説明

固体撮像素子の製造方法

【課題】高温にすることなく、第1の基板を第2の基板に取り付けることが可能な固体撮像素子の製造方法を提供する。
【解決手段】CMOSイメージセンサ1の製造方法は、シリコン基板101に電極106を形成する工程と、支持基板201に電極206を形成する工程と、電極106にはんだ107を塗布する工程と、電極206にはんだ207を塗布する工程と、はんだ107および207が溶融して再凝固することにより、はんだ301を形成する工程と、シリコン基板101と支持基板201との間に接着剤302を充填して固化させる工程と、CMP法によりシリコン基板101の一部を除去する工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面受光型の固体撮像素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトダイオード(光電変換部)が形成されたシリコン基板(第1の基板)と、シリコン基板の表面上に形成された配線部とを備えた固体撮像素子が知られている。配線部は、複数の配線層と、層間絶縁膜とを有する。そして、この固体撮像素子では、光がシリコン基板の表面側から配線部を介してフォトダイオードに入射されるので、フォトダイオードに入射する光量が減少したり、配線層のレイアウトが制限されるといった種々の不都合があった。
【0003】
そこで、従来では、いわゆる裏面受光型の固体撮像素子が提案されている(たとえば、特許文献1および2参照)。上記特許文献1および2に開示された固体撮像素子は、フォトダイオードが形成されたシリコン基板と、シリコン基板の表面上に形成された配線部と、配線部を介してシリコン基板が設けられた支持基板(第2の基板)とを備えている。すなわち、裏面受光型の固体撮像素子では、支持基板上に配線部が設けられるとともに、配線部上にシリコン基板が設けられており、光がシリコン基板の裏面側から配線部を介することなく直接フォトダイオードに入射される。したがって、裏面受光型の固体撮像素子では、上記のような不都合を解消することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−31785号公報
【特許文献2】特開2007−324631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、裏面受光型の固体撮像素子の製造方法としては、たとえば、シリコン基板の表面上に配線部が形成された後、シリコン基板が配線部を介して支持基板に張り合わされる。そこで、本発明の課題とするところは、高温にすることなく、第1の基板(シリコン基板)を第2の基板(支持基板)に取り付けることが可能な固体撮像素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、第1の基板の表面に複数の光電変換部を含む撮像部を形成する工程と、第1の基板の表面上に撮像部の配線部を形成する工程と、第2の基板に撮像部からの信号を処理する信号処理回路を形成する工程と、第2の基板の表面上に信号処理回路の配線部を形成する工程と、第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程と、を備えた固体撮像素子の製造方法において、第1の基板の配線部に第1の電極を形成する工程と、第2の基板の配線部に第2の電極を形成する工程と、をさらに備え、第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程は、第1の電極と第2の電極とをはんだ付けする工程と、第1の基板と第2の基板との間に接着剤を充填する工程と、接着剤を固化させる工程と、第1の基板の裏面を化学機械研磨することにより、第1の基板の一部を除去する工程と、を含む。
【0007】
このように構成することによって、第1の電極と第2の電極とをはんだ付けすることにより、高温にすることなく、第1の基板を第2の基板に取り付けることができる。
【0008】
上記固体撮像素子の製造方法において、好ましくは、第1の電極と第2の電極とをはんだ付けする工程は、第1の電極に第1のはんだを塗布する工程と、第2の電極に第2のはんだを塗布する工程と、第1のはんだおよび第2のはんだを溶融した後、再凝固させることにより、第1の電極と第2の電極とを接続する第3のはんだを形成する工程と、を含む。
【0009】
上記固体撮像素子の製造方法において、好ましくは、第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程は、第1の基板の一部を除去した後、接着剤を除去する工程と、第1の基板と第2の基板との間に樹脂を充填する工程と、をさらに含む。
【0010】
上記接着剤を除去する工程を含む固体撮像素子の製造方法において、第1の基板と第2の基板との間に接着剤を充填する工程は、第1の基板と第2の基板との間にポリマーを充填する工程を含み、接着剤を固化させる工程は、ポリマーを冷却して凝固させる工程を含み、接着剤を除去する工程は、凝固したポリマーを常温に戻すことにより融解する工程を含んでいてもよい。
【0011】
