説明

回転血液ポンプ

【課題】回転血液ポンプの提供。
【解決手段】本発明は、誘引性軸方向磁気軸受けおよび流体力学軸受けを備えた回転血液ポンプを提供する。本発明による一実施形態では、回転ポンプは、軸方向磁気軸受けおよび流体力学軸受けによってポンプハウジングアセンブリ内に支持された、インペラアセンブリを含む。軸方向磁気軸受けは、互いに引き寄せるように配向された、少なくとも2つの磁石を含む。1つの磁石は、ポンプハウジングのスピンドル内に配置され、もう1つの磁石は、ロータアセンブリ内に配置され、スピンドルに隣接する。この点において、2つの磁石は、ロータアセンブリの相対的な軸方向位置を少なくとも部分的に維持する、誘引性軸方向力を形成する。流体力学軸受けは、ロータアセンブリの下に狭い隙間を形成する傾斜表面間に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年3月31日出願の米国仮出願第60/787,738号(名称「Rotary Blood Pump」)に対する優先権を主張し、該仮出願は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
血液ポンプは、依然として心臓の疾患および特に心不全の治療に特に有用である。一般的に、血液ポンプは、患者の体内に埋め込まれ、補助人工心臓として、または、状況によっては人工心臓として患者の循環系に接続される。しかし、血液の脆弱性およびポンプの信頼性の絶対的必要性は、より完璧な血液ポンプの設計に数多くの障害を呈している。
【0003】
例えば、大部分の血液ポンプは、血液にポンプハウジングを出入りさせる、インペラのような可動部品を収容している。これらの可動部品が適切に設計および調整されていなければ、ポンプを通過する血液に損傷を与え、溶血または血栓を生じさせる可能性がある。さらに、これらの可動部品は、互いに摩耗するので、部品の不具合や、血液に伝えられる熱が増加する可能性を増大させる。
【0004】
最近の血液ポンプの2つの例は、Wamplerらの特許文献1およびWoodardらの特許文献2に見出すことができる。Woodardの特許には、流体力学軸受けによって排他的に支持されたインペラを含む、回転血液ポンプが記載されている。Wamplerの特許には、流体力学支持軸受けと、反発磁力を用いた半径方向磁気軸受けとを含む回転血液ポンプが記載されている。
【0005】
いずれの特許の場合も、血液ポンプのインペラは、インペラの羽根内に配置された電動磁石を収容する。電磁石は、ポンプハウジング内に配置され、電動磁石の回転を駆動することによってインペラを駆動する、磁場を生成する。
【0006】
どちらの血液ポンプも、モータロータ磁石を収容する必要のある大きな非従来的なインペラ羽根のジオメトリの少なくとも一部による、液圧の非効率性が欠点である。これらの設計には、インペラのモータ回転子と、電磁石の裏当の鉄片との間の自然な引力によって、更なる非効率性が生じる。加えて、これらの血液ポンプの設計は、軸方向の支持のために、流体力学軸受けに排他的に依存し、これは、血液に損傷を与え、また、患者の健康状態に内科的合併症を生じさせうる、過剰なせん断力をもたらす可能性がある。
【0007】
上記説明に照らして、従来技術の限度を克服する血液ポンプが必要なことは明らかである。特に、ポンプの不具合や、血液の損傷をもたらす可能性のある従来技術のポンプ設計における固有の非効率性を減じた、血液ポンプが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,234,772号明細書
【特許文献2】米国特許第6,250,880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の限界を克服することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、従来技術の設計よりも長い寿命を有する回転ポンプを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、患者の血液に与える損傷を最小限に抑えた回転ポンプを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、従来技術の設計よりも電力消費を減じた回転ポンプを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、患者の循環系を通じて、より効率的に血液を送給する回転ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、軸方向磁気軸受けおよび流体力学軸受けの両方を備えた回転血液ポンプを提供することによって、これらの目的を達成しようとするものである。本発明による一実施形態では、回転ポンプは、軸方向磁気軸受けおよび流体力学軸受けによってポンプハウジングアセンブリ内に支持された、ロータアセンブリを含む。軸方向磁気軸受けは、互いに引き寄せるように配向された、少なくとも2つの磁石を含む。1つの磁石は、ポンプハウジングのスピンドル内に配置され、もう1つの磁石は、ロータアセンブリ内に配置され、スピンドルに隣接する。この点において、2つの磁石は、ロータアセンブリの相対的な軸方向位置を少なくとも部分的に維持する、誘引性軸方向力を形成する。流体力学軸受けは、ロータアセンブリの下に狭い隙間を形成する傾斜表面間に形成される。血液がポンプに入るときに、流体力学軸受けはロータアセンブリに上向きの軸方向力を生成する。したがって、動作中、ロータアセンブリ全体の位置は、動作中のポンプハウジングとの物理的な接触が最小またはゼロに維持される。
【0015】
本発明の好適な一実施形態は、流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に配置されたロータと、該ポンプチャンバ内に配置されて、該ロータを少なくとも部分的に支持する軸方向磁気軸受けとを含み、該軸方向磁気軸受けは、第1の磁石を含み、該第1の磁石は、該第1の磁石の質量中心が該軸方向磁気軸受けの軸からオフセットされるように形成され、該第1の磁石は、特定の半径方向に磁力を発生する。
【0016】
この好適な実施形態の別の側面は、スピンドルをさらに備えることができ、該第1の磁石は、該スピンドル内に配置される。
【0017】
この好適な実施形態の別の側面では、該軸方向軸受けは、第2の磁石をさらに備え、該第2の磁石は、該第2の磁石の質量中心が該軸方向磁気軸受けの該軸と整合するように形成され、該第2の磁石は、該ロータ内に配置される。
【0018】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石の断面は、非円形である。
【0019】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石の該非円形の断面は、実質的に「D」字形断面である。
【0020】
本発明の別の好適な実施形態は、流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、該ポンプチャンバ内に配置されたスピンドルと、該ポンプハウジング内に配置され、該スピンドルを少なくとも部分的に囲む、第1の磁石を含むロータと、該スピンドル内に配置された第2の磁石であって、該第2の磁石は、該第2の磁石の質量中心が該スピンドルの軸からオフセットされるように形成され、該第2の磁石は、該第2の磁石から外方への所定の方向に、減少させた半径方向の磁力を提供する第2の磁石と、を備えた血液ポンプであって、該第1の磁石および該第2の磁石は、軸方向磁気軸受けを構成する、血液ポンプを含む。
【0021】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石の該質量中心は、該ロータの軸と整合される。
