説明

固体有機物表面の酸化装置

【課題】オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制の両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置を提供する。
【解決手段】ワークPの表面の酸化装置は、オゾン水処理槽1と、オゾン水供給装置2と、このオゾン水処理槽1内でワークPを保持する複数の固定用保持具3とを有し、このオゾン水処理槽1内には、それぞれの固定用保持具3に対応してオゾン酸化促進剤Qの噴射手段たる噴射ノズル4が複数設けられている。そして、原水Wは、第1の供給管路7を介してエジェクタ12に供給され、エジェクタ12にオゾン製造装置6で製造されたオゾンガス(O)を供給してオゾン水W0を製造し、これを第2の供給管路8を介してオゾン水処理槽1に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂等の固体有機物表面の酸化装置に関し、特にオゾン水を用いた促進酸化法によって、オゾンの自己分解による浪費を抑えながら、かつ効率的に固体有機物表面を酸化することの可能な酸化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック成形品等の固体有機物の無電解めっきの前処理には、硫酸・クロム酸による粗面化処理が行われている。しかしながら、硫酸・クロム酸による粗面化処理を行った後の排水は、有害なクロムを含んでいる。このためクロムを含む排水は、還元、中和、凝集沈殿等の排水処理が必要となる上に、沈殿物もクロムを含むために容易には廃棄できないという問題点があった。
【0003】
そこで、クロム酸による粗面化処理の代わりに、オゾンを用いてプラスチック成形品の表面を改質(酸化)することでめっき付着性を向上させる方法が種々検討されている。このオゾンを用いた表面酸化方法としては、処理対象となる固体有機物によって、オゾン自身を酸化剤として有効に作用させる方法と、オゾンの分解過程で発生する酸化力の高いヒドロキシラジカル(・OH)を始めとするラジカルを酸化剤として有効に作用させる方法とが知られている。
【0004】
これらの方法のうち、オゾン自身を酸化剤として有効に作用させる方法では、オゾンの自己分解を抑制し、反応場でのオゾン濃度を高く維持することが、酸化反応を促進するために効果的である。具体的には、オゾン濃度を高く維持するためにオゾン水の水素イオン濃度を高め、酸性領域に維持することが行われている。これは、オゾンの自己分解に対してOHイオンやヒドロキシラジカル(・OH)が、オゾンの自己分解を促進する効果を有しているためである。
【0005】
そこで、OHイオンやヒドロキシラジカル(・OH)を抑制することを目的として、オゾンをあらかじめ溶解させた炭酸水素化合物水溶液を用いて、プラスチック成形品表面を酸化処理する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、めっき素材を、オゾンを含む第1溶液に接触させた後、アルカリ成分を含む第2溶液と接触させる前処理方法が提案されている(特許文献2,3参照)。
【0007】
さらに、めっき素材をオゾン溶液に接触させながら紫外線照射処理を行う前処理方法も提案されている(特許文献4,5参照)。
【特許文献1】特開2001−131759号公報
【特許文献2】特開2004−131805号公報
【特許文献3】特開2005−68497号公報
【特許文献4】特開2004−315894号公報
【特許文献5】特開2005−68495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたオゾン水を用いたプラスチック成形品表面の酸化方法は、炭酸水素化合物水溶液によりラジカルを捕捉することで、オゾンの自己分解を抑制するものであるため、ラジカルを介したオゾンの連鎖分解反応が起こりにくく、プラスチック成形品を効率よく酸化できない、という問題がある。
【0009】
一方、オゾンに起因するヒドロキシラジカル(・OH)を始めとするラジカルを酸化剤として有効に作用させる方法においても、長期間効果を持続するためには、オゾンの自己分解を抑制するのが好ましいが、オゾンの自己分解を抑制することは、ラジカルの発生も抑制することになるため、固体有機物表面の酸化の点で必ずしも効果的でない。
【0010】
また、特許文献2及び3に開示されためっき素材の前処理方法では、オゾンを含む第1溶液に接触させた後、アルカリ成分を含む第2溶液と接触させているため、アルカリ成分によるめっき素材表面の脆化層除去の効果は奏するものの、オゾン酸化の促進は十分でない場合がある。
【0011】
