説明

固体撮像装置

【課題】高い集光効率を有し、高感度な固体撮像装置を提供する。
【解決手段】光電変換機能を有する受光部103が内部に形成されてなる半導体基板101と、絶縁膜107,109,111と配線113,114との積層構造を有し、半導体基板101の上方に形成され、且つ、受光部103の上方に相当する箇所に凹部が形成された配線層と、絶縁膜109,111よりも屈折率が高く、凹部を臨む配線層の側面を被覆する第2絶縁膜115と、第2絶縁膜115よりも屈折率が低く、第2絶縁膜115の前記側面を被覆する第3絶縁膜116と、第3絶縁膜116よりも屈折率が高く、第3絶縁膜116の前記側面を被覆する第4絶縁膜117と、を備える。光導波路は、絶縁膜109,111と、その凹部内に形成された第2絶縁膜115、および第3絶縁膜116、および第4絶縁膜117とにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、受光部の上部における導波路の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、ディジタルスティルカメラやビデオカメラなどの撮像デバイスとして用いられている。例えば、固体撮像装置の一種であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサは、半導体基板をベースとして、複数のフォトダイオードが形成されてなる画素領域と、その周辺に形成された周辺回路領域とを有し構成されている。複数のフォトダイオードは、画素部毎に対応して設けられており、例えば、半導体基板の表層において、主面に沿ってマトリクス状に配置されている。
【0003】
従来技術に係る固体撮像装置の画素部構成について、図7に基づいて、特許文献1に開示された構成を一例として用い説明する。
図7に示すように、従来技術に係る固体撮像装置の画素部では、半導体基板901の一方の主面(Z軸方向上側主面)の表層部分にフォトダイオード903が形成されている。半導体基板901上には、絶縁膜907が積層され、さらにその上には、絶縁膜909,911が順に積層されている。絶縁膜907と絶縁膜909との間、絶縁膜909と絶縁膜911との間、および絶縁膜911上には、拡散防止膜908,910,912がそれぞれ形成されている。また、絶縁膜907,909,911と拡散防止膜908,910,912との各境界面からは、Z軸下方に配線913,914,915がそれぞれ形成されている。
【0004】
絶縁膜907,909,911および配線913,914,915、さらには拡散防止膜908,910,912の積層体である配線層は、フォトダイオード901の上方に相当する箇所に凹部が形成されている。そして、拡散防止膜912上を被覆するように形成されたパッシベーション膜917が、配線層に開けられた凹部を埋め込む状態に充填形成されている。ここで、パッシベーション膜917は、絶縁膜909,911などよりも高屈折率であり、入射光L91は、パッシベーション膜917と絶縁膜909,911との界面917sfで反射され、配線層への光の漏れ出しがある程度防止される。即ち、パッシベーション膜917を絶縁膜909,911よりも高屈折率とすることで、フォトダイオード903の上方に光導波路を構成し、これにより高い効率での集光を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4117672号公報
【特許文献2】特開2008−166677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術に係る固体撮像装置では、光導波路から配線層への光の漏れ出し(エバネッセント波)が生じ、更なる集光効率の向上を図ろうとするとき問題となる。また、配線層へ漏れ出した光は、金属材料からなる配線914,915により散乱され、隣接する画素部などへと侵入してしまうという問題もある。これらの問題は、画素サイズの微細化を進めるにあたり、特に問題となる。
【0007】
本発明は、上記課題の解決を図るべくなされたものであって、高い集光効率を有し、高感度な固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、次の構成を採用する。
本発明に係る固体撮像装置は、半導体基板と、配線層と、第2の絶縁膜と、第3の絶縁膜と、第4の絶縁膜とを備える。
【0009】
半導体基板は、その内部に光電変換機能を有する受光部が形成されている。
配線層は、第1の絶縁膜と配線との積層構造を有し、半導体基板の上方に形成され、且つ、受光部の上方に相当する箇所に凹部が形成されている。
【0010】
第2の絶縁膜は、配線層における第1の絶縁膜よりも屈折率が高く、配線層に開けられた凹部を臨む配線層の側面を少なくとも被覆する状態で形成されている。
第3の絶縁膜は、第2の絶縁膜よりも屈折率が低く、配線層に開けられた凹部を臨む配線層の上記側面に対応する第2の絶縁膜の側面を少なくとも被覆する状態で形成されている。
【0011】
