説明

回転飲食台における巡回路連結方法およびその装置

【課題】装置下方を通路として使用し、既存の回転飲食台への後付けを可能とする。
【解決手段】巡回路14が設けられてなる回転飲食台において、巡回路14が複線型搬送路であって、別々の巡回路14の各端部または同一の巡回路14の両端部を所定間隔を隔てて直列に配設させ、巡回路14の両端部間に、上面に逆方向に搬送するコンベア体20を並列に配し、上部両側にローラ体22を折畳み自在に配し、上部両側に案内ガイド24を外方へ延出自在に配してなる連結コンベア18を、配することにより、連結コンベア18使用時には各巡回路14を連結させ一体化した一つの搬送路として使用し、連結コンベア18使用時にはその下方を、取外し時には別々の巡回路14の各端部または同一の巡回路14の両端部間を、通路として使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店、主に回転飲食台を設置した飲食店において、1つの巡回路の両端、または直列に配した複数の巡回路の各端部、を連結する巡回路連結方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店、例えば回転飲食台を設置した飲食店において、商品である寿司は、商品皿上に盛付けて巡回路上を巡回搬送させている。
【0003】
また、店内の客数が少ない営業時間帯(アイドルタイム)においては、巡回路内に配した短絡コンベアおよび案内ガイドからなる短絡機構を作動させ、巡回路を短絡させ、客数が多い繁忙時間帯には短絡機構を作動させることなく、効率的に商品を提供することが知られている。
【0004】
この種の短絡・連結装置として、別々の閉塞された搬送路を、各基端側を連接して1つの搬送路とし、その連接部位にそれぞれ案内ガイドを配し、各案内ガイドを開放設置させることにより、別々の搬送路として使用することができ、加えて各搬送路の連接部位に移送ローラーコンベアを2セット配し、別々の搬送路を連結し、一つの搬送路として使用する場合には、各案内ガイドを閉塞させ、移送ローラーコンベアを駆動させ、各搬送路間を移送させて商品を提供していた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−10028号公報(第3−4頁、図1、2、5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は前記の通り、特許文献1においては、短絡・連結装置が基台上面に組み込まれており、搬送路を短絡させて使用する場合でも、その下方を通路として使用することができなかった。
【0007】
また、短絡・連結装置が回転飲食台と一体化されており、既存の回転飲食台へは後付けが不可能であった。
【0008】
本発明は、装置下方を通路として使用することができ、既存の回転飲食台への後付け(付設)をも可能とした回転飲食台における巡回路連結方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基台の上方に商品を巡回搬送させる巡回路が設けられてなる回転飲食台において、巡回路が、両端部で逆方向に折返されて搬送される複線型搬送路であって、別々の巡回路の各端部または同一の巡回路の両端部を、所定間隔を隔てて直列に配設させ、巡回路両端部間に、上面にそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体を並列に配し、上部両側に、巡回路上へまたはコンベア体上へ被搬送物を転動案内させるための被動ローラを複数並設させたローラ体を、折畳み自在に配し、さらに上部両側に、被搬送物を巡回路上へまたは各コンベア体上へ移送案内させるための案内ガイドを、外方へ延出自在に配してなる連結コンベアを、配することにより、連結コンベア使用時には各巡回路を連結させ一体化した一つの搬送路として使用し、連結コンベア使用時にはその下方を、取外し時には別々の巡回路の各端部または同一の巡回路の両端部間を、通路として使用することを特徴とするもの、
または、連結コンベアを、巡回路を配した一方の基台側下方へ折畳み自在、かつ基台内に収納自在とし、連結コンベア未使用時に、折畳み、基台内に収納することを特徴とするもの、