【0022】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石は、環状である。
【0023】
この好適な実施形態の別の側面では、該第2の磁石は、非円形の断面形状を有する。
【0024】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石は、該第2の磁石の極とは反対方向に配向された極を含む。
【0025】
本発明の別の好適な実施形態は、血液を循環させるための血液ポンプを提供するステップと、該血液ポンプを通じて血液の移動を生じさせるように、該血液ポンプ内の軸方向磁気軸受け上でインペラを回転させるステップであって、該血液の移動が、該ロータに半径方向のバイアスを生じさせるステップと、該半径方向のバイアスと実質的に反対の方向および大きさを有する磁力を発生させるステップであって、該磁力は、該軸方向磁気軸受けの軸から間隔をあけて質量中心を有するように形成された磁石によって発生するステップとを含む、血液ポンプの半径方向のバイアスを補償する方法を含む。
【0026】
この好適な実施形態の別の側面では、該磁力を発生させるステップは、非円形の断面を有する磁石を提供するステップを含む。
【0027】
この好適な実施形態の別の側面では、該非円形の断面を有する磁石を提供するステップは、「D」字形断面を有する磁石を提供するステップを含む。
【0028】
この好適な実施形態の別の側面では、力を発生させるステップは、該インペラがその周りを回転するスピンドルを提供するステップと、該スピンドル内に磁石を提供するステップとをさらに含む。
【0029】
本発明の別の好適な実施形態は、内部空間を含むハウジングアセンブリと、該内部空間内に配置されたロータと、軸方向磁気軸受けであって、該ロータ内に配置され、N極およびS極有する第1の磁石と、該ロータの中心付近の該内部空間内に配置され、N極およびS極有する第2の磁石とで構成された軸方向磁気軸受けとを含む、血液ポンプを含む。
【0030】
この好適な実施形態の別の側面は、該ハウジングアセンブリ内に配置されたスピンドルをさらに備えることができ、該第2の磁石がスピンドル内に配置される。
【0031】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の磁石の該N極およびS極は、該第2の磁石の該N極およびS極とは反対方向に配向される。
【0032】
本発明の別の好適な実施形態は、該第2の磁石に連結された位置調整アセンブリをさらに備えることができ、該第1の磁石に対する該第2の磁石の位置を修正する。
【0033】
本発明の別の好適な実施形態は、第1のハウジング部材および第2のハウジング部材を備えたハウジングアセンブリであって、該第1のハウジング部材が、1つの連続した、組み立てられていない材料部分から形成され、該ハウジング部材が、内部表面を有するポンプチャンバを画定するハウジングアセンブリと、該第1のハウジング部材の内部表面上に一体的に形成された複数のリフトであって、該リフトは、該血液ポンプの動作中に、ロータに流体力学軸受け表面を提供するリフトとを備える、血液ポンプを含む。
【0034】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1のハウジング部材は、ステータチャンバを含む。
【0035】
この好適な実施形態の別の側面では、該ステータチャンバは、該血液ポンプの外部から該ステータチャンバに選択的にアクセスするための取り外し可能なアクセスカバーを備える。
【0036】
この好適な実施形態の別の側面では、該複数のリフトのそれぞれは、細長い傾斜表面を備える。
【0037】
この好適な実施形態の別の側面では、該複数のリフトのそれぞれは、該細長い傾斜表面と同一の広がりを持つ、短縮された平坦面をさらに備える。
【0038】
本発明の別の好適な実施形態は、内部表面を有する内側ポンプチャンバを画定するハウジングと、該内側ポンプチャンバ内に配置されたロータと、を備えた血液ポンプであって、該ロータの下方の該内部表面は、該ハウジング底部を構成する1つの連続した、組み立てられていない材料から形成され、該内部表面から一体的に形成された複数のリフトを有し、該リフトは、該ロータの底面によって流体力学軸受けを形成する、血液ポンプを含む。
【0039】
この好適な実施形態の別の側面は、該血液ポンプの外部からアクセス可能なステータチャンバをさらに備えることができる。
【0040】
この好適な実施形態の別の側面では、該リフトは、細長い傾斜表面を備える。
【0041】
この好適な実施形態の別の側面では、該リフトは、該細長い傾斜表面と同一の広がりを持つ、短縮された平坦面をさらに備える。
【0042】
本発明の別の好適な実施形態は、ハウジングアセンブリと、該ハウジングアセンブリ内に配置されたインペラと、該ハウジングアセンブリから形成され、流入口および流出口を有するポンプチャンバと、円環形状を形成する該ポンプチャンバの外周を囲むように配置された第1の溝を含む流出路と、該第1の溝および該出口に接続する第2の溝とを備えた血液ポンプであって、該第2の溝のサイズは、該第1の溝のサイズよりも大きく、該第1の溝は、該出口の上流側の流れの流量を調節するようにサイズ設定され、それによって、該インペラと該ハウジングアセンブリとの間に漏出流を生じさせる、血液ポンプを含む。
【0043】
この好適な実施形態の別の側面では、該第2の溝は、該流出口へ向かって漸進的にサイズが増加する。
【0044】
この好適な実施形態の別の側面では、該漏出流は、該インペラと、該ハウジングアセンブリのスピンドルとの間を流れる。
【0045】
この好適な実施形態の別の側面では、該第2の溝は、該本体と協働して、該流出口と連通する流出路を形成する。
【0046】
本発明の別の好適な実施形態は、流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に配置されたロータと、該ポンプハウジングによって画定された円環状渦巻と、を備えた血液ポンプであって、該渦巻は、該ポンプチャンバを囲むように円周方向に配置され、該流出ポートと連通する流出路を形成し、該流出ポートへ向かって直径が増加し、該円環状渦巻は、該流出口の上流側の流れの流量を調節するようにサイズ設定され、それによって、該ロータと該ポンプハウジングとの間に漏出流を生じさせる、血液ポンプを含む。
【0047】
この好適な実施形態の別の側面では、該渦巻は、該ポンプチャンバの外周全体を囲むように配置される。
【0048】
この好適な実施形態の別の側面では、該渦巻は、該ポンプハウジングの嵌合部分の整合溝を備える。
【0049】
この好適な実施形態の別の側面では、該流出路は、実質的に円形の断面を有する。
【0050】
本発明の別の好適な実施形態は、ポンプハウジング内の流入口から、ポンプチャンバのインペラを通じて、該ポンプハウジングの流出口へ血液を移動させる該ポンプチャンバを画定する、ポンプハウジングを提供するステップと、該インペラの嵌合表面と該ポンプハウジングとの間に血液の漏出流を生じさせるように、該流出口の上流側の該ポンプチャンバ内の該血液の圧力を増加させるステップとを含む、血液を給送する方法を含む。
【0051】
この好適な実施形態の別の側面では、該ポンプチャンバ内の該血液の圧力の該増加させるステップは、該ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップを含む。
【0052】
この好適な実施形態の別の側面では、該ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップは、約2〜5mmの直径を有する該渦巻を通じて血液を通過させるステップを含む。
【0053】
この好適な実施形態の別の側面では、該ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップは、約50%〜約100%、該流出口に対する該ポンプ内部の圧力を増加させるステップを含む。
