説明

回転検出装置およびその製造方法

【課題】フォーミングやホルダーを必要とすることなく、従来よりも全体の体格を小さく抑制できる回転検出装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】回転体40の回転状態を検出して回転検出信号を出力する回転検出部11と、回転検出部11と電気的に接続されて回転検出信号を外部装置に伝達する信号伝達部材13と、少なくとも信号伝達部材13の一部および回転検出部11を保持する本体部12とを備える回転検出装置10において、本体部12は、回転検出部11の端子と信号伝達部材13とを接合した後、当該接合した接合部位、信号伝達部材13の一部および回転検出部11を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形され、回転検出部11に対応する部位に凹部12aを有する。この構成によれば、フォーミングやホルダーを必要とすることなく、回転検出装置10全体の体格を小さく抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転検出部、信号伝達部材および本体部を少なくとも備える回転検出装置と、当該回転検出装置の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、回転検出用ICの種類の増加に低コストで対応可能な回転検出装置に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。この回転検出装置は、回転検出部の形状をハウジングの内部形状に一致させるために、回転検出部を覆うように樹脂成形により形成される形状調整部を有する。
【0003】
また、樹脂モールド被覆時における磁電変換素子の位置精度を高めることを目的とする磁気変量センサに関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。この磁気変量センサは、直線板片状のリード端子を磁電変換素子のホルダーに係止する個所を少なくとも2個所とするとともに、リード端子の厚み方向及び幅方向それぞれを少なくとも2個所で位置決めし、これらの全体を樹脂モールド被覆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−172573号公報
【特許文献2】特開2005−227095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術によれば、本体部を形成するためにワイヤとICを溶接で接合した後、本体成形圧からICや接合部位を保護するための低圧成形(ホットメルト)が必要である。また、ICの位置決め固定と本体のシールのために、構成部品としてハウジングが必要である。本体樹脂には熱可塑性樹脂のであるポリブチレンテレフタレート(PBT)を使用するので、ワイヤ芯線との接着力はない。そのため、ワイヤ固定力を確保するとともに、成形時の変位を吸収するため、ワイヤ部にフォーミングが必要となる。したがって、回転検出装置の体格を小さくすることができない、という問題点があった。
【0006】
また、特許文献2の技術によれば、磁電変換素子のホルダーに係止した状態でこれらの全体を樹脂モールド被覆するので、磁気変量センサはホルダーを含む体格になる。したがって、磁気変量センサ全体の体格をホルダーの体格よりも小さくすることができない、という問題点があった。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、フォーミングやホルダーを必要とすることなく、従来よりも全体の体格を小さく抑制できる回転検出装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、回転体の回転状態を検出して回転検出信号を出力する回転検出部と、前記回転検出部と電気的に接続されて前記回転検出信号を外部装置に伝達する信号伝達部材と、少なくとも前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を保持する本体部とを備える回転検出装置において、前記本体部は、前記回転検出部のリードフレームと前記信号伝達部材とを接合した後、当該接合した接合部位、前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形され、前記回転検出部に対応する部位に凹部を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、フォーミングやホルダーを必要とすることなく、信号伝達部材の一部および回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形されるので、回転検出装置全体(特に本体部)の体格を小さく抑制することができる。熱硬化性樹脂は接着性を有するので、信号伝達部材や回転検出部(リードフレーム等を含む。以下同じである。)との接着を確実に行え、封止性(シール性)を確保することができる。また本体部に形成される凹部は、熱硬化性樹脂による一体成形を行う際に回転検出部を保持(支持,位置決めを含む。以下同じである。)する保持部材の痕跡である。言い換えれば、回転検出部は一体成形を行う際に保持部材で保持されるので、本体部における位置精度を確保することができる。
【0010】
