固体ビーズを作製するためのデバイスおよび方法
固体ビーズを作製する方法が開示される。該方法は(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、(ii)溶媒および溶質を含む機能性流体の層流を機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の層流をキャリア流体導管に沿って供給することによって、キャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体のセグメントを冷却して冷却(好ましくは凍結)小滴を形成するステップと、(iv)液体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップとを含む。そのような方法における使用のための微小流体デバイスも開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体ビーズ(典型的には、これだけに限らないが、ある形態の薬学的活性剤を含有するポリマービーズ)の製造のための微小流体デバイスおよびそのようなビーズを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある形態の薬学的活性剤を含有する小さなポリマービーズの製造のための多くの方法が知られている。そのようなビーズは特に、これだけに限らないが、ヒトまたは動物の体内における活性剤の制御放出非経口送達のために用いられる。制御放出非経口送達が特に適用できると思われる例示的な治療領域には、たとえば不妊治療、ホルモン療法、タンパク質療法、感染治療(抗生物質および抗真菌剤)、癌治療、術後疼痛治療、慢性疼痛治療、ワクチン接種/免疫付与、中枢神経系疾患の治療、および免疫抑制が含まれる。これらのおよび他の治療領域における制御放出非経口送達の利点は文献によく記載されており、たとえば、治療に対する反応の改善;安全性の改善(従来の非経口投薬形態と比較して薬物の必要量が少なく、インビボ部位を薬物の標的とすることによって全身レベルの上昇を防止できるため);および患者コンプライアンスの改善(投薬頻度を少なくし、投薬形態を単純化できる可能性による)の1つまたは複数が含まれ得る。典型的には、ポリマービーズを用いて、数カ月の期間にわたって治療剤の制御放出をもたらすことができる。
【0003】
治療用のポリマービーズを製造するための大部分の方法においては、ポリマーおよび活性剤の溶液または混合物を用いて、次に固体ビーズをそれから作るための液滴を作製する。溶液/混合物の撹拌または静的混合などのいくつかの方法を用いて、液滴を発生させることができる。これらの方法では、ビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズが発生する。代替の方法には滴下および噴霧形成があるが、これらもビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズの生成をもたらすことがある。これらの方法によって発生した液滴は、次いで溶媒を除去するために処理され得る。これは典型的には小滴を大量の非溶媒と混合することまたは蒸発によって達成される。これは固体ビーズ中に比較的大量の残留溶媒をもたらし、またビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズの発生をもたらすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題の1つまたは複数を解決することに対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
キャリア流体の送達のためのキャリア流体導管と、
キャリア流体と混合しない機能性流体の送達のための機能性流体導管であって、合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体の中に機能性流体の小滴の流れが形成される機能性流体導管と、
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管と、
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器と、
冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管とを含む微小流体デバイスであって、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口が設けられているデバイスが提供される。
【0006】
本発明のデバイスは、有益な寸法分布特性を有し、固体ビーズ中に残留する溶媒を少量しか有しない固体ビーズの製造を容易にするものである。
【0007】
機能性流体は典型的には溶媒および溶質を含む溶液を含み、溶質は典型的にはポリマーを含む。機能性流体の成分は、好ましくは機能性流体の小滴が冷却導管中で冷却されると固化して固体小滴を形成するように選択される。小滴は、たとえば凍結され、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本発明のデバイスの中で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ある状況においては、機能性流体の小滴は冷却導管中で冷却されると固体を形成せず、むしろ典型的には高粘度の液体であってもよい。
【0008】
機能性流体の成分は前混合してもよいが、その代わりにたとえば2つの合流する導管を用いて基板の中で混合してもよい。ポリマーは典型的には非溶媒中の溶解度が低く、一方溶媒は非溶媒と混合可能である。非溶媒の添加により典型的には溶媒が小滴から排出され、したがって固体ビーズが生成する。
【0009】
デバイスはキャリア流体の送達のための複数のキャリア流体導管を含んでよく、機能性流体導管は合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体中で機能性流体の小滴の流れが形成される。
【0010】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア流体導管とは互いに合体していてもよい。
【0011】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む冷却体を含んでもよい。冷却体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。冷却体の冷却を用いて、熱伝導によって冷却導管を冷却することができる。冷却流体の輸送のために、冷却体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却流体(典型的には冷えた液体)の通過により、冷却体が冷却される。冷却流体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却流体は典型的にはデバイスの外部から冷却される。冷却流体は任意の適切な冷却デバイス、たとえばJulabo冷却循環器によって冷却することができる。
【0012】
冷却器の冷却体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結液体をも解凍する際に、また非溶媒および脱溶媒和プロセスの温度を制御するために有用であろう。
【0013】
冷却体は設けなくてもよい。たとえば、冷却導管が微小流体デバイスの基板に設けられ、その基板には冷却流体を輸送するための冷却チャネルが設けられ、冷却導管が冷却チャネルと熱的に導通していてもよく、それにより冷却導管中の流体が冷却チャネル中の冷却流体によって冷却されてもよい。
【0014】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア流体導管および機能性流体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0015】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア流体導管および機能性流体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0016】
第2の伝熱体には、キャリア流体導管に流体を供給するためのキャリア流体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性流体導管に流体を供給するための機能性流体入口を設けてもよい。
【0017】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0018】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0019】
キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒送達導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0020】
基板は冷却器の冷却部と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0021】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に流体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の流体入口を設けてもよい。
【0022】
「微小流体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小流体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0023】
種々の導管を通る流体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約0.01〜0.2ml/hr、特に0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア流体の流量は、典型的には約1〜4ml/hr、特に2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.25〜3ml/hr、特に0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。非溶媒の流量は、脱溶媒和導管中において、非溶媒の体積がキャリア流体の体積より小さく、かつ機能性流体の冷却された小滴とキャリア流体/非溶媒界面の間の接触の可能性が高くなることを確実にするために十分であるように選択されるのが好ましい。説明のため、いくつかの実施形態においては、流量はキャリア流体の体積が非溶媒の体積の1〜4倍であるようにしてよい。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0024】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大、たとえば段階的拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな断面の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る冷却小滴/形成ビーズの流速は、冷却導管を通る小滴の流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒および溶質を含む機能性流体の層流を機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の層流をキャリア流体導管に沿って供給することによって、キャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体の小滴を冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップと
を含む方法が提供される。
【0026】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は典型的には十分な構造的一体性を有しているので、ステップ(iv)における流体の添加は小滴の形状を顕著には崩壊させない。
【0027】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば凍結し、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本方法の条件下で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ステップ(iii)において形成される冷却小滴は凍結していることが好ましい。
【0028】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば液体の形態であってよい。そのような液体は、典型的には十分に高い粘度を有していると思われるので、ステップ(iv)において加えられる流体は粒子の形状に実質的な変化をもたらさない。即ち固体ビーズの形状は冷却小滴の形状と実質的に同じである。
【0029】
ステップ(iv)において形成される固体ビーズは、典型的にはそれから固体ビーズが誘導される冷却小滴とほぼ同じ形状を有している。たとえば、冷却小滴は実質的に球状の形状であってよく、その場合、固体ビーズは典型的には実質的に球状の形状である。
【0030】
ステップ(iv)は微小流体デバイスの導管の中で行ってよい。機能性流体は、固体ビーズ中に取り込みたいターゲット材料を含んでよい。ターゲット材料はステップ(ii)において溶媒中に溶解または懸濁される材料であってよい。
【0031】
ステップ(iv)において加えられる流体は、ターゲット材料(典型的にはポリマー)および機能性流体の溶媒が何であるかを考慮して、非溶媒であるように選択される。典型的には流体は、溶媒が溶解し、溶質(典型的にはポリマー)が低い溶解度を有する(たとえば実質的に不溶性である)液体である。その代わりに流体はガス状であってもよく、たとえば流体は窒素などの不活性ガスと混合された非溶媒蒸気を含んでもよい。理論に縛られることを望むものではないが、前記流体の添加は冷却小滴中の溶媒を液体に溶解させ、ポリマーの「マトリックス」を含む固体セグメントを残すことが理解される。ポリマーが前記液体に溶解するならば、成長中のビーズは崩壊するであろう。
【0032】
したがって実際上、小滴の実質的に完全な脱溶媒和により、ポリマーは典型的には沈殿し、ターゲット材料、即ち特に1つまたは複数の薬剤が組み込まれた固体ポリマーの実質的に球状のマトリックスを形成すると考えられる。適当な溶媒の選択によって、ゲル形態の固体ビーズを得ることも可能である。
【0033】
固体ビーズの形状および寸法は、前記ビーズを作製するために用いる方法に依存することになる(また、導管の寸法、種々の流体の流量および合流の構造に大きく依存することになる)。本発明の方法によって作製されたビーズは、典型的には実質的に球状で、約0.01mm〜約2mmの平均直径を有してよい。ビーズの寸法はビーズの意図された用途に依存するであろう。たとえば固体ビーズは約0.01〜0.5mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には薬学的用途のためであってよい。ビーズは0.5mm〜2mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には分析に用いられてよい。
【0034】
当業者は、固体ビーズは完全に溶媒を含んでいない必要はないことを認識するであろう。
【0035】
溶質は典型的には生体適合性ポリマーなどのポリマーを含む。生体適合性ポリマーによって、薬学的活性剤(存在するならば)を患者に送達するために固体ビーズを患者に投与することが可能になる。本発明において用いることができるポリマーの例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物および乳酸とグリコール酸とのコポリマーである。適切なポリマーのさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0013]参照)にある。ビーズが薬学的用途のためのものである場合には、ポリマーは好ましくはインビボで分解可能となるものであることが理解されよう。ビーズが分析の一部において用いられることが意図される場合には、ポリマーは水に可溶、好ましくはビーズのいかなる内容物(たとえば抗体)にも有害でない温度において水に可溶であることが好ましいと考えられ、そのような温度は典型的には25〜37℃である。
【0036】
溶媒は水混和性有機溶媒であってよく、典型的には極性非プロトン性溶媒であってよい。本発明による方法における使用のために用いられるポリマーを考慮すれば、適切な溶媒の選択は当業者にとってはありふれた事柄であろう。用いることができる溶媒の例示は、たとえばDMSO、トリアセチン、グリコフロール、PEG2000、N−メチルピロリドン、およびヘキサフルオロ−イソプロパノールである。
【0037】
ステップ(iv)において加えられる流体中で、またはその流体として、ポリマーに対する非溶媒である任意の流体を用いることができる。適切な非溶媒には、たとえば水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールおよび高級アルコール;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび高級炭化水素を含む単純炭化水素が含まれ得る。所望であれば、溶媒の混合物を用いることができる。水と混合しない適切な溶媒を含む他の溶媒も用いることができる。