【0054】
本発明の別の好適な実施形態は、流入口および流出口を有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、該ポンプチャンバ内に回転可能に配置されたロータと、該ロータによって流体力学軸受け表面を形成するように、該ポンプチャンバの表面に配置された少なくとも1つのリフトとを備えた血液ポンプであって、該リフトは、該ポンプチャンバからある角度を成して延在する第1の表面と、該第1の表面に接続され、該ポンプチャンバの該表面に実質的に平行に延在する第2の表面とを含み、該第1の表面は、該第2の表面より少なくとも長い、血液ポンプを含む。
【0055】
この好適な実施形態の別の側面は、複数のリフトをさらに備えることができる。
【0056】
この好適な実施形態の別の側面では、該第1の表面は、該ポンプチャンバからある角度を成し、該角度は、約0.5°〜約3°である。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、
該ポンプハウジング内に配置されたロータと、
該ポンプチャンバ内に配置されて、該ロータを少なくとも部分的に支持する軸方向磁気軸受けと
を備えている、血液ポンプであって、
該軸方向磁気軸受けは、第1の磁石を含み、該第1の磁石は、該第1の磁石の質量中心が該軸方向磁気軸受けの軸からオフセットされるように形成され、該第1の磁石は、特定の半径方向に磁力を発生する、血液ポンプ。
(項目2)
スピンドルをさらに備え、前記第1の磁石が該スピンドル内に配置される、項目1に記載の血液ポンプ。
(項目3)
前記軸方向軸受けは、第2の磁石をさらに備え、該第2の磁石は、該第2の磁石の質量中心が該軸方向磁気軸受けの軸と整合するように形成され、該第2の磁石は、前記ロータ内に配置される、項目2に記載の血液ポンプ。
(項目4)
前記第1の磁石の断面は、非円形である、項目1に記載の血液ポンプ。
(項目5)
前記第1の磁石の非円形の断面は、実質的に「D」字形断面である、項目4に記載の血液ポンプ。
(項目6)
流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、
該ポンプチャンバ内に配置されたスピンドルと、
該ポンプハウジング内、かつ該スピンドルを少なくとも部分的に囲むように配置された、第1の磁石を含むロータと、
該スピンドル内に配置された第2の磁石であって、該第2の磁石は、該第2の磁石の質量中心が該スピンドルの軸からオフセットされるように形成され、該第2の磁石は、該第2の磁石から外方への所定の方向に、減少させた半径方向の磁力を提供する、第2の磁石と
を備えている、血液ポンプであって、該第1の磁石および該第2の磁石は、軸方向磁気軸受けを構成する、血液ポンプ。
(項目7)
前記第1の磁石の質量中心は、前記ロータの軸と整合される、項目6に記載の血液ポンプ。
(項目8)
前記第1の磁石は、環状である、項目7に記載の血液ポンプ。
(項目9)
前記第2の磁石は、非円形の断面形状を有する、項目7に記載の血液ポンプ。
(項目10)
前記第1の磁石は、前記第2の磁石の極とは反対方向に配向された極を含む、項目9に記載の血液ポンプ。
(項目11)
血液を循環させるための血液ポンプを提供するステップと、
該血液ポンプを通じて血液の移動を生じさせるように、該血液ポンプ内の軸方向磁気軸受け上でロータを回転させるステップであって、該血液の移動が、該ロータ上の半径方向のバイアスを生じさせる、ステップと、
該半径方向のバイアスと実質的に反対の方向および大きさを有する磁力を発生させるステップであって、該磁力は、該軸方向磁気軸受けの軸から間隔をあけて質量中心を有するように形成された磁石によって発生する、ステップと
を含む、血液ポンプの半径方向のバイアスを補償する方法。
(項目12)
前記磁力を発生させるステップは、非円形の断面を有する磁石を提供するステップを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記非円形の断面を有する磁石を提供するステップは、「D」字形断面を有する磁石を提供するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
力を発生させるステップは、インペラがその周りを回転するスピンドルを提供するステップと、該スピンドル内に磁石を提供するステップとをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
内部空間を含むハウジングアセンブリと、
該内部空間内に配置されたロータと、
軸方向磁気軸受けであって、
該ロータ内に配置され、N極およびS極有する第1の磁石と、
該ロータの中心付近の該内部空間内に配置され、N極およびS極有する第2の磁石と
から構成された軸方向磁気軸受けと
を備える、血液ポンプ。
(項目16)
前記ハウジングアセンブリ内に配置されたスピンドルをさらに備え、前記第2の磁石がスピンドル内に配置される、項目15に記載の血液ポンプ。
(項目17)
前記第1の磁石のN極およびS極は、前記第2の磁石のN極およびS極とは反対方向に配向される、項目15に記載の血液ポンプ。
(項目18)
前記第2の磁石に連結された位置調整アセンブリをさらに備え、前記第1の磁石に対する該第2の磁石の位置を修正する、項目15に記載の血液ポンプ。
(項目19)
第1のハウジング部材および第2のハウジング部材を備えたハウジングアセンブリであって、該第1のハウジング部材が、1つの連続した、組み立てられていない部分の材料から形成され、該ハウジング部材が、内部表面を有するポンプチャンバを画定する、ハウジングアセンブリと、
該第1のハウジング部材の内部表面上に一体的に形成された複数のリフトであって、該リフトは、該血液ポンプの動作中に、ロータに流体力学軸受け表面を提供する、リフトと
を備える、血液ポンプ。
(項目20)
前記第1のハウジング部材はステータチャンバを含む、項目19に記載の血液ポンプ。
(項目21)
前記ステータチャンバは、前記血液ポンプの外部から該ステータチャンバに選択的にアクセスするための取り外し可能なアクセスカバーを備える、項目20に記載の血液ポンプ。
(項目22)
前記複数のリフトのそれぞれは、細長い傾斜表面を備える、項目19に記載の血液ポンプ。
(項目23)
前記複数のリフトのそれぞれは、前記細長い傾斜表面と同一の広がりを持つ、短縮された平坦面をさらに備える、項目22に記載の血液ポンプ。
(項目24)
内部表面を有する内側ポンプチャンバを画定するハウジングと、
該内側ポンプチャンバ内に配置されたロータと
を備えた、血液ポンプであって、該ロータの下側の内部表面は、該ハウジングの下部部分を構成する1つの連続した、組み立てられていない材料から形成され、該内部表面から一体的に形成された複数のリフトを有し、該リフトは、該ロータの底面によって流体力学軸受けを形成する、血液ポンプ。
(項目25)
前記血液ポンプの外部からアクセス可能なステータチャンバをさらに備える、項目24に記載の血液ポンプ。
(項目26)
前記リフトは細長い傾斜表面を備える、項目24に記載の血液ポンプ。
(項目27)
前記リフトは前記細長い傾斜表面と同一の広がりを持つ、短縮された平坦面をさらに備える、項目26に記載の血液ポンプ。
(項目28)
ハウジングアセンブリと、
該ハウジングアセンブリ内に配置されたインペラと、
該ハウジングアセンブリから形成され、流入口および流出口を有するポンプチャンバと、
円環形状を形成する該ポンプチャンバの外周を囲むように配置された第1の溝を含む流出路と、該第1の溝および該流出口に接続する第2の溝と
を備えた、血液ポンプであって、該第2の溝のサイズは該第1の溝のサイズよりも大きく、該第1の溝は、該流出口の上流側の流れの流量を調節するようにサイズ設定され、それによって、該インペラと該ハウジングアセンブリとの間に漏出流を生じさせる、血液ポンプ。