なお「回転体」は形状を問わない。通常は円盤状(円板状)や円環状(ドーナツ状)等が該当する。「回転状態」は、回転速度や回転角度等のように回転に関する状態であって停止(静止)を含む。「回転検出部」は、少なくともセンサ素子と信号処理部品とを含む。センサ素子と信号処理部品とは、一体成形されていてもよく、別体に形成されていてもよい。センサ素子は、回転体の回転を検出する素子であれば任意である。通常は磁気センサや音波センサ等が該当する。信号処理部品はセンサ素子で検出した信号に基づいて、所要の信号形式(例えばパルス信号、デジタルデータ信号、アナログ信号等)で回転検出信号として出力する処理を行う機能を担う。「信号伝達部材」は、回転検出信号を伝達可能な部材であれば任意である。例えば、ワイヤ、電線(シールド線を含む。以下同じである。)、光ケーブル等が該当する。「リードフレーム」は回転検出部に備えられ、電気的に接続可能な導電部材であればよく、形状・数量・材質等を問わない。また、回転検出部から突出する形態に限らず、回転検出部の表面に露出する形態を含む。リードフレームと同等の導電部材であるリード線・接続ピン・端子等であってもよい。「熱硬化性樹脂」は、加熱によって重合を起こして高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂であれば任意である。例えば、エポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)などが該当する。熱硬化性樹脂に代えて、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化プラスチックを用いてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記凹部には、前記回転検出部の表面が露出するか、または、前記凹部と前記回転検出部の表面との間に前記熱硬化性樹脂が介在することを特徴とする。この構成によれば、回転検出部の表面の硬度や、上記保持部材によって回転検出部の表面に対して加える圧力、一体成形を行う際に注入される熱硬化性樹脂の圧力の関係に応じて、凹部に回転検出部の表面が露出したり、熱硬化性樹脂が形成されたりする。いずれの場合でも、熱硬化性樹脂の接着力によって信号伝達部材や回転検出部の封止性(シール性)を確保することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記凹部は、前記回転検出部の表面について少なくとも二面以上に跨って形成されることを特徴とする。上述したように、凹部は熱硬化性樹脂による一体成形を行う際に回転検出部を保持している保持部材の痕跡である。この構成によれば、一つの保持部材で少なくとも二方向から回転検出部を保持するので、簡単な構成で本体部における位置精度を確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記凹部は、前記回転検出部に対応する部位のうちで、前記回転体から離れた位置に形成されることを特徴とする。この構成によれば、本体部に形成される凹部は回転体から離れた位置に形成される。凹部を有する側の本体部は、回転体に近い位置の本体部の厚みよりも厚く形成される。したがって、本体部に必要な物理的特性(特に剛性)を確保することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記回転検出部は、回転体の回転状態を検出するセンサ素子と、前記センサ素子で検出された信号を処理して前記回転検出信号を出力する信号処理部品とを有し、前記信号処理部品は、前記センサ素子で検出された信号を処理する回路が形成される処理回路体と、前記処理回路体を封止する封止体とを少なくとも有し、前記本体部は、前記封止体と一体成形することにより、前記処理回路体を保持することを特徴とする。この構成によれば、処理回路体を有する信号処理部品は、処理回路体が封止体と一体成形されるので、位置精度の確保および封止性の向上を図ることができる。
【0015】
なお「処理回路体」は回転検出信号を処理可能な回路が形成されていれば、その構成を問わない。例えば、半導体チップや、半導体素子(ICやLSI等の集積回路を含む。)、当該半導体素子や回路部品等を配置した基板(具体的にはプリント基板等)などが該当する。「回路部品」は、抵抗器・コンデンサ・コイル・トランス等のような回路素子に限らず、ジャンパー線やリードフレーム等のような接続用部品を含む。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記本体部を取り付ける取付部を有することを特徴とする。この構成によれば、本体部(ひいては回転検出装置)を被取付体(例えばフレーム等)に対して、容易に取り付けることができる。「取付部」は、「ステー」とも呼ばれ、材質や形状等を問わない。材質は、熱可塑性樹脂であってもよく、本体部と同様に熱硬化性樹脂であってもよく、樹脂以外の材質(例えば金属や炭素繊維等)であってもよい。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記取付部は、前記本体部の一部および前記信号伝達部材の一部のうちで一方または双方を覆うように、熱可塑性樹脂によって一体成形することを特徴とする。この構成によれば、熱可塑性樹脂を用いて一体成形するので、容易に目的の形に成形することができる。
【0018】
