説明

回転構造体

【課題】第1回転体と固定部品との間における相対的な移動を規制する回転構造体を提供する。
【解決手段】出力軸30と、出力軸30に固定される検出器332と、出力軸30と検出器332とを固定状態とする圧接爪52bと、クリップ50Aと、を備える回転構造体であって、クリップ50Aは、検出器332のハウジング100に固定された円筒部51と、圧接爪52bの先端と、を備え、出力軸30は、軸方向において圧接爪52bの先端が当接する周溝32の上壁面32bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動式パワーステアリング装置において、入力軸と出力軸(第1回転体)との相対的な回転変位を検出するための検出器(固定部品)に、環状の結合体を取り付け、この環状の結合体を出力軸に外嵌・圧入させ、結合体と出力軸との間の摩擦力により、結合体と出力軸とを固定状態とする技術が知られている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−241918号公報
【特許文献2】特開2007−263871号公報
【特許文献3】特開2009−128181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、使用に伴う経年劣化等に起因して、前記結合体と出力軸との固定状態が維持されず、前記結合体と出力軸との間に緩みが発生する虞がある。
【0005】
そして、このように緩みが発生してしまうと、検出器と出力軸とが軸方向及び/又は周方向において相対的に移動してしまい、検出器が出力軸と入力軸との間における相対的な回転変位を誤検出するうえ、検出器がその周辺に配置された周辺部品(例えば、検出器の相手方となる磁石)に干渉してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、第1回転体と固定部品との間における相対的な移動を規制する回転構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、径方向内側に延びる切欠部の形成されたフランジ部と、周方向に延びる周溝とを有する第1回転体(後記する形態では出力軸30)と、前記第1回転体に固定される固定部品(後記する形態では検出器332)と、前記固定部品と一体であって、前記第1回転体と同軸かつ外側に配置された円筒体と、クリップと、を備える回転構造体であって、前記クリップは、前記円筒体の外周面に固定された円筒状の基部(後記する形態では円筒部51)と、前記基部の一端側から延び、前記周溝の底面を径方向内側に圧接すると共に軸方向において前記周溝を囲む壁面と当接する複数の圧接片と、前記基部の一端側から延び、前記切欠部に差し込まれ、周方向において前記フランジ部に当接する係止片と、を備えることを特徴とする回転構造体である。
【0008】
このような構成によれば、複数の圧接片が、周溝の底面を径方向内側に圧接することにより、第1回転体と固定部品とを固定状態とできる。
そして、圧接片による固定状態が維持されず、第1回転体と固定部品との間に緩みが発生した場合、各圧接片が軸方向において周溝を囲む壁面と当接しているので、第1回転体と固定部品との軸方向における相対的な移動を規制できる。
また、係止片が切欠部に差し込まれ、周方向においてフランジ部に当接しているので、第1回転体と固定部品との周方向における相対的な移動を規制できる。
【0009】
また、前記回転構造体において、周方向において、前記複数の圧接片は等間隔で配置され、前記係止片は隣り合う前記圧接片の間に配置されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、周方向において、複数の圧接片が等間隔で配置され、係止片が隣り合う圧接片の間に配置されているので、圧接片及び係止片によって、軸方向及び周方向における相対的な移動をバランス良く規制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1回転体と固定部品との間における相対的な移動を規制する回転構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係るステアリング装置の要部縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図3、図5のX2−X2線断面に対応している。なお、二点鎖線内は、図3、図5のY1矢視図に対応している。
【図3】第1実施形態に係る出力軸の平断面図であり、図2のX1−X1線断面に対応している。
【図4】第1実施形態に係る出力軸の斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るクリップの平面図である。
【図6】第1実施形態に係るクリップの斜視図である。
【図7】第1参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図8、図9のX3−X3線断面に対応している。
【図8】第1参考形態に係る出力軸の平面図である。
【図9】第1参考形態に係るクリップの平面図である。
【図10】第1参考形態に係るクリップの斜視図である。
【図11】第1参考形態に係るクリップの製造途中段階を示す平面図である。
【図12】第2参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図13のX4−X4線断面に対応している。
【図13】第2参考形態に係るクリップの平面図である。
【図14】第2参考形態に係るクリップの断面図であり、図13のX5−X5線断面に対応している。
【図15】第3参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図16、図17、図18、図19のX7−X7線断面に対応している。
【図16】第3参考形態に係る出力軸の平面図である。
【図17】第3参考形態に係る出力軸の平断面図であり、図15のX6−X6線断面に対応している。
【図18】第3参考形態に係るクリップの平面図である。
【図19】第3参考形態に係るクリップの斜視図である。
【図20】第3参考形態に係るクリップの製造途中段階を示す平面図である。
【図21】第4参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図22、図23、図24、図25のX9−X9線断面に対応している。
【図22】第4参考形態に係る出力軸及びクリップの平断面図であり、図21、図25のX8−X8線断面に対応している。
【図23】第4参考形態に係る出力軸及びクリップの平断面図の拡大図であり、図21、図25のX8−X8線断面に対応している。
【図24】第4参考形態に係るクリップの平面図である。
【図25】第4参考形態に係るクリップの斜視図である。
【図26】第5参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図27のX10−X10線断面に対応している。
【図27】第5参考形態に係る出力軸及びクリップの平面図である。
【図28】第6参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図29、図30、図31のX11−X11線断面に対応している。
【図29】第6参考形態に係る出力軸及びクリップの平面図である。
【図30】第6参考形態に係る出力軸の平面図であり、かしめ前の状態を示している。
【図31】第6参考形態に係るクリップの平面図である。
【図32】第7参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図33、図34、図35、図36、図37のX12−X12線断面に対応している。
【図33】第7参考形態に係る出力軸の平面図である。
【図34】第7参考形態に係る出力軸の斜視図である。
【図35】第7参考形態に係るクリップの平面図である。
【図36】第7参考形態に係るハウジングの平面図である。
【図37】第7参考形態に係るハウジングの斜視図である。