第4の絶縁膜は、第3の絶縁膜よりも屈折率が高く、第2の絶縁膜の上記側面に対応する第3の絶縁膜の上記側面を少なくとも被覆する状態で形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る固体撮像装置では、配線層に開けられた凹部に対し、これを臨む配線層の側面に第2の絶縁膜、第3の絶縁膜、および第4の絶縁膜が順に積層形成されている。そして、第2の絶縁膜は配線層における第1の絶縁膜よりも屈折率が高く、また、第4の絶縁膜は第3の絶縁膜よりも屈折率が高い。よって、本発明に係る固体撮像装置では、配線層に開けられた凹部に侵入した入射光の一部が、仮に配線層の方へと進んだとしても、第4の絶縁膜と第3の絶縁膜との間の界面と、第2の絶縁膜と配線層における第1の絶縁膜との界面と、の両方で導波路内部側へと反射される。
【0013】
従って、本発明に係る固体撮像装置では、上記従来技術に係る固体撮像装置よりも、高い集光効率を実現することができ、高感度である。
本発明に係る固体撮像装置では、例えば、次のようなバリエーション構成を採用することができる。
【0014】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第2の絶縁膜が配線層における凹部の底面も被覆する状態で形成されており、第3の絶縁膜が配線層における凹部の底面に対応する第2の絶縁膜の底面も被覆する状態で形成されており、第4の絶縁膜が第2の絶縁膜の上記底面に対応する第3の絶縁膜の底面も被覆する状態で形成されている、という構成を採用することができる。凹部を臨む配線層の底面については、必ずしも第2の絶縁膜、第3の絶縁膜、および第4の絶縁膜を積層形成する必要はないが、このような構成を採用すれば、凹部を臨む配線層の底面に対応する部分における各絶縁膜を除去することが必要ではなく、製造コストの観点から優れる。
【0015】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第4の絶縁膜が配線層の凹部内で、第3の絶縁膜の上記側面内側に残る凹部を充填する状態で形成されているとともに、受光部の上方に相当する箇所が上凸形状に形成されている、という構成を採用することもできる。このような構成を採用すれば、第4の絶縁膜における上凸形状に形成された部分と、さらにその上に積層される層との間で集光レンズが形成されることになる。このため、このような構成を採用する場合には、更に高い集光効率を実現することができ、更なる感度向上を図ることができる。
【0016】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第4の絶縁膜上には、受光部上方に相当する箇所が開口された格子状の隔壁が設けられており、前記開口の内方にカラーフィルタが埋め込まれている、という構成を採用することができる。このような構成を採用することにより、隣接する画素部のカラーフィルタ間が隔壁で区画されることになり、カラーフィルタ間での光の漏れ込みも防止することができる。これより、更に高い集光効率を実現することができる。
【0017】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第4の絶縁膜がカラーフィルタよりも屈折率が高い、という構成を採用することができる。この構成を採用することにより、第4の絶縁膜からカラーフィルタへと光が漏れ込むことを効果的に防止することができ、光導波路への光の閉じ込めという観点から更に効果的である。
【0018】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、隔壁が酸化物からなる、という構成を採用することができる。
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第2の絶縁膜が窒化シリコン(SiN)からなる、という構成を採用することができる。
【0019】
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第4の絶縁膜が窒化シリコン(SiN)からなる、という構成を採用することができる。
本発明に係る固体撮像装置では、上記構成において、第3の絶縁膜が酸化シリコン(SiO)または酸窒化シリコン(SiON)からなる、という構成を採用することができる。
【0020】
なお、窒化シリコンからなる第2の絶縁膜は、その屈折率n=2.0であり、半導体素子に用いられる絶縁膜の中でも最も高い屈折率を有する。また、酸窒化シリコンからなる第3の絶縁膜の屈折率n=1.75であり、酸化シリコンからなる場合には、屈折率n=1.45である。これより、本発明に係る固体撮像装置では、上記のような材料からなる各絶縁膜を備えることで、配線層への光の漏れ出しを効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】発明の実施の形態1に係る固体撮像装置1の全体構成を示す模式ブロック図である。
【図2】固体撮像装置1の画素部100における構成を示す模式断面図である。
【図3】固体撮像装置1における光の入射経路を示す模式断面図である。
【図4】発明の実施の形態2に係る固体撮像装置2の画素部200における構成を示す模式断面図である。
【図5】発明の実施の形態3に係る固体撮像装置3の画素部300における構成を示す模式断面図である。
【図6】発明の実施の形態4に係る固体撮像装置4の画素部400における構成を示す模式断面図である。
