説明

回転電機及び電動パワーステアリング装置

【課題】レゾルバセンサの信号線を短くすることができる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機12は、ロータ61及びステータ62を収容する有底円筒形のケース50と、ケース50の開口部を閉鎖し、ロータ61の出力軸を通す蓋部51と、ケース50を挿入可能なケース挿入孔52aを有し、ケース50の外周に取り付け可能で、なおかつ回転電機12をその取付け対象物に取り付けるための外部取付け部52bを有するフランジ部材52と、フランジ部材52に設けられ、回転電機12の駆動を制御する制御ユニット14と、蓋部51の前面側に設けられ、ロータ61の出力軸の回転位置を検出するレゾルバセンサ101と、を有している。制御ユニット14の前面には、レゾルバセンサ101のセンサハーネス104が接続されるセンサコネクタ111が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車用操舵系に用いられる電動式のパワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)の駆動源として、回転電機が用いられている。
【0003】
従来の回転電機は、ロータ及びステータを収容する有底円筒形のケースと、当該ケースの開口部に配設されロータの出力軸が通るブラケット部を有している。このブラケット部により、ネジを介して回転電機が周辺機器の減速機などに取り付けられている。また、ケースの外周部には、回転電機の駆動を制御する制御ユニットが取り付けられている。
【0004】
例えばブラケット部の内側には、ロータの回転方向の位置合わせを行うレゾルバセンサが設けられている。また、ステータに給電するためのハーネスやレゾルバセンサのハーネスは、制御ユニットの各端子に接続されている(特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3593102号公報
【特許文献2】特開2004−23841号公報
【特許文献3】特開2008−109837号公報
【特許文献4】特開2007−237790号公報
【特許文献5】国際公開第2007/026894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の回転電機では、レゾルバセンサのセンサハーネスは、制御ユニットの側面に設けられたセンサ端子に接続されている。このため、レゾルバセンサのセンサハーネスは、レゾルバセンサと制御ユニットの直線距離に比べて非常に長くなっている。レゾルバセンサのハーネスは、長ければ長いほどノイズが入り易く、レゾルバセンサの精度を確保する上でより短いものが望ましい。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、レゾルバセンサの信号線を短くすることができる回転電機と、その回転電機を有する電動パワーステアリング装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、ロータ及びステータを収容する有底円筒形のケースと、前記ケースの開口部を閉鎖し、前記ロータの出力軸を通す蓋部と、前記ケースを前記出力軸方向に挿入可能なケース挿入孔を有し、前記ケースの外周に取り付け可能で、なおかつ回転電機をその取付け対象物に取り付けるための外部取付け部を有するフランジ部材と、前記フランジ部材に設けられ、回転電機の駆動を制御する制御ユニットと、前記蓋部の前記出力軸方向の前面側若しくは後面側に設けられ、前記ロータの出力軸の回転位置を検出するレゾルバセンサと、を有し、前記制御ユニットの前記出力軸方向の前面には、前記レゾルバセンサの信号線が接続されるセンサ端子が設けられている、回転電機である。
【0009】
本発明によれば、レゾルバセンサの信号線を、制御ユニットの前面のセンサ端子に接続することができるので、従来に比べてレゾルバセンサの信号線を短くすることができる。この結果、レゾルバセンサの信号線にノイズが入ることが抑制され、レゾルバセンサの精度を向上できる。よって、回転電機の回転の精度を向上できる。
【0010】
前記センサ端子は、前記ケース挿入孔に隣接して設けられていてもよい。かかる場合、センサ端子がレゾルバセンサにより近くなり信号線をより短くできる。
【0011】
前記制御ユニットの前記出力軸方向の前面には、前記ステータに給電するための給電線が接続される給電端子が設けられていてもよい。かかる場合、給電線の給電端子と、レゾルバセンサの信号線のセンサ端子が、同じ制御ユニットの前面に設けられるので、給電線や信号線の各端子への接続作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0012】
前記蓋部、前記フランジ部材及び前記ケースは、前記出力軸方向の前面側から挿入されるネジにより互いに取付け可能であり、前記給電線は、前記出力軸方向の前面側から挿入されるネジにより前記給電端子に取付け可能であってもよい。かかる場合、蓋部、フランジ部材及びケースの取付けと、給電線の給電端子への取付けを、同じ方向からネジを回すことによって実現できるので、回転電機の組み立てを簡単かつ迅速に行うことができる。
【0013】