さらに、特許文献4及び5に開示されためっき素材の前処理方法では、めっき素材をオゾン溶液に接触させながら紫外線照射処理を行っているため、オゾンに起因するヒドロキシラジカル(・OH)を効率的に生成して、めっき素材表面を酸化することができるが、長時間効果を持続するのが困難であり、用途によっては適しない場合がある。
【0012】
このように従来は、オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制との両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置はなかった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決し、オゾン酸化の促進とオゾンの分解抑制の両方を兼ね備えたオゾン水を用いた固体有機物表面の酸化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、オゾン水処理槽と、オゾン水供給装置と、前記オゾン水処理槽内で固体有機物を保持する保持手段とを有する固体有機物表面の酸化装置であって、前記オゾン水処理槽内にオゾン酸化促進剤の噴射手段が設けられていて、前記保持手段で保持される固体有機物に向けてオゾン酸化促進剤を局所的に噴射することを特徴とする固体有機物表面の酸化装置を提供する(請求項1)。
【0015】
上記発明(請求項1)によれば、噴射手段により固体有機物表面にオゾン酸化促進剤を局所的に噴射することで、オソンの自己分解を促進するオゾン酸化促進剤が固体有機物の表面近傍に偏在するため、オゾン水処理槽内の溶媒に存在するオゾンの過剰な自己分解を抑制し、反応槽内のオゾン水のオゾン濃度を充分な値に維持することができる。その一方で、オゾン酸化促進剤により、固体有機物の表面近傍では、活発なオゾンの自己分解反応が開始され、固体有機物の表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、有機物固体表面の酸化を効率的に行うことができる。
【0016】
上記発明(請求項1)においては、前記オゾン酸化促進剤が、界面活性剤溶液、過酸化水素溶液及びアルカリ溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、これらの溶液のヒドロキシイオンの効果によって、固体有機物の表面近傍で、活発なオゾンの自己分解反応を開始することができる。
【0017】
上記発明(請求項1,2)においては、前記オゾン水供給装置として、オゾン発生装置と、このオゾン発生装置で発生したオゾンガスを原水に溶解させるオゾン溶解装置と、このオゾン溶解装置で製造されたオゾン水を前記オゾン水処理槽に供給する供給手段とを有するものを用いることができる(請求項3)。
【0018】
上記発明(請求項3)によれば、高濃度のオゾン水をオゾン水処理槽に供給することができるので、固体有機物表面の酸化を効率的に行うことができ、しかもかかる効果を長時間保持することができる。
【0019】
上記発明(請求項3)においては、前記オゾン溶解装置の前段又は後段に水素イオン濃度調整手段を有するのが好ましい(請求項4)。かかる発明(請求項4)によれば、製造したオゾン水におけるオゾンの自己分解を抑制し、オゾン濃度を長時間高い濃度に維持することができる。
【0020】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記保持手段が複数あり、前記オゾン酸化促進剤の噴射手段が前記保持手段に対応して複数設けることができる(請求項5)。
【0021】
上記発明(請求項5)によれば、複数の噴射手段により、保持手段に保持されたそれぞれの固体有機物表面にオゾン酸化促進剤を局所的に噴射することができ、複数の固体有機物を効率的に処理することが可能となる。
【0022】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記保持手段が複数あり、前記オゾン水処理槽内に、前記複数の保持手段によりそれぞれ保持される固体有機物に対して、前記噴射手段から噴射されるオゾン酸化促進剤が分散して噴射されるように、前記噴射手段からの噴射流を変流させる変流手段が設けられていてもよい(請求項6)。
【0023】
上記発明(請求項6)によれば、変流手段により、保持手段に保持された固体有機物表面のそれぞれにオゾン酸化促進剤を分散させながら噴射することができ、複数の固体有機物を効率的に処理することが可能となる。
【0024】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記保持手段が複数あり、前記複数の保持手段により保持される固体有機物のそれぞれに対して、前記噴射手段から噴射されるオゾン酸化促進剤が分散して噴射されるように、前記保持手段を前記噴射手段の噴射方向に対して交差状に配置することができる(請求項7)。
【0025】