【0038】
機能性流体の溶媒および非溶媒の選択には、特に本発明の方法の間に曝されることになる温度などの条件を考慮に入れる必要があることが理解されるであろう。
【0039】
ある状況においては、溶媒は水であることが好ましいと思われる。この場合には、非溶媒は水混和性有機溶媒を含んでよい。
【0040】
機能性流体は固体ビーズ中にカプセル化されるターゲット材料をさらに含んでもよい。ターゲット材料は機能性流体中に粒子として組み込まれていてもよく、または溶解していてもよい。粒子の例にはコロイド(金コロイドなど)が含まれる。ターゲット材料は分析における使用のための1つまたは複数の成分を含んでもよい。ターゲット材料は薬学的活性剤を含んでもよく、または薬学的活性剤の前駆体であってもよい。薬学的活性剤は、たとえば、これだけに限らないが、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤を含む、非経口送達に適した任意の薬剤であってよい。特に制御放出非経口送達によるポリマービーズ中の薬物の送達は、たとえば水難溶性、高毒性、低吸収性特徴を有する薬物の場合に特別の利点を有するが、本発明はそのような薬剤とともに用いることに限定されるものではない。活性剤は、たとえば小分子の薬物またはポリマー性分子などのより複雑な分子であってよい。1つの有利な実施形態においては、薬学的活性剤はペプチド剤を含んでよい。「ペプチド剤」という用語には、しばしば一般に「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」と称されるポリ(アミノ酸)が含まれる。この用語にはまた、ペプチド剤アナログ、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質などが含まれる。本発明の方法において用いることができるペプチド剤には(これだけに限らないが)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、成長ホルモンおよび成長因子が含まれる。適切なペプチド剤のさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0034]〜[0040]を参照)にある。好ましい実施形態においては、薬学的活性剤はゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnHR)である。たとえば、GnRHアゴニストはリュープロライドまたはその前駆体であってよい。有利には、GnRHアゴニスト含有ビーズは、たとえばインプラント中の局所的標的送達のための投与形態で提供される。
【0041】
機能性流体は、1つまたは複数の糖部分を含む溶質を含んでもよい。溶質は単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を含んでもよい。溶質は糖脂質、糖タンパク質、グルコシド、アミンまたは酸などの糖誘導体を含んでもよい。溶質は糖アナログまたは模倣体(「Oligosaccharide Mimetics」、Glycoscience、H.P.WesselおよびS.D.Lucas、2079〜2112頁、2008に記載されたものなど)を含んでもよい。たとえば、グリコシド間のO原子はスペーサー基などの別の基で置換されていてもよい。機能性流体は、ステップ(iv)において溶質の固体粒子が形成されるように十分な糖溶質を含んでもよい。
【0042】
機能性流体は、ポリオール(2個以上のヒドロキシル基を含む化合物)を含む溶質を含んでもよい。そのようなポリオールの例は、グリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどの糖アルコールである。当業者は、糖化合物はポリオール(それらが2個以上のヒドロキシル基を含む限り)であってよいが、全てのポリオールが糖部分を含むわけではないことを理解するであろう。
【0043】
機能性流体は、ポリオールを含む溶質と、糖部分(上述の化合物など)を含む溶質とを含んでよい。
【0044】
水溶性の糖および/またはポリオール化合物を用いることにより、酵素などの試薬のカプセル化および放出が、その三次構造への顕著な影響なく促進されることが予想される。
【0045】
機能性流体は水溶液を含んでもよい。
【0046】
ターゲット材料は、1つまたは複数の非標識オリゴヌクレオチド、標識オリゴヌクレオチド、標識デオキシヌクレオシド三リン酸、非標識デオキシヌクレオシド三リン酸、標識オキシヌクレオシド三リン酸、非標識オキシヌクレオシド三リン酸、ポリヌクレオチドの増幅および/または合成のための酵素、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ポリヌクレオチド、染色剤または染料および使用時に緩衝効果をもたらす化合物を含んでもよい。そのような試薬は増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]など)において有用である。
【0047】
ターゲット材料は、抗体、抗原、標識、洗浄剤および固相の1つまたは複数を含んでもよい。そのような試薬および成分は、分析を行う際に有用である。
【0048】
ターゲット材料は、陽性内部対照を含んでもよい。陽性内部対照は、典型的には分析が適正に機能した場合に陽性の結果をもたらすものを含む。たとえば、内部陽性対照は、分析が増幅分析(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]分析など)であれば、外因性DNAの形態であってよい。
【0049】
ターゲット材料は、酵素、機能性タンパク質、粒子、RNAおよびナノ粒子(1000nm未満の最大寸法を有する粒子)を含んでよい。
【0050】
キャリア流体は、典型的にはプロセスの間に遭遇する温度において液体のままであり、かつ機能性流体溶媒と混合しない不活性液体ということになる。キャリア流体は、ステップ(iv)において加えられる流体と混合しないものでよい。用いることができると思われるキャリア流体の例示的な例には、種々の粘度のシリコーンオイル、ミネラルオイル、トリグリセリド、およびスクアレンが含まれる。
【0051】
デバイスは、合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管を含むことが好ましい。デバイスには、冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器が設けられていることがさらに好ましい。
【0052】
デバイスは、冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管を含んでもよい。
【0053】
デバイスは、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口を含んでもよい。
【0054】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア流体導管とは互いに合体していてもよい。
【0055】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む本体を含んでもよい。本体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。本体の冷却を用いて、冷却導管を冷却することができる。冷却流体の輸送のために、本体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却流体(典型的には冷えた液体)の通過により、本体が冷却される。冷却流体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却流体は典型的には、たとえば冷却デバイスによって、デバイスの外部から冷却される。
【0056】
冷却器の本体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結液体をも解凍する際に有用であろう。
【0057】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア流体導管および機能性流体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0058】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア流体導管および機能性流体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0059】
第2の伝熱体には、キャリア流体導管に流体を供給するためのキャリア流体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性流体導管に流体を供給するための機能性流体入口を設けてもよい。
【0060】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0061】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0062】
キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0063】
基板は冷却器と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0064】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に流体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の流体入口を設けてもよい。
【0065】
「微小流体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小流体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0066】
種々の導管を通る流体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア流体の流量は、典型的には約2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0067】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな体積の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る粒子の流速は、冷却導管を通る流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0068】
微小流体デバイスは、好ましくは本発明の第1の態様によるデバイスであってよい。
【0069】
合流部の構造は、当業者には既知の多くの異なった構造の1つであってよい。たとえば、EP1358931はY形状の合流部を開示し、WO0164332はT形状の合流部を開示している。
【0070】
ある状況においては、非溶媒はあまり迅速に作用すべきでないことが見出された。非溶媒が強力な非溶媒である場合には、ビーズの粒子形態が悪い方に影響され、および/または多孔性が望ましくないほどに高くなることがある。
【0071】
ある非溶媒は固体セグメント中へのターゲット材料のより良い取り込みをもたらすことが見出された。これを達成するために、非溶媒はターゲット材料の良溶媒でない方がよい。このようにすれば、非溶媒の添加はセグメントからのターゲット材料の顕著な除去を起こさない。たとえば、活性剤として酢酸リュープロライド、ビーズポリマーとしてラクチド/グリコリドポリマー、非溶媒として種々のC3〜C8アルコールを用いて、活性の約60〜95%の保持が達成された。
【0072】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様の方法によって作製された複数のビーズが提供される。
【0073】
本発明の第4の態様によれば、平均最大寸法が約0.01mm〜0.5mm(好ましくは約0.01mm〜0.2mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、生体適合性ポリマーおよび薬学的活性剤(またはその前駆体)を含むビーズが提供される。
【0074】
本発明の第5の態様によれば、平均最大寸法が約0.5mm〜2mm(好ましくは約0.8mm〜1.5mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、分析で用いるための1つまたは複数の成分を含むビーズが提供される。ビーズは25〜37℃において水に容易に溶解することが好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物を含むことがさらに好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物のマトリックスまたは支持構造を含むことがさらに好ましい。ビーズは1つまたは複数の抗体、抗原、1つまたは複数の粒子、標識、洗浄剤および固相を含むことがさらに好ましい。そのようなビーズは分析において用いることができる。
【0075】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第3または第5の態様による複数のビーズを提供するステップを含む、分析を実施する方法が提供される。この方法は、複数のビーズをビーズ中に組み込まれる放出材料に適した液体と緊密に混合させるステップなどの他のステップを含んでもよい。そのような材料は本発明の第1から第5の態様において言及したターゲット材料であってよい。ビーズからの材料の放出は、たとえばビーズを溶解することまたは部分的に溶解することによって起こり得る。あるいは、液体をビーズに膨潤させてもよい。
【0076】
ここで本発明を、以下の図を参照して例示のためのみに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明による微小流体デバイスの実施形態の例の平面図である。
【図2】図1のデバイスにおいて用いられる、下にある冷却体の平面図である。
【図3】図1のデバイスのAAに沿った断面図である。
【図4】図1のデバイスの基板のAAに沿った概略断面図であり、導管の相対的配置をより詳細に示している。
【図5】さらなる冷却体の平面図である。
【図6】本発明の方法における小滴の脱溶媒和の概略図である。
【図7】本発明のデバイスにおける冷却を示すグラフである。
【図8】本発明の1つの実施形態によるデバイスの異なった部分の加熱−冷却特性を示すグラフである。
【図9】本発明による微小流体デバイスの実施形態のさらなる例の平面図である。
【図10】図9のデバイスにおいて用いられる、下にある冷却体の平面図である。
【図11】図9および10のデバイスを用いて固体ビーズ中に組み込んだ際に抗体がその活性を保持していることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
ここで図1〜4を参照して、本発明のデバイスの実施形態の例を説明する。デバイスは一般に参照番号300で示され、冷却体100と緊密に接触するように置かれた基板200を含む。基板はポリテトラフルオロエチレン製であり、キャリア流体の輸送のためのキャリア流体導管201および機能性流体の輸送のための機能性流体導管202がその中に形成されている。キャリア流体導管201の幅は約0.3mm、深さは0.3mmである。機能性流体導管202がキャリア流体導管201に合流する点において、機能性流体導管202は略環状の断面を有しており、その直径は約50〜150μmである。キャリア流体導管201と機能性流体導管202とは合流領域210において合流する(図3および4において最もよく見られる)。使用時には、合流点のすぐ下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴が形成される。冷却導管203が合流領域210から下流に延在している。冷却導管の深さは約0.3mm、幅は0.3mmである。使用時には、キャリア流体中で輸送される機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域210から以下に述べるように冷却器体100によって冷却された冷却導管へと通過し、冷却された(典型的には固体の)小滴を形成する。小滴は、たとえば凍結されていても、ゲルの形態であってもよい。
【0079】
