説明

固体撮像装置

【課題】ダングリングボンドに起因する暗電流を抑制しつつ、光電変換部の損傷に起因する暗電流を抑制できる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】固体撮像装置100は、半導体基板10と、フォトダイオード12と、電荷転送部14と、ゲート絶縁膜20と、ゲート絶縁膜20上の前記電荷転送部14に上方に形成された電荷転送電極22と、電荷転送電極22に沿って形成されフォトダイオード12上方まで拡がる第1シリコン窒化膜30と、フォトダイオード12上方以外の領域における第1シリコン窒化膜30の上面に沿って形成され電荷転送電極22のを覆う遮光膜40と、遮光膜40の上面及び側面に沿って形成されると共に、フォトダイオード12上方で第1シリコン窒化膜30に接触している第2シリコン窒化膜50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、半導体基板の光電変換部に対応する領域に設けられ、光電変換部に向けて入射する光の反射を防止する反射防止膜等に利用されるシリコン窒化膜の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置として、例えば、図9に示すような固体撮像装置900がある。固体撮像装置900は、シリコンからなる半導体基板910、半導体基板910内に形成された光電変換部であるフォトダイオード912、半導体基板910内に形成されフォトダイオード912で発生した信号電荷を転送する電荷転送部914、フォトダイオード912上に形成されたP型領域920、及びP型領域920上の電荷転送部914に対応する領域に形成された電荷転送電極922を備える。また、固体撮像装置900は、さらに、シリコン酸化膜962を介して電荷転送電極922上を覆い、且つ、フォトダイオード912に対応する領域に開口を有する第1シリコン窒化膜930、第1シリコン窒化膜930上に形成され電荷転送電極922の上面及び側面を覆い、且つ、フォトダイオード912に対応する領域に開口を有する金属からなる遮光膜940、及びゲート絶縁膜925上のフォトダイオード912に対応する領域に形成された反射防止膜として機能する第2シリコン窒化膜950を備える。さらに、固体撮像装置900は、第3シリコン窒化膜932、酸化シリコンからなる層間絶縁膜960、第2シリコン窒化膜950上に形成された層間絶縁膜970、層間絶縁膜970上に形成された平坦化膜972、平坦化膜972上に形成されたカラーフィルター980、及びカラーフィルター980上に形成されたマイクロレンズ990を備える。
【0003】
ところで、CCD型固体撮像装置の画像ノイズのひとつにスミアがある。スミアは、半導体基板と遮光膜との隙間を介して、入射光の一部が電荷転送部に漏れ込むことにより生じる。スミアは、一般に微小なノイズ(−80dB〜−87dB)であるが、極めて強い光が入射された場合に顕在化する。電荷転送部への光の漏れ込みは、半導体基板に対して斜めに入射した光が、半導体基板と遮光膜との隙間に入り込むことや、遮光膜の開口を通過した光が回折により曲げられて当該隙間に入り込むことにより起きる。特に、近年、画素サイズ微細化が進み、遮光膜の開口幅が小さくなっているため、回折によるスミアの影響が大きくなり、1.4μmよりも小さな画素サイズでは、改善要求がますます強くなっている。
【0004】
ここで、上記の斜め入射光に起因するスミアを抑制するには、半導体基板と遮光膜との隙間を狭くすれば良い。しかしながら、単に隙間を狭くしてしまうと、遮光膜と半導体基板との間の耐圧が低下してしまう。よって、隙間を狭くする場合には、耐圧特性の高い材質を隙間に設けることが望ましい。一方、回折に起因するスミアを抑制するには、半導体基板と遮光膜との隙間に、屈折率の高い材質を設けることが望ましい。これら高耐圧特性と高屈折率とを両立する材質として、酸化シリコンよりも耐圧特性が高く、且つ、屈折率が高い、窒化シリコンが挙げられる。
【0005】
固体撮像装置900では、半導体基板910と遮光膜940との隙間に、第1シリコン窒化膜930が設けられているため、耐圧を低下させずにスミアを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−140996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、固体撮像装置の画像ノイズとして、暗電流が挙げられる。暗電流は、半導体基板の結晶構造の損傷などに起因して、熱的な励起により半導体基板内に電荷が生成され、当該電荷がフォトダイオードに入り込んで生じる。
