説明

固体、液体および気体を混合するための可撓性混合バッグ

一実施形態において装置は、混合デバイスの配置用の封止スリーブを内部に有する使い捨て且つ可撓性混合タンクを含む。混合タンクの容積は混合タンクの内壁とスリーブの内壁とによって画定される。混合タンクを用いて、内部の物質を、混合、保存、再構成および/または分注し得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は一般に成分の混合に関し、特に固体、液体、気体およびその組み合わせの混合のための可撓性バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
異なるタイプの固体、液体および/または気体などの成分の混合は、様々な産業において多数の用途がある。例えば製薬産業では、異なるタイプの薬剤が混合される。医療分野では、体液(血液など)および/または薬剤が混合される代表的な成分である。半導体分野においては、湿潤溶液を研磨剤と組み合わせてスラリーを作製する。食品産業も混合動作を多数の用途に組み込んでいる。例えば水を乾燥食品と混合させてそのような食品を水で戻す。
【0003】
しかし、これらおよび他の産業において混合される成分は、有害、危険、感染性がありおよび/または高レベルの純度を必要とする場合がある。例えば、製剤および/または医療産業において混合される成分は、有毒である場合がある。さらには多くの状況において粉体の取り扱いは、粉体の吸入の恐れがあるため危険な場合がある。医療分野ではHIV感染している流体などの体液を取り扱う人は、これらの流体に直接接触しないように取り扱う。さらにまた半導体産業において化学物質を手で触ることを避けることにより微粒子の形成および不純物の導入の可能性を低減する。
【0004】
従来の混合デバイスは一般に、小容積の成分用のガラスタンクと、より大容積の成分用のステンレス鋼タンクとを含んでいる。これらのタンクは粉体を攪拌して懸濁液内に維持するためにスクリューを含むことが多い。このようなスクリューは多相溶液を均質化するためにも用いられる。これらの混合タンクは使用前に洗浄および滅菌しなければならない。通常、小容積タンクを洗浄および滅菌するためにオートクレーブが用いられ、より大容積タンクを洗浄および滅菌するために水蒸気による作業が用いられる。半導体用途用の多量のポストエッチング残渣除去剤を調製する際、あらゆる処理レベルにおいて汚染物質の導入を排除して、デバイス不良につながる微粒子の形成を減少させなければならない。特定の技術に不可欠なこれらの洗浄、滅菌及び処理作業は、通常時間がかかり、費用がかかり且つ高い技能を有する人が必要である。さらに様々な技術に付随する混合デバイスの定期的な保守管理を行って適正な作業を確保しなければならない。ある場合にはこれらの混合デバイスの洗浄/滅菌作業および保守管理は、混合デバイスおよびそれを維持する総費用の3分の1を超える場合もあり、所与の用途にとっては高すぎる。加えて成分の混合により、これらの従来の混合デバイス内で圧力が上昇し得る。この上昇圧力が処置されない場合には、このような成分の混合は危険である場合があり、この内圧のためにタンクは分裂/爆発することもある。さらにまた薬品を混合するために現在用いられている多くの混合デバイスを用いると、薬品が混合デバイスの外にこぼれてしまうかどうか分からず、そのため混合後に混合デバイス内に内部に残っている薬品量が十分に適正または正確でないかもしれない。これはFDAがこのような薬品の正確、適正および既知量の投与を要求する場合、問題である。
【0005】
それらの多数の利点により、使い捨て容器は、多くの産業用途、特に保存容器においてますます有用になってきている。
【0006】
生体処理において10〜3,000リットルを超えるサイズに及ぶ保存バッグなどの使い捨て製品の必要性が増加の一途を辿っている。とりわけ、現在の用途には、さらなる処理ステップ、例えば精製処理、を待つ製品または成分の保存がある。しかし保存された製品または成分は、時間と共に複数の相または成分に分離する混合物であることが多い。例えば乳濁液および懸濁液は特にこのような相分離する傾向がある。
【0007】
現在の産業水準では、さらなる処理を再開する前に、懸濁液または乳濁液の再混合、再生および/または再有効化をすることが必要である。内容物を保存バッグから除去せずに再混合を発生させるために磁気攪拌バーが用いられる。再生および/または再有効化ステップの時間は、数時間であることが多く、混合の質は良好ではない。さらに、このような方法は内部の調合物を汚染する微粒子をバッグ内に生成する傾向がある。
【0008】
代替的には、再循環ループを用いて、乳濁液または懸濁液などの混合物を再生することにより、バルク混合物から分離した液体を、保存バッグの最下部または底面から繰り返し排出してバッグの上部を介して補給し得る。時間のかかる方法であることに加えて、このような代替例は容器の開放および再封止を必要とする。
【0009】
上述したように、物質の混合は依然として多くの産業用途の課題に直面している。そのため必要とされるものは、保存および混合能力の両方を有する使い捨て可能なシステムである。このシステムは、手間がかからず低製造コストで且つ混合用途において高い製品品質を提供するものである。
【0010】
本発明の実施形態は、実施形態を説明する以下の説明および添付の図面を参照することによりよく理解し得る。本明細書では図面の番号付け方式は、ある図面内の所与の参照番号に対して頭に付く番号が、図面番号と関連するようになっている。例えば、可撓性混合タンク100は、図1に配置することができる。しかし、同一の要素に対しては、参照番号は、異なる図面を通して同一である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の概要
本発明は、使い捨て混合および保存バッグに関する。特に、本発明は、物質を混合、保存、再構成および/または分注するのに有用な使い捨てバッグに関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において本発明は、内部に封止スリーブを有する使い捨て混合タンクを備える装置に関する。