上記発明(請求項7)によれば、前記保持手段に保持された固体有機物が噴射手段の噴射方向に対して、互いに遮断されることがないため、1個の噴射手段で複数の固体有機物を処理することが可能となる。
【0026】
上記発明(請求項1〜7)においては、前記オゾン水処理槽内に撹拌手段が設けられているのが好ましい(請求項8)。かかる発明(請求項8)によれば、固体有機物の表面ではオゾンの自己分解により局部的にオゾン濃度が低下するが、オゾン水処理槽内を撹拌手段により撹拌することで、固体有機物の表面近傍のオゾン水を入れ替え、高い濃度に維持することができ、オゾンの自己分解による酸化反応の減衰を抑制することができる。
【0027】
上記発明(請求項1〜8)においては、前記オゾン水処理槽内に固体有機物表面の脱泡機構が設けられているのが好ましい(請求項9)。かかる発明(請求項9)によれば、オゾンの分解により発生する気泡が固体有機物の表面に付着残存することによる被処理固体表面の不均一な酸化を防止することができる。
【0028】
上記発明(請求項9)においては、前記固体有機物表面の脱泡機構として、水流噴射手段、機械的振動手段及び超音波振動手段からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる(請求項10)。かかる発明(請求項10)によれば、固体有機物の表面に付着した気泡を簡単にかつ効率的に除去することができる。
【0029】
上記発明(請求項1〜10)においては、前記オゾン酸化促進剤の溶解水として脱気水を用いることができる(請求項11)。かかる発明(請求項11)によれば、オゾン酸化促進剤の溶解水を脱気水とすることでオゾンが分解しても気泡が生じにくくなり、被処理固体表面の不均一な酸化を防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の固体有機物表面の酸化装置は、オゾン水処理槽と、このオゾン水処理槽内で固体有機物を保持する保持手段とを有し、前記オゾン水処理槽内にオゾン酸化促進剤の噴射手段が設けられていて、前記保持手段で保持される固体有機物に向けてオゾン酸化促進剤を局所的に噴射するものであるため、噴射手段により、固体有機物表面にオゾン酸化促進剤を局所的に噴射することができる。これにより、オゾン水処理槽内のpHをオゾンの自己分解を抑制可能な範囲に維持可能な酸性とすることができるため、オゾン濃度を高く維持できる一方、固体有機物の表面近傍に偏在したオゾン酸化促進剤により、活発なオゾンの自己分解反応が開始され、固体有機物の表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、有機物固体表面の酸化を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置を示すフロー図である。
【0032】
図1において、固体有機物たる合成樹脂製のワークPの表面の酸化装置は、オゾン水処理槽1と、オゾン水供給装置2と、このオゾン水処理槽1内でワークPを保持する複数の保持手段たる固定用保持具3とを有し、このオゾン水処理槽1内には、それぞれの固定用保持具3に対応してオゾン酸化促進剤Qの噴射手段たる噴射ノズル4が複数設けられている。
【0033】
オゾン水供給装置2は、空気中の酸素を濃縮するPSA式酸素濃縮装置5と、この酸素濃縮装置5で濃縮された酸素からオゾンを製造するオゾン製造装置6とを有し、このオゾン製造装置6で製造されたオゾンガス(O)は、後述する第1の供給管路7のエジェクタ12に供給される。
【0034】
一方、第1の供給管路7には、水素イオン濃度調整手段としての酸添加装置9と、入口ポンプ11と、オゾン溶解装置たるエジェクタ12とが順次設けられており、第1の供給管路7は、このエジェクタ12の下流側で気液分離装置13に接続している。これにより、原水Wが、第1の供給管路7を介してエジェクタ12に供給され、エジェクタ12にてオゾン製造装置6から供給されるオゾンを溶解したオゾン水が製造される。そして、この気液分離装置13には第2の供給管路8が接続しており、これらによりオゾン水W0の供給手段が構成されている。
【0035】
また、気液分離装置13には、オゾンガス排出管14が接続している。なお、15A、15Bはそれぞれ開閉バルブであり、23は排オゾンガス分解処理装置である。
【0036】
さらに、オゾン水処理槽1の上縁には、第1のオーバーフロー受部16と、第2のオーバーフロー受部17とが設けられていて、第1のオーバーフロー受部16に流入したオゾン水W1は、環流管路18を経て第1の供給管路7の酸添加装置9の上流側に環流され、これら第1のオーバーフロー受部16及び環流管路18によりオゾン水排出機構が構成される。
【0037】
一方、第2のオーバーフロー受部17に流入したオゾン水W2は、循環管路19及び循環ポンプ20を経由して熱交換器21で熱交換された後、オゾン水処理槽1間を循環し、一部はブローする。
