として、特に回転ブラシストリップの耐久性は迅速に減少するので、毛の早過ぎる磨滅を導くばかりではなく、ブラシストリップの早過ぎる損傷や最終的引裂きも導き得る。ここで、この発明は救済法を備えることを望む。
【特許文献1】ドイツ特許第4326793号明細書
【特許文献2】欧州特許第69181号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の技術的問題点は、最高負荷でさえ簡単且つ機能的形式において耐久性の増加により特徴付けられる前記実施態様の回転工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、表面処理用の一般的回転工具により、この発明は、冷媒がブラシホルダー及び/又は環状ブラシを冷却するためにブラシホルダー及び/又は環状ブラシに供給されることを教示する。これは、ブラシストリップが特にポリアミド繊維から造られ、毛は好ましくはワイア毛であるという事実によって特に有益であることを証明する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の実施態様によると、冷媒は回転工具から分離している冷却装置によって供給され得る。その他の実施態様によると、冷媒は回転工具に連結された、或いは回転工具内に一体化された冷却装置によって供給され得る。この冷却装置は冷媒カートリッジであり得る。ガス状媒体、例えば空気、或いは液状媒体、例えば水が冷媒として供給され得る。ブラシストリップ、その毛と任意に工具ホルダー及び/又はブラシホルダーはいつも、最高負荷においてさえ、前記工具要素がもはや実質的に損傷を生じ得る加熱を受けない範囲にまで冷却される。これは特に加熱ブラシストリップ及び/又はそのキャリア繊維に供給され、そのキャリア繊維は例えばポリアミド繊維から造られ、ループ組織により回転の結果として機械的高応力下にある。回転ブラシストリップを冷却すると、その変形を減少させ、ストリップが引き裂かれることを防止する。結果として、この発明による回転工具と特にその工具要素の耐久性は非常に著しく増加され、即ち簡単且つより機能的な方法で増加される。
【0008】
回転工具は例えば電気的に種々のモード作用で駆動され得る。しかしながら、空圧駆動手段をもつ実施例では好ましい。この場合に、二つの実施態様がブラシホルダー及び/又は環状ブラシの必要な冷却のために冷媒を備えることは有益であることが証明されていた。一方では、空圧駆動手段からの排気がブラシホルダー及び/又は環状ブラシ、特にブラシストリップと任意に毛に冷媒として供給され得る。他方では、新鮮な空気ラインを空圧駆動手段用の圧縮空気供給部からブラシホルダー及び/又は環状ブラシへのそのラインの出口端へ、特にブラシストリップに転換する可能性がある。詳細には、新鮮空気ライン及び/又は出口端は新鮮空気出口ノズルによってこの端に取り付けられ、新鮮空気ラインはできる限りブラシホルダーの領域から遠く案内され、新鮮空気出口ノズルはブラシホルダー及び/又は環状ブラシへ、特にブラシストリップに作用される。
【0009】
第一実施態様の範囲内では、空圧駆動手段の排気は、冷却のために排気ラインを介してブラシホルダー及び/又はブラシホルダーに配列された環状ブラシへ、この場合に特にそのブラシストリップに供給される。この発明のこれら手段は、空圧駆動手段の排気が全体的に工具を、結果として特にブラシストリップを冷却するために使用される。この関連において、この発明は、一般に後方へ、さらに正確に外方に逃がす排気が収集され、回転工具の外側で回転駆動される工具の前へ、或いは正確にブラシストリップやワイア毛をもつ環状ブラシへ案内され得るという認識に基づいている。当然に、排気ラインを回転工具の内部へ動かすことは想像できる。
【0010】
しかしながら、第二実施態様では、圧縮空気供給部から転換された新鮮空気は環状ブラシを、この場合に特にブラシストリップを冷却するために使用される。この関連において両場合には独立的意味による提案によると、工具ホルダー及び/又はブラシホルダーは新鮮空気側或いは排気側、即ち新鮮空気或いは排気が冷却するために供給される側でタービンブレードを備えている。等しく有効に、ブラシホルダーの回転軸線にタービン状ブレードホイールを配置し且つ新鮮空気或いは排気或いは同様に想像し得る別に供給された冷媒を通過させることが可能である。同じことがタービンブレードに適用される。
【0011】
結果として、空圧駆動手段の圧縮空気供給部から転換され且つタービンブレード及び/又はブレードホイールへ、そしてブラシホルダーや環状ブラシに転換された新鮮空気のエネルギーは完全に利用される。トルク援助力は、そうであったように、タービンブレード及び/又はブレードホイールを介して回転駆動されるブラシホルダーに与えられている。同じことは、空圧駆動手段から流出され且つタービンブレード及び/又はブレードホイールへ、加えてブラシホルダーとブラシストリップに転換された排気に適用し、そして同様に排気を使用することによって冷却のために完全に利用される。
