説明

回転飾り装置

【課題】斬新な動きで回転する装飾体によって演出性を向上させた回転飾り装置を提供する。
【解決手段】基台2と、基台2上に回転自在に設けられる台座4と、台座4に載置される球形の装飾体7と、基台2に設けられるモータ9と、台座4に設けられモータ9の回転動を該台座4に伝達する回転軸部材5とを備え、台座4に装飾体7の球面部分を摺動可能に支持する支承部32を設け、回転軸部材5に支承部32よりも強い摩擦力で装飾体7の球面部分に接触し該装飾体7の回転中心軸を傾けさせる軸傾斜手段を設けたことを特徴とする回転飾り装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾の対象物である装飾体をモータにより回転させるようにした回転飾り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
装飾の対象物である装飾体をモータにより回転させることでその装飾性を高めるようにした装飾置物(オーナメント)が従来より知られている。例えば、下記特許文献1には、球状の基体の外周面に多数の鏡が貼り付けられたミラーボールをモータにより回動させて装飾効果を向上させるようにしたインテリアとしてのキャンドル台が記載されている。また、下記特許文献2には、パチンコ遊技機等の遊技機に設けられる演出装置として、複数のLEDが配設された半球状の基板をモータにより回動させるようにした電飾装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3138951号公報
【特許文献2】特開2006−333957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に記載された発明において、モータの駆動で回動される装飾体(ミラーボールや半球状の基板)は、定められた回転軸線を中心として回動されるのみである。従って、その動きは単調なものになりがちで、装飾性や演出性が必ずしも高いとは言えず、飽きが生じ易いという問題があった。そこで本発明は、上記のような課題を解決するために、装飾体の回転にさらなる変化を与えることにより装飾性や演出性を向上させるようにした回転飾り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の回転飾り装置は、基台と、前記基台上に回転自在に設けられる台座と、前記台座に載置されその表面の少なくとも一部が球面になっている装飾体と、前記基台に設けられるモータと、前記モータの回転動を該台座に伝達する回転軸部材とを備え、前記台座に前記装飾体の球面部分を摺動可能に支持する支承部を設け、前記回転軸部材に前記支承部が装飾体に接触する摩擦力よりも強い摩擦力で前記装飾体の球面部分に接触し前記台座が回転するときの該装飾体の回転中心軸を傾けさせる軸傾斜手段を設けたことを特徴としている。
なお、ここにいう「支承部」とは、台座に別個に形成したものに限られず、台座の上端縁にそのまま装飾体を載置し、該装飾体を上端縁のみで支持する場合には、台座の上端縁全体が「支承部」に該当することになる。
【0006】
また、前記回転軸部材は、前記台座の回転中心線上に設けられる駆動軸と、前記駆動軸にその軸方向に交差するように延びる旋回軸とからなり、前記旋回軸は、前記台座に接続されていることを特徴としている。
【0007】
また、前記軸傾斜手段は、前記旋回軸に回転自在に軸支された円環状の摩擦リングであることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記旋回軸には、駆動歯車が回転自在に軸支され、該駆動歯車を前記基台に固着した固定歯車に噛合させることにより動力伝達歯車が構成され、前記旋回軸の回転に伴って前記駆動歯車が回動することにようになっており、前記摩擦リングは、前記旋回軸に軸支された駆動歯車に固着されていることを特徴としている。
【0009】
