説明

回転摘み

【課題】取り付けた後に導光部材が安定し、且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、筒状周壁部20にスリットSが設けられた摘み本体11と、スリットS内に嵌まり、表面が発光する発光部33を有する導光部材30と、本体基部12と共に摘み本体11と導光部材30との相対移動を阻止する押え部材50とを備え、発光部33は、スリットS内に嵌り込み、スリットSの全長に亘って外部に露出する露出面34aを有する表示部34と、これよりも径方向内側に位置し、スリットSの幅方向の両外側に突出した部分を含む被挟持部35とを有し、周壁部20は、スリットSを規定する一対のスリット周縁部21と、各スリット周縁部21の径方向内側に設けられ、スリット周縁部21と共に径方向の両側から被挟持部35を挟み込む保持部22とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の操作パネル等に回動可能に配設される回転摘みに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から回転摘みとして特許文献1に記載のものが知られている。この回転摘みは、摘み本体の一部に発光部を設け、当該発光部の位置を見ることにより回転摘みの回転量を把握し易くしたものである。
【0003】
具体的には、図9に示されるように、回転摘み100は、操作者等が摘んで回転操作する摘み本体101と、発光部を構成する導光部材102とを備える。摘み本体101は、円柱形の外観を有し、先端面101aから周面101bにかけて切欠き部103が設けられている。導光部材102は、内部に光が入射するとこの光が拡散されて表面が発光する素材で形成され、摘み本体101の切欠き部103に嵌入可能な外観を有する。
【0004】
このような回転摘み100は機器の操作パネル等に回動可能に配設され、操作パネル内側の光源等によって導光部材102に光が照射されることにより回転摘み100の発光部(導光部材102)が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−30189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転摘みが配設される機器によっては、中空構造のもの、即ち、その摘み本体が薄肉の円筒状であるものが求められる場合がある。このような回転摘みでは、摘み本体が薄肉の円筒状であることから、この摘み本体に取り付けられる導光部材の厚さ(即ち、径方向の寸法)も小さくする必要がある。かかる薄肉の導光部材を同じく薄肉の摘み本体に対して安定して取り付けることは難しく、その安定性の確保が重要な課題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、取り付けた後に導光部材が安定し、且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、パネルを内側から貫通し且つ回動可能に配設される回転摘みであって、前記回転摘みが配設されたときにパネルの内側に位置する本体基部とこの本体基部から先端側に延びる筒状の周壁部とを有し、この周壁部の周方向における特定の位置に先端から前記本体基部まで延びるスリットが設けられた摘み本体と、光の入射面を有する入射部とこの入射部から前記スリット内に嵌まり込むように当該スリットに沿って延び前記入射面から入射部内に光が入射することによりその表面が発光する発光部とを有する導光部材と、前記発光部が前記スリット内に嵌まり込んだ状態で前記導光部材の入射部の一部を前記本体基部と共に前記入射面を覆うことなく前記スリットの延びる方向に沿って挟み込むことにより、前記摘み本体と前記導光部材との前記スリットの延びる方向に沿った相対移動を阻止する押え部材とを備え、前記発光部は、前記スリット内に嵌まり込み、前記スリットの全長に亘って前記摘み本体の外部に露出する露出面を有する表示部と、この表示部よりも前記周壁部の径方向における内側に位置し、当該表示部よりも前記スリットの幅方向の両外側に突出した部分を含む被挟持部とを有し、前記周壁部は、互いに対向することによりその間に前記スリットを規定する一対のスリット周縁部と、各スリット周縁部の前記径方向内側に設けられ、当該スリット周縁部と共に前記径方向の両側から前記被挟持部を挟み込む保持部とを有することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、摘み本体の周壁部が薄肉であっても導光部材を摘み本体に取り付けた後に導光部材が安定し、且つ十分な表示を行うことができる。