【0012】
当然に、開示された冷却使用排気は冷却使用新鮮空気と混合され得る。つまり、それぞれの成分を変えることは想像できる。新鮮空気が一般に排気より低い温度を有し、そこで高冷却要件が存在する。この冷却は実質的に新鮮空気を使用して実施される。
【0013】
回転駆動される工具と、特に環状ブラシが少なくとも部分的に保護カバーによって包囲される限りは、この保護カバーは新鮮空気或いは排気の供給と取出し用の貫通穴から成り、つまりブラシストリップとその毛の前面を冷却するために使用され得る。さらに、例えば冷媒カートリッジ、例えば空気カートリッジのような冷却装置を据え付ける可能性がある。好ましくは、排気収集装置、例えば排気カバーは排気側における空圧駆動手段と連動され、そして排気ラインはこの排気収集装置に取り付けられている。さらに、この発明は、排気ラインが出口端における排気出口ノズルを有し、そのノズルはタービンブレード及び/又はブレードホイールと環状ブラシをもつブラシホルダーへ明確に配向されている。好ましくは新鮮空気或いは排気はブラシホルダーや環状ブラシの幅に沿って所定傾斜角度でタービンブレードによって吹き付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明は単に一実施例を示す図面を参照してこれから後にさらに詳細に記載される。図1はこの発明による回転工具の概略的横方向図であり、図2は保護カバーを取り外して工具ハウジングを部分的に取り外した図1による主題の平面図であり、図3は新鮮空気ラインをもつ図1による主題の修正実施態様であり、図4は保護カバーを取り外して工具ハウジングを部分的に取り外した図1による主題の平面図である。
【0015】
表面処理用の回転工具1は図1と2に示され、その基本構造は回転駆動され得る空圧駆動手段2と工具ホルダー3から成り、実施態様によると、ブラシホルダー3はブラシストリップ5とそのブラシストリップ5から外方に突き出す毛6とをもつ環状ブラシ4用である。毛6は特に且つ限定されない形式でワイア毛である。さらに、圧縮空気供給部7は空圧駆動手段2のために設けられている。
【0016】
第一実施態様によると、図1と2が示すように、空圧駆動手段2の排気は排気ライン8を介してブラシホルダー3及び/又は毛6をもつ環状ブラシ4へそれらを冷却する冷媒として供給される。同時に、排気は回転駆動されるブラシホルダー3用のトルク援助力を与える。このために、排気側における、即ち排気側における排気ライン8の出口端及び/又は排気ノズル12に面するブラシホルダー3はタービンブレード10を備えていて、そのタービンブレードは、即ちブラシホルダー3及び/又は環状ブラシ4に加えて、排気を衝突される。結果として、開示されるように、排気ライン8から流出する排気のエネルギーは回転駆動されるブラシホルダー3のためのトルク援助力として利用される。
【0017】
さらに、排気収集装置11は排気入口の領域において、即ち空圧駆動手段2の排気出口の側において空圧駆動手段2と連動され、その空圧駆動手段は例として且つ制限しない形式で排気収集カバーとして構成されている。排気ライン8はこの排気収集装置11に取り付けられ、そのラインはこの実施態様の範囲内で回転工具1の外部に及び/又は環状ブラシ4とタービンブレード10をもつブラシホルダー3用の対応ハウジングに備えられる。排気ライン8の出口端には、前記排気ノズル12及び/又は排気出口ノズルが設けられ、この出口ノズルはタービンブレード10へ且つそれによって受けられる環状ブラシ4をもつブラシホルダー3へ作用される。
【0018】
図1と2に示された工具組立体は、図1に部分的に示された保護カバー13によって完全に包囲され、その保護カバーはブラシホルダー3用のフランジと同様に、駆動回転され、排気を供給及び除去するための貫通穴14を備えている。図1における断面図を参照すると、圧縮空気供給部7を介して空圧駆動手段2に供給される空気媒体、例えば圧縮空気は空圧駆動手段2を通過後に回転工具1のハウジングにおよそ180度だけ転換され、次に、そうであったように、圧縮空気供給部7へ案内される。排気収集装置11は空圧駆動手段2の排気出口側におけるこの端に設けられ、そして排気を収集してそれを排気ライン8へ搬送する。
【0019】
圧縮空気供給部7から転換された新鮮空気ライン15は図3と4において示された修正実施態様に表現されている。新鮮空気の出口端において、新鮮空気ライン15はブラシホルダー3の領域にできるだけ遠くに案内され且つブラシホルダー3及び/又は環状ブラシ4へ作用される新鮮空気(出口)ノズル16を使用し、冷媒としての新鮮空気によって冷却を与える。いずれかの場合には、ブラシストリップ5は特に冷却される。これは、新鮮空気出口ノズル16と排気出口ノズル12の両方を意味し、好ましくは毛をもつブラシストリップ5へ作用され、排気と新鮮空気の両方がブラシストリップ5に対して斜めに、即ち平面図で長手方向延長部に対しておよそ45度の角度に流れる。およそ45度の前記角度はブラシストリップ5の幅とそれぞれのノズル12、16の間に包囲されている。結果として、タービンブレード10は、トルク援助のために、排気及び/又は新鮮空気側におけるブラシホルダー3に取り付けられている箇所に対応して衝突される。同じことがここに設けられた任意のタービンホイールに適用する。