(項目29)
前記第2の溝は、前記流出口へ向かって漸進的にサイズが増加する、項目28に記載の血液ポンプ。
(項目30)
前記漏出流は、ロータと、前記ハウジングアセンブリのスピンドルとの間を流れる、項目29に記載の血液ポンプ。
(項目31)
前記第2の溝は、本体と共に前記流出口と連通する流出路を形成する、項目28に記載の血液ポンプ。
(項目32)
流入ポートおよび流出ポートを有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、
該ポンプハウジング内に配置されたロータと、
該ポンプハウジングによって画定された円環状渦巻と
を備えた、血液ポンプであって、該渦巻は、該ポンプチャンバを囲むように円周方向に配置され、該流出ポートと連通する流出路を形成し、該流出ポートへ向かって直径が増加し、該円環状渦巻は、該流出口の上流側の流れの流量を調節するようにサイズ設定され、それによって、該ロータと該ポンプハウジングとの間に漏出流を生じさせる、血液ポンプ。
(項目33)
前記渦巻は、前記ポンプチャンバの外周全体を囲むように配置される、項目32に記載の血液ポンプ。
(項目34)
前記渦巻は、前記ポンプハウジングの嵌合部分の整合溝を備える、項目32に記載の血液ポンプ。
(項目35)
前記流出路は、実質的に円形の断面を有する、項目32に記載の血液ポンプ。
(項目36)
ポンプチャンバを画定するポンプハウジングを提供するステップと、
該ポンプハウジング内の流入口から、該ポンプチャンバのインペラを通じて、該ポンプハウジングの流出口へ血液を移動させるステップと、
該インペラの嵌合表面と該ポンプハウジングとの間に血液の漏出流を生じさせるように、該流出口の上流側のポンプチャンバ内の該血液の圧力を増加させるステップと
を含む、血液を給送する方法。
(項目37)
前記ポンプチャンバ内の前記血液の圧力を増加させるステップは、該ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップは、約2〜5mmの直径を有する該渦巻を通じて血液を通過させるステップを含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記ポンプチャンバ内のスロットリング渦巻を通じて血液を通過させるステップは、約50%〜約100%、前記流出口に対する前記ポンプ内部の圧力を増加させるステップを含む、項目37に記載の方法。
(項目40)
流入口および流出口を有するポンプチャンバを画定するポンプハウジングと、
該ポンプチャンバ内に回転可能に配置されたロータと、
該ロータと共に流体力学軸受け表面を形成するように、該ポンプチャンバの表面に配置された少なくとも1つのリフトと
を備えた、血液ポンプであって、該リフトは、該ポンプチャンバからある角度を成して延在する第1の表面と、該第1の表面に接続され、該ポンプチャンバの表面に実質的に平行に延在する第2の表面と
を含み、該第1の表面は該第2の表面より少なくとも長い、血液ポンプ。
(項目41)
複数のリフトをさらに備える、項目40に記載の血液ポンプ。
(項目42)
前記第1の表面は、前記ポンプチャンバからある角度を成し、該角度は、約0.5°〜約3°である、項目40に記載の血液ポンプ。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明による回転血液ポンプの斜視図である。
【図2】図2は、図1の血液ポンプの分解図である。
【図3A】図3Aは、本発明によるハウジング上部の斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの線3B−3Bに沿って見た、図3Aのハウジング上部の側面図である。
【図4A】図4Aは、本発明によるハウジング中央の斜視図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの線4B−4Bに沿って見た、図4Aのハウジング中央の側面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aのハウジング中央の上面図である。
【図5A】図5Aは、本発明によるハウジング底部の斜視図である。
【図5B】図5Bは、本発明による図5Aのハウジング底部の図である。
【図5C】図5Cは、本発明による図5Aのハウジング底部の平面図である。
【図5D】図5Dは、本発明による図5Aのハウジング底部の底面図である。
【図5E】図5Eは、本発明による図5Aのハウジング底部の底面斜視図である。
【図5F】図5Fは、本発明による好適な実施形態の底面斜視図である。
【図5G】図5Gは、本発明によるハウジング底部の底面図である。
【図5H】図5Hは、図5Fの軸アセンブリの斜視図である。
【図5I】図5Iは、図5Gの軸アセンブリの側面図である。
【図6A】図6Aは、本発明によるスピンドル磁石の上面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのスピンドル磁石の断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明によるスピンドル磁石の上面図である。
【図6D】図6Dは、本発明によるスピンドル磁石の上面図である。
【図6E】図6Eは、本発明によるスピンドル磁石の斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明によるスラスト軸受けプレートの斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのスラスト軸受けプレートの拡大斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Aのスラスト軸受けプレートの上面図である。
【図7D】図7Dは、図7Aのスラスト軸受けプレートの断面図である。
【図8】図8は、本発明によるフレキシブル回路の底面図である。
【図9A】図9Aは、本発明によるモータアセンブリの斜視分解図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのモータアセンブリの断面図である。
【図9C】図9Cは、本発明によるコイルの斜視図である。
【図9D】図9Dは、図9Cのコイルの上面図である。
【図9E】図9Eは、図9Cのコイルの断面図である。
【図10A】図10Aは、本発明によるロータハウジング底部の上面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのロータハウジング底部の断面図である。
【図11A】図11Aは、本発明によるロータハウジング上部の上面図である。
【図11B】図11Bは、図11Aのロータハウジング上部の断面図である。
【図11C】図11Cは、図11Aのロータハウジング上部の拡大断面図である。
【図11D】図11Dは、図11Aのロータハウジング上部の簡略化した断面図である。
【図12A】図12Aは、本発明によるモータ磁石の上面図である。
【図12B】図12Bは、図12Aのモータ磁石の断面図である。
【図13A】図13Aは、本発明によるロータ軸方向磁石の上面図である。
【図13B】図13Bは、図13Aのロータ軸方向磁石の断面図である。
【図14】図14は、本発明による軸方向磁気軸受けの断面図である。
【図14A】図14Aは、本発明による軸方向磁気軸受けの断面図である。
【図15A】図15Aは、本発明による軸方向磁気軸受けの断面図である。
【図15B】図15Bは、本発明の第2の実施形態による軸方向磁気軸受けの断面図である。
【図15C】図15Cは、本発明の第3の実施形態による軸方向磁気軸受けの断面図である。
【図16】図16は、図1の回転血液ポンプの垂直断面図である。
【図17A】図17Aは、図1の回転血液ポンプの斜視断面図である。