【図7】従来技術に係る固体撮像装置の画素部における構成の一部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下の各実施の形態は、本発明の構成およびそこから奏される作用・効果を分かり易く説明するために用いる例であって、本発明は、本質的な特徴部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0023】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置1の全体構成
実施の形態1に係る固体撮像装置1の全体構成について、図1を用い説明する。
【0024】
図1に示すように、実施の形態1に係る固体撮像装置1では、複数の画素部100がX−Y面に沿ってマトリクス状(行列状)に配列され、これより画素領域10が構成されている。画素領域10に対しては、その周辺に配されたパルス発生回路21、水平シフトレジスタ22、および垂直シフトレジスタ23が接続されている。水平シフトレジスタ22および垂直シフトレジスタ23は、パルス発生回路21からのタイミングパルスの印加に呼応して、各画素部100に対して、順次、駆動パルスを出力する。
【0025】
2.固体撮像装置1の画素部100における構成
固体撮像装置1の画素部100における構成について、図2を用い説明する。
図2に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板101の主面上にゲート絶縁膜102が形成されている。ゲート絶縁膜102は、例えば、酸化シリコン(SiO)膜である。半導体基板101内には、ゲート絶縁膜102との界面部分から内方に向けてフォトダイオード103が形成されている。フォトダイオード103は、n型の電荷蓄積層103aとp型の表面層103bとのpn接合により構成されている。
【0026】
ここで、フォトダイオード103の幅は、例えば、画素部100のセルサイズを1.4[μm]とするとき、0.7[μm]である。
半導体基板101の表層部には、フォトダイオード103の他に、素子分離領域104等が形成されている。素子分領域104は、半導体基板101の該当部分に、ボロンなどの不純物をイオン注入することにより形成されている。なお、固体撮像装置1では、各画素部100にフローティングディフュージョン(FD)やトランジスタ素子も有しているが、図2では、その図示を省略する。
【0027】
ゲート絶縁膜102上におけるフォトダイオード103の上方に相当する部分には、反射防止膜105およびゲート電極106が形成されている。反射防止膜105は、例えば、窒化シリコン(SiN)または酸窒化シリコン(SiON)から形成されており、フォトダイオード103に入射する光が半導体基板101の表面で反射されることを抑制するために設けられている。
【0028】
ゲート電極106は、例えば、ポリシリコンまたはタングステンシリサイドから形成されている。
次に、ゲート絶縁膜102の上には、絶縁膜(第1の絶縁膜)107が堆積され、絶縁膜107の上にはエッチングストップ層108が形成されている。絶縁膜107は、例えば、酸化シリコン(SiO)から形成され、膜厚が400[nm]である。エッチングストップ層108は、例えば、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンから形成され、膜厚が50[nm]である。
【0029】
エッチングストップ層108の上には、絶縁膜(第1の絶縁膜)109、拡散防止膜110、絶縁膜(第1の絶縁膜)111、および拡散防止膜112が順に積層されている。そして、各絶縁膜109,111には、配線113,114が形成されている。絶縁膜109,111も、例えば、酸化シリコン(SiO)から形成され、膜厚は300[nm]である。絶縁膜109,111の屈折率は、例えば、1.45である。固体撮像装置1では、絶縁膜107,109,111と、配線113,114とを含む積層体が、配線層に該当するが、配線層を2層構造(配線113,114が2層)とすることにより、固体撮像装置1の低背化を図ることが可能となる。これより、固体撮像装置1では、入射光の光路を短くすることができ、感度の向上を図ることができる。
【0030】
拡散防止膜110,112は、例えば、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンから形成され、膜厚が50[nm]〜70[nm]である。また、拡散防止膜110,112の屈折率は、例えば、1.7〜2.0である。拡散防止膜110,112は、配線113,114を形成する際に、その材料である銅原子が絶縁膜109,111に対し拡散することを防止する役割を果たす。
【0031】
配線113,114は、絶縁膜109,111に予め形成された溝に、銅(Cu)あるいはその合金が埋め込まれることで形成されている。このとき、例えば、ダマシンプロセスで形成されたタンタル/窒化タンタルからなるバリアメタル層が銅配線の外周に形成されるという構成を採用することもできる。バリアメタル層は、銅原子が絶縁膜109,111に対し拡散することを防止するとともに、絶縁膜109,111と銅(Cu)との密着性の向上も図ることができる。
【0032】
ここで、絶縁膜109,111および拡散防止膜110,112は、フォトダイオード103の上方に相当する箇所が開口されており、配線層に凹部が形成されている(A部)。凹部内には、配線113,114も設けられていない。