【0010】
即ち、前記周壁部及びこれに取り付けられる導光部材が薄肉であっても、摘み本体の一対のスリット周縁部を利用して前記導光部材に形成された表示部をスリットの幅方向から挟み込むと共に導光部材に形成された被挟持部を径方向から挟み込むことにより、摘み本体に対して導光部材を安定した状態で取り付けることができる。
【0011】
具体的には、一対のスリット周縁部により表示部をスリットの幅方向の両外側から挟み込むと共に各スリット周縁部とその径方向内側に位置する保持部とにより被挟持部を前記径方向の両側から挟み込むことにより、発光部のスリットの幅方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で本体基部と押え部材とにより入射部の一部をスリットの延びる方向に沿って挟み込むことによって本体基部に対する入射部のスリットの延びる方向への移動が規制され、これにより摘み本体と導光部材とのスリットの延びる方向に沿った相対移動が阻止され、摘み本体に対して導光部材が安定する。しかも、被挟持部の挟持はスリット周縁部の裏側にてなされており、回転摘みをパネルに配設したときにパネル前面から突出する摘み本体の周壁部の部位において、発光部の表示部の露出面はスリットの全長に亘って外部に露出することが可能であるため、前記の安定した発光部の保持を行いながらも、入射面から光を入射させてこの露出面全体を発光させることにより十分な表示を行うことができる。
【0012】
本発明に係る回転摘みにおいては、前記周壁部は、前記スリットを跨いで保持部同士をつなぐ補強部を有し、この補強部は、前記回転摘みが前記パネルに配設されたときに、このパネルの前面よりも奥に位置するような領域にのみ形成されるのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、スリットを跨ぐように保持部同士をつなぐ補強部が設けられることにより、周壁部にスリットが設けられている摘み本体を効果的に補強することができる。しかも、前記回転摘みを前記パネルを内側から貫通するように配設したときに、前記補強部がパネルの前面よりも奥に位置する領域にのみ形成されることにより、表示部の露出面を発光させたときに、補強部の存在がパネル表側での前記発光に影響を与え難い。
【0014】
前記発光部よりも前記径方向内側の位置で且つ前記補強部よりも先端側の位置に、当該スリット内に前記表示部が嵌まり込んだ状態の発光部と対向してこの発光部からの光を反射する反射面を有する反射部材をさらに備えるのがより好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、回転摘みがパネルに配設されたときにパネルから突出した部位において、入射面から内部に入射した光が発光部から周壁部の径方向内側に出ようとしたときに対向する反射部材の反射面によって反射されて径方向外側に向うため、露出面がより明るくなり、より十分な表示が可能となる。
【0016】
前記本体基部における周壁部と反対側の端面の前記スリットと対応する位置に、前記表示部が前記スリット内に嵌まり込むと共に前記被挟持部が各スリット周縁部とこのスリット周縁部に対応する保持部との間にそれぞれ嵌まり込むように当該発光部をスリットの延びる方向に沿って挿通可能で、且つ前記摘み本体に前記導光部材が取り付けられた状態の前記発光部の外周面に対応する形状の内周面により規定される貫通孔が設けられ、前記導光部材の入射部には、当該入射部の周囲から前記径方向外側に向かって拡がる鍔部が設けられ、この鍔部の先端側の面は、前記本体基部の端面における前記貫通孔周縁部に沿った形状を有し、前記押さえ部材は、前記鍔部を前記本体基部の端面に向けて押さえつけるように前記本体基部とで挟み込むのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、摘み本体に導光部材が取り付けられたときに、導光部材の鍔部が前記本体基部の端面に押さえつけられることで、鍔部の先端側の面と前記本体基部の端面の貫通孔周縁部とが面接触するため、摘み本体に対して導光部材がより安定する。即ち、発光部が延びる方向と直交若しくは略直交する方向に拡がる鍔部が前記貫通孔の周方向全体に亘って前記本体基部の端面と面接触した状態で押さえつけられることで、発光部先端側のぐらつきがより抑制される。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、取り付けた後に導光部材が安定し、且つ十分な表示を行うことが可能な回転摘みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る回転摘みの分解斜視図である。