【図17B】図17Bは、図1の回転血液ポンプの拡大断面図である。
【図18A】図18Aは、本発明による軸方向磁気軸受けの上部断面図である。
【図18B】図18Bは、本発明による軸方向磁気軸受けの好適な実施形態の上部断面図である。
【図19】図19は、本発明によるロータアセンブリに作用する静圧の等高線図である。
【図20】図20は、本発明によるロータアセンブリの底部に作用する静圧および流体力学の等高線図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、本発明による回転血液ポンプ100の好適な一実施形態を示す図である。回転血液ポンプ100は、患者の循環系に連結され、血液は、流入口110を通じて入り、その少し後に、流出口108を通じて出る。
【0059】
図2に示されるように、血液は、主に、ハウジングアセンブリ101内のロータアセンブリによって、回転血液ポンプ100を通じて駆動される。ロータアセンブリ105は、ハウジングアセンブリ101に物理的に接続されていない。代わりに、ロータアセンブリ105は、スラストプレート114とロータアセンブリ105の底面との間に形成された軸方向の流体力学軸受けと、ロータアセンブリ105の内径とスラストプレート114のスピンドル部分の外径との間(または、別様には、ロータアセンブリ105の外側とハウジングアセンブリ101の内径との間)の半径方向の流体力学軸受けと、スピンドル磁石119とロータ軸方向磁石124との間に形成された軸方向磁気軸受けとによって支持される。これらの軸受けの性質は、米国特許出願第10/940,419号に詳述されており、参照することにより本願明細書に援用される。したがって、動作中、ロータアセンブリ105とハウジングアセンブリ101との間の接触が最小限に抑えられ、また、一実施形態では接触がゼロとなり、それによって、従来技術の設計よりも、摩擦が減じられ、熱の発生が最小限に抑えられ、また、所要動力が減じられる。
【0060】
図2を参照すると、この分解図は、回転血液ポンプ100を構成する3つの主なアセンブリ、ポンプハウジングアセンブリ101、モータアセンブリ103、およびロータアセンブリ105を示す。
【0061】
概して、ポンプハウジングアセンブリ101は、回転血液ポンプ100の本体を構成し、ハウジング上部102と、ハウジング中央106の上部および底部側に溶接によって固定され、位置合わせピン112によって整合させたハウジング底部104とを含む。図3Aは、側部領域を通って部分的に配置された流出路102Bを含む、ハウジング上部102の斜視図である。図3Bは、流入路102Cを収容する隆起領域102Aを有するハウジング上部102の側面図である。
【0062】
図4A〜4Cは、ハウジング中央106の種々の図であり、該ハウジングは、収縮した渦巻形状を形成する流出溝106A溝に接続するハウジング中央106の開口部の外周を囲むように配置された溝106Bを含む。溝106Aおよび106Bは、ハウジング上部102が図4Aに示される上面にボルトで固定(あるいは溶接)されたときに、どちらも隆起部分102Aと協働して、流出路102Bを完成する。溝106Bは、比較的一定の幅または形状を含むが、流出溝106Aは、その端部に向かって(すなわち、流出口の出口点へ向かって)幅が増加する。
【0063】
概して、この渦巻形状は、ロータアセンブリ105の後方に安定した「漏出」を提供して、流れの停滞を防止することによって、血栓形成のリスクを最小限に抑える。図16、17A、および17Bに最良に見られるように、この漏出は、ロータアセンブリ105の外径と、ハウジング中央106の内径との間の円筒状の間隙内に始まり、ロータアセンブリ105の背面へと軸方向に流れる。次に、血液は、スラストプレート114と、ロータアセンブリ105の背面との間を、ロータアセンブリ105の中央に向かって流れる。最後に、血液は、ロータアセンブリ105の内径とスピンドル114Dの外径との間の隙間に向かって流れ、スピンドル114Dの上部に還流する。したがって、ロータアセンブリ105の中央よりもロータアセンブリ105の外周において圧力が高くなる、圧力勾配を発生させることによって、この血液循環経路による低流速を達成することができる。
【0064】
典型的な遠心ポンプの通常動作では、液体がロータブレードの流出口に接近する時に圧力が上昇するように、圧力勾配を発生させる。典型的な左心室補助デバイス(LVAD)の埋め込みでは、この圧力は、上述した流路に類似した、ロータの周りの良好な漏出を確実にするのに十分高いものとなる。このような構成では、インペラ外周の静圧は、ポンプ放出ノズルにおける圧力未満である。これは、渦巻および放出ノズルが、速度水頭を静水頭に変換し、ポンプの水力効率を改善するように形成されたことによるものである。
【0065】
しかし、好適な本実施形態の設計では、流入口に対するポンプの流出口における圧力水頭を高く構成していないアプリケーションを考慮している。より具体的には、好適な本実施形態の「作用水頭」は低いので、効率的で最適化された渦巻および放出ノズル(すなわち、流出口108)を使用した場合は、駆流体力学力は、漏出経路全体の十分な漏出を確実にするものとはならない。
【0066】
その点を考慮して、好適な本実施形態では、上述したように、収縮した渦巻形状で流量を調節することによって、ポンプハウジング内の圧力を上昇させて、漏出経路全体の駆流体力学力を増加させる。円環状渦巻の直径は非常に小さい(例、約2〜5mm)ので、渦巻内に大幅な圧力損失が生じる。渦巻内のこれらの損失は、ポンプ100内部のポンピングチャンバと比較して、流出口108の圧力をより低くする。ロータアセンブリ105の外周において得られる高圧力は、十分な駆流体力学力(例えば、所与の設計点(例、1.3lpm)において約100mmHg、所与の設計点(例、0.7lpm)において約25mmHg、および所与の設計点(例、2lpm)において約200mmHg)、および漏出流を提供して、血栓形成のリスクを最小限に抑える。例えば、ロータアセンブリ105が、約2500RPM〜6000RPMで回転している時には、流出口で測定した圧力よりも約50%〜100%、圧力が上昇する。
【0067】
図5A〜5Gは、本明細書において後述するモータアセンブリ103を受ける、環状の凹部、または区画104A(図5〜5Gに最良に示される)を画定する、ハウジング底部104を示す図である。図に示されるように、区画104Aは、ポンプ100の底部において、底部カバー115によって密閉(例、レーザ溶接)される(図16に最良に示される)。
【0068】
モータアセンブリ103に加えて、区画104Aもスラストプレート114(図7A〜7D)のスピンドル114Dの内側へのアクセスを可能にするが、該プレートは、スピンドル磁石119(図5H、図6D、および6Eに示される)と、ポンプの軸方向軸受けを部分的に構成する軸アセンブリ109A(図5Hおよび5I)を収容する。図5Hに最良に示されるように、スピンドル磁石119の中央開口部は、図ピンドル軸109Bの上を摺動し、軸支された基部109Cによって支持される。軸アセンブリ109Aのねじ付き部分109Dは、スピンドル磁石119がスピンドル114Dの内側に配置されるように、ねじ付きの中央通路104C内にねじ込まれる。このねじ付きの機構が軸アセンブリ109Aの位置を維持している間、ユーザもまた、スピンドル114Dの内側のスピンドル磁石119の軸方向の高さを調整することができる。すなわち、ユーザは、軸アセンブリ109Aを回転させて、スピンドル軸119を軸方向に移動させる(マーカ109Eによってアセンブリ109Aの回転を視覚的に追跡する)ことができる。したがって、ユーザは、必要に応じて軸方向磁気軸受けを微調整して、ポンプ100の性能を最適化することができる。
【0069】