上記接着剤を除去する工程を含む固体撮像素子の製造方法において、第1の基板と第2の基板との間に接着剤を充填する工程は、第1の基板と第2の基板との間にワックスを充填する工程を含み、接着剤を固化させる工程は、ワックスを一時的に加熱して硬化させる工程を含み、接着剤を除去する工程は、硬化したワックスを有機溶剤を用いて除去する工程を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高温にすることなく、第1の基板を第2の基板に取り付けることが可能な固体撮像素子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、固体撮像素子の一例であるCMOSイメージセンサに本発明を適用した場合について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるCMOSイメージセンサの構成を示したブロック図である。図2は、図1のCMOSイメージセンサの概略を示した断面図である。まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるCMOSイメージセンサ1の構成について説明する。
【0015】
本実施形態によるCMOSイメージセンサ1は、図1に示すように、撮像部10と、行選択回路20と、サンプルホールド回路30と、列選択回路40と、出力回路50と、制御回路60とを備えている。なお、出力回路50および制御回路60は、本発明の「信号処理回路」の一例である。
【0016】
撮像部10には、複数の画素10aがマトリクス状(行列状)に設けられている。各画素10aは、フォトダイオード11と、リセットトランジスタ12と、増幅トランジスタ13と、選択トランジスタ14とを含んでいる。なお、フォトダイオード11は、本発明の「光電変換部」の一例である。フォトダイオード11は、入射する光量に応じて信号電荷(電子)を生成するとともに、生成された信号電荷を蓄積する機能を有する。リセットトランジスタ12、増幅トランジスタ13、選択トランジスタ14は、それぞれ、Nチャネル型の電界効果トランジスタからなる。
【0017】
リセットトランジスタ12は、フォトダイオード11の信号電荷を初期化するために設けられている。具体的には、リセットトランジスタ12では、ゲートがリセット信号を供給するリセット線10bに接続され、ソースがフォトダイオード11に接続され、ドレインが電源電圧Vddを供給するVdd線10cに接続されている。このため、リセット線10bからリセット信号が供給されることにより、リセットトランジスタ12がオンすることによって、フォトダイオード11の電圧がリセットされ、信号電荷が初期化される。
【0018】
増幅トランジスタ13は、フォトダイオード11に蓄積された信号電荷を増幅するために設けられている。具体的には、増幅トランジスタ13では、ゲートがフォトダイオード11に接続され、ソースが選択トランジスタ14のドレインに接続され、ドレインがVdd線10cに接続されている。このため、増幅トランジスタ13は、フォトダイオード11に蓄積された信号電荷の量に応じてオン状態が変化する。
【0019】
選択トランジスタ14は、増幅トランジスタ13により増幅された信号を出力するために設けられている。具体的には、選択トランジスタ14では、ゲートが行毎に設けられた行選択線10dに接続され、ソースが列毎に設けられた信号線10eに接続されている。このため、行選択線10dから選択信号が供給されることにより、選択トランジスタ14がオンすることによって、信号線10eに増幅された信号が出力される。
【0020】
行選択回路20には、行選択線10dが接続されており、行選択線10dに選択信号を順次出力するように構成されている。サンプルホールド回路30は、各信号線10eに接続されており、行選択回路20により選択された画素10aから出力される信号を一時的に保持する機能を有する。列選択回路40は、マルチプレクサなどを含み、サンプルホールド回路30に保持された信号を出力回路50に順次出力するように構成されている。出力回路50は、A/D変換部などを含む。制御回路60は、タイミングジェネレータなどを含み、行選択回路20および列選択回路40の動作を制御する機能を有する。
【0021】
CMOSイメージセンサ1は、図2に示すように、銀ペースト(図示省略)などにより、半導体パッケージ400のキャビティ401に取り付けられている。そして、CMOSイメージセンサ1は、ワイヤ402を介して半導体パッケージ400と電気的に接続されている。
【0022】
また、CMOSイメージセンサ1の断面構造としては、シリコン基板101が支持基板201上に設けられている。なお、シリコン基板101は、本発明の「第1の基板」の一例であり、支持基板201は、本発明の「第2の基板」の一例である。CMOSイメージセンサ1は、シリコン基板101の表面(図2では下側の面)が支持基板201の表面(上側の面)と向かい合うように配置されており、いわゆる裏面受光型のCMOSイメージセンサである。
【0023】