「熱可塑性樹脂」は、ガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり、その後に冷却することで目的の形に成形できる樹脂であれば任意である。例えば、汎用プラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパー・エンジニアリング・プラスチックなどが該当する。汎用プラスチックには、例えばポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)などが該当する。エンジニアリング・プラスチックには、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)などが該当する。スーパー・エンジニアリング・プラスチックには、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などが該当する。熱可塑性樹脂に代えて(あるいは併用して)、上記繊維強化プラスチックを用いてもよい。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記取付部が一体成形される部位の前記本体部は、断面の一部または全部が円または楕円で形成されることを特徴とする。「断面」は外周面の断面形状を意味する。この構成によれば、本体部の断面の一部または全部を円(真円に限らず表面に許容範囲の凹凸がある円を含む。以下同じである。)に形成する場合には、全方位で均等に形成することができる。また断面の一部または全部を楕円(表面に許容範囲の凹凸がある楕円を含む。以下同じである。)に形成する場合には、本体部の回転防止機能を持たせることができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、回転体の回転状態を検出して回転検出信号を出力する回転検出部と、前記回転検出部と電気的に接続されて前記回転検出信号を外部装置に伝達する信号伝達部材と、少なくとも前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を保持する本体部と、前記本体部を取り付ける取付部とを備える回転検出装置の製造方法において、前記回転検出部のリードフレームと前記信号伝達部材とを接合する接合工程と、前記接合工程によって接合される接合部位、前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形されることで前記本体部を形成する本体部成形工程とを有することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、フォーミングやホルダーを必要とすることなく接合工程と本体部成形工程とを行うだけで、信号伝達部材の一部および回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形される。よって、回転検出装置全体(特に本体部)の体格を小さく抑制することができる。熱硬化性樹脂は接着性を有するので、信号伝達部材や回転検出部との接着を確実に行える。また本体部に形成される凹部は、熱硬化性樹脂による一体成形を行う際に回転検出部を保持している保持部材の痕跡である。言い換えれば、回転検出部は一体成形を行う際に保持部材で保持されるので、本体部における位置精度を確保することができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、前記本体部の一部および前記信号伝達部材の一部のうちで一方または双方を覆うように、熱可塑性樹脂によって一体成形されることで前記取付部を形成する取付部成形工程を有することを特徴とする。この構成によれば、取付部成形工程をさらに行うだけで取付部を有する回転検出装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】回転検出装置の第1構成例を模式的に示す斜視図である。
【図2】回転検出部の構成例を模式的に示す図である。
【図3】接合工程を説明する図である。
【図4】接合後の状態を模式的に示す斜視図である。
【図5】保持部材の構成例を模式的に示す斜視図である。
【図6】射出成形によって形成された本体部の構成例を模式的に示す図である。
【図7】取付部の構成例を模式的に示す側面図である。
【図8】回転検出装置の第2構成例を模式的に示す側面図である。
【図9】回転検出装置の第3構成例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的な接続を意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示してはいない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。
【0025】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、図1〜図7を参照しながら説明する。まず図1には、下方から見上げた回転検出装置の外観を模式的に斜視図で示す。図1に示す構成例の回転検出装置10は、回転検出部11や、本体部12、信号伝達部材13のほかに、必要に応じて備える取付部14(図7を参照)などを有する。なお説明の都合上、回転検出部11内に備えるセンサ素子11aに近い表面を「正面」と呼び、当該正面に対向してセンサ素子11aから離れた表面を「裏面」と呼ぶことにする。
【0026】
