説明

回転軸の絶対回転角検出装置

【課題】二つ以上の相対角センサの検出信号を利用し、簡単かつ高精度に回転軸の絶対回転角を検出する。
【解決手段】回転軸12の二つの相対角センサ20P、20Q及び電動モータ22の相対角センサ24から得られる電気角信号Sp、Sq、Srに基づき、角度信号平滑化手段32において、絶対回転角信号Abを求める。この際、角度信号平滑化手段32で得られる絶対回転角信号の所望の周期的変動数Sと、減速機26の減速比a:bと、二つの相対角センサ20P、20Qの軸倍角p、qと、電動モータ22の相対角センサ24の軸倍角rと、回転軸12の許容回転数Nとが、各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、S=|(p+q)×N−r×N×(a/b)|=1の関係を満たすように各値を設定することで、絶対回転角信号Abは回転軸12の絶対回転角と一対一の対応となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、360°を超える回転角度が与えられた回転軸の、絶対回転角度を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールのステアリングコラム等、360°を超える所定の許容回転角度θが与えられた回転軸の絶対回転角度を検出する手段として、従来から、多回転アブソリュート検出器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の多回転アブソリュート検出器は高価であり、かつ、その構造上耐久性に問題があることから、多回転アブソリュート検出器を用いることなく、回転軸の絶対回転角度を検出する手段が求められている。
【0003】
そこで、レゾルバ等360°以内の回転角の検出が可能な相対角センサを利用して、回転軸の絶対回転角度を検出する手段が開発されている。例えば、電動パワーステアリングにおいて適切なアシスト力を発生させるための、トーションバー及び二つのレゾルバからなる操舵力検出システムを備えるステアリングシステムにおいて、これら二つのレゾルバと、電動アシストシステムを構成する電動モータのレゾルバの、各電気角の組み合わせ(例えば、特許文献2)や、各電気角の偏差(例えば、特許文献3)、二つのレゾルバの軸倍角の位相差(例えば、特許文献4、5)に基づき、ステアリングコラムの絶対回転角度を検出する手法が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−194251公報(〔0012〕、図2)
【特許文献2】特開2003−315096公報(〔0054〕〜〔0061〕、図6)
【特許文献3】特開2003−75109公報(〔0043〕〜〔0047〕)
【特許文献4】特開2004−325182公報(〔0112〕〜〔0119〕、図13)
【特許文献5】特開2005−274484公報(〔0067〕、〔0068〕図7、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の、複数のレゾルバの、各電気角の組み合わせや、各電気角の偏差を利用した、回転軸の絶対回転角検出手段は、コントローラの電源が落とされた状態でも、絶対回転角を把握しておくための記憶手段が必要不可欠であり、制御システムの複雑化を避けることが困難であった。又、二つのレゾルバの軸倍角の位相差を利用したものは、比較する二つのレゾルバの軸倍角の差が1Xないし2Xとなっていることからして、相対角センサの選択の自由度が狭いという欠点を抱えている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多回転アブソリュート検出器を用いることなく、二つ以上の相対角センサの検出信号を利用し、簡単かつ高精度に、回転軸の絶対回転角を検出することを可能とするものである。しかも、相対角センサの選択の幅を広げつつ、かかる目的を達成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の回転軸の絶対回転角検出装置は、360°を超える所定の許容回転角度θが与えられた、電動モータ及び該電動モータの相対角センサを含む電動アシストシステムを備える回転軸の、絶対回転角を検出するものであって、回転軸の回転角度を、少なくとも一つの相対角センサで検出し、該少なくとも一つの相対角センサ及び前記電動モータの相対角センサから得られる周期的変動を伴う電気角信号に基づき、回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で求める。そして、周期的変動数を減じた絶対回転角信号から、回転軸の許容回転角度の全体にわたる、絶対回転角度を正確に把握するものである。