シリコン基板101は、P型であり、約2μmの厚みを有する。シリコン基板101の表面には、フォトダイオード11と、支持基板201と電気的に接続するためのN型の不純物領域101aとが形成されている。フォトダイオード11は、シリコン基板101の表面から約0.5μmの深さを有する。また、図2では省略するが、シリコン基板101の表面には、図1に示したリセットトランジスタ12、増幅トランジスタ13、選択トランジスタ14、行選択回路20、サンプルホールド回路30、および列選択回路40が形成されている。
【0024】
シリコン基板101の表面上には、複数の配線層102aと層間絶縁膜102bとを有する配線部102が形成されている。この配線部102は、シリコン基板101の表面に形成された撮像部10、行選択回路20、サンプルホールド回路30、および列選択回路40の配線部である。配線部102の表面上には、約1μmの厚みを有するポリマー103が形成されている。配線部102およびポリマー103の不純物領域101aと対応する領域には、約1μmの幅を有するコンタクトホール104が形成されている。
【0025】
コンタクトホール104の内表面には、約0.1μmの厚みを有するクロム層からなるバリアメタル105が形成されている。コンタクトホール104の内部には、バリアメタル105を介して銅からなる電極106が充填されている。なお、電極106は、本発明の「第1の電極」の一例である。
【0026】
一方、支持基板201の表面には、シリコン基板101と電気的に接続するためのN型の不純物領域201aと、半導体パッケージ400と電気的に接続するためのN型の不純物領域201bとが形成されている。また、図2では省略するが、支持基板201の表面には、図1に示した出力回路50および制御回路60が形成されている。支持基板201は、幅がシリコン基板101の幅よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
支持基板201の表面上には、複数の配線層202aと、層間絶縁膜202bと、不純物領域201bと電気的に接続される電極202cとを有する配線部202が形成されている。この配線部202は、支持基板201の表面に形成された出力回路50および制御回路60の配線部である。電極202cは、上方にシリコン基板101が存在しない領域に配置されている。また、電極202cには、ワイヤ402が電気的に接続されている。
【0028】
配線部202の表面上には、約1μmの厚みを有するポリマー203が形成されている。配線部202およびポリマー203の不純物領域201aと対応する領域には、約1μmの幅を有するコンタクトホール204が形成されている。
【0029】
コンタクトホール204の内表面には、約0.1μmの厚みを有するクロム層からなるバリアメタル205が形成されている。コンタクトホール204の内部には、バリアメタル205を介して銅からなる電極206が充填されている。なお、電極206は、本発明の「第2の電極」の一例である。
【0030】
そして、支持基板201の表面上には、はんだ301を介してシリコン基板101が接続されている。具体的には、シリコン基板101に形成された電極106と、支持基板201に形成された電極206とがはんだ301により接続されている。なお、はんだ301は、本発明の「第3のはんだ」の一例である。また、支持基板201とシリコン基板101との間には、機械的強度を大きくするための樹脂303が充填されている。
【0031】
図3〜図15は、図2のCMOSイメージセンサの製造方法を説明するための断面図である。なお、図3〜図15は、概略を示した断面図であり、説明の便宜上、図2とは異なる断面を示している。次に、図1〜図15を参照して、本発明の一実施形態によるCMOSイメージセンサ1の製造方法について説明する。
【0032】
まず、図3に示すように、周知の技術を用いて、約350μmの厚みを有するP型のシリコン基板101の表面に、フォトダイオード11と、支持基板201(図2参照)と電気的に接続するためのN型の不純物領域101aとが形成される。フォトダイオード11は、シリコン基板101の表面から約0.5μmの深さを有するように形成される。また、図3では省略するが、シリコン基板101の表面には、図1に示したリセットトランジスタ12、増幅トランジスタ13、選択トランジスタ14、行選択回路20、サンプルホールド回路30、および列選択回路40が形成される。なお、シリコン基板101は、幅が約200mmであり、位置あわせ用のマーク(図示省略)を有する。そして、シリコン基板101の表面上には、複数の配線層102aと層間絶縁膜102bとを有する配線部102が形成される。
【0033】
次に、スピンコート法を用いて、配線部102の表面上にポリマー103が形成される。ポリマー103は、約1μmの厚みを有し、保護膜として機能する。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて、配線部102およびポリマー103の不純物領域101aと対応する領域をエッチングすることにより、図4に示すように、配線部102およびポリマー103の不純物領域101aと対応する領域に、約1μmの幅を有するコンタクトホール104が形成される。
【0034】