脱溶媒和導管205が冷却導管から下流に、デバイス出口206へと延在しているので、使用時には、キャリア流体および冷却小滴の分割された流れは脱溶媒和導管に通過する。2つの非溶媒導管207、208(それぞれ深さ約0.3mm、幅0.3mm)は脱溶媒和導管と合流しているので、非溶媒を脱溶媒和導管に送達することができる。この非溶媒は溶媒(ポリマー溶質ではなく)を冷却小滴から排出し、したがって固体ビーズを形成させる。脱溶媒和を概略的に図6に示す。この図で、機能性流体の実質的に球状の小滴(a)を輸送するキャリア流体の前進する流れは、冷却導管203の上流部分から、脱溶媒和導管部分205へ、合流する非溶媒導管207、208のそばを通って通過する。導管207、208を通って流入する非溶媒は層流を形成し、その中で、分割された流れが非溶媒の流れによって包囲される。冷却小滴(b)はキャリア流体と非溶媒との間の界面と接触する。小滴の少なくとも1つの成分は非溶媒との親和性を有する(好ましくは非溶媒に溶解する)ので、冷却小滴(c)は非溶媒の流れの中に通過する傾向がある。冷却小滴と非溶媒との間の接触の結果として、脱溶媒和が起こり、ポリマーが沈殿する。本発明の方法においては、脱溶媒和が起こる条件によっていくらか制限された速度で脱溶媒和が起こるので、ポリマーの沈殿は、典型的には、望ましい形態、狭い粒子寸法範囲および望ましい多孔性を有するマトリックスが得られるように起こり得る。比較的均一な形態で、比較的狭い範囲の粒子寸法を有するビーズは、薬物送達に用いた場合には、それほど均一でない形態および粒子寸法を有するビーズと比べて、改善された薬物放出特性を示し得るという利点を提供する。ビーズの寸法および寸法分布は、放出速度、ターゲティングの有効性、ディスパージョン中における懸濁特性、注射可能性などのいくつかの薬物送達特性に影響を及ぼし得る。したがって、本発明によって得ることが可能な粒子の比較的狭い寸法分布は、種々の治療用製品において、それらの特徴の1つまたは複数に有利に影響し得る。本発明のビーズを用いることができる投与形態には、多孔性ビーズ(マイクロスフェアとも称される)中の治療剤の送達が適していると思われる任意のものが含まれる。そのような投与形態は、全身的使用のための薬物のため、または局所的標的送達のためであってよく、特に、これだけに限らないが、注射製剤およびインプラントが含まれる。
【0080】
本発明の方法においては、溶媒は一般的に非溶媒に溶解(および混合)し得る。ポリマー溶質は溶媒に溶解するが、非溶媒には溶解しない。
【0081】
脱溶媒和導管は拡大部または拡幅部209を含む。拡大部の下流における脱溶媒和導管の深さおよび幅は約0.5mmである。
【0082】
キャリア流体は、伝熱体113の中に形成されたキャリア流体入口103を通ってキャリア流体導管に移送される。機能性流体は、伝熱体113の中に形成された機能性流体入口102を通って機能性流体導管に移送される。非溶媒は、冷却器体100の中に形成された2つの非溶媒入口106、107を通って非溶媒導管207、208に移送される。冷却器体100および伝熱体113を通って形成されている入口通路のこの配置により、基板200への流体の単純な導入を容易にする。
【0083】
冷却器体100には、冷却液体がその中を通るための冷却チャネル101が設けられている。本実施例において用いられる冷却液体はシリコーンオイルである。オイルはデバイスの外部から冷却され、冷却チャネル101にポンプで送られる。冷却チャネルを通る冷却液体の通過によって冷却器体が冷却される。さらに、冷却液体によって、冷却液体導管に隣接する冷却器体の領域が特に冷却される。使用時には、冷却器体のこの領域は冷却導管203を設けた基板200の部分に隣接し、したがって冷却導管203の中に存在する機能性流体のいかなる小滴をも凍結させる。
【0084】
絶縁ギャップ109が冷却器体100と伝熱材料の本体113との間に設けられている。ギャップは絶縁材料(空気など)を含む。
【0085】
冷却流体の温度の選択は、機能性流体の十分に冷却された小滴を生成する一方、キャリア流体は液体のままであるように選択すべきである。たとえば、冷却流体の温度の選択は、機能性流体の凍結小滴を生成するように選択されてよい。
【0086】
非溶媒も冷却されてよい(「冷却される」とは、周囲温度未満の温度であることを意味する)。
【0087】
基板200中の導管は、Roland EGX−300彫刻器を用いる小型研削によるか、レーザードリルによって材料を除去することによって製造される。より小さな導管(典型的には直径50〜100ミクロンのもの)は、たとえばレーザードリルを用いて製造することができる開口の形態である。
【0088】
当業者は、本発明のデバイスおよび方法によって生成するビーズの寸法は、キャリアおよび機能性流体の流量ならびにキャリア流体導管および機能性流体導管の寸法によることを理解するであろう。
【0089】
流体と接触する表面のエネルギーは低くあるべきであり、典型的には低エネルギー材料(たとえばポリテトラフルオロエチレン[PTFE、たとえばTeflon(登録商標)])の基板を機械加工するか、高エネルギー基板を機械加工し、低エネルギー材料で被覆すること(たとえば蒸着による)によって形成される。
【0090】
当業者は、代替の冷却器を用いることができることを理解するであろう。たとえばPeltier冷却器を用いることができる。Peltier冷却器は、たとえばUWE Electronic GmbH、Unterhaching、Germanyから広く入手可能である。
【0091】
当業者は、上で用いた合流配置は当業者に既知の異なった合流配置で置き換えることができることを理解するであろう。たとえば、EP1358931はY形状の合流部を開示し、WO0164332はT形状の合流部を開示している。
【0092】
図1〜4のデバイスと同様のデバイスの冷却体100’を図5に示す。冷却器体は図1〜4の冷却器体とあらゆる点で同様に構成されている。しかし図5の冷却器体においては、キャリア流体導管および機能性流体導管の領域における冷却器の温度を測定するための熱電対400ならびに冷却導管の領域における冷却器体の温度を測定するための熱電対500が付加的に設けられている。
【0093】
デバイスの実施形態の例において、ポリマーおよび活性剤は一緒に混合され、1つの導管を経由してデバイスに導入される。たとえば機能性流体導管とキャリア流体導管との間の合流部の上流において機能性流体導管と合流する活性流体導管を設けることによって、異なった導管を経由して活性剤をポリマーに導入することが可能である。小滴内部での混合は、分割された流れによって誘導されるような速度プロファイル混合を用いて実施することができる。
【0094】
本実施例においては、脱溶媒和導管は直線であるように示されている。脱溶媒和導管は、非溶媒効果が長いタイムスケールにわたって起こることを確実にするために、回旋状(たとえばカーブすること、たとえば螺旋によって)であってもよい。
【0095】
ここで、本発明による方法の実施形態のいくつかの例における図1〜3のデバイスの使用について述べる。
【0096】
一般的方法
キャリア流体(シリコーンオイル)を、ポンプを用いてキャリア流体入口103を経由してキャリア流体導管201に導入する。キャリア流体、たとえば100cstのシリコーンオイル(即ち20℃における粘度が100mPa.sのシリコーンオイル)が、キャリア流体導管201、冷却導管203を通り、脱溶媒和導管205を経由して出口206から出て行く。キャリア流体は短時間でデバイスを通って流れることができる。次いで冷却器体100の冷却導管101を通して冷却流体を供給する。次いで非溶媒入口106、107を経由して非溶媒(たとえばペンタノールなどの有機アルコール)を非溶媒導管207、208に導入する。非溶媒は脱溶媒和導管に入り、出口に移動する。
【0097】
冷却器体が所望の温度に達すれば、機能性流体入口102を経由して機能性流体を機能性流体導管202に導入する。機能性流体は、たとえば生体適合性ポリマーおよび薬学的活性材料の溶液を含んでよい。機能性流体およびキャリア流体の流量は、キャリア流体中の機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域210のすぐ下流に形成される程度のものである。典型的には、キャリア流体および機能性流体の流量は、それぞれ1〜4ml/hr(しばしば2.5ml/hr)および10〜200μl/hr(しばしば50μl/hr)である。キャリア流体と機能性流体との両方は、デバイスの中に導入される前に所定の温度(たとえば20℃)に安定化される。
【0098】
機能性流体の小滴は冷却導管203において十分に冷却され、それにより機能性流体中で用いられる溶媒は十分に冷却される(好ましくは固化する[たとえば凍結またはゲルを形成する])。小滴は典型的には冷却導管の最初の20〜30mmの長さの中で十分に冷却される(これは特に小滴がゲルを形成するのではなく、凍結する場合である)。冷却チャネル101を通過する冷却液体は−25℃である。次いでキャリア流体中の冷却小滴の分割された流れを脱溶媒和導管205に移す。非溶媒は溶媒を冷却小滴から排出し、それにより一般に固体状のビーズが形成され、これが出口206を経由してデバイスから出て行く。非溶媒の流量は典型的には1〜4ml/hr(非溶媒導管207、208の各々を通って0.5〜2ml/hr)で、0.8〜1ml/hrがしばしば用いられる流量である。
【0099】
冷却導管101中の冷却流体の温度は可変である。冷却導管の領域中の冷却器体100の温度は、たとえば図5に示すような熱電対500によって監視することができる。冷却体の4つの例示的な冷却曲線を図7に示す。ここではデバイスは冷却流体を用いて周囲温度から−40℃、−25℃、−22.5℃または−20℃に冷却される。冷却体の温度は熱電対500によって測定され、図7のそれぞれの冷却曲線に従って低下する。
【0100】
図8を参照して図示されるように、本発明のデバイスによって冷却導管およびデバイスの上流領域の温度はそれぞれ独立に制御することができる。
【0101】
以下に述べる通り加熱/冷却のパターンの間の熱電対400および500についての例示的な温度測定を図8に示す。
【0102】
冷却器ユニット初期温度 −40℃
マニフォールド初期温度 17.9℃
最終マニフォールド温度 −15.3℃
熱電対400 初期温度=37℃
熱電対400 最終温度=95℃
ゾーンA:冷却曲線−最初に冷却ユニットを起動し、マニフォールドおよび冷却器ユニットの温度を同時に記録した。冷却器ユニットの温度は最初に変動し、17分後に安定化した。マニフォールドの温度は最初の5分間で急激に低下し、次いで−15.3℃の温度まで徐々に低下した。
【0103】
ゾーンB:冷却後、マニフォールドを左側で加熱した。マニフォールドの温度は7分後に上昇し始めた。
【0104】
ゾーンC:冷却−加熱相互作用曲線。マニフォールドの温度は加熱導入後7分(ゾーンB)で上昇し始め、47分後に安定化した。マニフォールド(右側)の温度は、開始から終了まで全体で+3℃上昇した。
【0105】
上のパターンは、デバイスの上流部分の温度を独立に加熱することができ、冷却領域から効果的に断熱されていることを示している。
【0106】
溶質(ポリマー)の非溶媒への溶解性はあまり高くないことが必要であり、そうでなければ非溶媒の添加の際にセグメントが崩壊することがある。
【0107】
既に述べたように、粒子は典型的には実質的に球状の形状をしている。平均直径は任意の適切な方法で確認することができる。たとえば、粒子の平均直径は電子顕微鏡下に多数の粒子を観察し、たとえば15個の粒子の代表的な試料の直径を測定し、それから平均直径を確認することによって確認することができる。
【0108】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例1】
【0109】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位75%とグリコリド単位25%を含み、66,000〜107,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP1941 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0110】
デバイス中の流量は以下の通りであった:
機能性流体流量:0.05mL/hr
キャリア流体流量:3mL/hr
非溶媒流体流量:0.5mL/hr
上に示した非溶媒流量は2つの非溶媒導管の各々に関連しており、したがって両方の非溶媒供給を考慮した合計非溶媒流量は1mL/hrであった。
【0111】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。
【0112】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径および標準偏差値(S.D.)を得た:
バッチ1−115.1μm、S.D.=2.0μm
バッチ2−121.4μm、S.D.=1.8μm
バッチ3−108.9μm、S.D.=1.8μm
【実施例2】
【0113】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位65%とグリコリド単位35%を含み、40,000〜75,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP2066 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0114】
流量は実施例1で用いた通りであった。
【0115】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。同一条件を用いて3バッチを作製した。
【0116】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径を得た:
バッチ1−97.0μm、S.D.=2.4μm
バッチ2−101.8μm、S.D.=2.0μm
バッチ3−99.2μm、S.D.=1.7μm
【実施例3】
【0117】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位50%とグリコリド単位50%を含み、40,000〜75,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP2191 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0118】
流量は実施例1で用いた通りであった。
【0119】
キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。
【0120】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径を得た:
バッチ1−95.6μm、S.D.=1.3μm
バッチ2−97.1μm、S.D.=1.8μm
バッチ3−98.1μm、S.D.=1.7μm
【0121】
実施例1、2および3において、いわゆる「活性」成分は機能性流体中に含まれていなかった。ある種の「活性」成分(酢酸リュープロライドなど)を機能性流体中に組み込むことは、生成するセグメントの寸法に認知し得る影響を及ぼさないことが見出された。
【0122】
実施例1〜3において、本発明の方法によって比較的一定の形態を有し、かつ比較的狭い粒子寸法範囲内にあるポリマービーズを得ることが可能になる。これにより、たとえばビーズ中に含有される治療物質の放出の一貫性および/または予測可能性の見地からの薬物送達における特別の利点を得ることができる。
【実施例4】
【0123】
薬学的活性化合物の取り込みを検討し、種々の非溶媒を用いることの影響を測定した。
【0124】
上述の一般的方法を用いた。酢酸リュープロライドを溶液の1〜5mg/mlの間でDMSO/PLGA混合物に溶解させた。実施例3で用いた50:50ラクチド/グリコリドポリマーP2191を濃度10%w/vでこの実施例に用いた。
【0125】
流量は実施例1で用いた通りであった。デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和により固体ビーズが形成された。
【0126】
種々の非溶媒を検討し、ビーズ中に保持される活性剤(酢酸リュープロライド)の量に対する非溶媒の影響を測定した。HPLCおよび/またはNMRを用いて、保持された酢酸リュープロライドの量を測定した。
非溶媒 固体ビーズ中に保持された活性剤%
エタノールおよびペンタノール 63
ペンタノール 92
ヘプタノール(バッチ1) 78
オクタノール:エタノール(80:20) 76
オクタノール:エタノール(90:10) 84
ペンタン 94
【0127】
これらのデータから、非溶媒の選択が重要であることが示される。非溶媒はポリマーの良溶媒であるべきではない。さらに、非溶媒は活性成分の良溶媒であるべきではない。
【0128】
ここで図9および10を参照して、本発明のデバイスの実施形態のさらなる例を説明する。デバイスは一般に参照番号600で示され、冷却体700と緊密に接触するように置かれた基板800を含む。基板はポリテトラフルオロエチレン製であり、キャリア流体の輸送のための2つのキャリア流体導管601A、601Bおよび機能性流体の輸送のための機能性流体導管602がその中に形成されている。キャリア流体導管601A、601Bおよび機能性流体導管602はそれぞれ断面が略四角形であり、幅は約1mm、深さは1mmである。キャリア流体導管601A、602Bおよび機能性流体導管602は合流領域610で合流する。使用時には、合流点のすぐ下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴が形成される。冷却導管603が合流領域610から下流に延在している。冷却導管の深さは約1.4mm、幅は1.4mmである。使用時には、キャリア流体中で輸送される機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域610から冷却器体700によって冷却された冷却導管へと通過し、固体小滴を形成する。
【0129】