【図38】第8参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図39、図40のX14−X14線断面に対応している。
【図39】第8参考形態に係る出力軸及びハウジングの平断面図であり、図38、図40のX13−X13線断面に対応している。
【図40】第8参考形態に係る出力軸の斜視図である。
【図41】第9参考形態に係るステアリング装置の要部拡大図であり、図42、図43のX15−X15線断面に対応している。
【図42】第9参考形態に係る出力軸の斜視図である。
【図43】第9参考形態に係るハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪第1実施形態≫
第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0014】
≪ステアリング装置の構成≫
図1に示す第1実施形態に係る車両用ステアリング装置(以下、ステアリング装置300)は、四輪車等の車両に搭載されており、電動式パワーステアリング装置であって、車両の操舵輪(車輪)を操舵する装置である。ステアリング装置300は、本発明に係る回転構造体が組み込まれた装置であって、回転伝達機構310と、ギヤボックス320と、出力伝達機構(図示しない)と、トルク検出装置330と、クリップ50Aと、補助力発生装置340と、制御装置350と、を備えている。
【0015】
<回転伝達機構>
回転伝達機構310は、運転者(操作者)の操舵力をギヤボックス320に伝達する機構である。回転伝達機構310は、ステアリングホイール311と、ステアリング軸312と、を備えている。ステアリングホイール311は、運転者(操作者)が加える操舵力によって回転するホイールである。ステアリング軸312は、ステアリングホイール311と、入力軸10とを連結している。そして、ステアリングホイール311の回転力は、ステアリング軸312を介して、入力軸10に伝達されるようになっている。
【0016】
<ギヤボックス>
ギヤボックス320は、回転伝達機構310からの回転運動を往復運動に変換する機構である。ギヤボックス320は、回転軸321(回転部品)と、ラック・ピニオン機構322と、ケース323と、を備えている。
【0017】
回転軸321は、回転伝達機構310からの操舵力が伝達される入力軸10(第2回転体)と、トーションバー20と、出力軸30(第1回転体)と、を備えている。トーションバー20は、入力軸10と出力軸30とを相対回転可能に連結している。そして、出力軸30は、トーションバー20の捩れ状態の変化時には、入力軸10に対して相対回転変位(又は、相対角度)を有した状態で回転するようになっている。
なお、入力軸10、トーションバー20、出力軸30は、同一の回転軸線L上に配置されている。また、入力軸10と出力軸30との軸方向における相対位置(距離)は、一定となっている。
【0018】
ラック・ピニオン機構322は、出力軸30の回転に基づいて、操舵輪を操舵するための駆動力を出力伝達機構(図示しない)に出力する機構である。ラック・ピニオン機構322は、出力軸30に設けられたピニオン322aと、ピニオン322aと噛合するラックが設けられたラック軸322bと、を備えている。ラック軸322bは、ピニオン322aにより駆動されて自動車の左右方向に往復運動し、この往復運動は前記出力伝達機構を構成するタイロッドに伝達されるようになっている。
【0019】
ケース323は、回転軸321と、ラック・ピニオン機構322と、トルク検出装置330と、を収容している。ケース323は、第1ケース323aと、第2ケース323bと、を備えている。第1ケース323aは、入力軸10を回転可能に支持しており、第2ケース323bは、出力軸30を回転可能に支持すると共に、ラック・ピニオン機構322を収容している。また、第2ケース323bは、車体への取付部(図示しない)を有している。
なお、第1ケース323aと第2ケース323bとは、各端部同士を互いにボルトにより軸方向(図1の上下方向)において結合されることで一体化されている。
【0020】
<トルク検出装置、クリップ>
トルク検出装置330は、トーションバー20の捩れにより生じる入力軸10と出力軸30との相対的な回転変位に基づいて、操舵トルクを検出する装置である。トルク検出装置330は、磁石331と、検出器332(固定部品)と、を備えている。
【0021】
磁石331は、環状を呈しており、入力軸10に取付部材331aを介して、入力軸10に外嵌固定されている(図2参照)。よって、磁石331は、入力軸10と一体に回転するようになっている。
【0022】
検出器332は、環状を呈しており、クリップ50Aを介して、出力軸30に外嵌固定されている。よって、検出器332は、出力軸30と一体に回転するようになっている。
【0023】
なお、磁石331、検出器332の回転軸線は、前記した回転軸線Lと一致している。また、磁石331は、入力軸10及び出力軸30の周辺で、入力軸10及び出力軸30の周囲または径方向外方に配置された周辺部品である。
【0024】
検出器332は、出力軸30に対する入力軸10(磁石331)の相対回転変位を検出する検出器本体333と、ハウジング100と、を備えている。
【0025】
検出器本体333は、前記した特許文献2,3に開示されたトルク検出装置と同様の原理を利用するものであって、入力軸10と出力軸30との相対回転変位による磁石331からの磁束の変化を検出するための磁気検出素子と、この磁気検出素子に接続されたヨークと、この磁気検出素子の検出信号に基づいて操舵トルクを算出すると共に算出結果を制御装置350に出力するマイクロプロセッサを有する信号処理部と、を備えている。なお、磁気検出素子は、例えば、磁気抵抗素子から構成される。
【0026】
ハウジング100は、非磁性材料である樹脂(例えば熱可塑性樹脂)製の環状部品であって、検出器本体333をモールドし内包している。また、ハウジング100は、その径方向内側に円筒状のハブ部110(円筒体)を有しており(図2参照)、ハブ部110は、出力軸30と同軸でその外側に配置され、出力軸30の円筒部31に外嵌(外挿)している。
【0027】
クリップ50Aは、非磁性材料の金属から形成された部品であって、ハブ部110の下端部を挟みつつ、出力軸30を径方向内側に圧接している。これにより、ハウジング100(検出器332)は、出力軸30に固定されている。
なお、具体的なクリップ50Aの構成は、後で説明する。また、トルク検出装置330が磁気を利用しない装置であれば、クリップ50Aが磁性材料から形成されてもよい。
【0028】
<出力伝達機構>
出力伝達機構(図示しない)は、ギヤボックス320からの往復運動を、操舵輪に伝達する機構である。出力伝達機構は、ラック軸322bと操舵輪を連結するタイロッド(図示しない)を備えている。そして、ラック軸322bの往復運動がタイロッドを介して操舵輪に伝達し、操舵輪が操作されるようになっている。
【0029】
<補助力発生装置>
補助力発生装置340は、運転者がステアリングホイール311に加える操舵力を軽減する操舵補助力を発生する装置である。補助力発生装置340は、電動モータ341(アクチュエータ)と、ウォームギヤ342(伝達機構)と、を備えている。
【0030】
電動モータ341は、操舵補助力を発生するモータであり、制御装置350によって制御されるようになっている。なお、電動モータ341は、第2ケース323bに取り付けられている。
【0031】
ウォームギヤ342は、電動モータ341のトルクを出力軸30に伝達する伝達機構であって、第2ケース323bに収容されている。ウォームギヤ342は、電動モータ341の出力軸と一体に回転するウォーム342aと、ウォーム342aに噛合するウォームホイール342bと、を備えている。なお、ウォームホイール342bは、出力軸30に外嵌されており、出力軸30と一体である。
【0032】
<制御装置>
制御装置350は、トルク検出装置330から入力される操舵トルクに基づいて、電動モータ341を制御する装置である。
【0033】
≪ステアリング装置の動作概要≫
ここで、ステアリング装置300の動作概要を説明する。