または、連結コンベアを、その長さ方向に2分割し、巡回路を配した基台下方へ折畳み自在、かつ収納自在とし、連結コンベア未使用時に、それぞれ折畳み、基台内に収納することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る回転飲食台における巡回路連結方法およびその装置によれば、別々の巡回路の各端部または同一の巡回路の両端部間に、上面にそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体を並列に配し、上部両側に被動ローラを複数並設させたローラ体を、折畳み自在に配し、さらに上部両側に案内ガイドを外方へ延出自在に配してなる連結コンベアを、配してあるため、使用時には案内ガイドの延出、ローラ体の展開設置、コンベア体の駆動により、各巡回路を連結させて一体化した一つの搬送路として使用し、連結コンベア使用時にはその下方を、取外し時には別々の巡回路の各端部間または同一の巡回路の両端部間を通路として使用することができる。
【0011】
さらに、連結コンベアが巡回路を配した回転飲食台と別体であるため、既存機へも後付けが可能となり、回転飲食台を設置した既存店でも容易に導入することができる。
【0012】
また、連結コンベアを、巡回路を配した一方の基台側下方へ折畳み、収納させること、さらに連結コンベアをその長さ方向に2分割させることにより、連結コンベア未使用時に折畳み収納し、通路スペースを一層広く確保することができ、通行性が極めて向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
装置下方を通路として使用し、既存機への後付け(付設)を可能とする目的を、上面に配したそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体と、上部両側に折畳み自在に配したローラ体と、上部両側に延出自在に配した案内ガイドと、からなる連結コンベアにて各巡回路端を連結させることにより、実現させた。
【実施例1】
【0014】
本発明に係る回転飲食台における巡回路連結装置は、図1〜図5に示すように、以下の構成からなるものである。
【0015】
本例において、回転飲食台は、平面視略口型の基台12の上方に、商品、本発明においては寿司を盛付けた商品皿(図示略)を、巡回搬送させる巡回路14が設けられてなるものである。
【0016】
巡回路14は、無端チェーン(図示略)上にクレセント型のプレート16を多数軸支させてなる搬送路、一般にクレセントコンベアあるいはクレセントチェーンと称されるものであり、本例のクレセントコンベアは、基台12上部両端(図5において下方中央両端)で逆方向に折返されて搬送する複線型に配してある。
【0017】
巡回路14の両端部を所定間隔を隔てて直列に配設させてある。
【0018】
連結コンベア18は、この所定間隔を隔てて配設させた巡回路14の両端部間に配し、両巡回路14端部を連結させるためのものであり、以下にその構成を詳述する。
【0019】
上面にそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体20を直列に配してある。
【0020】
本例において、コンベア体20はベルトコンベアであり、同一駆動源により逆方向に同期させて駆動させることが望ましい。
【0021】
上部両側に、巡回路14上またはコンベア体20上へ被搬送物である商品皿を転動案内させるための被動ローラを複数並設させたローラ体22を、折畳み自在に配してある。
【0022】
本例において、ローラ体22は巡回路14側に向けて順次その全長を短尺としてあり、折畳み方向は上方内側である。
【0023】
さらに、上部に、商品皿を巡回路14上へまたは各コンベア体20上へ移送案内させるための案内ガイド24を、外方(巡回路14側)へ延出自在に配してある。
【0024】
本例において、案内ガイド24は細長平板であり、巡回路14中央の仕切部26側へ向けて延出自在とし、この案内ガイド24により、一方の巡回路14から他方の巡回路14側へ、商品皿をそれぞれ移送案内させる。
【0025】
また、連結コンベア18は一体型ユニットとしてある。
【0026】
このため、連結コンベア18を構成する各部材が、故障または損傷した際には、ユニット毎新しいユニットと交換すればよく、加えて、取外してメンテナンス作業を行うことができ、メンテナンス性に優れている。
【0027】
なお、図中28は連結コンベア18の躯体、30は基台12上部に配した巡回路端部側の脱着部位を示す。
【0028】
本装置を使用して1つの巡回路14の両端部間を連結する方法を以下に詳述する。
【0029】
まず、巡回路14の両端部間に、ローラ体22、案内ガイド24を収納させた連結コンベア18を、移動させる。
【0030】
次に、両巡回路14端部側の基台12の脱着部位30を取外す。
【0031】
次に、ローラ体22を両側の巡回路14側へ展開設置する。