脱溶媒和導管605(幅および深さが1.7mmの略四角形の断面を有する)が冷却導管から下流に、デバイス出口606へと延在しているので、使用時には、キャリア流体および固体小滴の分割された流れは脱溶媒和導管に通過する。2つの非溶媒導管607、608(それぞれ深さ約0.7および幅0.7mm)は脱溶媒和導管と合流しているので、非溶媒を脱溶媒和導管に送達することができる。この非溶媒は溶媒を(ポリマー溶質ではない)を固体小滴から排出し、したがって固体ビーズを形成させる。
【0130】
脱溶媒和は一般的に、図1〜4に関連して上述したように起こる。
【0131】
キャリア流体は、伝熱体713の中に形成されたキャリア流体入口703A、703Bを通ってキャリア流体導管に移送される。機能性流体は、伝熱体713の中に形成された機能性流体入口702を通って機能性流体導管に移送される。非溶媒は、冷却器体700の中に形成された2つの非溶媒入口706、707を通って非溶媒導管607、608に移送される。冷却器体700および伝熱体713を通って形成されている入口通路のこの配置により、基板800への流体の単純な導入を容易にする。
【0132】
冷却器体700には、冷却液体がその中を通るための冷却チャネル701が設けられている。本実施例において用いられる冷却液体はシリコーンオイルである。オイルはデバイスの外部から冷却され、冷却チャネル701にポンプで送られる。冷却チャネルを通る冷却液体の通過によって冷却器体が冷却される。さらに、冷却液体によって、冷却液体導管に隣接する冷却器体の領域が特に冷却される。使用時には、冷却器体のこの領域は冷却導管603を設けた基板800の部分に隣接し、したがって冷却導管603の中に存在する機能性流体のいかなる小滴をも固化させる。
【0133】
絶縁ギャップ709が冷却器体700と伝熱材料の本体713との間に設けられている。ギャップは絶縁材料(空気など)を含む。
【実施例5】
【0134】
図9および10に関連して上述した一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水の55:45混合物中のポリ(エチレンオキシド)[181994ポリ(エチレンオキシド)、Sigma Aldrich、UK、Mw−200,000]の12%w/v溶液を含んでいた。加熱したシリンジを用いて、機能性流体を機能性流体導管に導入した。
【0135】
キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒は2−プロパノールを含んでいた。
【0136】
デバイス中の流量は以下の通りであった:
機能性流体流量:1mL/hr
キャリア流体流量:8mL/hr
非溶媒流体流量:8mL/hr
上に示した非溶媒流量は2つの非溶媒導管の各々に関連しており、したがって両方の非溶媒供給を考慮した合計非溶媒流量は16mL/hrであった。
【0137】
上に示したキャリア流体流量は2つのキャリア流体導管の各々に関連しており、したがって両方のキャリア流体供給を考慮した合計キャリア流体流量は16mL/hrであった。
【0138】
デバイスの冷却部に入る際に、ポリ(エチレンオキシド)溶液の小滴は冷却される。DMSO:水溶媒の凍結温度が約−40℃であるとすれば、小滴が凍結することは予想されず、むしろ小滴はゲルを形成するか、または冷却されて非常に粘度の高い液体を形成することが予想される。非溶媒は冷却小滴の脱溶媒和を起こし、したがって固体ビーズを形成させる。冷却小滴が液体であった場合(ゲルとは異なって)であっても、小滴は十分に高い粘度を有していたので、冷却小滴から形成されたビーズは冷却小滴と実質的に同一の形状を有していた。即ち、非溶媒の添加は小滴の変形を起こさなかった。
【0139】
固体ビーズを集め、2−プロパノールに懸濁して、ビーズが実質的に溶媒を含んでいないことを確認した。濾過によってビーズを懸濁液から取り出し、次いで乾燥した。
【0140】
乾燥前にビーズをバルクの非溶媒に懸濁するステップは必要でないと考えられる。本例ではビーズが溶媒を含まないことを確実にするためにこのステップを実施した。
【0141】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は光学顕微鏡を用いて測定した。2バッチの固体ビーズを作製した。各々のバッチについて30セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径および標準偏差値(S.D.)を得た。
バッチ1−903μm、S.D.=12μm
バッチ2−954μm、S.D.=11μm
【0142】
この結果、本発明のデバイスおよび方法は、一般的に単分散の性質を有するビーズを製造するために用いることができることが示される。
【実施例6】
【0143】
実施例5の方法を繰り返したが、機能性流体の中に抗体(フルオレセインイソチオシアネート標識抗ストレプトアビジン[Abcam plc、Cambridge、UK])を組み込んだ。
【0144】
ストレプトアビジン固定化マイクロタイタープレートを用いて固体ビーズを分析し、ビーズ内に保持された抗体がその活性を保持していることが示された。図11にビーズによって生成された蛍光シグナルを、他の種々の標準および対照と比較して示す。「ブランクビーズ」は抗体を含有しないビーズを指す。「50pmol」、「25pmol」、「12.5pmol」および「6.25pmol」と表示された結果は、抗ストレプトアビジンの4つの対照溶液の各々の濃度を指す。「ブランク液体」は抗体を含有しない溶液を指す。
【0145】
ビーズ内に保持された抗体がその活性を保持していることは明らかである。
【0146】
例示的実施例
この実施例はその方法が小滴を作製するために微小流体デバイスを用いないので本発明の範囲内には含まれないが、本実施例は本発明の方法およびデバイスを用いて糖溶質を含む固体小滴を作製する可能性を示している。そのような小滴は分析において特別の用途があると考えられる。というのは、糖は水または水溶液に容易に溶解すると思われるからである。
【0147】
マンニトールおよびデキストランの10%w/v水溶液を調製した。次いでこれらの溶液をエタノールに滴下した。デキストラン溶液からはエタノール中で無定形の粒子が生成した。この無定形粒子は温水に容易に溶解した。マンニトール溶液からは微結晶沈殿が生成し、これは温水に溶解した。
【0148】
マンニトールおよびデキストランの両方を含む溶液は、デキストランが不連続の粒子を形成するのに適しているように思われ、またマンニトールが十分に適切な増量剤であると思われる点で、有用であり得ると考えられる。さらに、マンニトールはビーズの一体性を高めて、より扱いやすくすると考えられる。
【0149】
図1〜4の装置を用いて、ポリオール溶液から固体ビーズを作製することを試みた。溶液から満足すべき様式で液滴が形成されたが、これらの小滴は凍結しなかった。小滴を凍結させるためには装置をさらに冷却する必要があると考えられる。これは、たとえば冷却器の冷却能力を改善することによって達成されるであろう。
【0150】
マンニトールのジメチルスルホキシド(DMSO)中10%w/v溶液を調製した。これは約10℃で凍結することが見出された。したがって、この溶液から作製された小滴は図1〜4の装置を用いれば凍結するであろうということと、溶媒はエタノールなどの非溶媒を用いれば凍結小滴から抽出されるであろうということが予想される。
【0151】
上述のように、糖系の小滴は分析に用いることができることが予想される。この場合には、ビーズは約0.5mm〜2mmの直径または最大寸法を有することが望ましいであろうと考えられる。この場合には、図1〜4の装置がより深く、より幅広い(典型的には2mm×2mm)導管を有するように適応させることが望ましいであろう。さらに、より大きなビーズを作製するために用いられる流量は、典型的には実施例1〜4において上述した流量より大きいであろう。たとえば、機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体ビーズ(典型的には、これだけに限らないが、ある形態の薬学的活性剤を含有するポリマービーズ)の製造のための微小流体デバイスおよびそのようなビーズを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある形態の薬学的活性剤を含有する小さなポリマービーズの製造のための多くの方法が知られている。そのようなビーズは特に、これだけに限らないが、ヒトまたは動物の体内における活性剤の制御放出非経口送達のために用いられる。制御放出非経口送達が特に適用できると思われる例示的な治療領域には、たとえば不妊治療、ホルモン療法、タンパク質療法、感染治療(抗生物質および抗真菌剤)、癌治療、術後疼痛治療、慢性疼痛治療、ワクチン接種/免疫付与、中枢神経系疾患の治療、および免疫抑制が含まれる。これらのおよび他の治療領域における制御放出非経口送達の利点は文献によく記載されており、たとえば、治療に対する反応の改善;安全性の改善(従来の非経口投薬形態と比較して薬物の必要量が少なく、インビボ部位を薬物の標的とすることによって全身レベルの上昇を防止できるため);および患者コンプライアンスの改善(投薬頻度を少なくし、投薬形態を単純化できる可能性による)の1つまたは複数が含まれ得る。典型的には、ポリマービーズを用いて、数カ月の期間にわたって治療剤の制御放出をもたらすことができる。
【0003】
治療用のポリマービーズを製造するための大部分の方法においては、ポリマーおよび活性剤の溶液または混合物を用いて、次に固体ビーズをそれから作るための液滴を作製する。溶液/混合物の撹拌または静的混合などのいくつかの方法を用いて、液滴を発生させることができる。これらの方法では、ビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズが発生する。代替の方法には滴下および噴霧形成があるが、これらもビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズの生成をもたらすことがある。これらの方法によって発生した液滴は、次いで溶媒を除去するために処理され得る。これは典型的には小滴を大量の非溶媒と混合することまたは蒸発によって達成される。これは固体ビーズ中に比較的大量の残留溶媒をもたらし、またビーズ寸法の幅広い分布を有するビーズの発生をもたらすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題の1つまたは複数を解決することに対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
キャリア流体の送達のためのキャリア流体導管と、
キャリア流体と混合しない機能性流体の送達のための機能性流体導管であって、合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体の中に機能性流体の小滴の流れが形成される機能性流体導管と、
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管と、
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器と、
冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管とを含む微小流体デバイスであって、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口が設けられているデバイスが提供される。
【0006】
本発明のデバイスは、有益な寸法分布特性を有し、固体ビーズ中に残留する溶媒を少量しか有しない固体ビーズの製造を容易にするものである。
【0007】
機能性流体は典型的には溶媒および溶質を含む溶液を含み、溶質は典型的にはポリマーを含む。機能性流体の成分は、好ましくは機能性流体の小滴が冷却導管中で冷却されると固化して固体小滴を形成するように選択される。小滴は、たとえば凍結され、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本発明のデバイスの中で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ある状況においては、機能性流体の小滴は冷却導管中で冷却されると固体を形成せず、むしろ典型的には高粘度の液体であってもよい。
【0008】
機能性流体の成分は前混合してもよいが、その代わりにたとえば2つの合流する導管を用いて基板の中で混合してもよい。ポリマーは典型的には非溶媒中の溶解度が低く、一方溶媒は非溶媒と混合可能である。非溶媒の添加により典型的には溶媒が小滴から排出され、したがって固体ビーズが生成する。
【0009】
デバイスはキャリア流体の送達のための複数のキャリア流体導管を含んでよく、機能性流体導管は合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体中で機能性流体の小滴の流れが形成される。
【0010】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア流体導管とは互いに合体していてもよい。
【0011】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む冷却体を含んでもよい。冷却体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。冷却体の冷却を用いて、熱伝導によって冷却導管を冷却することができる。冷却流体の輸送のために、冷却体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却流体(典型的には冷えた液体)の通過により、冷却体が冷却される。冷却流体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却流体は典型的にはデバイスの外部から冷却される。冷却流体は任意の適切な冷却デバイス、たとえばJulabo冷却循環器によって冷却することができる。
【0012】
冷却器の冷却体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結液体をも解凍する際に、また非溶媒および脱溶媒和プロセスの温度を制御するために有用であろう。
【0013】
冷却体は設けなくてもよい。たとえば、冷却導管が微小流体デバイスの基板に設けられ、その基板には冷却流体を輸送するための冷却チャネルが設けられ、冷却導管が冷却チャネルと熱的に導通していてもよく、それにより冷却導管中の流体が冷却チャネル中の冷却流体によって冷却されてもよい。
【0014】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア流体導管および機能性流体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0015】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア流体導管および機能性流体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0016】
第2の伝熱体には、キャリア流体導管に流体を供給するためのキャリア流体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性流体導管に流体を供給するための機能性流体入口を設けてもよい。
【0017】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0018】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0019】
キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒送達導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0020】
基板は冷却器の冷却部と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0021】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に流体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の流体入口を設けてもよい。
【0022】
「微小流体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小流体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0023】