図1に示す本体部12は、後述するように成形機(モールディング)によって形成される。成形機は一体成形が可能であれば任意であり、例えば射出成形機や圧縮成形機等が該当する。本体部12には、二面以上(図1の例では裏面と側面の二面)に跨るように、複数(図1の例では3つ)の凹部12aが結果的に形成される。すなわち複数の凹部12aは、上記成形機で熱硬化性樹脂を用いて本体部12が一体成形される際、回転検出部11を保持していた保持部材群20(図1の例では二点鎖線で示す保持部材21,22,23,24)の痕跡である。凹部12aと回転検出部11との関係については後述する。保持部材群20の具体的な構成例についても後述する(図5を参照)。ランナー部30は、本体部12を形成する際に型枠内に熱硬化性樹脂を注入する部位である。保持部材群20やランナー部30は、通常は成形機に備えるが、成形機とは別個に用意してもよい。これらの保持部材群20やランナー部30の位置や数量は、目的とする本体部12の形状や熱硬化性樹脂の材質等に応じて適切に設定される。本形態では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(EP;以下では単に「EP」と表記する。)を用いる。
【0027】
凹部12aには、回転検出部11の表面が露出するか、または、凹部12aと回転検出部11の表面との間にEPが介在する。これは、回転検出部11の表面の硬度や、保持部材群20が回転検出部11を保持する際に加える圧力(簡単のために以下では「保持圧力」と呼ぶ。)、ランナー部30から注入されるEPの圧力(簡単のために以下では「樹脂圧力」と呼ぶ。)の関係によって変わる。保持圧力≧樹脂圧力の場合には、回転検出部11の表面が露出する。保持圧力<樹脂圧力の場合には、凹部12aと回転検出部11の表面との間にEPが介在し、厚みは両者の圧力差に依存する。言い換えれば、回転検出部11の表面の硬度と保持圧力との相対的な関係や、樹脂圧力の大きさに応じて、回転検出部11の表面が露出するか、凹部12aと回転検出部11の表面との間にEPが介在して厚みも変化する。現実的には、回転検出部11と保持部材群20との間にクリアランスを持たせたり、回転検出部11および保持部材群20の各接触面にかかる形状が相違したりするので、凹部12aと回転検出部11の表面との間にEPが介在し易い。なお封止性(シール性)を確実に確保するため、回転検出部11の表面が露出する場合、凹部12aの露出部位にリードフレームや内部と接続される信号線等が存在しないことが望ましい。
【0028】
次に、図2には回転検出部11の構成例を示す。具体的には、側面図を図2(A)に示し、正面図(平面図)を図2(B)に示す。図2に示す回転検出部11は、半導体チップからなる処理回路体11cを、封止体11dで一体成形した信号処理部品である。封止体11dは主に樹脂であり、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の種類を問わない。回転検出部11には、少なくとも回転体の回転状態を検出して回転検出信号を出力可能なリードフレーム11bを備える。すなわち図2(B)の構成例では、四本のリードフレーム11bを一面に備える。なお図2(A)では、四本のうちで信号伝達部材13との接続に関与しない二本のリードフレーム11bの図示を省略している。なお、リードフレーム11bに代えて(あるいは併用して)、リード線・接続ピン・端子等を備えてもよい。回転体は回転可能な物体であれば任意である。例えば、後述するハブベアリング(図7(A)を参照)のほか、車輪(ホイールを含む)、回転電機(具体的には発電機,電動機,電動発電機等)などが該当する。
【0029】
図2に示す構成例の回転検出部11は、処理回路体11cの一面(上面,正面)側にセンサ素子11aを一体的に備える。よって、図2(A)の上面側が正面側となり、下面側が裏面側となる。センサ素子11aは、回転体の回転状態を検出するセンサである。例えば、磁気エンコーダを備える回転体に対しては磁気センサを用いる。
【0030】
次に回転検出装置10の製造方法について、図3〜図7を参照しながら説明する。回転検出装置10の製造方法は、接合工程、本体部成形工程および取付部成形工程からなる。以下では、各工程の具体例について説明する。
【0031】
〔接合工程〕
接合工程では、回転検出部11のリードフレーム11bと信号伝達部材13との接合を行う。信号伝達部材13は、少なくとも回転検出部11(具体的にはリードフレーム11b)から出力される回転検出信号を外部装置に伝達可能な部材であれば任意である。外部装置は回転検出信号を処理する装置であり、例えばECUやコンピュータ等が該当する。本形態の信号伝達部材13は電線の一例である。具体的には図3(A)に示すように、導電体の先端部13aを絶縁被覆部材13bで被覆する。先端部13aの形状は任意である。本形態の先端部13aは、リードフレーム11bとの接合を容易にするため、複数の細線(芯線)を縒り合わせた上で溶接(例えば抵抗溶接や超音波溶接等)を行って平板状に形成している。さらに、複数本(本形態では2本)の絶縁被覆部材13bを束ねて全体を絶縁被覆部材13cで被覆する。図示しないが、外来ノイズ等による回転検出信号への影響を抑制するため、絶縁被覆部材13bと絶縁被覆部材13cとの間にシールド線を介在させる場合がある。
【0032】
上述した信号伝達部材13による接合工程は、図3(A)に示すようにリードフレーム11bと先端部13aとを相対的に接近して接触させ、接触状態のまま接合を行う。接合は、溶接やハンダ付け等が該当する。なお上記接合の目的は電気的接続であるので、接合以外の接続方法(例えばリードフレーム11bおよび先端部13aを導電線で巻き付けたり、リードフレーム11bと先端部13aとを捻り合わせる等)で行ってもよい。接合後の状態は、図3(B)に側面図で示し、図3(C)に正面図(平面図)で示す。図3(C)では、リードフレーム11bと先端部13aとの接合を行った部位を接合部位15で示す。リードフレーム11bと先端部13aとが接合された後は、回転検出部11が軽量であるので、外力を加えない限りにおいて図3(B)および図3(C)に示す状態(姿勢)を維持することができる。