運転者がステアリングホイール311に加えた操舵力により発生する操舵トルクが入力軸10に伝達されると、操舵輪に作用する路面抵抗に起因して、入力軸10はトーションバー20に捩りを生じさせつつ出力軸30を回転させる。そして、出力軸30に設けられたピニオン322aにより、ラック軸322bが車体の左右方向に往復運動し、操舵輪が操作されるようになっている。
【0034】
これと同時に、トルク検出装置330は、操舵トルクを検出し、これを制御装置350に出力する。そして、制御装置350は、操舵トルクに応じた補助力が発生するように電動モータ341を制御し、電動モータ341の補助力がウォームギヤ342、出力軸30及びピニオン322aを介してラック軸322bに伝達されて、運転者の操舵力が軽減されるようになっている。
【0035】
≪出力軸、クリップの詳細構成≫
続いて、出力軸30と、クリップ50Aの構成について、図2〜図6を参照して、詳細に説明する。
【0036】
なお、ここでは、「出力軸30(第1回転体)及び検出器332(固定部品)の一方」が検出器332であり、「出力軸30(第1回転体)及び検出器332(固定部品)の他方」が出力軸30である構成を例示するが、逆の構成でもよい。
また、以下説明において、軸方向は、回転軸線Lと平行な方向(図1等の上下方向)である。さらに、径方向及び周方向は、それぞれ、回転軸線Lを中心とする径方向及び周方向である。
【0037】
<出力軸>
出力軸30は、その全周に亘って径方向内側に凹むことで形成された周溝32を有している。周溝32の底には底面32aが形成されている。また、周溝32の上壁面32b(第2クリップ軸方向当接部)は、径方向外側に向かって溝幅が大きくなるように徐々に上方に傾斜している。
【0038】
出力軸30は、周溝32の下方において、径方向外側に延出するフランジ33(第2クリップ周方向当接部)、を有している。フランジ33の上面であるフランジ面33a(第2クリップ軸方向当接部)には、後記する圧接片52の底壁部52aが当接している。
【0039】
フランジ33には、径方向内側に切り欠かれた2つの切欠部33bが形成されている。2つの切欠部33bは、後記する2つの係止片53に対応して、平面視において、180°間隔で配置されている(図3参照)。そして、各切欠部33bには、係止片53が差し込まれており、フランジ33は係止片53を周方向において係止(拘束)している。
【0040】
<クリップ>
クリップ50Aは、外観が円筒状の部品であって、外壁部を構成する円筒部51(固定部、基部)と、4本の圧接片52と、2本の係止片53(第1クリップ周方向当接部)と、を備えている。ただし、圧接片52、係止片53の数はこれに限定されない。また、クリップ50Aは、筒状に限定されず、例えば、平断面視で「C」字形でもよい。
【0041】
円筒部51は、ハウジング100を構成するハブ部110の下端部の外表面に、接着剤(固定手段)で固定されている。これにより、クリップ50Aとハウジング100(検出器332)とは一体である。ただし、固定方法はこれに限定されない。
【0042】
4本の圧接片52は、平面視において、等間隔で配置されている(図5参照)。2本の係止片53は、等間隔で配置されると共に、周方向において隣り合う圧接片52、52の間に配置されている。ただし、圧接片52、係止片53の位置はこれに限定されない。
【0043】
各圧接片52は、円筒部51の下端側(一端側)から径方向内側に延びる底壁部52aと、底壁部52aの径方向内側縁から上方に延びる圧接爪52b(固定手段)と、を備えている。ここで、このような圧接片52は、クリップ50Aの母材となる円筒体を適宜に切断、打ち抜きして、円筒部51から下方に延びる突出片を形成し、この突出片を適宜に径方向内側に折り曲げることにより形成される。
【0044】
底壁部52aの径方向長さは、ハウジング100を構成する前記したハブ部110の厚さと略等しく、ハウジング100のハブ部110が、クリップ50Aの円筒部51と圧接爪52bとの間に差し込まれている。
なお、底壁部52aの径方向長さを、ハブ部110の厚さよりもやや小さく構成すれば、ハブ部110が差し込まれた場合、圧接爪52bが径方向内側に移動するので、圧接爪52bの圧接力を大きくできる。
【0045】
圧接爪52bは上下方向における略中央が径方向内側に突出するように屈曲しており、圧接爪52b全体は径方向においてばね力を有している。そして、このようにばね力を有する圧接爪52bは、周溝32の底面32aを径方向内側に圧接している。これにより、クリップ50Aと、出力軸30とが固定されている。
また、圧接爪52bの先端(上端、軸方向規制部)は、周溝32を囲む壁面である上壁面32bに当接している。
【0046】
各係止片53は、円筒部51の下端側(一端側)から軸方向下方に延び、前記した各切欠部33bに差し込まれることで、フランジ33に当接し、フランジ33に周方向において係止される部分である。
各係止片53は、円筒部51の下端から下方に延びるように形成されると共に、その周方向両側に半円弧状で湾曲形成された当接部53a、53aを有している。これにより、各当接部53aは周方向においてばね力を有し、このばね力を有する当接部53a、53aが、切欠部33bの拡がる方向にフランジ33を押圧しつつ、フランジ33に当接するので、各係止片53は、フランジ33により周方向において良好に拘束されている。
【0047】
<組み付け方法>
ここで、クリップ50Aの一組み付け方法を説明する。
クリップ50Aを出力軸30に外挿し、圧接片52の圧接爪52bを径方向外側に弾性変形させつつ、クリップ50Aを押し下げていく。そして、圧接爪52bが周溝32に差し掛かると、圧接爪52bが径方向内側に移動(縮径)し、圧接爪52bが底面32aを圧接する。
【0048】
その後、ハブ部110を出力軸30に外挿し、ハブ部110を押し下げていく。そして、ハブ部110の下端部を、クリップ50Aの円筒部51と圧接爪52bとの間に差し込んだ後、さらに、ハブ部110を押し下げ、ハブ部110の下端面を、クリップ50Aの底壁部52aに当接させる。
【0049】
その後、クリップ50Aの円筒部51とハブ部110とを接着剤(固定手段)で固定する。この他、クリップ50Aの円筒部51をハブ部110に固定した後、ハブ部110を押し下げる方法でもよい。
【0050】
≪第1実施形態の作用効果≫
次に、第1実施形態の作用効果を説明する。
【0051】
<通常時>
まず、クリップ50Aが経年劣化等しておらず、出力軸30とクリップ50Aとの間に緩みが発生していない通常時を説明する。4本の圧接片52は、出力軸30に係る周溝32の底面32aを径方向内側に圧接(押圧)している。これにより、クリップ50Aと出力軸30とは軸方向及び周方向において固定される。
【0052】
<緩み発生時−軸方向規制>
次に、出力軸30とクリップ50Aとの間に緩みが発生した場合において、出力軸30とクリップ50Aとの間における軸方向の相対的な移動の規制を説明する。なお、例えば、経年劣化等により出力軸30の底面32aが磨耗した場合や、圧接爪52bのばね力(圧接力)が小さくなった場合、出力軸30とクリップ50Aとの間に緩みが発生する。
【0053】
圧接爪52bの先端(上端)が、周溝32の上壁面32bに当接しているので、クリップ50Aと出力軸30とが軸方向において相対的に離間する方向に移動することはない。また、底壁部52aが、フランジ33のフランジ面33aに当接しているので、クリップ50Aと出力軸30とが軸方向において相対的に接近する方向に移動することはない。
【0054】
<緩み発生時−周方向規制(相対回転阻止)>
次に、出力軸30とクリップ50Aとの間に緩みが発生した場合において、出力軸30とクリップ50Aとの間における周方向の相対的な移動の規制を説明する。
係止片53がフランジ33の切欠部33bに差し込まれているので、クリップ50Aと出力軸30とが相対的に周方向に移動すること、つまり、相対回転することはない。
【0055】
<まとめ>
このようにして、出力軸30とクリップ50Aとの間に緩みが発生したとしても、出力軸30とクリップ50Aとは軸方向及び周方向において相対的に移動せず、バックアップされ、フェールセーフする。