別の好適な実施形態(図示せず)では、ハウジング底部104の区画104Aは、上部または内部表面からアクセス可能なものとすることができる。より具体的には、スラストプレート114は、非統合または取り外し可能なものとすることができ、ポンプ100の外側からのアクセスを防止する。
【0070】
図7A〜7Dに示されるように、ハウジング底部104の上面は、上述したスピンドル磁石119を収容するスピンドル114Dを含む、統合したスラストプレート114を含む。スラストプレート114は、少なくとも3つのリフト114Aを有し、それぞれ、細長い傾斜表面114Bおよび隆起して、短縮された平面114Cで構成される。一例では、細長い斜面114Bは、スラストプレート114の上面に対して、約0.5°〜約3°である。これらのリフト114Aは、ロータアセンブリ105と、スラストプレート114のリフト114Aとの間の隙間が所定の閾値を下回ったときに、流体力学軸受けを生成する。一実施形態では、所定の閾値は、約0.0002インチ(約0.005mm)〜0.001インチ(0.0025mm)である。流体力学軸受けの更なる例は、Woodardらの米国特許第6,250,880号に見出すことができ、その内容は参照することにより本願明細書に援用される。
【0071】
図2、8、9A、および9Bに最良に示されるように、密閉された環状の区画104A内には、モータアセンブリ103が着座する。モータアセンブリ103は、図9C〜9Eに示されるように、コイル130のワイヤ130Aを通じて電気を通すことによって、磁場を発生させる。各コイル130のワイヤ130Aは、図8に最良に示されるように、フレキシブル回路上の接点132Aに接続される。フレキシブル回路132は、図2に最良に示されるように、概して、薄い円形状であり、3つの接点132Bを経て、ハウジング底部104の円形の区画104Aの壁内の通路133を通じて送られ、ポンプ100を出るリード線131の細長い領域に接続される。ワイヤ131の外側の細長い領域の端部は、次いでケーブル(図示せず)に接続され、最終的に、コントローラ(同じく図示せず)に接続され、該コントローラは、ロータアセンブリ105を駆動する所望の磁場を発生させるのに必要な電力を提供する。フレキシブル回路132上の接点132Aの位置は、種々の異なる構成で配列することができるものと理解されたい。例えば、フレキシブル回路132の外周近くの接点132Aは、回路132の中央にさらに近付けて配置して、接点132Aをより良好に電気的に絶縁することができる。
【0072】
スラストプレート114がハウジング底部104と統合されていない(例えば、スラストプレート114が、結合剤またはエポキシによって取り付けられた)別の好適な実施形態では、コイル130の上側は、ハウジング底部104に溶接されたチタン箔によって覆われて、血液とモータアセンブリ103との間の気密封止を提供する。スラストプレート114(同じくチタンで構成することもできる)を、ハウジング底部104に追加的に溶接することができる。スラストプレート114がハウジング底部104の一体部分である好適な実施形態では、チタン箔は不要である。
【0073】
モータアセンブリ103は、円形区画104Aに類似した円形形状を有する、裏当の鉄片134も含む。裏当の鉄片134は、フレキシブル回路132の下に配置して、コイル130が発生する磁場を高めることが好ましい。モータアセンブリ103は、動作すると、スラストプレート114の上に配置されたロータアセンブリ105の回転を駆動する磁場を発生する。
【0074】
加えて、モータアセンブリ103は、外側部材135Bと、内側部材135Aと、上部部材137とを含むが、これらは、非導電性材料で構成してコイル130を電気的に絶縁することが好ましい。
【0075】
ロータアセンブリ105の外形は、図10Aおよび10Bに示されたロータハウジング底部126と、図11A〜11Dに示されたロータ上部118によって画定される。ロータ上部118およびロータハウジング底部126は、いずれも、スラストプレート114のスピンドル114Dの外周を囲んで嵌合するようにサイズ設定された中央開口部を含む。ロータ上部118は、流入した血液を流出口108の外へ駆動する湾曲したインペラ羽根118Aを含む。各羽根118Aは、所望の流れおよび圧力要件を満たすようにサイズ設定された高さおよび曲線を有することが好ましい。また、ロータアセンブリ105は、ポンプが動作するように設計された好適な流量範囲に対する所望の公称流量および圧力水頭に基づいて、サイズ設定および形成される。好適な一実施形態では、流量範囲は、約0.5〜2.0リットル/分であり、最適な流量は、約1.3リットル/分である。図11Dに最良に示されるように、ロータ上部118の上面118Bは、全体が傾斜したランプ形状を含む。いくつかの従来技術デザインとは異なり、上面118の角度は比較的浅く、全体的により薄いプロファイルを提供する。例えば、上面118Bは、水平面に対して、約10°未満の角度を有すること、より具体的には、約3.80°〜4.00°の範囲にあることが好ましい。
【0076】
ロータアセンブリ105は、3つ主な構成要素、ロータ軸方向の磁石アセンブリ124、モータロータ磁石122、および裏当の鉄片(back iron)120を収容する。図2および16に最良に示されるように、裏当の鉄片120およびモータロータ磁石122は、ほぼ同じ直径を有し、裏当の鉄片120をモータ磁石122の上に着座させて、磁場を高めることができる。図13Aおよび13Bに示されたロータ軸方向の磁石アセンブリ124は、図16に最良に示されるように、ロータアセンブリ105の内径を囲むように、また、モータ磁石122および裏当の鉄片120の中央開口部内に配置される。スペーサ123も、ロータハウジング底部126内の内側空間の外周周辺を囲むように含まれて、モータロータ磁石122および裏当の鉄片120の位置をハウジング底部126内に維持することが好ましい。
【0077】
好適な一実施形態では、モータロータ磁石122は、図12Aおよび12Bに示されるように、交互極性を有する複数の磁気領域122Aで構成される。電力がモータアセンブリ103に加えられると、コイル130は、モータ磁石122を駆動する磁場を発生し、したがって、ロータアセンブリ105が回転する。
【0078】
モータロータ磁石122は、モータアセンブリ103の裏当の鉄片134に引き寄せられる永久磁石であることが好ましい。この引力は、ロータアセンブリ105をスラストプレート114の方へ引っ張る傾向があり、ロータアセンブリ105への有意な軸方向荷重を形成する。米国特許第6,234,772号および第6,250,880号に見られるような従来の回転ポンプ設計では、主に流体力学スラスト軸受けに依存して、この負荷力に打ち勝つようにしている。しかし、これらの流体力学軸受けは、ロータとスラストプレートとの間の血液の薄層を用いるので、通過する血液は、この軸方向荷重の全ての力を支持しなければならない。結果的に、血球は、強力なせん断力によって損傷を受けやすくなり、溶血および凝固のような重大な合併症を形成する可能性がある。さらに、荷重が増加するにつれて、流体力学軸受けを支持するのに必要な電力が増加する。したがって、荷重の大きな流体力学軸受けは、有意な電力ペナルティをポンプに課す可能性がある。
【0079】
本発明では、米国特許出願第10/940,419号(既に、参照することにより援用されている)に詳述されているように、流体力学軸受けと軸方向磁気軸受けとの間の軸方向の荷重力を分散させている。しかし、本出願においてこの構成を詳述することは有用である。
【0080】
上述のように、流体力学軸受けは、スラストプレート114上に3つのスラストテーパまたはリフトを含み、ロータの底面とスラストテーパ114との間の相対運動により、スラストプレート114に所定の距離まで近づいたときに、ロータアセンブリ105に上向きの力を形成する。好適な一実施形態では、全てのリフト114Aの累積総面積は、スラストプレート114の総面積の約40%〜90%である。本構成における3つのリフトは、発明的ポンプに必要な流体力学軸受け効果を提供することが見出されている。