上記従来の固体撮像装置では、水素遮蔽性の第1シリコン窒化膜の光電変換部に対応する領域に開口が形成され、当該開口を埋めるように反射防止膜として第2シリコン窒化膜が形成されている。当該開口を形成する際にプラズマエッチング法を用いると、プラズマの衝撃により、光電変換部付近の結晶構造が損傷する恐れがある。また、プラズマCVD法により、第2シリコン窒化膜を形成する際にも、同様に、プラズマにより光電変換部付近の結晶構造が損傷する恐れがある。光電変換部付近の結晶構造が損傷すると、結晶構造の損傷に起因する暗電流が生じる恐れがあり、撮像画像の画質低下につながる。
【0008】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、遮光膜と半導体基板との隙間の耐圧特性低下を抑制しつつ、且つ、光電変換部上における光の反射を防止し、半導体基板の光電変換部付近の結晶構造の損傷に起因する暗電流を抑制できる、固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置は、光電変換部が形成されてなる半導体基板と半導体基板内に形成され、光電変換部で発生した信号電荷を転送する電荷転送部と、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上の電荷転送部に対応する領域に形成された電荷転送電極と、電荷転送電極の上面及び側面に沿って形成され、さらに、ゲート絶縁膜上の光電変換部に対応する領域まで拡がる第1シリコン窒化膜と、光電変換部に対応する領域以外の領域における第1シリコン窒化膜の上面に沿って形成され、電荷転送電極の上面の少なくとも一部及び側面を覆う遮光膜と、遮光膜の上面及び側面に沿って形成されると共に、光電変換部に対応する領域上で第1シリコン窒化膜に接触している第2シリコン窒化膜とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る固体撮像装置では、第1シリコン窒化膜が遮光膜と半導体基板との間に存在するため、遮光膜と半導体基板との隙間の耐圧特性低下を抑制できる。
また、光電変換部に対応する領域では、第1及び第2シリコン窒化膜が積層されているため、光電変換部上における光の反射を防止することができる。
第1シリコン窒化膜の光電変換部に対応する領域に、開口を形成する必要が無いので、プラズマエッチングの衝撃により半導体基板の光電変換部付近の結晶構造が損傷することを回避できる。第2シリコン窒化膜を形成する際、光電変換部に対応する領域に第1シリコン窒化膜が存在するため、第2シリコン窒化膜をプラズマCVD法で形成したとしても、ダメージが光電変換部に伝播しにくく、光電変換部の損傷を抑制できる。
【0011】
従って、本発明に係る固体撮像装置では、光電変換部上における光の反射を防止し、且つ、遮光膜と半導体基板との隙間の耐圧特性低下を抑制しつつ、半導体基板の光電変換部付近の結晶構造の損傷に起因する暗電流を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した固体撮像装置における電極と第1遮光膜との形状及び位置関係を説明するためのレイアウト図である。
【図3】図2に示した固体撮像装置を示すA−A断面図である。
【図4】図2に示した固体撮像装置を示すB−B断面図である。
【図5】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図6】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図7】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図8】図1に示した固体撮像装置の製造工程を示す図である。
【図9】従来の固体撮像装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置100の構成
図1は、実施の形態1に係る固体撮像装置100の平面図である。固体撮像装置100は、複数の画素が二次元配列されてなる撮像エリア110、水平転送部112、出力部114を備える。
【0014】
図2は、図1に示した固体撮像装置100における、電荷転送電極22と第1遮光膜40との形状、及び位置関係を説明するためのレイアウト図である。固体撮像装置100には、画素毎に光電変換部である長方形状のフォトダイオード12が形成されている。また、水平方向に隣り合うフォトダイオード12の間には電荷転送電極22が形成され、電荷転送電極22上面の少なくとも一部を覆うように、金属からなる第1遮光膜40が形成されている。第1遮光膜40は、フォトダイオード12に対応する領域に開口を有する。電荷転送電極22と第1遮光膜40とは、コンタクトを介して電気的に接続されている。すなわち、第1遮光膜40はシャント配線としても機能する。