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)360°を超えて回転することが可能な回転軸の絶対回転角検出装置であって、前記回転軸の相対回転角度を検出する少なくとも一つの相対角センサと、前記回転軸を補助的に駆動するための、電動モータ及び該電動モータの相対角センサを含む電動アシストシステムと、前記少なくとも一つの相対角センサ及び前記電動モータの相対角センサから得られる、前記回転軸の許容回転角度の全体範囲にわたる機械角及び前記電動モータの機械角に応じた、周期的変動を伴う電気角信号に基づいて、前記各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、前記回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、前記電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力する、角度信号平滑化手段とを備える回転軸の絶対回転角検出装置(請求項1)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、少なくとも一つの相対角センサ及び電動モータの相対角センサから得られる周期的変動を伴う電気角信号に基づき、角度信号平滑化手段によって、回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、前記各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で求める。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。
【0008】
(2)前記回転軸の、中間部にはトーションバーが構成され、該トーションバーを挟んだ入力側と出力側の各々に相対角センサが配置され、前記トーションバーよりも出力側の部分には、前記電動モータ及び該電動モータの相対角センサが減速機を介して連結され、前記角度信号平滑化手段は、前記回転軸の二つの相対角センサ及び前記電動モータの相対角センサの各々から、電気角信号を受ける回転軸の絶対回転角検出装置(請求項2)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、角度信号平滑化手段において、回転軸の二つの相対角センサ及び電動モータの相対角センサから得られる、周期的変動を伴う電気角信号に基づき、回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で求める。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。
【0009】
(3)前記角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサの軸倍角p、qと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数Nとが、S=|(p+q)×N−r×N×(b/a)|の関係を満たすように、前記各値が設定されている回転軸の絶対回転角検出装置(請求項3)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、回転軸に配置された二つの相対角センサと、電動アシストシステムの電動モータの相対角センサとの軸倍角p、q、rと、回転軸の許容回転数Nと、減速機の減速比a:bの各値が、上記関係を満たすように設定されることで、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の、所望の周期的変動数S(周期的変動数Sは、回転軸の許容回転角度θの全体範囲に跨る変動数である。)を得るものである。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。しかも、角度信号平滑化手段では、軸倍角pの相対角センサと、軸倍角qの相対角センサの、二つの相対角センサの電気信号を加算することによって、減速機の減速比の如何に関わらず、絶対回転角信号を、各相対角センサから得られる電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力することが可能となる。
なお、本項の場合には、回転軸に設けられたトーションバーの出力側に位置する相対角センサの相対角度信号を利用することから、トーションバーに生じる捻れの影響を、微小ではあるが受けることとなる。しかしながら、必要であれば、回転軸に加わる回転駆動力とトーションバーの捻れ角との相関関係から、トーションバーの捻れの影響を容易に補正することが可能である。
【0010】
(4)前記角度信号平滑化手段から出力される絶対角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサのうち、入力側に位置する相対角センサの軸倍角pと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数Nとが、S=|pn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)の関係を満たすように、前記各値が設定されている回転軸の絶対回転角検出装置。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、入力側に位置する相対角センサと、電動アシストシステムの電動モータの相対角センサの軸倍角p、rと、回転軸の許容回転数Nと、減速機の減速比a:bと、定数nの各値が、上記関係を満たすように設定されることで、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の、所望の周期的変動数Sを得るものである。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。しかも、角度信号平滑化手段では、定数nの値が、減速機の減速比a:bを考慮して定められていることによって、回転軸の許容回転数及び減速機の減速比の如何に関わらず、絶対回転角信号を、相対角センサから得られる電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力することが可能となる。