【0032】
次に、案内ガイド24を両側の巡回路14の仕切部26へ向けて延出、設置する。
【0033】
次に、コンベア体20を駆動させる。
【0034】
この際、案内ガイド24の延出完了に応じて、コンベア体20を搬送制御させることにより、スイッチ等による切換作業および搬送方向確認作業が皆無となるばかりか、連結コンベア設置後直ぐに使用に供することができる。
【0035】
この形成された経路上を、被搬送物である商品皿が、巡回路14、連結コンベア18、次いで巡回路14へと巡回搬送される。
【0036】
また、連結コンベア18の使用、未使用に関係なく、躯体28により形成された空間部を通路として使用することができる。
【0037】
また、未使用時に連結コンベア18を巡回路14端部間から移動させることにより、巡回路14両端部間をそのまま通路として使用することができる。
【実施例2】
【0038】
図6に別の例が示してある。
【0039】
本例は、実施例1の連結コンベア18を下方へ折畳み自在、かつ基台12内に収納自在としたものである。
【0040】
連結コンベア18の軌跡上障害となる基台12を切欠き、さらに連結コンベア18を収納可能とするため収納スペース32を形成してある。
【0041】
本構造により、職人が巡回路14内の作業スペースへ出入する際には、巡回路14を連結させている場合は、連結コンベア18下方を通路として使用し、未使用時には、ローラ体22を折畳み、案内ガイド24を収納させた上、連結コンベア18を折畳むことにより、巡回路14両端部間を通路として使用することができ、実施例1に比べ通行スペースを一層広く確保することができ、通行性が飛躍的に向上する。
【実施例3】
【0042】
図7に別の例が示してある。
【0043】
本例は、実施例2の連結コンベア18を、その長さ方向に2分割し、それぞれ下方へ折畳み自在、かつ基台12内に収納自在とし、連結コンベア18使用時には各連結コンベア18を連結具(図示略)により連結させる。
【0044】
各連結コンベア18の軌跡上障害となる基台12を切欠き、さらに連結コンベア18を収納するための収納スペース32を、各基台12に形成してある。
【0045】
本構造により、職人が巡回路14内の作業スペースへ出入する際には、巡回路14を連結させている場合は、連結コンベア18下方を通路として使用し、未使用時には、ローラ体22を折畳み、案内ガイド24を収納させた上、連結コンベア18を折畳むことにより、巡回路14両端部間を通路として使用する。
【実施例4】
【0046】
図8に別の例が示してある。
【0047】
本例は、1つの巡回路を平面視略口型に配するのではなく、平面視略コ字型の巡回路と、平面視直線状の巡回路とを連結させるために使用した例であり、各部構成および作用、効果は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
なお、全例において、コンベア体20はベルトコンベアであるが、ローラーコンベアその他の搬送機構とすることは自由である。
【0049】
また、案内ガイド24は、細長平板であるが、丸棒、円弧状、その他の形状とすることは自由である。
【0050】
また、連結コンベア18の躯体28下部にキャスター等の移動手段を配することは自明である。
【0051】
また、巡回路14はクレセントチェーンに限定されることはなく、無端チェーン、無端ベルト、その他の搬送機構を採用できることは自明である。
【0052】
また、巡回路14の平面形状は、略口型、コ字型に限定されることなく、L型、E型、その他の形状とすることは自明である。
【0053】
また、連結コンベア18は、巡回路長に応じてその設置数を2個以上に増加させることは自明である。
【0054】
また、実施例2および3において、連結コンベア18未使用時に、ローラ体22、案内ガイド24を収納して連結コンベア18を折畳むものであるが、使用時においても、強制的にコンベア体20の駆動を停止させ、ローラ体22、案内ガイド2を収納させ、連結コンベア18を折畳むことにより、通路を広く確保した上で通行することは自明である。
【0055】
また、商品は寿司に限定されることはなく、例えばデザート類、サラダ、焼き物類、揚げ物類とすることは自由であり、その際には商品皿には商品を収納、盛付けた容器を載せて提供することは自明である。
【0056】
また、本発明の方法に使用する装置は本例に限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る巡回路連結方法および装置は、回転飲食台に限定されることはなく、薬品等を生産する工場の各生産ライン用としても転用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る巡回路連結装置を配した回転飲食台の要部拡大平面図。