前記給電線は、弾性力を有し、前記弾性力により前記給電端子に対して押圧されて接続されていてもよい。かかる場合、ネジを用いずに給電線を給電端子に接続できるので、回転電機の組み立て時の作業を減らして、組み立ての迅速化を図ることができる。また、部品点数が減るので、コストも低減できる。
【0014】
前記ケースの外周部には、前記フランジ部材を取り付けるための取付け部が形成され、前記フランジ部材は、前記ケースを当該ケースの底側から挿入して前記取付け部に取り付け可能であってもよい。かかる場合、ケースを、配線の少ない底側から挿入して、フランジ部材をケースに取り付けることができるので、フランジ部材の取り付けを簡単に行うことができる。
【0015】
別の観点による本発明は、上述の回転電機を有する電動パワーステアリング装置である。本発明によれば、レゾルバセンサの信号線を短くして、レゾルバセンサの精度を高くすることができるので、回転電機の回転の精度が高い電動パワーステアリング装置を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レゾルバセンサの信号線を短くして、レゾルバセンサの精度を向上できるので、回転電機の回転の精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電動パワーステアリング装置の構成の概略を示す説明図である。
【図2】ウォーム減速機構の構成の概略を示す説明図である。
【図3】回転電機を前面側から見た正面図である。
【図4】給電端子とバスバーとの接続部を示す回転電機の断面図である。
【図5】ケース、フランジ部材及び蓋部の互いの取付け部を示す回転電機の断面図である。
【図6】フランジ部材の取付け部を示す回転電機の断面図である。
【図7】(A)は、フランジ部材をケースに嵌め込む前の状態を示す説明図であり、(B)は、フランジ部材をケースに嵌め込んだ状態を示す説明図である。
【図8】弾性を有するバスバーを使用する場合の給電端子の位置を示す回転電機を前面側から見た正面図である。
【図9】弾性を有するバスバーと給電端子との接続部を示す回転電機の断面図である。
【図10】センサハーネスが蓋部の外側を通る回転電機を前面側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる回転電機を有する電動パワーステアリング装置1の構成の概略を示す説明図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
電動パワーステアリング装置1は、例えばコラムタイプのものであり、車両のステアリングホイールHが固定されるステアリングシャフト10と、ラック・ピニオン運動変換機構11と、ステアリングホイールHに付加された操舵トルクに応じて補助操舵トルクを発生させる回転電機12と、回転電機12とステアリングシャフト10との間に介在され、回転電機12の回転を減速させるウォーム減速機構13と、回転電機12の駆動を制御する制御ユニット14等を有している。
【0020】
ステアリングシャフト10は、ステアリング入力軸10aとステアリング出力軸10bを有し、ハウジング20に覆われている。ステアリング入力軸10aの上端にステアリングホイールHが固定されている。ステアリング入力軸10aとステアリング出力軸10bは、トルクセンサ21のトーションバーを介して接続されている。ステアリングホイールHの操作により生じる操舵トルクは、ステアリング入力軸10aを通じてトルクセンサ21により検出され、制御ユニット14に出力され、当該制御ユニット14によって、検出された操舵トルクに基づいて回転電機12の出力が制御される。
【0021】
ウォーム減速機構13は、例えば図2に示すようにステアリング出力軸10bに取り付けられたウォームホイール30と、ウォームホイール30の外周歯車に噛み合うウォーム31を有している。ウォーム31は、ハウジング32に対して固定されている2つの軸受33、34により支持されている。ウォーム31の一端は、回転電機12のシャフト60に対して同軸上にスプライン構造で結合されている。これにより、例えばステアリング出力軸10b及びウォームホイール30の駆動によりウォーム31が受けた軸方向の反力を、ウォーム減速機構13において吸収できる。
【0022】
図1に示すようにステアリング出力軸10bとラック・ピニオン運動変換機構11とは、2つの自在継手40、41と連結部材42により連結されている。また、ラック・ピニオン運動変換機構11は、ラック・ピニオンギアによりステアリング出力軸10bと操作車輪のタイロッドを接続している。
【0023】
回転電機12により出力された回転力は、ウォーム減速機構13を介して、補助操舵トルクとしてステアリング出力軸10bに伝達され、当該補助操舵トルクは、ステアリング出力軸10bからラック・ピニオン運動変換機構11を介して操作車輪のタイロッドに伝達される。
【0024】
次に、回転電機12の構成について説明する。図3は、回転電機12を前面側から見た正面図である。図4は、図3に示すI−I線に沿った回転電機12の断面図、図5は、図3に示すI−II線に沿った回転電機12の断面図、図6は、図3に示すI−III線に沿った回転電機12の断面図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
