説明

固体推進火薬/液体型のハイブリッド式ガス生成装置

ガス生成装置は、混合チャンバーを有するハウジングと、該ハウジング内に収納された起爆剤とを備えている。液体を収納する容器がハウジング内に設置され、開放端部および閉鎖端部を有する。端部キャップが該開放端部を閉鎖し、着脱可能に連結されたピストン部を有し、さらに、このピストン部が端部キャップから離間すると該液体容器内の液体を加圧できるように容器内で可動である。該ピストン部は起爆剤が点火されると起爆剤から発生する燃焼ガスに晒される位置に設けられており、かつ、この燃焼ガスが所定の圧力を超えると端部キャップから分離可能である。別の一実施形態では、上記液体容器が押し潰し可能なチューブであってもよい。上記液体容器の閉鎖端部は、容器内の液体の圧力が所定の圧力を超えると開放されるように構成された脆弱部を有する。上記起爆剤および液体容器の脆弱部は混合チャンバーと流体を通じて繋がれ、こうすることによって、起爆剤の点火によって発生する燃焼ガスが混合チャンバー内において上記液体と混合して液体を気化させ、無毒で、低温の、微粒子が少ない膨張ガスが生成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景技術〕
〔1.技術分野〕
本発明は、一般にガス生成器に関し、さらに具体的には、液体を、固体推進火薬または起爆剤の高温のガス状の燃焼生成物と混合するガス生成器に関する。
【0002】
〔2.関連技術の説明〕
ガスを生成するさまざまな構成が、例えばエアーバッグなどの安全抑制装置を膨張させるために提案されてきた。ただし、これらの構成はその多数が、高温の燃焼生成物を膨張可能な装置の中に単純に放出するだけであり、フィルタリングを行って粒子状の物質を除去する以外にはほとんど改良されることがなかった。
【0003】
酸化剤(例えば過塩素酸カリウム)と混合された固体推進火薬(例えばアジ化ナトリウム)を燃焼させることによって生成されるガス状生成物改質するために、米国特許第3,785,674号明細書(1974年1月15日、Poofe他)では、ガス生成装置に冷却剤チャンバーを設置し、このチャンバーに液体のハロカーボンを充填し、例えばハロカーボン液体が窒素に富む環境内で微粒子化して、安全抑制装置(エアーバッグ)を膨張させるために使用されるガスの温度を低下させるように構成することが提案されている。ただし、この構成において、ガス状の燃焼生成物は、ハロカーボン液体を収容する、破裂板(burst disc)によって閉じられたチャンバー内に直接放出される。このためには、当然、液体をその沸点まで加熱することが要求される。結果として得られる、ガス状のハロカーボンと高温の燃焼生成物との混合物は反応性が高く、ハロカーボンの一部は分解される。ハロカーボンの分解の結果、分子量がより低いハロゲン化合物(HClおよびHFを含む)が生成されるが、これらのハロゲン化合物は有毒である。この理由によって、ハイブリッド式エアーバッグの膨張装置において、ハロカーボンは使用されない。
【0004】
米国特許第3,862,866号明細書(1975年1月28日、Timmerman他)には、Poofe他の装置とほぼ同様の構成について記載されている。Poofe他との基本的な違いは、水がハロカーボン液体の替わりに使用される点である。ただし、この構成では、気化せずにスラグ状になった液体が装置から噴出する可能性が高く、その結果、エアーバッグの内部全体に雨のように水がしぶきとなって飛び散るだけである。
【0005】
このように、これらの構成は、米国特許第5,449,041号明細書(1995年9月12日、Galbriath)に開示されている特性を有する、固体推進火薬が点火され、これを使って、火炎抑制力を有するある体積の液体を火に対して火を抑制し消火するような様態で押し出す、消火器として適用されることはあるかもしれないが、冷却作用を、使用される液体の場合に可能な限りもっとも効率的に利用することには失敗している。
【0006】
これらの構成では解決できないもう1つの問題は、液体(例えば水)が凝固する可能性が高く、それゆえ、冷却効果が全く得られず、および/または、流出口を塞ぐ、あるいは、非常に望ましくない様態で装置から発射されるミサイルのようになってしまうかする可能性が高い固体材料(氷)の塊を形成することによって、装置の動作を阻害することさえある、低温気候の問題である。
【0007】
上記問題は、ハロカーボン液体の使用は、凝固問題を軽減する可能性がある一方で、さまざまな環境上の懸念から著しく制限されているという点において、さらに深刻なものとなる。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、低温のガスを効率的に高い収率で発生させる、発火燃焼ガスと液体との徹底した混合を達成し、したがって、発生させたガスの効率的な使用を達成する、エアーバッグなどのためのガス生成器を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、冷却液をその凝固点より高い温度で維持し、こうすることによって、ガス生成装置に関連する安全装置が使用される気候に関わりなく、安全装置を適切に作動可能な状態に維持するガス生成器を提供することである。