【0013】
さらなる態様において本発明は、内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁とスリーブの内壁とによって画定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクを備える装置に関する。
【0014】
さらに他の態様において本発明は、内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁とスリーブの内壁とによって規定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクを備え、スリーブが混合手段の配置用経路を画定する装置に関する。
【0015】
さらに他の態様において本発明は、
内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁とスリーブの内壁とによって画定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクと、
内部容積内の少なくとも1つの成分と、
スリーブ内に配置された混合手段とを備える保存システムに関する。
【0016】
さらに他の態様において本発明は、
混合物の2つ以上の成分を、内部に封止スリーブが配置された使い捨て混合タンクの内部容積に加えるステップと、
スリーブ内に配置された混合手段を用いて2つ以上の成分を混合して混合物を形成するステップと、
混合物を使い捨て混合タンク内に保存するステップとを含み、
内部容積が混合タンクの内壁とスリーブの内壁とによって画定される混合方法に関する。
【0017】
本発明の他の態様と、特徴と、実施形態とは、開示と添付の特許請求の範囲とを確認することによりさらに完全に明確になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明およびその好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、混合用途において労力を減少させ、製造コストを低減し、さらに製品の品質を向上させる可能性を有する固体、液体および/または気体を混合する装置、方法およびシステムに基づいている。本発明により、使い捨てバッグが、多くの実験室および試験的規模の操作における混合タンクにとって代わって使用され、洗浄、滅菌および製品汚染の懸念を排除する。
【0019】
本発明の実施形態を、内部に封止スリーブが配置された使い捨て可能且つ可撓性混合タンクを含むように説明する。混合タンクおよびスリーブは任意の適当な材料で製造し得る。一実施形態において、混合タンクおよびスリーブは、伸張力が除去されるとその元の大きさおよび形状を実質的に回復可能な、および/または、大きな収縮力を示す特性を有する任意の適当な材料で作製されている。このように、混合タンクおよびスリーブは、任意の好適なタイプの伸縮性、折り畳み可能、柔軟なおよび/または弾性材料で作製し得る。好適な実施形態において、使い捨て混合タンクは完全に透明なフィルムで製造されているため使用前後にタンクの内容物を目視検査することができる。
【0020】
本明細書では、用語「折り畳み可能な」とは、より小型形状に折り畳み得る材料を指す。
【0021】
本明細書では、用語「柔軟な」とは、壊れることなく自在に屈曲するのに十分柔軟または調整可能な材料を指す。
【0022】
本明細書では、用語「弾性の」または「ゴム弾性の」とは、伸張力が除去されるとその元の大きさおよび形状を実質的に回復可能な、および/または、大きな収縮力を示す材料の特性を指す。
【0023】
本明細書では、用語「伸縮」または「伸縮性の」とは、弾性のあるまたは拡張可能な材料を指す。つまりこの材料は壊れることなく伸張、変形等が可能であり、伸張力の除去後大きく収縮する場合もしない場合もある。一実施形態では、状況に応じて、伸縮性材料は二軸延伸可能であってもよい。
【0024】
本明細書では、用語「二軸延伸」または「二軸延伸可能」とは、互いに直交する二方向、例えば走行方向および幅方向、または縦方向(前後)および横方向(左右)に伸張性を有する材料を指す。
【0025】
混合タンクおよびスリーブを任意の適当な材料で製造し得る。適当な材料には例えばフィルム、重合体、熱可塑性重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、三元重合体、メタロセン重合体、不織布、スパンボンド繊維、メルトブロー繊維、ポリセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、綿繊維、コポリエステル繊維、連続気泡発泡体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、金属、合金、ガラス繊維、ガラス、プラスチック(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ならびにそれらのポリフルオロアルコキシ(PFA)誘導体)、ゴム、およびそれらの組み合わせまたは混合物がある。
【0026】
本明細書では、用語「フィルム」とは、キャストフィルムまたはインフレーション(blown)フィルム押出し工程などのフィルム押出しおよび/または発泡工程を用いて作製される熱可塑性フィルムを指す。本発明の目的のため、この用語は非発泡性フィルムおよび微孔フィルムを含む。フィルムは蒸気透過性または蒸気不透過性でもよく、通常の使用条件で液体バリアとして機能する。
【0027】
本明細書では、用語「熱可塑性」とは、熱または圧力の印加により流動する感熱性材の非架橋重合体を指す。
【0028】
本明細書では、用語「重合体」は、ホモ重合体、例えばブロック、グラフト、ランダム、および交互共重合体などの共重合体、三元重合体等、ならびにそれらの混合物および変性物を含むがこれに限定されない。さらにまた特に限定しない限り用語「重合体」は材料のすべての可能な幾何学構成を含むこととする。これらの構成にはアイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチック対照性があるがこれに限定されない。