回転電機12は、例えば図3及び図4に示すように有底円筒形のケース50と、ケース50の開口部を閉鎖する蓋部51と、ケース50の外周に取り付け可能なフランジ部材52等を有している。
【0026】
ケース50は、例えば軸方向の前面側(図4の左側)が開口し、後面側(図4の右側)が閉鎖された有底筒形状を有している。蓋部51は、ケース50の前面側の開口部を閉鎖している。
【0027】
図3及び図5に示すようにケース50の前面側の端部には、蓋部51とフランジ部材52を取り付けるための、外側に突出した取付け部50aが形成されている。取付け部50aには、貫通孔50bが形成されている。取付け部50aは、複数個所、例えば図3に示すようにケース50の直径上で対向する2か所に形成されている。
【0028】
図5に示すようにケース50内には、シャフト60を回転させるロータ61と、ケース50に対し固定されたステータ62が設けられている。
【0029】
ステータ62は、ケース50の内壁面に固定されている。ステータ62は、ケース50に圧入、接着、焼きばめ等で固定されている。ステータ62は、筒形状のステータコア70を有している。ステータコア70には、インシュレータ71が挿入され、その状態でコイル72が巻き付けられている。なお、3相モータの場合、3n個(nは整数)のステータコアは、継鉄部(バックヨーク)毎を圧入、溶接等で一体化してもよい。一体化しないステータコアは、ケース50に対して圧入してもよい。
【0030】
ロータ61は、ステータ62の内側に設置されている。ロータ61は、内部にロータコアを有し、その軸心にシャフト60が貫通している。また、ロータコアの外周面には、セグメントマグネットを2n個(nは整数)又は、リングマグネットが設けられている。ロータコアの外周部形状は、セグメントマグネットと接する面に凹凸を設けてもよい。ロータコアの内部には、磁石を配置する埋め込み磁石タイプを用いてもよい。ロータカバーは、薄肉の非磁性の材料(例えばステンレス材、アルミニウム、熱収縮チューブ等)から形成されており、ロータ軸方向からの圧入、焼きばめ、溶接等で設置することができる。
【0031】
ケース50の後面側の底部中央には、凹部50cが形成され、当該凹部50cには、シャフト60の後面側を支持する軸受80が設けられている。
【0032】
ステータ62の前面側には、ステータ62のコイル72に電気的に接続された端子台90が設置されている。また、端子台90には、ステータ62に給電するための給電線としてのバスバー91が電気的に接続されている。バスバー91は、ケース50に設けられた貫通孔50dを通じて、制御ユニット14の後述する給電端子112に接続されている。貫通孔50dには、グロメット92が設けられ、バスバー91は、グロメット92の内部を通ってケース50の外部に通じている。
【0033】
蓋部51は、例えば薄板の円形状に形成されている。蓋部51には、中央にシャフト60の前面側が通る貫通孔51aと、蓋部51の後面側の中央に設けられた後面凹部51bと、前面側の面の中央に設けられた前面凹部51cが設けられている。後面凹部51bには、シャフト60の前面側を支持する軸受100が設けられており、前面凹部51cには、ロータ61によるシャフト60の回転位置を検出するレゾルバセンサ101が設けられている。
【0034】
レゾルバセンサ101は、シャフト60に圧入された円筒状のレゾルバロータ102と、そのレゾルバロータ102の外周を囲むレゾルバステータ103を有している。レゾルバステータ103は、前面凹部51cに圧入、カシメ、溶接等により固定されている。レゾルバステータ103には、制御ユニット14に検出信号を送るための信号線としてのセンサハーネス104が電気的に接続されている。センサハーネス104は、ケース50内を通り、図3に示す蓋部51の外周縁に設けられた貫通孔51dを通って外部に引き出され、先端部に設けられたコネクタ104aが、制御ユニット14の後述するセンサ端子としてのセンサコネクタ111に接続されている。
【0035】
蓋部51には、図3及び図5に示すようにケース50とフランジ部材52を取り付けるための、外側に突出した取付け部51eが形成されている。取付け部51eには、円弧状に長い長穴の貫通孔51fが形成されている。この長穴の貫通孔51fにより、蓋部51の周方向の取り付け位置を調整し、レゾルバセンサ101の初期位置を調整できる。取付け部51eは、複数個所、例えば蓋部51の直径上で対向する2か所に形成されている。
【0036】
例えば図6に示すようにフランジ部材52は、例えば内側にケース50を挿入可能な円形のケース挿入孔52aを有している。ケース挿入孔52aは、例えばケース50をケース50の底側から挿入してフランジ部材52をケース50の前面側の外周面に設置できるように、ケース50の前面側の径よりも僅かに大きな径を有している。フランジ部材52の外周部には、回転電機12の取付け対象物であるウォーム減速機構13に取り付けるための外部取付け部52bが形成されている。外部取付け部52bは、複数個所、例えば図4に示すようにケース挿入孔52aの直径上で対向する2か所に形成されている。外部取付け部52bには、例えばネジ穴52cが形成され、ネジ穴52cにネジを嵌め込んで回転電機12をウォーム減速機構13に取り付けることができる。
【0037】