【0010】
端的に述べれば、上記目的は以下のような構成によって達成される。すなわち、この構成では、比較的少量の起爆剤の燃焼を利用して適切なタイプの液体を収納するチャンバーを加圧し、さらに、この液体を強制的に本チャンバーから混合チャンバーへ押し出す。このとき、液体は、起爆剤の燃焼によって生じるガスの高速流とよく混合されて気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、エアーバッグを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させるために使用される。
【0011】
本発明の一実施形態は、例えば側面衝撃用膨張装置などの任意の適切なエアーバッグ膨張装置に適用されてもよく、該一実施形態では、細長い形状を有する一般に円筒状のハウジングが、一方の端部に、点火装置と、点火装置より内側に設けられたブースター起爆剤と、このブースター起爆剤より内側に設けられた任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬とを備えている。コップ型パーティションが起爆剤の内側よりの部分を囲む。このコップ型パーティションは、その周囲にはハウジングの内周との間に空間を有する複数の第1の孔を有し、内側よりの端部には1つ以上の第2の孔を有している。
【0012】
上記コップ型パーティションより内側には、チャンバー用チューブが設けられている。また、このチャンバー用チューブは、その端部にパーティションに隣接してキャップを備えている。なお、このキャップは、チャンバー用チューブに着脱可能に固定され、チャンバー用チューブ内でスライド可能である。チャンバー用チューブのもう一方の端部は閉じられており、所定の圧力を受けると破損または開放するようになっている薄いまたは脆弱な部分を備えている。チャンバー用チューブには、例えば凝固点抑制剤(例えば塩化カルシウム)の水溶液などの適切な液体が充填されている。上記チャンバー用チューブと、点火されると推進火薬のためのコップ型パーティションの第1の周辺孔から流出する起爆剤から発生する燃焼ガスのためのハウジングとの間に環状のチャンネルを提供するために、チャンバー用チューブの周囲は、ハウジングの内周より内側に空間を有している。
【0013】
上記ハウジングのもう一方の端部は、チャンバー用チューブの閉鎖端部に隣接して設置された内側よりの端部を有する内側ハウジング部材によって規定される混合チャンバーを備えている。なお、上記内側ハウジング部材の内側よりの端部は、チャンバー用チューブの閉鎖端部における脆弱部と一列に並んだアパーチャを有する。第2のパーティションは、ハウジングの内周より内側に空間を有し、チャンバー用チューブとハウジングとの間の環状のガス流動チャンネルに通じる複数の第3の周辺孔を備えている。このハウジングは、第1の周辺孔と推進火薬を囲むコップ型パーティションとに通じる。内側ハウジング部材は、その外側よりの端部において流体マニフォールドに固定または流体マニフォールドと一体的に形成される。なお、この流体マニフォールドは、マニフォールドおよび/またはエアーバッグなどに接続するための複数の同間隔に配置された放射状の排気口を有する。
【0014】
一実施形態の動作において、点火装置を作動させると、ブースター起爆剤および推進火薬が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、上記パーティションの第1の周辺孔からチャンバー用チューブを囲む環状の流動チャンネルを通り、ハウジングの端部において内側ハウジング部材の第3の周辺孔を通って混合チャンバーに流入する。燃焼ガスは、パーティションの内側よりの端部の少なくとも1つの第2の孔を通って軸方向にも流れ、隣接するチャンバーキャップがチャンバー用チューブから離間してその内部で内側へ移動し、チャンバー用チューブ内の液体を加圧するために十分な圧力を、該チャンバーキャップに対して生成する。チャンバー用チューブ内で増加した圧力によって、チャンバー用チューブの閉鎖端部における脆弱部が開放し、加圧された液体が、内側ハウジング部材の隣接する内側よりの端部におけるアパーチャを通って混合チャンバー中に流入することができるようになる。
【0015】
混合チャンバー内では、燃焼ガスおよび加圧された液体がよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールドの放射状の排気口から流出して、エアーバッグなどをほぼ無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0016】