【0038】
また、オゾン水処理槽1の底部には、攪拌手段としてのインペラ22が回動可能に設けられているとともに、脱泡機構として、ワークPを振動させ得る機械的振動手段(図示せず)が設けられている。さらに、オゾン水処理槽1には、図示しないオゾン濃度計とpHセンサとが付設されている。
【0039】
一方、複数の噴射ノズル4は、オゾン酸化促進剤Qを貯留した貯槽24にそれぞれ連通しており、図示しない給液装置を介してオゾン酸化促進剤Qを先端から噴射する構成となっている。
【0040】
上述したような装置において、貯槽24に充填されるオゾン酸化促進剤Qとしては、ヒドロキシイオンが存するアルカリ溶液及び界面活性剤溶液を用いることができる。
【0041】
上記アルカリとしては、例えば、NaOH、KOH、NaCO、KCO等が挙げられる。このアルカリ溶液はpH7〜12で、オゾン水処理槽1に噴射ノズル4から微量に噴射してもオゾン水処理槽1のpHが容易に6を超えない程度の濃度に調整するのが好ましい。
【0042】
上記界面活性剤としては、炭素数4〜12の飽和炭化水素骨格を有し、水溶液にした場合にアルカリ性を示す構造を持つものが好ましい。このようなアルカリ性の界面活性剤を用いれば、別途、上述した無機アルカリを添加する必要はない。このような界面活性剤として、具体的には、脂肪族モノカルボン酸塩等が挙げられる。また、界面活性剤の炭化水素骨格は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。
【0043】
さらに、オゾン酸化促進剤Qとして過酸化水素水を用いることもできる。オゾン酸化促進剤Qとして過酸化水素水を用いる場合には、上述したような無機アルカリと併用してもよいし、過酸化水素水単独で用いてもよい。
【0044】
また、オゾン水処理槽1におけるオゾン水W0のオゾン濃度は20mg−O/L(pH5)〜50mg−O/L(pH2)に保つのが好ましい。オゾン濃度が20mg−O/L未満では、合成樹脂製のワークPの表面の酸化が十分でなく、例えば、その後に行われるめっき工程等におけるめっきの密着性が低下するおそれがあるため好ましくない。なお、上限については、オゾンの飽和濃度を超えることはできない。
【0045】
次に、このような構成を有する固体有機物表面の酸化装置の動作について説明する。まず、原水Wを入口ポンプ11により第1の供給管路7に供給し、酸添加装置9により酸性に調整する。このとき使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、有機酸等を用いることができる。具体的には、原水WをpH2〜5に調整するのが好ましい。これにより、エジェクタ12で製造されたオゾン水の自己分解が抑制され、オゾン水処理槽1におけるオゾン水W0のオゾン濃度を20mg−O/L(pH5)〜50mg−O/L(pH2)に保つことが可能となる。
【0046】
また、原水Wの温度が低いほど、オゾンを高濃度で溶解してこれを維持するために有利である一方、酸化反応速度は温度が高いほど速いため、両者の均衡を考慮して、原水Wの温度は20〜40℃であるのが好ましい。
【0047】
これと並行して空気中の酸素をPSA式酸素濃縮装置5で濃縮し、続いて濃縮された酸素からオゾン製造装置6でオゾンを製造し、この製造されたオゾンガス(O)をエジェクタ12に供給する。
【0048】
これによりエジェクタ12で原水Wにオゾンガスが溶解され、気液分離装置13でオゾン水W0と排出オゾンガスとに気液分離した後、オゾン水Wを第2の供給管路8からオゾン水処理槽1に供給する一方、排出オゾンガスはオゾンガス排出管14を経て排オゾンガス分解処理装置23で分解した後排気する。
【0049】
そして、オゾン水処理槽1が所定量のオゾン水W0で満たされたら、複数のワークPをオゾン水処理槽1に浸漬し、続いてそれぞれの噴射ノズル4から貯槽24に貯留したオゾン酸化促進剤QをワークPに向けて噴射する。そうすると、ワークPの表面近傍はオゾン酸化促進剤Qの濃度が非常に高くなるため、そのヒドロキシイオンの効果によって、オゾン水処理槽1内のオゾン水W0中のオゾンは、活発に自己分解反応する。その結果、ワークPの表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するため、ワークPの表面を効率的に酸化することができる。
【0050】
なお、オゾンの分解に伴うヒドロキシラジカルによる酸化処理では、ワークPの表面ではオゾンが迅速に消費されるため、層流境界層内にラジカルを供給する物質移動を速やかに行う必要がある。したがって、ワークPの表面におけるオゾン水のスリップ速度を高く維持する必要がある。そこで、本実施形態では、オゾン水処理槽1の底部にインペラ22を設けてオゾン水処理槽1内を攪拌してオゾン水流を形成することにより、ワークPに接触するオゾン水を連続的に交換することにより、ヒドロキシラジカルによる酸化を維持している。