また、クリップ50Aは、軸方向移動を規制する機能と、相対回転を規制する機能とを備えるので、機能毎に別々に部品を備える構成に対して、部品点数が少なくなる。
さらに、圧接機能を有する圧接爪52bの先端が、軸方向移動を規制する機能も備えるので、クリップ50Aの構成は簡便となる。
さらにまた、クリップ50Aは、圧接爪52bも備えるので、圧接爪52bが別部品である構成に対して、部品点数が少なくなる。
【0056】
≪第1実施形態−変形例≫
以上、本発明の一形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、後記する形態の構成と適宜に組み合わせてもよいし、また、次のように変更してもよい。なお、後記する形態についても同様である。
【0057】
前記した第1実施形態では、クリップ50Aが、軸方向の移動を規制する圧接爪52bと、周方向の移動を規制する係止片53とを備える構成を例示したが、圧接爪52b及び係止片53のいずれか一方のみを備える構成でもよい。すなわち、クリップ50Aが、軸方向移動規制機能及び周方向移動規制機能のいずれか一方のみを備える構成でもよい。
【0058】
前記した第1実施形態では、クリップ50Aがハブ部110に固定された構成を例示したが、クリップ50Aが出力軸30に固定された構成でもよい。この場合において、圧接爪52bでハブ部110の外周面を径方向内側に圧接する構成、圧接爪52bでハブ部110の内周面を径方向外側に圧接する構成、圧接爪52bをハブ部110の径方向両側に配置し、両側に配置された圧接爪でハブ部110を両側から圧接する構成、等に変更できる。
これと同様に、係止片53もハブ部110の外側/内側のいずれにも変更できる。
また、このような構成とする場合、ハブ部110の剛性を高めるべく、ハブ部110を非磁性の金属で形成することが望ましい。
【0059】
前記した第1実施形態では、クリップ50Aが筒状(環状)である構成を例示したが、その他の形状でもよい。例えば、クリップ50Aが平面視において円弧状であり、1本の圧接片52と1本の係止片53とを備える構成でもよい。
【0060】
前記した第1実施形態では、係止片53が切欠部33bに差し込まれた構成を例示したが、その他に例えば、フランジ面33aに2つの突出体を形成し、2つの突出体が係止片53を周方向において挟み、係止片53が2つの突出体に周方向において当接する構成でもよい。
【0061】
前記した第1実施形態では、クリップ50Aが圧接爪52bを備え、この圧接爪52bによって、クリップ50Aがハブ部110と出力軸30とを一体化させる機能を有する構成を例示したが、クリップ50Aが圧接爪52bを備えず、ハブ部110と出力軸30とを一体化させる機能は別部品による構成でもよい。
【0062】
前記した第1実施形態では、第1回転体が出力軸30であり、固定部品が検出器332である構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第1回転体が入力軸10であり、固定部品が磁石331である構成でもよい。
【0063】
前記した第1実施形態では、ハウジング100(検出器本体333)と出力軸30との取付構造に本発明を適用したが、その他の構造に適用してもよい。例えば、モータの出力軸の回転角を検出するレゾルバ(回転角センサ)の取付構造や、車両の駆動軸とこの駆動軸に取り付けられたセンサとの取付構造に、本発明を適用してもよい。また、適用分野は車両に限定されず、その他の分野に適用してもよい。
【0064】
≪第1参考形態≫
次に、第1参考形態について、図7〜図11を参照して説明する。なお、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0065】
<出力軸>
第1参考形態に係る出力軸30は、その上端側に円筒部31を有している。なお、円筒部31の外周面には、後記するクリップ50Bの圧接爪55aが圧接している。
【0066】
円筒部31の外周面には、1本のキー溝34が形成されている。キー溝34は、軸方向に延びると共に、その上方及び径方向外方は開放されている。そして、キー溝34に、後記するクリップ50Bのキー56が差し込まれている。
【0067】
また、キー溝34の底面には、略半球状の半球穴34aが形成されている。そして、半球穴34aに、後記するキー56の半球部56aが内嵌している。
【0068】
<クリップ>
第1参考形態に係るクリップ50Bは、出力軸30と同軸でその外側に配置されたリング状の取付部54(固定部)と、9本の圧接片55と、1本のキー56(軸方向片)と、を備えている(図9参照)。ただし、圧接片55とキー56の数はこれに限定されない。また、取付部54はリング状に限定されず、例えば、平面視で「C」字形でもよい。
【0069】
取付部54は、ハウジング100の上面に取付固定された部分である。取付部54には、周方向において等間隔で配置された10個の貫通孔54aが形成されている。ただし、貫通孔54aの数・位置は、これに限定されない。
【0070】
各貫通孔54aは周方向に長孔であり、各貫通孔54aをハウジング100の被かしめ部121が挿通し、被かしめ部121とハウジング100とが取付部54を挟持している。これにより、クリップ50Bとハウジング100とは一体となっている。
なお、被かしめ部121は、貫通孔54aに挿通されたハウジング100の一部である樹脂製のボス(図示しない)を、熱かしめ、つまり、前記ボスを加熱し、塑性変形させることで形成される。
ただし、取付部54とハウジング100との固定方法はこれに限定されず、その他に例えば、接着剤等で固定してもよい。
【0071】
9本の圧接片55と1本のキー56とは、周方向において、等間隔で配置されている(図9参照)。ただし、圧接片55、キー56の配置は、これに限定されない。
【0072】
各圧接片55は、取付部54の内周縁から下方に延びており、その略中央に、その一部が径方向内側に切り起して形成され、径方向においてばね力を有する圧接爪55aを備えている(図10参照)。
【0073】
圧接爪55aは、円筒部31の外周面を径方向内側に圧接している。これにより、クリップ50Bと出力軸30とが固定されている。
また、圧接爪55aは、側断面視において、上方に向かうにつれて、大きく起され、徐々に縮径している。これにより、圧接爪55aを弾性変形させつつクリップ50Bを出力軸30に外挿し装着し易いものの、一旦装着されると、圧接爪55aのエッジが引っ掛かることにより、クリップ50Bは出力軸30から抜け難くなっている。
なお、このような圧接片55は、取付部54の内周縁から径方向内側に延びる突出片55fを下方に折り曲げることで形成される(図11参照)。
【0074】
キー56は、取付部54の内周縁から軸方向下方に延びた部分であり(図10参照)、キー溝34に差し込まれ、嵌入している。そして、キー56は、キー溝34の周方向両側の円筒部31に当接・挟持され、周方向において係止(拘束)されている。
【0075】
また、キー56は、その略中央に、径方向内側に半球状で突出した1つの半球部56aを備えており、半球部56aは前記した半球穴34aに内嵌(嵌入)しており、軸方向及び周方向において係止されている。ただし、キー56における半球部56aの数は複数でもよく、軸方向及び/又は周方向に多段で配置してもよい。
【0076】
なお、このようなキー56は、圧接片55と同様に、取付部54の内周縁から径方向内側に延びる突出片56fを下方に折り曲げることで形成される(図11参照)。また、半球部56aは、例えば、前記突出片56fを折り曲げる前に、この突出片56fをプレス加工することで形成される。
【0077】
≪第1参考形態の作用効果≫
次に、第1参考形態の作用効果を説明する。
【0078】
<通常時>
9本の圧接爪55aが、出力軸30の円筒部31の外周面を径方向内側に圧接(押圧)している。これにより、クリップ50Bと出力軸30とは軸方向及び周方向において固定される。
【0079】
<緩み発生時−軸方向規制>
キー56の半球部56aが、キー溝34の半球穴34aに内嵌しているので、クリップ50Bと出力軸30とが軸方向において相対的に離間/接近する方向に移動することはない。