次に、スパッタ法を用いて、ポリマー103の表面上にコンタクトホール104の内表面を覆うように、約0.1μmの厚みを有するクロム層が形成される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて、ポリマー103上のクロム層をエッチングすることにより、図5に示すように、コンタクトホール104の内表面にクロム層からなるバリアメタル105が形成される。
【0035】
次に、ポリマー103の表面上にコンタクトホール104内を充填するように、銅層が形成される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて、所定領域の銅層をエッチングすることにより、図6に示すような銅からなる電極106が形成される。なお、電極106は、ポリマー103の表面から約1μm突出するように形成されるとともに、その突出した部分の幅がコンタクトホール104の幅よりも大きくなるように形成される。その後、電極106上に低融点のはんだ107が塗布される。低融点のはんだ107の融点温度範囲は、約60〜120℃が好ましい。低融点のはんだ107の一例として、InSnはんだが使用され得る。このInSnはんだの融点は、117℃である。なお、はんだ107は、本発明の「第1のはんだ」の一例である。
【0036】
次に、図7に示すように、周知の技術を用いて、P型のシリコン基板からなる支持基板201の表面に、シリコン基板101(図2参照)と電気的に接続するためのN型の不純物領域201aと、半導体パッケージ400(図2参照)と電気的に接続するためのN型の不純物領域201bとが形成される。また、図7では省略するが、支持基板201の表面には、図1に示した出力回路50および制御回路60が形成される。また、支持基板201は、幅が約200mmであり、位置あわせ用のマーク(図示省略)を有する。そして、支持基板201の表面上には、複数の配線層202aと、層間絶縁膜202bと、不純物領域201bと電気的に接続される電極202cとを有する配線部202が形成される。
【0037】
次に、図8に示すように、支持基板201には、上記したシリコン基板101と同様に、ポリマー203、コンタクトホール204、バリアメタル205、電極206、および、低融点のはんだ207が形成される。低融点のはんだ207として、前述の低融点のはんだ107と同じ材質のはんだを使用することが好ましい。なお、はんだ207は、本発明の「第2のはんだ」の一例である。
【0038】
次に、図9に示すように、支持基板201の表面上に、シリコン基板101が配置される。このとき、シリコン基板101の表面と支持基板201の表面とが互いに向かい合うように配置される。すなわち、図9では、シリコン基板101は図6と上下が逆になっている。また、たとえば、赤外線カメラ(図示省略)を用いて、シリコン基板101に設けられたマーク(図示省略)と、支持基板201に設けられたマーク(図示省略)とを参照することにより、位置あわせが行われる。
【0039】
次に、低融点のはんだ107および207を一時的に約150度に加熱することにより、はんだ107および207が溶融して再凝固することによって、図10に示すように、電極106と電極206とを接続するはんだ301が形成される。このような低融点のはんだを用いた接続技術については、『山森弘毅、前澤正明、東海林彰“低融点はんだバンプを用いるフリップチップボンディング技術”「電子技術総合研究所彙報 第64巻 臨時号」』に開示されている。なお、はんだ107および207を加熱する際に、はんだ107および207の位置あわせが多少ずれていたとしても、はんだ107および207が溶融したときに、互いの表面張力によりはんだ107と207が吸い寄せあうことにより、はんだ301が適切に形成される。さらに、位置あわせのずれも修正される。
【0040】
次に、機械的強度を大きくするために、図11に示すように、支持基板201とシリコン基板101との間に、接着剤302を充填して固化させる。具体的には、支持基板201とシリコン基板101の間の気圧を低下させた状態で、支持基板201とシリコン基板101との間にポリマーを注入し、その後、約−20度に冷却することにより、注入されたポリマーを凝固させる。なお、このような接着剤の一例については、再公表特許WO97/06920号公報に開示されている。
【0041】
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法を用いて、シリコン基板101の裏面が研磨されることにより、シリコン基板101の一部が除去される。これにより、図12に示すように、シリコン基板101が約2μmの厚みを有するように形成される。これにより、受光しようとする光が、シリコン基板101に設けられたフォトダイオード11に到達する。
【0042】
次に、レーザまたはダイヤモンドソーを用いて、図13に示すように、不要な電極202c上のシリコン基板101、配線部102、およびポリマー103を除去する。次に、レーザまたはダイヤモンドソーを用いて、図14に示すように、支持基板201がチップ毎に切断される。
【0043】