【0029】
本明細書では、用語「メタロセン重合体」とは、触媒としてメタロセンまたは拘束幾何形状触媒、有機金属錯体類を用いた、少なくともエチレンを重合することにより作製される重合体材料を指す。
【0030】
本明細書では、用語「不織」および「不織ウェブ」とは、製織または編み工程の助けを借りずに形成された繊維材料および繊維材料のウェブを指す。
【0031】
本明細書では、用語「スパンボンド繊維」とは、溶融熱可塑性材料を円形または他の形状を有する紡糸口金の複数の微細毛管から長繊維として押し出し、押し出された長繊維の径がその後急速に減少されることにより形成された小径繊維を指す。
【0032】
本明細書では、用語「メルトブロー繊維」とは、溶融熱可塑性材料を複数の微細、通常は円形のダイ毛管を介して溶融糸または長繊維として集束高速加熱気体(例えば空気)流内に押し出すことにより形成された繊維を指し、その気体流は溶融熱可塑性材料の長繊維を微細化させてその径を減少させて超極細繊維径にし得る(平均超極細繊維径は、約100ミクロン以下であり、例えば約0.5ミクロンから約50ミクロンの平均径を有し、より詳細には超極細繊維は約4ミクロンから約40ミクロンの平均径を有し得る)。
【0033】
明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「実施例」等の言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造または特性を含み得るが、各実施形態が特定の特徴、構造または特性を必ずしも含む必要はないということを示す。また、このような語句は、必ずしも同一の実施形態を指していない。さらに、特定の特徴、構造または特性が、ある実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されていようといまいと、他の実施形態についてこのような特徴、構造または特性に影響を及ぼすということは当業者の常識の範囲であるということを示す。
【0034】
本発明の実施形態は、機械読取可能媒体により提供される機械実行可能命令内で実現される特徴、方法または工程を含む。機械読取可能媒体は、機械(例えばコンピュータ、ネットワーク装置、携帯端末、製造装置、1組の1つ以上のプロセッサを備えた任意の装置等)によりアクセス可能な形式の情報を提供(すなわち格納および/または送信)する任意の機構を含む。例示的実施形態において、機械読取可能媒体には、揮発性および/または不揮発性媒体(例えば読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置等)ならびに電気的、光、音響または他の伝播信号形式(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)がある。
【0035】
このような命令を用いて一般的または専用プロセッサに命令を書き込んで、本発明の実施形態の方法または工程を行うようにする。または、本発明の実施形態の特徴または動作は、動作を行うためのハードウェアに組み込まれた論理を含む特定のハードウェア構成要素により、またはプログラムされたデータ処理構成要素と特定のハードウェア構成要素との任意の組み合わせにより行われる。本発明の実施形態は、本明細書にさらに詳細に記載するソフトウェア、データ処理ハードウェア、データ処理システム実施方法、および様々な処理動作を含む。
【0036】
本明細書に説明するように、使い捨て混合タンクは、混合物の処理、再構成または再有効化のすべての段階で使用するための密閉システムを提供する。混合タンクは可撓性であることが好ましい。混合タンクを発熱物質のない無菌材料で製造して、二次汚染のリスクを低減する。可撓性バッグは、充填、添加、追加および/または流出用の、1つまたは複数の口を含むことにより、成分の一部として混合される様々な(有害、危険、および/または感染し得る)成分と人との、これらの成分を混合中の、接触量を低減し得る。
【0037】
本発明は、内部に封止スリーブが配置された、使い捨て且つ可撓性混合タンクを提供する。使い捨て装置である混合タンクを用いて、2つ以上の成分を混合するとともに、混合前後にその2つ以上の成分を保存し得る。従って、混合タンクを一回使用後に廃棄することにより、洗浄/滅菌作業および従来の混合デバイスに関連する保守管理をなくすことができる。さらにまた説明するように、一実施形態において多数の入口および出口開口をさらに混合タンク内に組み込み得る。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態による使い捨て混合タンク100の三次元図を図示する。このタンクは、液体、固体および/または気体の保存および/または混合に有用であり、5リットル以上の容積を有する充填時に略角柱形状をなす、折り畳み可能型である。支持枠115は、混合タンク100を支持して、混合タンクへの成分の装填中および混合ステップ中に十分な張力を維持し得る。混合タンク100は、下壁110と、上壁120と、4つの側壁130とを備えている。混合タンクはさらに、入口160と、必要に応じて出口170とを備え得る。特に、図1は壁150により画定される封止スリーブまたは隔室140を含む可撓性混合タンク(装置/デバイス)の三次元図を図示している。封止スリーブは混合タンクのいずれの壁にも配置し得る。しかし、封止スリーブは上部または上壁に配置されるとともに、中心に位置することが好ましい。
【0039】
使い捨て混合タンク100は、任意の数の入口開口160と出口開口170とを含み得る。混合タンク100の異なる構成要素のより詳細な説明を様々な構成要素の説明と共に以下に説明する。
【0040】
可撓性混合タンクは、充填時に任意の形状および容積を取り得るように製造し得る。混合タンクの形状は、円筒状または角柱状であるとともに、容積は5〜10,000リットルであることが好ましい。可撓性混合タンクの容積は、約10〜3,000リットルであることがより好ましい。
【0041】