エアーバッグの膨張装置などに係わる本発明の別の一実施形態では、上記ハウジングが円形状のものであっても、短い小型の円筒状のものであってもよい。また、上記点火装置、ブースター起爆剤、および、推進火薬が、チャンバー用チューブに対して、長手方向ではなく、半径方向に空間を有していてもよい。本実施形態の動作は、ここで説明した上記一実施形態の動作とほぼ同じである。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態では、上記チャンバー用チューブは屈曲性を有するチューブである。なお、このチャンバー用チューブは燃焼ガスの圧力によって押し潰しされてその一方の端部における脆弱部を開放し、チャンバー用チューブ内の加圧された液体が混合チャンバー内に流入することができるようにする。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、本発明のガス生成装置の一実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【0019】
図1Bは、図1Aと同様の側方立面図であって、改良されたガス生成装置の構造を示している。
【0020】
図1Cは、図1Aと同様の側方立面図であって、さらに改良されたガス生成装置の構造を示している。
【0021】
図2は、本発明のガス生成装置の別の一実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【0022】
図2Aは、上記ガス生成装置の別の実施形態の、図2と同様の、一部を切り取った側方立面図である。
【0023】
図3Aは、上記ガス生成装置のさらに別の実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【0024】
図3Bは、図3Aに示すガス生成装置の、一部を切り取った平面図である。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
図1Aは、本発明の一実施形態を、エアーバッグなどのための側面衝撃用膨張装置などの膨張装置に用いられる、ガス生成装置10の形態で示している。ガス生成装置10は、任意の適切なタイプの点火装置14を一方の端部に有する、任意の適切な金属などの素材で形成された、細長く、一般に円筒状のハウジング12を備えている。任意の適切なタイプのブースター起爆剤16が点火装置14より内側に設けられ、さらに、任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬18がブースター起爆剤16より内側に設けられている。コップ状のパーティション20が起爆剤または推進火薬18の内側よりの部分を囲み、かつ、直径が小さい末端部22を備えている。なお、この末端部22は、その周囲に複数の第1の孔24を有し、内側よりの端部に少なくとも1つの第2の孔26を有している。
【0026】
ハウジング12内には、パーティション20の末端部22より内側にチャンバー用チューブ28が設けられ、また、環状のガス流動チャンネル30をチャンバー用チューブ28とハウジング12との間に形成するために、ハウジング12の内径より小さな直径を有している。なお、この環状のガス流動チャンネル30は、第1のパーティション20の末端部22の周囲における第1の孔24と通じている。チャンバー用チューブ28は、そこに着脱可能に連結された端部キャップ32を備え、パーティション20の末端部22に隣接して設置されている。チャンバー用チューブ28および端部キャップ32は、任意の適切な素材で形成されればよく、適切な様態で相互に接続されてもよい。一例をあげれば、チャンバー用チューブ28および端部キャップ32は、透湿性が低く、高温および低温に対して耐性を有する、例えばポリプロピレンなどの適切なプラスチックで形成されてもよい。端部キャップ32は、粘着剤を用いて、あるいは他の形態でチャンバー用チューブ28に接続されてもよく、また、所定の圧力を受けることによって端部キャップ32から離間すると、チャンバー用チューブ28内でスライド可能な内部のピストン部34を備えていてもよい。一例をあげれば、ピストン部34は、脆弱なまたは壊れやすい部分36によって端部キャップ32に接続されてもよい。
【0027】
低温に晒されたときには液体が凝固することを防止し、高温に晒されたときには液体が沸騰することを防止するために、チャンバー用チューブ28には、例えば塩化カルシウムと水との混合物などの適切な液体が充填されている。一例をあげれば、この塩化カルシウムは、20重量%〜40重量%との間の濃度になるまで水と混合されてもよく、こうすることによって、凝固に対する保護が−50℃まで提供され、沸騰に対する保護が115℃まで提供されるようになる。当業者にとって既知の他の適切な液体を使用してもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0028】
チャンバー用チューブ28のもう一方の端部は閉鎖されており、また、脆弱部40を有している。なお、この脆弱部40は、チャンバー用チューブ内で所定の液体の圧力を受けると開放されて、チャンバー用チューブ内で圧力下にある液体のための流出開口部を形成するように構成されている。ハウジング12のもう一方の端部からは、内側ハウジング部材42が内側へ延び、チャンバー用チューブ28の脆弱部40に隣接して一列に並べて設けられたアパーチャ46を有する内側よりの末端部44を備えている。内側ハウジング部材42は、チャンバー用チューブ28とハウジング12との間の環状の流動チャンネル30に通じる複数の第3の孔48を、内側ハウジング部材42の周囲に備えている。内側ハウジング部材42は、その内部に、孔48を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ28から末端部44におけるアパーチャ46を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー50を規定する。