なお、本項の場合には、回転軸に設けられたトーションバーの入力側に位置する相対角センサの相対角度信号を利用することにより、トーションバーに生じる捻れの影響を受けることなく、回転軸の絶対回転角を把握することができる。
【0011】
(5)前記角度信号平滑化手段から出力される絶対角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサのうち、出力側に位置する相対角センサの軸倍角qと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数NとがS=|qn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)の関係を満たすように、前記各値が設定されている回転軸の絶対回転角検出装置。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、回転軸に配置された二つの相対角センサと、電動アシストシステムの電動モータの相対角センサの軸倍角q、rと、回転軸の許容回転数Nと、減速機の減速比a:bと、定数nの各値が、上記関係を満たすように設定されることで、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の、所望の周期的変動数Sを得るものである。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。しかも、角度信号平滑化手段では、定数nの値が、減速機の減速比a:bを考慮して定められていることによって、回転軸の許容回転数及び減速機の減速比の如何に関わらず、絶対回転角信号を、相対角センサから得られる電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力することが可能となる。
なお、本項の場合には、回転軸に設けられたトーションバーの出力側に位置する相対角センサの相対角度信号を利用することから、トーションバーに生じる捻れの影響を、微小ではあるが受けることとなるが、上記(3)項と同様に、トーションバーの捻れの影響を容易に補正することが可能である。
【0012】
(6)前記角度信号平滑化手段から出力される絶対角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサの軸倍角p、qと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数Nとが、S=|pn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)又は、S=|qn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)の関係を満たすように、前記各値が設定されている回転軸の絶対回転角検出装置(請求項4)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、回転軸に配置された二つの相対角センサと、電動アシストシステムの電動モータの相対角センサとの軸倍角p、q、rと、回転軸の許容回転数Nと、減速機の減速比a:bと、定数n又はnの各値が、上記関係を満たすように設定されることで、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の、所望の周期的変動数Sを得るものである。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。しかも、角度信号平滑化手段では、定数n、nの値が、減速機の減速比a:bを考慮して定められていることによって、回転軸の許容回転数及び減速機の減速比の如何に関わらず、絶対回転角信号を、相対角センサから得られる電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力することが可能となる。
【0013】
(7)前記(3)から(6)において、前記角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の周期的変動数Sが、0<S≦1である回転軸の絶対回転角検出(請求項5)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の周期的変動数Sが、0<S≦1に設定される。すなわち、回転軸の許容回転角度の全体範囲にわたり、角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号は、回転軸の絶対回転角と一対一の対応となり、一つの絶対回転角信号が異なる絶対回転角に付されることなく、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。
【0014】