【0051】
このとき、ワークPの一方の面を酸化したい場合には、図2に示すように噴射ノズル4をワークPの一方の面の基端側に向けてオゾン酸化促進剤Qを噴射して、オゾン水W0の流れに乗せるようにすればよい。また、ワークPの両方の面を酸化したい場合には、図3に示すように噴射ノズル4をワークPの端部に向けてまっすぐにオゾン酸化促進剤Qを噴射して、ワークPによりオゾン水W0を分断してその流れにオゾン酸化促進剤Qを乗せるようにすればよい。
【0052】
さらに、あらかじめ調製されたオゾン水W0が開放系であるオゾン水処理槽1に入ると気液平衡関係が崩れるため、一部オゾンの放散による気泡生成が起こる。また、ヒドロキシラジカルによる酸化反応に作用したオゾンは溶解度の低い酸素となり、酸素の気泡生成も起こる。その結果、ワークPの表面で発生したこれらの気泡の一部がワークPの表面に付着して脱離しないことがある。このように気泡が付着した部分は、ヒドロキシラジカルによる表面の均一な酸化処理を妨げるおそれがある。そこで、本実施形態では、オゾン水処理槽1に脱泡機構としての機械的振動手段によりワークPを振動させることで、このような気泡の付着を回避している。
【0053】
上述したようなオゾン水処理槽1中のワークPの浸漬時間は、オゾン水のオゾン濃度にもよるが2〜30分程度であり、オゾン酸化促進剤Qは、ワークPの浸漬している間、噴射を継続するのが好ましい。このようにしてワークPの表面の酸化を行ったら、固定用保持具3を引き上げてワークPを取り外して乾燥し、無電解めっき等所望の工程を行えばよい。
【0054】
一方、上記操作の間、オゾン水処理槽1中のオゾン水の溶存オゾン濃度が低下しないように第2の供給管路8からオゾン水処理槽1に、オゾン水を連続的に供給する。このため、オゾン水W0は、オゾン水処理槽1をオーバーフローする。そこで、第1のオーバーフロー受部16に流入したオゾン水W1は、環流管路18を経て第1の供給管路7の酸添加装置9の上流側に環流させて再利用する一方、第2のオーバーフロー受部17に流入したオゾン水W2は、循環管路19及び循環ポンプ20を経由して熱交換器21で熱交換された後、オゾン水処理槽1間を循環させ一部はブローすることで、オゾン水の有効利用を図るのが好ましい。
【0055】
なお、ワークPとなる固体有機物としては、合成樹脂が一般的であり、このような合成樹脂としては、オゾンにより酸化されるものであれば、特に制限はなく、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ノリル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらにはオゾンにより酸化されるものであれば、合成樹脂以外の固体有機物にも適用可能である。このようにして表面が酸化された固体有機物は、表面に被膜を形成した場合にその密着性が向上するので、無電解めっき等のめっき処理を施す成形品として好適である。特にABS樹脂は、引張強さ、曲げ強さ、耐衝撃強度等に優れており、無電解めっきされることが最も多い合成樹脂である。
【0056】
次に本発明の第2の実施形態について図4に基づいて説明する。
第2の実施形態の固体有機物表面の酸化装置は、フロー自体は前述した第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施形態においては、ワークPに複数の開口部PWが形成されている。このようなワークPの一側面を酸化する場合には、噴射ノズル4をワークPの一方の面の中央部に向けてオゾン酸化促進剤Qを噴射して、オゾン水W0をワークPの面により拡散させ、オゾン酸化促進剤Qをこの流れに乗せるようにする。これによりワークPにぶつかったオゾン酸化促進剤Qが拡散することで、ワークPの一側面にいきわたらせることができる。
【0058】
続いて、本発明の第3の実施形態について図5に基づいて説明する。
第3の実施形態の固体有機物表面の酸化装置は、フロー自体は前述した第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態においては、複数の固定用保持具3及びワークPに対して噴射ノズル4が1個配置されている。このようなワークPの一側面を酸化する場合には、噴射ノズル4の噴射方向をオゾン水流と同方向とし、さらにワークPをオゾン水流に対して交差状に配置すればよい。
【0060】
このような構成を採用することにより、固定用保持具3に保持されたワークPが、噴射ノズル4から噴射されるオゾン酸化促進剤Qを互いに遮断することがないため、1個の噴射ノズル4により複数のワークPを処理することが可能となる。
【0061】
さらに、本発明の第4の実施形態について図6〜図8に基づいて説明する。