【0029】
内側ハウジング部材42はその外側よりの端部において、任意の適切なタイプの流体マニフォールド52に接続されてもよい。なお、この流体マニフォールド52は、推力に無関係に動作できるように複数の開口部54を有していてもよく、さらに、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)に任意の適切な様態で接続されてもよい。
【0030】
チャンバー用チューブ28が環状の流動チャンネル30内の高温の燃焼ガスに直接接触しないようにするために、チャンバー用チューブ28は、任意の適切な素材(例えば金属)で形成された第2のチューブ56によって囲まれていてもよい。第2のチューブ56は、内側ハウジング部材42に任意の適切な様態で固定されてもよく、第2のチューブ56とハウジング12との間に滑らかな環状の流動チャンネル30を規定するように作用する。第2のチューブ56は、所望であれば、環状の流動チャンネル30の幅を変化させるために、ハウジング12の内周面に対して平行または同心とならないように構成されてもよい。第2のチューブ56は図1Bに示すように省略されてもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0031】
図1Aに示すガス生成装置10の動作において、点火装置14を作動させると、ブースター起爆剤16および起爆剤18が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、上記パーティション20の末端部22の周囲の第1の孔24から流出して、チャンバー用チューブ28とハウジング12との間の環状の流動チャンネル30に流入する。高温の燃焼ガスは、パーティション20の末端部22における少なくとも1つの孔26からも流出し、チャンバー用チューブ28の端部キャップ32のピストン部34に接触する。ピストン部34にかかる燃焼ガスの圧力は、脆弱部36を壊すことによってピストン部34を端部キャップ32から離間させるように作用し、ピストン部34がチャンバー用チューブの内側へスライドして、チャンバー用チューブ内の液体を加圧する。こうして高められた液体の圧力によってチャンバー用チューブ28の端部における脆弱部40は破損し、加圧された液体が、チャンバー用チューブ28から内側ハウジング部材42の隣接する端部44におけるアパーチャ46を通って内側ハウジング部材42の混合チャンバー50に流入できるようになる。環状の流動チャンネル30を通って流れる高温の燃焼ガスも、内側ハウジング部材42の周囲における孔48を通って混合チャンバー50に流入し、混合チャンバー50に流入する液体と混合する。
【0032】
混合チャンバー50内では、上記高温の燃焼ガスおよび液体がよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールド52の流出孔54を通って流れ、エアーバッグ(図示せず)などを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0033】
図1Cは、図1Aに示すガス生成装置10と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置210の別の一実施形態を示している。ガス生成装置10と同様に、図1Cに示すガス生成装置210は、一般に、ハウジング212と、点火装置214と、ブースター起爆剤216と、起爆剤218と、起爆剤の内側よりの部分を囲むコップ状のパーティション220と、パーティション220より内側に設けられ、端部キャップ232を有するたチャンバー用チューブ228と、ピストン部234とを備えている。チャンバー用チューブ228のもう一方の端部には、脆弱部240および内側ハウジング部材242が設けられ、チャンバー用チューブ228の脆弱部240に隣接して一列に並べて設けられたアパーチャ246を有する内側よりの末端部244を備えている。なお、この内側ハウジング部材242は、ハウジング212のもう一方の端部から内側へ延びている。内側ハウジング部材242は、チャンバー用チューブ228とハウジング212との間の環状の流動チャンネル230に通じる複数の第3の孔248を、内側ハウジング部材242の周囲に備えている。内側ハウジング部材242は、その内部に、孔248を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ228からアパーチャ246および末端部244を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー250を規定する。