(8)前記回転軸の、入力側端部にはステアリングホイールが、出力側端部には操舵輪の転舵機構が接続されている回転軸の絶対回転角検出装置(請求項6)。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、ステアリングホイールと操舵輪との、角度の対応関係を正確に把握するものである。
【0015】
(9)前記回転軸の回転角度を検出する少なくとも一つの相対角センサと、前記電動モータの相対角センサとが、レゾルバである回転軸の絶対回転角検出装置。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、レゾルバから得られる周期的変動を伴う電気角信号に基づき、角度信号平滑化手段によって、回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で求める。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。
(10)上記(1)から(9)項において、前記角度信号平滑化手段は絶対回転角演算部を備え、該絶対回転角演算部において、前記各相対角センサから得られる電気角信号Sp、Sq、Srから、
Ab=(Sp+Sq)×N−Sr×N×(b/a)
又は、
Ab=Spn×N−Sr×N×(b/a)
又は、
Ab=Sqn×N−Sr×N×(b/a)
と表されるロジックに基づき、前記角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号Abが求められる回転軸の絶対回転角検出装置。
本項に記載の回転軸の絶対回転角検出装置は、角度信号平滑化手段において、以上のいずれかのロジックに基づき、回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、各相対角センサから得られる電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で求める。そして、絶対回転角信号と回転軸の絶対回転角との対応から、回転軸の絶対回転角を正確に把握するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明はこのように構成したので、多回転アブソリュート検出器を用いることなく、二つ以上の相対角センサの検出信号を利用し、回転軸の絶対回転角度を、簡単かつ高精度に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る回転軸の絶対回転角検出装置10は、図1に示される構成を有している。回転軸12はステアリングコラムであり、その入力側端部にはステアリングホイール14が、出力側端部には操舵輪の転舵機構16が接続されている。又、回転軸12の中間部にはトーションバー18が構成されている。そして、トーションバー18を挟んだ入力側と出力側の各々に相対角センサ20(20P、20Q)が配置されている。本発明の実施の形態では、相対角センサ20にはレゾルバが用いられているが、他の形式の相対角センサを用いることも可能である。
【0018】
又、ステアリングコラム12の、トーションバー18より出力側には、電動モータ22及び電動モータ22の相対角センサ24が、減速機26を介して連結されている。本発明の実施の形態では、電動モータ22にはブラシレスモータが用いられている。又、相対角センサ24は、このブラシレスモータの磁極を検出して回転角を検出するレゾルバであり、電動モータ22に標準装備されたものであるが、他の形式の相対角センサを用いることも可能である。
なお、電動モータ22及び相対角センサ24は、トーションバー18、相対角センサ20、トルク検出部28、モータ制御部30と共に、電動アシストシステムを構成するものであり、これらは何れも、電動パワーステアリングを装備する既存の車両に搭載されているものである。
【0019】
又、回転軸の絶対回転角検出装置10は、ステアリングコラム12に設けられた相対角センサ20及び電動モータ22の相対角センサ24から得られる電気角信号Sp、Sq、Srを受け、ステアリングコラム12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abを、電気角信号Sp、Sq、Srよりも周期的変動数を減じた状態で出力する、角度信号平滑化手段32とを備えている。
角度信号平滑化手段32は、ステアリングコラム12に設けられた相対角センサ20及び電動モータ22の相対角センサ24によって得られる検出信号を、電気角信号Sp、Sq、Srへと変換する相対回転角演算部34と、電気角信号Sp、Sq、Srに基づきステアリングコラム12の絶対回転角を求め、絶対回転角信号Abを出力する絶対回転角演算部36とを備えている。なお、図1中、符号38で示されたデータ変換部は、絶対回転角信号Abをステアリングホイール14の位置情報ISへと変換するものであり、必要に応じ角度信号平滑化手段32に組み込むことも可能である。
【0020】