また、クリップ50Bと出力軸30とが軸方向において相対的に接近する方向に移動した場合、ハブ部110の下端がフランジ33のフランジ面33aに当接するので、その後にさらに、相対的に接近する方向に移動することはない。
【0080】
<緩み発生時−周方向規制>
キー56がキー溝34に差し込まれ、半球部56aが半球穴34aに内嵌しており、キー56及び半球部56aが円筒部31に周方向において係止されているので、クリップ50Bと出力軸30とが相対的に周方向に移動することはない。
【0081】
<まとめ>
このように、半球部56aを有するキー56が、軸方向への移動を規制する機能と、周方向への移動を規制する機能を発揮するので、各機能を別の部分で発揮するクリップに対して、クリップ50Bの構成は簡便となる。
【0082】
≪第1参考形態−変形例≫
前記した第1参考形態では、キー56がキー溝34に差し込まれた構成を例示したが、その他に例えば、円筒部31の外周面に2つの突出体を形成し、2つの突出体がキー56を周方向において挟み、キー56が2つの突出体に周方向において当接する構成でもよい。
【0083】
≪第2参考形態≫
次に、第2参考形態について、図12〜図14を参照して説明する。なお、第1参考形態と異なる部分を説明する。
【0084】
<出力軸−軸方向係止用の周溝>
第2参考形態に係る円筒部31の外周面には、周方向に延びる周溝35が形成されている。周溝35の周方向長さは、後記する当接爪57aに対応した長さとなっている。
また、第2参考形態に係る円筒部31の外周面には、第1参考形態と同様に、キー溝34が形成されているが、その底面に半球穴34a(図7、図8参照)は、形成されていない。
【0085】
<クリップ>
第2参考形態に係るクリップ50Cは、第1参考形態に係るクリップ50Bと同様に、取付部54と、8本の圧接片55と、1本のキー56Aと、1本の当接片57と、を備えている。ただし、キー56Aは、半球部56a(図10参照)を備えていない。また、圧接片55、キー56A、当接片57の数はこれに限定されない。
【0086】
1本の当接片57は、8本の圧接片55と同様の構成であるものの、圧接爪55aに代えて、切り起し量の大きい当接爪57aを備えている。すなわち、径方向における当接爪57aの突出量は、圧接爪55aの突出量よりも大きい(図14参照)。つまり、圧接爪55a及び当接爪57aは、取付部54から軸方向に延びる軸方向片(圧接片55、当接片57)の一部が切り起されて構成された切り起し爪であって、他よりも切り起し量の大きい切り起し爪は当接爪57a(係止爪)を構成し、その他は圧接爪55aを構成している。そして、当接爪57aは、周溝35の上壁面35aに当接している。
なお、平面視において、当接片57は、キー56Aの対向位置に配置されている。また、当接片57は、圧接片55と同様の工程(切断工程、折り曲げ工程)によって作製される。
【0087】
≪第2参考形態の作用効果≫
次に、第2参考形態の作用効果を説明する。
当接片57と圧接片55とは、同様の形状であって、当接爪57aと圧接爪55aとの突出量(切り起し量)が異なるのみであるので、当接片57と圧接片55とを同様の工程で作製できる。
【0088】
当接片57の当接爪57aが、周溝35の上壁面35aに当接し係止しているので、クリップ50Cと出力軸30とが相対的に離間する方向に移動することはない。
【0089】
≪第3参考形態≫
次に、第3参考形態について、図15〜図20を参照して説明する。なお、第1参考形態と異なる部分を説明する。
【0090】
<出力軸>
第3参考形態に係る円筒部31の外周面には、切欠深さの小さい第1切欠部36と、切欠深さの大きい第2切欠部37とが形成されている。なお、第1切欠部36及び第2切欠部37は、平面視において、「D」字形を呈しており、「Dカット」と称されるものである。
【0091】
そして、出力軸30の上端から、第1切欠部36、第2切欠部37の順で連続して配置され、第1切欠部36と第2切欠部37との間に、下方に向かうにつれて徐々に縮径するテーパ面(傾斜面)からなる段差面37cが形成されている。
【0092】
第1切欠部36の底面36a(当接面)、第2切欠部37の底面37a(当接面)は、いずれも接線方向に延びており、径方向に直交した平面となっている。
【0093】
第1切欠部36の底面36aの大きさ、つまり、第1切欠部36の切欠深さは、底面36aに当接する第1当接部61が周方向に係止され、出力軸30とクリップ50Dとが相対回転しない程度に設計されている。
【0094】
第2切欠部37の底面37aの大きさ、つまり、第2切欠部37の切欠深さは、底面37aに当接する第2当接部62の当接爪62aが周方向に係止され、出力軸30とクリップ50Dとが相対回転しない程度に設計されている。
この他、第2切欠部37を「Dカット」で形成せず、接線方向において、当接爪62aの長手方向に対応した溝状に形成し、接線方向において、円筒部31が当接爪62aをその両側から挟持する構成としてもよい。
【0095】
<クリップ>
第3参考形態に係るクリップ50Dは、取付部54と、9本の圧接片59と、1本の当接片60と、を備えている(図18参照)。ただし、圧接片59、当接片60の数は、これに限定されない。
【0096】
各圧接片59は、取付部54の内周縁から下方に延びており(図19参照)、その中間位置において、鈍角で径方向内側に屈曲しており、圧接片59全体が、径方向においてばね力を有している。
なお、圧接片59は、取付部54の内周縁から径方向内側に延びる突出片59fを下方に折り曲げることで形成される(図20参照)。また、圧接片59は、圧接爪55a(図10参照)を有さないので、圧接片55よりも容易に作製される。
【0097】
当接片60は、取付部54の内周縁から下方に延びる片であって(図19参照)、取付部54から順に、第1当接部61(クリップ径方向当接部)と、第2当接部62(クリップ径方向当接部)と、を備えている。ただし、当接部の数はこれに限定されない。
なお、このような当接片60は、取付部54の内周縁から径方向内側に延びる突出片60fを下方に折り曲げ加工等することで形成される(図20参照)。
【0098】
第1当接部61は、側断面視において、その中間位置が径方向内側に突出するように鈍角で屈曲している。第1当接部61(詳細には、屈曲することで形成された径方向内側の稜線である第1当接稜線)は、前記した第1切欠部36の底面36aに当接している。第1当接部61の接線方向長さは、第1当接部61と底面36aとの当接により、第1当接部61が周方向に係止される程度の長さである。
【0099】
第2当接部62は、その略中央に、その一部が径方向内側に切り起して形成された当接爪62aを備えている。当接爪62aは、前記した第2切欠部37の底面37aに当接している。当接爪62aの接線方向長さは、当接爪62aと底面37aとの当接により、当接爪62aが周方向に係止される程度の長さである。
【0100】
また、当接爪62aは、前記した段差面37cにも当接し、軸方向において、段差面37cに係止されている。
【0101】
≪第3参考形態の作用効果≫
次に、第3参考形態の作用効果を説明する。
第2当接部62の当接爪62aが、段差面37cに当接し、軸方向において段差面37cに係止されているので、クリップ50Dと出力軸30とが軸方向において相対的に離間する方向に移動することはない。
【0102】
また、第1当接部61が底面36aに当接し、第2当接部62の当接爪62aが底面37aに当接しているので、クリップ50Dと出力軸30とが相対的に周方向に移動することはない。すなわち、1本の当接片60が、周方向への移動を規制するための第1当接部61と当接爪62aとを備えるので、周方向への移動がさらに好適に規制される。
【0103】
≪第3参考形態−変形例≫
前記した第3参考形態では、第1当接部61と底面36aとが、「線と面」で当接する構成を例示したが、その他に例えば、「面と面」で当接するように、第1当接部61の径方向内側を面状にしてもよい。当接爪62aについても同様である。
【0104】
≪第4参考形態≫
次に、第4参考形態について、図21〜図25を参照して説明する。なお、第2参考形態と異なる部分を説明する。