【図2】前記回転摘みの平面図である。
【図3】前記回転摘みの摘み本体であって、(a)は図1のA−A端面図であり、(b)は図1のB−B断面図である。
【図4】前記摘み本体の背面図である。
【図5】前記回転摘みにおける周壁部の係止用突起及び本体基部の係止用穴を通る直径に沿って切断した端面図である。
【図6】前記回転摘みのポインター(導光部材)であって、(a)は図1のC−C断面図であり、(b)は側面図である。
【図7】前記回転つまみを操作パネルに配設した状態であって、(a)は正面図であり、(b)は底面図である。
【図8】図7(a)のD−D拡大断面図である。
【図9】従来の回転摘みの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態に係る回転摘みは、図1及び図2に示されるように、操作者が摘まんで回転操作する摘み本体11と、この摘み本体11の表示部を構成するポインター(導光部材)30と、摘み本体11の先端側に取り付けられる反射部材40と、摘み本体11の後端側に取り付けられる押え部材50とを備える。この回転摘み10は、本実施形態では、その先端側が車室内の操作パネルPを内側から貫通するように配設される(図7(a)乃至図8参照)。
【0022】
摘み本体11は、回転摘み10が操作パネルPに配設されたときに、操作パネルPの内側に位置する本体基部12と、この本体基部12から先端側に延びる円筒状の周壁部20とを有する。周壁部20は、径方向の厚さが小さい(即ち、薄肉の)円筒状の部位であり、周方向における特定の位置に先端から本体基部12まで延びるスリットSが設けられる。このスリットSは、周壁部20の先端から本体基部12までスリット幅が一定となるように真っ直ぐに延びている。周壁部20は、図3(a)及び図3(b)にも示されるように、互いに対向することによりその間にスリットSを規定する一対のスリット周縁部21と、各スリット周縁部21の径方向の内側に設けられ、当該スリット周縁部21と共に径方向の両側からポインター30の被挟持部35を挟み込む保持部22とを有する。
【0023】
保持部22は、周壁部20の内周面25の各スリット周縁部21近傍部位から図3(a)における下方に向けてそれぞれ突出し、その先端部が互いに接近する方向に折れ曲がっている。これらスリットSを挟んで対向する保持部22の先端同士は、補強部23によってつながれている。即ち、補強部23は、スリットSを跨いで保持部22同士をつないでいる。この補強部23は、板状の部位であり、回転摘み10が操作パネルPに配設されたときに、この操作パネルPの前面よりも奥に位置するような領域にのみ形成される(図8参照)。本実施形態においては、スリット周縁部21と保持部22と補強部23とが一体成型されているが、これに限定されず、別々に形成された後に接続されてもよい。尚、本実施形態において、先端側とは、回転摘み10を操作パネルPに配設したときに操作パネルPから突出する方向(図7(b)では上側)のことをいい、径方向とは、摘み本体11の周壁部20における径方向のことをいう。
【0024】
周壁部20の外周面24には、滑り止め加工が施されている。本実施形態では、ローレット加工が施されている。周壁部20の内周面25には、周壁部20の中心軸C方向に沿って延びる複数の突条25aが設けられている。これら複数の突条25aは、図4にも示されるように、内周面25に周方向に間隔をおいて設けられる。本実施形態では3本の突条25aが設けられている。また周壁部20の内周面25には、前記径方向の中心に向かって突出する複数の係止用突起25bが設けられている。これら係止用突起25bは、内周面25の周方向において、間隔をおいて隣り合う突条25a同士の間に設けられる。これら突条25aと係止用突起25bとは、摘み本体11に反射部材40を取り付けるときに用いられる部位であり、突条25aは、反射部材40が周壁部20内に挿入されるときに当該反射部材40の挿入方向をガイドする部位であり、係止用突起25bは、摘み本体11に反射部材40を係止するための部位(図5参照)である。
【0025】
本体基部12は、前記のように回転摘み10が操作パネルPに配設されたときに操作パネルPの内側に位置する部位であり、外径が周壁部20よりも大きな部位である。具体的に、本体基部12は、周壁部20の後端(本体基部12側の端部)から前記径方向に拡がる立ち上がり部13と、この立ち上がり部13の立ち上がり方向の先端、即ち、背面から見て(図4参照)環状の立ち上がり部13の外周縁から後方側に延びる係止部14とからなる。