なお、相対回転角演算部34は、図示の例では、ステアリングコラム12の相対角センサ20、及び、電動モータ22の相対角センサ24を構成するレゾルバから出力される正弦波(sin)及び余弦波(cos)を、相対回転角演算部34のアナログ/デジタル変換機ADでデジタル信号へと変換し、このデジタル信号に基づき、角度検出部40で電気角信号Sp、Sq、Srのデジタル値を求めている。しかしながら、アナログ/デジタル変換機ADと角度検出部40に替えて、相対回転角演算部34にR/Dコンバータを用いることも可能である。いずれにせよ、相対回転角演算部34は、各相対角センサからのアナログ信号を受けて、各相対角センサの電気角信号Sp、Sq、Srであるデジタル信号を出力する。
【0021】
ところで、電気角信号Sp、Sq、Srは、何れも、レゾルバの回転軸が360°回転する間に周期的変動を伴う信号であり、図3に示されるレゾルバの電気角EAと機械角MAとの相関図において、鋸歯状の波形で表される。そして、回転軸が360°回転する間にレゾルバの出力周期が5回繰り返される場合には、そのレゾルバの軸倍角は5Xと称され、又、回転軸が360°回転する間にレゾルバの出力周期が6回繰り返される場合には、そのレゾルバの軸倍角は6Xと称される。
【0022】
レゾルバにおいて周期的変動を伴う電気角信号が得られる理由は、前記の特許文献3等にも詳しく記載されている通りである。そして、レゾルバの軸倍角が5Xの場合、機械角すなわち回転軸の回転角が0°のとき電気角は0°となる。又、機械角が0°から72°に至るまでの間に、電気角は0°から360°へと直線状に変化し、機械角が72°となった時点で、電気角は再び0°となる。同様にして、機械角が72°の整数倍すなわち144°、216°、288°のとき、電気角は何れも0°となる。例えば、機械角が90°のときの電気角は90°−72°=18°となり、機械角が250°のときの電気角は、250°―72°×3=34°となる。
又、レゾルバの軸倍角が6Xの場合、機械角が0°から60°に至るまでの間に、電気角は0°から360°へと直線状に変化し、機械角が60°となった時点で、電気角は再び0°となる。同様にして、機械角が0°及び60°の整数倍すなわち60°、120°、180°、240°、300°のとき、電気角はいずれも0°となる。
【0023】
絶対回転角演算部36では、このような周期的変動を伴う電気角信号Sp、Sq、Srを受け、以下に例示する手法により、回転軸の許容回転角度θの全体範囲で数えたときの電気角信号Sp、Sq、Srの周期的変動数よりも少ない周期的変動数Sで、ステアリングコラム12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abを出力する。
【0024】
第一の具体例として、本発明の実施の形態に係る回転軸の絶対回転角検出装置10において、図2に模式的に示されるステアリングホイール14の許容回転数N(N=θ/360°)が3回転、減速機26の減速比a:b(a<b)が3:32と設定され(通常、N、a:bの値は車両の仕様等から予め定められている。)、電動モータの相対角センサ24の軸倍角r=1X(電動モータの回転軸が360°回転する間の出力周期が1回となる。)となっている。すなわち、ステアリングホイール14が0〜3回転したときのステアリングコラム12の絶対回転角は0〜1080°であり、相対角センサ24の出力周期は32回繰り返される。又、ステアリングコラム12の相対角センサ20Pと20Qとは、トーションバーを介して直結されており、互いの回転数比は1:1となっている。ここで、所望の周期的変動数Sを1と定め、相対角センサ20Pの軸倍角p=5X、相対角センサ20Qの軸倍角q=6Xとなるように各相対角センサを選択すれば、
(p+q)×N−r×N×(b/a)=(5+6)×3−1×3×(32/3)
=33−32=1
となり、後述するS=|(p+q)×N−r×N×(b/a)|の関係が満たされる。かかる条件において、絶対回転角演算部36にて、以下に説明する各ステップ(図2)の処理を行う。
【0025】
(STEP1):Sp+Sqの値を算出する。
本例では、電気角信号Spと電気角信号Sqを加算して得られる電気角信号の軸倍角は、p+q=5X+6X=11Xとなることから、図3に示される、レゾルバの電気角EAと機械角MAとの相関図において、ステアリングホイール14(ステアリングコラム12)が1回転(360°)する間に、周期的変動数が11回繰り返される軸倍角11Xの電気角信号を得る。
(STEP2):続いて、(Sp+Sq)×Nの値を算出する。
本例では、上記演算処理から得られる電気角信号の軸倍角は、(p+q)×N=11X×3=33Xとなり、図4に示されるレゾルバの電気角EAとステアリングホイールの回転数Nとの相関図において、ステアリングホイール14が3回転する間に、周期的変動数が33回繰り返される軸倍角33Xの電気角信号を得る。
(STEP3):更に、Sr×N×(b/a)の値を算出する。
本例では、上記演算処理から得られる電気角信号の軸倍角は、r×N×(b/a)=1X×3×(32/3)=32Xとなり、図4に示されるレゾルバの電気角EAとステアリングホイールの回転数Nとの相関図において、ステアリングホイール14が3回転する間に、周期的変動数が32回繰り返される軸倍角32Xの電気角信号を得る。
(STEP4):最後に、Ab=(Sp+Sq)×N−Sr×N×(b/a)を算出する。