【0033】
配線層における凹部は、アスペクト比が1、あるいはそれ以下である。凹部の深さについては、600[nm]程度、あるいはそれ以下とすることが望ましい。これは、仮に凹部の深さを600[nm]よりも大きくした場合には、通常のCVD法を用い絶縁膜115,116,117を形成する場合に、凹部内にボイド(空孔)が生じることが考えられるためである。凹部内にボイドが発生した場合には、当該ボイドが光の散乱の原因となり、感度が大幅に低下する。このため、凹部の深さを600[nm]程度、あるいはそれ以下とすることが望ましい。
【0034】
配線層における凹部を臨む側面および底面を被覆する状態で、第2絶縁膜115、第3絶縁膜116、および第4絶縁膜117が順に積層形成されている。第4絶縁膜117については、第3絶縁膜116の側面および底面で構成される凹部を埋め込むように形成され、Z軸方向上側が略平坦に形成されている。
【0035】
第2絶縁膜115は、例えば、窒化シリコン(SiN)からなり、凹部を臨む底面(エッチングストップ層108表面)からの膜厚が300[nm]程度である。窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜115の屈折率は、絶縁膜109,111よりも高い1.9〜2.0である。
【0036】
第3絶縁膜116は、例えば、酸窒化シリコン(SiON)からなり、膜厚が10[nm]〜100[nm]程度である。酸窒化シリコン(SiON)からなる第3絶縁膜116の屈折率は、第2絶縁膜115よりも低い1.6〜1.8である。
【0037】
第4絶縁膜117は、例えば、窒化シリコン(SiN)からなり、Z軸方向における第3絶縁膜116の底面からの膜厚が300[nm]程度である。第4絶縁膜117の屈折率は、第3絶縁膜116よりも高い1.9〜2.0である。
【0038】
絶縁膜109,111,115,116,117の屈折率について整理すると、次のようになる。
絶縁膜109,111の屈折率をnとし、第2絶縁膜115の屈折率をnとし、第3絶縁膜116の屈折率をnとし、第4絶縁膜117の屈折率をnとするとき、次の関係を満たす。
【0039】
[数1]n>n
[数2]n<n
[数3]n>n
続いて、図2に示すように、第4絶縁膜117の上には、埋め込み層118、平坦化樹脂層119、カラーフィルタ120、平坦化膜121、およびマイクロレンズ122が順に形成されている。ここで、平坦化樹脂層119は、その上に形成されるカラーフィルタ120を接着するための接着層としても機能する。
【0040】
カラーフィルタ120は、例えば、画素部100毎に赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの波長域の光成分を透過するようになっている。
3.固体撮像装置1における光の入射経路
固体撮像装置1における光の入射経路について、図3を用い説明する。なお、図3は、本実施の形態に係る固体撮像装置1での光の入射経路を示す。
【0041】
先ず、図3に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、入射光はマイクロレンズ122で集光され(L)、カラーフィルタ120などを通過して光導波路へと入射する。光導波路に入射した光は、その一部の成分が側壁側へと進むが、第4絶縁膜117と第3絶縁膜116との屈折率差(上記[数3]の関係)により第4絶縁膜117側へと反射される(L)。
【0042】
また、光の一部成分は、第4絶縁膜117と第3絶縁膜116との界面を透過し、配線層における凹部を臨む側面方向へと進むが、第2絶縁膜115と絶縁膜109,111との屈折率差(上記[数1]の関係)により第2絶縁膜115側へと反射される(L)。そして、光導波路を通過した光は、フォトダイオード103へと入射される(L)。
【0043】
一方、図7に示すように、従来技術に係る固体撮像装置では、入射した光が、コアであるパッシベーション膜917と、クラッドとしての配線層の絶縁膜914,915とにより構成され、互いの屈折率差により界面917sfで光が反射される。
【0044】
しかしながら、従来技術に係る固体撮像装置では、配線層へと漏れ出た光が、配線914,915により散乱されてしまう。このため、絶縁膜904を透過して半導体基板901の表層に形成されたフォトダイオード903へと入射する光が、図3に示す本実施の形態に係る固体撮像装置1よりも少なくなってしまう。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、配線層に開けられた凹部に対し、コアとして第2絶縁膜115、第3絶縁膜116、および第4絶縁膜117の3層を充填形成している。このため、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、光導波路に二重の光閉じ込め構造を採用することで、配線層への光の漏れ出しを非常に低いものとすることができる。よって、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、図7に示す従来技術に係る固体撮像装置よりも、高い集光効率を有し、高感度である。