【図2】巡回路連結装置の正面図。
【図3】同、平面図。
【図4】同、使用状態を示す斜視図。
【図5】同、巡回路連結装置を配した回転飲食台全体を示す平面図。
【図6】実施例2を示す正面図。
【図7】実施例3を示す正面図。
【図8】実施例4を示す平面図。
【符号の説明】
【0059】
12 基台
14 巡回路
18 連結コンベア
20 コンベア体
22 ローラ体
24 案内ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(12)の上方に商品を巡回搬送させる巡回路(14)が設けられてなる回転飲食台において、
巡回路(14)が、両端部で逆方向に折返されて搬送される複線型搬送路であって、
別々の巡回路(14)の各端部または同一の巡回路(14)の両端部を、所定間隔を隔てて直列に配設させ、
巡回路(14)両端部間に、
上面にそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体(20)を並列に配し、上部両側に、巡回路(14)上へまたはコンベア体(20)上へ被搬送物を転動案内させるための被動ローラを複数並設させたローラ体(22)を、折畳み自在に配し、さらに上部両側に、被搬送物を巡回路(14)上へまたは各コンベア体(20)上へ移送案内させるための案内ガイド(24)を、外方へ延出自在に配してなる連結コンベア(18)を、
配することにより、
連結コンベア(18)使用時には各巡回路を連結させ一体化した一つの搬送路として使用し、連結コンベア(18)使用時にはその下方を、取外し時には別々の巡回路(14)の各端部または同一の巡回路(14)の両端部間を、通路として使用することを特徴とする回転飲食台における巡回路連結方法。
【請求項2】
連結コンベア(18)を、巡回路(14)を配した一方の基台(12)側下方へ折畳み自在、かつ基台(12)内に収納自在とし、
連結コンベア(18)未使用時に、折畳み、基台(12)内に収納することを特徴とする請求項1記載の回転飲食台における巡回路連結方法。
【請求項3】
連結コンベア(18)を、その長さ方向に2分割し、巡回路(14)を配した基台(12)下方へ折畳み自在、かつ収納自在とし、
連結コンベア(18)未使用時に、それぞれ折畳み、基台(12)内に収納することを特徴とする請求項1記載の回転飲食台における巡回路連結方法。
【請求項4】
基台(12)の上方に商品を巡回搬送させる巡回路(14)が設けられてなる回転飲食台において、
巡回路(14)が、両端部で逆方向に折返されて搬送される複線型搬送路であって、
別々の巡回路(14)の各端部または同一の巡回路(14)の両端部を、所定間隔を隔てて直列に配設させ、
巡回路(14)両端部間に、
上面にそれぞれ逆方向に搬送するコンベア体(20)を並列に配し、上部両側に、巡回路(14)上へまたはコンベア体(20)上へ被搬送物を転動案内させるための被動ローラを複数並設させたローラ体(22)を、折畳み自在に配し、さらに上部両側に、被搬送物を巡回路(14)上へまたは各コンベア体(20)上へ移送案内させるための案内ガイド(24)を、外方へ延出自在に配してなる連結コンベア(18)を、
配することを特徴とする回転飲食台における巡回路連結装置。
【請求項5】
連結コンベア(18)を、巡回路(14)を配した一方の基台(12)側下方へ折畳み自在、かつ基台(12)内に収納自在とし、
連結コンベア(18)未使用時に、折畳み、基台(12)内に収納することを特徴とする請求項4記載の回転飲食台における巡回路連結装置。
【請求項6】
連結コンベア(18)を、その長さ方向に2分割し、巡回路(14)を配した基台(12)下方へ折畳み自在、かつ収納自在とし、
連結コンベア(18)未使用時に、それぞれ折畳み、基台(12)内に収納することを特徴とする請求項4記載の回転飲食台における巡回路連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−125082(P2007−125082A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318215(P2005−318215)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000228475)日本クレセント株式会社 (19)
【Fターム(参考)】