本例では、上記演算処理から得られる電気角信号の軸倍角は、(p+q)×N−r×N×(b/a)=33X−32X=1Xとなり、図4に示されるレゾルバの電気角EAとステアリングホイールの許容回転数Nとの相関図において、ステアリングホイール14が3回転する間に、周期的変動数が1回のみ生じる軸倍角1Xの絶対回転角信号Abを得る。これにより、絶対回転角信号Abは、ステアリングコラム12の絶対回転角度の全範囲(0〜1080°)で同じ値を繰り返さないので、絶対回転角度信号Abの値からステアリングコラム12の絶対回転角度を一義的に求めることができる。
【0026】
すなわち、本具体例では、角度信号平滑化手段32において出力される絶対回転角信号Abの周期的変動数S=1と、減速機26の減速比a:bと、トーションバー18を挟んで配置された二つの相対角センサ20P、20Qの軸倍角p、qと、電動モータ22の相対角センサ24の軸倍角rと、ステアリングコラム12の許容回転数N(N=θ/360°)とが、
S=|(p+q)×N−r×N×(b/a)| ‥‥(1)
の関係を満たすように、相対角センサ20P、20Q及び24の軸倍角がそれぞれ、p=5X、q=6X、r=1Xに設定されることで、S=1Xの絶対回転角信号Abを得るものである。なお、本具体例ではp=6X、q=5Xであっても、同様の結果を得ることができる。
【0027】
又、第二の具体例として、各数値を以下のように設定した場合にも、同様にしてS=1Xの絶対回転角信号Abを得ることが可能である。例えば、予め、ステアリングホイール14の許容回転数N(N=θ/360°)が5.25回転、減速機26の減速比a:bが10.5:64と設定された場合において、所望の周期的変動数Sを1と定め、相対角センサ20P、20Qの軸倍角p、qを何れも6X、相対角センサ24の軸倍角rを2Xとすれば、以下に示されるように、数式(1)が成り立つこととなる。
S=|(p+q)×N−r×N×(b/a)| ‥‥(1)
1X=|(6X+6X)×5.25−2X×5.25×(64/10.5)|
【0028】
又、角度信号平滑化手段32において出力される絶対回転角信号Abの所望の周期的変動数Sと、減速機26の減速比a:bと、トーションバー18を挟んで配置された二つの相対角センサ20P、20Qの軸倍角p、qと、電動モータ22の相対角センサ24の軸倍角rと、ステアリングコラム12の許容回転数N(N=θ/360°)とが、
S=|pn×N−r×N×(b/a)| ‥‥(2)
(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
又は、
S=|qn×N−r×N×(b/a)| ‥‥(3)
(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
の関係を満たすように、前記各値が設定されることとしても良い。なお、np、をa:bの値を考慮した値としているのは、減速機26の減速比a:bが予め設定された値である場合にも、この減速比を変更することなく、絶対回転角信号の周期的変動数Sを所望の変動数へと減少させるための、適切な値を設定する必要があるためである。この場合、絶対回転角信号Abは、式(2)が満足されるときは、
Ab=Spn×N−Sr×N×(b/a)
で求められ、式(3)が満足されるときは、
Ab=Sqn×N−Sr×N×(b/a)
で求められる。
【0029】
例えば、第三の具体例として、上記第二の具体例と同様に、ステアリングホイール14の回転数N(N=θ/360°)が5.25回転、減速機26の減速比a:bが10.5:64と設定された場合において、相対角センサ20P、20Qの軸倍角p、qを何れも6X、相対角センサ24の軸倍角をr=2Xとした場合において、数式(2)のnを2とすれば、
S=|pn×N−r×N×(b/a)| ‥‥(2)
1X=|6X×2×5.25−2X×5.25×(64/10.5)|
となり、ステアリングホイール14が5.25回転する間に、周期的変動が1回のみ生じる軸倍角1Xの絶対回転角Abを得ることができる。
【0030】
又、数式(3)に基づいた場合にも、n=2とすれば、
S=|qn×N−r×N×(b/a)|
1X=|6X×2×5.25−2X×5.25×(64/10.5)|
となり、ステアリングホイール14が5.25回転する間に、周期的変動が1回のみ生じる軸倍角1Xの絶対回転角信号Abを得ることができる。
【0031】
なお、上記第一の具体例から第三の具体例は、何れも絶対回転角演算部36において、ステアリングコラム12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abについて、軸倍角1X、すなわちステアリングコラム12の絶対回転角にわたる周期的変動数S=1を得る場合について説明したが、周期的変動数Sが、0<S≦1であれば、ステアリングコラム12の許容回転角度θの全体範囲にわたり、角度信号平滑化手段32の絶対回転角演算部36から出力される絶対回転角信号Abは、絶対回転角と一対一の対応となることから、従来の多回転アブソリュート検出器と同様に、絶対回転角の検出が可能となる。
【0032】
更に、周期的変動数S>1の場合、例えば、周期的変動数S=2とした場合には、絶対回転角演算部36からは、ステアリングコラム12の許容回転角度θのセンタを境にして、左右回転方向に出力周期が1回で合計2周期の絶対回転角信号Abが出力されることとなる。このような場合であっても、絶対回転角信号Abは、相対角センサから出力される電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態である事に変りはなく、例えば、ステアリングコラム12の許容回転角度θのセンタを基準とした左右位置の情報を、機械的又は電気的に得ることにより、ステアリングコラム12の絶対回転角を正確に把握することが可能である。