また、図5に示すようにフランジ部材52の外周部には、蓋部51及びケース50に取り付けるためのネジ穴52dが形成されている。ネジ穴12dは、図3に示すように複数個所、例えばケース挿入孔52aの直径上で対向する2か所に形成されている。フランジ部材52のネジ穴52d、蓋部51の貫通孔51f及びケース50の貫通孔50bにボルト105を通して固定することにより、フランジ部材52、蓋部51及びケース50を互いに固定できる。
【0038】
制御ユニット14は、図3及び図4に示すように回転電機12のフランジ部材52に一体化されて設けられている。制御ユニット14は、筺体110に覆われている。筺体110の前面側(軸方向の正面側)には、センサハーネス104を電気的に接続するセンサコネクタ111が設けられている。センサコネクタ111は、ケース挿入孔52aに隣接して設けられている。筺体110の前面側には、凹部110aが形成されており、凹部110aには、バスバー91を電気的に接続する複数、例えば3つの給電端子112が設けられている。前面側から挿入されているネジ113を回すことによって、バスバー91を給電端子112に取り付けることができる。凹部110aは、ケース挿入口52aに隣接し、例えばセンサコネクタ111の隣に形成されている。制御ユニット14は、トルクセンサ21により検出された操舵トルクの情報や、レゾルバセンサ101により検出された回転位置情報を得ることができる。また、制御ユニット14は、操舵トルク情報等に基づいて、バスバー91を通じてステータ62に給電し、回転電機12の駆動を制御できる。
【0039】
以上のように構成された回転電機12を組み立てる際には、例えば図7(a)に示すようにフランジ部材52がケース50の底側からケース50の外周面に嵌め込まれ、図7(b)に示すようにケース50の外周面に配置される。その後、バスバー91が、制御ユニット14の前面側の給電端子112にネジ113により接続される。また、センサハーネス104のコネクタ104aが、制御ユニット14の前面側のセンサコネクタ111に接続される。
【0040】
次に、ボルト105が、蓋部51の貫通孔51f、ケース50の貫通孔50b及びフランジ部材52のネジ穴52dに前面側から嵌め込まれ、フランジ部材52、ケース50及び蓋部51が仮固定される。
【0041】
その後、ロータ61を回転させ、そのとき発生させた誘起電圧と、レゾルバセンサ101により検出される回転位置信号が整合するように、蓋部51を回転させレゾルバセンサ101の位置を調整する。調整後、ボルト105により蓋部51を、フランジ部材52及びケース50に固定する。その後、フランジ部材52の外部取付け部52bのネジ穴52cにネジが嵌め込まれ、回転電機12がウォーム減速機構13に取り付けられる。
【0042】
以上の実施の形態によれば、レゾルバセンサ101のセンサハーネス104を、制御ユニット14の前面のセンサコネクタ111に接続することができるので、制御ユニット14の側面に接続していた従来に比べてセンサハーネス104を短くすることができる。この結果、センサハーネス104にノイズが入ることが抑制され、レゾルバセンサ101の精度を向上できる。よって、回転電機12の回転の精度を向上できる。
【0043】
また、フランジ部材52をケース50の外周に取り付けることができるので、フランジ部材52がケース50の外周に重なり、その分回転電機12の軸方向の長さを短縮できる。よって、回転電機12の搭載性を向上できる。
【0044】
センサコネクタ111は、ケース挿入孔52aに隣接して設けられているので、センサコネクタ111がレゾルバセンサ101により近くなりセンサハーネス104をより短くできる。
【0045】
バスバー91の給電端子112が、センサコネクタ111と同じ制御ユニット14の前面に設けられているので、バスバー91やセンサハーネス104の各端子111、112への接続作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0046】
さらに、蓋部51、フランジ部材52及びケース50は、前面側から挿入されるネジ105により互いに取付け可能であり、バスバー91は、前面側から挿入されるネジ113により給電端子112に取付け可能である。このため、蓋部51、フランジ部材52及びケース50間の取付けと、バスバー91の給電端子112への取付けを、同じ方向からネジを回すことによって実現できるので、回転電機12の組み立てを簡単かつ迅速に行うことができる。また、センサハーネス104のセンサコネクタ111への接続も含めて、すべて前面側から行うことができるので、これによっても回転電機12の組み立てを迅速に行うことができる。
【0047】
フランジ部材52は、ケース50を当該ケース50の底側から挿入して取付け部50aに取り付け可能であるので、ケース50を、配線の少ない底側から挿入して、フランジ部材52をケース50に取り付けることができる。これ故、フランジ部材52の取り付けを簡単に行うことができる。
【0048】
上記実施の形態によれば、レゾルバセンサ101のセンサハーネス104を短くしてレゾルバセンサ101の精度を上げることができるので、回転電機12の回転の精度が高い電動パワーステアリング装置1を実現できる。
【0049】