第4の実施形態の固体有機物表面の酸化装置は、フロー自体は前述した第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0062】
本実施形態においては、オゾン水処理槽1は円筒形であり、インペラ22の代わりに枢軸25に取り付けられたスクリュウ、パドル等の攪拌羽根25Aが該円筒形のオゾン水処理槽1の中央に、回転駆動装置(図示せず)により回動可能に設けられている。また、固定用保持具3は、この枢軸25に対して放射状に複数配置され、ここにワークPが保持されているとともに噴射ノズル4がワークPの端部に向けてまっすぐにオゾン酸化促進剤Qを噴射するように配置されている。なお、図6〜図8においては、便宜上、固定用保持具3については省略してある。
【0063】
このような構成を採用することにより、噴射ノズル4からワークPの一方の面の側の基端側に向けてオゾン酸化促進剤Qを噴射すると、ワークPの表面近傍はオゾン酸化促進剤Qの濃度が非常に高くなるため、そのヒドロキシイオンの効果によって、オゾン水処理槽1内のオゾン水W0中のオゾンは、活発に自己分解反応する。その結果、ワークPの表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するので、ワークPの表面を効率的に酸化することができる。そして、攪拌羽根25Aの攪拌によりオゾン水W0の渦流が生じるので、ワークPに接触するオゾン水W0を連続的に交換することにより、ヒドロキシラジカルによる酸化を維持することができる。
【0064】
また、このような攪拌羽根25Aによる渦流により、ワークPの表面で発生した気泡の一部がワークPの表面に付着した際の脱離を図るという効果も奏する。
【0065】
なお、本実施形態においては、固定用保持具3及びワークPと噴射ノズル4とを図8に示すように攪拌羽根25Aの攪拌によるオゾン水W0の渦流と略平行に配置してもよい。
【0066】
次に、本発明の第5の実施形態について図9及び図10に基づいて説明する。
第5の実施形態の固体有機物表面の酸化装置は、フロー自体は前述した第1の実施形態と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施形態においては、オゾン水処理槽1は円筒形であり、第2の供給管路8の先端部8Aが該円筒形のオゾン水処理槽1の中央に、回転駆動装置(図示せずより回動可能に設けられている。そして、インペラ22を有しない代わりに先端部8Aには多数の孔によるオゾン水噴出孔26が形成されている。また、固定用保持具3は、この枢軸25に対して放射状に複数配置され、ここにワークPが保持されているとともに噴射ノズル4がワークPの端部に向けてまっすぐにオゾン酸化促進剤Qを噴射するように配置されている。なお、図9及び図10においては、便宜上、固定用保持具3については省略してある。
【0068】
このような構成を採用することにより、噴射ノズル4からワークPの一方の面の側の基端側に向けてオゾン酸化促進剤Qを噴射するすると、ワークPの表面近傍はオゾン酸化促進剤Qの濃度が非常に高くなるので、そのヒドロキシイオンの効果によって、オゾン水処理槽1内のオゾン水W0中のオゾンは、活発に自己分解反応する。その結果、ワークPの表面で酸化に有効なヒドロキシラジカルが発生するので、ワークPの表面を効率的に酸化することができる。そして、オゾン水噴出孔26からオゾン水W0を吐出することによりオゾン水処理槽1の中央から放射状にオゾン水W0の水流が生じ、オゾン水処理槽1内が攪拌されるため、ワークPに接触するオゾン水を連続的に交換することにより、ヒドロキシラジカルによる酸化を維持することができる。
【0069】
また、このようなオゾン水噴出孔26からのオゾン水W0の吐出流は攪拌効果の他に、ワークPの表面で発生した気泡の一部がワークPの表面に付着した際の脱離を図るという効果も奏する。
【0070】
以上、本発明について各実施形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明は上記各実施形態に何ら限定されず、種々の変更実施が可能である。
【0071】
例えば、ワークPの脱泡機構としては、ワークPの機械的振動手段に限らず、超音波振動手段や水流噴射手段であってもよい。水流噴射手段の場合、用いる水は脱気水であるとさらに好ましい。
【0072】
また、前記第3の実施形態においては、固定用保持具3をオゾン水流に対して交差状に配置するとともに、噴射ノズル4からの噴射流を変流する変流板等の変流手段を設けてもよい。これにより、複数のワークPのそれぞれに対して、噴射ノズル4から噴射されるオゾン酸化促進剤Qを分散させながら噴射することができるため、複数のワークPを効率的に処理することができる。
【0073】