【0034】
図1Cに示すガス生成装置210の実施形態は、コップ状のパーティション220がその周囲に第1の孔を有しておらず、コップ状のパーティション220の内側よりの端部に、チャンバー用チューブ228の端部キャップ232との間に空間を有する少なくとも1つの第2の孔226が設けられている点において、図1Aに示すガス生成装置と異なる。したがって、パーティション220の内側よりの端部における第2の孔226を通って流れる燃焼ガスは、チャンバー用チューブ228のピストン部234と、混合チャンバー250を規定する内側ハウジング部材242に通じる環状の流動チャンネル230とを同時に加圧する。
【0035】
図2は、図1Aに示すガス生成装置10と同様に動作し、例えば前面膨張装置などのエアーバッグの膨張装置として使用する、小型の円形または短い円筒状のハウジング112で形成されたガス生成装置110の別の実施形態を示している。
【0036】
ガス生成装置110において、点火装置114、ブースター起爆剤116、および、起爆剤118は、チャンバー用チューブ128の隣に横に並べて配置されている。チャンバー用チューブ128は、その内部に設置された端部キャップ132および可動ピストン部134を有する。チャンバー用チューブ128の内側または上側の閉鎖端部は、脆弱部140がパーティション147の流出孔146と一列に並ぶように形成されている。流出孔146は、ハウジング112内の起爆剤118に晒される複数の孔148を周囲に有する、内側ハウジング部材142の上部にある混合チャンバー150内部へ向かって開いている。混合チャンバー150は、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)と通じるように、放射状の開口部154を内部に有する上側または外側の流体マニフォールド部152と通じている。
【0037】
ガス生成装置110の動作は、図1Aに示したガス生成装置10の動作と同じである。推進火薬118に点火すると燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスが内側ハウジング部材142における孔148を通って混合チャンバー150に流入する。燃焼ガスは、さらに、ピストン部134をチャンバー用チューブ128の端部キャップ132から離間させ、その結果、ピストン部134はチャンバー用チューブ128の内側へ移動して、チャンバー用チューブ128内の液体を加圧し、チャンバー用チューブ128の閉鎖端部における脆弱部140を開放する。こうすることによって、液体は流出開口部146を通って混合チャンバー150へ流入するようになる。この液体は、混合チャンバー150内で、内側ハウジング部材142における孔148を通って混合チャンバー150に流入する高温の燃焼ガスと混合する。そして、混合済みの燃焼ガスおよび気化液体は、混合チャンバー150の開口部151を通って流体マニフォールド部152に流入し、流体マニフォールド部152における開口部154から流出して、エアーバッグ(図示せず)などを膨張させる。
【0038】
図2Aは、図2に示すガス生成装置110と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置310の別の一実施形態を示している。ガス生成装置310において、点火装置314は、ハウジング312の下部の中央部に配置されており、パーティション349における孔348を介して、混合チャンバー350と流体を通じて繋がれている起爆剤318によって囲まれている。
【0039】
パーティション349の内部には、点火装置314の上方にチャンバー用チューブ328が設けられており、端部キャップ332およびそこに着脱可能に連結された可動ピストン部334を備えている。チャンバー用チューブ328の上側の閉鎖端部は、脆弱部340が、混合チャンバー350内部へ向かって開いている、パーティション349における流出アパーチャ346と一列に並ぶように形成されている。ピストン部334は、起爆剤318と流体を通じて繋がれている。
【0040】
混合チャンバー350は、流体マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)と流体を通じて繋がれている。
【0041】
ガス生成装置310の動作は、図2に示すガス生成装置110の動作と一般に同じである。推進火薬318に点火すると燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスがパーティション349における孔348を通って混合チャンバー350に流入する。燃焼ガスは、さらに、ピストン部334をチャンバー用チューブ328の端部キャップ332から離間させ、その結果、ピストン部はチャンバー用チューブ328の内側へ移動して、チャンバー用チューブ328内の液体を加圧し、チャンバー用チューブ328の閉鎖端部における脆弱部340を開放する。こうすることによって、液体は流出開口部346を通って混合チャンバー350へ流入するようになる。この液体は、混合チャンバー350内で、パーティション349における孔348を通って混合チャンバー350に流入する高温の燃焼ガスと混合する。そして、混合済みの燃焼ガスおよび気化液体は、流体マニフォールド(図示せず)などに流入し、エアーバッグ(図示せず)などを膨張させる。