【0033】
そして、本体部成形工程で成形機による一体成形を行う前に、本体部12の形状に合わせて回転検出部11を位置決めする。この位置決めには、図4に示すように保持部材群20を用いる。保持部材群20は複数の保持部材からなり、図4に示す例では四つの保持部材21,22,23,24を用いる。当該保持部材21,22,23,24は保持部材群20を構成する。これらのうちで保持部材21,22,23は、回転検出部11の表面にかかる二面以上(本形態では裏面と側面)に対して同時に接触可能な形状で形成されたものを用いる。一方、保持部材24は回転検出部11の一面(本形態では表面)を押さえられる形状(例えば円柱形状や多角柱形状等)で形成される。保持部材21,22,23は同一形状で形成されるので、以下では保持部材21を代表して説明する。
【0034】
図4に示す回転検出部11の保持例における保持部材21の形状は、図5(A)に模式的に示す通りである。図5(A)に示す保持部材21Aは、回転検出部11の二面で同時に接触可能な接触面21aを有する。一つの保持部材21Aで二方向から保持するので、回転検出部11を確実に保持するには三つ以上あればよく、本体部12における位置精度を確保することができる。
【0035】
図5(A)に示す保持部材21Aの形状に限らず、他の形状からなる保持部材を用いてもよい。例えば、図5(B),図5(C),図5(D)にそれぞれ示す各形状の保持部材21B,21C,21Dが該当する。図5(B)に示す保持部材21Bは、回転検出部11の角部(三面)を同時に接触可能な接触面21bを有する。一つの保持部材21Cは二方向から保持するので、回転検出部11を確実に保持するには三つ以上あればよい。図5(C)に示す保持部材21Cは、回転検出部11の三面(表面・側面・裏面や、隣接する三つの側面)を挟むように同時に接触可能な接触面21cを有する。一つの保持部材21Cは三方向から保持するので、回転検出部11を確実に保持するには三つ以上あればよい。図5(D)に示す保持部材21Dは、回転検出部11の近接する二の角部(四面)を挟むように同時に接触可能な接触面21dを有する。一つの保持部材21Dは四方向から保持するので、回転検出部11を確実に保持するには二つ以上あればよい。図5(C)の間隔T1と図5(D)の間隔T2は、いずれも回転検出部11の厚み・縦の長さ・横の長さのいずれかに相当する。いずれの形状にせよ、本体部12における位置精度を確保することができる。保持部材21Cや保持部材21Dを用いると図面上下方向で回転検出部11を挟むので、本体部12における位置精度が高まる。
【0036】
〔本体部成形工程〕
本体部成形工程では、上述した接合工程によって接合される接合部位15、信号伝達部材13の一部および回転検出部11を少なくとも含めてEPによって一体成形し、本体部12を形成する。図4に示すように回転検出部11を保持部材群20で保持した状態で、成形機による一体成形を行う。成形機による一体成形については周知であるので、図示および説明を省略する。EPを用いる一体成形は接着力を有するので、回転検出部11や信号伝達部材13の封止性(シール性)を確保できる。一体成形後にランナー部30や保持部材群20を取り外し、取り外し後の状態を図6に示す。
【0037】
図6には、本体部成形工程を行って一体成形された本体部12の構成例を示す。具体的には、図6(A)には正面図を示し、図6(B)には側面図を示し、図6(C)および図6(D)には裏面図を示す。図6(A)に示す本体部12は、封止された回転検出部11から離れた位置に被取付部位12bを有する。被取付部位12bは後述する取付部成形工程を行って取付部14が一体成形される部位である。当該被取付部位12bの断面(すなわち外周面の断面形状)は、その一部が円(すなわち複数の円弧)で形成される(図6や図7(B)を参照)。さらに被取付部位12bには、凹部12cを有する。この凹部12cは抜け止め防止機能を担う。すなわち、後述する取付部成形工程を行って取付部14が一体成形された後、当該取付部14が所定方向(図6(A)の左右方向)に動くのを抑制する。
【0038】
図6(B)に示す本体部12において、被取付部位12bを除く部位は、当該被取付部位12bの径や幅よりも小さい直方体状に形成されている。図6(B)の図面上側が正面側になり、図面下側が裏面側になる。図2(A)との対応関係から、正面側にセンサ素子11aが配置される。また、保持部材24の痕跡である凹部12aは表面側に形成され、保持部材21,22,23の痕跡である凹部12aは裏面側から側面側に跨って形成される。なお、用いる保持部材の形状に応じた凹部12aが形成される。
【0039】
〔取付部成形工程〕
取付部成形工程は、上述した本体部成形工程で形成される本体部12の一部および信号伝達部材13の一部の双方を覆うように、熱可塑性樹脂によって一体成形し、取付部14を形成する。本形態では、熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT;以下では単に「PBT」と表記する。)を用いる。保持部材群20とは別個であって図示しない保持部材で本体部12を保持した状態で、成形機による一体成形を行う。一体成形の際には、本体部12の対応する表面(外周面)が溶融して取付部14と一体的に形成される。取付部14の材質は、PBTであってもよく、本体部12と同様にEPであってもよい。成形機以外の加工機で一体成形を行う場合には、樹脂以外の材質(例えば金属や炭素繊維等)であってもよい。