図2は、図1の略角柱形状混合タンクの三次元図を図示する。それぞれ内部210、220、および230ならびにそれぞれ外部211、221、231を有する下壁、上壁および側壁110、120、130は、当業者により容易に決定される任意の適当な厚さであり得る。また各壁は、1つ以上の同じ、または、異なる材料で製造し得る。
【0042】
図3Aおよび3Bは、図1の混合タンクの略円筒状の封止スリーブ140の三次元図を図示する。それぞれ内部351と外部352とを有する封止スリーブ140の壁150は、混合タンク壁と同じ、または、異なる材料で製造し得る。混合タンク壁210、220および230の内部ならびに封止スリーブ140の外部352は、混合工程の前または後に混合物の成分を収容するように構成された混合タンク100の内部容積180を画定する役目をする。
【0043】
封止スリーブ140は、当業者により容易に決定される任意の適当な太さであり得る。また封止スリーブ140は、製造物の側壁などの多数の部分および/または単一物品を備え得る。
【0044】
可撓性であることが好ましいスリーブ140は、当業者に容易に利用可能な任意の方法によって、継目または接合部190において、使い捨て混合タンク100と封止可能に結合されており、その方法には接合、溶接、熱収縮、収縮プラスチック管およびそれらの組み合わせがあるがこれに限定されない。スリーブキャビティ353は、長さまたは高さおよび直径または幅寸法を有するスリーブ壁351によって画定されている。スリーブは規則的または不規則形状(すなわち、それぞれ、円筒状、先細状)であり得る。さらにまたスリーブは、内部に配置された物体に、グローブをはめた手のように直接接するのに適合する形状であり得る。
【0045】
スリーブは、内部の混合手段の挿入または配置用の封止された経路を画定する。混合手段は、内部スリーブ壁によって混合タンクの内部から隔離されているため、タンクの内部180または内部の成分と接触しない。混合手段は、混合モードにある時には、タンク内の成分を混合する役目をする。混合手段は、容器内の混合物と接触する危険性を招くことなく乱流を起こし、混合する。
【0046】
図4Aおよび4Bは、混合手段400を備える混合タンク100の封止スリーブ140を図示する。図4Bにより示すように、封止スリーブ140は、混合手段400の配置用のキャビティとしての役目を果たす。本発明の一実施形態によれば、混合手段400は、例えばミキサ(図示せず)のシャフトに連結するための連結手段420を有する混合パドル410を備えている。
【0047】
本明細書では、用語「混合手段」とは、運動エネルギーを、混合バッグ内に収容された材料に伝達可能な、機械的システムまたはその構成要素を指す。外部スリーブ壁によって混合タンクの内部から隔離された混合手段は、容器内の混合物に接触する危険性を招くことなく、乱流を起こし、混合する。エネルギーを成分に伝達するための封止スリーブ内に容易に挿入可能な有用な機械的システム構成要素には、圧電アクチュエータ、超音波、回転、揺動、混和、振動、エダクタ、かき混ぜ(stirring)、攪拌(agitation)、タービン、静電気、ステータ/ロータ、羽根車、らせん、および渦があるが、これに限定されない。この機械的システムは、可搬型でもあるいは固定載置型でもよい。機械的システムの構成要素は、封止スリーブ内に挿入可能な、剛性で取り外し可能な支持ロッドまたはシャフトを備えている。混合タンク100の上部壁120に最も近い近位端と、混合タンク100の上部壁120から最も遠い遠位端とを有する支持ロッドまたはシャフトを、パドルおよび/またはブレードなどの追加特徴により強化し得る。またパドルおよび/またはブレードなどの追加特徴は製造工程中スリーブに内嵌する形状でもよい。
【0048】
図5A〜5Cは本発明の好適な実施形態による混合タンク100の封止スリーブ140を図示する。封止スリーブ140はパドル510と、中空キャビティ520と、混合シャフト530と、結合ガイド540とを備えている。より詳細には図5Aは製造工程中、それに内嵌する形状のパドルタイプ装置を収容する封止スリーブ140を示す。パドルタイプ装置510は、封止スリーブ140の内部の中空キャビティ520に置かれ、シャフトまたはロッドタイプの構成要素530と結合する。混合タンク100の上部壁120に最も近い近位端531と混合タンク100の上部壁120から最も遠い遠位端532とを有する支持ロッドまたはシャフト530は、製造工程の混合ステップより前の任意の時点で、当業者に容易に利用可能な任意の手段によって、遠位端532でパドル510に結合する。支持ロッド530の近位端は、例えば、ミキサーのモータ駆動装置(図示せず)に結合し得る。中空キャビティ520の内部は、封止スリーブ140の内壁によって画定し得る。または、中空キャビティ520の内部を、別体の一体化スリーブによって画定して、供給不良もしくは欠陥ロッドまたはシャフトによる破壊に対する、さらなる保護および/または防護を提供し得る。スリーブ140に封止された結合ガイド540は、支持ロッドまたはシャフト530の挿入、配置および結合用の剛性を有するガイドとしての役目を果たす。パドルタイプ装置510、支持ロッドまたはシャフト530、および結合ガイド540は、剛性であることが好ましく、当業者に容易に利用可能な任意の材料で形成し得る。その材料には金属、合金、複合物、セラミクス、組成物および本明細書に記載した材料、および/またはそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。パドル装置は、鋭利な縁部が無いことが好ましい。
【0049】
図5Bは、結合ガイド540を介しての中空キャビティ520内への支持ロッド530の挿入を図示し、図5Cは、パドル510に結合された支持ロッド530を図示する。
【0050】
封止スリーブは、グローブまたはドライボックスのグローブをはめた腕および手と同様な動作範囲を含むことが好ましい。嵌合形状のグローブは、ドライボックスの壁に結合するとともに、ユーザーをボックスの内部環境から隔離する。ユーザーの腕および手に広い動作範囲を提供しつつ、グローブの内部はボックス内の内容物と接触するが、ユーザーは内部から隔離される。
【0051】