【0046】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る固体撮像装置2の構成について、図4を用い説明する。なお、図4では、固体撮像装置2の構成の内、画素領域における一の画素部200を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1と同様の箇所については、その説明を省略する。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、第4絶縁膜217における上面(Z軸方向上側の主面)217ufの形状が、上記実施の形態1に係る固体撮像装置1の第4絶縁膜117と相違する。具体的には、上記実施の形態1に係る固体撮像装置1では、第4絶縁膜117の上面が平坦であったのに対して、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、第4絶縁膜217の上面が上凸形状となっている。これにより、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、マイクロレンズ122で集光された光が、埋め込み層218と第4絶縁膜217との界面で構成された上凸レンズにより、さらに集光されて光導波路へと導かれる。
【0048】
光導波路の構成については、第4絶縁膜217の上面217ufの形状を除き、上記実施の形態1に係る固体撮像装置1と同様であるので、更に高い集光効率が実現できる。
[実施の形態3]
次に、実施の形態3に係る固体撮像装置3の構成について、図5を用い説明する。なお、図5においても、固体撮像装置3の構成の内、画素領域における一の画素部300を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1,2と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1,2と同様の箇所については、その説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、第4絶縁膜217の上面217ufの上における、隣接する画素部300同士の境界部分に隔壁(第5絶縁膜)323が形成されている。そして、第4絶縁膜217上であって、隔壁323で挟まれる領域の内側には、カラーフィルタ318が形成されている。隔壁323とカラーフィルタ318とは、互いの間に隙間を生じないように形成されている。隔壁323の頂部およびカラーフィルタ318上には、平坦化膜121およびマイクロレンズ122が積層形成されている。
【0050】
ここで、固体撮像装置3をZ軸方向上側から平面視するとき、隔壁323は格子状に形成されており、カラーフィルタ318は画素部300毎に異なる透過色(R,G,B)に設定されている。
【0051】
隔壁323は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたCVD膜(TEOS膜)であって、屈折率は1.4〜1.5程度である。カラーフィルタ318の屈折率は、用いる材料により異なるが、通常、1.6〜1.7程度である。
【0052】
よって、本実施の形態に係る固体撮像装置3では、マイクロレンズ122で集光された光の一部が、カラーフィルタ318の側面から隣接する画素部300のカラーフィルタ318へと漏れだそうとしても、カラーフィルタ318の屈折率が隔壁323の屈折率よりも大きいので、界面で反射される。よって、隣接する画素部300への光の漏れ出しを防止するという観点から、上記実施の形態2に係る固体撮像装置2よりも、更に優れる。
【0053】
また、カラーフィルタ318の導波路底面を通り抜ける光は、回折して横方向(Z軸に直交する方向)に広がる。本実施の形態に係る固体撮像装置3では、カラーフィルタ318の導波路底面が上凸形状であり、光は回折することなく、そのまま光導波路内部に集光される。
【0054】
以上のように、本実施の形態に係る固体撮像装置3では、隔壁323の形成により隣接するカラーフィルタ318への光の漏れ出しを防止し、且つ、カラーフィルタ318の底面が、画素部300の全領域で曲率をもち、それが下部の光導波路における上部の膜(第4絶縁膜217)と合致する構成を採用することにより、光の横方向への回折を抑制することができるので、更なる集光率の向上を図ることができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、第4絶縁膜217の上面を、上記実施の形態2と同様の上凸形状の上面217ufとしたが、上記実施の形態1と同様に平坦な上面とすることもできる。このように第4絶縁膜217の上面を平坦とする場合においても、上記実施の形態1に対して更なる集光率の向上を図ることができる。
【0056】
[実施の形態4]
次に、実施の形態4に係る固体撮像装置4の構成について、図6を用い説明する。なお、図6においても、固体撮像装置4の構成の内、画素領域における一の画素部400を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1,2,3と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1,2,3と同様の箇所については、その説明を省略する。
【0057】