前記軸傾斜手段は、前記旋回軸を押し上げるように前記台座との間に介在させた付勢部材により前記装飾体の球面部分を弾性的に押圧していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回転飾り装置では、回転する装飾体の球面部分に接触するように軸傾斜手段を設け、この軸傾斜手段が装飾体の回転軸を傾けるようにしたことから、装飾体は回転の中心線を変化させながら回転するようになる。従って、装飾体が不思議な揺れ動きをしながら回転するといった視覚的効果が得られ、これにより回転飾り装置の演出性を向上させることができる。さらに、モータの回転速度を急激に加減速させたり又はモータの回転方向を反転させることにより装飾体の回転軸を大きく且つ不規則に変化させることができ、より斬新でインパクトのある演出をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る回転飾り装置を示す外観斜視図である。
【図2】装飾体を取り外した状態の本発明に係る回転飾り装置を示す外観斜視図である。
【図3】装飾体を取り外した状態の本発明に係る回転飾り装置を示す平面図である。
【図4】装飾体を取り外した状態の本発明に係る回転飾り装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明に係る回転飾り装置を示す断面図である。
【図6】本発明に係る回転飾り装置を適用したパチンコ遊技機を示す正面図である。
【図7】(a)(b)は交換用の装飾体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る回転飾り装置を図面に従って説明する。回転飾り装置1は、基台2の円筒枠部3の内部に台座4が回転自在に設けられると共に、台座4の内部には該台座4を回転させる略T字形の回転軸部材5と傘歯車6が設けられ、また、台座4の上部には球形の装飾体7が載置されている。一方、基台2の箱枠部8の上面には、台座4の回転駆動源となるモータ9がギアボックス10を介して取着されている。さらに、モータ9の上方には、装飾体7へ側方から光を照射する照明器11が配設されている。
【0013】
前記基台2の円筒枠部3は、装飾体7の直径よりも若干狭径の円筒形をしており、その最下端よりも若干上方の内部には、図5に示したように、底壁12が形成されている。また、底壁12の中央には円形の中心孔13が開設され、さらに、底壁12の上面であって中心孔13の周囲には円筒状の支持筒部14が立設されていると共に、その下端外側には段部15が周設されている。一方、基台2の箱枠部8は、円筒枠部3の側面から略L字形に延設されている。箱枠部8の円筒枠部3側には、先端を内側に折り曲げた二片の鉤状リブ16,16と、これら鉤状リブ16,16間に位置する二片の板状リブ17,17とが、円筒枠部3の外周面から並行に突出するように形成されている。これら鉤状リブ16,16と板状リブ17,17とは、照明器11の取付基板18の下部を保持するようになっている。
【0014】
基台2の箱枠部8の上面にはギアボックス10がネジ19により固設され、さらに、ギアボックス10の上面にはモータ9がネジ20により固設されている。モータ9の側面には、モータ9への電源供給線と制御信号線とを接続するためのコネクタ21が設けられている。また、ギアボックス10の内部には、モータ9の回転を所定速度に変換する複数の歯車(図示せず)が設けられており、その出力軸22が箱枠部8の内部に突出している。そして、基台2の箱枠部8の内部下方には、ギアボックス10の出力軸22に取着される平歯車23が水平に配設されている。平歯車23の上面には軸孔24を開設した円柱状の軸ボス25が立設されており、この軸孔24にギアボックス10の出力軸22が嵌入され係止ネジ26により固定されている。さらに、基台2の円筒枠部3の内部であって底壁12の下方には、前述した平歯車23に噛合するように平歯車27が水平に配設される。平歯車27の上面には円柱状の軸ボス28が立設されており、この軸ボス28を円筒枠部3の底壁12の中心孔13に遊挿することで該平歯車27は回転自在に設けられている。また、軸ボス28には、後述する駆動軸40が嵌挿される軸孔29が開設されている。
【0015】