種々の導管を通る流体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約0.01〜0.2ml/hr、特に0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア流体の流量は、典型的には約1〜4ml/hr、特に2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.25〜3ml/hr、特に0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。非溶媒の流量は、脱溶媒和導管中において、非溶媒の体積がキャリア流体の体積より小さく、かつ機能性流体の冷却された小滴とキャリア流体/非溶媒界面の間の接触の可能性が高くなることを確実にするために十分であるように選択されるのが好ましい。説明のため、いくつかの実施形態においては、流量はキャリア流体の体積が非溶媒の体積の1〜4倍であるようにしてよい。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0024】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大、たとえば段階的拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな断面の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る冷却小滴/形成ビーズの流速は、冷却導管を通る小滴の流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒および溶質を含む機能性流体の層流を機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の層流をキャリア流体導管に沿って供給することによって、キャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体の小滴を冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップと
を含む方法が提供される。
【0026】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は典型的には十分な構造的一体性を有しているので、ステップ(iv)における流体の添加は小滴の形状を顕著には崩壊させない。
【0027】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば凍結し、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本方法の条件下で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ステップ(iii)において形成される冷却小滴は凍結していることが好ましい。
【0028】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば液体の形態であってよい。そのような液体は、典型的には十分に高い粘度を有していると思われるので、ステップ(iv)において加えられる流体は粒子の形状に実質的な変化をもたらさない。即ち固体ビーズの形状は冷却小滴の形状と実質的に同じである。
【0029】
ステップ(iv)において形成される固体ビーズは、典型的にはそれから固体ビーズが誘導される冷却小滴とほぼ同じ形状を有している。たとえば、冷却小滴は実質的に球状の形状であってよく、その場合、固体ビーズは典型的には実質的に球状の形状である。
【0030】
ステップ(iv)は微小流体デバイスの導管の中で行ってよい。機能性流体は、固体ビーズ中に取り込みたいターゲット材料を含んでよい。ターゲット材料はステップ(ii)において溶媒中に溶解または懸濁される材料であってよい。
【0031】
ステップ(iv)において加えられる流体は、ターゲット材料(典型的にはポリマー)および機能性流体の溶媒が何であるかを考慮して、非溶媒であるように選択される。典型的には流体は、溶媒が溶解し、溶質(典型的にはポリマー)が低い溶解度を有する(たとえば実質的に不溶性である)液体である。その代わりに流体はガス状であってもよく、たとえば流体は窒素などの不活性ガスと混合された非溶媒蒸気を含んでもよい。理論に縛られることを望むものではないが、前記流体の添加は冷却小滴中の溶媒を液体に溶解させ、ポリマーの「マトリックス」を含む固体セグメントを残すことが理解される。ポリマーが前記液体に溶解するならば、成長中のビーズは崩壊するであろう。
【0032】
したがって実際上、小滴の実質的に完全な脱溶媒和により、ポリマーは典型的には沈殿し、ターゲット材料、即ち特に1つまたは複数の薬剤が組み込まれた固体ポリマーの実質的に球状のマトリックスを形成すると考えられる。適当な溶媒の選択によって、ゲル形態の固体ビーズを得ることも可能である。
【0033】
固体ビーズの形状および寸法は、前記ビーズを作製するために用いる方法に依存することになる(また、導管の寸法、種々の流体の流量および合流の構造に大きく依存することになる)。本発明の方法によって作製されたビーズは、典型的には実質的に球状で、約0.01mm〜約2mmの平均直径を有してよい。ビーズの寸法はビーズの意図された用途に依存するであろう。たとえば固体ビーズは約0.01〜0.5mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には薬学的用途のためであってよい。ビーズは0.5mm〜2mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には分析に用いられてよい。
【0034】
当業者は、固体ビーズは完全に溶媒を含んでいない必要はないことを認識するであろう。
【0035】
溶質は典型的には生体適合性ポリマーなどのポリマーを含む。生体適合性ポリマーによって、薬学的活性剤(存在するならば)を患者に送達するために固体ビーズを患者に投与することが可能になる。本発明において用いることができるポリマーの例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物および乳酸とグリコール酸とのコポリマーである。適切なポリマーのさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0013]参照)にある。ビーズが薬学的用途のためのものである場合には、ポリマーは好ましくはインビボで分解可能となるものであることが理解されよう。ビーズが分析の一部において用いられることが意図される場合には、ポリマーは水に可溶、好ましくはビーズのいかなる内容物(たとえば抗体)にも有害でない温度において水に可溶であることが好ましいと考えられ、そのような温度は典型的には25〜37℃である。
【0036】
溶媒は水混和性有機溶媒であってよく、典型的には極性非プロトン性溶媒であってよい。本発明による方法における使用のために用いられるポリマーを考慮すれば、適切な溶媒の選択は当業者にとってはありふれた事柄であろう。用いることができる溶媒の例示は、たとえばDMSO、トリアセチン、グリコフロール、PEG2000、N−メチルピロリドン、およびヘキサフルオロ−イソプロパノールである。
【0037】
ステップ(iv)において加えられる流体中で、またはその流体として、ポリマーに対する非溶媒である任意の流体を用いることができる。適切な非溶媒には、たとえば水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールおよび高級アルコール;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび高級炭化水素を含む単純炭化水素が含まれ得る。所望であれば、溶媒の混合物を用いることができる。水と混合しない適切な溶媒を含む他の溶媒も用いることができる。
【0038】
機能性流体の溶媒および非溶媒の選択には、特に本発明の方法の間に曝されることになる温度などの条件を考慮に入れる必要があることが理解されるであろう。
【0039】
ある状況においては、溶媒は水であることが好ましいと思われる。この場合には、非溶媒は水混和性有機溶媒を含んでよい。
【0040】
機能性流体は固体ビーズ中にカプセル化されるターゲット材料をさらに含んでもよい。ターゲット材料は機能性流体中に粒子として組み込まれていてもよく、または溶解していてもよい。粒子の例にはコロイド(金コロイドなど)が含まれる。ターゲット材料は分析における使用のための1つまたは複数の成分を含んでもよい。ターゲット材料は薬学的活性剤を含んでもよく、または薬学的活性剤の前駆体であってもよい。薬学的活性剤は、たとえば、これだけに限らないが、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤を含む、非経口送達に適した任意の薬剤であってよい。特に制御放出非経口送達によるポリマービーズ中の薬物の送達は、たとえば水難溶性、高毒性、低吸収性特徴を有する薬物の場合に特別の利点を有するが、本発明はそのような薬剤とともに用いることに限定されるものではない。活性剤は、たとえば小分子の薬物またはポリマー性分子などのより複雑な分子であってよい。1つの有利な実施形態においては、薬学的活性剤はペプチド剤を含んでよい。「ペプチド剤」という用語には、しばしば一般に「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」と称されるポリ(アミノ酸)が含まれる。この用語にはまた、ペプチド剤アナログ、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質などが含まれる。本発明の方法において用いることができるペプチド剤には(これだけに限らないが)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、成長ホルモンおよび成長因子が含まれる。適切なペプチド剤のさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0034]〜[0040]を参照)にある。好ましい実施形態においては、薬学的活性剤はゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnHR)である。たとえば、GnRHアゴニストはリュープロライドまたはその前駆体であってよい。有利には、GnRHアゴニスト含有ビーズは、たとえばインプラント中の局所的標的送達のための投与形態で提供される。
【0041】
機能性流体は、1つまたは複数の糖部分を含む溶質を含んでもよい。溶質は単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を含んでもよい。溶質は糖脂質、糖タンパク質、グルコシド、アミンまたは酸などの糖誘導体を含んでもよい。溶質は糖アナログまたは模倣体(「Oligosaccharide Mimetics」、Glycoscience、H.P.WesselおよびS.D.Lucas、2079〜2112頁、2008に記載されたものなど)を含んでもよい。たとえば、グリコシド間のO原子はスペーサー基などの別の基で置換されていてもよい。機能性流体は、ステップ(iv)において溶質の固体粒子が形成されるように十分な糖溶質を含んでもよい。
【0042】
機能性流体は、ポリオール(2個以上のヒドロキシル基を含む化合物)を含む溶質を含んでもよい。そのようなポリオールの例は、グリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどの糖アルコールである。当業者は、糖化合物はポリオール(それらが2個以上のヒドロキシル基を含む限り)であってよいが、全てのポリオールが糖部分を含むわけではないことを理解するであろう。
【0043】
機能性流体は、ポリオールを含む溶質と、糖部分(上述の化合物など)を含む溶質とを含んでよい。
【0044】
水溶性の糖および/またはポリオール化合物を用いることにより、酵素などの試薬のカプセル化および放出が、その三次構造への顕著な影響なく促進されることが予想される。
【0045】
機能性流体は水溶液を含んでもよい。
【0046】
ターゲット材料は、1つまたは複数の非標識オリゴヌクレオチド、標識オリゴヌクレオチド、標識デオキシヌクレオシド三リン酸、非標識デオキシヌクレオシド三リン酸、標識オキシヌクレオシド三リン酸、非標識オキシヌクレオシド三リン酸、ポリヌクレオチドの増幅および/または合成のための酵素、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ポリヌクレオチド、染色剤または染料および使用時に緩衝効果をもたらす化合物を含んでもよい。そのような試薬は増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]など)において有用である。
【0047】
ターゲット材料は、抗体、抗原、標識、洗浄剤および固相の1つまたは複数を含んでもよい。そのような試薬および成分は、分析を行う際に有用である。
【0048】
ターゲット材料は、陽性内部対照を含んでもよい。陽性内部対照は、典型的には分析が適正に機能した場合に陽性の結果をもたらすものを含む。たとえば、内部陽性対照は、分析が増幅分析(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]分析など)であれば、外因性DNAの形態であってよい。
【0049】
ターゲット材料は、酵素、機能性タンパク質、粒子、RNAおよびナノ粒子(1000nm未満の最大寸法を有する粒子)を含んでよい。
【0050】
キャリア流体は、典型的にはプロセスの間に遭遇する温度において液体のままであり、かつ機能性流体溶媒と混合しない不活性液体ということになる。キャリア流体は、ステップ(iv)において加えられる流体と混合しないものでよい。用いることができると思われるキャリア流体の例示的な例には、種々の粘度のシリコーンオイル、ミネラルオイル、トリグリセリド、およびスクアレンが含まれる。
【0051】
デバイスは、合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管を含むことが好ましい。デバイスには、冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器が設けられていることがさらに好ましい。
【0052】
デバイスは、冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管を含んでもよい。
【0053】
デバイスは、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口を含んでもよい。
【0054】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア流体導管とは互いに合体していてもよい。
【0055】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む本体を含んでもよい。本体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。本体の冷却を用いて、冷却導管を冷却することができる。冷却流体の輸送のために、本体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却流体(典型的には冷えた液体)の通過により、本体が冷却される。冷却流体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却流体は典型的には、たとえば冷却デバイスによって、デバイスの外部から冷却される。
【0056】
冷却器の本体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結液体をも解凍する際に有用であろう。
【0057】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア流体導管および機能性流体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0058】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア流体導管および機能性流体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0059】
第2の伝熱体には、キャリア流体導管に流体を供給するためのキャリア流体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性流体導管に流体を供給するための機能性流体入口を設けてもよい。
【0060】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0061】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0062】
キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0063】
基板は冷却器と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0064】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に流体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の流体入口を設けてもよい。
【0065】
「微小流体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小流体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0066】
種々の導管を通る流体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア流体の流量は、典型的には約2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0067】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな体積の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る粒子の流速は、冷却導管を通る流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0068】