【0026】
立ち上がり部13は、周壁部20と反対側の端(即ち、後端)に中心軸Cと直交する面に沿った後端面部13aを有する。後端面部13aは、背面から見て環状の面部である。この後端面部13aには、周壁部20のスリットSと対応する位置にポインター挿入孔15が開孔している。
【0027】
ポインター挿入孔15は、ポインター30の発光部33をスリットSの延びる方向に沿って挿入可能で、且つ摘み本体11にポインター30が取り付けられた状態の発光部33の外周面に対応する形状の内周面により規定される貫通孔である(図4及び図6(a)参照)。
【0028】
係止部14は、立ち上がり部13の外周縁から後方に周壁部20と平行に延びる短筒状の部位であり、押さえ部材50が摘み本体11に取り付けられるときにこの押え部材50を係止する部位である。係止部14には、周方向に沿って複数の切欠き16が設けられている。これら複数の切欠き16は、周方向において等間隔となるように設けられている。本実施形態では、4つの切欠き16が設けられている。各切欠き16は、係止部14の後端から先端側に向かって切欠かれている。周方向においてスリットSと対応する位置に設けられた切欠き16aは、他の3つの切欠き16bに比べて幅広に切欠かれている。この幅広の切欠き16aの幅は、ポインター30の鍔部36(図5(a)参照)の幅に対応する幅である。また、係止部14には、周方向に複数の係止用穴17が設けられている。各係止用穴17は、前記径方向に係止部14を貫通する。各係止用穴17は、係止部14の周方向に等間隔に配置されている。具体的には、各係止用穴17は、間隔をおいて隣り合う切欠き16同士の間に設けられ、本実施形態では、4つの係止用穴17が設けられている。
【0029】
ポインター30は、スリットSに沿って延びる棒状の部材であり、前記径方向の厚さが周壁部20と同程度の大きさ(薄肉)となっている。具体的に、ポインター30は、図6(a)及び図6(b)にも示されるように、光の入射面31を有するポインター基部(入射部)32と、このポインター基部32からスリットS内に嵌まり込むように当該スリットSに沿って延び入射面31からポインター基部32内に光が入射することによりその表面が発光する発光部33とを備える。発光部33は、スリットS内に嵌まり込み、スリットSの全長に亘って摘み本体11の外部に露出する露出面34aを有する表示部34と、この表示部34よりも前記径方向における内側に位置し、当該表示部34よりもスリットSの幅方向の両外側に突出した部分を含む被挟持部35とを有する。尚、本実施形態では、ポインター30が摘み本体11に取り付けられた状態で、発光部33の先端が周壁部20の先端よりも突出する長さを有する。
【0030】
表示部34は、スリットSに嵌まり込む、即ち、周壁部20の一対のスリット周縁部21間に嵌まり込む部位であり、ポインター基部32に光が入射することにより発光する露出面34aを前記径方向外側に有する。本実施形態では、断面が矩形状であり、前記径方向の外側端部(図6(a)において上端)に露出面34aが形成される。この露出面34aは、表示部34がスリットS内に嵌め込まれた状態で摘み本体11の周壁部20の外周面24と面一につながるような形状である(図7(a)参照)。この露出面34aの先端部は、下方に向かって傾斜している。この傾斜部は、反射部材40先端の面取り部42(図1参照)の形状と対応する角度で傾斜している。このように露出面34aの先端部が傾斜することにより、回転摘み10の正面から露出面34aの位置が視認し易くなる(図7(a)参照)。
【0031】
被挟持部35は、表示部34の前記径方向内側に位置し、表示部34に沿って設けられる部位である。具体的には、被挟持部35は、表示部34の前記径方向内側に位置してスリットSの幅方向(図6(a)においては左右方向)に広がる部位である。この被挟持部35は、発光部33におけるポインター基部32側の部位に設けられており、本実施形態では、発光部33の長さ方向の略中央からポインター基部まで形成されている。詳しくは、被挟持部35における表示部34よりもスリットSの幅方向に突出している部位は、前記略中央からポインター基部32まで厚さが一定の連続した板状に形成されている。即ち、被挟持部35のスリットSの幅方向に突出した部位は、ポインター30が摘み本体11に取り付けられた状態で、周壁部20の各スリット周縁部21とこのスリット周縁部21に対応する保持部22との間に形成される空間(図3(a)参照)内に位置し、この空間と対応する形状を有する。尚、被挟持部35の前記スリットSの幅方向に突出している部位は、スリットSの延びる方向において連続である必要はなく、断続的に並んでいてもよい。