前記台座4は、図5に示したように、円形の底板30の外周縁に円筒壁31を立設したカップ形状に形成されている。また、台座4の円筒壁31の上端縁には、装飾体7を支持するための四個の支承部32,32,32,32が等間隔に突設されていて、台座4に装飾体7を載置した際、装飾体7と台座4との接触面積が少なくなるようにして摩擦抵抗を小さくしている。なお、支承部32は必ずしも等間隔に四個設ける必要はなく、装飾体7を安定して支持することができればその個数や設置間隔は任意であるし、台座4の円筒壁31の上端縁全体を支承部とすることも可能である。また、台座4の円筒壁31には、後述する旋回軸42が嵌まる一対の嵌入溝33,33が対向位置して形成され、さらに、円筒壁31の内周面における各嵌入溝33の両側縁には、それぞれ並行リブ34,34が立設されている。一方、台座4の底板30の中央には挿入孔35が開設され、この挿入孔35には、基台2の円筒枠部3の底壁12中央の支持筒部14が遊嵌される。これにより、台座4は円筒枠部3の内部に回転自在に軸支される。
【0016】
前記回転軸部材5は、台座4の回転中心線上に略鉛直に設けられる駆動軸40と、駆動軸40の上端に設けられた連結管41と、該連結管41に挿入されて駆動軸40に対し略直交状に設けられる旋回軸42とにより略T字形に形成されている。そして、回転軸部材5は、駆動軸40が前記基台2の円筒枠部3の底壁12下方へ突出して平歯車27の軸孔29に嵌入されると共に、旋回軸42が台座4の円筒壁31の嵌入溝33,33にそれぞれ嵌まって接続されることにより、平歯車27の回転を台座4に伝達するようになっている。また、駆動軸40の下端は、平歯車27の軸孔29の下方に若干突出し、該突出部分にEリング43が嵌合されている。さらに、旋回軸42の両端は、台座4の円筒壁31の嵌入溝33から外方に若干突出し、該突出部分にEリング44,44が嵌合されて抜け止めされている。また、台座4の内側の左右の並行リブ34,34間には、付勢部材としてのコイルバネ45が設けられている。各コイルバネ45は、旋回軸42と台座4の底板30との間で圧縮されており、その弾発力により回転軸部材5は上方に付勢されている。
【0017】
前記傘歯車6(動力伝達歯車)は、台座4の内部に配置され、固定傘歯車6aと該固定傘歯車6aに噛合する2つの駆動傘歯車6b,6cとによって形成されている。このうち、固定傘歯車6aは、その軸筒部が基台2の円筒枠部3の底壁12中央に立設された支持筒部14の内側に上方から嵌合(隙間なく嵌っている状態)されて該支持筒部14に回転不能に設けられ、固定傘歯車6aの頭部の円錐歯は、台座4の底壁中央よりやや上方に位置するようになっている。さらに、固定傘歯車6aには、その中心軸線に沿って貫通孔50が開設されており、この貫通孔50に駆動軸40が挿入されている。もっとも、固定傘歯車6aの貫通孔50は、その内径が駆動軸40の外径よりも大きくなっている。そのため、駆動軸40は、貫通孔50内を自在に回転し、固定傘歯車6aの内部壁に接触することはない。一方、回転軸部材5の旋回軸42の両側には、駆動傘歯車6b,6cがそれぞれ一個ずつ設けられている。これら駆動傘歯車6b,6cの軸筒部には、その中心軸線に沿って貫通孔51が開設されており、この貫通孔51に旋回軸42が遊挿されることにより、駆動傘歯車6b,6cは旋回軸42に回転自在に軸支されている。また、駆動傘歯車6b,6cの頭部は互いに向き合うように配置されていて、駆動傘歯車6b,6cの頭部の円錐歯は、それぞれ固定傘歯車6aの円錐歯と噛合するようになっている。
【0018】
さらに、一方の駆動傘歯車6bには軸傾斜手段としての摩擦リング52が固着され、また、他方の駆動傘歯車6cには空転リング53が遊嵌されている。このうち、摩擦リング52は、台座4の支承部32よりも摩擦抵抗が大きいゴム等の材料によりドーナツ形の円環状に形成され、駆動傘歯車6bの軸筒部に固着されている。そして、摩擦リング52は、台座4の支承部32に載置された装飾体7の外周面に接触するように設けられている。他方、空転リング53は、台座4の支承部32と同程度に摩擦抵抗の小さい材料により形成され、摩擦リング52と略同じドーナツ形の円環状をしており、駆動傘歯車6cの軸筒部に遊嵌(若干の隙間をもって嵌っている状態)されている。すなわち、空転リング53の内径は、駆動傘歯車6cの外径よりも若干大きくなっている。この空転リング53も、台座4の支承部32に載置された装飾体7の外周面に接触するように設けられている。