微小流体デバイスは、好ましくは本発明の第1の態様によるデバイスであってよい。
【0069】
合流部の構造は、当業者には既知の多くの異なった構造の1つであってよい。たとえば、EP1358931はY形状の合流部を開示し、WO0164332はT形状の合流部を開示している。
【0070】
ある状況においては、非溶媒はあまり迅速に作用すべきでないことが見出された。非溶媒が強力な非溶媒である場合には、ビーズの粒子形態が悪い方に影響され、および/または多孔性が望ましくないほどに高くなることがある。
【0071】
ある非溶媒は固体セグメント中へのターゲット材料のより良い取り込みをもたらすことが見出された。これを達成するために、非溶媒はターゲット材料の良溶媒でない方がよい。このようにすれば、非溶媒の添加はセグメントからのターゲット材料の顕著な除去を起こさない。たとえば、活性剤として酢酸リュープロライド、ビーズポリマーとしてラクチド/グリコリドポリマー、非溶媒として種々のC3〜C8アルコールを用いて、活性の約60〜95%の保持が達成された。
【0072】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様の方法によって作製された複数のビーズが提供される。
【0073】
本発明の第4の態様によれば、平均最大寸法が約0.01mm〜0.5mm(好ましくは約0.01mm〜0.2mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、生体適合性ポリマーおよび薬学的活性剤(またはその前駆体)を含むビーズが提供される。
【0074】
本発明の第5の態様によれば、平均最大寸法が約0.5mm〜2mm(好ましくは約0.8mm〜1.5mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、分析で用いるための1つまたは複数の成分を含むビーズが提供される。ビーズは25〜37℃において水に容易に溶解することが好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物を含むことがさらに好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物のマトリックスまたは支持構造を含むことがさらに好ましい。ビーズは1つまたは複数の抗体、抗原、1つまたは複数の粒子、標識、洗浄剤および固相を含むことがさらに好ましい。そのようなビーズは分析において用いることができる。
【0075】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第3または第5の態様による複数のビーズを提供するステップを含む、分析を実施する方法が提供される。この方法は、複数のビーズをビーズ中に組み込まれる放出材料に適した液体と緊密に混合させるステップなどの他のステップを含んでもよい。そのような材料は本発明の第1から第5の態様において言及したターゲット材料であってよい。ビーズからの材料の放出は、たとえばビーズを溶解することまたは部分的に溶解することによって起こり得る。あるいは、液体をビーズに膨潤させてもよい。
【0076】
ここで本発明を、以下の図を参照して例示のためのみに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明による微小流体デバイスの実施形態の例の平面図である。
【図2】図1のデバイスにおいて用いられる、下にある冷却体の平面図である。
【図3】図1のデバイスのAAに沿った断面図である。
【図4】図1のデバイスの基板のAAに沿った概略断面図であり、導管の相対的配置をより詳細に示している。
【図5】さらなる冷却体の平面図である。
【図6】本発明の方法における小滴の脱溶媒和の概略図である。
【図7】本発明のデバイスにおける冷却を示すグラフである。
【図8】本発明の1つの実施形態によるデバイスの異なった部分の加熱−冷却特性を示すグラフである。
【図9】本発明による微小流体デバイスの実施形態のさらなる例の平面図である。
【図10】図9のデバイスにおいて用いられる、下にある冷却体の平面図である。
【図11】図9および10のデバイスを用いて固体ビーズ中に組み込んだ際に抗体がその活性を保持していることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
ここで図1〜4を参照して、本発明のデバイスの実施形態の例を説明する。デバイスは一般に参照番号300で示され、冷却体100と緊密に接触するように置かれた基板200を含む。基板はポリテトラフルオロエチレン製であり、キャリア流体の輸送のためのキャリア流体導管201および機能性流体の輸送のための機能性流体導管202がその中に形成されている。キャリア流体導管201の幅は約0.3mm、深さは0.3mmである。機能性流体導管202がキャリア流体導管201に合流する点において、機能性流体導管202は略環状の断面を有しており、その直径は約50〜150μmである。キャリア流体導管201と機能性流体導管202とは合流領域210において合流する(図3および4において最もよく見られる)。使用時には、合流点のすぐ下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴が形成される。冷却導管203が合流領域210から下流に延在している。冷却導管の深さは約0.3mm、幅は0.3mmである。使用時には、キャリア流体中で輸送される機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域210から以下に述べるように冷却器体100によって冷却された冷却導管へと通過し、冷却された(典型的には固体の)小滴を形成する。小滴は、たとえば凍結されていても、ゲルの形態であってもよい。
【0079】
脱溶媒和導管205が冷却導管から下流に、デバイス出口206へと延在しているので、使用時には、キャリア流体および冷却小滴の分割された流れは脱溶媒和導管に通過する。2つの非溶媒導管207、208(それぞれ深さ約0.3mm、幅0.3mm)は脱溶媒和導管と合流しているので、非溶媒を脱溶媒和導管に送達することができる。この非溶媒は溶媒(ポリマー溶質ではなく)を冷却小滴から排出し、したがって固体ビーズを形成させる。脱溶媒和を概略的に図6に示す。この図で、機能性流体の実質的に球状の小滴(a)を輸送するキャリア流体の前進する流れは、冷却導管203の上流部分から、脱溶媒和導管部分205へ、合流する非溶媒導管207、208のそばを通って通過する。導管207、208を通って流入する非溶媒は層流を形成し、その中で、分割された流れが非溶媒の流れによって包囲される。冷却小滴(b)はキャリア流体と非溶媒との間の界面と接触する。小滴の少なくとも1つの成分は非溶媒との親和性を有する(好ましくは非溶媒に溶解する)ので、冷却小滴(c)は非溶媒の流れの中に通過する傾向がある。冷却小滴と非溶媒との間の接触の結果として、脱溶媒和が起こり、ポリマーが沈殿する。本発明の方法においては、脱溶媒和が起こる条件によっていくらか制限された速度で脱溶媒和が起こるので、ポリマーの沈殿は、典型的には、望ましい形態、狭い粒子寸法範囲および望ましい多孔性を有するマトリックスが得られるように起こり得る。比較的均一な形態で、比較的狭い範囲の粒子寸法を有するビーズは、薬物送達に用いた場合には、それほど均一でない形態および粒子寸法を有するビーズと比べて、改善された薬物放出特性を示し得るという利点を提供する。ビーズの寸法および寸法分布は、放出速度、ターゲティングの有効性、ディスパージョン中における懸濁特性、注射可能性などのいくつかの薬物送達特性に影響を及ぼし得る。したがって、本発明によって得ることが可能な粒子の比較的狭い寸法分布は、種々の治療用製品において、それらの特徴の1つまたは複数に有利に影響し得る。本発明のビーズを用いることができる投与形態には、多孔性ビーズ(マイクロスフェアとも称される)中の治療剤の送達が適していると思われる任意のものが含まれる。そのような投与形態は、全身的使用のための薬物のため、または局所的標的送達のためであってよく、特に、これだけに限らないが、注射製剤およびインプラントが含まれる。
【0080】
本発明の方法においては、溶媒は一般的に非溶媒に溶解(および混合)し得る。ポリマー溶質は溶媒に溶解するが、非溶媒には溶解しない。
【0081】
脱溶媒和導管は拡大部または拡幅部209を含む。拡大部の下流における脱溶媒和導管の深さおよび幅は約0.5mmである。
【0082】
キャリア流体は、伝熱体113の中に形成されたキャリア流体入口103を通ってキャリア流体導管に移送される。機能性流体は、伝熱体113の中に形成された機能性流体入口102を通って機能性流体導管に移送される。非溶媒は、冷却器体100の中に形成された2つの非溶媒入口106、107を通って非溶媒導管207、208に移送される。冷却器体100および伝熱体113を通って形成されている入口通路のこの配置により、基板200への流体の単純な導入を容易にする。
【0083】
冷却器体100には、冷却液体がその中を通るための冷却チャネル101が設けられている。本実施例において用いられる冷却液体はシリコーンオイルである。オイルはデバイスの外部から冷却され、冷却チャネル101にポンプで送られる。冷却チャネルを通る冷却液体の通過によって冷却器体が冷却される。さらに、冷却液体によって、冷却液体導管に隣接する冷却器体の領域が特に冷却される。使用時には、冷却器体のこの領域は冷却導管203を設けた基板200の部分に隣接し、したがって冷却導管203の中に存在する機能性流体のいかなる小滴をも凍結させる。
【0084】
絶縁ギャップ109が冷却器体100と伝熱材料の本体113との間に設けられている。ギャップは絶縁材料(空気など)を含む。
【0085】
冷却流体の温度の選択は、機能性流体の十分に冷却された小滴を生成する一方、キャリア流体は液体のままであるように選択すべきである。たとえば、冷却流体の温度の選択は、機能性流体の凍結小滴を生成するように選択されてよい。
【0086】
非溶媒も冷却されてよい(「冷却される」とは、周囲温度未満の温度であることを意味する)。
【0087】
基板200中の導管は、Roland EGX−300彫刻器を用いる小型研削によるか、レーザードリルによって材料を除去することによって製造される。より小さな導管(典型的には直径50〜100ミクロンのもの)は、たとえばレーザードリルを用いて製造することができる開口の形態である。
【0088】
当業者は、本発明のデバイスおよび方法によって生成するビーズの寸法は、キャリアおよび機能性流体の流量ならびにキャリア流体導管および機能性流体導管の寸法によることを理解するであろう。
【0089】
流体と接触する表面のエネルギーは低くあるべきであり、典型的には低エネルギー材料(たとえばポリテトラフルオロエチレン[PTFE、たとえばTeflon(登録商標)])の基板を機械加工するか、高エネルギー基板を機械加工し、低エネルギー材料で被覆すること(たとえば蒸着による)によって形成される。
【0090】
当業者は、代替の冷却器を用いることができることを理解するであろう。たとえばPeltier冷却器を用いることができる。Peltier冷却器は、たとえばUWE Electronic GmbH、Unterhaching、Germanyから広く入手可能である。
【0091】
当業者は、上で用いた合流配置は当業者に既知の異なった合流配置で置き換えることができることを理解するであろう。たとえば、EP1358931はY形状の合流部を開示し、WO0164332はT形状の合流部を開示している。
【0092】
図1〜4のデバイスと同様のデバイスの冷却体100’を図5に示す。冷却器体は図1〜4の冷却器体とあらゆる点で同様に構成されている。しかし図5の冷却器体においては、キャリア流体導管および機能性流体導管の領域における冷却器の温度を測定するための熱電対400ならびに冷却導管の領域における冷却器体の温度を測定するための熱電対500が付加的に設けられている。
【0093】
デバイスの実施形態の例において、ポリマーおよび活性剤は一緒に混合され、1つの導管を経由してデバイスに導入される。たとえば機能性流体導管とキャリア流体導管との間の合流部の上流において機能性流体導管と合流する活性流体導管を設けることによって、異なった導管を経由して活性剤をポリマーに導入することが可能である。小滴内部での混合は、分割された流れによって誘導されるような速度プロファイル混合を用いて実施することができる。
【0094】
本実施例においては、脱溶媒和導管は直線であるように示されている。脱溶媒和導管は、非溶媒効果が長いタイムスケールにわたって起こることを確実にするために、回旋状(たとえばカーブすること、たとえば螺旋によって)であってもよい。
【0095】
ここで、本発明による方法の実施形態のいくつかの例における図1〜3のデバイスの使用について述べる。
【0096】
一般的方法
キャリア流体(シリコーンオイル)を、ポンプを用いてキャリア流体入口103を経由してキャリア流体導管201に導入する。キャリア流体、たとえば100cstのシリコーンオイル(即ち20℃における粘度が100mPa.sのシリコーンオイル)が、キャリア流体導管201、冷却導管203を通り、脱溶媒和導管205を経由して出口206から出て行く。キャリア流体は短時間でデバイスを通って流れることができる。次いで冷却器体100の冷却導管101を通して冷却流体を供給する。次いで非溶媒入口106、107を経由して非溶媒(たとえばペンタノールなどの有機アルコール)を非溶媒導管207、208に導入する。非溶媒は脱溶媒和導管に入り、出口に移動する。
【0097】
冷却器体が所望の温度に達すれば、機能性流体入口102を経由して機能性流体を機能性流体導管202に導入する。機能性流体は、たとえば生体適合性ポリマーおよび薬学的活性材料の溶液を含んでよい。機能性流体およびキャリア流体の流量は、キャリア流体中の機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域210のすぐ下流に形成される程度のものである。典型的には、キャリア流体および機能性流体の流量は、それぞれ1〜4ml/hr(しばしば2.5ml/hr)および10〜200μl/hr(しばしば50μl/hr)である。キャリア流体と機能性流体との両方は、デバイスの中に導入される前に所定の温度(たとえば20℃)に安定化される。
【0098】
機能性流体の小滴は冷却導管203において十分に冷却され、それにより機能性流体中で用いられる溶媒は十分に冷却される(好ましくは固化する[たとえば凍結またはゲルを形成する])。小滴は典型的には冷却導管の最初の20〜30mmの長さの中で十分に冷却される(これは特に小滴がゲルを形成するのではなく、凍結する場合である)。冷却チャネル101を通過する冷却液体は−25℃である。次いでキャリア流体中の冷却小滴の分割された流れを脱溶媒和導管205に移す。非溶媒は溶媒を冷却小滴から排出し、それにより一般に固体状のビーズが形成され、これが出口206を経由してデバイスから出て行く。非溶媒の流量は典型的には1〜4ml/hr(非溶媒導管207、208の各々を通って0.5〜2ml/hr)で、0.8〜1ml/hrがしばしば用いられる流量である。
【0099】
冷却導管101中の冷却流体の温度は可変である。冷却導管の領域中の冷却器体100の温度は、たとえば図5に示すような熱電対500によって監視することができる。冷却体の4つの例示的な冷却曲線を図7に示す。ここではデバイスは冷却流体を用いて周囲温度から−40℃、−25℃、−22.5℃または−20℃に冷却される。冷却体の温度は熱電対500によって測定され、図7のそれぞれの冷却曲線に従って低下する。
【0100】
図8を参照して図示されるように、本発明のデバイスによって冷却導管およびデバイスの上流領域の温度はそれぞれ独立に制御することができる。
【0101】
以下に述べる通り加熱/冷却のパターンの間の熱電対400および500についての例示的な温度測定を図8に示す。
【0102】
冷却器ユニット初期温度 −40℃
マニフォールド初期温度 17.9℃
最終マニフォールド温度 −15.3℃
熱電対400 初期温度=37℃
熱電対400 最終温度=95℃
ゾーンA:冷却曲線−最初に冷却ユニットを起動し、マニフォールドおよび冷却器ユニットの温度を同時に記録した。冷却器ユニットの温度は最初に変動し、17分後に安定化した。マニフォールドの温度は最初の5分間で急激に低下し、次いで−15.3℃の温度まで徐々に低下した。
【0103】
ゾーンB:冷却後、マニフォールドを左側で加熱した。マニフォールドの温度は7分後に上昇し始めた。
【0104】
ゾーンC:冷却−加熱相互作用曲線。マニフォールドの温度は加熱導入後7分(ゾーンB)で上昇し始め、47分後に安定化した。マニフォールド(右側)の温度は、開始から終了まで全体で+3℃上昇した。
【0105】
上のパターンは、デバイスの上流部分の温度を独立に加熱することができ、冷却領域から効果的に断熱されていることを示している。
【0106】
溶質(ポリマー)の非溶媒への溶解性はあまり高くないことが必要であり、そうでなければ非溶媒の添加の際にセグメントが崩壊することがある。
【0107】