【0040】
一体成形後の状態を図7に示す。図7(A)には側面図を示し、図7(B)には図7(A)に示すVIIB−VIIB矢視の断面図を示す。また図7(A)には、回転検出部11に備えるセンサ素子11a(図2(A)を参照)が回転状態を検出する対象となる回転体40を二点鎖線で示す。本形態では、回転体40としてハブベアリングに設けられた磁気エンコーダを用いる。この場合、センサ素子11aとして磁気センサを用いる。
【0041】
図7(A)で模式的に示す取付部14は、「ステー」とも呼ばれ、図示するように本体部12の一部および信号伝達部材13の一部の双方を覆って形成される。この取付部14は、取付部本体14aに対して、取付用ブッシュ14bや、複数の端片14cなどを備える。取付用ブッシュ14bは、被取付体(例えばフレーム等)に回転検出装置10自体を固定するための穴を備えた部材で金属製のものが主に用いられる。複数の端片14cは、回転体40の回転状態を検出可能に回転検出装置10自体の姿勢を規制する。すなわち、回転検出部11(具体的にはセンサ素子11a)と回転体40(具体的には被検出体)とが対向するように回転検出装置10を配置させる。本体部12に形成される凹部12aは、回転検出部11に対応する部位のうちで、回転体40から離れた位置に形成される。言い換えれば、回転検出部11内のセンサ素子11aは、信号伝達部材13の中心から回転体40側に偏位させて保持される。
【0042】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1に対応し、回転検出装置10において、本体部12は、回転検出部11のリードフレーム11bと信号伝達部材13とを接合した後、当該接合した接合部位15、信号伝達部材13の一部および回転検出部11を少なくとも含めてEP(熱硬化性樹脂)によって一体成形され、回転検出部11に対応する部位に凹部12aを有する構成とした(図1,図6等を参照)。この構成によれば、フォーミングやホルダーを必要とすることなく、信号伝達部材13の一部および回転検出部11を少なくとも含めてEPによって一体成形されるので、回転検出装置10全体(特に本体部12)の体格を小さく抑制することができる。EPは接着性を有するので、信号伝達部材13や回転検出部11との接着を確実に行え、封止性(シール)と固定力を確保することができる。また本体部12に形成される凹部12aは、EPによる一体成形を行う際に回転検出部11を保持する保持部材群20(保持部材)の痕跡である。言い換えれば、回転検出部11は一体成形を行う際に保持部材群20で保持されるので、本体部12における位置精度を確保することができる。
【0043】
請求項2に対応し、凹部12aには、回転検出部11の表面が露出するか(図6(D)を参照)、または、凹部12aと回転検出部11の表面との間にEPが介在する構成とした(図6(C)を参照)。この構成によれば、EPの接着力によって信号伝達部材13や回転検出部11の封止性(シール性)を確保することができる。
【0044】
請求項3に対応し、凹部12aは、回転検出部11の表面について少なくとも二面以上に跨って形成される構成とした(図1を参照)。この構成によれば、一つの保持部材群20が少なくとも二方向から回転検出部11を保持するので、簡単な構成で本体部12における位置精度を確保することができる。
【0045】
請求項4に対応し、凹部12aは、回転検出部11に対応する部位のうちで、回転体40から離れた位置に形成される構成とした(図1,図7を参照)。この構成によれば、凹部12aを有する側の本体部12は回転体40に近い位置の本体部12の厚みよりも厚く形成されるので、本体部12に必要な物理的特性(特に剛性)を確保できる。
【0046】
請求項5に対応し、回転検出部11は回転体40の回転状態を検出するセンサ素子11aとセンサ素子11aで検出された信号を処理して回転検出信号を出力する信号処理部品とを有し、信号処理部品は処理回路体11cと封止体11dとを少なくとも有し、本体部12は封止体11dと一体成形することにより処理回路体11cを保持する構成とした(図2を参照)。この構成によれば、信号処理部品は処理回路体11cが封止体11dと一体成形されるので、位置精度の確保および封止性の向上を図ることができる。
【0047】
請求項6に対応し、本体部12を取り付ける取付部14を有する構成とした(図7(A)を参照)。この構成によれば、本体部12(ひいては回転検出装置10)を被取付体に対して、容易に取り付けることができる。
【0048】
請求項7に対応し、取付部14は、本体部12の一部および信号伝達部材13の一部の双方を覆うように、PBT(熱可塑性樹脂)によって一体成形する構成とした(図7を参照)。この構成によれば、PBTを用いて一体成形するので、容易に目的の形に成形することができる。なお、本体部12の一部または全部、あるいは信号伝達部材13の一部または全部のうちで一以上を覆うように、PBTによって一体成形する構成としても同様の作用効果が得られる。
【0049】
請求項8に対応し、取付部14が一体成形される部位の本体部12は、断面(外周面の断面形状)の一部が円(すなわち複数の円弧)で形成される構成とした(図6,図7を参照)。この構成によれば、本体部12の回転防止機能を持たせることができる。図示しないが、断面の一部または全部を楕円で形成する場合でも本体部12の回転を防止できる。断面の全部を円で形成する場合には、全方位で均等に形成することができる。
【0050】