図6は、混合タンク100と、嵌合手段によってその内部にパドル600が配置された封止スリーブ140とを二次元で図示する。パドルは製造物の1つまたは複数の部分を含み得る。下壁、上壁および側壁の内部、それぞれ210、220、および230と、封止スリーブ壁の外部352は、混合工程の前後に混合物の成分を収容するための混合タンク100の内部容積180を画定する役目をする。封止スリーブ140は、混合タンク100内において、混合タンク底面110の平面内で360°の可動域を動くパドル600を収容し、その機械的運動によりパドルは内部に収容された成分を少なくとも部分的に混合する。
【0052】
または、使い捨て混合タンクを混合物の少なくとも1つの成分の格納および保存のために用い得ることにより、使い捨て混合タンクは少なくとも第1の成分を、少なくとも第2の成分が混合タンクに添加されるまでの期間保存し、その後第2の成分をその少なくとも第1の成分と結合且つ混合し得る。第1および第2の成分は、混合または混和物と同様に多数の組成を含み得る、または第1および第2の成分は、基本的に単一の組成で構成し得る。各成分を1つまたは複数の入口開口によって、混合タンク内に導入し得る。
【0053】
さらに他の実施形態において本発明は、時間とともに2つ以上の相または成分に分離した混合物を再混合、再生および/または再有効化する方法に関する。内部に封止スリーブを有する使い捨て混合タンク内に保存された混合物は、相分離しやすい2つ以上の成分を含み、この成分には乳濁液、混和液および懸濁液(例えば血漿、赤血球、ウイルス等などの生体液または半導体製造工程で用いられるCMPスラリー)があるが、これに限定されない。スリーブは、その内部に混合手段を挿入または配置するための封止経路を画定し、これにより、混合モードにした時に混合タンク内の混合物を再混合、再生および/または再有効化を可能とする。本発明は材料の添加の必要がないので、再有効化による休止時間がなく、混合物を再生するのに必要な時間を減少するのに有利である。
【0054】
さらなる実施形態において本発明は、内部に封止且つ折り畳み可能なスリーブを有する使い捨て且つ折り畳み可能なタンクを含むキットに関する。折り畳み可能なタンクの内壁およびスリーブの外壁によって画定される保存領域を有する折り畳み可能なタンクは、混合工程前、工程中および/または工程後に成分を収容するように構成されている。折り畳み可能なスリーブは、その内部に混合手段を挿入または配置するための封止経路を画定する。混合手段は外部スリーブ壁によって混合タンクの内部から隔離されているため、タンクの内部または内部の成分と接触しない。混合手段は、混合モードにある時には混合タンク内の成分を混合する。可撓性スリーブは、製造工程中に内部に事前配置された混合ロッドシャフトまたは他の混合構成要素を含むことが好ましい。このキットは包装材料、および、包装材料上または包装材料内に指示または標識をさらに含み得るとともに、必要に応じて結合器、連結器およびフィルタなどの付属構成要素を含み得る。
【0055】
これまで本明細書に示した図面は、本発明の実施形態による使い捨て混合タンクの様々な実施形態を図示している。しかし本発明が図面を参照して説明した以外のシステムおよび装置の実施形態によって行われること、さらにこのシステム/装置を参照して説明した実施形態が図面を参照して説明したものとは異なる動作を実行可能であることは理解されよう。
【0056】
図1の使い捨て且つ可撓性混合タンク100の異なる構成要素のより詳細な説明をここで説明する。
【0057】
タンクおよびスリーブ壁110、120、130および150は、それぞれ、可撓性混合装置を提供する任意のタイプの可撓性材料であればよい(例えば、様々なタイプのプラスチック)。例えば、壁110、120、130および150は、熱溶接プラスチックフィルムであり得る。一実施形態において、壁110、120、130および150は、5ミクロンから500ミクロンの範囲の厚さを有するプラスチックフィルムである(用途タイプに応じて)。壁110、120、130および150は、数多くの様々なプラスチックで作製し得るが、一実施形態では壁110、120、130および150は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ならびにそれらのポリフルオロアルコキシ(PFA)誘導体の群の少なくとも1つの材料を含むプラスチックで作製し得る。好適な実施形態において、混合タンク壁は、エチレン酢酸ビニルおよびメタロセンポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む材料で製造される。他の実施形態では、壁110、120、130および150は、例えば幅1インチ当り(2.54cm当り)100gmfの張力がかかった時におよそ5パーセント未満の変形を有する伸縮性材料である。タンクおよびスリーブ壁110、120、130および150は、それぞれ、内部の成分を外部媒体/環境から隔離する保存および/または混合隔室を画定する。また、フィルム110、120、130および150は、使い捨て混合タンク100を外部媒体/環境からの圧力下で用い得るような機械的耐性も有する。使い捨て混合タンクおよびスリーブの壁を、同様な厚さを有する同様な材料で製造することが好ましい。好適な実施形態では、混合タンクおよびスリーブの壁の厚さは約200ミクロンである。
【0058】
さらなる実施形態では、混合タンク壁110、120、および130は、ほぼ透明であるため、成分およびその混合物の視認が可能であり、当業者は成分の視認に基づいて混合動作が完了した時を判断し得る。一実施形態では混合タンク壁は内部の成分の体積を測定するための体積測定標識を含む。
【0059】
他の実施形態において、使い捨て混合タンク100は、一回使用の装置である。特に、混合タンク100は、内部に含まれている成分を少なくとも部分的に混合するために用いられる。混合タンクを用いて内部の成分を少なくとも部分的に混合するとともに保存することがより好ましい。成分の混合の結果生じたものを混合タンク100から除去し得る(以下により詳細に説明するように)。その後、混合タンク100は廃棄される。従って、混合タンク100を次の使用に備えて洗浄/滅菌する必要はない。また混合タンク100は使い捨て装置であるため、混合タンク100には従来の混合デバイスに付随する継続的保守管理コストがない。