さらに、オゾン酸化促進剤Qの溶解水を脱気水としてもよい。これにより、オゾンが分解しても気泡が生じにくくなり、ワークP表面の不均一な酸化を防止することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0075】
<試験装置及び条件>
図1及び図2に示すオゾン水供給システムを備えた試験装置を用意した。試験装置の仕様は以下のとおりであった。
・オゾン水処理槽1…容量46L
・オゾン製造装置6…発生オゾン濃度は、オゾン水処理槽1内のオゾン水濃度が20mg/Lとなるよう電流を任意に調整
・熱交換器21…オゾン水処理槽1内の水温が30℃となるように熱交換器21へ供給する冷却水量を調整
・酸添加装置9…オゾン水処理槽1内がpH3.0となるように制御しながら硫酸を添加
・ワークP…試験用に縦50mm、横100mm、厚さ3mmのABS樹脂製のテストピースを用意した
【0076】
〔実施例1〕
ワークPをオゾン水処理槽1に6分間浸漬して酸化処理を行った。この際、オゾン水処理槽1をインペラ22により攪拌し、ワークPはオゾン水の流れに対して平行に設置し、オゾン水処理槽1内に設けた噴射ノズル4からワークPに対して2g/LのNaOH溶液を10mL/分の速度で噴射した。
【0077】
このようにして処理したワークPを水洗した後、ラウリル硫酸ナトリウム(濃度;50g/L)とNaOH(濃度;1g/L)とを含む50℃に設定された混合水溶液に2分間浸漬し、ワークPを取り出して水洗を行った。
【0078】
次に塩酸水溶液(3N)中に塩化パラジウム(0.1質量%)及び塩化スズ(5質量%)をそれぞれ溶解して、触媒溶液を調製した。そして、この触媒溶液中にワークPを4分間浸漬した。この際、触媒溶液の温度は40℃に設定した。その後、パラジウムを活性化するために、50℃に設定した塩酸水溶液(1N)中にワークPを2分間浸漬した。この工程によりワークPに触媒を吸着させ、塩酸水溶液からワークPを取り出して水洗を行った。
【0079】
続いて、30℃に保温されたNi−P化学めっき浴(めっき液)中に、ワークPを10分間浸漬して、ワークPの樹脂基材表面にNi−Pめっき被膜を形成した。このようにして処理したワークPには均一なめっきの析出が確認された。この際のめっき被膜の厚みは0.5μmであった。
【0080】
さらに、このめっき後のワークPを硫酸銅系電気めっき浴(25℃)に40分間浸漬することで、Ni−Pめっき被膜上に銅めっき被膜を形成した被めっき樹脂部材を得た。なお、Ni−Pめっき被膜と銅めっき被膜とを併せた被膜の厚みは、約30μmであった。
【0081】
上記のようにして得られたワークP(被めっき樹脂部材)のめっき被膜の密着強度を評価するために、引っ張り試験を行った。引っ張り試験は、ワークP上のめっき被膜に幅10mmの短冊状に切れ込みを入れたものを試験片とし、この試験片を用いて、JIS H8630(密着性試験方法)に準じてめっき被膜の密着強度(kg/cm)を測定した。
【0082】
〔比較例1〕
実施例1において、噴射ノズル4からNaOH溶液を噴射しない以外は同様にして酸化処理を行ったワークPを水洗した後、同様に無電解めっきを行ったところ、ワークPには均一なめっき析出は観察されず、全表面の約50%が未析出であった。
【0083】
〔比較例2〕
実施例1において、噴射ノズル4からワークPに対してNaOH溶液の代わりに脱気水を供給した以外は同様にして表面の酸化処理を行ったワークPを水洗した後、同様に無電解めっきを行ったところ、ワークPには均一なめっき析出は観察されず、全表面の約30%が未析出であった。
【0084】
【表1】

【0085】
表1に示すように、オゾン水処理槽1中でアルカリ溶液を噴射することで、効率的にワークPの表面を酸化することができ、均一なめっき処理が可能であることが確認された。また、めっきの密着性も良好であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置を示すフロー図である。
【図2】前記第1の実施形態におけるワークPと噴射ノズル4との配置例を示す概略図である。
【図3】前記第1の実施形態におけるワークPと噴射ノズル4との他の配置例を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置におけるワークPと噴射ノズル4との配置例を示す概略図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置におけるワークPと噴射ノズル4との配置例を示す概略図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置のオゾン水処理槽1の構成を示す側面視の概略図である。
【図7】前記第4の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置におけるワークPと噴射ノズル4との配置例を示す概略図である。