【0019】
前記装飾体7は、滑らかで摩擦抵抗が小さい外周面を有する球形状に形成されていて、その外周面が台座4に形成された四個の支承部32,32,32,32に接触することで台座4に支持される。このとき、装飾体7の中心部(重心)は、駆動軸40の延長線上に位置している。また、装飾体7の外周面には、摩擦リング52および空転リング53も接触するようになっている。すなわち、装飾体7は、四個の支承部32,32,32,32と、摩擦リング52および空転リング53との合計六箇所で支持されている。なお、装飾体7は、必ずしも完全な球形状である必要はなく、外周面の少なくとも一部に外向きに膨らんだ球面状の部分が形成されていれば、台座4に摺動自在に支持させることができる。すなわち、装飾体7は、例えば、楕円球状、卵形球状、半球状、半楕円球状、半卵形球状等であってもよい。
【0020】
前記モータ9は、図示しない制御回路からの信号により回転の態様が自在に制御されるようになっている。すなわち、モータ9は、任意の回転速度かつ任意の回転方向で自在に回転させることができ、例えば、停止状態から急に高速回転させたり、高速回転中に急停止させたり逆回転させたり等の急激な制御も可能である。さらに、モータ9の回転を短時間で正逆回転させることにより、あたかもモータ9が振動しているかのように制御することもできる。
【0021】
前記照明器11は、基台2の箱枠部8に固設される取付基板18に投光部60を取着して構成されている。取付基板18は、平板を二箇所折曲してクランク状に形成され、その下部が箱枠部8の鉤状リブ16,16と板状リブ17,17との間に嵌入され、その上部はモータ9の上方に位置するように立設されている。また、取付基板18の上部の前面には、投光部60が装飾体7側を向くように取着される。この投光部60は、八角形の筒状に形成されたフード61の内部に基板62を略垂直に配設して形成される。基板62の前面には複数のLED63,63,…,63が装飾体7を向くように配設されている。また、基板62の後面には各LED63への電源を供給するためのコネクタが設けられている。
【0022】
次に、上述した本発明に係る回転飾り装置の作用について説明する。モータ9を駆動させると、その回転動がギアボックス10、平歯車23、平歯車27、回転軸部材5を介して台座4に伝達されて該台座4が水平方向に回転し、その結果、台座4上に載置された装飾体7も回転することになる。ここで、仮に本発明に係る回転飾り装置に軸傾斜手段が設けられていないとしたならば、装飾体7は、該装飾体7の中心部を通る回転軸部材5の駆動軸40の延長線上に一致する回転軸を中心として水平方向にのみ回転することになる。しかしながら、実際には、装飾体7は、軸傾斜手段によって、その回転軸を様々な方向へと傾けながら予期し得ない様々な方向へと回転することになる。
【0023】
すなわち、モータ9の駆動により、平歯車23、平歯車27が回転し、この回転が回転軸部材5の駆動軸40に伝達されると、これに伴って旋回軸42もプロペラのように回転し、その結果、台座4が回転する。そして、回転軸部材5の旋回軸42が回転すると、該旋回軸42に回転可能に軸支されている駆動傘歯車6b,6cは、台座4のほぼ中央に位置する固定傘歯車6aに対して旋回移動しながら回転する。このとき、各駆動傘歯車6b,6cは、台座4の回転速度と回転方向の変化に連動して、その回転速度と回転方向を変化させながら回転することになる。さらに、一方の駆動傘歯車6bには、摩擦リング52が固着されていて、この摩擦リング52は、駆動傘歯車6bと一緒に回転する。ここで、摩擦リング52は、装飾体7の外周面と接触し、しかも旋回軸42がコイルバネ45,45の弾発力により上向きに付勢されていることから、装飾体7の外周面に押圧されて、装飾体7の外周面に適度な摩擦抵抗力を与え続けている。そのため、摩擦リング52は、装飾体7に対して水平方向とは異なる方向へと回転力を加えることになる。