【0060】
その少なくとも1つの出口開口170は、使い捨て混合タンク100からその内容物を排出させることができる。混合タンク100が入口160と出口170とを別々に有するものが図示されているが、本発明の実施形態はそれに限定されない。例えば、一実施形態において、単一開口を成分および/または混合物の装填および排出の両方に用いることもできる。
【0061】
一実施形態において、入口開口160および出口開口170は、それぞれ混合タンク壁120および130の内面または外面上に溶接された基板を含み、開口の一端が壁の内側に出るとともに他端が壁の外側に出るようになっている。さらにまた、その多数の入口開口160および出口開口170を、多数の密栓などの装置を用いて閉鎖し得る。一実施形態において、多数の入口開口160および出口開口170の直径は、特定の成分が混合タンク100内に導入される流量および/または封止スリーブ140内に配置された混合デバイスの移動によって生じる混合動作による。気体成分の場合、気体流入および流出速度(または圧力)は、使い捨て混合タンク100内で成分の十分な均質化がされるようにし得る。
【0062】
さらなる実施形態において、入口開口160および出口開口170を用いて、様々なプローブを混合タンク100内に導入し得る。例えばpH、pO、温度または圧力プローブを、多数の入口160および/または出口170開口を介して混合タンク100内に導入して、成分の状態および/または混合タンク100内のこのような成分の混合の結果を確認することができる。
【0063】
可撓性スリーブ140内で保存される成分、および、混合デバイスの動作中に少なくとも部分的に混合される成分は、異なる相(異なるタイプの固体、液体および/または気体)であってもよい。例えば、固体成分は異なるタイプの粉体でもよい。液体成分は異なる有機相および/または水相でもよい。気体は酸素、空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素等を含み得る。一実施形態において、成分はほぼ均質化される。さらにまた異なる成分は互いに対して溶解可能であってもなくてもよい。
【0064】
異なる相の異なる成分の多数の組み合わせのいずれも本発明の実施形態により混合することができる。例えば、固相の第1の成分を固相の第2の成分と混合し得る。固相の第1の成分を液相の第2の成分と混合し得る。このような一実施形態において、粉体が部分的にまたは全体的に液体成分に不溶性である場合、粉体は液体成分中に懸濁する。粉体が全体的に可溶性である実施形態では、混合タンク100の動作は、その結果が粉体と液体の均質化溶液になる。
【0065】
さらに液相の第1の成分を液相の第2の成分と混合し得る。一実施形態において第1の成分は第2の液体成分に対して部分的に可溶性、全体的に可溶性または全体的に不溶性であり得る。少なくとも1つの液体成分が少なくとも他の液体成分に少なくとも部分的に不溶性である場合には、混合タンク100の混合/攪拌後に乳濁液が得られる。一実施形態において液体成分が互いに可溶性である場合には、混合タンク100の動作はその結果が2つの異なる液体成分の均質化溶液になる。
【0066】
液相の第1の成分を気相の第2の成分と混合し得る。気体は液体成分の少なくとも1つの成分に対して不活性または反応し得る。例えば、気体(所望の条件下で比較的反応する)は、細胞または微生物を培養する場合、または、酸化反応を提供する場合には、酸素または二酸化炭素であり得る。
【0067】
封止スリーブ140の幅/直径、ならびに入口160および出口170の幅/直径は、混合タンク100の大きさおよび混合および/または流入対象成分による。封止スリーブ140の幅/直径および高さは、その内部に混合手段を配置できるようにしなければならない。また封止スリーブ140の寸法は、混合タンク100の大きさおよび混合対象成分の物理的特性に基づく。スリーブ140の直径が依存する特性の種類の例には、粘度、粒度分布、密度、チクソ性およびレオスコピ(rheoscopy)がある。
【0068】
一実施形態において、混合タンク100は1つから多数の弁を含み、混合/回転操作により混合タンク100内で圧力が上がった場合の解放機構を可能にする。
【0069】
さらなる実施形態において使い捨て混合タンク100は、図1に示すような支持枠115を備え得る。支持枠は、使い捨て混合タンク100を取り囲むとともに、多数の接続装置のうちの1つ(例えばクリップ、フック等、図示せず)を介して混合バッグ100に結合することができる。枠は、さらに、混合手段とその関連する付属物の支柱として機能し得る。従って、支持枠は混合タンク100を支持して、混合タンク内への成分の装填中および内部に含まれる成分の混合中に、十分な張力を維持するようになっている。
【0070】
図7は、混合手段700を備えることにより、混合タンク100および混合手段700の両方が、枠115によって支持される使い捨て混合タンク100を図示する。モータ−ホイールドライバ710は、回転ホイール720に結合しており、回転ホイール720はベアリング740および750を介して混合スティック730に結合している。モータ−ホイールドライバ710は、プロセッサと直接通信して、回転数、回転速度、回転角度、一定の回転に対する旋回の度合いを始めとする、混合スティック730の回転を制御するための機械読取可能命令を実行し得る(図8のフロー図800の説明とともに以下により詳細に説明するように)。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明の使い捨て混合タンクは、物質の保存、処理および/または混合タンク内外への移送中にタンクから漏れる恐れのある物質の格納のための二次格納システムをさらに備え得る。二次格納システムは、固定型または可搬型であり得る。また、使い捨て混合タンクと共に使用する適当な二次格納システムは、当業者により容易に決定し得る。