【0015】
図3は、図2に示した固体撮像装置100のA−A線での断面図であり、図4は、図2に示した固体撮像装置100のB−B線での断面図である。
固体撮像装置100は、半導体基板10、半導体基板10内に形成されたフォトダイオード12、半導体基板10内に形成された電荷転送部14、半導体基板10上に形成されたゲート絶縁膜20、ゲート絶縁膜20上の電荷転送部14に対応する領域に形成された電荷転送電極22、及び電荷転送電極22上に形成されたシリコン酸化膜24を備える。
【0016】
さらに、固体撮像装置100は、電荷転送電極22の上面及び側面に沿って形成され、ゲート絶縁膜20上のフォトダイオード12に対応する領域まで拡がる第1シリコン窒化膜30、フォトダイオード12に対応する領域以外の領域における第1シリコン窒化膜30の上面に沿って形成され、電荷転送電極22の上面の少なくとも一部及び側面を覆う第1遮光膜40、電荷転送電極22に対応する領域における第1遮光膜40上及びフォトダイオード12に対応する領域における第1シリコン窒化膜30上に形成された第2シリコン窒化膜50を備える。第2シリコン窒化膜50は、第1遮光膜40の上面及び側面に沿って形成されると共に、フォトダイオード12に対応する領域上で、第1シリコン窒化膜30と接触している。図4に示すように、第1シリコン窒化膜30、第1遮光膜40、及び第2シリコン窒化膜50は、それぞれ電荷転送電極22上において開口を有し、これが水素供給路55となっている。第1シリコン窒化膜30はスミア抑制及び耐圧特性向上のため、第2シリコン窒化膜50はフォトダイオード12上面での光の反射防止のために形成されているが、これについては後に詳細に説明する。
【0017】
また、固体撮像装置100は、第2シリコン窒化膜50上に形成された第2層間絶縁膜60、第2層間絶縁膜60内に埋め込まれた第2遮光膜62、及び第2層間絶縁膜60上に形成された保護膜70を備える。また、第1シリコン窒化膜30と第1遮光膜40との間には、第1層間絶縁膜26が形成される。
上方から入射した光は、フォトダイオード12で光電変換される。フォトダイオード12で発生し蓄積された信号電荷は、電荷転送電極22に読み出しパルスが印加されると、電荷転送部14に読み出される。さらに、電荷転送電極22に電荷転送駆動パルスが印加されると、信号電荷は垂直方向に順次転送され、水平転送部112から出力部114を通り外部へ出力される。
2.固体撮像装置100の寸法と材料
固体撮像装置100の画素サイズは、例えば、1.4μmであり、ゲート絶縁膜20の膜厚は、例えば、20nm〜60nmである。電荷転送電極22の膜厚は、例えば、100nm〜250nmであり、第1シリコン窒化膜30の膜厚は、例えば、5nm〜50nmである。第1層間絶縁膜26の膜厚は、例えば、5nm〜30nmであり、第1遮光膜40の膜厚は、例えば、60nm〜150nmである。第2シリコン窒化膜50の膜厚は、例えば、20nm〜100nmである。フォトダイオード12に対応する領域では、第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50の合計の膜厚は、例えば、20nm〜100nmである。第1シリコン窒化膜30の半導体基板10と第1遮光膜40との間に挟まれた部分の膜厚は、例えば、10〜60nmである。第2層間絶縁膜60の膜厚は、例えば、50nm〜300nmであり、保護膜70の膜厚は、例えば、100nm〜1000nmである。
【0018】
半導体基板10は、例えば、シリコンからなり、ゲート絶縁膜20は、例えば、酸化シリコンからなり、電荷転送電極22は、例えば、ポリシリコンからなる。第1遮光膜40及び第2遮光膜62は、例えば、W(タングステン)からなる。第1層間絶縁膜26は、例えば、HTO(Hight Temperature silicon Oxide)からなり、第2層間絶縁膜60は、例えば、NSG(Nondoped Silicon Glass)、BPSG(Boron Phosphonrus Silicon Glass)からなる。保護膜70は、例えば、シリコン窒化膜からなる。
【0019】
第1遮光膜40の屈折率は、例えば、2.76であり、第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50の屈折率は、例えば、2.0であり、第2層間絶縁膜60の屈折率は、例えば、1.465である。第2層間絶縁膜60と半導体基板10との間に、屈折率が第2層間絶縁膜60と半導体基板10との間である第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50を形成することで、第1遮光膜40端部で発生する回折光を抑制できる。