【図8】前記第4の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置におけるワークPと噴射ノズル4との他の配置例を示す概略図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置のオゾン水処理槽1の構成を示す側面視の概略図である。
【図10】前記第5の実施形態に係る固体有機物表面の酸化装置におけるワークPと噴射ノズル4との配置例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0087】
1…オゾン水処理槽
2…オゾン水供給装置
3…保持手段
4…噴射ノズル
6…オゾン製造装置
7…第1の供給管路(オゾン水供給装置)
8…第2の供給管路(オゾン水供給装置)
9…酸添加装置(水素イオン濃度調整手段)
11…入口ポンプ(オゾン水供給装置)
12…エジェクタ(オゾン溶解装置)
13…気液分離装置(オゾン水供給装置)
16…第1のオーバーフロー受部(オゾン水排出機構)
18…環流管路(オゾン水排出機構)
22…インペラ(攪拌手段)
P…ワーク(固体有機物)
W…原水
W0,W1,W2…オゾン水
Q…オゾン酸化促進剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン水処理槽と、オゾン水供給装置と、前記オゾン水処理槽内で固体有機物を保持する保持手段とを有する固体有機物表面の酸化装置であって、
前記オゾン水処理槽内にオゾン酸化促進剤の噴射手段が設けられていて、前記保持手段で保持される固体有機物に向けてオゾン酸化促進剤を局所的に噴射することを特徴とする固体有機物表面の酸化装置。
【請求項2】
前記オゾン酸化促進剤が、界面活性剤溶液、過酸化水素溶液及びアルカリ溶液からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項3】
前記オゾン水供給装置が、オゾン発生装置と、このオゾン発生装置で発生したオゾンガスを原水に溶解させるオゾン溶解装置と、このオゾン溶解装置で製造されたオゾン水を前記オゾン水処理槽に供給する供給手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項4】
前記オゾン溶解装置の前段又は後段に水素イオン濃度調整手段を有することを特徴とする請求項3に記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項5】
前記保持手段が複数あり、
前記オゾン酸化促進剤の噴射手段が前記保持手段に対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項6】
前記保持手段が複数あり、
前記オゾン水処理槽内に、前記複数の保持手段により保持される固体有機物のそれぞれに対して、前記噴射手段から噴射されるオゾン酸化促進剤が分散して噴射されるように、前記噴射手段からの噴射流を変流させる変流手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項7】
前記保持手段が複数あり、
前記複数の保持手段により保持される固体有機物のそれぞれに対して、前記噴射手段から噴射されるオゾン酸化促進剤が分散して噴射されるように、前記保持手段が前記噴射手段の噴射方向に対して交差状に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項8】
前記オゾン水処理槽内に撹拌手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項9】
前記オゾン水処理槽内に固体有機物表面の脱泡機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項10】
前記固体有機物表面の脱泡機構が、水流噴射手段、機械的振動手段及び超音波振動手段からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載の固体有機物表面の酸化装置。
【請求項11】
前記オゾン酸化促進剤の溶解水として脱気水を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固体有機物表面の酸化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−95736(P2010−95736A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265558(P2008−265558)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】