他方、駆動傘歯車6cに空転リング53が軸支されているものの、空転リング53は、駆動傘歯車6cに遊嵌されているにすぎないため、駆動傘歯車6cの回転がそのまま伝達されることはなく、装飾体7の外周面に摩擦抵抗力を与えるほどには至らない。すなわち、空転リング53は、装飾体7の外周面に常に接触してはいるが、装飾体7の外周面を下から支持しているのみである。これらのことから、台座4の回転に伴って装飾体7が回転すると、摩擦リング52だけが装飾体7の外周面に強い摩擦抵抗を与えて、台座4が回転するときの装飾体7の回転中心軸を傾斜させる。このような回転軸の傾斜は、摩擦リング52が装飾体7の外周面に常に摩擦抵抗を与えているために該装飾体7の回転中に継続的に次々と発生する。このため、装飾体7は、その回転の中心線を常に変化させながら三次元的に揺れ動くような不思議な回転動作をする。
【0024】
また、モータ9の回転速度を変化させたり、または、回転方向を反転させたりすると、摩擦リング52が装飾体7の外周面に与える摩擦力が大きく変化する。従って、装飾体7の回転軸の傾きがより大きく、また思わぬ方向に変化するようになり、装飾体7にさらに面白い回転変化を与えることができる。特に、モータ9を高速回転させているときにその回転方向を急に反転させると、装飾体7は、慣性の働きで台座4上を滑って現在の回転方向を維持しようし、一方、摩擦リング52からは、それとは逆向きの強い摩擦抵抗が衝撃的に加わることになる。よって、装飾体7の回転軸の傾きが非常に大きく変化し、斬新でインパクトのある演出をすることができる。このように装飾体7が大きく三次元的に回転する際にも、装飾体7の外周面は支承部32,32,32,32に常に接触しているため、該装飾体7は、台座4から転落することなく非常に安定した状態を保持している。なお、本実施形態においては、装飾体7が略完全な球形に形成されているために装飾体7は360°回転可能である。
【0025】
さらに、装飾体7の側方に配設した照明器11のLED63を赤・緑・青等の複数の異なる色で発光させることで装飾体7に光を照射し、ひときわ印象的な演出を行なうことができる。このような光の照射による演出では、装飾体7の一部または全部を光透過性の材料によって形成したり、または、装飾体7の表面が光を反射するように加工しておくことが好ましく、また、制御回路により、照明器11の点灯・消灯の態様をモータ9の回転制御に同調させて変化させてやれば、より演出効果を高めることができる。さらに、LED63,63,…,63を、基台2の円筒枠部3の内側に設けた場合には、各LED63が装飾体7の下方に位置して該装飾体7を下から照明するので、光をより広範囲に拡散させることができるようになる。そして、例えば、装飾体7を光透過性の材料により形成すると共に、その中心部に光を様々な方向へ乱反射させる反射部を形成すれば、プラネタリウムのような演出をすることができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、軸傾斜手段としての摩擦リング52が、台座4の回転に伴って旋回すると共に回転しながら装飾体7の外周面に摩擦抵抗を与える構成を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、軸傾斜手段は、台座4の支承部32よりも強い摩擦力で装飾体7の外周面に接触するように設けた摩擦部材であればよく、必ずしも旋回したり回転したりしなくても、装飾体7の回転軸を傾けて変更させることが可能である。もっとも、軸傾斜手段を回転軸部材の回転中心軸上に設けたり、あるいは、回転軸部材の回転中心軸から支承部32までの位置と同じ距離にあると、装飾体7の回転軸を傾けることができないので、本願発明の目的を達し得ないことになる。また、本実施の形態において、台座4は、その回転中心線を鉛直にして水平に回転するように設けられているが、装飾体7を安定して支持し得る範囲内であれば、台座4を若干傾けて設けることにより、傾斜回転させるようにしてもよい。また、装飾体7の外周面の一部のみを球面としてもよく、この場合、装飾体7の上方に位置させ接触することで想定以上の傾斜を規制する傾斜制止部材を基台2または台座4、もしくはその他の箇所に設けることが好ましい。これにより、装飾体7の球面部分が各支承部32の支持から外れて装飾体7が台座4から転落してしまうことを防止できるようになる。