【0105】
<出力軸>
第4参考形態に係る出力軸30は、フランジ33のやや上方に、周方向に延びる長穴38を有している。そして、長穴38には、後記する係止爪65aが差し込まれている。
【0106】
<クリップ>
第4参考形態では、クリップ50E(第2クリップ)と、1つのクリップ50F(第1クリップ)と、を備えている。
【0107】
クリップ50Eは、第2参考形態に係るクリップ50Cに係るキー56A及び当接片57を備えておらず(図13参照)、10本の圧接片55を備えている(図24参照)。
【0108】
クリップ50Fは、平面視において、クリップ50Eの1本の圧接片55と重なる位置に配置されている(図21、図22参照)。クリップ50Fは、側断面視において、U字形を呈する部品であって、ハブ部110の下端部を下方から挟んでいる。
ただし、クリップ50Fの数は1つに限定されず、その他に例えば、周方向に等間隔で複数配置してもよい。また、周方向に等間隔で複数配置されるクリップ50Fを一体に形成し、筒状のクリップとしてもよい。
【0109】
クリップ50Fは、円弧状の底壁部63と、底壁部63の外縁から上方に延びる外壁片64と、底壁部63の内縁から上方に延びる内壁片65と、を備えている(図25参照)。そして、外壁片64と内壁片65との間に、ハブ部110の下端部が差し込まれ、ハブ部110の下端部は底壁部63に当接している。
なお、外壁片64とハブ部110とは、接着剤で固定されており、これにより、クリップ50Fとハブ部110とは一体となっている。
【0110】
内壁片65の一部は、径方向内側に切り起こされ、この切り起された部分が係止爪65aを構成している。そして、係止爪65aが長穴38に差し込まれており、軸方向及び周方向において出力軸30に当接し係止されている。
すなわち、クリップ50Fは、ハブ部110の外周面の下端側(一端側)に固定された外壁片64と、外壁片64の下端から径方向内側に延びる底壁部63と、底壁部63の径方向内側端からハブ部110の上端側(他端側)に向かって延びる内壁片65と、内壁片65の一部が径方向内側に切り起されてなる係止爪65aと、を備えている。
【0111】
ここで、クリップ50Fの一組み付け方法を説明する。
クリップ50Fでハブ部110の下端部を挟み、外壁片64をハブ部110に接着剤等で固定する。そして、内壁片65を径方向外側に弾性変形させながら、ハブ部110を出力軸30に対して押し下げていく。その後、係止爪65aが長穴38に差し掛かると、内壁片65が径方向内側に移動し、係止爪65aが長穴38に差し込まれる。
その他、係止爪65aを長穴38に差し込んだ後、ハブ部110をクリップ50Fに差し込み、組み付けてもよい。
【0112】
≪第4参考形態の作用効果≫
クリップ50Fの係止爪65aが出力軸30で軸方向及び周方向において係止されているので、クリップ50Fと出力軸30とが軸方向及び周方向において相対的移動することはない。
【0113】
≪第5参考形態≫
次に、第5参考形態について、図26〜図27を参照して説明する。なお、第3参考形態(図21〜図25参照)と異なる部分を説明する。
【0114】
<クリップ>
第5参考形態に係るクリップ50Gは、リング状の取付部54と、9本の圧接片55と、1本のキー56Aと、を備えている(図27参照)。ただし、圧接片55、キー56Aの数はこれに限定されない。また、キー56Aを備えず、圧接片55のみを備えるクリップを使用してもよい。
【0115】
<溶接部>
第5参考形態では、9本の圧接片55と1本のキー56Aの合計数である「10」に対応した、10個の溶接部91を備えている。10個の溶接部91は、圧接片55又はキー56Aの上方に配置されている。ただし、溶接部91の形状・数はこれに限定されず、例えば、環状の1つの溶接部としてもよい。
【0116】
各溶接部91は、クリップ50Gの取付部54と、出力軸30の円筒部31とを跨いでおり、取付部54と円筒部31とを溶接している。これにより、取付部54(クリップ50G)と、円筒部31(出力軸30)とは、軸方向及び周方向において相対的に移動しない。
【0117】
また、円筒部31の上端面と、クリップ50Gの取付部54の上面とは、軸方向において段違いで配置されている。これにより、溶接対象である円筒部31及び取付部54の被溶接面積が大きくなり、溶接部91によって、更に強固に溶接されている。
【0118】
≪第5参考形態−変形例≫
前記した第5参考形態に係るクリップ50Gに代えて、後記するカラー200A(図38参照)を備える構成としてもよい。この構成の場合、カラー200Aとハウジング100とはモールド成形等によって一体に構成され、そして、カラー200Aが円筒部31を径方向内側に圧接することで、カラー200Aと円筒部31とが固定状態となる。
そして、溶接部91は、カラー200Aと円筒部31とを跨ぐように配置され、カラー200Aと円筒部31とを溶接する構成となる。
【0119】
≪第6参考形態≫
次に、第6参考形態について、図28〜図31を参照して説明する。
【0120】
<出力軸>
第6参考形態に係る出力軸30は、円筒部31の上面に4つの切欠部39を備えており、4つの切欠部39は、周方向において等間隔で配置されている(図30参照)。そして、各切欠部39は、後記する延出片66に対応した形状であって、平面視で略円弧状を呈しており、クリップ50Hの後記する延出片66を収容している。これにより、周方向において、延出片66と円筒部31とが当接し、クリップ50Hと出力軸30との周方向における相対移動が規制されるようになっている。
ただし、切欠部39の数、位置はこれに限定されない。
【0121】
また、出力軸30は、4つのかしめ部40(第1回転体の一部)を備えており、各かしめ部40は、切欠部39に収容された延出片66を、出力軸30とクリップ50Hとが一体となるようにかしめており、軸方向及び周方向において規制(拘束)している。このようなかしめ部40は、クリップ50Hを円筒部31に外挿した後、突出片40aを押し潰し、塑性変形させることで形成される(図30参照)。
【0122】
<クリップ>
第6参考形態に係るクリップ50Hは、リング状の取付部54と、取付部54から軸方向に延びる4本の圧接片55と、取付部54の内周縁から径方向内側に延びる4本の延出片66と、を備えている(図31参照)。ただし、圧接片55、延出片66の数はこれに限定されない。
【0123】
4本の圧接片55は周方向において等間隔で配置されており、4本の延出片66も周方向において等間隔で配置されており、さらに、延出片66は周方向において隣り合う圧接片55、55の中間位置に配置されている。つまり、周方向において、圧接片55と延出片66とは交互に並んでいる。これにより、圧接片55による圧接と、延出片66による軸方向/周方向の規制とがバランスされている。
【0124】
≪第6参考形態−変形例≫
前記した第6参考形態では、円筒部31の上面に切欠部39を形成する構成を例示したが、その他に例えば、切欠部39を形成せずに、かしめ部40と円筒部31の上面とで、延出片66を軸方向において圧接し、延出片66(クリップ50H)を軸方向及び周方向において規制する構成としてもよい。
【0125】
前記した第6参考形態では、かしめ部40が延出片66の全面を覆う構成を例示したが、その他に例えば、延出片66の周方向両端部のみを覆う構成や、延出片66の周方向中間部のみを覆う構成としてもよい。
【0126】
≪第7参考形態≫
次に、第7参考形態について、図32〜図37を参照して説明する。
【0127】
<出力軸>
第7参考形態に係る円筒部31の外周面には、径方向に延びる第1切欠部41と、平面視で「D」字形を呈し「Dカット」と称される第2切欠部42と、が形成されている(図33、図34参照)。第1切欠部41の切欠深さと、第2切欠部42の切欠深さとは同一であり、第1切欠部41の第1底面41aと第2切欠部42の第2底面42aとは、接線方向に延びる同一面上に配置されている。
なお、第1切欠部41及び第2切欠部42は、円筒部31の周壁の厚肉部分に形成されている(図33参照)。これにより、円筒部31(出力軸30)の強度が良好に確保されている。
【0128】