【0032】
ポインター基部32は、発光部33の後端側に設けられ、入射面31と鍔部36とを有する。このポインター基部32は、発光部33と一体に形成されている。入射面31は、ポインター基部32の後端に設けられ、スリットSの延びる方向と直交する面である。鍔部36は、ポインター基部32の周囲から前記径方向外側に向かって拡がる部位である。この鍔部36の先端側の面36aは、本体基部12の後端面部13aにおけるポインター挿入孔15の周縁部に沿った形状を有している。具体的に、鍔部36は、正面から見て輪郭が矩形状となる板状体であり、先端側の面36aは、スリットSの延びる方向と直交する平面である。また、反対側の面36bもスリットSの延びる方向と直交する平面である。
【0033】
以上のように構成されるポインター30は、先端側から本体基部12のポインター挿入孔15に挿入することにより、摘み本体11に取り付けられる。詳しくは、鍔部36の先端側の面36aが本体基部12の後端面部13aに接するまで挿入する。そうすると、発光部33のポインター基部32側の端部がポインター挿入孔15内に位置し、被挟持部35のスリット幅方向の両外側にそれぞれ突出した部位が各スリット周縁部21とこのスリット周縁部21に対応する保持部22との間に挟まれた状態となると共に、表示部34が一対のスリット周縁部21間、即ち、スリットS内に嵌まり込んだ状態となる(図2、図7(a)及び図7(b)参照)。このとき、ポインター基部32の鍔部36の先端側の面36aが全面、本体基部12の後端面部13aにおけるポインター挿入孔15周縁部に面接触した状態となっている。また、鍔部36の前記径方向外側の端部が本体基部12の係止部14の幅広のスリット16a内に嵌まり込んだ状態で鍔部36の先端側の面36aと本体基部12の後端面部13aとが面接触している(図2及び図7参照)。
【0034】
反射部材40は、円筒状の部材であり、先端部を残して摘み本体の周壁部20内に嵌まり込む(図5参照)。この反射部材40は、反射面41を有する。具体的には、反射部材40は、先端の面取り部42と、その後方側に延びて周壁部20内に嵌入される円筒状の第1嵌入部43とからなり、当該第1嵌入部43に反射面41が設けられている。面取り部42は、周壁部20の先端側に位置し、周壁部20の先端から前方へ進むに従って前記径方向内側に向う傾斜面42aを有する。周壁部20のスリットSと対応する位置には切欠き44が設けられている。この切欠き44は、ポインター30の先端部、即ち、発光部33の先端部が嵌まり込むような間隔を有している。この切欠き44に周壁部20から突出した発光部33の先端が嵌まり込む。このとき、発光部33の露出面34aの先端部の傾斜面と、面取り部42の傾斜面42aとが同じ傾斜角を有し、滑らかにつながる(図7(b)参照)。この面取り部42が囲う開口44には、回転摘み10を操作パネルPに配設するときに、この開口44を塞ぐように蓋部材F(図7(a)乃至図8参照)が嵌め込まれる。
【0035】
第1嵌入部43は、周壁部20の内周面25の内径と対応する外径の外周面45を有し(図5参照)、中心軸C方向の長さが、周壁部20の補強部23の先端部と当接し若しくは僅かに隙間が形成されるような大きさを有する。この外周面45におけるスリットSと対応する位置に、反射面41が設けられる。反射面41は、発光部33よりも前記径方向内側の位置で且つ補強部23よりも先端側の位置に、発光部33と対向してこの発光部33からの光を反射するための面である。本実施形態では、光を反射し易いように、反射面41を含む反射部材40の表面全体にクロムメッキが施されている。
【0036】
第1嵌入部43には、周壁部20の内周面25に設けられた突条25aと対応する位置に、当該突条25aに沿った切欠き46が設けられている。この切欠き46は、第1嵌入部43を周壁部20内に挿入(嵌入)したときに周壁部20の内周面25に設けられた突条25aがこの切欠き46に入ることにより、反射部材40が突条25aに沿って真っ直ぐ後端側に案内される。
【0037】