【0027】
上述したように、本発明に係る回転飾り装置は、回転する装飾体7の外周面の球面部分に接触して摩擦抵抗を与える摩擦リング52が設けられ、この摩擦リング52が装飾体7の回転軸を傾けることから、装飾体7は、回転の中心線を変化させながら回転するようになっている。従って、装飾体7が三次元的に揺れ動きながら回転するといった不思議な視覚的効果が得られ、これにより、装飾性や演出性を著しく向上させることができる。また、装飾体7に光を照射する照明器11を設けたことから、装飾体7の回転と光の照射とを組み合わせた演出ができる。さらに、装飾体7は、台座4の支承部32,32,32,32に支持させることで該台座4に単に載置されているだけであるため、その交換が非常に容易である。従って、別の装飾体7に載せ替えるだけでその外観や雰囲気を簡単に変化させることができる。
【0028】
次に、本発明に係る回転飾り装置をパチンコ遊技機に適用した場合の実施形態について説明する。この実施形態は、上述の実施形態と共通する構成を多く有している。従って、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略し、相違する構成について説明する。図6は、本発明に係る回転飾り装置を適用したパチンコ遊技機を示す正面図である。
【0029】
パチンコ遊技機Pの遊技盤101の前面には、円弧状の外レール102および内レール103で取り囲んで略円形状に形成した遊技領域104が設けられる。外レール102と内レール103とは、遊技領域104の正面視左側にて所定間隔で並べて配設されており、遊技球が通過できる幅の発射通路105を形成している。遊技球は、この発射通路105を介して遊技領域104へ発射される。遊技領域104の中央上部寄りには、液晶パネルからなる大型の電子ディスプレー106を備えた図柄表示装置107が設けられる。この図柄表示装置107の電子ディスプレー106には、特別抽選の結果が図柄の変動表示の停止図柄として表示されるようになっている。図柄の変動表示は、横三列に並べられた数字、記号、キャラクタ等の図柄を縦方向に次々と変化させると共に順に停止させる演出であって、例えば、数字の7が横二列に並んで停止した状態で残り一個の図柄停止を待っているリーチを経て、最終的に停止図柄として「777」のように同一図柄が横に三個揃うと大当たりとなる。
【0030】
遊技盤101の図柄表示装置107の発射通路側の一側には、遊技球を挿通し得る貫通孔が略鉛直に形成されたチャッカー108が配設される。チャッカー108が遊技球の通過を検知すると、普通抽選が実行されるようになっている。さらに、図柄表示装置107の下方には、始動入賞口109と開閉始動入賞口110とが上下に並んで配設される。開閉始動入賞口110の上部には一対の電動翼片111,111が設けられ、この電動翼片111,111は常態では閉じられており、上述した普通抽選の結果が当たりであると開放作動する。そして、電動翼片111,111が開放作動すると、開閉始動入賞口110は遊技球を受け入れるようになる。これら始動入賞口109または開閉始動入賞口110に遊技球が入球すると特別抽選が実行される。
【0031】
開閉始動入賞口110の下方には、電動扉112を有する大入賞口113が設けられる。この大入賞口113の電動扉112は、上述した特別抽選の結果が大当たりのときに生起される大当たり遊技状態の継続中に所定回数連続して開放作動する。これにより、大入賞口113に多くの遊技球を入賞させることが可能となり、遊技者は多数の賞球を得ることができるようになっている。また、遊技領域104の適宜箇所には、複数の普通入賞口114,114,…,114が設けられている。
【0032】