【0033】
又、上記各例のごとく、相対角センサをレゾルバによって構成した場合には、逆回転方向への急激なステアリング操作を行った場合であっても、レゾルバから出力される電気角信号の追従性は実用上問題ない程良好であることから、ステアリングコラム12の絶対回転角の把握に影響が生じることはない。又、回転軸の絶対回転角検出装置10により得られた絶対回転角信号Abに、各レゾルバから出力される電気角信号Sp、Sq 、Srを反映させることにより、極めて高精度の位置情報ISを得ることも可能である。
【0034】
上記構成をなす、本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。
本発明の実施の形態に係る回転軸の絶対回転角検出装置10は、少なくとも一つの相対角センサ20及び電動モータ22の相対角センサ24から得られる周期的変動を伴う電気角信号Sp、Sq、Srに基づいて、角度信号平滑化手段32によって、回転軸12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abを、各相対角センサ20、24の軸倍角p、q、rの如何に関わらず、電気角信号Sp、Sq、Srよりも周期的変動数Sを減じた状態で求める。そして、絶対回転角信号Abと回転軸12の絶対回転角との対応から(図4)、回転軸12の絶対回転角を正確に把握することが可能となる。
従って、多回転アブソリュート検出器を用いることなく、回転軸の絶対回転角度を、簡単かつ高精度に検出することが可能となる。
【0035】
又、本発明の実施の形態は、回転軸12の二つの相対角センサ20P、20Q及び電動モータ22の相対角センサ24から得られる周期的変動を伴う電気角信号Sp、Sq、Srに基づき、角度信号平滑化手段32において、回転軸12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abを、各相対角センサ20P、20Q、24の軸倍角p、q、rの如何に関わらず、電気角信号Sp、Sq、Srよりも周期的変動数Sを減じた状態で求め、絶対回転角信号Abと回転軸12の絶対回転角との対応から(図4)、回転軸12の絶対回転角を正確に把握することが可能である。従って、回転軸12の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号Abについて、軸倍角1X、すなわち回転軸12の絶対回転角の全体範囲にわたる周期的変動数Sを0<S≦1の範囲に設定すれば、回転軸12の許容回転角度θの全体範囲にわたり、角度信号平滑化手段32から出力される絶対回転角信号Abは、回転軸12の絶対回転角と一対一の対応となり、一つの絶対回転角信号が異なる絶対回転角に付されることはなくなる。
しかも、回転軸12の二つの相対角センサ20P、20Q及び電動モータ22の相対角センサ24は、電動パワーステアリングを装備する既存の車両に搭載されているものであることから、既存の相対角センサのみを利用して、従来の多回転アブソリュート検出器と同様に、絶対回転角の検出が可能となる。
【0036】
又、本発明の実施の形態によれば、回転軸12に配置された二つの相対角センサ20P、20Q、及び、電動アシストシステムの電動モータ22の相対角センサ24の軸倍角p、q、rと、回転軸の許容回転数Nと、減速機の減速比a:bの各値が、
S=|(p+q)×N−r×N×(b/a)| ‥‥(1)
S=|pn×N−r×N×(b/a)| ‥‥(2)
(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
S=|qn×N−r×N×(b/a)| ‥‥(3)
(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
のいずれかの関係を満たすように設定されることで、角度信号平滑化手段32から出力される絶対回転角信号Abの、所望の周期的変動数Sを得ることができる。そして、絶対回転角信号Abと回転軸の絶対回転角との対応から(図4)、回転軸14の絶対回転角を正確に把握することが可能となる。
【0037】
しかも、数式(1)の例の場合には、角度信号平滑化手段32では、二つの相対角センサの軸倍角p、qを加算することによって、減速機の減速比a:bの如何に関わらず、絶対回転角信号Abを、相対角センサ20P、20Q、24から得られる電気角信号Sp、Sq、Srよりも周期的変動数Sを減じた状態で出力することが可能となる。
又、数式(2)、(3)の場合には、角度信号平滑化手段32では、定数n、nの値が、減速機26の減速比a:bを考慮して定められていることによって、減速機の減速比の如何に関わらず、絶対回転角信号Abを、相対角センサ20P、20Q、24から得られる電気角信号Sp、Sq、Srよりも周期的変動数Sを減じた状態で出力することが可能となる。
従って、本発明の実施の形態によれば、減速機26の減速比a:bの如何に関わらず、必要に応じて相対角センサ20P、20Q、24の軸倍角p、q、rを決定することが可能となり、相対角センサの選択の自由度を広げることが可能となる。