【0020】
第1シリコン窒化膜30の半導体基板10と第1遮光膜40との間に挟まれた部分の膜厚はスミア抑制効果がある程度に狭くなっているが、半導体基板10と遮光膜40との耐圧特性を向上できる。これは、半導体基板10と遮光膜40との間に第1シリコン窒化膜30が拡がっているためである。第1シリコン窒化膜30の絶縁破壊電界強度は、第1層間絶縁膜26よりも大きく、例えば、10MV/cmである。
3.固体撮像装置100の製造方法
本発明の実施の形態1における、固体撮像装置100の製造方法について、図5〜8を用いて要部となる工程を説明する。
【0021】
図5(a)に示すように、不純物イオン注入により、半導体基板10内にフォトダイオード12及び電荷転送部14を形成する。図示していないが、同時に、電荷読み出し部、チャネルストップ部も形成する。また、半導体基板10上にゲート絶縁膜20を形成し、ゲート絶縁膜20上の電荷転送部14に対応する領域に電荷転送電極22を形成し、電荷転送電極22上にシリコン酸化膜材料24aを堆積する。その後、図示しないが、LPCVD法により、隣接する電荷転送電極22の間にシリコン窒化膜を埋め込む。
【0022】
図5(b)に示すように、ゲート絶縁膜20上のフォトダイオード12に対応する領域及びシリコン酸化膜材料24a上に、LPCVD法により、第1シリコン窒化膜材料30a、第1層間絶縁膜材料26aを順に堆積する。
図6(a)に示すように、第1遮光膜材料40aを、電荷転送電極22の上面及び側面から、フォトダイオード12上面を覆うように堆積する。具体的には、フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて、電荷転送電極22上の一部における、シリコン酸化膜材料24a、シリコン窒化膜材料30a、及び第1層間絶縁膜材料26aを除去し、電荷転送電極22上にコンタクト23を形成する。その後、コンタクト23上からコンタクト23に対応する領域を除く第1層間絶縁膜材料26a上に亘って、第1遮光膜材料40aを堆積する。
【0023】
図6(b)に示すように、フォトダイオード12に対応する領域を除く領域に、第1層間絶縁膜26及び第1遮光膜40を形成する。具体的には、フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて、フォトダイオード12に対応する領域に、第1層間絶縁膜材料26a及び第1遮光膜材料40aの開口を形成する。このドライエッチングの条件は、フォトダイオード12が損傷することによる暗電流を抑制できるよう、低ダメージの条件とする。
【0024】
図7(a)に示すように、電荷転送電極22に対応する領域の第1遮光膜40及びフォトダイオード12に対応する領域の第1シリコン窒化膜30上に、プラズマCVD法により、第2シリコン窒化膜材料50aを堆積する。
一方、B−B断面では、第2シリコン窒化膜材料50aを堆積した後、図7(b)に示すような水素供給路55を形成し、水素アニールを行う。具体的には、シリコン酸化膜24上の一部における、シリコン窒化膜材料30a、第1層間絶縁膜材料26a、第1遮光膜材料40a、及び第2シリコン窒化膜材料50aを除去し、水素供給路55とする。その後に行う水素アニールにより、半導体基板10とゲート絶縁膜20との間で生じるシリコンのダングリングボンドを水素原子が終端し、ダングリングボンドによる暗電流を抑制できる。
【0025】
次に、A−A断面では、図8(a)に示すように、第2シリコン窒化膜50上に第2層間絶縁膜材料60aを堆積し、電荷転送電極22に対応する領域の第2層間絶縁膜材料60a上に、第2遮光膜62を形成する。具体的には、第2層間絶縁膜材料60a上に第2遮光膜62の材料を堆積し、その後、フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて、電荷転送電極22に対応する領域以外の部分を除去し、第2遮光膜62を形成する。
【0026】
図8(b)に示すように、第2遮光膜62及び第2層間絶縁膜材料60a上に、さらに第2層間絶縁膜材料60bを堆積する。
この後、フォトダイオード12上方において、半導体基板10から第2層間絶縁膜60の最上面までの高さが、例えば、80nm〜200nmになるよう、第2層間絶縁膜材料60a,60bを除去する。具体的には、サイドウォールエッチング法により、フォトダイオード12に対応する領域の第2層間絶縁膜材料60a,60bを除去する。その後、既存技術により、保護膜70、層内レンズ、カラーフィルター、及びマイクロレンズを形成する。