次に、図15に示すように、接着剤302(図14参照)が除去される。具体的には、常温に戻すことにより、ポリマーを融解させて、融解したポリマーを水により除去する。その後、支持基板201とシリコン基板101との間に樹脂303を注入するとともに、電極202c上のポリマー203を除去することによって、図2に示したCMOSイメージセンサ1が形成される。
【0044】
本実施形態では、上記のように、低融点のはんだ107および207を、溶融して再凝固させることにより、電極106と電極206とを接続するはんだ301を形成することによって、高温にすることなく、シリコン基板101を支持基板201に取り付けることができる。これにより、シリコン基板101を支持基板201に取り付ける際に、シリコン基板101、配線部102、支持基板201、および配線部202が熱により影響を受けるのを抑制することができる。また、高温に弱い材料であっても配線部102および202に用いることができる。
【0045】
また、本実施形態では、支持基板201とシリコン基板101との間に接着剤302を充填して固化させることによって、CMP法によりシリコン基板101の一部を除去する際に、支持基板201とシリコン基板101とを接続するはんだ301に負荷がかかるのを抑制することができる。このため、はんだ301に負荷がかかるのを抑制しながら、シリコン基板101を薄くしてフォトダイオード11に入射する光量が減少するのを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、支持基板201とシリコン基板101との間に接着剤302を充填して固化させることによって、支持基板201がチップ毎に切断される際に、支持基板201とシリコン基板101とを接続するはんだ301に負荷がかかるのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、接着剤302としてポリマーを用いることによって、ポリマーを凝固および融解させるときに、高温になるのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、サンプルホールド回路30および列選択回路40をシリコン基板101に形成することによって、サンプルホールド回路30および列選択回路40を支持基板201に形成する場合に比べて、電極106および107の数を少なくすることができる。
【0049】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、接着剤302の一例としてポリマーを示したが、これに限らず、接着剤302としてワックスを用いてもよい。この場合、気圧を低下させた状態で、支持基板201とシリコン基板101との間にワックスを注入し、その後、一時的に加熱することにより、注入されたワックスを硬化させる。そして、硬化したワックスは、加熱した状態でアセトン(有機溶剤)を用いて除去することができるが、樹脂303の代わりにそのまま残しておいてもよい。なお、このような接着剤の一例については、特開2002−311084号公報に開示されている。
【0050】
また、上記実施形態では、サンプルホールド回路30および列選択回路40をシリコン基板101に形成する例を示したが、これに限らず、サンプルホールド回路30および列選択回路40を支持基板201に形成してもよい。この場合には、行選択回路20などと性能の異なる列選択回路40をシリコン基板101に形成する必要がないので、シリコン基板101の製造プロセスを簡略化することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、電極106および206の材料として銅を用いる例を示したが、これに限らず、電極106および206の材料としてポリシリコンを用いてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、支持基板201とシリコン基板101との間に樹脂303が充填される例を示したが、これに限らず、支持基板201とシリコン基板101との間に樹脂303が充填されていなくてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、電極106(206)が不純物領域101a(201a)に接続される例を示したが、これに限らず、電極106(206)が配線層102a(202a)に接続されていてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、電極202cが形成された後、電極206が形成される例を示したが、これに限らず、電極202cが電極206と同時に形成されてもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、半導体パッケージ400に取り付けられたCMOSイメージセンサ1の側面を樹脂で覆うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態によるCMOSイメージセンサの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のCMOSイメージセンサの概略を示した断面図である。