以上の実施の形態において、バスバー91は、ネジ113により給電端子112に接続されていたが、バスバー91に弾性力を付与し、当該弾性力によりバスバー91を給電端子112に押圧して電気的に接続するようにしてもよい。かかる場合、例えば図8に示すように制御ユニット14の前面側の面には、複数の平板状の給電端子112が形成される。給電端子112は、ケース挿入孔52aに外周に沿って並べて配置される。バスバー91は、図9に示すように端子台90からグロメット92内を通りケース50の径方向の外側方向に延び、先端部91aが弾性変形して後面側に折り返されている。先端部91aは、その弾性力により後面側に付勢され、給電端子112に押圧されて接続されている。そして、このバスバー91の先端部91aが給電端子112に押圧された状態は、ボルト105によるケース50とフランジ部材52の締結により維持されている。
【0050】
かかる例によれば、ネジを用いずにバスバー91を給電端子112に取り付けることができるので、回転電機12の組み立て時の作業を減らして、組み立ての迅速化を図ることができる。また、部品点数が減るので、コストも低減できる。
【0051】
また、以上の実施の形態において、センサハーネス104が蓋部51の内側を通って貫通孔51dから外に出されていたが、図10に示すようにレゾルバセンサ101から蓋部51の外側を通ってセンサコネクタ111に接続されていてもよい。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
例えば以上の実施の形態で記載したケース10内の構成は、他の構成であってもよく、例えばレゾルバセンサ101と軸受100が逆の位置で、蓋部51の外側の前面凹部51cに軸受100が設けられ、蓋部51の内側の後面凹部51bにレゾルバセンサ101が設けられていてもよい。また、上記実施の形態では、回転電機12が電動パワーステアリング装置1に適用された例を示したが、本発明は、他の用途の装置の回転電機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、レゾルバセンサの信号線が短い回転電機を実現する際に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 電動パワーステアリング装置
12 回転電機
14 制御ユニット
50 ケース
51 蓋部
52 フランジ部材
52a ケース挿入孔
52b 取付け部
60 シャフト
61 ロータ
62 ステータ
90 電動パワーステアリング装置
91 バスバー
101 レゾルバセンサ
104 センサハーネス
111 センサコネクタ
112 給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを収容する有底円筒形のケースと、
前記ケースの開口部を閉鎖し、前記ロータの出力軸を通す蓋部と、
前記ケースを前記出力軸方向に挿入可能なケース挿入孔を有し、前記ケースの外周に取り付け可能で、なおかつ回転電機をその取付け対象物に取り付けるための外部取付け部を有するフランジ部材と、
前記フランジ部材に設けられ、回転電機の駆動を制御する制御ユニットと、
前記蓋部の前記出力軸方向の前面側若しくは後面側に設けられ、前記ロータの出力軸の回転位置を検出するレゾルバセンサと、を有し、
前記制御ユニットの前記出力軸方向の前面には、前記レゾルバセンサの信号線が接続されるセンサ端子が設けられている、回転電機。
【請求項2】
前記センサ端子は、前記ケース挿入孔に隣接して設けられている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記制御ユニットの前記出力軸方向の前面には、前記ステータに給電するための給電線が接続される給電端子が設けられている、請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記蓋部、前記フランジ部材及び前記ケースは、前記出力軸方向の前面側から挿入されるネジにより互いに取付け可能であり、
前記給電線は、前記出力軸方向の前面側から挿入されるネジにより前記給電端子に取付け可能である、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記給電線は、弾性力を有し、前記弾性力により前記給電端子に対して押圧されて接続される、請求項3に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ケースの外周部には、前記フランジ部材を取り付けるための取付け部が形成され、
前記フランジ部材は、前記ケースを当該ケースの底側から挿入して前記取付け部に取り付け可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の回転電機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機を有する電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−160536(P2011−160536A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19181(P2010−19181)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】