4.効果
本発明に係る固体撮像装置では、第1シリコン窒化膜30のフォトダイオード12に対応する領域に、開口を形成する必要が無いので、プラズマエッチングの衝撃により半導体基板10のフォトダイオード12付近の結晶構造が損傷することを回避できる。第2シリコン窒化膜50を形成する際、フォトダイオード12に対応する領域に第1シリコン窒化膜30が存在するため、第2シリコン窒化膜50をプラズマCVD法で形成する際、ダメージがフォトダイオード12に伝播しにくく、フォトダイオード12の損傷を抑制できる。すなわち、半導体基板10のフォトダイオード12付近の結晶構造の損傷に起因する暗電流を抑制できる。
【0027】
また、フォトダイオード12に対応する領域では、第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50が積層されており、フォトダイオード12に対応する領域では、第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50に水素供給路55が形成されている。これにより、第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50を形成した後の工程で水素アニールを行った場合でも、水素原子が水素供給路55を介して半導体基板10に導入される。そのため、ダングリングボンドを水素原子で終端し、ダングリングボンドに起因する暗電流を抑制できる。その結果、撮像画像の画質が低下することを抑制できる。
【0028】
さらに、フォトダイオード12に対応する領域の第1シリコン窒化膜30及び第2シリコン窒化膜50が反射防止膜として働くので、フォトダイオード12に向かった光が半導体基板10表面で反射しにくく、固体撮像装置100の感度を向上できる。また、別途フォトダイオード12上に反射防止膜を形成する必要がないので、製造工程を減らすことができる。
[変形例]
1.半導体基板とゲート絶縁膜との界面準位の低減
実施の形態等では、電荷転送電極に対応する領域の一部に、第1シリコン窒化膜、第1遮光膜、及び第2シリコン窒化膜の開口を形成し水素供給路とし、水素原子をフォトダイオードに侵入させ、ダングリングボンドを水素原子で終端していた。しかしながら、水素供給路は、実施の形態等で示した画素を水平に区切るようなライン状に限らず、フォトダイオードに対応する領域以外の領域であれば、任意の形状及び配置で形成できる。例えば、平面視したときにフォトダイオードに対応する領域を囲むような格子状になるように、水素供給路を形成しても良い。
【0029】
また、第2シリコン窒化膜として、プラズマCVD法により形成された水素原子を含むシリコン窒化膜を用いた場合、第2シリコン窒化膜には開口を形成しなくても良い。これは、プラズマCVD法により形成されたシリコン窒化膜が、水素原子を通す水素透過性を有するためである。この場合、水素供給路は、第1シリコン窒化膜の有する開口と、第1遮光膜の有する開口と、第2シリコン窒化膜の第1シリコン窒化膜の開口に対応する部分とからなることとなる。
2.その他
実施の形態等では、画素サイズを1.4μmとしたが、これに限らず、1.4μm以下であれば良い。また、フォトダイオードを長方形状としたが、これに限らず、例えば、正方形状や他の多角形状であっても良い。
【0030】
また、実施の形態等では、第1遮光膜をシャント配線として機能させたが、必ずしもその必要はない。第2層間絶縁膜をサイドウォール法によりエッチングしたが、必ずしもその必要はない。
なお、本発明に係る固体撮像装置の構成などは、上記実施の形態及び変形例に係る固体撮像装置の構成に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形および応用が可能である。そして、技術的思想を逸脱しない範囲において、上述の各工程で使用したプロセスを他の等価なプロセスに置換することが可能である。また、工程順を入れ替えることも、材料種を変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラなどに搭載される撮像デバイスとしての固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0032】
10,910 半導体基板
12 フォトダイオード
14 電荷転送部
20,920 ゲート絶縁膜
22 電荷転送電極
24 第1層間絶縁膜
30 第1シリコン窒化膜
40 第1遮光膜
50 第2シリコン窒化膜
60 第2層間絶縁膜
62 第2遮光膜