【図3】配線部が形成されたシリコン基板を示した断面図である。
【図4】シリコン基板の配線部にコンタクトホールが形成された状態を示した断面図である。
【図5】シリコン基板のコンタクトホールにバリアメタルが形成された状態を示した断面図である。
【図6】シリコン基板に電極およびはんだが形成された状態を示した断面図である。
【図7】配線部が形成された支持基板を示した断面図である。
【図8】電極およびはんだが形成された支持基板を示した断面図である。
【図9】支持基板上にシリコン基板を位置あわせした状態を示した断面図である。
【図10】はんだを溶融して再凝固させた状態を示した断面図である。
【図11】支持基板とシリコン基板との間に接着剤を充填した状態を示した断面図である。
【図12】CMP法によりシリコン基板の一部を除去した状態を示した断面図である。
【図13】不要なシリコン基板および配線部を除去した状態を示した断面図である。
【図14】支持基板をチップ毎に切断した状態を示した断面図である。
【図15】支持基板とシリコン基板との間の接着剤を除去した状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 CMOSイメージセンサ(固体撮像素子)
10 撮像部
11 フォトダイオード(光電変換部)
50 出力回路(信号処理回路)
60 制御回路(信号処理回路)
101 シリコン基板(第1の基板)
102 配線部
106 電極(第1の電極)
107 はんだ(第1のはんだ)
201 支持基板(第2の基板)
202 配線部
206 電極(第2の電極)
207 はんだ(第2のはんだ)
301 はんだ(第3のはんだ)
302 接着剤
303 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の表面に複数の光電変換部を含む撮像部を形成する工程と、
前記第1の基板の表面上に前記撮像部の配線部を形成する工程と、
第2の基板に前記撮像部からの信号を処理する信号処理回路を形成する工程と、
前記第2の基板の表面上に前記信号処理回路の配線部を形成する工程と、
前記第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程と、を備えた固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の基板の前記配線部に第1の電極を形成する工程と、
前記第2の基板の前記配線部に第2の電極を形成する工程と、をさらに備え、
前記第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程は、
前記第1の電極と前記第2の電極とをはんだ付けする工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に接着剤を充填する工程と、
前記接着剤を固化させる工程と、
前記第1の基板の裏面を化学機械研磨することにより、前記第1の基板の一部を除去する工程と、を含むことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の電極と前記第2の電極とをはんだ付けする工程は、
前記第1の電極に第1のはんだを塗布する工程と、
前記第2の電極に第2のはんだを塗布する工程と、
前記第1のはんだおよび前記第2のはんだを溶融した後、再凝固させることにより、前記第1の電極と前記第2の電極とを接続する第3のはんだを形成する工程と、を含むことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の基板と第2の基板をそれぞれの配線部を介して取り付ける工程は、
前記第1の基板の一部を除去した後、前記接着剤を除去する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に樹脂を充填する工程と、をさらに含むことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に接着剤を充填する工程は、前記第1の基板と前記第2の基板との間にポリマーを充填する工程を含み、
前記接着剤を固化させる工程は、前記ポリマーを冷却して凝固させる工程を含み、
前記接着剤を除去する工程は、凝固した前記ポリマーを常温に戻すことにより融解する工程を含む、ことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に接着剤を充填する工程は、前記第1の基板と前記第2の基板との間にワックスを充填する工程を含み、
前記接着剤を固化させる工程は、前記ワックスを一時的に加熱して硬化させる工程を含み、
前記接着剤を除去する工程は、硬化した前記ワックスを有機溶剤を用いて除去する工程を含む、ことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−67844(P2010−67844A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233650(P2008−233650)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】