また、第1嵌入部43には、周壁部20の内周面25に設けられた係止用突起25bと対応する位置に、係止用穴47が設けられている。この係止用穴47は、前記径方向に貫通する穴であり、その周方向両側には、後端から先端側に向って係止用切欠き47aが設けられている。この係止用切欠き47aにより、係止用穴47の周縁部が後端を自由端とする舌片部48を構成する。これにより、第1嵌入部43が周壁部20内に挿入されたときに、舌片部48の後端側端部が前記径方向内側に撓んで係止用突起25bを通過し、その後、舌片部48が初期位置に復帰することにより、反射部材40の係止用穴47に周壁部20の係止用突起25bが係止される(図5参照)。これにより反射部材40が摘み本体11に係止される。
【0038】
押え部材50は、ポインター基部32の一部を本体基部12と共にスリットSの延びる方向に沿って挟み込むことにより、摘み本体11とポインター30とのスリットSの延びる方向に沿った相対移動を阻止する部材である。具体的に、押さえ部材50は、図2及び図8に示すように、ポインター基部32の鍔部36を本体基部12の後端面部13aに向けて押さえつけるように本体基部12とで挟み込む。このとき、押え部材50は、ポインター基部32の入射面31を覆うことなく鍔部36を本体基部12に押さえつける。
【0039】
具体的に、押え部材50は、短筒状の部材であり、先端側に設けられ本体基部12の係止部14内に嵌入可能な第2嵌入部51と、ポインター30の鍔部36を本体基部12と共に挟み込む押え部52とを有する。第2嵌入部51は、本体基部12の係止部14の内周面の内径と対応する外径の外周面を有する。第2嵌入部51の外周面には、本体基部12の係止部14に設けられた幅狭の切欠き部16bに対応する位置に、この切欠き部16bに沿って延びる突条53が設けられている。この突条53は、第2嵌入部51を係止部14内に挿入(嵌入)したときに、係止部14の切欠き16bに入ることにより、押え部材50が摘み本体11に対して相対回転することなく真っ直ぐに案内される。
【0040】
また、第2嵌入部51の外周面には、本体基部12の係止部14の係止用穴17と対応する位置に、前記径方向外側に突出する係止用突起54が設けられている。この係止用突起54の周方向両側には、先端から後方側に向って係止用切欠き54aが設けられている。この係止用切欠き54aにより、係止用突起54の周縁部が先端側の端部を自由端とする舌片部55を構成する。これにより、第2嵌入部51が本体基部12の円筒状の係止部14内に嵌入されたときに、舌片部55の先端側の端部が当該舌片部55の係止用突起54が係止部14の内周面に当接することにより前記径方向内側に撓み、舌片部55の係止用突起54が係止部14の係止用穴17に到達すると、舌片部55が初期位置に復帰する。これにより係止部14の係止用穴17に押え部材50の係止用突起54が係止する(図2及び図5参照)。その結果、押え部材50が摘み本体11に係止される。
【0041】
押え部52は、ポインター30のポインター基部32に対応する位置に設けられている。この押え部52は、本体基部12の後端面部13aから後方側に突出するポインター基部32を周方向から囲むように構成されている。具体的に、押え部52は、ポインター基部32の周囲を囲む筒状に形成され、先端には、本体基部12、詳細には、後端面部13aにおけるポインター挿入孔15の周縁部との間にポインター30の鍔部36を挟み込む押え面52aを有する。
【0042】
この押え面52aは、中心軸Cと直交し且つ枠形状の面であり、ポインター基部32を囲んだ状態で鍔部36を後端面部13aに押し付けるように挟み込む。より詳細には、押え部材50の第2嵌入部51を本体基部12の係止部14内に嵌入し、第2嵌入部51の係止用突起54を本体基部12の係止部14の係止用穴17に係合させたときに、後端面部13aにおけるポインター挿入孔15の周縁部と押え面52aとにより、鍔部36が前後から隙間無く挟み込まれる(図2及び図8参照)。
【0043】
このとき、押え部52は、前後方向に貫通した筒状に形成されているため、ポインター30の後端、即ち、ポインター基部32の入射面31は、押え部52により覆われることなく開放された状態となっている(図8参照)。
【0044】
このように構成される回転摘み10は、図7(a)及び図7(b)に示されるように、車室内の操作パネルPに設けられた穴から周壁部20の先端側が突出するように配設される。このとき、図8にも示されるように、反射部材40の開口44には蓋部材Fが嵌め込まれ、中空の回転摘み10の内部には回転軸Gが挿入され、この回転軸Gを回転中心にして回転摘み10が回動する。このとき、ポインター基部32の後端に位置する入射面31と対向するように光源Lが配設される。この光源Lは回転摘み10が回転操作されたときに、入射面31と共に回転移動し、常に入射面31と対向するような位置に取り付けられている。即ち、光源Lは、回転摘み10が回動しても、常に、入射面31に向けて光を発するように配設されている。この光源Lからの光が入射面31からポインター基部32内に入射することにより、この光がポインター30の内部で拡散され、これにより発光部33において露出面34aが発光する。