軸方向において、円筒部31の上端から下方に向かって、第1切欠部41、第2切欠部42の順で連続して並んでおり、第1切欠部41は、第2切欠部42の周方向中央上方に配置されている。
【0129】
<クリップ>
第7参考形態に係るクリップ50Iは、取付部54と、9本の圧接片55と、を備えている(図35参照)。すなわち、クリップ50Iは、周方向の相対移動を規制するキーを備えていない。
【0130】
<ハウジング>
ハウジング100は、そのハブ部110(円筒体)の内周面から径方向内側に膨出した第1膨出部111と、第2膨出部112と、を備えている(図36、図37参照)。
【0131】
軸方向において、上方から下方に向かって、第1膨出部111、第2膨出部112の順で並んでいる。また、径方向において、第1膨出部111の膨出長さと、第2膨出部112の膨出長さとは同一となっている。
なお、第1膨出部111及び第2膨出部112を、周方向において、それぞれ複数形成してもよい。
【0132】
なお、このような第1膨出部111及び第2膨出部112は、例えば、ハブ部110の内周面にこれらの母材となる突起を形成しておき、ハブ部110を出力軸30に外挿した後、前記突起を加熱し、溶融・変形させることにより形成される。
【0133】
そして、第1膨出部111は、第1切欠部41に差し込まれており、周方向において円筒部31に挟まれている。これにより、使用に伴って圧接片55のばね力が低下し、クリップ50Iと出力軸30との間に緩みが発生したとしても、第1切欠部41に差し込まれた第1膨出部111が周方向において円筒部31(周方向における第1切欠部41の両側部分)に当接しているので、第1膨出部111と円筒部31とが周方向において相対的に移動することはない。
【0134】
また、第2膨出部112は、第2切欠部42に差し込まれており、軸方向において円筒部31に挟まれている。これにより、クリップ50Iと出力軸30との間に緩みが発生したとしても、第2膨出部112が軸方向において円筒部31(軸方向における第2切欠部42の両側部分)に当接しているので、第2膨出部112と円筒部31とが相対的に移動することはない。
【0135】
さらに、第2膨出部112の径方向内側の先端は第2切欠部42の第2底面42aに、径方向において面と面で当接している。これと同様に、第1膨出部111の先端は第1切欠部41の第1底面41aに面と面で当接している。
これにより、第2膨出部112と第2底面42a、第1膨出部111と第1底面41aとが、周方向において、相対的に移動することはない。
【0136】
≪第7参考形態−変形例≫
前記した第7参考形態では、第1切欠部41及び第2切欠部42と、第1膨出部111及び第2膨出部112とを備える構成を例示したが、これに加えて、第3切欠部及び第3膨出部を備える構成としてもよい。
【0137】
前記した第7参考形態では、周方向において、第1切欠部41と第2切欠部42とが同位置である構成を例示したが、その他に例えば、第1切欠部41と第2切欠部42とが周方向において異なる位置でもよい。第1膨出部111等についても同様である。
【0138】
前記した第7参考形態では、周方向において、1つの第1切欠部41を備える構成を例示したが、その他に例えば、2つ以上の第1切欠部41を備える構成でもよい。第2切欠部42、第1膨出部111等についても同様である。
【0139】
前記した第7参考形態では、出力軸30側に第1切欠部41等を形成し、ハブ部110側に第1膨出部111等を形成した構成を例示したが、逆の構成としてもよい。すなわち、出力軸30側に第1膨出部111等を形成し、ハブ部110側に第1切欠部41等を形成した構成としてもよい。
【0140】
≪第8参考形態≫
次に、第8参考形態について、図38〜図40を参照して説明する。
【0141】
<入力軸>
第8参考形態に係る入力軸10は、その外周面から径方向外側に突出した環状のフランジ11を有している。
【0142】
フランジ11は、軸方向において、後記するカラー200Aの上端面に対向するように配置されている。
フランジ11の外径d1は、後記するカラー200Aの内径d2よりも大きく構成されている。これにより、カラー200Aが上方に移動した場合、カラー200Aがフランジ11に当接するようになっている。
【0143】
フランジ11とカラー200Aとの距離e1は、磁石331とハウジング100との距離e2よりも小さくなっている。これにより入力軸10とハウジング100とが相対的に接近する方向に移動した場合、フランジ11とカラー200Aとが最初に当接するようになっている。
【0144】
<出力軸>
第8参考形態に係る出力軸30は、円筒部31とフランジ33との間に、円筒部31よりも大径の大円筒部44を備えている。すなわち、第8参考形態において、円筒部31は、大円筒部44よりも外径の小さい小円筒部を構成している。
大円筒部44の外周面には、軸方向に延びる1本のキー溝45が形成されている(図40参照)。ただし、周方向におけるキー溝45の数はこれに限定されない。
また、大円筒部44の上面には、段差面44aが形成されている。
【0145】
<カラー>
第8参考形態では、円筒状のカラー200Aを備えている。カラー200Aは、非磁性材料の金属から形成された部品であって、ハウジング100のハブ部110にインサート成形(モールド成形)され、カラー200Aとハブ部110とは強固に一体となっている。この他、カラー200Aとハブ部110とが接着されたことで一体となってもよい。また、カラー200Aは磁性材料(鉄等)から形成された構成でもよい。
【0146】
また、カラー200Aは、出力軸30の円筒部31に外嵌し、円筒部31を径方向内側に圧接しており、カラー200Aと円筒部31との間における摩擦力により、カラー200Aと円筒部31とは一体となっている(図40参照)。
【0147】
なお、このようなカラー200Aは、例えば、インサート成形等によってハブ部110と一体に構成された後、円筒部31の上端から、円筒部31に圧入される。このようにカラー200Aを圧入する場合、軸方向において、後記するキー突条114がキー溝45に差し込まれると略同時に、カラー200Aが円筒部31に圧入する構成であるので、カラー200Aの装着に伴ってハブ部110が軸方向で変形し難く、カラー200Aの装着後における出力軸30と検出器本体333との相対位置が、高精度で確保され易くなっている。
これに対して、後記する第9参考形態のように、カラー200Bの円筒部31への圧入前からキー突条114をキー溝46に軸方向で押し下げる構成では(図41〜図43参照)、カラー200Bの押し下げに伴ってハブ部110のキー突条114側が上方に変形し、カラー200Bの装着後における出力軸30と検出器本体333との相対位置がずれる虞がある。
【0148】
<ハウジング>
ハウジング100のハブ部110の下部の内周面には、軸方向に延びると共に径方向内側に突出したキー突条114が形成されている。キー突条114は、前記したキー溝45に差し込まれ、嵌入しており(図39参照)、周方向においてキー突条114は大円筒部44に当接している。ただし、周方向において、キー突条114と大円筒部44との間に若干の隙間(±1°)が形成された構成でもよい。
【0149】
≪第8参考形態の作用効果≫
次に、第8参考形態の作用効果を説明する。
【0150】
<通常時>
カラー200Aが円筒部31の外周面全体を圧接し、カラー200Aと円筒部31との間の摩擦力により、カラー200Aと円筒部31とは一体となっている。これにより、カラー200Aと出力軸30とは軸方向及び周方向において固定される。
なお、カラー200Aにより径方向内向きの圧接力を受ける円筒部31には、キー溝45が形成されていない。これにより、カラー200A及びハブ部110に応力が集中せず、円筒部31、カラー200A及びハブ部110の耐久性は高められている。
【0151】
<緩み発生時−軸方向規制>
次に、カラー200Aと円筒部31との間に緩みが発生した緩み発生時を説明する。
カラー200Aと出力軸30とが相対的に離間する方向に移動した場合、カラー200Aの上端が、入力軸10のフランジ11に当接し、軸方向における相対移動は規制される。