【0042】
図3Aおよび図3Bは、図1A、図1B、および、図1Cに示すガス生成装置10および210と同様の構造を有し、同様に動作するガス生成装置410のさらに別の実施形態を示している。ガス生成装置410は、任意の適切なタイプの点火装置414を一方の端部に有する、任意の適切な金属などの素材で形成された、細長く、一般に円筒状のハウジング412を備えている。任意の適切なタイプのブースター起爆剤416が点火装置414より内側に設けられ、さらに、任意の適切なタイプの起爆剤または固体推進火薬418がブースター起爆剤416より内側に設けられている。コップ状のパーティション420がブースター起爆剤416および起爆剤または推進火薬418を囲んでいる。また、このコップ状のパーティション420は、その周囲に複数の第1の孔424を有し、その内側よりの末端部422に複数の第2の孔426を有している。
【0043】
ハウジング412内には、パーティション420の末端部422より内側にチャンバー用チューブ428が設けられ、また、環状のガス流動チャンネル430をチャンバー用チューブ428とハウジング412との間に形成するために、ハウジング412の内径より小さな直径を有している。なお、この環状のガス流動チャンネル430は、パーティション420における第1の孔424および第2の孔426と通じている。チャンバー用チューブ428は、平坦な封止された外側よりの端部432および内側よりの端部433を有する、屈曲性を有するチューブである。なお、この内側よりの端部433は、チャンバー用チューブ内で所定の液体の圧力を受けると開放されて、チャンバー用チューブ内で圧力下にある液体のための流出開口部を形成するように構成された脆弱部440を有している。チャンバー用チューブ428は、任意の適切な素材で形成されればよく、例えばポリエチレンなどの適切なプラスチックで形成されてもよい。低温に晒されたときには液体が凝固することを防止し、高温に晒されたときには液体が沸騰することを防止するために、チャンバー用チューブ428には、例えば塩化カルシウムと水との混合物などの適切な液体が充填されている。この塩化カルシウムの濃度は、図1Aおよび図1Bに示すチャンバー用チューブ28についてここで説明した濃度と同じであってもよい。
【0044】
ハウジング412のもう一方の端部からは、内側ハウジング部材442が内側へ延び、チャンバー用チューブ428の脆弱部440に隣接して一列に並べて設けられたアパーチャ446を有する内側よりの末端部444を備えている。内側ハウジング部材442は、その周囲に、チャンバー用チューブ428とハウジング412との間の環状の流動チャンネル430と通じる複数の第3の孔448を備えている。内側ハウジング部材442は、その内部に、孔448を通って内側へ流れる燃焼ガスのための、および、チャンバー用チューブ428から内側ハウジング部材442の末端部444におけるアパーチャ446を通って内側へ流れる加圧された液体のための混合チャンバー450を規定する。内側ハウジング部材442はその外側よりの端部において、任意の適切なタイプの流体マニフォールド452に接続されてもよい。なお、この流体マニフォールド452は、推力に無関係に動作できるように複数の開口部454を有していてもよく、さらに、マニフォールド(図示せず)および/またはエアーバッグ(図示せず)に任意の適切な様態で接続されてもよい。
【0045】
チャンバー用チューブ428が環状の流動チャンネル430内の高温の燃焼ガスに直接接触しないようにするために、チャンバー用チューブ428は、任意の適切な素材(例えば金属)で形成された第2のチューブ456によって囲まれていてもよい。第2のチューブ456は、内側ハウジング部材442に任意の適切な様態で固定されてもよく、第2のチューブ456とハウジング412との間に滑らかな環状の流動チャンネル430を規定するように作用する。第2のチューブ456は、所望であれば、環状の流動チャンネル430の幅を変化させるために、ハウジング412の内周面に対して平行または同心とならないように構成されてもよい。第2のチューブ456は図1Bに示すように省略されてもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0046】
図3Aおよび図3Bに示すガス生成装置410の動作において、点火装置414を作動させると、ブースター起爆剤416および起爆剤418が点火されて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、パーティション420における第1の孔424および第2の孔426から流出して、チャンバー用チューブ428の隣接する平坦な端部に接触し、また、チャンバー用チューブ428とハウジング412との間の環状の流動チャンネル430に流入する。屈曲性を有するチャンバー用チューブ428にかかる燃焼ガスの圧力によって、チャンバー用チューブ428は押し潰されてその内部の液体を加圧する。こうして高められた液体の圧力によってチャンバー用チューブ428の内側よりの端部における脆弱部440は破損し、加圧された液体が、チャンバー用チューブ428から内側ハウジング部材442の隣接する端部444におけるアパーチャ446を通って内側ハウジング部材442の混合チャンバー450に流入できるようになる。環状の流動チャンネル430を通って流れる高温の燃焼ガスは、内側ハウジング部材442の周囲における孔448を通って混合チャンバー450に流入し、混合チャンバー450に流入する液体と混合する。