【0045】
以上の回転摘み10によれば、摘み本体11の周壁部20が薄肉であってもポインター30を摘み本体11に取り付けた後に当該ポインター30が安定し、且つ十分な表示を行うことができる。
【0046】
即ち、周壁部20及びこれに取り付けられるポインター30が薄肉であっても、摘み本体11の一対のスリット周縁部21を利用してポインター30に形成された表示部34をスリットSの幅方向から挟み込むと共にポインター30に形成された被挟持部35を前記径方向から挟み込むことにより、摘み本体11に対してポインター30を安定した状態で取り付けることができる。
【0047】
具体的には、一対のスリット周縁部21により表示部34をスリットSの幅方向の両外側から挟み込むと共に各スリット周縁部21とその径方向内側に位置する保持部22とにより被挟持部35を前記径方向の両側から挟み込むことにより、発光部33のスリットSの幅方向及び前記径方向のぐらつきを効果的に阻止することができる。そして、この状態で本体基部12と押え部材50とによりポインター基部32の鍔部36をスリットSの延びる方向に沿って挟み込むことによって(図2参照)本体基部12に対するポインター基部32のスリットSの延びる方向への移動が規制され、これにより摘み本体11とポインター30とのスリットSの延びる方向に沿った相対移動が阻止され、摘み本体11に対してポインター30が安定する。しかも、被挟持部35の挟持はスリット周縁部21の裏側にてなされており、回転摘み10を操作パネルPに配設したときに操作パネルPの前面から突出する摘み本体11の周壁部20の部位において、発光部33の表示部34の露出面34aはスリットSの全長に亘って外部に露出することが可能であるため(図7(b)参照)、前記の安定した発光部33の保持を行いながらも、入射面31から光を入射させてこの露出面34a全体を発光させることにより十分な表示を行うことができる。
【0048】
また、この実施形態においては、スリットSを跨ぐように保持部22同士をつなぐ補強部23が設けられることにより、周壁部20にスリットSが設けられている摘み本体を効果的に補強することができる。しかも、回転摘み10を操作パネルPを内側から貫通するように配設したときに、補強部23が操作パネルPの前面よりも奥に位置する領域にのみ形成されることにより、表示部34の露出面34aを発光させたときに、補強部23の存在がパネル表側での発光に影響を与え難い。即ち、発光部33の前記径方向内側位置の状態、即ち、補強部23のある部位とない部位とでの光の反射率の差に基づく露出面34aでの発光むらが生じても、この発光むらの生じる部位が操作パネルPよりも内側となり、前記発光むら等が操作パネルPの表側に現れるのを防止することができる。
【0049】
また、反射部材40が発光部33よりも前記径方向内側の位置で且つ補強部23よりも先端側の位置に配置されることにより、回転摘み10が操作パネルPに配設されたときに当該操作パネルPから突出した部位において、入射面31から内部に入射した光が発光部33から前記径方向内側に出ようとしたときに、対向する反射部材40の反射面41によって反射されて前記径方向外側に向うため、露出面34aがより明るくなり、より十分な表示が可能となる。
【0050】
摘み本体11にポインター30が取り付けられたときに、ポインター30の鍔部36が本体基部12の後端面部13aに押さえつけられることで、鍔部36の先端側の面36aと後端面部13aにおけるポインター挿入孔15の周縁部とが面接触するため、摘み本体11に対してポインター30がより安定する。即ち、発光部33が延びる方向と直交若しくは略直交する方向に拡がる鍔部36がポインター挿入孔15の周方向全体に亘って後端面部13aと面接触した状態で押さえつけられることで、発光部33先端側のぐらつきがより抑制される。
【0051】
尚、本発明の回転摘み10は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