【0081】
図14、16、17A、および17Bに示されるように、軸方向の磁気軸受けは、ロータ軸方向の磁石124とスピンドル磁石119とを含む。図14に示された好適な一実施形態では、軸方向の磁石124およびスピンドル磁石119は、軸方向に相対して配列した磁場を有する。その結果、磁石119および124は、絶えず互いに軸方向に引き寄せ合い、それによって、ロータアセンブリ105への軸方向荷重が減じられる。図14Aは、磁石119および124の極性を逆にした、図14の実施形態に類似した好適な実施形態を示す図である。
【0082】
磁石119および124によって生成された軸方向の予荷重またはバイアス力は、軸方向の磁気軸受けのアセンブリ中に調整することができる。ロータアセンブリ105を安定させ、最高速度での不適当な運動を防ぐために、十分な正の力をポンプの後方に向かってロータに加えることが好ましい。過剰な力は、(本願明細書の他の場所で述べたように)流体力学スラスト軸受けにおける電力損失を増加させ、溶血を増加させることになるので、最小限の力を加えることで、この予荷重を達成するべきである。
【0083】
スピンドル磁石119の最適な位置は、模擬循環ループでの血液類似体による機能試験中に、経験的に決定できることが好ましい。最高速度は、複数のポンプの液圧性能を特徴づけることによって決定される。最高速度が確立されると、複数のポンプのうちの各ポンプは、流量2.0lpmおよび圧力105mmHgに調整され、ロータアセンブリ105の不安定性が検出されるまで(例えば、ポンプハウジングアセンブリ101の生成された音の変化を聞き取ることによって検出される)、軸方向磁石119の位置が調整される。この不安定性の閾値が検出されたときに、シャフトアセンブリ109Aをこの閾値以下で回転させる(すなわち、ハウジング底部104の方へ移動させる)ことができる。したがって、スピンドル磁石119は、最終的に、ロータ軸方向の磁石124に対して多数の異なる高さのうちの1つに配置することができる。
【0084】
図15は、磁石119および124のそれぞれが、2つの相異なる磁気領域で構成され、一方の極が他方の同じ極に向かって整合するように配置した、軸方向の磁気軸受けの別の好適な実施形態を示す図である。例えば、ロータ軸方向の磁石124の上部磁気領域124Aは、そのN極が、底部磁気領域124BのN極に向かって下方を指すように配置される。同様に、スピンドル磁石119の上部磁気領域119Aは、そのS極が、底部磁気領域119BのS極に向かって下方を指すように配向される。この点において、軸方向の磁気軸受けは、ロータ軸方向の磁石124の中央部(すなわち、極の類)とスピンドル磁石119との間に引力を形成し、かつ一方の磁石の端部と他方の磁石の中央部との間に反発力を形成することによって、軸方向荷重を減じる。例えば、ロータ軸方向の磁石124の外側のS極は、スピンドル磁石119の内側のS極への反発力を生成する。この点において、引力および反発力の両方が、磁石119と124との間に形成され、それによって、さもなければロータアセンブリ105にかかる軸方向荷重の少なくとも一部に対抗する。
【0085】
他の好適な実施形態では、磁石119および124は、領域の複数の異なる組み合わせで構成することができる。例えば、図15Bに示されるように、一方の磁石119が単一のN−S領域を有し、他方の磁石124が上部にS−N領域を、その下にS−N領域を有することができる。同様に、図15Cに示されるように、一方の磁石119が上部にN−S領域を、その下にS−N領域を有し、他方の磁石124が単一のS−N領域を有することもできる。
【0086】
図14、および15A〜15Cに示される実施形態のうちのいずれかにおいて、軸方向磁気軸受けによって発生した力は、磁石119および124をより磁力の強い、または弱い磁石と置き換えることによって、または単純に、ハウジング底部104の中央通路104Cを通じて配置されたねじ付き軸109を調整することによって、ポンプ100内のスピンドル磁石119の高さを調整して、調整することができる。スピンドル磁石119は、図14および15Aに示されるように、ロータ軸方向の磁石124よりも高くなるように配置して、ロータアセンブリ105への上向きの軸方向力を最大化するか、またはより低くなるように配置して、ロータアセンブリ105へのあらゆる上向きの軸方向力を最小化することができる。
【0087】
本発明のさらに他の実施形態では、ロータ軸方向の磁石124を永久磁石とし、一方で、スピンドル磁石119を強磁性材料とするか、またはその逆とすることができる。同様に、スピンドル磁石119および軸方向の磁石124は、一方を永久磁石材料で作製し、他方を強磁性材料で作製した、2つの別個の領域で構成することができる。当然、これらの実施形態のうちのいずれかにおける磁性材料の極性は、本発明に関連して述べたような軸方向の軸受け荷重を提供するために、上述した実施形態のうちの1つに適合する。
【0088】
本発明によって、軸方向磁気軸受けの更なる実施形態が起こりうることに留意されたい。例えば、ロータ軸方向の磁石124を、ロータアセンブリ105の外周付近に配置し、一方で、スピンドル磁石119を、ハウジング中央106の側壁内に埋め込むことができる。この点において、異なる位置の磁石は、軸方向力を生成して、ロータアセンブリ105の下向きの予荷重を補償することもできる。
【0089】
図16に最良に示されるように、血液は、流入口通路102Cを通じてポンプ100に入り、インペラ羽根118Aによってロータの上部全体に分配されて、渦巻に入ってポンプ100の側部上の流出口108の外へ駆動されるか、またはロータアセンブリ(流体力学スラスト軸受けに流体を供給する)の下のロータアセンブリの外側を囲むように駆動され、その後、スピンドルとジャーナル軸受けに流体を供給するロータアセンブリ105との間の間隙を上昇する。
【0090】
場合によっては、ポンプ100を通じた血流の移動によって、ロータアセンブリ105に働く半径方向のバイアスが存在する場合がある。例えば、血液がポンプ100から排出されたときに、流出口の流出口圧力が上昇して、ロータアセンブリ105への上述のバイアスを生じさせる可能性がある。図5G、6C、6D、6E、および18Bに示された好適な一実施形態では、半径方向のバイアスの補償は、軸方向磁気軸受け内に、半径方向に非対称の、または非円形のスピンドル磁石119を使用して、非対称な磁場を形成することによって達成することができる。例えば、スピンドル磁石は、図6Dおよび6Eに示されたスピンドル磁石119および図6Cに示されたスピンドル磁石117の「D」字形状のような、非対称または非円形の断面形状を有することができる。この形状は、所定の方向および大きさで、バイアス力とは逆方向の磁力を増加させるように配置することができる。特に、スピンドル磁石119の湾曲した領域は、平坦面に対してより大きな磁場を生成する。すなわち、スピンドル磁石119は、その質量中心が軸方向磁気軸受けの回転軸からオフセットされ、したがって、ロータアセンブリ105のロータ軸方向の磁石124に対してオフセットもされるように形成される。したがって、より大きな磁場を有するスピンドル磁石119の領域は、バイアス力の反対方向に配向させて(磁石119の平坦面を指すバイアス力)、その方向においてでロータ軸方向の磁石124上により多くの力を生成させ、それによって、ロータアセンブリへのバイアス力の影響を減じるか、または実質的に排除することができる。
【0091】
他の好適な実施形態では、このバイアスは、傾斜表面、テーパ、パッド、またはスラストプレート114、ハウジング中央106の内周面、またはその両方に沿った他の表面ジオメトリの変化、のような表面特徴によって補償される。これらの特徴を、例えばハウジング中央106の一方に不均一に配置することによって、流体力学軸受けがポンプ100の一方に形成され、半径方向のバイアス力を形成する。これらの半径方向の流体力学軸受けを適切に配置することで、流出口108のバイアス力を減じることができる。