【0038】
そして、本発明の実施の形態では、回転軸12の、入力側端部にはステアリングホイール14が、出力側端部には操舵輪の転舵機構16が接続されていることから、回転軸の絶対回転角検出装置10は、ステアリングホイール14と操舵輪との、角度の対応関係を正確に把握することが可能となる。
しかも、減速機26の減速比a:bの如何に関わらず、ステアリングホイール14の舵角検知に適した、軸倍角10X以下の小型のレゾルバを、各相対角センサ20P、20Q、24として選択することが可能となる。従って、本発明の実施の形態によれば、ステアリングホイール14の舵角検知に係る絶対回転角検出装置10の、省スペース化を測ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転軸の、全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示される絶対回転角検出装置の、要部概略図である。
【図3】図1に示される絶対回転角検出装置の、角度信号平滑化手段において求められる、レゾルバの電気角と機械角との相関関係を表す図である。
【図4】図1に示される絶対回転角検出装置の、角度信号平滑化手段において求められる、レゾルバの電気角とステアリングホイールの回転数との相関関係を表す図である。
【符号の説明】
【0040】
10:絶対回転角検出装置、12:ステアリングコラム、14:ステアリングホイール、16:操舵輪の転舵機構、18:トーションバー、 20、20P、20Q:相対角センサ、22:電動モータ、24:電動モータの相対角センサ、26:減速機、32:角度信号平滑化手段、34:相対回転角演算部、36:絶対回転角演算部、40:角度検出部、Ab:絶対回転角信号、IS:位置情報、 p、q、r:軸倍角、 Sp、Sq、Sr:電気角信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
360°を超えて回転することが可能な回転軸の絶対回転角検出装置であって、
前記回転軸の相対回転角度を検出する少なくとも一つの相対角センサと、
前記回転軸を補助的に駆動するための、電動モータ及び該電動モータの相対角センサを含む電動アシストシステムと、
前記少なくとも一つの相対角センサ及び前記電動モータの相対角センサから得られる、前記回転軸の許容回転角度の全体範囲にわたる機械角及び前記電動モータの機械角に応じた、周期的変動を伴う電気角信号に基づいて、前記各相対角センサの軸倍角の如何に関わらず、前記回転軸の絶対回転角に対応して変動する絶対回転角信号を、前記電気角信号よりも周期的変動数を減じた状態で出力する、角度信号平滑化手段とを備えることを特徴とする回転軸の絶対回転角検出装置。
【請求項2】
前記回転軸の、中間部にはトーションバーが構成され、該トーションバーを挟んだ入力側と出力側の各々に相対角センサが配置され、前記トーションバーよりも出力側の部分には、前記電動モータ及び該電動モータの相対角センサが減速機を介して連結され、
前記角度信号平滑化手段は、前記回転軸の二つの相対角センサ及び前記電動モータの相対角センサの各々から、電気角信号を受けることを特徴とする請求項1記載の回転軸の絶対回転角検出装置。
【請求項3】
前記角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサの軸倍角p、qと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数Nとが、
S=|(p+q)×N−r×N×(b/a)|
の関係を満たすように、前記各値が設定されていることを特徴とする請求項2記載の回転軸の絶対回転角検出装置。
【請求項4】
前記角度信号平滑化手段から出力される絶対角信号の所望の周期的変動数S(絶対値)と、前記減速機の減速比a:b(a<b)と、前記トーションバーを挟んで配置された二つの相対角センサの軸倍角p、qと、前記電動モータの相対角センサの軸倍角rと、前記回転軸の許容回転数Nとが、
S=|pn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
又は、
S=|qn×N−r×N×(b/a)|(nはb/aの値を考慮した任意の定数)
の関係を満たすように、前記各値が設定されていることを特徴とする請求項2記載の回転軸の絶対回転角検出装置。
【請求項5】
前記角度信号平滑化手段から出力される絶対回転角信号の周期的変動数Sが、0<S≦1であることを特徴とする請求項3又は4記載の回転軸の絶対回転角検出装置。
【請求項6】
前記回転軸の、入力側端部にはステアリングホイールが、出力側端部には操舵輪の転舵機構が接続されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の回転軸の絶対回転角検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−215998(P2008−215998A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52824(P2007−52824)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】