【0152】
この場合において、カラー200Aがフランジ11に当接する前に、ハウジング100と磁石331とが当接しないので、ハウジング100及び磁石331が損傷することはない。また、フランジ11を出力軸30でなく、入力軸10に形成しているので、出力軸30の設計の自由度が大きくなる。
【0153】
一方、カラー200Aと出力軸30とが相対的に接近する方向に移動した場合、ハブ部110の下端がフランジ33に当接する前に、カラー200Aの下端が、大円筒部44の上面である段差面44aに当接する。これにより、ハブ部110の下端の損傷を防止しつつ、軸方向における相対移動を規制できる。
また、キー突条114の下端がキー溝45の下端面に当接させて、軸方向における相対移動を規制する構成としてもよい。
【0154】
<緩み発生時−周方向規制>
キー突条114が、キー溝45に差し込まれ、周方向において大円筒部44に当接しているので、ハブ部110と出力軸30との周方向における相対移動は規制される。
【0155】
≪第8参考形態−変形例≫
前記した第8参考形態では、出力軸30側にキー溝45を形成し、ハブ部110側にキー突条114を形成した構成を例示したが、逆の構成としてもよい。すなわち、出力軸30側にキー突条114を形成し、ハブ部110側にキー溝45を形成した構成でもよい。
【0156】
前記した第8参考形態に係るカラー200Aに代えて、後記する第9参考形態に係るカラー200Bを備える構成としてもよい。このような構成とすれば、カラー200Bの下端部には、後記するように薄肉部210が形成され、薄肉部210における内径は他部分(薄肉部210の上部)よりも大きくなっているので、カラー200Bを出力軸30に外嵌・圧入する際、薄肉部210が軸方向におけるガイドとなり、差し込み易くなる。
【0157】
≪第9参考形態≫
次に、第9参考形態について、図41〜図43を参照して説明する。第8参考形態と異なる部分を説明する。
【0158】
<出力軸>
第9参考形態に係る出力軸30は、大円筒部44を備えておらず、その上端からフランジ33に至るまで円筒部31の外径となっており、フランジ33の上方部分において、第9参考形態に係る出力軸30(図41参照)は、第8参考形態に係る出力軸30よりも細くなっている。つまり、出力軸30は、前記した大円筒部44(図40参照)を備えておらず、その径方向長さが短くなっている。
また、第9参考形態に係る出力軸30は、上端からフランジ33の近傍まで軸方向に延びるキー溝46を備えている。
【0159】
<カラー>
第9参考形態に係るカラー200Bは、その下端部において、薄肉の薄肉部210を有している。すなわち、薄肉部210におけるカラー200Bの内径は、その他の部分における内径よりも大きくなっている。これにより、他部分よりも内径の大きい薄肉部210が軸方向におけるガイドとなり、カラー200Bを出力軸30に圧入し易くなっている。
そして、薄肉部210は、後記するキー突条114の差込溝114aに差し込まれている。
【0160】
<ハウジング>
第9参考形態に係るキー突条114は、その上部に、平断面視で円弧状を呈する差込溝114aを有している。
【0161】
≪第9参考形態の作用効果≫
カラー200Bの薄肉部210がキー突条114の差込溝114aに差し込まれており、軸方向において、カラー200Bとキー突条114とが部分的に重なっているので、軸方向において、カラー200Bの長さと、キー突条114の長さを維持しつつ、カラー200Bとキー突条114との全体長さを短くできる。
また、出力軸30は、前記した大円筒部44(図40参照)を備えない構成であるので、出力軸30の外径を小さくできる。
【符号の説明】
【0162】
10 入力軸(第2回転体)
11 フランジ(第2カラー軸方向当接部)
30 出力軸(第1回転体、第1回転体及び固定部品の他方)
32 周溝
32b 上壁面(第2クリップ軸方向当接部、第2軸方向当接部)
33a フランジ面(第2軸方向当接部)
33b 切欠部(第2クリップ周方向当接部、第2周方向当接部)
34 キー溝(第2クリップ周方向当接部、第2周方向当接部)
34a 半球穴(第2クリップ軸方向当接部、第2クリップ周方向当接部、第2軸方向当接部、第2周方向当接部、係止穴)
35 周溝
35a 上壁面(第2クリップ軸方向当接部、周溝を囲む壁面)
36 第1切欠部
36a 底面(当接面)
37 第2切欠部
37a 底面(当接面)
37c 段差面(第2軸方向当接部、切欠部を囲む壁面)
38 長穴(第2クリップ軸方向当接部、第2クリップ周方向当接部、第2周方向当接部)
39 切欠部(第2クリップ周方向当接部、第2周方向当接部)
40 かしめ部(第2クリップ軸方向当接部、第2軸方向当接部、第1回転体の一部)
41 切欠部(周方向規制用切欠部)
41a 第1底面(当接面)
42 第2切欠部(第2軸方向当接部、軸方向規制用切欠部)
42a 第2底面(当接面)
44 大円筒部(第1カラー軸方向当接部)
44a 段差面(第1カラー軸方向当接部)
45 キー溝(第2周方向当接部、軸方向溝)
46 キー溝(第2周方向当接部、軸方向溝)
50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50H、50I クリップ
51 円筒部(固定部、基部)
52b 圧接爪(固定手段、第1クリップ軸方向当接部、第1軸方向当接部)
53 係止片(第1クリップ周方向当接部、第1周方向当接部)
54 取付部(固定部、基部)
55a 圧接爪(固定手段、切り起し爪)
56、56A キー(第1クリップ周方向当接部、第1周方向当接部、軸方向片)
56a 半球部(第1クリップ軸方向当接部、第2クリップ周方向当接部、第1軸方向当接部、第1周方向当接部、係止突起)
57a 当接爪(第1クリップ軸方向当接部、第1軸方向当接部、切り起し爪、当接爪)
59 圧接片(固定手段)
60 当接片
61 第1当接部(クリップ径方向当接部、径方向当接部)
62 第2当接部(クリップ径方向当接部、径方向当接部)
62a 当接爪(第1軸方向当接部)
63 底壁部
64 外壁片(固定部、外壁部)
65 内壁片(内壁部)
65a 係止爪(第1クリップ軸方向当接部、第1クリップ周方向当接部、第1軸方向当接部、第1周方向当接部)
66 延出片(第1クリップ軸方向当接部、第1クリップ周方向当接部、第1軸方向当接部、第1周方向当接部)
100 ハウジング
110 ハブ部(円筒体)
111 第1膨出部(径方向当接部、周方向規制用差込部)
112 第2膨出部(第1軸方向当接部、径方向当接部、軸方向規制用差込部)
114 キー突条(第1周方向当接部、軸方向突条)
200A、200B カラー
300 ステアリング装置(回転構造体)
332 検出器(固定部品、第1回転体及び固定部品の一方)
L 回転軸線
d1 外径
d2 内径
e1、e2 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側に延びる切欠部の形成されたフランジ部と、周方向に延びる周溝とを有する第1回転体と、
前記第1回転体に固定される固定部品と、
前記固定部品と一体であって、前記第1回転体と同軸かつ外側に配置された円筒体と、
クリップと、
を備える回転構造体であって、
前記クリップは、
前記円筒体の外周面に固定された円筒状の基部と、
前記基部の一端側から延び、前記周溝の底面を径方向内側に圧接すると共に軸方向において前記周溝を囲む壁面と当接する複数の圧接片と、
前記基部の一端側から延び、前記切欠部に差し込まれ、周方向において前記フランジ部に当接する係止片と、
を備える
ことを特徴とする回転構造体。
【請求項2】
周方向において、前記複数の圧接片は等間隔で配置され、前記係止片は隣り合う前記圧接片の間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−215201(P2012−215201A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79540(P2011−79540)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】