遊技領域104の最下部には、上述した各種入賞口109,110,113,114のいずれにも入賞しなかった遊技球を遊技領域104の外部へ排出するアウト球排出口115が設けられる。さらに、遊技領域104の適宜位置には、遊技球の流下方向を案内したり規制したりする多数の遊技釘116,116,…,116が配設され、また、遊技球の衝突により回転すると共に該遊技球の流下方向を変更させる風車117が設けられている。
【0033】
遊技盤101には、遊技領域104の右側における図柄表示装置107の下方にて窓開口120が開設され、この窓開口120には、所定広さの奥行き空間を有する役物室121が形成されている。役物室121は、内壁部122に放射状の模様が形成されると共に、底部123には回転飾り装置1が配設される。回転飾り装置1の装飾体7は、役物室121の中央下部に位置するように設けられ、その回転の様子がパチンコ遊技機Pの前面側から全体的に視認し得るようになっている。一方、基台2は、その大部分が役物室121の底部123よりも下側に配設され、遊技者からなるべく見えないようになっている。また、照明器11は装飾体7の後側に位置するように設けられており、装飾体7へ向けて照射された光が、パチンコ遊技機Pの前面側に放出されるようになっている。
【0034】
本発明の回転飾り装置を適用したパチンコ遊技機Pは上述した構成からなり、発射通路105を通過して遊技領域104に発射された遊技球は、遊技釘116や風車117に衝突することでその流下方向を変化させながら、遊技領域104を下方へ向かって転動する。転動する遊技球がチャッカー108を通過すると普通抽選が実行され、この普通抽選の結果が当たりの場合は、開閉始動入賞口110の電動翼片111,111が開放作動する。これにより、開閉始動入賞口110に遊技球が入賞し得るようになる。このとき、電動翼片111,111の開放作動のタイミングに合わせて回転飾り装置1の装飾体7を回転させると共に照明器11を点灯させることにより、普通抽選に当たったことが遊技者に視覚的に報知される。
【0035】
さらに、始動入賞口109または開閉始動入賞口110に遊技球が入賞すると、特別抽選が実行されると共に図柄表示装置107の電子ディスプレー106にて図柄の変動表示が開始される。図柄の変動表示がリーチになったときは、例えば、装飾体7の回転を低速で開始させると共に、照明器11を明るくしたり暗くしたりする等の演出を行なって、変動表示の停止図柄が揃うか否かの期待感を高めるようにする。そして、特別抽選の結果が大当たりであって、変動表示の停止図柄として同一の図柄が三個揃った場合には、装飾体7を高速で回転させると共に照明器11を派手に点灯させ、遊技状態が大当たり遊技状態へ移行することの高揚感を増大させるようにする。
【0036】
遊技状態が大当たり遊技状態になると、大入賞口113の電動扉112が複数回の開放作動を行ない、これにより、遊技者は、該大入賞口113に遊技球を入賞させて多数の賞球を得ることができる。そして、大当たり遊技状態が継続中のときには、装飾体7をその回転速度や回転軸を変化させながら三次元的に回転させると共に照明器11の点灯と消灯を繰り返すようにする。これにより、大当たり遊技状態であることを遊技者に視覚的に報知し続けることができる。また、他のパチンコ遊技機で遊技中の遊技者にも、当該パチンコ遊技機が大当たり遊技状態中であることをアピールできる。また、図柄表示装置107の電子ディスプレー106にて大当たりの図柄の確定表示をする前のタイミング(図柄変動開始から図柄変動中)にも関わらず、大当たりの抽選結果を別途設けた音声装置の効果音や、照明器11の点灯と共にいち早く遊技者に伝えるために、装飾体7を回転させその動きを告知する機能として役立てることも可能である。
【0037】
このように、本発明に係る回転飾り装置を備えるパチンコ遊技機Pでは、自由な方向へ自在に回転軸を傾動させながら回転する装飾体7により、図柄の変動表示がリーチのときや、遊技状態が大当たり遊技状態のときに、斬新的でインパクトに富んだ演出を行なうことができる。なお、上述した実施形態では、遊技機の一種であるパチンコ遊技機に本発明の回転飾り装置を適用した構成を示したが、これに限られない。すなわち、本発明に係る回転飾り装置は、アレンジボール機、雀球遊技機、スロット機等の、パチンコ球やメダルを遊技媒体として用いる遊技機にも同様に適用することができる。