【0020】
発明の範囲内で、空圧駆動手段2の排気を冷媒として直接に環状ブラシ4及び/又はブラシストリップ5と毛6に供給する可能性がある。この場合には、排気ライン8が表現されていないが、しかし空圧駆動手段2から出た後に、排気は直接にブラシホルダー3及び/又は環状ブラシ4へ作用され、特に図示しない間に位置された転換装置を介してブラシストリップに作用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明による回転工具の概略的横方向図である。
【図2】保護カバーを取り外して工具ハウジングを部分的に取り外した図1による主題の平面図である。
【図3】新鮮空気ラインをもつ図1による主題の修正実施態様である。
【図4】保護カバーを取り外して工具ハウジングを部分的に取り外した図1による主題の平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1.....回転工具
2.....空圧駆動手段
3.....ブラシホルダー
4.....環状ブラシ
5.....ブラシストリップ
6.....ワイア毛
7.....圧縮空気供給部
8.....排気ライン
9.....回転軸
10....タービンブレード
11....排気収集装置
12....排気ノズル
13....保護カバー
14....貫通穴
15....新鮮空気ライン
16....新鮮空気ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシストリップ(5)とそのブラシストリップ(5)から外方に突き出す毛(6)とを備える環状ブラシ(4)を回転するために駆動され得るブラシホルダー(3)で表面処理する回転工具(1)において、冷媒はブラシホルダー(3)及び/又は環状ブラシ(4)を冷却するためにブラシホルダー及び/又は環状ブラシへ供給されていることを特徴とする回転工具。
【請求項2】
冷媒は回転工具(1)から離れた冷却装置によって供給され得ることを特徴とする請求項1に記載の回転工具。
【請求項3】
冷媒は回転工具(1)に連結された或いは回転工具内に統合された冷却装置によって供給され得ることを特徴とする請求項1に記載の回転工具。
【請求項4】
ガス状媒体、例えば空気、或いは液状媒体、例えば水は冷媒として供給され得ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転工具。
【請求項5】
冷却装置は冷媒カートリッジ、例えば空気カートリッジとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転工具。
【請求項6】
空圧駆動手段(2)は設けられ、空圧駆動手段(2)の排気が冷媒としてブラシホルダー(3)及び/又は環状ブラシ(4)に供給され得ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転工具。
【請求項7】
空圧駆動手段(2)は空圧駆動手段(2)の対応圧縮空気供給部(7)を備えており、新鮮空気供給ライン(15)は圧縮空気供給部(7)から転換され、ブラシホルダー(3)及び/又は環状ブラシ(4)に働いてこの新鮮空気を冷媒として供給することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転工具(1)。
【請求項8】
タービン状ブレードホイールはブラシホルダー(3)の回転軸(9)に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転工具。
【請求項9】
ブラシホルダー(3)は新鮮空気或いは排気によって作用される側にタービンブレード(10)を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回転工具(1)。
【請求項10】
排気収集装置(11)は排気側にて空圧駆動手段(2)と連動されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回転工具(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212772(P2006−212772A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−25258(P2006−25258)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505152309)モンティ−ヴェルクツォイゲ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【Fターム(参考)】