70 保護膜
100,900 固体撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部が形成されてなる半導体基板と、
前記半導体基板内に形成され、前記光電変換部で発生した信号電荷を転送する電荷転送部と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上の前記電荷転送部に対応する領域に形成された電荷転送電極と、
前記電荷転送電極の上面及び側面に沿って形成され、さらに、前記ゲート絶縁膜上の前記光電変換部に対応する領域まで拡がる第1シリコン窒化膜と、
前記光電変換部に対応する領域以外の領域における前記第1シリコン窒化膜の上面に沿って形成され、前記電荷転送電極の上面の少なくとも一部及び側面を覆う遮光膜と、
前記遮光膜の上面及び側面に沿って形成されると共に、前記光電変換部に対応する領域上で前記第1シリコン窒化膜に接触している第2シリコン窒化膜と
を備えている
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記遮光膜と前記第1及び第2シリコン窒化膜とは、前記光電変換部に対応する領域以外の領域に、水素原子を通す水素供給路をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記遮光膜と前記第1及び第2シリコン窒化膜とは、それぞれ前記光電変換部に対応する領域以外の領域に開口を有し、
前記水素供給路は、
前記第1及び第2シリコン窒化膜の有する開口と、前記遮光膜の有する開口とからなる
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記遮光膜と前記第1シリコン窒化膜とは、それぞれ前記光電変換部に対応する領域以外の領域に開口を有し、
前記第2シリコン窒化膜は、プラズマCVD法で形成された水素原子を含む窒化シリコン膜であり、
前記水素供給路は、
前記第1シリコン窒化膜の有する開口と、前記遮光膜の有する開口と、前記第2シリコン窒化膜の前記第1シリコン窒化膜の開口に対応する部分とからなる
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記遮光膜と前記遮光膜の下方にある前記電荷転送電極とは、電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記光電変換部に対応する領域において、前記第1及び第2シリコン窒化膜の合計の膜厚は、20nm〜100nmである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1シリコン窒化膜の前記半導体基板と前記遮光膜との間に挟まれた部分の膜厚は、10nm〜60nmである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項8】
光電変換部が形成されてなる半導体基板を形成する工程と、
前記半導体基板内に、前記光電変換部で発生した信号電荷を転送する電荷転送部を形成する工程と、
前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上の前記電荷転送部に対応する領域に電荷転送電極を形成する工程と、
前記電荷転送電極の上面及び側面に沿って、前記ゲート絶縁膜上の前記光電変換部に対応する領域まで拡がる第1シリコン窒化膜を形成する工程と、
前記光電変換部に対応する領域以外の領域における前記第1シリコン窒化膜の上面に沿って、前記電荷転送電極の上面の少なくとも一部及び側面を覆う遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜の上面及び側面に沿っていると共に、前記光電変換部に対応する領域上で前記第1シリコン窒化膜に接触している第2シリコン窒化膜を形成する工程と
を含む
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1シリコン窒化膜を形成する工程の後に、
前記第1シリコン窒化膜の前記垂直転送電極に対応する領域に、開口を形成する工程と、
前記開口を介して前記半導体基板に水素を導入する工程と、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−12618(P2013−12618A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145108(P2011−145108)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】