【0047】
混合チャンバー450内では、上記高温の燃焼ガスおよび液体はよく混合されて、液体が気化する。燃焼生成物の顕熱は液体によって吸収され、これによって液体は大きな体積の蒸気に変わる。そして、気化した液体と燃焼ガスとの混合物は、上記流体マニフォールド452の流出孔454を通って流れ、エアーバッグ(図示せず)などを無毒で、低温の、微粒子が少ない大気で膨張させる。
【0048】
上記ガス生成装置の10、110、210、310、および410の部品は任意の適切な素材で形成されてもよく、また、上記起爆剤は任意の適切なタイプの起爆剤または推進火薬であってもよく、さらに、上記チャンバー用チューブ内の液体は任意の適切なタイプの液体であってもよく、これは本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0049】
本発明について、現在もっとも実用的かつ好適な実施形態と考えられる事項との関連において記載してきたが、本発明が開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の請求項の精神と技術的範囲から逸脱しない各種の改良および等価の構成を包含するものであることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】本発明のガス生成装置の一実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【図1B】図1Aと同様の側方立面図であって、改良されたガス生成装置の構造を示している。
【図1C】図1Aと同様の側方立面図であって、さらに改良されたガス生成装置の構造を示している。
【図2】本発明のガス生成装置の別の一実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【図2A】上記ガス生成装置の別の実施形態の、図2と同様の、一部を切り取った側方立面図である。
【図3A】上記ガス生成装置のさらに別の実施形態の、一部を切り取った側方立面図である。
【図3B】図3Aに示すガス生成装置の、一部を切り取った平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合チャンバーを有するハウジングと、
該ハウジング内に収納された起爆剤と、
該ハウジング内に設けられ、開放端部および閉鎖端部を有する、液体を収納する容器であって、端部キャップが該開放端部を閉鎖し、着脱可能に連結されたピストン部を有し、さらに、このピストン部が端部キャップから離間すると該液体容器内の液体を加圧できるように容器内で可動であって、該ピストン部は起爆剤が点火されると起爆剤から発生する燃焼ガスに晒される位置に設けられており、かつ、この燃焼ガスが所定の圧力を超えると端部キャップから分離可能である、容器とを備えた、ガス生成装置であって、
該液体容器の閉鎖端部が、容器内の液体の圧力が所定の圧力を超えると開放されるように構成された脆弱部を有し、
該起爆剤および液体容器の脆弱部が混合チャンバーと流体を通じて繋がれ、
起爆剤が点火されると起爆剤から発生する燃焼ガスが混合チャンバーに流入し、かつ、ピストン部に接触し、燃焼ガスが所定の圧力を超えると、ピストン部が端部キャップから離間して液体容器内で内側へ移動して液体容器内の液体が加圧されて脆弱部が開放され、また、液体の圧力が所定の圧力を超えると、液体が液体容器から混合チャンバー内へ流入することができるようになり、
上記液体および燃焼ガスが混合されて液体を気化させ、また、燃焼ガスを冷却する、ガス生成装置。
【請求項2】
上記混合チャンバーが、ハウジング内に設置された内側ハウジング部材によって規定される、請求項1に記載のガス生成装置。
【請求項3】
上記内側ハウジング部材が、混合チャンバー内への燃焼ガスおよび液体の流れを制御する孔を有する、請求項2に記載のガス生成装置。
【請求項4】
上記内側ハウジング部材に流体マニフォールドが接続され、
上記流体マニフォールドが、その内部に、混合チャンバーからの混合済みの燃焼ガスおよび気化液体を膨張させるデバイスへ導くための流出開口部を有している、請求項3に記載のガス生成装置。
【請求項5】
上記ハウジングが細長い形状を有し、
上記液体容器がハウジング内において起爆剤と内側ハウジング部材との間の位置に設けられ、
上記内側ハウジング部材が、液体容器の閉鎖端部に隣接して脆弱部と一列に並べて設けられた孔を有する、請求項3に記載のガス生成装置。
【請求項6】