図6に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、拡散防止膜112の上に絶縁膜425が積層されており、絶縁膜425までを含み配線層が構成されている。配線層における絶縁膜425の上には、第2絶縁膜415が積層され、その上には、隔壁423が立設されている。即ち、本実施の形態では、配線層における絶縁膜425の上には第3絶縁膜416および第4絶縁膜417は積層されていない。
【0058】
絶縁膜425は、例えば、酸化シリコン(SiO)からなり、膜厚が80[nm]〜120[nm]である。より具体的には、絶縁膜425の膜厚は、100[nm]である。第2絶縁膜415の膜厚は、絶縁膜425上において、200[nm]〜400[nm]であって、より具体的には300[nm]である。
【0059】
また、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、隣接する画素部400間でカラーフィルタ418同士を区画する隔壁423が、Z軸方向に下部層423aと上部層423bとが積層された構成を有し、上辺が下辺よりも幅狭の台形断面となっている。隔壁423を構成する下部層423aおよび上部層423bは、ともにTEOS膜であって、屈折率が1.4〜1.5程度である。また、隔壁423においては、下部層423aと上部層423bとの間に、界面が存在し、当該界面でZ軸方向上側から下向きに隔壁423内を進む光を反射し、下方への侵入を防止する役割を果たす。
【0060】
隔壁423は、高さが600[nm]〜800[nm]、上部の幅が150[nm]〜250[nm]、下部の幅が200[nm]〜400[nm]に設定されている。より具体的には、高さが700[nm]、上部の幅が200[nm]、下部の幅が300[nm]に設定されている。
【0061】
また、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、隔壁423の下端における開口幅Wと、光導波路の上端における開口幅Wとは、隔壁423の内側斜面をZ軸方向下側に向けて延長したと仮定した場合、その仮想線が光導波路の上端よりも内側を通過するように設定されている。これにより、カラーフィルタ418を通過した光が、漏れなく光導波路へと導かれる。この場合、隔壁423の側壁と光導波路の側壁には、それぞれ傾斜がつけられていることが好ましい。傾斜をつけることにより、基板表層におけるフォトダイオード103の中心近傍に集光し易くなる。
【0062】
ここで、画素部400のセルサイズを1.4[μm]とするとき、幅Wは、1000[nm]〜1200[nm]、幅Wは、900[nm]〜1200[nm]となっている。より具体的には、幅Wおよび幅Wは、ともに1100[nm]である。
【0063】
また、図6に示すように、第4絶縁膜217における隔壁423間の上凸形状部分の上面、および隔壁423の外面には、密着層424が形成されている。密着層424は、例えば、エポキシ樹脂などの有機材料から構成されており、膜厚は、例えば、1[nm]程度である。密着層424は、無機材料からなる(TEOS膜である)隔壁423と、有機材料からなるカラーフィルタ418との密着性を高くするために、介挿されている。なお、密着層424は、エポキシ樹脂の他に、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)からなることとしてもよい。
【0064】
隣接する隔壁423間に形成されるカラーフィルタ418は、その上面418ufが凹形状となっており、その上に積層される平坦化膜421との界面に凹レンズが形成された構成となっている。これにより、マイクロレンズ122で集光のために斜め方向にされた光を、フォトダイオード103に対して垂直な方向に変え、更なる集光率の向上を図ることができる。
【0065】
なお、図6に示すように、固体撮像装置4においては、カラーフィルタ418の一部が隔壁423の頂面上に乗り上げた状態となっている(B部、B部)。ただし、隣接する画素部400のカラーフィルタ418とは、互いに離間しており、接触していない。
【0066】
以上の構成を備える固体撮像装置4では、上記実施の形態1〜3の各固体撮像装置1〜3が奏する効果を全て奏することができるとともに、幅W,Wの関係により、カラーフィルタ418から光導波路へ入射光を確実に導くことができる。
【0067】
[その他の事項]
上記実施の形態1〜4は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いた例であって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、何ら上記実施の形態1〜4で例示した形態に限定を受けるものではない。例えば、図1においては、画素領域10において複数の画素部100がマトリクス状に配列された形態を示したが、複数の画素部の配列形態は、マトリクス状以外にも、ハニカム状などとすることもできる。
【0068】
また、上記実施の形態1〜4では、配線層に開けられた凹部に3層の絶縁層を積層形成することとしたが、4層以上の絶縁層を積層形成することとしてもよい。さらに、上記実施の形態1〜4では、凹部を臨む配線層の底面(図2などでは、エッチングストップ層108の上面)にも第2絶縁膜115,415、第3絶縁膜116,416、第4絶縁膜117,217,417を順に積層することとしたが、当該底面へのこれら第2絶縁膜、第3絶縁膜、第4絶縁膜の積層は必須のものではない。即ち、少なくとも凹部を臨む配線層の側面に対して、第2絶縁膜、第3絶縁膜、第4絶縁膜を順に積層することとすれば、上記効果を得ることができる。