請求項9に対応し、回転検出装置10の製造方法において、回転検出部11のリードフレーム11bと信号伝達部材13とを接合する接合工程(図3を参照)と、接合工程によって接合される接合部位15、信号伝達部材13の一部および回転検出部11を少なくとも含めてEPによって一体成形されることで本体部12を形成する本体部成形工程(図4,図6を参照)とを有する構成とした。この構成によれば、回転検出装置10全体(特に本体部12)の体格を小さく抑制することができる。EPは接着性を有するので、信号伝達部材13や回転検出部11との接着を確実に行え、封止性(シール)と固定力を確保することができる。また回転検出部11は一体成形を行う際に保持部材群20で保持されるので、本体部12における位置精度を確保することができる。
【0051】
請求項10に対応し、本体部12の一部および信号伝達部材13の一部のうちで一方または双方を覆うように、PBTによって一体成形されることで取付部14を形成する取付部成形工程を有する構成とした(図7を参照)。この構成によれば、取付部成形工程をさらに行うだけで取付部14を有する回転検出装置10を製造できる。
【0052】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、図8を参照しながら説明する。回転検出装置10の構成等は実施の形態1と同様であり、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
実施の形態2が実施の形態1と異なるのは、取付部14の構成である。図7(A)に代わる取付部14の構成例を図8に正面図で示す。図8に示す取付部14は、取付部本体14aに対して、取付用ブッシュ14bや凹部14eなどを備える。言い換えれば、複数の端片14cに代えて凹部14eを設ける構成である。この凹部14eは、Oリング14dを嵌め込むことができるように、断面の全部が円に形成される部位の外周面に形成される。図8の構成例では、図7(A)と比べて取付用ブッシュ14bの位置が90°ずれる(回転する)ように取付部本体14aを形成している。この構成によれば、取付部14の構成が異なるだけであるので、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
【0054】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1,2に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0055】
実施の形態1では、取付部14は、取付部本体14aが回転体40の面に対して交差(直交)する方向に延ばして形成する構成とした(図7(A)を参照)。この形態に代えて、図9に示すように、取付部本体14aが回転体40の面に対して平行(回転体40と干渉しない非平行を含む。)となる方向に延ばして形成する構成としてもよい。言い換えれば、図8に示す取付部14と同様にして実施の形態1の取付部14を形成する。被取付体の位置によっては、回転体40の面に対して角度θ(0°<θ<180°)を持たせて延ばして形成する構成としてもよい。いずれの構成にせよ、取付部14の構成が異なるだけであるので、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
実施の形態1,2では、センサ素子11aを回転検出部11内に備える構成とした(図2を参照)。この形態に代えて、回転検出部11とは別体にセンサ素子11aを備える構成としてもよい。この場合には、センサ素子11aで検出される信号を回転検出部11(特に処理回路体11c)に伝達するための信号線(リードフレームを含む)が必要となる。また、本体部成形工程では、回転検出部11、接合部位15、信号伝達部材13とともにセンサ素子11aを熱硬化性樹脂によって一体成形し、本体部12を形成する必要がある。センサ素子11aと回転検出部11として一体とするか、別体にするかの相違に過ぎないので、実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
実施の形態1,2では、回転検出部11を保持するにあたって、保持部材群20(保持部材21,22,23,24)を用いた(図1,図5を参照)。この形態に代えて、保持部材群20を構成する複数の保持部材のうちで一以上の保持部材は、他の保持部材とは異なる形状のものを用いてもよい。例えば、図5(A)に示す保持部材21Aのほかに、図5(B)に示す保持部材21B、図5(C)に示す保持部材21C、図5(D)に示す保持部材21Dのうちで一以上を用いる形態が該当する。また、保持部材21A,21B,21C,21Dを自由に組み合わせて用いる形態が該当する。いずれの形態にせよ、回転検出部11は一体成形を行う際に確実に保持されるので、本体部12における位置精度を確保することができる。
【0058】
実施の形態1,2では、処理回路体11cは、センサ素子11aで検出された信号を処理する回路が形成された半導体チップを用いる構成とした(図2を参照)。この形態に代えて、ICやLSI等のような半導体素子を用いる構成や、半導体素子,回路素子,接続用部品等のような回路部品を実装する基板を用いる構成としてもよい。処理回路体11cの構成に相違があるにすぎず、センサ素子11aで検出された信号を処理する機能を備えていれば、実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