上記端部キャップおよびそのピストン部が起爆剤に隣接して設置される、請求項5に記載のガス生成装置。
【請求項7】
上記起爆剤がパーティションに収納され、このパーティションが起爆剤を上記端部キャップから離間させており、
上記第1のパーティションがサイズの小さな末端部を有し、該パーティションの周囲における複数の第1の孔が上記ハウジングの隣接する内面との間に空間を有しており、
上記第1のパーティションが、上記端部キャップに隣接する孔を上記末端部にさらに有する、請求項6に記載のガス生成装置。
【請求項8】
上記液体容器が細長い形状を有しており、ハウジングより狭い幅を有し、パーティションにおける上記第1の孔から、混合チャンバー内部へ向かって開いている内側ハウジング部材内の上記孔まで延びる環状の流動チャンネルを液体容器とハウジングとの間に規定する、請求項7に記載のガス生成装置。
【請求項9】
チューブが上記液体容器を囲み、上記パーティションから内側ハウジング部材まで延び、
上記環状の流動チャンネルを液体容器とハウジングとの間に規定するために、該チューブが上記ハウジングの隣接する内面より内側に空間を有している、請求項8に記載のガス生成装置。
【請求項10】
上記液体容器、端部キャップ、および、ピストン部がプラスチックで形成され、
上記チューブが金属で形成されている、請求項9に記載のガス生成装置。
【請求項11】
上記起爆剤に点火するための点火装およびブースター起爆剤を上記ハウジング内にさらに備えている、請求項1に記載のガス生成装置。
【請求項12】
上記ハウジングが一般に円形の細長くはない形状を有し、
上記起爆剤が内側ハウジング部材および液体容器に隣接して、かつ、この内側ハウジング部材および液体容器と流体を通じて繋がれて設置され、
上記液体容器が内側ハウジング部材内に設置されている、請求項3に記載のガス生成装置。
【請求項13】
上記内側ハウジング部材が、その周囲に、混合チャンバー内への燃焼ガスの流れを制御する複数の孔を有する、請求項12に記載のガス生成装置。
【請求項14】
上記内側ハウジング部材が、液体容器の脆弱部に隣接する、混合チャンバー内への液体の流れを制御するための孔を有する、請求項13に記載のガス生成装置。
【請求項15】
上記内側ハウジング部材の孔が、液体容器を混合チャンバーから離間する、内側ハウジング部材のパーティション内に設置されている、請求項14に記載のガス生成装置。
【請求項16】
上記液体容器、端部キャップ、および、ピストン部がプラスチックで形成されている、請求項1に記載のガス生成装置。
【請求項17】
上記プラスチックがポリプロピレンである、請求項16に記載のガス生成装置。
【請求項18】
上記液体が水と塩化カルシウムとの混合物である、請求項1に記載のガス生成装置。
【請求項19】
上記塩化カルシウムが水に対して約20重量%〜40重量%である、請求項18に記載のガス生成装置。
【請求項20】
混合チャンバーを有するハウジングと、
該ハウジング内に収納された起爆剤と、
該ハウジング内に設けられ、外側よりの閉鎖端部および内側よりの端部を有し、液体を収納する、屈曲性を有する容器であって、該外側よりの閉鎖端部が起爆剤に隣接し、該内側よりの端部が、容器内の液体の圧力が所定の圧力を超えると開放されるように構成された脆弱部を有する、容器とを備えた、ガス生成装置であって、
該起爆剤および液体容器の脆弱部が混合チャンバーと流体を通じて繋がれ、
起爆剤が点火されると起爆剤から発生する燃焼ガスが混合チャンバーに流入し、かつ、屈曲性を有する液体容器に接触し、液体容器が押し潰され、液体容器内の液体が加圧されて脆弱部が開放され、また、液体の圧力が所定の圧力を超えると、液体が液体容器から混合チャンバー内へ流入することができるようになり、
上記液体および燃焼ガスが混合されて液体を気化させ、また、燃焼ガスを冷却する、ガス生成装置。
【請求項21】
上記混合チャンバーが、ハウジング内に屈曲性を有する液体容器の内側よりの端部に隣接して設置された内側ハウジング部材によって規定され、
上記内側ハウジングが、液体容器の脆弱部に隣接して一列に並べて設けられたアパーチャを有する、請求項20に記載のガス生成装置。
【請求項22】
上記液体容器が、起爆剤に隣接する、平坦な封止された外側よりの端部を有する、請求項20に記載のガス生成装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate


【公表番号】特表2012−520763(P2012−520763A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500810(P2012−500810)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/024856
【国際公開番号】WO2010/107551
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(504161766)エイアールシー オートモーティブ,インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】