【0038】
また、役物室121に配設される台座4は、装飾体7が安定して支持される範囲内において若干傾けて設けてもよい。これにより、装飾体7は傾斜した回転中心線を中心として三次元的に回転するようになる。さらに、装飾体7は、台座4に支持させることができる球面が外周面の少なくとも一部に形成されていれば、球形状以外の形であってもよい。例えば、図7(a)に示した半球状装飾体130は、半球形部131の上面にヨットの形を模した模型132を固着して形成している。また、図7(b)に示した球殻状装飾体133は、透光性を有する球形の外球殻部134の内部に円環状に形成された複数の飾り片135を封入して形成している。この球殻状装飾体133は、外球殻部134が球形をしているため、外周面全体が球面となっている。このように、装飾体7は、様々なデザインで形成することができ、パチンコ遊技機P全体の装飾の態様に合わせることが可能である。また、装飾体7の前面には、該装飾体7を覆い隠す位置と露出させる位置との間で位置変化するギミックを配設してもよい。このギミックにより、常態においては装飾体7を見えないように隠すと共に、リーチや大当たり遊技状態のときにギミックを動かして三次元的に回転する装飾体7を見せるといった演出ができるようになる。なお、基台2は、普通入賞口11や装飾部材などに一体的に設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 飾り装置本体
2 基台
4 台座
5 回転軸部材
6 傘歯車(動力伝達歯車)
6a 固定歯車(固定傘歯車)
6b 駆動歯車(駆動傘歯車)
6c 駆動歯車(駆動傘歯車)
7 装飾体
9 モータ
11 照明器
32 支承部
40 駆動軸
42 旋回軸
45 コイルバネ(付勢部材)
52 摩擦リング(軸傾斜手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台上に回転自在に設けられる台座と、前記台座に載置されその表面の少なくとも一部が球面になっている装飾体と、前記基台に設けられるモータと、前記モータの回転動を該台座に伝達する回転軸部材とを備え、
前記台座に前記装飾体の球面部分を摺動可能に支持する支承部を設け、前記回転軸部材に前記支承部が装飾体に接触する摩擦力よりも強い摩擦力で前記装飾体の球面部分に接触し前記台座が回転するときの該装飾体の回転中心軸を傾けさせる軸傾斜手段を設けたことを特徴とする回転飾り装置。
【請求項2】
前記回転軸部材は、前記台座の回転中心線上に設けられる駆動軸と、前記駆動軸にその軸方向に交差するように延びる旋回軸とからなり、
前記旋回軸は、前記台座に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の回転飾り装置。
【請求項3】
前記軸傾斜手段は、前記旋回軸に回転自在に軸支された円環状の摩擦リングであることを特徴とする請求項2に記載の回転飾り装置。
【請求項4】
前記旋回軸には、駆動歯車が回転自在に軸支され、該駆動歯車を前記基台に固着した固定歯車に噛合させることにより動力伝達歯車が構成され、前記旋回軸の回転に伴って前記駆動歯車が回動するようになっており、
前記摩擦リングは、前記旋回軸に軸支された駆動歯車に固着されていることを特徴とする請求項3に記載の回転飾り装置。
【請求項5】
前記軸傾斜手段は、前記旋回軸を押し上げるように配設した付勢部材により前記装飾体の球面部分を弾性的に押圧していることを特徴とする請求項4に記載の回転飾り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−6203(P2012−6203A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142969(P2010−142969)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(591044614)株式会社足立ライト工業所 (114)
【Fターム(参考)】