【0092】
他の好適な実施形態では、この半径方向のバイアスは、スピンドル磁石116を、スピンドル114Dの中央およびロータ軸方向の磁石124からオフセットすることによって補償される。例えば、図18Aは、スピンドル114Dの中央140の一方に配置されたスピンドル磁石116を示す図である。磁石116および124の構成に応じて、オフセットされたスピンドル磁石116は、ロータアセンブリ105が回転したときに、正味の半径方向の力を生成する。したがって、等しく逆方向の力で半径方向の力を形成することによって、ポンプを出る血液によって導かれた半径方向のバイアスを打ち消すことができる。
【0093】
本発明の別の側面は、ポンプの静圧の相互作用、モータロータ磁石122と、ステータ裏当の鉄片120と、軸方向の磁石124との間の軸方向荷重、およびスラストプレート114によって形成される流体力学軸受けである。これを以下に詳述する。
【0094】
ポンプ100の動作中に、ロータ上部118の湾曲したインペラ羽根118Aは、静圧を発生させ、その大部分を使用して、流出口108を通る有用な流れを形成する。全ての遠心ポンプにおいて、静圧は、ロータおよびハウジングの全ての湿潤表面に加えられる。この静圧の合計は、軸受けが担持しなければならない、ロータへの正味の力を生成する。これらの力は、測定が困難となりうるが、従来技術で既知のように、計算流体力学分析によってより容易に予測することができる。計算流体力学(computational fluid dynamics:CFD)は、ポンプ性能のモデリングおよび予測を行うことができる、有限要素法プログラムである。次いで、この分析結果を使用して、液圧性能、効率、得られた力、およびせん断のような特定の設計から予想することができる、当該のパラメータを決定することができる。
【0095】
1つの市販のCFDプログラム、ANSYS CFX−5を使用して、本発明によるポンプ100のCFDモデルを形成した。背面、ハウジング隙間、および流体力学軸受けを有する完成したロータアセンブリ105の周期モデルを用いて、ロータアセンブリ105に作用する力、およびロータアセンブリ105の後方の漏出を評価した。
【0096】
計算したレイノルズ数は最高236であり、これは、十分層流範囲に入っており、遷移範囲の2000を十分下回っているので、層流モデルを使用した。レイノルズ数は、次式で表される。
【0097】
R=ρVD/μ
式中、ρは密度(1.0kg/l)、Vは速度(6.5m/s)、Dは隙間(0.0127cm)、およびμは粘度(3.5cps)である。
【0098】
図19は、ロータアセンブリ105に作用する静圧の等高線図である。圧力の単位は、パスカル(1パスカル=0.0075mmHg)である。ソフトウェアの関数計算では、ロータアセンブリ105のハブへの領域平均圧力は、9754パスカル、すなわち73.15mmHg(1.415psi)を示す。ロータアセンブリの環状領域は、1.041平方インチ(約699.15平方ミリメートル)であり、ポンプの後方または底部の方へ導かれたハブに作用する正味の軸方向の静液力は、1.472ポンド(約667.687グラム)を示す。
【0099】
図20は、ロータアセンブリ105の底部(すなわちロータハウジング底部126)に作用する静圧および流体力学の等高線図を示す図である。スラストプレート114上の3つリフト114Aの概略は、これらの軸受けによって生成された異なる圧力領域として、図20に見出すことができる。ソフトウェアの関数計算では、3つのリフト114Aの領域の外側の静圧は、8395.72パスカル、すなわち62.97mmHg(1.219psi)を示す。ロータハウジング底部126上の領域も、1.041平方インチ(約699.15平方ミリメートル)であり、ポンプの後方から離れる方向において得られた静圧力は1.27ポンド(約576.062グラム)となる。
【0100】
この点において、CFDの計算は、ロータアセンブリ105に作用する正味の軸方向の流体力学力および静圧力(すなわち、ロータアセンブリ105の上部に作用する力と、ロータアセンブリ105の底部に作用する力との差)は、ポンプの後方へ向かう方向において0.202ポンド(約91.625グラム)を示す。この正味の軸方向の流体力学力および静圧力も、モータ磁石122および裏当の鉄片134の作用によって得られた力と組み合わせられる。モータ磁石122および裏当の鉄片134の典型的な引力は、約1.1ポンド(約498.951グラム)である。したがって、リフト114Aによって形成された流体力学軸受けは、正味の流体力学力および静圧力(0.202ポンド(約91.625グラム))と、モータ磁石122および裏当の鉄片134の引力(1.1ポンド(約498.951グラム))とを組み合わせた、少なくとも1.302ポンド(約590.576グラム)の総軸方向力を補償しなければならない。すなわち、流体力学軸受けは、これらの両方の力を補償するのに十分な量の力を生成するので、通常動作中に、ロータアセンブリ105の総合位置を維持し、ハウジングアセンブリ101との物理的な接触が最小またはゼロとなる。
【0101】
最後に、ポンプの動作を説明する。動作に際し、血液ポンプ100は、流入口110および流出口108によって患者の循環系に接続される。ユーザは、血液ポンプのコントローラを作動させることによって、血液ポンプ100を起動させる。コントローラは、適切な電流をフレキシブル回路132に供給し、次いでその電流をコイル130に分配する。コイル130のワイヤ130Aを通じて流れた電流は、モータ磁石122と相互作用する磁場を形成し、ロータアセンブリ105を駆動して回転させる。スピンドル磁石119およびロータ軸方向の磁石124の磁場は、軸方向磁気軸受けを形成するように相互作用して、回転中にロータアセンブリ105の軸方向位置を維持することを助力する。ロータアセンブリ105が回転すると、スラストプレート114上のリフト114Aによって形成された流体力学スラスト軸受けによって、更なる軸方向力がロータアセンブリに加えられる。
【0102】
ロータアセンブリ105が回転すると、ロータハウジング上部118上のインペラ羽根118Aは、血液を駆動して、流入口110および流入口通路102Cから、流出口108を通じて送り出す。この点において、回転ロータアセンブリ105は、ポンプ100を通じて患者の血液を駆動し、血液循環を支援する。
【0103】
本発明は、特定の実施形態およびアプリケーションに関して記載したが、当業者は、この教示に照らして、請求項記載の発明の趣旨を逸脱せずに、またはその範囲を超えることなく、更なる実施形態および変形例を生成することができる。したがって、本願明細書の図面および説明は、本発明の理解を容易にするために一例として提供されたものであり、その範囲を制限すべきものではないと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図14A】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−27743(P2013−27743A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−236384(P2012−236384)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−503322(P2009−503322)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(501356215)ソーラテック コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】