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明の使い捨て混合タンクは、使い捨て混合タンク内の成分の温度を制御するための外部加熱および/または冷却手段をさらに備え得る。二次格納システムは、加熱および冷却槽などの、熱を使い捨て混合タンクの内外に伝達する流体用の筐体として機能し得る。あるいは、加熱および/または冷却手段は、例えば加熱ジャケット、加熱および冷却タンク、熱交換器、冷却装置および流体冷却システムと同様に、使い捨て混合タンクまたはその一部分の外部を取り囲み得る。さらなる代替例として、混合タンクは封止キャビティ140および混合タンク100の外壁の外部に、ライナーを備え得る。ライナーは、混合タンクの少なくとも一部分を取り囲むとともに、ライナーと封止キャビティ140および混合タンク100の外壁との間に封止空隙または空間を提供することが好ましい。空隙または空間は、加熱および/または冷却能力を有する流体を入れるのに有用である。内部に入れる加熱および/または冷却流体が、循環手段によって空隙または空間内で循環可能であることが好ましい。
【0073】
図8は、本発明のさらなる実施形態による成分を混合するためのフロー図を図示する。ブロック802では成分は入口160を介して混合タンク100内に装填される。入口160または複数の入口(図示せず)は、成分が混合タンク100内に装填される混合プロトコルに沿った順番で開放され得る。例えば、3つの成分からなる均質化された溶液は、第1の成分および第2の成分が混合されて、その後、第3の成分が第1および第2の成分の混合物内に混合される場合に得られる。
【0074】
ブロック802において、成分を同時に、もしくは、混合プロトコルまたはCPUからの命令に基づいて装填し得る。上記に説明したように、多数の入口開口160は混合タンク100内で混合される成分(「原料」または「反応物質」)の導入を可能にする。制御はブロック804で継続する。
【0075】
装填動作は、ブロック802で説明される。ここでは、ブロック804の動作がブロック802の動作に続いているように説明されているが、実施形態はそれに限定されない。例えば、上記に説明したように、特定の1組の成分の混合プロトコルに従うように、異なる入口が、成分混合中の異なる時間に開放される。従って、第1の混合動作に続いて、充填用入口が開放し、その後第2の混合動作が続く。
【0076】
ブロック804では混合タンク100内に装填された成分が、図7に示すような混合デバイスの回転に基づいて少なくとも部分的に混合される。成分の混合は、個々のおよび/または制御装置(図示せず)によって行い得る。成分の混合は、混合手段700の多数の回転によって行うことができ、ここで、一回転は少なくとも360°旋回の回転を含む。一実施形態において360°回転にわたる可動域は混合タンク底面110の平面内にある。
【0077】
均質化溶液を作製する実施形態では、混合手段700の回転は、混合タンク100内で成分がほぼ均質化するまで継続する。液体と少なくとも部分的に不溶性の粉体とを含む実施形態では、混合手段700の回転は、粉体が液体内に懸濁するまで継続する。
【0078】
さらにまた上述したように、多数の経路開放操作と混合操作は、所定のプロトコルに従うように発生し得る。従って、多数の混合操作が、異なる成分が少なくとも部分的に混合されて、最終成分になるまで発生する。制御はブロック806で継続する。
【0079】
ブロック806では、少なくとも部分的に混合された成分を混合タンク100から排出させる。一実施形態において、混合タンク100は、プラグタイプ装置が除去されるか弁が開放された時に混合成分が出口170から排出するように配置される。排出操作は促進できる。例えば、成分が流れの遅い粘性溶液である場合、排出操作は多数の操作により容易になり得る。一実施形態において排出操作は、気体を入口開口160内へ導入することにより生じる圧力の上昇により促進する。制御はブロック808で継続する。
【0080】
ブロック808において混合タンク100は廃棄される。特に混合タンク100は一回使用後に廃棄される。従って、洗浄/滅菌作業および従来の混合デバイスに伴う保守管理は必要ない。さらにまた上記したように、本発明の実施形態は、成分の一部として混合される成分(有害、危険、および/または感染し得る)と人との成分混合中の接触量を減少させる。
【0081】
このように固体、液体および/または気体を混合する異なる実施形態に対する方法、装置およびシステムを説明してきた。本発明を特定の例示的実施形態を参照して説明したが、本発明のより広範な要旨と範囲とから逸脱することなくこれらの実施形態に様々な変更および変形をなし得ることは明らかであろう。そのため明細書および図面は限定するものではなく例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態による使い捨て混合タンクの三次元図を図示する。
【図2】図1の略角柱形状混合タンクの三次元図を図示する。
【図3A−3B】図1の混合タンクの略円筒状の封止スリーブ140の三次元図を図示する。
【図4A−4B】本発明のさらなる実施形態による混合手段を備える使い捨て混合タンクを図示する。
【図5A−5C】本発明の好適な実施形態による使い捨て混合タンクを図示する。
【図6】本発明のさらなる実施形態による使い捨て混合タンクの二次元図を図示する。
【図7】本発明のさらなる実施形態による混合手段を備える使い捨て混合タンクを図示する。
【図8】本発明のさらなる実施形態による成分を混合するためのフロー図を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に封止スリーブを有する使い捨て混合タンクを備える装置。
【請求項2】