実施の形態1,2では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(EP)を用い、熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いて形成する構成とした(図6,図7,図8を参照)。この形態に代えて、他の樹脂を用いて形成する構成としてもよい。例えば、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)などを用いてもよい。熱可塑性樹脂として、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などを用いてもよい。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に代えて(あるいは併用して)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化プラスチックを用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 回転検出装置
11 回転検出部(信号処理部品)
11a センサ素子
11b リードフレーム(接合部位を含む)
11c 処理回路体
12 本体部
12a 凹部
13 信号伝達部材
13a 先端部(接合部位を含む)
14 取付部
15 接合部位
20 保持部材群
21,22,23,24 保持部材
21A,21B,21C,21D 保持部材
21a,21b,21c,21d 接触面
30 ランナー部
40 回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転状態を検出して回転検出信号を出力する回転検出部と、前記回転検出部と電気的に接続されて前記回転検出信号を外部装置に伝達する信号伝達部材と、少なくとも前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を保持する本体部とを備える回転検出装置において、
前記本体部は、前記回転検出部の端子と前記信号伝達部材とを接合した後、当該接合した接合部位、前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形され、前記回転検出部に対応する部位に凹部を有することを特徴とする回転検出装置。
【請求項2】
前記凹部には、前記回転検出部の表面が露出するか、または、前記凹部と前記回転検出部の表面との間に前記熱硬化性樹脂が介在することを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記回転検出部の表面について少なくとも二面以上に跨って形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の回転検出装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記回転検出部に対応する部位のうちで、前記回転体から離れた位置に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転検出装置。
【請求項5】
前記回転検出部は、回転体の回転状態を検出するセンサ素子と、前記センサ素子で検出された信号を処理して前記回転検出信号を出力する信号処理部品とを有し、
前記信号処理部品は、前記センサ素子で検出された信号を処理する回路が形成される処理回路体と、前記処理回路体を封止する封止体とを少なくとも有し、
前記本体部は、前記封止体と一体成形することにより、前記処理回路体を保持することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転検出装置。
【請求項6】
前記本体部を取り付ける取付部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の回転検出装置。
【請求項7】
前記取付部は、前記本体部の一部および前記信号伝達部材の一部のうちで一方または双方を覆うように、熱可塑性樹脂によって一体成形することを特徴とする請求項6に記載の回転検出装置。
【請求項8】
前記取付部が一体成形される部位の前記本体部は、断面の一部または全部が円または楕円で形成されることを特徴とする請求項6または7に記載の回転検出装置。
【請求項9】
回転体の回転状態を検出して回転検出信号を出力する回転検出部と、前記回転検出部と電気的に接続されて前記回転検出信号を外部装置に伝達する信号伝達部材と、少なくとも前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を保持する本体部と、前記本体部を取り付ける取付部とを備える回転検出装置の製造方法において、
前記回転検出部の端子と前記信号伝達部材とを接合する接合工程と、
前記接合工程によって接合される接合部位、前記信号伝達部材の一部および前記回転検出部を少なくとも含めて熱硬化性樹脂によって一体成形されることで前記本体部を形成する本体部成形工程と、
を有することを特徴とする回転検出装置の製造方法。
【請求項10】
前記本体部の一部および前記信号伝達部材の一部のうちで一方または双方を覆うように、熱可塑性樹脂によって一体成形されることで前記取付部を形成する取付部成形工程を有することを特徴とする請求項9に記載の回転検出装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96749(P2013−96749A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237662(P2011−237662)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】