【0069】
さらに、マイクロレンズとカラーフィルタとの間に、層内レンズを設けることもできる。この場合には、集光率を更に高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ディジタルスティルカメラやビデオカメラなどに搭載される撮像デバイスとしての固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0071】
1,2,3,4.固体撮像装置
10.画素領域
21.パルス発生回路
22.水平シフトレジスタ
23.垂直シフトレジスタ
100,200,300,400.画素部
101.半導体基板
102.ゲート絶縁膜
103.フォトダイオード
104.素子分離領域
105.反射防止膜
106.ゲート電極
107,109,111,425.絶縁膜
108.エッチングストップ層
110,112.拡散防止膜
113,114.配線
115,415.第2絶縁膜
116,416.第3絶縁膜
117,217,417.第4絶縁膜
118,218.埋め込み層
119.平坦化樹脂層
120,318,418.カラーフィルタ
121,421.平坦化膜
122.マイクロレンズ
323,423.隔壁
423a.下部層
423b.上部層
424.密着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換機能を有する受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、
第1の絶縁膜と配線との積層構造を有し、前記半導体基板の上方に形成され、且つ、前記受光部の上方に相当する箇所に凹部が形成された配線層と、
前記第1の絶縁膜よりも屈折率が高く、前記凹部を臨む前記配線層の側面を少なくとも被覆する状態で形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜よりも屈折率が低く、前記凹部を臨む前記配線層の側面に対応する前記第2の絶縁膜の側面を少なくとも被覆する状態で形成された第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜よりも屈折率が高く、前記第2の絶縁膜の側面に対応する前記第3の絶縁膜の側面を少なくとも被覆する状態で形成された第4の絶縁膜と、
を備える
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第2の絶縁膜は、前記凹部の底面も被覆する状態で形成されており、
前記第3の絶縁膜は、前記凹部の底面に対応する前記第2の絶縁膜の底面も被覆する状態で形成されており、
前記第4の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜の底面に対応する前記第3の絶縁膜の底面も被覆する状態で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第4の絶縁膜は、前記配線層の前記凹部内において、前記第3の絶縁膜の前記側面内側に残る凹部を充填する状態で形成されているとともに、前記受光部の上方に相当する箇所が上凸形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第4の絶縁膜上には、前記受光部の上方に相当する箇所が開口された格子状の隔壁が設けられており、
前記開口の内方には、カラーフィルタが埋め込まれている
ことを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第4の絶縁膜は、前記カラーフィルタよりも屈折率が高い
ことを特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記隔壁は、酸化物からなる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁膜は、窒化シリコンからなる
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第4の絶縁膜は、窒化シリコンからなる
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第3の絶縁膜は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンからなる
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−227475(P2012−227475A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96167(P2011−96167)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【特許番号】特許第4846878号(P4846878)
【特許公報発行日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】