前記混合タンクが、伸縮性、折り畳み可能、柔軟および/または弾性材料からなる群から選択される少なくとも1つの物理的性質を備える材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記封止スリーブタンクが、伸縮性、折り畳み可能、柔軟および/または弾性材料からなる群から選択される少なくとも1つの物理的性質を備える材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記使い捨て混合タンクが完全に透明なフィルムから製造されている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記混合タンクが、フィルム、重合体、熱可塑性重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、三元重合体、メタロセン重合体、不織布、スパンボンド繊維、メルトブロー繊維、ポリセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、綿繊維、コポリエステル繊維、連続気泡発泡体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、金属、合金、ガラス繊維、ガラス、プラスチック、ゴム、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの材料で製造されている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記混合タンクが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ならびにそれらのポリフルオロアルコキシ(PFA)誘導体からなる群から選択されるプラスチック材料で製造されている請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記封止スリーブが、フィルム、重合体、熱可塑性重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、三元重合体、メタロセン重合体、不織布、スパンボンド繊維、メルトブロー繊維、ポリセルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、綿繊維、コポリエステル繊維、連続気泡発泡体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、金属、合金、ガラス繊維、ガラス、プラスチック、ゴム、およびそれらの組み合わせまたは混合物からなる群から選択される少なくとも1つの材料で製造されている請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記封止スリーブが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ならびにそれらのポリフルオロアルコキシ(PFA)誘導体からなる群から選択されるプラスチック材料で製造されている請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記混合タンクが5〜10,000リットルの容積を備える請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記混合タンクが10〜3,000リットルの容積を備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】
混合タンクの形状が充填時に角柱状および円筒状からなる群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項12】
機械的混合手段をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記機械的混合手段が、圧電アクチュエータ、超音波、回転、揺動、混和、振動、エダクタ、かき混ぜ、攪拌、タービン、静電気、ステータ/ロータ、羽根車、らせん、および渦からなる群から選択される請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記機械的混合手段が支持ロッドを備える請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記支持ロッドが前記封止スリーブ内に挿入可能である請求項14に記載の装置。
【請求項16】
内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁と前記スリーブの内壁とによって画定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクを備える装置。
【請求項17】
内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁と前記スリーブの内壁とによって画定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクを備え、前記スリーブが混合手段の配置用経路を規定する装置。
【請求項18】
内部に封止スリーブと、混合タンクの内壁と前記スリーブの内壁とによって画定される内部容積とを有する使い捨て混合タンクと、
前記内部容積内の少なくとも1つの成分と、
前記スリーブ内に配置された混合手段とを備える保存システム。
【請求項19】
混合物の2つ以上の成分を、内部に封止スリーブが配置された使い捨て混合タンクの内部容積に加えることと、
前記スリーブ内に配置された混合手段を用いて前記2つ以上の成分を混合して混合物を形成することと、
前記混合物を前記使い捨て混合タンク内に保存することとを含み、
前記内部容積が前記混合タンクの内壁と前記スリーブの内壁とによって画定される混合方法。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−511337(P2007−511337A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535556(P2006−535556)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/032997
【国際公開番号】WO2005/037658
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】