上記実施形態では、周壁部20は、中心軸C方向の各位置において直径が一定の円筒状に形成されているが、これに限定されず、先端に向って直径の小さくなる円錐台の周面のような形状の周壁であってもよい。また、周壁部20は、円筒状である必要もなく、多角形の筒状であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、周壁部20の外周面24と面一になるようにポインター30の表示部34の露出面34aが形成されているが、これに限定されず、露出面34aの幅方向中央が膨出することによりスリットSに沿った突条が形成されてもよく、また、前記幅方向中央が窪んだ溝状であってもよい。このような形状であっても、操作パネルPの前面より突出した周壁部20の部位において、スリットSの全長に亘って露出面34aが発光することにより、十分な表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
10 回転摘み
11 摘み本体
12 本体基部
20 周壁部
21 スリット周縁部
22 保持部
23 補強部
30 ポインター(導光部材)
31 入射面
32 ポインター基部(入射部)
33 発光部
34 表示部
34a 露出面
35 被挟持部
36 鍔部
P 操作パネル(パネル)
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを内側から貫通し且つ回動可能に配設される回転摘みであって、
前記回転摘みが配設されたときにパネルの内側に位置する本体基部とこの本体基部から先端側に延びる筒状の周壁部とを有し、この周壁部の周方向における特定の位置に先端から前記本体基部まで延びるスリットが設けられた摘み本体と、
光の入射面を有する入射部とこの入射部から前記スリット内に嵌まり込むように当該スリットに沿って延び前記入射面から入射部内に光が入射することによりその表面が発光する発光部とを有する導光部材と、
前記発光部が前記スリット内に嵌まり込んだ状態で前記導光部材の入射部の一部を前記本体基部と共に前記入射面を覆うことなく前記スリットの延びる方向に沿って挟み込むことにより、前記摘み本体と前記導光部材との前記スリットの延びる方向に沿った相対移動を阻止する押え部材とを備え、
前記発光部は、前記スリット内に嵌まり込み、前記スリットの全長に亘って前記摘み本体の外部に露出する露出面を有する表示部と、この表示部よりも前記周壁部の径方向における内側に位置し、当該表示部よりも前記スリットの幅方向の両外側に突出した部分を含む被挟持部とを有し、
前記周壁部は、互いに対向することによりその間に前記スリットを規定する一対のスリット周縁部と、各スリット周縁部の前記径方向内側に設けられ、当該スリット周縁部と共に前記径方向の両側から前記被挟持部を挟み込む保持部とを有することを特徴とする回転摘み。
【請求項2】
請求項1に記載の回転摘みにおいて、
前記周壁部は、前記スリットを跨いで保持部同士をつなぐ補強部を有し、この補強部は、前記回転摘みが前記パネルに配設されたときに、このパネルの前面よりも奥に位置するような領域にのみ形成されることを特徴とする回転摘み。
【請求項3】
請求項2に記載の回転摘みにおいて、
前記発光部よりも前記径方向内側の位置で且つ前記補強部よりも先端側の位置に、当該スリット内に前記表示部が嵌まり込んだ状態の発光部と対向してこの発光部からの光を反射する反射面を有する反射部材をさらに備えることを特徴とする回転摘み。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転摘みにおいて、
前記本体基部における周壁部と反対側の端面の前記スリットと対応する位置に、前記表示部が前記スリット内に嵌まり込むと共に前記被挟持部が各スリット周縁部とこのスリット周縁部に対応する保持部との間にそれぞれ嵌まり込むように当該発光部をスリットの延びる方向に沿って挿通可能で、且つ前記摘み本体に前記導光部材が取り付けられた状態の前記発光部の外周面に対応する形状の内周面により規定される貫通孔が設けられ、
前記導光部材の入射部には、当該入射部の周囲から前記径方向外側に向かって拡がる鍔部が設けられ、この鍔部の先端側の面は、前記本体基部の端面における前記貫通孔周縁部に沿った形状を有し、
前記押さえ部材は、前記鍔部を前記本体基部の端面に向けて押さえつけるように前記本体基部とで挟み込むことを特徴とする回転摘み。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−225441(P2010−225441A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72092(P2009−72092)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】