既に述べたように、粒子は典型的には実質的に球状の形状をしている。平均直径は任意の適切な方法で確認することができる。たとえば、粒子の平均直径は電子顕微鏡下に多数の粒子を観察し、たとえば15個の粒子の代表的な試料の直径を測定し、それから平均直径を確認することによって確認することができる。
【0108】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例1】
【0109】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位75%とグリコリド単位25%を含み、66,000〜107,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP1941 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0110】
デバイス中の流量は以下の通りであった:
機能性流体流量:0.05mL/hr
キャリア流体流量:3mL/hr
非溶媒流体流量:0.5mL/hr
上に示した非溶媒流量は2つの非溶媒導管の各々に関連しており、したがって両方の非溶媒供給を考慮した合計非溶媒流量は1mL/hrであった。
【0111】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。
【0112】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径および標準偏差値(S.D.)を得た:
バッチ1−115.1μm、S.D.=2.0μm
バッチ2−121.4μm、S.D.=1.8μm
バッチ3−108.9μm、S.D.=1.8μm
【実施例2】
【0113】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位65%とグリコリド単位35%を含み、40,000〜75,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP2066 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0114】
流量は実施例1で用いた通りであった。
【0115】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。同一条件を用いて3バッチを作製した。
【0116】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡および光学顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径を得た:
バッチ1−97.0μm、S.D.=2.4μm
バッチ2−101.8μm、S.D.=2.0μm
バッチ3−99.2μm、S.D.=1.7μm
【実施例3】
【0117】
上述の一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したラクチドとグリコリドのコポリマー(PLGA)を含んでいた。溶液の濃度は10%w/vであった。コポリマーはラクチド単位50%とグリコリド単位50%を含み、40,000〜75,000のMwを有し、Sigma Aldrich社からP2191 ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)として入手可能であった。
【0118】
流量は実施例1で用いた通りであった。
【0119】
キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒はエタノールを含んでいた。
【0120】
デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和によって固体ビーズが形成された。このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は走査電子顕微鏡を用いて測定した。同一の機能性流体を用いて3バッチの固体セグメントを作製した。各々のバッチについて15セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径を得た:
バッチ1−95.6μm、S.D.=1.3μm
バッチ2−97.1μm、S.D.=1.8μm
バッチ3−98.1μm、S.D.=1.7μm
【0121】
実施例1、2および3において、いわゆる「活性」成分は機能性流体中に含まれていなかった。ある種の「活性」成分(酢酸リュープロライドなど)を機能性流体中に組み込むことは、生成するセグメントの寸法に認知し得る影響を及ぼさないことが見出された。
【0122】
実施例1〜3において、本発明の方法によって比較的一定の形態を有し、かつ比較的狭い粒子寸法範囲内にあるポリマービーズを得ることが可能になる。これにより、たとえばビーズ中に含有される治療物質の放出の一貫性および/または予測可能性の見地からの薬物送達における特別の利点を得ることができる。
【実施例4】
【0123】
薬学的活性化合物の取り込みを検討し、種々の非溶媒を用いることの影響を測定した。
【0124】
上述の一般的方法を用いた。酢酸リュープロライドを溶液の1〜5mg/mlの間でDMSO/PLGA混合物に溶解させた。実施例3で用いた50:50ラクチド/グリコリドポリマーP2191を濃度10%w/vでこの実施例に用いた。
【0125】
流量は実施例1で用いた通りであった。デバイスの冷却部に入る際に、機能性流体は凍結小滴を形成した。凍結小滴の脱溶媒和により固体ビーズが形成された。
【0126】
種々の非溶媒を検討し、ビーズ中に保持される活性剤(酢酸リュープロライド)の量に対する非溶媒の影響を測定した。HPLCおよび/またはNMRを用いて、保持された酢酸リュープロライドの量を測定した。
非溶媒 固体ビーズ中に保持された活性剤%
エタノールおよびペンタノール 63
ペンタノール 92
ヘプタノール(バッチ1) 78
オクタノール:エタノール(80:20) 76
オクタノール:エタノール(90:10) 84
ペンタン 94
【0127】
これらのデータから、非溶媒の選択が重要であることが示される。非溶媒はポリマーの良溶媒であるべきではない。さらに、非溶媒は活性成分の良溶媒であるべきではない。
【0128】
ここで図9および10を参照して、本発明のデバイスの実施形態のさらなる例を説明する。デバイスは一般に参照番号600で示され、冷却体700と緊密に接触するように置かれた基板800を含む。基板はポリテトラフルオロエチレン製であり、キャリア流体の輸送のための2つのキャリア流体導管601A、601Bおよび機能性流体の輸送のための機能性流体導管602がその中に形成されている。キャリア流体導管601A、601Bおよび機能性流体導管602はそれぞれ断面が略四角形であり、幅は約1mm、深さは1mmである。キャリア流体導管601A、602Bおよび機能性流体導管602は合流領域610で合流する。使用時には、合流点のすぐ下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴が形成される。冷却導管603が合流領域610から下流に延在している。冷却導管の深さは約1.4mm、幅は1.4mmである。使用時には、キャリア流体中で輸送される機能性流体の小滴の分割された流れが合流領域610から冷却器体700によって冷却された冷却導管へと通過し、固体小滴を形成する。
【0129】
脱溶媒和導管605(幅および深さが1.7mmの略四角形の断面を有する)が冷却導管から下流に、デバイス出口606へと延在しているので、使用時には、キャリア流体および固体小滴の分割された流れは脱溶媒和導管に通過する。2つの非溶媒導管607、608(それぞれ深さ約0.7および幅0.7mm)は脱溶媒和導管と合流しているので、非溶媒を脱溶媒和導管に送達することができる。この非溶媒は溶媒を(ポリマー溶質ではない)を固体小滴から排出し、したがって固体ビーズを形成させる。
【0130】
脱溶媒和は一般的に、図1〜4に関連して上述したように起こる。
【0131】
キャリア流体は、伝熱体713の中に形成されたキャリア流体入口703A、703Bを通ってキャリア流体導管に移送される。機能性流体は、伝熱体713の中に形成された機能性流体入口702を通って機能性流体導管に移送される。非溶媒は、冷却器体700の中に形成された2つの非溶媒入口706、707を通って非溶媒導管607、608に移送される。冷却器体700および伝熱体713を通って形成されている入口通路のこの配置により、基板800への流体の単純な導入を容易にする。
【0132】
冷却器体700には、冷却液体がその中を通るための冷却チャネル701が設けられている。本実施例において用いられる冷却液体はシリコーンオイルである。オイルはデバイスの外部から冷却され、冷却チャネル701にポンプで送られる。冷却チャネルを通る冷却液体の通過によって冷却器体が冷却される。さらに、冷却液体によって、冷却液体導管に隣接する冷却器体の領域が特に冷却される。使用時には、冷却器体のこの領域は冷却導管603を設けた基板800の部分に隣接し、したがって冷却導管603の中に存在する機能性流体のいかなる小滴をも固化させる。
【0133】
絶縁ギャップ709が冷却器体700と伝熱材料の本体713との間に設けられている。ギャップは絶縁材料(空気など)を含む。
【実施例5】
【0134】
図9および10に関連して上述した一般的方法を用いた。機能性流体導管に導入される機能性流体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水の55:45混合物中のポリ(エチレンオキシド)[181994ポリ(エチレンオキシド)、Sigma Aldrich、UK、Mw−200,000]の12%w/v溶液を含んでいた。加熱したシリンジを用いて、機能性流体を機能性流体導管に導入した。
【0135】
キャリア流体は100cstのシリコーンオイルを含んでいた。非溶媒は2−プロパノールを含んでいた。
【0136】
デバイス中の流量は以下の通りであった:
機能性流体流量:1mL/hr
キャリア流体流量:8mL/hr
非溶媒流体流量:8mL/hr
上に示した非溶媒流量は2つの非溶媒導管の各々に関連しており、したがって両方の非溶媒供給を考慮した合計非溶媒流量は16mL/hrであった。
【0137】
上に示したキャリア流体流量は2つのキャリア流体導管の各々に関連しており、したがって両方のキャリア流体供給を考慮した合計キャリア流体流量は16mL/hrであった。
【0138】
デバイスの冷却部に入る際に、ポリ(エチレンオキシド)溶液の小滴は冷却される。DMSO:水溶媒の凍結温度が約−40℃であるとすれば、小滴が凍結することは予想されず、むしろ小滴はゲルを形成するか、または冷却されて非常に粘度の高い液体を形成することが予想される。非溶媒は冷却小滴の脱溶媒和を起こし、したがって固体ビーズを形成させる。冷却小滴が液体であった場合(ゲルとは異なって)であっても、小滴は十分に高い粘度を有していたので、冷却小滴から形成されたビーズは冷却小滴と実質的に同一の形状を有していた。即ち、非溶媒の添加は小滴の変形を起こさなかった。
【0139】
固体ビーズを集め、2−プロパノールに懸濁して、ビーズが実質的に溶媒を含んでいないことを確認した。濾過によってビーズを懸濁液から取り出し、次いで乾燥した。
【0140】
乾燥前にビーズをバルクの非溶媒に懸濁するステップは必要でないと考えられる。本例ではビーズが溶媒を含まないことを確実にするためにこのステップを実施した。
【0141】
このようにして製造されたビーズは球状の形状をしていた。球の寸法は光学顕微鏡を用いて測定した。2バッチの固体ビーズを作製した。各々のバッチについて30セグメントの寸法を測定し、以下に列挙する平均直径および標準偏差値(S.D.)を得た。
バッチ1−903μm、S.D.=12μm
バッチ2−954μm、S.D.=11μm
【0142】
この結果、本発明のデバイスおよび方法は、一般的に単分散の性質を有するビーズを製造するために用いることができることが示される。
【実施例6】
【0143】
実施例5の方法を繰り返したが、機能性流体の中に抗体(フルオレセインイソチオシアネート標識抗ストレプトアビジン[Abcam plc、Cambridge、UK])を組み込んだ。
【0144】
ストレプトアビジン固定化マイクロタイタープレートを用いて固体ビーズを分析し、ビーズ内に保持された抗体がその活性を保持していることが示された。図11にビーズによって生成された蛍光シグナルを、他の種々の標準および対照と比較して示す。「ブランクビーズ」は抗体を含有しないビーズを指す。「50pmol」、「25pmol」、「12.5pmol」および「6.25pmol」と表示された結果は、抗ストレプトアビジンの4つの対照溶液の各々の濃度を指す。「ブランク液体」は抗体を含有しない溶液を指す。
【0145】
ビーズ内に保持された抗体がその活性を保持していることは明らかである。
【0146】
例示的実施例
この実施例はその方法が小滴を作製するために微小流体デバイスを用いないので本発明の範囲内には含まれないが、本実施例は本発明の方法およびデバイスを用いて糖溶質を含む固体小滴を作製する可能性を示している。そのような小滴は分析において特別の用途があると考えられる。というのは、糖は水または水溶液に容易に溶解すると思われるからである。
【0147】
マンニトールおよびデキストランの10%w/v水溶液を調製した。次いでこれらの溶液をエタノールに滴下した。デキストラン溶液からはエタノール中で無定形の粒子が生成した。この無定形粒子は温水に容易に溶解した。マンニトール溶液からは微結晶沈殿が生成し、これは温水に溶解した。
【0148】
マンニトールおよびデキストランの両方を含む溶液は、デキストランが不連続の粒子を形成するのに適しているように思われ、またマンニトールが十分に適切な増量剤であると思われる点で、有用であり得ると考えられる。さらに、マンニトールはビーズの一体性を高めて、より扱いやすくすると考えられる。
【0149】
図1〜4の装置を用いて、ポリオール溶液から固体ビーズを作製することを試みた。溶液から満足すべき様式で液滴が形成されたが、これらの小滴は凍結しなかった。小滴を凍結させるためには装置をさらに冷却する必要があると考えられる。これは、たとえば冷却器の冷却能力を改善することによって達成されるであろう。
【0150】
マンニトールのジメチルスルホキシド(DMSO)中10%w/v溶液を調製した。これは約10℃で凍結することが見出された。したがって、この溶液から作製された小滴は図1〜4の装置を用いれば凍結するであろうということと、溶媒はエタノールなどの非溶媒を用いれば凍結小滴から抽出されるであろうということが予想される。
【0151】
上述のように、糖系の小滴は分析に用いることができることが予想される。この場合には、ビーズは約0.5mm〜2mmの直径または最大寸法を有することが望ましいであろうと考えられる。この場合には、図1〜4の装置がより深く、より幅広い(典型的には2mm×2mm)導管を有するように適応させることが望ましいであろう。さらに、より大きなビーズを作製するために用いられる流量は、典型的には実施例1〜4において上述した流量より大きいであろう。たとえば、機能性流体導管を通る機能性流体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい。キャリア流体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒および溶質を含む機能性流体の層流を機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の層流をキャリア流体導管に沿って供給することによって、キャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体のセグメントを冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴が、液体、凍結、またはゲルの形態であり、好ましくは凍結している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
機能性流体が、固体ビーズ中に取り込まれていることが望ましいターゲット材料を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶質がポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が水混和性有機溶媒を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(iv)において加えられる流体が水または水溶性有機溶媒である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
デバイスが、合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器がデバイスに設けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
デバイスが、冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管を含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
デバイスが、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
冷却器が、伝熱材料を含む本体を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
冷却流体の輸送のための冷却チャネルが本体に設けられている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加熱器が冷却器の本体にさらに設けられている、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2の伝熱体がデバイスに設けられており、該第2の伝熱体がキャリア流体導管および機能性流体導管と関連しており、かつキャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器が該第2の伝熱体に設けられている、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップが設けられている、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
冷却導管と、キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒導管(1つまたは複数)の1つまたは複数とが、基板中に設けられている、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
機能性流体導管を通る機能性流体の流量が、約0.01〜0.2ml/hrである、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
キャリア流体導管を通るキャリア流体の流量が、約1〜4ml/hrである、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
脱溶媒和導管が冷却導管よりも大きな断面を有する、請求項9および請求項9に従属する場合の請求項10から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
機能性流体が薬学的活性剤をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
薬学的活性剤が、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
薬学的活性剤がペプチドである、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ペプチドがゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
治療剤を含有する固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒、マトリックスを形成する溶質および前記治療剤を含む機能性流体の流れを機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の流れをキャリア流体導管に沿って供給することによって、前記合流点またはその下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体の小滴を冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより治療剤を含む固体ビーズを形成するステップと、
(v)固体ビーズを除去するステップと
を含む方法。
【請求項25】
請求項3から23のいずれかに記載の特徴の1つまたは複数をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法によって作製された複数のビーズ。
【請求項27】
平均最大寸法が約0.01mm〜0.5mmであり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満である複数のビーズであって、生体適合性ポリマーおよび薬学的活性剤(またはその前駆体)を含むビーズ。
【請求項28】
キャリア流体の送達のためのキャリア流体導管と、
キャリア流体と混合しない機能性流体の送達のための機能性流体導管であって、合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体の中に機能性流体の小滴の流れが形成される機能性流体導管と、
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管と、
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器と、
冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管と
を含む微小流体デバイスであって、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口が設けられているデバイス。
【請求項29】
ステップ(iv)が微小流体デバイスの導管の中で行われる、請求項1または請求項24に記載の方法。
【請求項30】
溶媒が水を含む、請求項1から4のいずれか一項ならびに請求項1から4のいずれか一項に従属する場合の請求項7から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(iv)において加えられる流体が水溶性有機溶媒である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
機能性流体がポリオールを含む溶質および/または糖部分を含む溶質を含む、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
機能性流体導管を通る機能性流体の流量が約1〜20ml/hrである、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
キャリア流体導管を通るキャリア流体の流量が約5〜30ml/hrである、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
平均最大寸法が約0.5mm〜2mmであり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満である複数のビーズであって、分析で用いるための1つまたは複数の成分を含むビーズ。
【請求項36】
請求項35に記載の複数のビーズであって、25℃において水に容易に溶解し、水溶性糖および/またはポリオール化合物を含むビーズ。
【請求項37】
請求項36に記載の複数のビーズであって、水溶性糖および/またはポリオール化合物のマトリックスまたは支持構造を含むビーズ。
【請求項38】
請求項35から37のいずれか一項に記載の複数のビーズであって、抗体、抗原、標識、1つまたは複数の粒子、洗浄剤および固相の1つまたは複数を含むビーズ。
【請求項39】
請求項35から38のいずれか一項に記載の複数のビーズを提供するステップを含む、分析を実施する方法。
【請求項1】
固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒および溶質を含む機能性流体の層流を機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の層流をキャリア流体導管に沿って供給することによって、キャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体のセグメントを冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴が、液体、凍結、またはゲルの形態であり、好ましくは凍結している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
機能性流体が、固体ビーズ中に取り込まれていることが望ましいターゲット材料を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶質がポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が水混和性有機溶媒を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(iv)において加えられる流体が水または水溶性有機溶媒である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
デバイスが、合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器がデバイスに設けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
デバイスが、冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管を含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
デバイスが、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
冷却器が、伝熱材料を含む本体を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
冷却流体の輸送のための冷却チャネルが本体に設けられている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加熱器が冷却器の本体にさらに設けられている、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2の伝熱体がデバイスに設けられており、該第2の伝熱体がキャリア流体導管および機能性流体導管と関連しており、かつキャリア流体導管および機能性流体導管中の液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器が該第2の伝熱体に設けられている、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップが設けられている、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
冷却導管と、キャリア流体導管、機能性流体導管、脱溶媒和導管および非溶媒導管(1つまたは複数)の1つまたは複数とが、基板中に設けられている、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
機能性流体導管を通る機能性流体の流量が、約0.01〜0.2ml/hrである、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
キャリア流体導管を通るキャリア流体の流量が、約1〜4ml/hrである、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
脱溶媒和導管が冷却導管よりも大きな断面を有する、請求項9および請求項9に従属する場合の請求項10から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
機能性流体が薬学的活性剤をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
薬学的活性剤が、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
薬学的活性剤がペプチドである、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ペプチドがゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
治療剤を含有する固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア流体導管と機能性流体導管とを含む微小流体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒、マトリックスを形成する溶質および前記治療剤を含む機能性流体の流れを機能性流体導管に沿って供給し、かつキャリア流体の流れをキャリア流体導管に沿って供給することによって、前記合流点またはその下流においてキャリア流体の流れの中に機能性流体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小流体デバイスの導管中の機能性流体の小滴を冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)流体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより治療剤を含む固体ビーズを形成するステップと、
(v)固体ビーズを除去するステップと
を含む方法。
【請求項25】
請求項3から23のいずれかに記載の特徴の1つまたは複数をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法によって作製された複数のビーズ。
【請求項27】
平均最大寸法が約0.01mm〜0.5mmであり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満である複数のビーズであって、生体適合性ポリマーおよび薬学的活性剤(またはその前駆体)を含むビーズ。
【請求項28】
キャリア流体の送達のためのキャリア流体導管と、
キャリア流体と混合しない機能性流体の送達のための機能性流体導管であって、合流領域においてキャリア流体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア流体の中に機能性流体の小滴の流れが形成される機能性流体導管と、
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管と、
冷却導管中の流体を冷却するために操作可能な冷却器と、
冷却導管からの流体を受容するために配置された脱溶媒和導管と
を含む微小流体デバイスであって、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口が設けられているデバイス。
【請求項29】
ステップ(iv)が微小流体デバイスの導管の中で行われる、請求項1または請求項24に記載の方法。
【請求項30】
溶媒が水を含む、請求項1から4のいずれか一項ならびに請求項1から4のいずれか一項に従属する場合の請求項7から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(iv)において加えられる流体が水溶性有機溶媒である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
機能性流体がポリオールを含む溶質および/または糖部分を含む溶質を含む、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
機能性流体導管を通る機能性流体の流量が約1〜20ml/hrである、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
キャリア流体導管を通るキャリア流体の流量が約5〜30ml/hrである、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
平均最大寸法が約0.5mm〜2mmであり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満である複数のビーズであって、分析で用いるための1つまたは複数の成分を含むビーズ。
【請求項36】
請求項35に記載の複数のビーズであって、25℃において水に容易に溶解し、水溶性糖および/またはポリオール化合物を含むビーズ。
【請求項37】
請求項36に記載の複数のビーズであって、水溶性糖および/またはポリオール化合物のマトリックスまたは支持構造を含むビーズ。
【請求項38】
請求項35から37のいずれか一項に記載の複数のビーズであって、抗体、抗原、標識、1つまたは複数の粒子、洗浄剤および固相の1つまたは複数を含むビーズ。
【請求項39】
請求項35から38のいずれか一項に記載の複数のビーズを提供するステップを含む、分析を実施する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−524250(P2011−524250A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513050(P2011−513050)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001492
【国際公開番号】WO2010/004253
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(509071552)キュー チップ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001492
【国際公開番号】WO2010/004253
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(509071552)キュー チップ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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